方剤学 2012年春の九鼎会発表 九州大学漢方医学研究会 方剤 方剤はいくつもの薬物で構成されている。 薬物にはそれぞれ長所と短所がある。 方剤とは、これらの薬物を組み合わせることで、 薬物のかたよりを調整し、毒性を抑え、それぞ れの薬物の効能を最大限にひきだしたものであ る。 方剤の基本となる組み合わせ 君臣佐使 君薬(主薬) 主証に対する最も主要となる薬物 一つの方剤には君薬が不可欠であり、一般に、 品目が少なく、量は多い。 臣薬(補薬) 君薬を助け、治療効果を高める。 佐薬 随伴症状や主要症状以外のものに対応す る。 君薬の毒性や副作用を抑える。 方剤全体の薬性と相反する薬物である。 たとえば温、熱薬に少量の寒、涼薬を加 えたり、寒、涼薬に少量の温、熱薬を加 えたりすること(反佐)。 使薬 方剤全体を病変部位に到達させる薬物(引経 薬)。 各薬物の働きを調和させる薬物 方剤構成の例~麻黄湯~ 麻黄=君薬 汗を出すことで、風寒の邪を散じる(発 汗解表、疏散風寒) 咳を止め、喘息を抑える(止咳、平喘) 桂枝=臣薬 麻黄の発汗力を助ける(解表、疏散風 寒) 杏仁=佐薬 麻黄の働きを助け、咳、喘息を止める (止咳、平喘) 甘草=使薬 各薬物の働きを調和する(諸薬の調整) 麻黄湯 【効能】辛温解表 【主治】風寒表証(実証) 風寒 発汗 衛気 桂枝・麻黄 杏仁 (散寒、止咳・平喘) 甘草 (諸薬調和) 参考文献 ・わかる中医学入門、邱 紅梅(ちゅう ほんめい)、燎原書店、1998 ・三大法則で解き明かす漢方・中医学入門―基礎理論とエキス製剤による臨 床、 梁 哲成(やん ちょるそん)、燎原書店 、2009 ・医学生のための漢方医学 基礎編、安井 廣迪(やすい ひろみち)、 東洋学術出版社、2008 ・安井廣迪先生セミナースライドより一部図版借用
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