「つながり」の先に目指すカリキュラムの透明性

5/15/15
カリキュラム・アーティキュレーションとは
「つながり」の先に目指すカリキュラムの透明性:
次世代アーティキュレーションモデルの提案
河合見恵子
Mieko Kawai University of Virginia マーシャルともこ 佐藤友美 J-­‐GAP USA Team 蘇寿富美
日
本
語
能
力
大谷浩二
プログラム1
1
J-GAP
プログラム2
プログラム3
プログラム4
縦と横、教科間のアーティキュレーション (Lange 1982)(當作2012) 2
hNp://j-­‐gap.wikispaces.com/
(Japanese Language Education Global Articulation Project)
2010年 台湾における国際日本語教育学会にてシンポジウム
2011年 日本語グローバル・ネットワーク会員学会の共同事業
国際交流基金の支援事業として始動 (5カ国1地域)
2012年 3カ国が新たに参加 (総計11の世界規模プロジェクト)
J-GAP開始以前 バージニアでは・・・
2007年 AP Japanese 導入 2007年5月 Mid-­‐AtlanEc Pedagogy Workshop 2008年3月 First ArEculaEon Forum 2010年10月 Second ArEculaEon Forum at FLAVA 3
J-­‐GAP USA 活動指針 4
「JFスタンダードの木」とは:
(蘇 2012)
1 徹底した対話アプローチ 2 現場の教師の意見、イニシアチブを重視する ボトムアップアプローチ 3 日本語プログラム内、日本語プログラム間での 縦と横の連携推進
4 日本語教育界と産官民との連携推進
5 JFスタンダード・みんなのCan-­‐doサイトをツール として活用 5
hNps://jfstandard.jp
コミュニケーション言語活動と
コミュニケーション言語能力の
関係を整理して例示したもの
どの部分が学習目的か →目標の明確化 多様な学習者のニーズや学習
効果をとらえやすくなる。 6
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「Can-do」とは:
日本語の熟達度を「〜できる」という形式で示した文
アーティキュレーション活動とCan-­‐Do
•  Can-­‐Doは目標を達成したかを調べるための 測定可能な評価活動に役立つ
•  熟達度(performance outcome)を
客観的に記述することにより目標を明確にでき、
他の人と共有できる
例) 【受容】 テレビや映画を見る (B1 レベル)
行動
対象
話題
条件
インタビュー、
話し方が比較的
本人の関心の
短い講演、ニュース、
ゆっくりと、はっき
内容をおおかた
りとしていれば
ある話題
について
レポートなど多くの
テレビ番組の
理解できる
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J-GAP USA メンバー 相関図
J-­‐GAP USA 3年間+1年の活動全体の流れ
ステップ1: 教師同士の連携基盤作り (2011-­‐12) ステップ2: 連携推進の具体化 (2012-­‐13) 教師発信型プロジェクト 計画→実施→公表→反省→再実施 ステップ3: 持続可能な連携構築プロセスの分析 考察 (2013-­‐14)
ーーーーーーーーーーー ステップ4: 学会報告、地方教師会への広がり 報告書執筆(2014-­‐15) J-­‐GAP TEAM
J-­‐GAP Project Members
プロジェクト
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J-­‐GAP Community Members
ファシリテーション
10 J-­‐GAP USA 第一期: 教師同士の連携基盤作り (2011-­‐12) カリキュラム・アーティキュレーション活動に
財政的支援は不可欠か
資金がなくても効果的な活動方法は考えられる 11
オンライン・ツールの活用 •  初回、教師の参加を広く募る場合、支援があればプラス •  アメリカではface-­‐to-­‐faceミーティングの移動費は大 •  発表における交通費・宿泊費 できるだけ多くの参加者に発表の機会→ Professional Development Advocacy 12
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J-­‐GAP USA 教師発信型 カリキュラム アーティキュレーション モデル
「基盤づくり」=協同作業の準備
DO NOT quote this version: J-­‐GAP FINAL REPORT is to be published. 信頼関係の構築
現場環境の把握
課題の共有
ツールの確認
役割分担
報告/発表
協 働 内省
基盤作り 計画 ター
テー
シリ
ファ
実施 協 働 対 話
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ファシリテーションとは
学習者 カリキュラム 14
「基盤作り」:ファシリテーターとして学んだこと
hNp://www.nikkei-­‐nbs.com/nbs/seminar/121026TN.html
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ファシリテーションの一例: •  参加者の意向を尊重 (例:地区別親睦会) •  ツールを学ぶ機会を提供 (例: Can-­‐DO workshop) •  情報共有(例:オンラインサイト) •  英語か日本語か •  写真・魅力的なデザイン •  助成金の効果的な使い方 (例:参加者の交通費補助) •  相互の現場環境の把握を促進する方法 →ファシリテーターの必要性 (山内 2009) •  機会が多ければ多いほど理解は深まるが・・・ 16
J-GAP開始当初の意識調査では・・・
J-­‐GAP SEATJ ワークショップより 換 教材交 ?
な
か
シーと
アドボカ
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う
違
が
何
17
アーティキレーション 学校訪問
って何すればいいの? とかは?
?
学校訪問
ム
ラ
ュ
カリキ
の統一?
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3
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J-­‐GAP USA 第二期(2012-­‐13) : J
教師発信型プロジェクト始動
カリキュラムアーティキュレーションの 活動といえるのはどれ?
l 高校生が大学の日本語授業を体験する
l 教材シェアのためのウェブサイトを作る
l 文化イベントを地域の高校と大学が連携して行う
l 日本語教育の専門家による教師ワークショップを開催
l 各学期に使われる文法の状況設定を決める
l 他の学校の先生とルーブリックを一緒に作成し、実施、
分析、考察に続ける
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J-­‐GAP USA 教師発信型 カリキュラム アーティキュレーション モデル
DO NOT quote this version: J-­‐GAP FINAL REPORT is to be published.
カリキュラムアーティキュレーションの 活動といえるのはどれ?
報告/発表
協 働 考慮すべき点: 内省
基盤作り 協働作業によって相互のカリキュラムの
透明化を促進する活動かどうか
計画 シ
ファ
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「計画・実施」:活動実施者として学んだこと •  実現可能かつ具体的な活動案 •  短期目標と長期目標 •  顔を合わせてしかできないこと、 オンラインでも可能なことを判別 •  グループ全員が「対話」 (熊谷・佐藤 2010)を通して 学び合える人間関係の構築 •  「価値観のすり合わせ」 (鎌田 2009) •  軌道修正の心構え 23
ー
ータ
リテ
学習者 カリキュラム 実施 協 働 対 話
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「計画・実施」:ファシリテーターとして学んだこと •  言語化・透明化の促進 記録→内省→軌道修正→再計画のサイクル (例:活動案の用紙提出・中間報告会) •  ファシリテーター間の連携 •  経費管理のシステム化 •  反省点:参加者同士のフィードバックの機会 記録の整理 24
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「計画・実施」:ファシリテーションの一例 教師発信型アーティキュレーション活動
参加者の会話は・・・
効果が大きく、負担の少ない活動は? 効果 大
文法は 、
けど
あってる う
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このエリアの案を
重点的に
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たんで
何をし 。 すか
実現 難
実現 易
効果 小
。この作文
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誰に書い
て
るんです
か
J-­‐GAP USA 第三期(2013-­‐14) : 持続可能なモデル構築へのプロセス分析 1)記録 ケーススタディー・インタビュー フォーカスグループ・インタビュー 2)パンフレット作成 3)発表・報告・分析 PFPJ・FLAVA・ACTFL・AATJ 実施者の意識はどのように変化したのか 自己紹介
でも 相手によ
ってやり
方
変わりま
すよね〜
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教師発信型アーティキュレーション活動
参加者の声
日野真由美先生
どうして ここでこの
練習するん
ですか。
Ocean Lakes High School ヴォーン京子 先生 Hayfield Secondary School 質的分析の手法の一例: フォーカスグループインタビュー (Krueger 2009) 1. Intro(10 min): アーティキュレーション活動と聞いて思い浮かべるのは? 2. TransiEon(15 min): アーティキュレーションを円滑にするというと、具体的に何が どうなるということだと思いますか。 3. Key QuesEon (25 min): お金があって、アーティキュレーション事業が自分の地域で 行われると仮定したら、どんな活動を望みますか。 (自分が取り組む取り組まないにかかわらず、理想で) 4. Ending(10 min): アーティキュレーションに関して皆さんに発言したいこと 28
「発表・報告」:ファシリテーターとして学んだこと
•  プロジェクトの効果を評価→再計画へ 実施者はどう変わったのか カリキュラムの質の向上と教師の成長=達成感 反省点:学習者へのインパクト •  所属校・他科目のプログラムへのレポート 一人ひとりが発信者に •  日本語教育界への貢献 (例:他地域でのワークショップの開催) 再試行すれば、失敗例は一つもない 30
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J-­‐GAP USA 第四期 (2013-­‐14) : 活動の継続と広がり
教師発信型アーティキュレーション活動
参加者の声
1) 地方教師会での発表・ワークショップ •  2014年8月 AFTJ (フロリダ) ⇒継続中 SEATJ及びAATJにて発表 •  2015年3月 SEATJ (南西部日本語教師会) •  2015年3月 DVTJ (ペンシルベニア・デラウェア) •  2015年4月 CATJ 中部日本語教師会 2) 現行のMD・VA地域のJ-­‐GAPをMAATJに引き継ぎ 3) 報告書共同執筆開始 魚立康夫先生 University of Florida AFTJ書記 (AssociaEon of Florida Teachers of Japanese) 北村愛子先生 College of William & Mary MAATJ共同会長 (Mid-­‐AtlanEc AssociaEon of Teachers of Japanese) 31
新しいアーティキュレーション活動の広がり
CATJ (Central AssociaKon of Teachers of Japanese) DVTJ (Delaware Valley Teachers of Japanese) MAATJ (Mid-­‐AtlanKc AssociaKon of Teachers of Japanese) SEATJ (The Southeast AssociaKon of Teachers of Japanese) AFTJ (AssociaKon of Florida Teachers of Japanese) 参考文献(抜粋)
鎌田修・嶋田和子(2012) 『対話とプロフィッシェンシー』凡人社 熊谷由理・佐藤慎司 (2010) 『アセスメントと日本語教育』くろしお 国際文化フォーラム(2012)『外国語学習のめやす』 蘇寿富美、大谷浩二、マーシャルともこ、佐藤友美、河合見恵子 (2014)(2012) 『日本語教育グローバルアーティキュレーションプロジェクト』パンフレット
蘇寿富美 (2012) 「ボトムアップアプローチ: 対話主義&現場主義」 日本語教育国際研究大会(名古屋)発表資料 ちょんせいこ他(2014) 『ファシリテーターになろう!』解放出版社 當作靖彦 (2012) 「グローバル社会を創る日本語教育」 世界日本語教育研究大会(名古屋)発表資料 森時彦(2008) 『ファシリテーターの道具箱』ダイヤモンド社 山内博之(2009) 『プロフィッシェンシーから見た日本語教育文法』 ひつじ書房 Lange, Dale L (1982). “The Problem of ArEculaEon.” In Theodore V. Higgs (ed.), Curriculum, Competence, and the Foreign Language Teacher. ACTFL Foreign Language EducaEon Series 13. NaEonal Textbook Co., pp.113-­‐37. Krueger, Richard, Marry Anne Casey (2009). Focus Groups: A PracEcal Guide for Applied Research. Sage PublicaEon 34
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