山陰海岸の身近な海の生きものガイドブック(PDF)

山陰 海 岸の
海 の 生きもの
な
近
身
ガイドブック
Ha n d
The
f Marine Lif e Living in S an’
in K aig
b o ok o
an C
oas
t
はじめに
さんいん かいがん
鳥取県立博物館付属『山陰海岸
がくしゅうかん
うらどめ
学習館』が位置する浦富海岸は、山
陰海岸国立公園および山陰海岸ジ
オパークの西側にあります。これら
の海岸地域は、日本海の形成を物語
きちょう
る貴重な地形・地質が残されている
だけではなく、さまざまな生きもの
山陰海岸学習館
はぐく
を育んでいる大切な場所です。
いそ
なぎさ
当館の野外観察会「磯の観察会」・「魚の赤ちゃん調べ」・「夜の渚で
かいそう
スナガニの観察」・「海藻観察に出かけよう!」等では、山陰海岸の身近
みりょく
な海の生きものをテーマに、その魅力をお伝えしてきました。それらが
こた
きっかけとなり、地域の子どもたちや学校等からの要望に応える形で、
しょうかい
このたび、山陰海岸の身近な海の生きものを紹介するガイドブックを作
ることができました。このガイドブックでは、博物館の学芸員らが地道に
けいさい
調査・研究してきた記録をもとに、可能な限り正確な情報を掲載してい
ます。身近な海辺で多くの生きものたちがたくましく生きていることを
きょうみ
いだ
知っていただき、さらに海の生きものに興味を抱くきっかけになればと
願っています。
2015年3月 鳥取県立博物館付属『山陰海岸学習館』一同
1
目次
観察してみよう!
うらどめ
たて
1.山陰海岸ジオパークと浦富海岸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
①魚の「縦じま」と「横じま」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
2.観察方法と注意点
③ダイナミックな闘争「オオカズナギ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
あわ
もよう
②淡いピンクにしま模様「キヌバリ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
とうそう
観察方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
④大人と子どもで色も模様もちがう魚たち・・・・・・・・・・・・・・・・・14
危険な生きもの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
⑤貝殻コレクター「ホンヤドカリ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
かいがら
⑥愛きょうのある「マダコ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
いそ
⑦知る人ぞ知る「ウミゾウメン」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
3.磯の生きもの
魚類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
こうかくるい
カニ・ヤドカリ・エビのなかま(甲殻類)・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
きょくひ
ウニ・ヒトデ・ナマコのなかま(棘皮動物)・・・・・・・・・・・・・・・ 19
なんたい
巻き貝(ウミウシのなかまを含む)・二枚貝・タコのなかま(軟体動物) 20
しほう
クラゲのなかま(刺胞動物)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
⑧身近な海の人気者「タツノオトシゴ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
⑨砂をまぶして大切な卵を守る「コウイカ」・・・・・・・・・・・・・・・・・38
⑩砂浜の魚と言えば「シロギス」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
⑪ウミヘビなのに魚?「ダイナンウミヘビ」・・・・・・・・・・・・・・・・・42
⑫夜の砂浜で「スナガニ」の観察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
かいそう
海藻・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
も ば
4.藻場の生きもの
海の森をつくる海藻たち・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
魚類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
ウニのなかま(棘皮動物)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
巻き貝(アメフラシのなかまを含む)・イカのなかま(軟体動物)36
コラム
①日本文化に深い関わりのある「ミル」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
いそ
②磯の鳥?「イソヒヨドリ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
③山陰海岸のカモメたち・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
ちぎょ
④稚魚のゆりかご「砂浜海岸」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
⑤形も色も美しい打ち上げ貝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
かいそう
5.砂浜の生きもの
⑥「海草」と「海藻」のちがいって何だろう?・・・・・・・・・・・・・・・・49
魚類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
カニ・ヤドカリのなかま(甲殻類)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
索引・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50
巻き貝・二枚貝・イカ・タコのなかま(軟体動物)・・・・・・・・・・ 46
海草・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
参考図書の紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
※このガイドブックでは、それぞれの場所でよく見かける生きものを中心に紹介しています。
2
3
うらどめ
1.山陰海岸ジオパークと浦富海岸
2.観察方法と注意点
山陰海岸ジオパークは、日本海形成を物語る地形・地質や、そこにくらす多
様な生物、人々の文化・歴史などについて体験・学習できる自然公園で、鳥取
身近な海辺で楽しく生きもの観察をするには、水中マスクやマリン
県・兵庫県・京都府にまたがる東西約120km、南北最大約30kmの地域を指
ブーツなどの装備(服装)をしっかり整えることがまず大事で、危険な
します。
生きものについての知識を持つことも大切です。
そうび
ふくそう
山陰海岸ジオパーク
岩美
暖流
対馬
香住
網野
豊岡
観察方法
しお
かんまんさ
日本海に面する山陰海岸は、潮の満ち引き(干満差)がゆるやかで、生きも
のの観察がしやすい「潮だまり(タイドプール)」が少ない地域です。このよ
鳥取
うな地域では、水中マスクとスノーケルを使うことで、楽しく海の生きもの観
察ができます。
120 km
観察時の服装と持ち物
てぶくろ
浦富海岸
大谷
碁石河原
鴨ヶ磯 城原海岸
陸上岬
大羽尾
熊井浜
手袋・長そで・長ズボン(レギンス)など、
はだ
さ
できるかぎり肌を見せない服装(岩場での切り傷を避ける)
東浜
小栗浜
牧谷海水浴場
水中マスク・スノーケル
小羽尾
山陰海岸ジオパークの西側に位置する浦富海岸は、鳥取県東部の岩美町大
ふくざつ
てあみ
かいしょく
谷から兵庫県境までの約15kmの海岸線で、複雑に入り組んだ海食地形と入
手網
え
つか
(柄が短い方が魚を捕まえやすい)
ライフジャケット
とくちょう
り江に点在する美しい砂浜(ポケットビーチ)が特徴です。とくに、初夏から
とうめいど
つしま だんりゅう
秋にかけては海中の透明度が高くなり、対馬暖流の影響によって南の暖かい
海からやってきた生きものも多く観察されます。このガイドブックでは、主に
しょうかい
浦富海岸での調査で観察・記録された生きものを紹介しています。
対馬暖流にのってやってきた魚たち
バケツ
(フタ付きだと便利)
マリンブーツまたは
汚れてもよい運動靴
※ビーチサンダルはダメ
(すぐに脱げてしまう、ケガをしやすい)
ハタタテダイ
4
ナガサキスズメダイ
イトヒキベラ
ソラスズメダイ
水中マスクやスノーケルをつけて泳がない場合は、
ねっちゅうしょうたいさく
帽子をかぶるなどの熱中症対策が必要。
冷たい飲み物も持参して、こまめに水分を取りましょう!
5
危険な生きもの
「水中マスク」と「スノーケル」をつけてみよう!
水中マスクのつけ方のポイント
まえがみ
・前髪が水中マスクと顔の間にはさまらない
ようにしよう(はさまると海水が入ってくる)。
・ストラップを調整して、水中マスクと顔がピッタリくっつくようにしよう。
海の中にはいろいろな危険な生きものもくらしています。危険な生き
ものを見つけた時には、むやみに近づかず、注意して観察しましょう!
スノーケルのくわえ方のポイント
・「あ」
「い」
「う」で口にくわえる部分(マウスピース)をくわえよう。
あ
口を大きくあける
い
アカクラゲ
アンドンクラゲ
ウミケムシ
う
つ
で
マウスピースの突き出た
部 分を軽くかむ( 強くか
むと切れるので注意)。
くちびるでマウスピ ース
の全体をおおう
しょくしゅ
どくばり
ごうもう
クラゲの足(触手)全体に毒針
海の浅い場所で、①水中マスクに海水が入ってこないか、②スノーケルを
体の毛(剛毛)に毒針
いき
通して息ができるかを確認してから、スノーケリングにチャレンジ!
ゴンズイ
ハオコゼ
オニオコゼ
観察シートをつくって、記録しよう!
ずかん
海の生きものの観察では、観察シートやポケット図鑑などを使い、見つけた
とくちょう
生きものを記録して名前などを調べてみよう。観察した生きものの特徴やそ
きおく
の時に気づいたことを書きとめることで、記憶に残り、さらに興味がわいて楽
しくなります。
(参考図書P52)
むな
観察シートの例
(印刷用P54)
アカエイ
観察した日: 年 月 日 天気:
観察場所:
名前
かいそう
(海藻・海草)
ウニ・ヒトデなど
(棘皮動物)
かい
(貝類)
ウミウシ・アメフラシ
(軟体動物)
カニ・ヤドカリなど
(甲殻類)
魚
(魚類)
さ
どく
背びれや胸びれなどのトゲに刺されると毒を注入されるので注意!
とくちょう
色や形、さわった感じなど
ヒョウモンダコ
もうどく
かまれると猛 毒のテトロド
トキシンを注 入され、非常
に危険
尾のトゲに毒
その他
6
7
3.磯の生きもの
ダイナンギンポ(タウエガジ科)
ベニツケギンポ(タウエガジ科)
Dictyosoma burgeri
いそ
Dictyosoma rubrimaculatum
磯とは「岩」でできている海岸のことで、
がんせき かいがん
「岩石海岸」とも呼ばれます。
磯の生きもの
磯の生きもの
岩石海岸には、波で削られたいろいろな
ふくざつ
形の岩があり、その複雑な地形を利用し
て様々な生きものがくらしています。
魚類
かく
メジナ(メジナ科)
マアジ(アジ科)
Trachurus japonicus
Girella punctata
むな
体は細長く、岩の下や海藻の根元に隠
ダイナンギンポより小型で、胸びれの上
れていることが多い。
にあるオレンジ色の短い帯が特徴。
とくちょう
ドロメ(ハゼ科)
Chaenogobius gulosus
いそ
しお
磯の潮だまりや浅場でよく観
察される。大きな口が特徴。
夏には大きな群れをつくり、浅い岩場で
よく観察される。
日本各地の磯で見られる代表的な魚。
山陰海岸でも通年観察される。
観察してみよう! ①
たて
スズメダイ(スズメダイ科)
Chromis notatus notatus
カサゴ(メバル科)
Sebastiscus marmoratus
魚の「縦じま」と「横じま」
いそば
夏の磯場で観察できる「イシダイ」と「カ
もよう
ゴカキダイ」。どちらもしま模様が特徴の魚
ですが、しましまの向きがちがいます。写真
のように、泳いでいる姿では、イシダ イが
イシダイ(イシダイ科)
Oplegnathus fasciatus
“縦じま”、カゴカキダイが“横じま”です。
しかし、人と同じように魚も頭を上に向けて
縦・横・右・左と名前がついているので、実
とくちょう
背びれのつけ根の白点が特徴。岩の表
面に産みつけられた卵をオスがふ化す
るまで守る。
8
はイシダイが「横じま」で、カゴカキダイが
岩の上でじっとしていることが多く、観
察しやすい魚。口が大きく、頭部に多く
「縦じま」となるのです。
カゴカキダイ(カゴカキダイ科)
Microcanthus strigatus
とっき
の突起がある。
9
アナハゼ(カジカ科)
アサヒアナハゼ(カジカ科)
Pseudoblennius percoides
観察してみよう! ②
Pseudoblennius cottoides
あわ
もよう
淡いピンクにしま模様「キヌバリ」
ほしょく
め
かざ
アナハゼと似るが 、眼 の上の 飾り( 皮
オスは交尾のための生殖突起をもつ。
弁)が特徴。アナハゼと同じ肉食性。
クジメ(アイナメ科)
アイナメ(アイナメ科)
せいしょく とっき
Hexagrammos agrammus
キヌバリ(ハゼ科)
Pterogobius elapoides
ひ
肉食性で小魚やエビなどを捕食する。
こうび
磯の生きもの
磯の生きもの
体長7cmほどのハゼのなかまで、春先の浅い岩
場で泳ぐ姿をよく見かけます。体の側面にある横
ふく
じまの数は、山陰海岸を含む日本海側では7本で
すが、太平洋側では6本と本数が異なります。幼魚
の時は群れで行動しますが、成魚になると単独で
なわば
縄張りをもつようになります。
べん
チャガラ(ハゼ科)
オハグロベラ(ベラ科)
Pterogobius zonoleucus
Pteragogus aurigarius
Hexagrammos otakii
おうかっしょく
たんかっしょく
ちゃかっしょく
岩のすき間などでじっとしていることが多
体の色は淡褐色∼茶褐色だが生息場所
く、観察しやすい。よく似たアイナメ(右)
によって変化する。繁殖期のオスは体の
とは、尾びれの形などで見分けられる。
色が黄色っぽくなる。
もよう
体の側面にある黄 褐 色のしま模 様が 特
体の高さはやや高く、成長にともなって
徴。夏の浅場で幼魚の群れが観察される。
体の色も変化する。
ホシササノハベラ(ベラ科)
ホンベラ(ベラ科)
体の色は赤っぽく、成魚では背中側の
春先から冬にかけてよく観察される。成長
白い斑点が目立つ。
にともなって性転換し、体の色も変化する。
はんしょくき
Pseudolabrus sieboldi
Halichoeres tenuispinis
ヘビギンポ(ヘビギンポ科)
Enneapterygius etheostomus
磯の潮だまりや浅場に多く生息する。繁
殖期になるとオスは体の色を変化させ、
メスに求愛する。
繁殖期のオス
10
はんてん
せいてんかん
11
ナベカ(イソギンポ科)
Omobranchus elegans
コケギンポ(コケギンポ科)
イソギンポ(イソギンポ科)
ヒメギンポ(ヘビギンポ科)
Neoclinus bryope
Parablennius yatabei
Springerichthys bapturus
磯の生きもの
磯の生きもの
とくちょう
ぶんし
ひときわ美しい黄色い体が特徴で、小さ
浅い岩場に生息する。頭部には分枝し
い岩穴や細長い貝殻を巣穴にする。
た皮弁が2つある。
ホシギンポ(イソギンポ科)
ニジギンポ(イソギンポ科)
かいがら
Entomacrodus stellifer stellifer
ひべん
浅い岩場や岩穴でよく観察される。頭
かざ
ひべん
部にあるコケのような 飾り( 皮 弁 )が
Petroscirtes breviceps
とくちょう
Pterois lunulata
いそば
体の側面の黒いラインが 特徴。岩穴や
体の側面に細かい白い斑点が広がる。
空き缶から顔を出す姿が愛らしい。
はんてん
観察してみよう! ③
はんてん
にあるオレンジ色の斑点が特徴。
むな
キヌカジカ(カジカ科)
Furcina osimae
大きな胸び れを広げてゆっくりと泳ぐ
前側の背びれの一部が欠けたようにへこ
のが 特徴。背びれや胸びれなどのトゲ
む。眼の上と後頭部に飾り(皮弁)がある。
さ
め
に刺されると危険。
とうそう
ダイナミックな闘争「オオカズナギ」
体長は10cmほどの細長い魚ですが、大きく
たが
口を開け、互いに口を押しあてて力比べをする
ような形で激しく争います。この行動がよく観
はんしょく
察されるのは6月から7月上旬で、彼らが繁殖
さんらん
を始める時期と重なるので、よりよい産卵場所
や繁殖相手をめぐる闘争なのかもしれません。
いそば
潮通しのよい磯場に生息する。体の側面
特徴。
ミノカサゴ(フサカサゴ科)
波あたりの強い浅い磯 場に生息する。
しおどお
キジハタ(ハタ科)
Epinephelus akaara
オオカズナギ(タウエガジ科)
体全体にオレンジ色の斑点と背びれ中央の
下 側に黒 色の斑 点が ある。山陰 地 方では
「あこう」と呼ばれ、高級魚。
Zoarchias major
(朝日新聞「生きもの通信 山陰海岸から(2014年7月8日掲載)」を参照)
12
13
観察してみよう! ④
ソラスズメダイ(スズメダイ科)
オヤビッチャ(スズメダイ科)
Pomacentrus coelestis
Abudefduf vaigiensis
もよう
大人と子どもで色も模様もちがう魚たち
「キンチャクダイ」・「コブダイ」・「ハコフグ」
せいぞんきょうそう
(成魚)
磯の生きもの
磯の生きもの
はげ
多くの魚たちは、海の中での激しい生存競争を生き抜くために、さまざ
ようぎょ
せいぎょ
まな工夫をしています。ここでは、成魚(大人)と幼魚(子ども)で、体の
色や模様が大きくちがっている魚を紹介します。
あざ
たて
キンチャクダイの成魚では、黄色い体に鮮やかな青い縦じまが入って
いますが、幼魚のときは黒い体に黄色いラインが目立ちます。
とくちょう
コブダイの成魚では、ピンク色がかった体と頭部の巨大なコブが特徴
め
ですが、幼魚のときは鮮やかなオレンジ色の体に眼から尾にかけて白い
ラインがあります。
ハコフグの成魚では、黄色っぽい体とカメの甲らのような模様が特徴
はんてん
ですが、幼魚のときは鮮やかな黄色い体に黒色の斑点があります。
あざ
鮮やかなコバルトブルーの体に黄色い尾び
黄色っぽい体に黒い横じまが特 徴で、
初夏
れが特徴で、
山陰海岸では、
海 水温が暖か
から秋にかけてよく観察される。
とくちょう
くなる7月から10月にかけてよく観察される。
イトフエフキ(フエフキダイ科)
イサキ(イサキ科)
Lethrinus genivittatus
Parapristipoma trilineatum
(幼魚)
キンチャクダイ
(キンチャクダイ科)
Chaetodontoplus
septentrionalis
たて
体はやや細長く、体に数本の黄色い縦
体の側面の黒っぽいラインが特徴。初夏
のラインがある。夏 以降に幼魚が 観察
から秋にかけて、幼魚の群れが浅場で観
される。
察される。
クロダイ(タイ科)
ドチザメ(ドチザメ科)
体は銀白色または暗い灰色で、大型の
個体が浅場にも出現する。
「チヌ」と呼
ばれる。
体の側面にある帯状のしま模様と黒い
はんてん
斑点が特徴。浅い磯場で、岩かげなどに
かく
隠れている幼魚が見つかる。
ようぎょ
コブダイ(ベラ科)
Semicossyphus
reticulatus
Acanthopagrus schlegelii
Triakis scyllium
ハコフグ
(ハコフグ科)
Ostracion
immaculatum
14
もよう
15
こう かく るい
カニ・ヤドカリ・エビのなかま(甲殻類)
イシガニ(ワタリガニ科)
Charybdis japonica
イワガニ(イワガニ科)
Pachygrapsus crassipes
こうふく
磯の生きもの
磯の生きもの
甲幅は成体で10cmほどになる。一
ゆうえいきゃく
番 後ろの脚は泳ぐための遊泳 脚。
きしょう
あら
気性が荒く、強力なはさみではさま
れるととても痛い。
いそば
山陰海岸の磯 場で最もよく観察さ
カクベンケイガニ(ベンケイガニ科)
アカテガニ(ベンケイガニ科)
甲らは角張った四角形で、甲幅は3cm前
甲幅は3cm前後。オスのはさみ脚の紅
後。海岸の転石の下にかくれていること
赤 色が 特徴で、河口から陸 域まで生息
が多い。
範囲が広い。
Parasesarma pictum
こうふく
Chiromantes haematocheir
れる。甲らの幅(甲幅)は3cmほど
で、背側には多数の横しわがある。
イワガニ
ヒライソガニ(モクズガニ科)
Gaetice depressus
てんせき
とくちょう
かこう
せいそく
はんい
クロベンケイガニ(ベンケイガニ科)
Chiromantes dehaani
ヒライソガニ
甲幅は2∼3cmほどで、平たい甲ら
とくちょう
が特徴。
イソガニ(モクズガニ科)
Hemigrapsus sanguineus
あし
はんてん
甲幅は2∼3cmほどで、はさみ脚の黒い斑点
ほきゃく
もよう
と歩脚のしま模様が特徴。
甲幅は4cm前後。オスのはさみ脚は強
むらさきいろ
大で紫色っぽく、表面には小さなツブツ
ブがたくさんある。アカテガニと同じよ
うに、生息範囲が陸域におよぶ。
16
クロベンケイガニ
17
イソスジエビ(テナガエビ科)
カメノテ(ミョウガガイ科)
Palaemon pacificus
ケアシホンヤドカリ(ホンヤドカリ科)
Capitulum mitella
Pagurus lanuginosus
しょっかく
とくちょう
ほきゃく
赤い触角が特徴で、暗緑色の歩脚には多く
はんてん
しお
磯の生きもの
磯の生きもの
の黒い斑点と長い毛がある。浅場の潮だま
りなどでよく観察される。
観察してみよう! ⑤
かいがら
貝殻コレクター「ホンヤドカリ」
もよう
ホンヤドカリのなかまの共通点は、右のはさみ脚が大きいことです。そ
いそば
の中でも、ホンヤドカリは浅い磯場や潮だまりで多く観察できる最も身近
もよう
なヤドカリで、しましま模様の触角と白いソックスをはいたような歩脚が特
徴です。ヤドカリ(“宿借り”)は、その名の通り、巻き貝の貝殻を宿として
使います。硬い貝殻の中に入ることで、やわらか
なか
いお腹を外敵から守っています。宿として使われ
る貝殻の種類は実にさまざまで、山陰海岸のホ
ンヤドカリでは30種類以上の貝殻が使われてい
ます。貝殻の好みはヤドカリのオス・メスや地域 ホンヤドカリ(ホンヤドカリ科)
Pagurus filholi
によってもちがうようです。
あし
体の側面の黒いしま模様と、はさみ脚や
ほきゃく
はんてん
とくちょう
かいそう
つめ
とうじょうぶ
え
爪のような頭状部とうろこのような柄
ぶ
かめ
こうかくるい
しお
歩脚の黄色い斑点が特徴。海藻の中や
部が「亀の手」に見える甲殻類。潮のか
浅い磯場の岩の上でよく観察される。
ぶる岩の裂け目などに群生する。
いそば
さ
ぐんせい
きょくひ
ウニ・ヒトデ・ナマコのなかま(棘皮動物)
バフンウニ(オオバフンウニ科)
Hemicentrotus pulcherrimus
大きさは4cm以下で小さく、トゲは短い。磯
てんせき
場で転石をひっくり返すと出合えることが
多い。
(日本海新聞「何でも発見 たのしい観察13(2011年9月8日掲載)」を参照)
ヤマトホンヤドカリ(ホンヤドカリ科)
Pagurus japonicus
ケブカヒメヨコバサミ(ヤドカリ科)
Paguristes ortmanni
イトマキヒトデ(イトマキヒトデ科)
Patiria pectinifera
イトマキヒトデの多型
もよう
触角と歩脚は赤と白のしま模様で、歩脚
左右のはさみ脚の大きさがほぼ同じで、
身 近 な 磯 場 で 最 もよく観 察 され るヒト
には短い毛が密生する。ケアシホンヤド
歩脚などには多くの長い剛毛をもつ。浅
デ。ふつう5本の腕をもつ星形をしている
カリやホンヤドカリよりも大型になり、サ
い岩場で一年を通してよく観察される。
が、4本腕のざぶとん型や6本腕のものに
みっせい
ザエの空き殻に入っていることが多い。
18
あし
ごうもう
うで
出合えることもある。
19
ヤツデヒトデ(マヒトデ科)
マヒトデ(マヒトデ科)
シロウミウシ(イロウミウシ科)
名前のとおり、8本の腕をもつことが多
腕の表面には小さなトゲトゲがある。イ
体長3cmほどで、白い体に黒色の斑点
体長5cmほどで、白い体に橙赤色の細
い。腕がちぎれやすいが、高い再生能力
トマキヒトデより少し深い場所にも生息
が目立つ。触角・鰓・体の縁が黄色い。
い網目模様が特徴。触角・鰓は赤紫色。
をもつ。
する。
ヒメメリベ(メリベウミウシ科)
ハナデンシャ(フジタウミウシ科)
Coscinasterias acutispina
Asterias amurensis
サラサウミウシ(イロウミウシ科)
Chromodoris tinctoria
Chromodoris orientalis
磯の生きもの
磯の生きもの
はんてん
うで
さいせい のうりょく
せいそく
Oxycomanthus japonicus
ふち
Melibe papillosa
マナマコ(シカクナマコ科)
ニッポンウミシダ(クシウミシダ科)
しょっかく えら
とうせきしょく
あみめ もよう
とくちょう
えら
あかむらさきいろ
Kalinga ornata
Apostrichopus japonicus
かっしょく
かいそう
かいはくしょく
おうはくしょく
体長10cmほどで、褐色や灰白色の斑点
体長15cmほどで、黄白色の体に、赤色
がある。大きな口をもち、体をくねらせて
や白色の突起が特徴。刺激を与えると、
とっき
しげき
海藻のように見えるが、
ウニやヒトデのなかま。
丸みを帯びた細長い体に、
円すい形のいぼが
たくさんの腕をもち、
オレンジや黄色など色
ある。市場では体の色によって、
アカナマコ・ア
泳ぐ。
体から光を発する。
彩に富む。
オナマコ・クロナマコの3種類に分けられる。
クロシタナシウミウシ(クロシタナシウミウシ科)
ミヤコウミウシ(クロシタナシウミウシ科)
しき
さい
と
しじょう
なんたい
巻き貝(ウミウシのなかまを含む)・二枚貝・タコのなかま(軟体動物)
Dendrodoris arborescens
Dendrodoris denisoni
アオウミウシ(イロウミウシ科)
Hypselodoris festiva
体長3cmほどで、青い体に黄色のラインや
はんてん
しょっかく
えら
斑点が目立つ。触角や鰓はオレンジ色。
おうかっしょく
体長4cmほどで、体の周りは黄褐色で
波打つ。
20
体長5cmほどで、
大小さまざまな丸いイボ
イボが特徴。
体表の青い斑点が美しい。
21
ムラサキイガイ(イガイ科)
イシダタミ(ニシキウズガイ科)
Mytilus galloprovincialis
Monodonta labio
かいがら
磯の生きもの
磯の生きもの
貝殻の大きさは5cmほどで、岩のすき間な
かいがら
貝殻の大きさは2cmほどで、名前の通
がいらいしゅ
どに集団でへばりつく。外来種。
いしだたみじょう てんせきたい
り、殻の表面が石畳状。転石帯に多く、
ぎわ
波打ち際では岩の上に出ていることが
多い。
ケガキ(イタボガキ科)
Saccostrea kegaki
アラレタマキビ(タマキビ科)
Echinolittorina radiata
ベッコウガサ(ヨメガカサガイ科)
Cellana grata
いそば
ひ
なみう
貝殻の大きさは5cmほどで、波 打ち際
上がった岩のすきまなどに密集する。
の岩 場に張りつく。殻の表面には多数
みっしゅう
Cellana toreuma
ぎわ
貝殻は最大でも1cmほどで、磯 場の干
あ
ヨメガカサ(ヨメガカサガイ科)
は
つつじょう
とっき
の筒状の突起がある。
クボガイ(ニシキウズガイ科)
Chlorostoma lischkei
オオコシダカガンガラ(ニシキウズガイ科)
Omphalius pfeifferi carpenteri
かさ
傘のような円すい形の貝殻で、浅い
貝殻はベッコウガサよりも平たく、低い。波
岩場に張りつく。
あたりの強い岩場で観察される。
は
ヒザラガイ(クサズリガイ科)
Acanthopleura japonica
貝殻の大きさは5cmほどで、岩に強く張
にくたい
りつく。殻の周りの肉帯には白いトゲが
みっしゅう
貝殻の大きさは3cmほどで、背の低い円すい
貝殻の大きさは4cmほどで、背の高い円すい
形。浅い岩場の岩かげに隠れて生息し、殻の
形。クボガイと同じように、殻の表面に海藻
表面に海藻が付着していることが多い。
が多く付着する。
かく
かいそう
22
せいそく
密集する。
23
しほう
観察してみよう! ⑥
クラゲのなかま(刺胞動物)
愛きょうのある「マダコ」
カミクラゲ(キタカミクラゲ科)
ミズクラゲ(ミズクラゲ科)
いそ
Spirocodon saltator
磯の生きもの
磯の生きもの
磯の観察会などで出合える人気者と言えば、マダコです。浅い岩場の岩
かげや岩穴によくかくれています。タコのなかまはとても頭がよく、高度な
かんきょう
ぎたい
神経も発達しているので、体の色を周りの環境に合わせて擬態(カモフラー
いっしゅん
ジュ)するのも得意です。人が近くを泳いで通ると、一瞬だけビクッと動く
こうきしん
ので、岩場をよく観察していれば見つけることができます。また、好奇心が
すいそう
おう盛で、愛きょうもあり、山陰海岸学習館で水槽展示されているマダコ
うで
かんげい
は、お客さんが来ると、腕を伸ばして歓迎のあいさつをする時もあります。
てんじょうめん
ふさ
らんかい
春先から初夏の海中では、岩穴の天井面にブドウの房のような卵塊を産
みつけて、大事に守り育てているマダコのメス(お母さん)に出合えます。卵
がふ化した後、メス親は約1年の短い一生を終えます。
Aurelia aurita
えんばんじょう
かさ
乳白色で円盤状の傘をもち、その直径は
傘の高さは8cmほどで、主に春先に出
最大で30cmに達する。山陰海岸では、春
合うことができる。多くの触手をもち、
先から初夏に大量発生することがある。
それらのつけ根に赤い眼点がある。
タコクラゲ(タコクラゲ科)
エチゼンクラゲ(ビゼンクラゲ科)
しょくしゅ
がんてん
Mastigias papua
マダコ(マダコ科)
Octopus vulgaris
Nemopilema nomurai
らんほご
卵保護のようす
傘の直径は最大で20cmほど。夏から秋にか
傘の直径が1mを超える大型のクラゲ。2009
けて観察される(観察されない年も多い)。
年頃までは多く観察されたが、最近ではあま
やや褐色の傘に多くの白い斑点がある。
り観察されていない。
かっしょく
はんてん
ハナガサクラゲ(ハナガサクラゲ科)
Olindias formosa
傘の直径は最大で15cmほど。春から夏にか
けて観察される。触手はとてもカラフルで、
さ
浦富海岸の海中にて…
24
刺されるととても痛い。
25
かいそう
コラム① 日本文化に深い関わりのある「ミル」
海藻
こうそう
りょくそう
かっそう
海藻は、赤色(紅藻 ●)・茶色(褐藻 ●)・緑色(緑藻 ●)の3つのなかまに
分けることができます。
夏は海藻が最も少ない季節
磯の生きもの
アナアオサ(アオサ科)
アオノリのなかま(アオサ科)
Ulva sp.
Ulva pertusa
です。そんな夏の海でよく見
かけることのできる海藻のひ
とつは「ミル」です。体は太い
円柱状をしており、規則的に
ふたまた
二叉に枝分かれすることで、
おうぎじょう
扇状に広がります。また、フェ
ルトのような手ざわりも大き
岩に生えるミル
とくちょう
な特徴のひとつです。
いっぱんてき
一般的にはあまりなじみのないミルですが、実は日本文化に深く関係して
一般に「アオサ」というとこの種類を指
いる海藻なのです。日本人は古くからミルに「海松」という漢字を当て、海
すことが多い。手ざわりはややかたい。
よ
はんも
春の海で繁茂する。
タマジュズモ(シオグサ科) Chaetomorpha moniligera
はんも
春から夏にかけて繁茂する。このな
かまは、食用となるものが多い。
松(ミル)を題材とした歌を詠んできました。現存する最古の和歌集である
まんようしゅう
うた
万葉集にも、ミルを詠ったものがあります。さらに、ミルの形をモチーフとし
もんよう
いしょう
た伝統的な紋様である「海松文(みるもん)」は、平安時代の貴族の衣装など
にも使われてきました。また、ミルは平安時
けんびきょう
顕微鏡で観察したようす
ちょうてい
いせ
じんぐう
代から食用とされており、朝廷や伊勢神宮な
けんのう
どに献納されていました。現在では、さっと
す
み そ
湯がいたミルを酢味噌で食べるのが一般的
なようですが、山陰海岸では食べる習慣がな
5mm
浅い岩場でまとまって生育する。一見ただ
のひものように見えるが、よく観察すると
じゅず
ツブツブが数珠状に連なっている。
いようです。
ミル(ミル科)
Codium fragile
りょくそう
ミルは緑色の海藻(緑藻)のなかまです
が、シホナキサンチンという赤色系の色素を持つため、これが合わさること
で他の緑藻よりもやや黒みがかった独特な深緑色をしています。古代の人
みるいろ
はこの色を「海松色」とし、他の緑色と区別していました。海松色は、現在も
使われている日本の伝統色のひとつです。
ウミウチワ(アミジグサ科) Padina arborescens
浅い岩場に繁茂する。名前の通り、うちわの
おうぎじょう
ような扇状の形をしている。ややかたい。
26
夏の海でミルを見かけた時には手に取り、日本人との深い関わりをぜひ
感じてみてください。
(朝日新聞「生きもの通信 山陰海岸から(2014年8月30日掲載)」を一部改変)
27
マクサ(テングサ科) カゴメノリ(カヤモノリ科) Gelidium elegans
ムカデノリ(ムカデノリ科) Grateloupia asiatica
Hydroclathrus clathratus
モズク(モズク科) Nemacystus decipiens
磯の生きもの
磯の生きもの
うじょう
はんも
まくじょう
体は細く、羽状に枝分かれをする。夏に
春の浅い岩場に繁茂する。体は膜状で
は白くなったマクサが 海 岸によく打ち
大小さまざまな穴がたくさんある。デコ
上がる。寒 天やところてんの原 料とな
ボコした丸い袋状。
かんてん
ふくろじょう
る「テングサ」の代表種。
ヒジキ(ホンダワラ科) Sargassum fusiforme
浅い岩場に生育する。
食べる時にヒジキは黒
色をしているが、生き
ている姿は明るい茶色
をしている。
はんも
冬から春にかけて、浅い岩場に繁茂す
る。細長い葉からたくさんの枝が出てい
るので、名前の通り、ムカデのよう。海
藻サラダに重宝される。
フサイワズタ(イワズタ科) Caulerpa okamurae
も
藻にくっつく、これが名前の由来。体は
枝分かれが多く、ヌルヌルしている。春
先に多い。
クロモ(ナガマツモ科) Papenfussiella kuromo
観察してみよう! ⑦
知る人ぞ知る「ウミゾウメン」
かいそう
初夏の浅い海で岩に垂れ下がる海藻、ウ
ミゾウメン。円柱状でやわらかく、ヌルヌル
していて、引っぱるとゴムのように伸びま
ウミゾウメン(ウミゾウメン科)
いなば
Nemalion vermiculare
す。古くから食用とされ、江戸時代には因幡
しじょう
(現在の鳥取県東部)を代表する名産品でした。今では市場にほとんど出
す
ゆ
ず
回っていませんが、生や湯通ししたものに酢じょう油やポン酢をかけて食
おい
べると美味しいことは、地元でよく知られています。
まちが
同じくウミゾウメンと呼ばれるものに、アメフラシの卵があります。間違
こわ
えて食べるとおなかを壊すことがあるので、注意が必要です。
(日本海新聞「何でも発見 たのしい観察108(2013年7月21日掲載)」を参照)
28
ふさじょう
小さなツブツブが 房状に連なる。岩を
春先に繁茂する。全体に細かい毛があり、
匍うように生育する。沖縄の「 海ぶど
手ざわりはヌルヌルしている。日本海側で
う」に近いなかま。
は「坊主ごろし」と呼ばれ、食用になる。
は
おきなわ
ぼうず
ヒラワツナギソウ(ワツナギソウ科) Champia bifida
むらさき
夏の浅い海の中で、青、緑、紫などカラフル
な色合いを見せてくれる海藻。よく観察す
りんじょう
もよう
ると、葉の表面に輪状の模様がある。水か
ら上げるとカラフルな色合いは一転し、うす
い赤色になる。
29
セイヨウハバノリ(カヤモノリ科) ベニモズク(コナハダ科) Petalonia fascia
Helminthocladia australis
いそ
コラム② 磯の鳥?「イソヒヨドリ」
海 辺を歩いていると、
「ヒーチョー
オス
磯の生きもの
す
ピュルル…」という、ひときわ澄んで大
ひび
わた
きな声が響き渡ることがあります。この
ぬし
きれいな声の主は、イソヒヨドリです。
はし
声が聞こえたら、高い建物の端っこ、ま
つ
はんも
冬から春にかけて繁茂する。根元から
夏の浅い岩場に生育。ヌルヌルとしてや
笹状の葉が数本伸びる。山陰地方では
わらかい。
ささじょう
もんば
たは宙に突き出した岩や木の枝先を探
してみてください。ちょこんとした鳥の
シルエットが見つかるかもしれません。
「藻葉」と呼ばれ、食用になる。
大きさはスズメより大きく、ハトより
ツノマタ(スギノリ科) フクリンアミジ(アミジグサ科) Chondrus ocellatus
Ruglopteryx okamurae
も小さいくらいです。オスは青色と赤色
イソヒヨドリ(ツグミ科)
も
Monticola solitarius
のきれいな羽色で、メスの羽はまだら模
よう
こっかっしょく
様のある黒褐色をしています。
名前からするとイソヒヨドリはヒヨドリのなかまのようですが、そうでは
なくツグミのなかまです。ツグミのなかまの多くはオスの声がきれいで、さ
メス
えずるのが上手です。イソヒヨドリは、オス
だけでなくメスもしばしばさえずりに似た声
はんしょくき
で鳴きます。春先から初夏にかけての繁殖期
にはつがいでなわばりを持ち、海岸の岩の割
おうぎじょう
体は二又に枝分かれし、扇状になる。色
りょくかっしょく
いわだな
は緑褐色から黄褐色。
こうそう
かれくさ
などで巣をつくります。
紅藻だが、暗紅色、黄緑色、黄色など色
へんい
すきま
れ目や岩棚、または民家やビルの隙間に枯草
おうかっしょく
ふたまた
イソヒヨドリは名前に「イソ=磯」と付くよ
の変異が多い。体は厚みがあり、二又に
うに、以前はおもに海辺に生息しており、他の場所での観察記録はまれでし
数回枝分かれする。
はな
かくにん
た。しかし、20年ほど前から海からやや離れた市街地でも繁殖が確認され
るようになりました。今では、内陸の町中でも普通に見られる鳥として定着
ユナ(フジマツモ科) しています。
Chondria crassicaulis
どくとく
冬から春にかけて浅い岩場に生育する。独特
もし澄んだ鳥の声が聞こえたら、ぜひ声の主を探してみてください。海辺
の香りがある。山陰地方では「ソゾ」と呼ば
で見かけるイソヒヨドリは、ふだんから皆さんの身近にいる鳥なのです。
れ、食用になる。
30
(朝日新聞「生きもの通信 山陰海岸から(2014年5月20日掲載)」を一部改変)
31
4.藻場の生きもの
もば
かいそう
イソモク(ホンダワラ科)
Sargassum hemiphyllum
ナラサモ(ホンダワラ科)
ヨレモク(ホンダワラ科)
Sargassum nigrifolium
Sargassum siliquastrum
浅い磯 場で広大な藻 場
波あたりの強い浅い岩場
細身のギザギザした葉が
をつくる。岩を匍うよう
に生育する。丸い葉っぱ
特徴。浦富海岸で最もよく
な根(付 着 器)となぎな
が特徴。
見かける藻場の構成種。
藻場は、大型の海藻(海草)でつくられる
「海の森」を指します。藻場は多様な生き
ものを守り育てる場所として大切な役割
を果たしています。
「藻場」は「海のゆりかご」
山陰海岸の藻場のようす
は
海の森をつくる海藻たち
かっそう
そうしょう
ホンダワラ類 ホンダワラ類は、茶色の海藻(褐藻)、ホンダワラ科の総称
くき
ふちゃくき
しゅし
きほう
とくちょう
こうせいしゅ
た状の葉が特徴。
藻 場の生きもの
藻 場の生きもの
で、根(付着器)・茎・主枝・葉・気胞をもち、見た目が陸上植物に似ています。
ふちゃくき
とくちょう
最も大きな特徴は気胞を持つことで、気胞は効率よく太陽の光を浴びようと
海の中で直立するために不可欠なものです。ホンダワラ類で構成される藻場
は「ガラモ場」と呼ばれ、山陰海岸には豊かなガラモ場が広がっています。
アカモク(ホンダワラ科)
Sargassum horneri
ヤツマタモク(ホンダワラ科)
Sargassum patens
その他の森をつくる海藻・海草
クロメ(Lessoniaceae(科))
ワカメ(チガイソ科)
Ecklonia kurome
Undaria pinnatifida
コンブのなかま。葉にシワがある。アワ
ビやサザエのエサとなる。
春先に最も大きくなり、
「めかぶ(根元
ウミトラノオ(ホンダワラ科)
Sargassum thunbergii
せいしょくきかん
にできる生殖器官)」が発達する。
エビアマモ(アマモ科)
かがや
海中で黄金色に輝く。細
長い気胞が特徴。人気の
食用海藻。
32
Phyllospadix japonicus
大きな気胞と平たい主枝
をもつ。春先はモズクが
よくつく。
浅い磯場に生育。体が小
さい時は 、トラのしっぽ
のような形をしている。
さでいいき
海草のなかま。多くの海草は砂泥域に生育す
るが、この種類は浅い岩場に生育する(P49
参照)。
33
魚類
カワハギ(カワハギ科)
ヨウジウオ(ヨウジウオ科)
メバル属のなかま(メバル科)
Sebastes spp.
め
アミメハギ(カワハギ科)
Stephanolepis cirrhifer
Rudarius ercodes
Syngnathus schlegeli
とくちょう
クリクリとした大きな眼が特徴。春から
体が細長く、眼から口の部分も長い。尾
夏にかけて、稚魚の群れが観察される。
「アカメバル」・「クロメバル」・「シロメ
バル」の3種類が存在するが、山陰海岸
びれは比較的大きい。細い体は海藻の
ちぎょ
ひかくてき
かいそう
よう
初夏から秋にかけて、体長5cmほどの幼
カワハギよりも小さく、成魚でも5cmほ
魚が観察される。色彩に変異が多い。
ど。体の網目模 様が 特徴。夜には海藻
しきさい
ぎょ
へんい
枝とよく似ていて見つけるのが難しい。
あみめもよう
とくちょう
かいそう
ねむ
をくわえて眠る。
くわ
では詳しい調査が行われていない。
Lethotremus awae
観察してみよう! ⑧
体長3cmほどの小さな魚で、冬から春先に
身近な海の人気者「タツノオトシゴ」
きゅうばんじょう
タツノオトシゴはとてもユニークな姿をしていますが、マアジやマグロと同じ
魚類です。体長は10cm前後で、海藻などに長い尾を巻きつけてじっとしている
ことが多く、体の色も周りの岩や海藻の色に似せているため、簡単には見つけ
られません。水中マスクを通して、岩の上や海藻の根元などをじっくりと観察
することが発見のポイントです。タツノオトシゴはオスが子ども(赤ちゃん)を
はんしょくき
“出産”する魚としても知られています。春先から初夏にかけての繁殖期には、
なか
いくじのう
メスがオスのお腹にあるポケット(育児嚢)の中に卵を産み落とし、オスがその
ポケットの中で卵を育てます。外敵に見つからないように真夜中の海中で、オ
ふ
スは卵からふ化した子どもたちを次々と放出します。オスが体全体の力を振り
しぼって“出産”する姿はとても感動的です。
タツノオトシゴ(ヨウジウオ科)
Hippocampus coronatus
のみ浅い岩場で観察される。吸盤状に変化
はら
は
した腹びれで、海藻や岩に張りついて生活
する。
アイゴ(アイゴ科)
Siganus fuscescens
夏から秋にかけて幼魚が群れで海藻を食
べるようすが観察される。近年、アイゴに
もば
オスの出産のようす
すいたい
よる食害が藻場の衰退に大きな影響を及
ぼしている。
34
藻 場の生きもの
藻 場の生きもの
ダンゴウオ(ダンゴウオ科)
アイゴが海藻を食べるようす
35
ウニのなかま(棘皮動物)
アカウニ(オオバフンウニ科)
ムラサキウニ(ナガウニ科)
Heliocidaris crassispina
ミドリアメフラシ(アメフラシ科)
Pseudocentrotus depressus
Aplysia oculifera
巨大化するアメフラシより、やや小型。うす
あんかっしょく
ふちど
い黄緑色から暗褐色の体に黒く縁取られた
白点が散在する。
いそば
山陰海岸の磯場で一年を通してよく観
ムラサキウニと比べてトゲが短く、全体
察される。こぶし大のものが多い。海藻
が赤褐色。他のウニ類と同じで、海藻を
を食べる。
食べる。
かいそう
せきかっしょく
クロヘリアメフラシ(アメフラシ科)
Aplysia parvula
藻 場の生きもの
藻 場の生きもの
そくそく
体長5cmほどの小型種。背中の側足のへり
ふちど
が黒く縁取られる。
なんたい
巻き貝(アメフラシのなかまを含む)・イカのなかま(軟体動物)
アメフラシ(アメフラシ科)
Aplysia kurodai
クロアワビ(ミミガイ科)
サザエ(サザエ科)
Turbo cornutus
こっかっしょく
はんてん
Haliotis discus discus
アメフラシの卵塊
黒褐色の体に白い斑点があり、つつい
しげき
むらさきいろ
て刺激すると紫色の液体を出す。春先
らんかい
にカラフルな糸状の卵塊を海藻に産み
つける。
かいがら
貝殻の大きさはこぶし大ほどで、浅い岩
貝殻は平たい長円形。夜行性で昼間は岩
場の海藻の茂る場所に生息する。
かげに隠れている。主にコンブのなかま
かいそう
しげ
せいそく
かく
をよく食べる。
36
37
コラム③ 山陰海岸のカモメたち
アオリイカ(ヤリイカ科)
Sepioteuthis lessoniana
ぎわ
ぼうは
カモメのなかまは波打ち際や防波
てい
堤の上などでよく見かける、身近な
やちょう
野鳥です。海岸や港に行くと、まだ茶
わかどり
色の羽が残る若鳥も含めた数十羽の
群れに出合えます。この群れは1つの
種類で成り立っているように見えま
どうたい
すが、よく見ると何種か混ざっている
産卵のようす
どうちょう
胴体部分の長さ(胴長)が40cmほどになる
ウミネコ(手前)・セグロカモメ(奥)
ことが多いのです。夏の山陰海岸では、おもにオオセグロカモメとウミネコ
もば
大型のイカ。春先から初夏にかけて藻場に
藻 場の生きもの
卵を産みつける。夏から秋にかけては胴長
の2種を見ることができ、冬になるとさらにセグロカモメが加わります。
10cm前後の若イカの群れが観察される。
これらのうち、ウミネコは他の2種よりもずっと小さいため、並んでいると
きはすぐに区別がつきます。また1羽でいるときでも、足の色で見分けること
観察してみよう! ⑨
ができます。ウミネコの足の色は黄色で、セグロカモメのなかまはピンク色で
ぬ
せいちょう
砂をまぶして大切な卵を守る「コウイカ」
はんしょく
す。ほかにも、成鳥のくちばしの先はウミネコだと上下とも口紅を塗ったよう
胴の中にかたい甲らをもつコウイカは、春先から初夏にかけて、繁殖の
に赤く、セグロカモメのなかまだと下側だけが赤いという違いがあります。こ
ために浅場にやってきます。繁殖期にはオスとメスがペアで一緒に泳ぐ
の赤い部分にはヒナ鳥が親のくちばしをつ
せいし
姿が観察されます。コウイカのメスは、オスから精子のカプセルを受け
つく行動を引き起こす効果があります。こ
かいそう
うで
取った後、腕を使って一粒一粒ていねいに卵を海藻に巻きつけていきま
れはヒナが生まれながらにして、くっきりし
す。それぞれの卵に砂をまぶして目立たなくすることで、外敵から卵を守
もよう
た赤い模様をつつく性質を持っているため
ち
る工夫をしています。約1ヶ月で卵からふ化した稚イカは、すぐに自分で
えさ
餌をつかまえて成長し始めます。翌年の春には繁殖のためにまた浅場に
じゅみょう
しそん
やってきて、子孫を残した後、約1年の短い寿命を終えるのです。
は
もど
です。つつかれた親は食べた餌を吐き戻し
えさ
オオセグロカモメ
てヒナに与えるため、赤い部分は小さいな
がらとても重要な役割を果たしているのです。
カモメたちは私たちの身近なところにいる鳥
ですので、細かな部分の色の違いやその役割を
わ
知ると、もっと親しみが湧いてくると思います。
海辺でカモメの群れを見かけたら、ぜひじっくり
コウイカ(コウイカ科)
Sepia esculenta
さんらん
産卵のようす
38
卵
ふ化直後
観察してみてください。
砂浜の足あと
(朝日新聞「生きもの通信 山陰海岸から(2014年4月1日掲載)」を一部改変)
39
シマウシノシタ(ササウシノシタ科)
5.砂浜の生きもの
すなはま
い
ネズミゴチ(ネズッポ科)
Zebrias zebrinus
Repomucenus curvicornis
え
砂浜は入り江などに砂が集まってできて
いる海岸をさします。山陰海岸には大小
さまざまな砂 浜があり、海の中を含めて
そこにはさまざまな生きものがくらして
います。
魚類
ヒラメ(ヒラメ科)
いそば
両側を磯場に囲まれた
小規模な砂浜海岸(ポケットビーチ)
クロウシノシタ(ウシノシタ科)
Paralichthys olivaceus
もよう
Paraplagusia japonica
とくちょう
黒と白のしま模様が 特徴。夜の砂地で
観察されることが多い。 砂浜海岸でよく観察される。体の色は砂
地の色とよく似ている。
ヒメジ(ヒメジ科)
ウミヒゴイ(ヒメジ科)
Upeneus japonicus
ちぎょ
体長5cmほどの稚魚が浅場で観察され
りょうめ
る。口が大きく、両眼が体の左側にある。
Parupeneus chrysopleuron
わか
体は平たく、細長いだ円形。稚魚から若
うお
魚が浅い砂浜海岸で観察される。
観察してみよう! ⑩
砂浜の魚と言えば「シロギス」
いっつい
シロギスは砂浜海岸にくらす代表的な魚で、体長が最大で30cmを超えるもの
ちぎょ
5cmほどの稚魚が浅場で観察される。
を観察することができます。単に「キス」と呼ばれることも多く、全国各地の砂浜
づ
砂 浜の生きもの
砂 浜の生きもの
もいます。山陰海岸の浅い砂地の海中でも、水中マスクを通してシロギスの泳ぐ姿
たて
赤っぽい体に黄色がかった縦じまと口
の下の白い一対のヒゲが 特徴。このひ
げを前後 左右に動かしながら、海 底を
はうように泳ぐ。
一対(2本)の黄色いヒゲが特徴。体長
かいさい
海岸でキス釣り大会が開催されるなど、釣りの対象としても人気の高い魚です。
山陰海岸での調査では、ほぼ一年中、砂浜海岸の浅場でシロギスの出現が確認
されています。秋季の9月からは体長3cm前後
ホウボウ(ホウボウ科)
Chelidonichthys spinosus
の稚魚が数多く出現することから、夏季に産卵
あざ
しゅうき
していると考えられます。砂浜海岸で一生を過
ごす「シロギス」はまさに砂浜の魚と言えます。
シロギス(キス科)
Sillago japonica
むな
鮮やかな青緑色の大きな胸びれが特徴。
浅場では、体長5cmほどの稚魚が観察さ
れる。
(朝日新聞「生きもの通信 山陰海岸から(2014年3月4日掲載)」を参照)
40
41
キュウセン(ベラ科)
クサフグ(フグ科)
Takifugu niphobles
Parajulis poecileptera
せいてんかん
砂 地の海底でよく観察される。口の下
体の中央に破線状の帯がある。岩場近
の多数の白いヒゲが特徴。
くの砂地で観察される。
Istigobius hoshinonis
め
浅場の砂地に身をひそめ、頭と眼だけを
する。砂の中に潜って冬眠する。
出していることが多い。体内に強い毒を
とうみん
ホシノハゼ(ハゼ科)
Sagamia geneionema
メスからオスに性転換し、体の色も変化
もぐ
サビハゼ(ハゼ科)
どく
もつ。
とくちょう
マダイ(タイ科)
はせんじょう
Pagrus major
ちぎょ
体長5∼10cmほどの稚魚が浅場で観察
あわ
される。淡いピンク色の体にコバルト色
スズキ(スズキ科)
Lateolabrax japonicus
はんてん
マゴチ(コチ科)
Platycephalus sp. 2
の小さな斑点がある。
観察してみよう! ⑪
ウミヘビなのに魚?「ダイナンウミヘビ」
ちゅう
せいぎょ
砂 浜の生きもの
砂 浜の生きもの
「ウミヘビ」と呼ばれる動物は、陸上でくらすヘビやトカゲと同じハ虫
るい
類と、ヘビという名前がつけられている魚類に分けられます。ハ虫類の
はいこきゅう
ウミヘビは、肺呼吸をするために海面まで上がってきて空気を吸います。
それに対して、魚類のウミヘビは、他の魚と同じようにえらで呼吸ができ
るため、海底付近でじっとしている種類が多いです。山陰海岸の海中で
は、魚類のウミヘビが多く生息し、写真のダイナンウミヘビも魚類で、砂
地の海底から頭だけを出している姿がよ
ゆうぐ
やこうせい
く観察されます。夜行性で、夕暮れ時には
巣穴から出てきて、くねくねと海底近くを
とうめい
泳いでいることがありますので、海の透明
ど
ていぼう
度の高い日には、堤防などから海の中をの
ダイナンウミヘビ(ウミヘビ科)
Ophisurus macrorhynchos
ぞいてみてください。
成魚は河口などの岩場に生息するが、
ちぎょ
体長5cmほどの稚魚は浅い砂浜海岸に
出現する。
こ
体長が60cmを超える大型の魚で、砂地
め
の海底に身をひそめ、頭と眼だけを出し
ていることが多い。
(日本海新聞「何でも発見 たのしい観察 83(2013 年1月27日掲載)
」を改変)
42
43
こうかくるい
ち ぎょ
コラム④ 稚魚のゆりかご「砂浜海岸」
カニ・ヤドカリのなかま(甲殻類)
キンセンガニ(キンセンガニ科)
ハマスナホリガニ(スナホリガニ科)
Matuta victor
くず
砂浜海岸の中で、波が当って崩れる波打ち
ぎわ
Hippa truncatifrons
春季
夏季
秋季
際の一帯を「サーフゾーン」と言います。この
サーフゾーンの海中には、多くの稚魚がくらし
ています。山陰海岸での調査では、シロギス・
ヒラメ・クロウシノシタ・スズキ・マダイなどの
稚魚が多く見つかり、これまでに約60種類の
類の稚魚が砂浜海岸のサーフゾーンを成長の
ぎわ
こうふく
個体数
稚魚が確認されています。また、それぞれの種
甲幅は5cmほどで、甲らの両側の大きな
甲幅が1cmほどで、砂 浜の波 打ち際で
トゲが目立つ。遊 泳 脚をもち、砂 地に
観察される。ヤドカリのなかま。
ゆうえいきゃく
もぐ
潜って身をかくすこともできる。
場として利用していることが明らかになってい
ます。一見、あまり生物が生息していなさそう
観察してみよう! ⑫
にも見える砂浜海岸ですが、稚魚の保育場(ゆ
夜の砂浜で「スナガニ」の観察
りかご)として重要な役割を果たしています。
め
スナガニの体の色は砂浜の色によく似ていて、大きな眼とすばやい動
とくちょう
きが特徴です。砂浜海岸のおもに波打ち際で、砂地に直径3cmほどの巣
ほ
やこうせい
ゆうぐ
穴を掘ってくらしています。おもに夜行性のカニで、夕暮れになると巣穴
かい
から出てきて活発に活動します。6月から9月の天気の良い日の夜に、懐
ちゅうでんとう
全長
中電灯を片手に砂浜を歩いてみてください。多くのスナガニに出合える
はずです。
自然が多く残された砂浜では数多くのスナガニが観察されますが、人
の手が加えられた人工的な砂浜ではその数が少ない傾向があります。ス
しぜんかんきょう
えいきょう
ナガニの数は自然環境や人為的な影響の度合いを表す“ものさし”とし
砂浜海岸で採集された稚魚
ても注目されています。
じび
あみ
地曳き網調査の様子
44
じんいてき
砂 浜の生きもの
砂浜海岸における
マダイの月別全長組成
スナガニ(スナガニ科)
Ocypode stimpsoni
45
コラム⑤ 形も色も美しい打ち上げ貝
エビジャコのなかま(エビジャコ科)
Crangonidae sp.
あし
おだ
砂浜海岸の浅場に生息する。はさみ脚が
冬の日本海は夏の穏やかな海とは一変し、高波の多い日が続きます。そ
鎌状になっているのがこのなかまの特徴。
んな冬の海岸にも、ステキなこともあります。冬の荒波は、さまざまな色や
かまじょう
とくちょう
あらなみ
かいがら
形の貝殻を海岸にたくさん打ち上げてくれます。その美しさは、私たちの心
を温めてくれます。きれいなピンク色のサク
なんたい
巻き貝・二枚貝・イカ・タコのなかま(軟体動物)
おうぎがた
ラガイのなかま、扇形のイタヤガイ、カラフ
ムシボタル(マクラガイ科)
Olivella fulgurata
キサゴ(ニシキウズガイ科)
Umbonium costatum
ルなナデシコガイ、タカラガイのなかまな
ど、浦富海岸には約400種類の打ち上げ貝
が知られています。拾った貝殻をきれいな
かざ
箱に入れて部屋で飾ったり、アクセサリーを
作ったり、種類ごとに分けてコレクションに
冬の海岸
したりといろいろな楽しみ方があります。
貝殻拾いのポイントは、貝殻がたくさん打
りょうはし
ち上がる場所を見つけることです。両端が
こうたく
かいがら
いそ
磯で囲まれた砂浜には、打ち上げ貝が集ま
貝殻の大きさは2cmほど。光沢のある
貝殻の大きさは1cmほどで、うすく光沢
黄色みがかった殻に黒褐色の斑点がか
がある。殻は淡黄白色で、黒褐色や栗色
りやすいので、貝殻拾いに適しています。ま
すり状に並ぶ。
の木目模様をもつ。
た、貝殻拾いに行く日も重要です。高波が落
こっかっしょく
はんてん
ナミノコガイ(フジノハナガイ科)
Latona cuneata
たんおうはくしょく
くりいろ
もくめ
キュウシュウナミノコ(フジノハナガイ科)
Latona kiusiuensis
ねら
ち着いた2∼3日後が狙い目です。朝早く起
きて、貝殻拾いに出かけると、思いもよらな
海岸に打ち上がった貝殻
い美しい貝殻に出合えるかもしれません。寒い冬でも楽しめる貝殻拾いにぜ
砂 浜の生きもの
ひ挑戦してみてください。
(日本海新聞 「何でも発見 たのしい観察73(2012年11月11日掲載)」を改変)
貝殻の大きさは3cmほど。砂の中にも
ぐって生息し、波の動きに合わせて波打
ぎわ
ち際を移動する。
46
貝殻の大きさは1cmほどと小さい。浅い
砂 浜 海岸に生息し、波 打ち際で多くの
貝殻が見つかる。
ナデシコガイ(イタヤガイ科)
Chlamys iregularis
ベニガイ(ニッコウガイ科)
Pharaonella sieboldii
メダカラ(タカラガイ科)
Cypraea gracilis
47
ダンゴイカ(ダンゴイカ科)
ミミイカ(ダンゴイカ科)
Sepiola birostrata
Euprymna morsei
かいそう
コラム⑥ 「海草」と「海藻」のちがいって何だろう?
“かいそう”を漢字で書くと、
「海草」や「海藻」となりますが、どちらが正し
いのでしょうか? 実はどちらも正しいのです。
“海草”と“海藻”はそれぞれ
別々のなかまを指すので、正しく漢字を使い分けるには、その区別を知っておく
ことが必要です。
どうちょう
胴長が2cmほどの小型のイカ。海底の砂
うで
きゅうばん
地に生息し、腕の吸盤が2列であること
ダンゴイカと比べて大きく、胴長は4cm
ほど。腕の吸盤は4列である。
「海草」は、海にくらす陸上植
ひししょくぶつ
物( 被 子 植 物 )のなかまのこと
で、根から水や養分を葉へ運ぶ通
とくちょう
が特徴。
いかんそく
イイダコ(マダコ科)
カミナリイカ(コウイカ科)
Amphioctopus fangsiao
Sepia lycidas
さ
路(維管束)を持ち、花が咲き、
たね
種もつくります。進化の過程で、 アマモの花(左)・種から発芽したアマモ(右)
一度は海から陸へと上がったのですが、再び海に戻った植物群が“海草”なの
です。このことから、
「海藻」と区別するために、海草を“うみくさ”と呼ぶこと
もあります。よく知られている海草にアマモがあります(P48)。アマモは、多く
はぐく
の生きものを育む海の森(アマモ場)をつくることやジュゴンのエサになること
胴長10cmほどの小型のタコ。海底の砂地
胴長30cmを超える大型のコウイカ類。
に生息し、腕のつけ根にある左右一対の
胴の背側にある多数の眼状斑が特徴で、
丸い眼状斑(眼のような模様)が特徴。
浅い砂地の海草などに産卵する。
いっつい
がんじょうはん
め
もよう
海草
が知られています。
一方、
「海藻」は、海の中で目に見
える大きさに生長する植物のうち、陸
上植物のなかま(海草)を除いたもの
を指します。ワカメやヒジキなど、み
ウミヒルモのなかま(トチカガミ科)
アマモ(アマモ科)
Halophila sp.
砂 浜の生きもの
Zostera marina
藻場に集まる魚たち
なさんが日頃から目にしたり、食べた
りしている“かいそう”はほぼ“海藻”なのです。海藻は海草のように進化の過
程で海から出たことはなく、維管束もなく花も咲きません。ですが、大型の海藻
も ば
ちぎょ
かく
が
は、アマモと同じように、豊かな海の森(藻場)をつくり、稚魚の隠れ家やアワ
ビ・サザエのエサ場などとして大切な存在でもあります(P32-33)。
“海草”と“海藻”は読み方や住んでいる場所(海)が共通し、どちらも他の生き
ないわん
さでいいき
もののくらしを支える重要な役割を果たしています。しかし、それぞれが歩んできた
内湾の砂泥域に地下茎を伸ばして生育
と細長い葉からなる。地下茎をかじると
し、茎から直立する葉を出す。
甘く、これが名前の由来。
48
ちかけい
内湾の砂泥域に生育する。体は地下茎
くき
道のりが異なるので、
「海草」と「海藻」は区別されているのです。今後「かいそう」
を漢字で書く時は、それぞれのちがいを思い浮かべながら書いてみてください。
49
索引 50音順
ア
アイゴ・・・・・・・・・・・・35
アイナメ・・・・・・・・・・・10
アオウミウシ・・・・・・・・・20
アオノリのなかま・・・・・・・26
アオリイカ・・・・・・・・・・38
アカウニ・・・・・・・・・・・36
アカエイ・・・・・・・・・・・・7
アカクラゲ・・・・・・・・・・・7
アカテガニ・・・・・・・・・・17
アカモク・・・・・・・・・・・32
アサヒアナハゼ・・・・・・・・10
アナアオサ・・・・・・・・・・26
アナハゼ・・・・・・・・・・・10
アマモ・・・・・・・・・48,49
アミメハギ・・・・・・・・・・35
アメフラシ・・・・・・・・・・36
アラレタマキビ・・・・・・・・22
アンドンクラゲ・・・・・・・・・7
イ
イイダコ・・・・・・・・・・・48
イサキ・・・・・・・・・・・・15
イシガニ・・・・・・・・・・・17
イシダイ・・・・・・・・・・・・9
イシダタミ・・・・・・・・・・23
イソガニ・・・・・・・・・・・16
イソギンポ・・・・・・・・・・12
イソスジエビ・・・・・・・・・19
イソヒヨドリ・・・・・・・・・31
イソモク・・・・・・・・・・・33
イトヒキベラ・・・・・・・・・・4
イトフエフキ・・・・・・・・・15
イトマキヒトデ・・・・・・・・19
イワガニ・・・・・・・・・・・16
ウ
ウミウチワ・・・・・・・・・・26
ウミケムシ・・・・・・・・・・・7
ウミゾウメン・・・・・・・・・28
ウミトラノオ・・・・・・・・・32
ウミネコ・・・・・・・・・・・39
ウミヒゴイ・・・・・・・・・・41
ウミヒルモのなかま・・・・・・48
エ
エチゲンクラゲ・・・・・・・・25
エビアマモ・・・・・・・・・・33
エビジャコのなかま・・・・・・46
オ
オオカズナギ・・・・・・・・・12
オオコシダカガンガラ・・・・・22
オオセグロカモメ・・・・・・・39
オニオコゼ・・・・・・・・・・・7
オハグロベラ・・・・・・・・・11
オヤビッチャ・・・・・・・・・15
カ
カクベンケイガニ・・・・・・・17
カゴカキダイ・・・・・・・・・・9
50
ソ
ソラスズメダイ・・・・・・4,15
カゴメノリ・・・・・・・・・・28
カサゴ・・・・・・・・・・・・・8
カミクラゲ・・・・・・・・・・25
カミナリイカ・・・・・・・・・48
カメノテ・・・・・・・・・・・19
カワハギ・・・・・・・・・・・35
キ
キサゴ・・・・・・・・・・・・46
キジハタ・・・・・・・・・・・13
キヌカジカ・・・・・・・・・・13
キヌバリ・・・・・・・・・・・11
キュウシュウナミノコ・・・・・46
キュウセン・・・・・・・・・・42
キンセンガニ・・・・・・・・・45
キンチャクダイ・・・・・・・・14
ク
クサフグ・・・・・・・・・・・42
クジメ・・・・・・・・・・・・10
クボガイ・・・・・・・・・・・22
クロアワビ・・・・・・・・・・37
クロウシノシタ・・・・・・・・40
クロシタナシウミウシ・・・・・21
クロダイ・・・・・・・・・・・15
クロヘリアメフラシ・・・・・・37
クロベンケイガニ・・・・・・・17
クロメ・・・・・・・・・・・・33
クロモ・・・・・・・・・・・・29
ケ
ケアシホンヤドカリ・・・・・・18
ケガキ・・・・・・・・・・・・22
ケブカヒメヨコバサミ・・・・・18
コ
コウイカ・・・・・・・・・・・38
コケギンポ・・・・・・・・・・13
コブダイ・・・・・・・・・・・14
ゴンズイ・・・・・・・・・・・・7
サ
サザエ・・・・・・・・・・・・37
サビハゼ・・・・・・・・・・・43
サラサウミウシ・・・・・・・・21
シ
シマウシノシタ・・・・・・・・41
シロウミウシ・・・・・・・・・21
シロギス・・・・・・・・・・・40
ス
スズキ・・・・・・・・・・・・43
スズメダイ・・・・・・・・・・・8
スナガニ・・・・・・・・・・・45
セ
セイヨウハバノリ・・・・・・・30
セグロカモメ・・・・・・・・・39
タ
ダイナンウミヘビ・・・・・・・42
ダイナンギンポ・・・・・・・・・9
タコクラゲ・・・・・・・・・・25
タツノオトシゴ・・・・・・・・34
タマジュズモ・・・・・・・・・26
ダンゴイカ・・・・・・・・・・48
ダンゴウオ・・・・・・・・・・35
チ
チャガラ・・・・・・・・・・・11
ツ
ツノマタ・・・・・・・・・・・30
ト
ドチザメ・・・・・・・・・・・15
ドロメ・・・・・・・・・・・・・9
ナ
ナガサキスズメダイ・・・・・・・4
ナデシコガイ・・・・・・・・・47
ナベカ・・・・・・・・・・・・12
ナミノコガイ・・・・・・・・・46
ナラサモ・・・・・・・・・・・33
ニ
ニジギンポ・・・・・・・・・・12
ニッポンウミシダ・・・・・・・20
ネ
ネズミゴチ・・・・・・・・・・41
ハ
ハオコゼ・・・・・・・・・・・・7
ハコフグ・・・・・・・・・・・14
ハタタテダイ・・・・・・・・・・4
ハナガサクラゲ・・・・・・・・25
ハナデンシャ・・・・・・・・・21
バフンウニ・・・・・・・・・・19
ハマスナホリガニ・・・・・・・45
ヒ
ヒザラガイ・・・・・・・・・・23
ヒジキ・・・・・・・・・・・・28
ヒメギンポ・・・・・・・・・・13
ヒメジ・・・・・・・・・・・・41
ヒメメリベ・・・・・・・・・・21
ヒョウモンダコ・・・・・・・・・7
ヒライソガニ・・・・・・・・・16
ヒラメ・・・・・・・・・・・・40
ヒラワツナギソウ・・・・・・・29
フ
フクリンアミジ・・・・・・・・30
フサイワズタ・・・・・・・・・29
ベニツケギンポ・・・・・・・・・9
ベニモズク・・・・・・・・・・30
ヘビギンポ・・・・・・・・・・10
ホ
ホウボウ・・・・・・・・・・・41
ホシギンポ・・・・・・・・・・12
ホシササノハベラ・・・・・・・11
ホシノハゼ・・・・・・・・・・43
ホンベラ・・・・・・・・・・・11
ホンヤドカリ・・・・・・・・・18
マ
マアジ・・・・・・・・・・・・・8
マクサ・・・・・・・・・・・・28
マゴチ・・・・・・・・・・・・43
マダイ・・・・・・・・・・・・42
マダコ・・・・・・・・・・・・24
マナマコ・・・・・・・・・・・20
マヒトデ・・・・・・・・・・・20
ミ
ミズクラゲ・・・・・・・・・・25
ミドリアメフラシ・・・・・・・37
ミノカサゴ・・・・・・・・・・13
ミミイカ・・・・・・・・・・・48
ミヤコウミウシ・・・・・・・・21
ミル・・・・・・・・・・・・・27
ム
ムカデノリ・・・・・・・・・・29
ムシボタル・・・・・・・・・・46
ムラサキイガイ・・・・・・・・22
ムラサキウニ・・・・・・・・・36
メ
メジナ・・・・・・・・・・・・・8
メダカラ・・・・・・・・・・・47
メバル属のなかま・・・・・・・34
モ
モズク・・・・・・・・・・・・29
ヤ
ヤツデヒトデ・・・・・・・・・20
ヤツマタモク・・・・・・・・・32
ヤマトホンヤドカリ・・・・・・18
ユ
ユナ・・・・・・・・・・・・・30
ヨ
ヨウジウオ・・・・・・・・・・34
ヨメガカサ・・・・・・・・・・23
ヨレモク・・・・・・・・・・・33
ワ
ワカメ・・・・・・・・・・・・33
ヘ
ベッコウガサ・・・・・・・・・23
ベニガイ・・・・・・・・・・・47
51
参考図書の紹介
子ども向け図書
「生きものROM図鑑 海の生きもののくらし」 小林安雅 2003. 偕成社
「貝殻の採集と観察」 馬場勝良 2002. さ・え・ら書房
「飼ってみよう!海べの生きもの① 海べの生きものを採る・飼う・観察する」 松久保晃作 1999. 偕成社
「飼ってみよう!海べの生きもの② 磯の生きものの飼いかた∼ヤドカリ・タコ・ヒトデほか∼」 松久保晃作 2000.
偕成社
「飼ってみよう!海べの生きもの③ 砂浜・干潟の生きものの飼いかた∼カニ・ウミホタル・クラゲほか∼」 松久保
晃作 2000. 偕成社
「ニューワイド 学研の図鑑 魚」 志村隆 2006. 学習研究社
「ニューワイド 学研の図鑑 水の生き物」 志村隆 2005. 学習研究社
「フレーベル館の図鑑ナチュラ6 さかなとみずのいきもの」 無藤隆・武田正倫(監修) 2007. フレーベル社
「水べの生きもの野外観察ずかん① 海べの魚類・鳥類・植物・むせきつい動物」 企画室トリトン 2005. ポプラ
社
「水辺の自然・遊んで学ぼう⑥ 海の生き物すみ場所別図鑑」 武田正倫(監修) 2004. 学習研究社
ガイドブックの基礎となった研究論文と引用した新聞のコラム記事
「鳥取県岩美町の鴨ヶ磯地先における藻場の構成種(大型褐藻類)および水平分布」 原口展子・和田
年史 2015. 海苔と海藻No.83(印刷中)
「ヤマケイジュニア図鑑6 海辺の生き物」 武田正倫(監修) 2002. 山と溪谷社
「鳥取県東部の砂浜海岸サーフゾーンにおける魚類および海産無脊椎動物の出現記録」 和田年史・長
子ども∼ 一般向けの図書
「日本海南西部鳥取県浦富海岸における浅海魚類相および出現魚種の季節的消長」 和田年史・原口展
田信人・原口展子・宇野政美 2014. 鳥取県立博物館研究報告51:23-41.
「磯の生き物図鑑」 今原幸光(編著)ほか 2011. トンボ出版
「海の危険生物ガイドブック」 山本典暎 2004. 阪急コミュニケーションズ
「海辺の生きもの図鑑」 千葉県立中央博物館分館 海の博物館(監修) 2014. 成山堂書店
子・山崎英治 2014. 鳥取県立博物館研究報告51:43-58.
「山陰沖日本海における頭足類相」 和田年史・増田 修 2013. 鳥取県立博物館研究報告50:1-43.
「兵庫県新温泉町の砂浜海岸におけるスナガニ類の出現および生息密度に影響する要因」 宇野拓実・
「海辺の漂着物ハンドブック」 浜口哲一 2009. 文一総合出版
宇野政美・和田年史 2012.人と自然23:31-38.
「海藻 海の森のふしぎ」 横浜康継ほか 2013. LIXIL出版
「日本海南西部鳥取県沿岸およびその周辺に生息するカニ類」 武田正倫・古田晋平・宮永貴幸・田村
「海藻ハンドブック」 横浜康継 2013. 文一総合出版
「貝と水の生物」 旺文社(編集) 1998. 旺文社
「貝の図鑑 採集と標本の作り方」 行田義三 2007. 南方新社
「カラー図鑑 カニ百科」 村岡健作・小田原利光(監修) 1997. 成美堂出版
「検索入門 海岸動物」 西村三郎 1995. 保育社
「新装版山溪フィールドブックス③ 海辺の生きもの」 奥谷喬司(編著) 2006. 山と溪谷社
昭夫・和田年史 2011. 鳥取県立博物館研究報告48:29-94.
「鳥取県東部の砂浜海岸の打ち上げ貝類とWeb図鑑の作成」 竹林慶謹・和田年史 2010. 鳥取県
立博物館研究報告47:7-25.
このガイドブックの「観察してみよう!」と「コラム」の一部は、2011年7月から2014年3月までの間に
「ネイチャーウォッチングガイドブック ウミウシ 生きている海の妖精」 加藤昌一(編集)・小野篤司(監修) 連載された日本海新聞のコラム記事「何でも発見 たのしい観察」および2014年2月から12月までの間
2009. 誠文堂新光社
に連載された朝日新聞(鳥取・島根版)のコラム記事「生きもの通信 山陰海岸から」から、両新聞社の
「ネイチャーウォッチングガイドブック 海藻」 神谷充伸 2012. 誠文堂新光社
許可を得て、改変または参照して掲載しています。
「ネイチャーガイド 海の甲殻類」 峯水亮 2002. 文一総合出版
「110種のクラゲの不思議な生態 最新クラゲ図鑑」 三宅裕志・Dhugal Lindsay 2013. 誠文堂新光社
「フィールドベスト図鑑16 日本の水生動物」 武田正倫(監修) 2004. 学習研究社
「フィールドベスト図鑑18 日本の貝1」 奥谷喬司 2006. 学習研究社
「フィールドベスト図鑑19 日本の貝2」 奥谷喬司 2006. 学習研究社
「山溪カラー名鑑 日本の海水魚」 岡村収・尼岡邦夫(編集) 2007. 山と溪谷社
「山溪ハンディ図鑑 13 日本の海水魚」 吉野雄輔(解説)・瀬能宏(監修) 2009. 山と溪谷社
専門書
「新日本海藻誌」 吉田忠生(著) 1998. 内田老鶴圃
「日本近海産貝類図鑑」 奥谷喬司(編著) 2000. 東海大学出版会
「日本産魚類検索 全種の同定 第三版」 中坊徹次(編) 2013. 東海大学出版会
52
53
観察シート
観察した日: 年 月 日 天気:
観察場所:
名 前
とくちょう
色や形、さわった感じなど
かいそう
(海藻・海草)
さいごに
ウニ・ヒトデなど
(棘皮動物)
本ガイドブックの写真の多くは、鳥取県岩美町のダイビン
グショップの方々に提供いただきました。ブルーライン田
後の山崎英治氏およびマリンパークHANEOの今野仁志
かい
(貝類)
氏に心からお礼申し上げます。また、本ガイドブックの制
作にあたり、地域の方々には貴重なご意見や資料を提供
いただきました。油浅郁夫氏、新見朋美氏、宇野政美氏、
ウミウシ・アメフラシ
長田信人氏および倉見良亮氏に深く感謝いたします。
(軟体動物)
カニ・ヤドカリなど
(甲殻類)
魚
(魚類)
その他
54
55
制作者一覧 (敬称略・五十音順)
■執筆
原口展子(観察してみよう!⑥・⑨・⑫、コラム②・③以外)・
三原菜美(コラム②・③)・和田年史(観察してみよう!⑥・⑨・⑫)
■監修
和田年史(兵庫県立大学 自然・環境科学研究所)
■写真提供
倉見良亮(鳥取市在住)・今野仁志(マリンパークHANEO)
村瀬 昇(水産大学校 生物生産学科)・山崎英治(ブルーライン田後)
油浅郁夫(岩美町在住)・和田 香(兵庫県在住)
■編集
原口展子・三原菜美
■編集協力
鳥取県立博物館付属『山陰海岸学習館』
(清末幸久・高垣絵梨子・田中定雄・山田佳範・山本早紀・山本理絵)
鳥取県立博物館自然担当
(一澤 圭・川上 靖・公文浩代・田中宏卓・田邉佳紀・徳田悠希・米澤朋子)
■デザイン
徳田悠希・三原菜美
表紙:(上)ナベカ、
(右)ヒラワツナギソウ、
(左下)ヒライソガニ、
(中央)磯の観察会のようす
裏表紙:海と光
山陰海岸の身近な海の生きものガイドブック
平成27年3月31日発行
編集・発行 鳥取県立博物館
鳥取市東町2−124
印刷 有限会社 タクミコーポレーション