S & I BANGKOK NEWSLETTER NO.249

S & I BANGKOK NEWSLETTER NO.249
2015.05.25
発行責任者 井口 雅文
発 行 S & I International Bangkok Office Co.,Ltd.
TEL
+66-2-261-6449、6466
FAX
+66-2-261-6419、6379
Address : 23rd Flr, 253 Sukhumvit 21, Klongtoey Nua, Wattana, Bangkok 10110, Thailand 地図
E-Mail : [email protected] (総合窓口、調査)
[email protected] (特許)
[email protected] (意匠)
[email protected] (商標)
S&IWebsite: http://www.s-i-asia.com
(取材編集協力)有限会社 S&IJAPAN http://www.s-i-asia.com/about_us/about_us5、地図
CopyRight ©
S&I International Bangkok Office Co., Ltd.
社内用・社外用を問わず無断複製(電子的複製を含む)を禁ずる
〒150-0001 渋谷区神宮前 4-16-8 大場ビル2階
TEL:03-3402-0013、FAX:03-3402-0014
[email protected]( 担 当 : 鈴 木 秀幹 弁 理士 ・ 矢 守 章子 ・ 有 吉文 ・ 井 口文 絵 ・ Saay
Palalikit)
~事務所より~
~編集者より~
記事目次
~タイ知的財産保護問題対策の進捗状況~
~タイで ASEAN 及び中国への輸出のための事業者向けワークショップが行われた~
~タイでは音楽がダーティーな著作権ライセンス証書に直面している~
~タイ知的財産局の特許・商標電子システムが 7 月に全面運用される見込みと商務副大臣が発表~
~タイ知的財産局 特許協力条約に基づく発明保護の申請に関する 2009 年省令に基づくタイにおける
国際出願の有効性を維持するための権利回復上申書の審査基準(2014 年 5 月版)~
~タイランドサイエンスパークが大学との提携や民間企業の研究施設誘致を進め、研究開発の統合型
ハブとなることを目指す~
~タイが引き続きアメリカ通商代表部のスペシャル 301 条優先監視国リストに掲載される~
1
~タイが引き続きアメリカ通商代表部のスペシャル 301 条優先監視国リストに掲載されているが、それは
偽善である~
~タイの鉄道3路線計画に日本が熱意を示している~
~タイに三菱自動車がテストコースを開設~
~タイ味の素が AEC 発足に向けたローカライゼイション戦略とタイにおける飲料発売について話した~
~タイ電気自動車製造工場設置に向け日本の FOMM 社が共同出資者を探している/タイの Loxley
社は中国の BYD 社から電気バス等の輸入で提携~
~タイにクボタが研究開発センターを設置する~
~タイと日本が産業財産権の保護についての覚書に署名する~
~タイの AIDS 患者支援団体が C 型肝炎治療薬の強制ライセンスを要求する~
~タイ知的財産局アセアン経済共同体発足に向けたセミアニュアルレポート~
~タイのプラユット首相は来年の経済成長を 4.7%と見込んだ~
~中国で開催されたカントンフェアの取引額は減少するも珠江デルタ地区では先端技術で取り引数を増
やしている会社もある~
~中国アリババ社がフランス Kering 社から偽造品販売について米国で提訴された~
~香港の知的財産での成功が歓呼をもって迎えられる~
~事務所より~
(ホームページ更新のお知らせ)
弊社ホームページを5月25日付けで更新しました。
(6月の祝祭日のお知らせ)
6月は1日が祝祭日です。
(タイ知的財産局 特許協力条約に基づく発明保護の申請に関する 2009 年省令に基づくタイにおける
国際出願の有効性を維持するための権利回復上申書の審査基準(2014 年 5 月版)
タイ知的財産局より公表されました。 詳しくは本稿記事に掲載されています。
~タイ知的財産局 特許協力条約に基づく発明保護の申請に関する 2009 年省令に基づくタイにおける
国際出願の有効性を維持するための権利回復上申書の審査基準(2014 年 5 月版)~
~編集者より~
軍事クーデターから一年が経過した。 この間、知的財産分野においては、著作権法の改正及び営業
秘密法の改正が行われただけとなっている。 懸案のマドリッド議定書加盟に向けての商標法の改正は
2
未だ行われていない。 さらに、当初、審査官増員による審査期間短縮を掲げていたが、知的財産局の
ホームページから観察する限り、今の処、昨年11月に化学系3名、電気機械系3名の計6名の特許審
査官補助の募集があって以来、全く動きがなかった。今年に入って、4月30日付けに意匠審査官1名、
商務関連業務専門家(商標審査官を含む)6名の募集公告があったが、特許審査官募集についてはそ
れ以上、全く情報は無い。通常は、事前に職員募集や試験日程などが発表されるはずであるが。 余り
多くを期待しないほうがよいかもしれない。
つい最近、商標事務システムが改造されて、知的財産局の窓口で、システムが業務試行されていると聞
いた。しかしながら、職員及び利用者にとっては、大変な不評を買っているらしい。 窓口での待ち時間が
2時間を超え、かつ待っている人が常時20人以上となっている。 業務の馴れではなく、帳票設計で多
様さに対応しきれていないのが原因のようだ。 また、商標データベースも4月下旬で更新がされなくなり、
現在メンテナンス中ということで、商標調査がアップデイト分の入力を待たなければ、実質的に調査できな
い事態となっている。 このようなメンテナンス作業では、何月何日から何日までという、工事予告期間の
ようなアナウンスが事前にありそうだが、全く無い。 局内の壁に単に貼りつけるだけではなく、局長名かシス
テム担当課長名でのオフィシャルアナウンスが必要と思われる。 今回の事態は、システム設計というかそも
そもの業務設計に問題があるのではなかろうかと、疑いたくなる。
確か一昨年前、日系企業とタイ政府知財関係機関との例年2回行われる会議で、私からシステムの運
用状況についての利用者にウェブサイトを通じてアナウンスしてほしいと、要望をタイ政府知的財産局長に
具申したことがあったが、政府幹部は、何のことなのか分からない様子だったのを記憶している。 このよう
なアナウンスは、システムを運用するための常識なのだが、政府幹部クラスに問題意識が無いというのは、
知財の世界では、どうやら古今東西、世界共通なのかもしれない。
話を少し軍事政権に戻そう。 バンコクから北東方向に車で約1時間、巨大な寺院が見えてくる。 建物
は普通のタイの仏教寺院スタイルではなく、超巨大な UFO の外観をした金色の寺院である。ここがタイの
新興仏教団体タンマカーイ寺である。 実はこの仏教団体を巡って、2013 年クロンジャン信用協同組合
で 120 億バーツ(約 400 億円)の横領事件が発覚し、捜査が続いている。 捜査の過程では、この寺院
の僧侶が関与し、信用協同組合元理事長が 10 億バーツ(約 40 億円)を寺に流していることが発覚、タ
イ仏教界全体を揺るがす事態となっている。 このタンマカーイは、1970 年代から中流階級に広がった新
興仏教で、その資金力はタイ仏教界で随一とされている。
さらに、この宗教団体は、タクシン派との強い繋がりを持ち、強力な支持基盤でもある。 今回の軍事政
権下での捜査は、最終的にタクシン派の資金源を断ちきることが、恐らく目的ではないだろうかと噂されて
いる。 余り私も本稿でこれ以上、述べるのも身の危険を感じるのだが、来年初めに予定されている総選
挙に向けて、今年後半は、政権を巡って両陣営(親タクシン派と反タクシン派)の暴露合戦となる様相と
なっている。 現に、昨日タクシン元首相の発言で、「タイ軍事クーデターは枢密院の指示だ」と韓国メディ
3
アで発言し、数日後に軍事政権がタクシン元首相のパスポートを失効させたという流れも、この暴露合戦
の一端を示すものなのかもしれない。 次第に有力な政治家からの物議を醸す発言が多くなりつつある。
さらに爆弾騒ぎなども南部タイで、そしてバンコク中心部でも最近起きている。 反政府活動との関連は
否定されているものの、非常に気がかりな事件が廻りで頻発している。 私のような外野からみると、民主
的な選挙や活動には大いに賛同するが、一昨年のような長期間のデモによる政府機能の停止だけは、
なんとか避けてもらいたいものである。
~タイ知的財産保護問題対策の進捗状況~
米国は 2007 年から現在までタイを通商法スーパー301 条の優先監視国に指定している。2015 年 4 月
30 日に最新の報告書が発表される予定となっているが、これに先立ちタイ商務省知的財産局はタイが
行ってきた政策の進捗状況について以下の報告書を取りまとめ、対象国決定の審理に際し参照するよう
米国通商代表部に送達した。
(1) 2013-2016 年国家知的財産戦略及び 2012-2015 年知的財産侵害防止抑制推進計画に合致さ
せる 2014 年タイ知的財産保護制度の改善。例として知的財産侵害品の販売が多い地区、レッドゾーン
の取締り強化。
(2)知的財産関連法の改正。特に権利管理情報、テクノロジーに関する規定及びインターネットプロバイ
ダーの免責に関する著作権法改正並びに障害者の利益のための侵害の例外規定及び映画館における
無断録画・録音の罰則規定に関する著作権法改正。以上は 2015 年 2 月 5 日に公表され、それぞれ
180 日以内及び 60 日以内に施行される。
(3)知的財産登録電子システム開発。予算と人員を追加し、国外の知的財産当局との連携を強化し、
知的財産権登録の効率化と迅速化を進める。
(4)知的財産の価値を知り知的財産権を尊重することを目指した啓蒙キャンペーン。Thai-US Creative
Partnership に基づくインターネット上の著作権侵害対策キャンペーンも含む。
(5)2009-2014 年のエンフォースメントの成果報告。タイ知的財産侵害抑制センターと US Immigration
and Custom Enforcement の事業協力が成功を収めた。
(6)捜索令状及び逮捕状の発行実績、知的財産及び国際取引中央裁判所が 2014 年に取り扱った知
的財産事件数の報告。事件数は民事・刑事合わせて 4,000 件以上あった。
(2015 年 3 月 11 日、タイ知的財産局ウェブサイト)
~タイで ASEAN 及び中国への輸出のための事業者向けワークショップが行われた~
2015 年 3 月 24 日~26 日までサムットサーコーン県のセントラルパレスリゾートホテルにおいて、ASEAN 及
び中国への輸出のための知的財産に関する潜在能力向上を目的とした 2 回目のワークショップ、「商品グ
ループと食品サービス」が行われた。このワークショップは ASEAN 及び中国に商品/サービスを輸出するタ
イの事業者を対象に、タイの商品/サービスの付加価値を高め、輸出先の国で知的財産権を登録し外
国でタイの知的財産権が侵害されるのを防止することを目的に実施された。
(2015 年 3 月、タイ知的財産局ウェブサイト)
4
~タイでは音楽がダーティーな著作権ライセンス証書に直面している~
4 月 7 日に、トンローのレストランマネージャーが、店で音楽を流すのにライセンスが必要であるとして、トンロ
ー警察署内で警官を名乗る男から即座に 8 万バーツを支払うことを要求され、やってきたレストラン経営
者が 6 万バーツを支払って 2 万バーツのインボイスと、Inter Music Copyright Co(IMC)の名による、1 年間
有効のレストランにおける音楽演奏許可証が発行される、という事案があった。経営者は残る 4 万バーツ
のインボイスについて尋ねたところ、トンロー署の職員は代わりに警察の調書のコピーを手渡したが、これに
はなんらの金額が記載されていない。レストランで MP3 プレイヤーを押収した私服警察官のグループは、
IMC によって申し立てられたとする書類と警察のバッジを見せたが、書類には、通常の手続ではともに必要
とされる、レストランの名前も侵害されているとされる曲の名前もなかった。トンロー警察署で質問に答えた、
Viradol Thubthimdee 警察大佐は、この点で警察官は著作権者を代理していたのかどうかを明らかにす
る必要があったと述べた。Viradol 警察大佐は、7 日の事件と警察官がライセンス会社の代わりに集金を
行ったことについては、何も知らないとしたが、トンロー署の別の警察官はそのような運用が実際に別の警
察署の警察官により行われていると認めた。IMC は自社のウェブサイトを有していないが、知的財産局
(Department of Intellectual Property : DIP)のウェブサイトに掲載された、21 の音楽ライセンス会社のリス
トには名前があり、そのうち IMC と MPC Music Co.(MPC)の 2 社のみがインターナショナルミュージックのライ
センスを提供するリストに掲載されている。DIP は音楽ライセンス会社に対する規則を定めてはいない。し
かしながら、公衆送信のための音楽ライセンスは、商品・役務価格法の下で規制されており、音楽ライセ
ンス会社はライセンスフィーや音曲のリストや事業コストの概略といった情報を商務省に提供する必要があ
る。著作権保護会社による徴収行為についての数多くの報告にもかかわらず、IMC の創立者兼社長であ
る Nattawat Thianchao 氏は IMC によるいかなる法律違反も否定した。タイの複雑きわまる音楽ライセン
ス規則は外国人はおろかタイ人にとっても理解困難なものとなっている。1994 年著作権法によれば、著
作権者は排他的な公衆送信権を有しているから、いかなる著作物であっても許可なく公衆送信を行った
場合には、侵害とみなされる。そのような侵害に対しては、著作権者は民事あるいは刑事訴訟のいずれ
かを提起することができ、罰則の幅は 2 万から 80 万バーツの罰金及び/または最長 5 年の懲役である。
ライセンス料を得るために音楽業界では刑事訴訟の可能性を取り去る方法を探しているが、DIP の
Thosapone Dansuputra 副局長は、現在著作権委員会は問題解決のためにどのように著作権法を改
正するかを検討中であるが、すべての刑事罰を取り去るということはありそうもない、と述べた。これは、
1994 年にタイが参加した Trips 協定が、商業規模の著作権侵害の場合には、少なくとも刑事手続及び
刑事罰を加盟国に対し要求していることによる。
(2015 年 4 月 26 日、バンコクポスト)
~タイ知的財産局の特許・商標電子システムが 7 月に全面運用される見込みと商務副大臣が発表~
タイ知的財産局は商標及び特許登録システムの開発に 7 千万バーツの予算を投じ、2015 年 7 月までに
システムが全面運用される見込みであるとナッタウット サイグア商務副大臣が発表した。現在の商標審
査期間は 12-16 ヵ月を要しているが、システム開発後は 6 ヵ月に短縮され、特許審査期間は現在の
5
48-60 ヵ月から 24 ヵ月に、小特許審査期間は現在の 12 ヵ月から 6 ヵ月に、意匠登録期間は現在の 18
ヵ月から 12 ヵ月になると期待される。その結果、知的財産局の収入は 15%(6 千万バーツ)増加する見
込みである。システム導入後は、インターネットによる商標及び特許出願(E-Filing)やインターネットによる
登録状況の確認が可能となり、また、知的財産局職員による出願の審査及び登録が容易になる。更に
国際知的財産機関、例えば、世界知的所有権機関(WIPO)、米国特許商標庁(USPTO)、ASEAN
経済共同体、マドリッドプロトコルに基づく国際商標登録、特許協力条約(PCT)に基づく国際特許登録
と繋がり、情報を交換することもできる。更にこのシステムには、インターネットによる審査結果通知システ
ムや電子署名システム(E-Signature)を利用した登録査定発行などが盛り込まれる予定である。
(2015 年 5 月、タイ知的財産局ウェブサイト)
~タイ知的財産局 特許協力条約に基づく発明保護の申請に関する 2009 年省令に基づくタイにおける
国際出願の有効性を維持するための権利回復上申書の審査基準(2014 年 5 月版)~
1.
権利回復請求の理由(第 22 条)
出願人が最初の出願日から 30 ヶ月以内にタイ国内における発明保護申請を行わなかった場合は、特
許協力条約に基づく発明保護の申請に関する 2009 年省令第 22 条に基づき、当該国際出願はタイに
おいて権利喪失したとみなされる。
2.
審査基準(第 23 条)
当該国際出願がタイにおいて権利喪失した場合、出願人はタイ知的財産局に対して、定められた期
間内に(訳注:発明保護申請)続きが行えなかった原因が消滅した日から 2 ヶ月以内、又は第 22 条第
1 段落に定められた期間が満了してから 12 ヶ月以内のうち、先に到達した期限までに、第 22 条に定めら
れた手続き遂行と同時に、理由と証拠を示してタイにおける国際出願の有効性を維持するための権利
回復上申書(様式:Sor Por/101-Kor(PCT))を提出することができる。
タイ知的財産局が上申書を審査し、出願人がこの件について相当の注意を払いながらも定められた期
限までに手続きを行うことが不可能であったと判断した場合、タイ知的財産局は 1979 年特許法に規定さ
れた手順に従って当該国際出願についての手続を行い、出願人にその旨を通知しなければならない。
3.
出願人が最初の出願日から 30 ヶ月以内にタイ国内における発明保護申請を行うことが不可
能となった理由の審査方針の例
3.1
出願の規則、手続き、手数料及び期限に関する不知
出願人又は特許代理人が特許協力条約に基づく発明保護の申請に関する 2009 年省令及びこの省
令に基づいて発行された各種告示に基づく規則、手続き、PCT 制度を利用した出願の期限及び国際
出願に係る手数料について認識していて然るべきである。出願人は特許代理人に対し国際出願を行う
ことを適切な期間内に知らせなければならない。最初の出願日から 30 ヶ月以内の期限間近になって特
許代理人に出願を知らせるのは出願人又は代理人が相当の注意を払っていなかったと見なされる。
この他、出願人又は特許代理人は国際出願と同時に提出すべき書類にはどのような書類があるか、認
6
識していて然るべきである。特許代理人が国際出願に関する疑問点がある場合には、国際出願を定め
られた期限内に出願できるよう確認、修正又は書類を完備させるため出願人に連絡又は通知するべき
である。
国際出願の定められた出願期日に特許代理人が業務停止していたことにより、定められた期限内に出
願を行えなかった場合、代理人が相当の注意を払っていたとは見なされない。これは他者又は他の代理
人に手続き遂行を委任することができるためである。
理由及び証拠の提示方法:定められた期限内に国際出願の手続きを行えなかった場合、出願人又は
特許代理人は、担当官に対し証拠書類を提出する。例えば、出願人又は特許代理人が突然の傷病
により緊急に治療を受ける必要があり、病院に入院して治療を行う必要があったことを示す医師の診断
書又はその他の証拠がこれに当たる。これは自身に代わって他人国際出願を行うよう他者に委任するた
めの連絡を行うことができなかった理由となり得る。
3.2
出願に関する一般的な業務を行う担当者による過誤又は瑕疵
例えば、出願情報の収集、出願書類の準備、出願のフォローアップ又は願書の提出等の出願に伴う
一般業務を他の担当者に遂行を事前に委任していて、定められた期限内に出願を行うことができなかっ
た場合、出願人又は代理人が国際出願を定められた期限内に行うことに相当の注意を払っていなかった
と見なされる。ただし、相当の注意を払っていたことが明らかに認められる場合を除く。
理由及び証拠の提示方法:以下が立証できれば、出願人又は特許代理人は相当の注意を払ってい
たと見なされる。
(1)
代理で手続きを行うよう委任された担当者が、委任された事案の国際出願に関する業務に以
前から経験がある人物であり、国際出願の規則について十分に理解していた場合。
(2)
出願人又は特許代理人がその担当者に対して国際出願の業務に関する研修を事前に行っ
ていた場合。
(3)
出願人又は特許代理人が担当者の業務を恒常的にフォローアップしていた場合。
(4)
その担当者が過去業務上継続的に良好な結果を得ていた場合。
3.3
出願人と代理人の間の連絡における技術的問題
出願人又は特許代理人は電子メール(E メール)の送信エラー又は通信に使用する機材の故障など、
通常の通信経路の使用に障害が行った場合、つまり障害により通信不可能となった場合に備えて、通
信に際し予備の通信経路又は予備の機材を準備するべきである。この他、出願人又は特許代理人は、
通信障害が起きた場合に他の担当者に業務遂行を委任できるよう、出願人の社内又は代理人の所内
の他の担当者が通信システムの電子情報又はその他の書類にアクセスできるようにする、又は社内(訳
注:又は所内)の別の担当者に電子情報を送付できるようにするべきである。
理由及び証拠の提示方法:通信システム又は使用している機材のエラーが予想不可能であった又は
予備の通信経路があったが使用不可能であったことが立証できれば、出願人又は特許代理人が相当の
注意を払っていたと見なされる。
7
3.4
情報システムの障害
出願人又は特許代理人が、国際出願の情報を保存、構築、送信、受信又は解析するシステムのテク
ニカルエラーであるエラーにより定められた期限内に出願を行うことができなかった場合、出願人又は特許
代理人は相当の注意を払っていたと見なされる。
理由及び証拠の提示方法:予測不可能なエラーが起こった通常使用している情報システム
3.5
事前に予測できない自然災害による理由。つまり、以下のような人間の生命維持に影響する
自然界の危険がもたらす影響。
(1)
風害。家屋、樹木及び建造物に被害をもたらすほどの強力な嵐による災害を意味する。
(2)
火災。制御不能な火による危険災害を意味する。燃料のある場所へ拡大、延焼し、燃料が
増加すると延焼が続き火の勢いが強まり、燃料が燃焼したことによる煙が排出され、火の勢いが強まり続
け、結果として財産や生命を消失させるもの。
(3)
水害。豪雨又は長雨に起因する洪水又は鉄砲水による災害及び危険を意味する。
(4)
地質災害。地震、津波、シンクホール、地すべり、雪崩及び火山の噴火等地質学的な自然
災害を意味する。
理由及び証拠の提示方法:出願人又は特許代理人が自然災害に遭遇したことを示す書類又は証
拠。
3.6
人的要因。例えば破壊行為等。財産、資材、建物、場所、戦闘時に使用する日用品等、
公共事業及びファシリティを破壊するための行為又は様々な業務遂行を阻害若しくは妨害する又は遅
延させること、更には、国の平和、吉祥、利益又は安定を破壊する目的で、人に傷害を与え、政治的、
軍事的、経済的及び社会心理的又はそのうちいずれか一つに混乱を起こすことを意味する。
理由及び証拠の提示方法:出願人又は特許代理人が被害に遭ったことを示す書類又は証拠。
3.7
その他の理由。例えば出願人が重大な事故を起こした又は重篤な疾患にある場合。
4.
審査結果の通知
知的財産局がタイにおける国際出願の有効性を維持するための権利回復上申書の審査を行った場合、
出願人に対し結果を通知しなければならない。
(2015 年 5 月、タイ知的財産局ウェブサイト)
~タイランドサイエンスパークが大学との提携や民間企業の研究施設誘致を進め、研究開発の統合型
ハブとなることを目指す~
国立科学技術開発庁(NSTDA)の研究拠点であるタイランドサイエンスパーク(TSP)は、研究開発の統
合型ハブをタイに建設する計画だと、NSTDA の副長官で TSP 所長の Janekrishna Kanatharana 氏が
8
話した。ネーション紙による単独インタビューにおいて同氏は以下の通り話した。「TSP は民間企業の研究
開発施設設置をパークに誘致し、タイ初の研究開発ハブとなって、ターゲットとなる産業、まずは食品と自
動車部品産業に統合的科学技術ソリューションを提供したいと考えている。更に、民間企業の技術がよ
り長く存続できるよう、民間企業間の研究活動コラボレーションも奨励したい。TSP では最近カセサート大
学の食品イノベーション研究サービスセンターと食品分野のイノベーションの共同開発を奨励する提携契
約を結んだ。TSP は食品に関するバイオテクノロジー分野に強く、カセサート大学は製造プロセス及び製
品開発並びにパッケージに長けているため、この提携によりこれらを結び付け、タイを「世界の台所」として
食品産業のハブとすることを目指している。TSP は 2002 年に 15 億バーツの予算で設立され、この後、北
部のチェンマイ大学、東北部のコンケーン大学、南部のソンクラーナカリン大学にもサイエンスパークが設置
される計画である。TSP には NSTDA 下の国営 4 機関、国立遺伝子工学及びバイオテクノロジーセンタ
ー(BIOTEC)、国立金属材料技術センター(MTEC)、国立電子コンピューター技術センター(NECTEC)
及び国立ナノテクノロジーセンター(NANOTEC)他、多くの主力テナントが入っており、Betagro 社が食品
研究センターを、サイヤムセメントグループが紙、化学品及び建設資材の研究施設を設置している。TSP
のテナントのうち、28%が電子及びコンピューター関連、29%が金属及び材料技術並びにバイオテクノロジ
ー関連である。企業テナントのうち 30%が日本、米国及びドイツなどからの国際企業である。TSP では第
1 フェーズのテナントは埋まり、2014 年から第 2 フェーズの整備を進めており、これには Thai Oil、PTT
Global Chemical、Mitr Phol Sugar Group、Polyplastic 及び Austria Nova が含まれる。
(2015 年 5 月 2 日、タイネーション)
~タイが引き続きアメリカ通商代表部のスペシャル 301 条優先監視国リストに掲載される~
タイ政府は、タイが知的財産侵害の取り締まり、継続的な知的財産知識の普及及び法律の施行に非
常な努力を行ってきたにもかかわらず、タイを 8 年間連続して知的財産権保護の米国の優先監視国リス
トに掲載したことに、失望を表明した。知的財産局の Malee Choklumlered 局長は昨日、タイが長期間
優先監視国リストに掲載されていることは、ネガティブなイメージを作り出すかもしれないが、それは未だ外
国投資家の心理に影響を与えてはいない、と述べた。アメリカの貿易相手国における知的財産権保護の
適切さと効果について測るスペシャル 301 条を振りかざすアメリカ通商代表部(Office of the United
States Trade Representative : USTR)による最新のレビューの後、タイは知的財産権保護が弱い国とし
て、優先監視国リストに残された。タイは 2007 年に優先監視国リストに落とされた。Malee 局長は、タイ
政府はタイの貿易ステータスを監視国に戻すよう、アメリカに納得させるために多大な努力を払うとともに、
知的財産権保護振興のため、多方面からアメリカと緊密に協力して働いてきたが、にもかかわらずアメリカ
は未だに満足しないし、タイに知的財産法改正をせきたてている、と述べた。Malee 局長は、アメリカはタイ
の(訳注:改正後の)法律が未だ施行に至っていないことから、タイの努力に満足しておらず、知的財産権
侵害者に対する罰則の強化を望んでいるようだ、と述べ、しかしながらそれは現在の刑法と重複する規定
となってしまう、と付け加えた。Malee 局長は、来年の優先監視国リストからタイを外す機会を探るため、
知的財産局は Chatchai Sarikalya 商務大臣とすみやかに会談して、知的財産権の保護及び侵害の抑
制に関して効率的に改善するための戦略を検討する予定であると述べた。アルジェリア、アルゼンチン、チリ、
9
中国、エクアドル、インド、インドネシア、クウェート、パキスタン、ロシア、タイ、ウクライナ、ベネズエラの 13 カ
国が優先監視国リストに掲載されており、これら 13 カ国は来年までの間に、”特に強力な二国間の約束
(particularly intense bilateral engagement)”に従うべきとされている。24 の貿易相手国が監視国リスト
に掲載されている。
(2015 年 5 月 2 日、タイネーション)
~タイが引き続きアメリカ通商代表部のスペシャル 301 条優先監視国リストに掲載されているが、それは
偽善である~
アメリカが知的財産侵害に関する年次報告書を公表したが、タイが他の 12 カ国とともに最悪の侵害国と
されていることには、誰も驚かない。報告書はいつもの、そして明白な海賊版映画とソフトウェアについての
長ったらしい説明が繰り返され、タイの役人がこの問題に熱心でないことを責めている。それはまた、タイが
301 条優先監視国リストに掲載された本当の理由である、偽善を表している。先週公表された、アメリカ
通商代表部(Office of the United States Trade Representative : USTR)による 2015 年スペシャル
301 条報告書により、知的財産保護の失敗は明らかにされた。また、公平にいって、タイに対しての特別
な報復、罰則、制裁手段は取られてはいない。アメリカ経済は深く知的財産に依存しており、著作権、
商標、特許は世界最大の経済の生命線であり、バラク・オバマ大統領や通商代表部を含む閣僚は、ア
メリカの権益を保護することにより彼らの職務を果たしているにすぎない。しかしながら本件に関して彼らが
常に正直であるということはない。侵害のひどい、いわゆる、“悪質な 1 ダース”と呼ばれるリストにタイが掲
載された理由は、タイが完全に法に則り公明正大に行った事項の結果である。2006 年と 2007 年に、タイ
政府は WTO のルールである、強制実施権の発動を行った。指摘しておくべきは、アメリカが自身で、非常
事態を宣言し非常に高い特許薬の安価なジェネリック薬を生産するという、世界的に広く受け入れられた
手段の採用を認めていることである。タイ政府は大薬品会社の価格を大きく引き下げるため、AIDS 患者
への 2 種類の薬と心臓薬を提供するために強制実施権発動のルールを用いた。するとすぐに、タイはスペ
シャル 301 条の優先監視国リストに掲載された。2008 年の報告書では、薬の特許を理由にタイのランキ
ングが引き下げられたことが明らかである。以後毎年、USTR のリストは実際に、そして時には誇張して著
作権侵害について述べてはいても、報告書は特許を軽視する“雰囲気”や、強制実施権発動の廃止や、
いくつかのぼんやりとした声明に言及するのみである。アメリカは、タイが特許の国際ルールを破ったと非難し
たことは一度もない。また、アメリカの特許薬メーカー及びロビイストが騒がしかった 2006-2007 年の薬に対
する事項を含め、2008年以降、ワシントンは、タイ政府がそのような法規に従っていると述べたことは一
度もない。ワシントンは、政府間の問題としては存在しない事項を、薬品業界の苦情に従って、タイを世
界最悪の侵害国に位置づけている。これは偽善である。もちろん、アメリカは知的財産侵害国の年次リス
トの公表は、単に国内向けのものにすぎないと主張することはできる。実際の制裁は行われてはいないか
ら、純粋に情報手段にすぎないということもできる。しかしながらそのようにいうことは、もはやこれを真面目
に受け取る国や人々はいかに少ないか、ということである。報告書がアメリカの非常に大きなビジネス権益
によって記載され、手際よく運営されていることは明白である。スペシャル 301 条報告書の問題は全体とし
ての客観性の欠如につきる。しかしながら、報告書は、TPP 協議におけるアメリカのビッグデータに対するさ
10
らなる知的財産権強化の企てと秘密主義の背後に何があるかを示している。
(2015 年 5 月 6 日、バンコクポスト)
~タイの鉄道3路線計画に日本が熱意を示している~
プラユット首相と日本の和泉洋人内閣総理大臣補佐官は昨日会談し、日本側は昨日、タイの高速鉄
道路線計画と、ミャンマーのダウェイ港及び工業団地プロジェクトへの投資に対して、支援の意向を表明し
た。プラジン運輸大臣によると、タイはバンコク〜チェンマイ、カンチャナブリ〜バンコク〜レムチャバン及びバ
ンコク〜サケーオの鉄道路線に関する協力覚書に署名するであろう、とのことであり、メーソート〜ムクダハ
ーンの路線については検討中とのことである。和泉補佐官は、日本がとりわけバンコク〜チェンマイ路線に
関心を有していることを表明した。和泉補佐官は、鉄道以外に、日本はまた、ダウェイ港及び工業団地プ
ロジェクトについて、7 月にタイ及びミャンマーとの三国間合意に署名したいと希望していると述べた。プラジ
ン大臣は、中国との協力による鉄道プロジェクトも同時に進行中であり、4 路線のうち、ケンコイ〜ナコーン
ラーチャシマー間が、他のバンコク~ケンコイ間、ケンコイ〜マプタプット間、ナコーンラーチャシマー~ノーンカ
ーイ間に比べてより準備が整っていると述べた。ダウェイのプロジェクトに対する日本の参画により、イースタ
ンシーボードの開発と同様に、巨額の資金及び建設に必要とされるリソースを日本が提供することで、計
画の実現性が高まることが期待されている。ダウェイプロジェクトはカンチャナブリに近いため、多くの日本企
業が投資を行っている、カンチャナブリ〜バンコク〜サケーオの鉄道路線がタイとミャンマーの間の重要な交
通路となるとみられている。
(2015 年 5 月 12 日、バンコクポスト)
~タイに三菱自動車がテストコースを開設~
三菱自動車はタイ、アセアン及び他地域における競争力を改善するための研究開発強化を目的として、
同社初となる国外テストコースをタイに開設した。タイは三菱自動車最大の生産・輸出拠点で、レムチャ
バンにある工場 3 ヵ所の生産能力は年間 33 万 5,000 台になる。このテストコースはチョンブリー県のシーラ
チャー郡に設置され、95 ライ(訳注:約 152,000 ㎡)の敷地に多目的テストトラック、NVH(騒音、振動及
びハーシュネス)テストコース、分析テストエリア及び 1.5km の一般走行サーキットの 4 タイプのテストコース
がある。三菱自動車によれば、これらのコースは日本にある三菱自動車工業株式会社のテストコースと
同一で、どちらでテストを行っても同じ結果が得られるということである。タイのテストコースはタイ、アセアン
及び他地域向けに開発された三菱自動車の新型及びマイナーチェンジを行った車種に使用される予定
である。この新しいテストコースにより、タイで製造される新型及び現存モデルについて、異なる運転環境
での製品の性能評価、実質的立証試験、日本が冬の期間の高温気候下のテスト、開発効率の向上、
開発及び生産準備段階での製品品質試験、自動車の競争力改善が可能となる。
(2015 年 5 月 15 日、タイネーション)
~タイ味の素が AEC 発足に向けたローカライゼイション戦略とタイにおける飲料発売について話した~
日本の味の素はアセアン全土の関連会社に「ローカライゼイション」の基本コンセプトを適用している。アセ
11
アン各国の市場は都市化の程度に違いがあり、これが消費者の行動とニーズに異なる影響を及ぼす。
Ajinomoto Co (Thailand)の加工食品・飲料部門のマネージャーであるエムラ ハルヒコ氏は、以下の通り
話した。「アセアン経済共同タイ(AEC)が今年終わりまでに発足する予定となっているが、味の素は既にタ
イ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、カンボジア及びフィリピンを含むアセアンの多くの国に関連会社を持
っており、これら関連会社は全てローカライゼイションのコンセプトを適用している。更に、関連会社各社は
資産とビジネスチャンスの活用の面で一定の協力を行っている。味の素タイランドがラオス市場への商品販
売も担当しており、ミャンマーへの飲料及び加工食品事業の展開についてもビジネスの可能性を調査中
である。味の素は 1993 年に缶コーヒー「Birdy」の販売を開始し、タイにおける飲料事業を開始した。
Nielsen のデータによれば、タイの缶コーヒー市場は現在 100 億バーツ規模で、Birdy はシェア 70%である。
味の素は 12 年前に 3-in-one の粉末インスタントコーヒーをタイで発売した。この商品は現在市場シェア
10%で、シェア 55%の Nescafe 3-in-1 に次いで第 2 位である。味の素ではタイを Birdy 缶コーヒーと関
連商品の近隣諸国への輸出拠点とする調査を進めている。味の素はタイで新しいタイプの商品を発売し
たところである。Spark Shot は味の素初となる粉末栄養ドリンクで、市場規模 200 億バーツという栄養ドリ
ンクのポテンシャルの高さから、タイが Spark Shot を販売する最初の国に選ばれた。タイの栄養ドリンク市
場は、地元ブランドの M-150、Carabao Dang 及び Krating Daeng に独占されている。味の素では機能
性飲料等、栄養ドリンク以外にも可能性を持った飲料を近い将来タイで発売すべく調査を行っている。
味の素では日本で Amino Vital ブランドでアスリート向けの機能性飲料を発売している。味の素タイランド
の利益のうち飲料が占める割合は 30-40%、加工食品は 10%となっており、調味料による利益が
60-70%と未だ最も高い。」
(2015 年 5 月 16 日、タイネーション)
~タイ電気自動車製造工場設置に向け日本の FOMM 社が共同出資者を探している/タイの Loxley
社は中国の BYD 社から電気バス等の輸入で提携~
日本の自動車技術のパイオニアである FOMM 社は、タイを電気自動車の欧州への輸出拠点とすることを
目指し、タイで電気自動車製造工場を設置するのに共同出資者を探している。FOMM 社は社名を
「First One Mile Mobility」の頭文字から取っている。代表取締役の鶴巻日出夫氏は、同社の 2 モデル
目となる電気自動車、コードネーム「FOMM Compact EV」の研究と開発に 1 年を費やし試作品が完成
したので、現在製造工場設置に共同出資をしてくれるタイのパートナーを探していると話した。鶴巻氏はこ
の動きはタイが電気自動車の製造と技術開発のハブとなるのをサポートするだろうと話した。FOMM 社は
できるだけ多くの技術をタイの自動車部品製造に移転する予定で、タイの製造工場に対する税額控除を
求めている。鶴巻氏は FOMM Compact EV を主にタイの部品を使って製造することを目指していると話し
た。現在タイには PTT(タイ石油公社)のガソリンスタンド、主にバンコクの 6 箇所と首都圏配電公社のスタ
ンド、バンコク周辺の 10 箇所の公共の電気自動車充電スタンドがある。一方でタイの Loxley 社は最近、
公共輸送用電気自動車と電気乗用車のタイへの輸入について中国のバッテリー及び電気自動車メーカ
ーBYD Auto Industry と提携した。BYD 社の電気バス「K9」と電気乗用車「e6」が最初のモデルとして発
売される予定である。Loxley 社は電気バスについては政府機関、国営企業、学校、大学をターゲットとし
12
て、電気乗用車については政府機関、国営企業、レンタカー会社、タクシー及びホテルをターゲットとして、
タイで初めての電気輸送の製造拠点を設置する計画である。Loxley 社は BYD 社と協力しバンコクとその
周辺にサービスセンター5 箇所と充電スタンドを設置する計画である。同社はバンコク大量輸送公社に
BYD 社の電気バスを紹介する予定である。
(2015 年 5 月 19 日、タイネーション)
~タイにクボタが研究開発センターを設置する~
農機具メーカーであるサイアムクボタコーポレーション(Siam Kubota Corporation : SKC)は、60 億バーツを
投じてタイに研究開発ユニットを設立する。この動きは、ASEAN 市場への販売のための、同社の農業機
械の生産拡大をにらんだものである。SKC はパトゥムターニー県のナワナコーン工業団地に 14 ライ(訳注:
22,400 ㎡)の区画を研究開発施設のために確保しており、竣工は来年 4 月に予定されている。この研究
開発プロジェクトはタイ投資委員会(Board Of Investment : BOI)から特典を得ている。川上寛 SKC 社長
は、研究開発部門で開発されるクボタ製品は、ASEAN の顧客のニーズと要求にマッチしたものであり、いく
つかの製品は、現在日本から輸入して異なった農耕環境及び活動に適合するように改造改良されてい
るものであると述べた。新たな研究開発部門で開発されるトラクター、コンバイン、ディーゼルエンジン、耕
運機といった製品は、おもにタイ及び ASEAN 各国に販売される。昨年、SKC は 460 億バーツを売り上げ
たが、そのうち 70%がタイ国内の販売である。クボタの輸出の 60%超がカンボジア、ラオス、ミャンマー向けで
あり、残りは主にフィリピン、インドネシア、インド向けである。川上社長は、昨年、カンボジア及びラオスに
販売子会社を設置した結果、販売額が 150%増加した、と述べ、来年にはミャンマーに販売拠点を設立
予定であるとした。トラクターが農業機械の販売額の 60%を占めている。
SKC はクボタとサイアムセメントグループが 60:40 で出資し、2010 年 8 月に設立された合弁企業であるが、
クボタの農業機械自体は、タイで約 37 年間にわたって販売されている。川上社長は、主としてミャンマー、
ラオス、カンボジアでの販売強化により、向こう 5 年間で、輸出を 30-40%増加させる計画であると述べた。
川上社長は、本年末のタイのアセアン経済共同体(ASEAN Economic Community : AEC)への完全加
入は SKC にとって大きな挑戦であり、競争は激しくなるであろうが、より大きな市場、すなわちより多くの顧
客に出会う機会が増えるということである、と述べた。川上社長は、ASEAN 各国の間でも、いろいろな農
業や事業活動の方式の相違に基づく顧客のふるまいにいくばくかの相違があり、研究開発センターは、
ASEAN の特別な市場における、顧客のニーズ及び要求に適した製品とサービスを保証する重要な役割
を果たすものである、と述べた。川上社長はまた、研究開発センターは市場、経済状況、顧客の要求を
よりよく理解することに関してもまた、会社に利益を与えるものであり、競争相手をしのぎ顧客満足度を増
加させるための傑出した製品とサービスをどのように改善していくかについてのよりよい理解を会社に与える
ものである、と述べた。SKC はタイのナワナコーン工業団地とチョンブリー県のアマタナコン工業団地の 2 箇
所に主な施設を有している。BOI の特典を得て、SKC はナワナコーン工業団地に農業用ディーゼルエンジ
ンと耕運機、それぞれ年産 10 万台及び 13 万台の生産能力を有する最初の工場を建設した。アマタナコ
ン工業団地の 2 番目の工場は約 7 年前に開設され、トラクター、収穫機、ロータリー耕運機をそれぞれ年
産 5 万台、7 千台、3 万 4 千台製造する能力を有している。川上社長は、SKC のトラクターの 90%はタイ
13
で作られているが、残りの 10%は日本のクボタ本社から輸入していると述べた。SKC は 4 年前に、トラクター
用エンジンの工場をプラーチーンブリー県の 304 工業団地に開設している。
(2015 年 5 月 19 日、バンコクポスト及びタイネーション)
~タイと日本が産業財産権の保護についての覚書に署名する~
タイ内閣はタイ知的財産局(Department of Intellectual Property : DIP)と日本特許庁との間の産業財
産権保護に関する覚書への署名に合意した。Sansern Kaewkamnerd 政府スポークスマン代行が昨日
語ったところによると、覚書は来週月曜及び火曜に日本で開催される、第 5 回・日アセアン特許庁長官
会合にて署名されるとのことである。この覚書は、専門知識の交換、産業財産権に関する情報の双方向
アクセス、情報通信技術システムのアップグレード、閲覧及び登録過程の標準化を含む、両国間の幅広
い分野の協力をカバーするものとなる。Sansern 政府スポークスマン代行は、この覚書への署名は、産業
財産権を保護するためのタイの規則の標準化に資するものである、と述べた。これとは別に内閣はまた、
電気電子機器廃棄物を管理する法律を承認した。Sansern 政府スポークスマン代行は、過去数年間、
電子電気製品に対する需要は急激に増加したが、それらの廃棄物の処分を管理し規制する法律や規
則が存在しないことから、この法律は、電気電子機器廃棄物が含む化学物質を正しい方法で処分する
ことを義務付ける、環境保全のために非常に重要なものである、と述べた。昨日承認された別の法律は、
7 つの物品税をまとめて 1 つの法律にすることで、物品税を支払う人にわかりやすく、また、物品税を徴収
する公務員によるすべての関連情報へのアクセスを改善して情報を集めやすくしたものである。Sansern ス
ポークスマン代行は、新たな規則は、売買及び工場出荷価格のいずれかに基づいていた物品税が有して
いた抜け穴を塞ぐであろうと述べ、これより物品税は推奨小売価格に基づいてのみ決定され、これにより
徴税過程での効率性と透明性が増すであろう、と述べた。
(2015 年 5 月 20 日、タイネーション)
~タイの AIDS 患者支援団体が C 型肝炎治療薬の強制ライセンスを要求する~
Aids Access Foundation は、Ozone Foundation、Foundation for Aids Rights、Thai Aids Treatment
Action Group 及び Rural Pharmacists Association とともに、昨日、保健省(Public health ministry)に
対し、C 型肝炎治療薬のソフォスブビルの価格を抑え薬を入手しやすくするために、強制実施権を使用す
るよう申し入れた。Aids Access Foundation の Nimit Tien-Udom 部長は、130 万人にも及ぶ C 型肝炎
の患者は、1 錠あたり 1 千米ドル(約 3 万 2 千バーツ)という、アメリカの会社の C 型肝炎治療薬の過度
に高すぎる価格に悩まされていると述べ、患者には治療全体でこの薬が 90 錠必要であるから、250 万バ
ーツ超かかることになる、と述べた。Nimit 氏の調査によれば、インドの製薬会社が製造するソフォスブビル
は 1 錠 71 バーツにすぎない。Nimit 氏は、ギリアド・サイエンスのタイにおけるソフォスブビルの特許登録に成
功した場合、保健省に強制実施権を行使するよう、要請することを目標としていると述べた。昨年 12 月
末に、Nimit 氏のグループは知的財産局(Department of Intellectual Property, DIP)に対し、薬の化学
成分がすでに明らかであり、また、C 型肝炎患者に重要な薬であることを理由に、ギリアド・サイエンスのタ
イにおけるソフォスブビルの特許登録を再考するようにとの申し入れを行ったが、未だに返事はない。公衆
14
衛生省事務次官補の Surachet Satitramai 博士は、この問題を商務省及び食品医薬品局(Food and
Drug Administration : FDA)と話し合うように、との Nimit 氏のグループからの申し入れを受け入れた、と述
べた。Surachet 事務次官補は、法の運用に関して、国民と製薬会社に対し公平に行うことを確約した。
(2015 年 5 月 21 日、タイネーション)
~タイ知的財産局アセアン経済共同体発足に向けたセミアニュアルレポート~
タイ知的財産局はアセアン経済共同体発足に際する事業者向け知的財産準備計画を立ち上げた。こ
の計画は事業者、輸出者、教育機関、政府機関及び民間企業がアセアン経済共同体加盟に向け知
的財産権に関する知識・理解を深め、準備を進めることを目的としたもので、知的財産局は知的財産
登録の利便性向上、アセアン諸国におけるタイ知的財産の保護、アセアン諸国での知的財産計画の実
施のためアセアン各国と WIPO とネットワークを構築する。計画は以下 7 事業により構成され予算 2632
万 1,600 バーツが当てられる。
1.
事業者、輸出者、教育機関、法律事務所、政府機関及び民間企業を対象とした知的財産権に
検する知識・理解の構築。予算 462 万 6,800 バーツ。うち 214 万 992.63 バーツ、約 46.27%を既に
使用。
2.
アセアン諸国と WIPO とのネットワーク構築。予算 240 万バーツ。うち 50 万 3,923.87 バーツ、約
20.99%を既に使用。
3.
国際条約批准に関する研究調査のアドバイザー雇用。予算 261 万 2,800 バーツ。
4.
アセアン諸国の審査登録マニュアルの翻訳、マドプロ及びハーグ条約に関する研究チーム雇用。予
算 128 万 2,000 バーツ。
5.
アセアンデザインコンテストの実施。予算 100 万バーツ。
6.
アセアン及び中国への輸出者向けセミナー実施。予算 170 万バーツ。
7.
新規開発された特許システムをサポートするための特許出願及び特許文献のデータ入手。予算 680
万バーツ。
8.
新規開発された商標システムをサポートするための商標出願及び関連文献のデータ入手。予算 760
万バーツ。
(2015 年 5 月 21 日、タイ知的財産局ウェブサイト)
~タイのプラユット首相は来年の経済成長を 4.7%と見込んだ~
プラユット首相は、来年の経済成長が 3.7%から 4.7%になるとの見通しを述べた。首相は昨日、国民立法
議会(National Legislative Assembly : NLA)によって 2016 年予算の最初の審議が行われた際に、その
予測を行った。同日に相続税に関する 2 回目及び 3 回目の審議も予定されていたが、予算に関する審
議が予想以上に長くかかったため、次回会合に持ち越された。プラユット首相は、世界経済が好転するこ
とによりタイの輸出が支えられることとなり、また、農作物の価格も安定して上昇傾向にあることから、2015
年よりも 2016 年の経済成長が期待できるとした。首相は、輸出の 70%が農産物であるため、農作物の価
格が上昇し(今年に比べて)外需が伸びれば、輸出を取り巻く環境は来年には好転する、と述べた。
15
2016 年予算案の審議中、ほとんどの NLA の議員は投資予算を増加するとした政府決定を称賛したが、
研究開発によりいっそうの割り当てを求める声もあった。NLA 議員である Somchai Sawangkran 氏によれ
ば、研究開発予算は、付加価値及びハイテク製品の創出を支援するため、現在の 2016 年度予算がそ
の 1%(254 億 6 千万バーツ)を割りあてているところ、2017 年度予算では 3%に増加させるべきである、と
述べた。予算案が通過した場合、2016 会計年度の投資予算は 5,436 億 3,500 万バーツとされ、2015
会計年度より 941 億 6 千万バーツ、20.9%の増加となる。これらの予算のほとんどが治水対策、基礎イン
フラ、道路の接続及び学校建設に充てられる。2016 年の政府予算は GDP の 20.4%となり、これは 2015
年予算と同額である。2016 年会計年度は 2015 年 10 月 1 日に開始される。
(2015 年 5 月 22 日、タイネーション)
~中国で開催されたカントンフェアの取引額は減少するも珠江デルタ地区では先端技術で取り引数を増
やしている会社もある~
2015 年 5 月 5 日まで中国広東省の広州で第 117 回中国輸出入商品交易会が開催された。「カントン
フェア」として広く知られるこのイベントは半年に一度開催され、期間中の取引額は中国の貿易の状態を
表す指標として使われている。今回の取引額は 280 億 5,000 万 USD と、前年比で 9.64%減少した。フ
ェアの広報担当者である Liu Jianjun 氏は,
海外市場の需要低迷により、中国の輸出者の多くは、競争力を高め海外からの受注を増やす唯一の方
法はイノベーションと先端技術によるものであると気付いたと話し、輸出の全体的な落ち込みの原因は EU
において経済回復が遅れていることと外需が低迷していることにあると付け加えた。同氏は中国の輸出者
は国際的市場を開拓するためには、これ以上労働集約型生産及び低付加価値商品に依存するべきで
はないと話している。中国商務部が 5 月 5 日に発表した対外貿易に関する報告書では、米国と EU の
年間輸出額が過去 5 年間でそれぞれ 9%、8.2%伸びていることを引き合いに、高額商品の輸出はこれら強
国との厳しい競争に直面するという予測が述べられている。一方で中国南部の製造貿易の拠点である
珠江デルタ地区で先端技術を用いてイノベーティブなブランドを構築した輸出者らは、ここ数ヶ月間海外
のバイヤーとの取引締結を増やしてきた。このうちリモコン型無人機、ドローンを製造する広東省深セン市
の Radiolink Electronic 社は、4 月に 100 万台以上のドローンを販売した。
(2015 年 5 月 8-14 日、チャイナデイリー)
~中国アリババ社がフランス Kering 社から偽造品販売について米国で提訴された~
中国の E コマース大手アリババは月曜、フランスのアパレル企業 Kering Group が起こした訴えを根拠のな
いものだと非難した。Gucci、Saint Laurent、Alexander、McQueen 及び Puma 等ブランドを保有する
Kering Group はアリババが同社商品の偽造品を販売しているとしてアリババ社を提訴していた。中国の国
営メディアは、Kering 社の商品の偽造品を世界中で販売していたとして、米国の証券取引所に上場して
いるアリババ社に対し、Kering 社が先週ニューヨークの裁判所に訴訟を提起したと報じている。アリババ社
側はこの裁判を戦う計画であると話している。アリババ社が運営する電子商取引サイト Taobao は、中国
の消費者間取引市場で 90%以上のシェアを持つ他、同社の Tmall.com は中国における B to C 市場の
16
半分以上を占めていると見られている。中国国営メディアによれば、Kering 社はこれより前の 2014 年 7
月にもアリババ社を提訴していたが、両社で偽造品減少に協力することに合意した後、訴えを取り下げて
いた。市場の秩序を規制する中国国家工商行政管理総局は今年 1 月、Taobao から取り寄せたサンプ
ルのうち真正品はわずか 3 分の一しかなかったとアリババ社に対し異例の糾弾を行った。
(2015 年 5 月 20 日、タイネーション)
~香港の知的財産での成功が歓呼をもって迎えられる~
昨年 12 月、第 4 回 Business of IP(BIP)アジアフォーラムが、世界 36 の国・地域から 2,000 名以上の専
門家、ビジネスリーダー、50 近くの出展者、80 人に上る国際的名声を有するスピーカーを集めて開催され、
梁振英 香港特別行政区行政長官がオープニングセレモニーで挨拶した。このことは、香港の知的財産
サービスのハブとしてのポジションを強調するものである。香港は知的財産交易の市場としてめざましく発
展しており、外国の知的財産に対する巨大な需要により、多くの会社がアジア内外の知的財産所有者と
ともに働くために、香港に地域本社を設立するようになった。特に、中国本土は、香港を中国本土が世
界へつながるための申し分のない基地とみなしている。中国本土の増大する知的財産所有者の数がマー
ケティングのチャンネルと国際的な拡大のための知的財産専門家を探しており、そのために香港はしっかり
とした役割を果たしている場所である。フォーラムのキースピーカーであり、ソニーコーポレーションオブアメリカ
知的財産担当上級副社長である御供 俊元(みとも としもと)氏は、香港は中国本土への重要な入口
の一つである、と述べ、BIP アジアフォーラムは多くのアジアの知的財産のトップリーダーに会うために最も効
率的な機会であると述べた。地域の知的財産開発によってなされた進歩の証明として、2013 年の BIP ア
ジアフォーラムに先立って、Asia IP Exchange がビジネスサイトとして再発足している。フォーラムの前日に、
北京、フィリピン、ニュージーランドからの新たなパートナーと香港との間で、知的財産産業における協力強
化及び情報交換強化のために戦略提携覚書が結ばれた。第 5 回 BIP アジアフォーラムは、本年 12 月 3、
4 日に開催予定である。
(2015 年 4 月 24 日-30 日、チャイナデイリー)
17