NAFA Spring Seminar 2004 「今期の展望」 〜Debaterの視点から〜 担当 関 真一郎(UT新3年) 佐々木 翼(UT新3年) この講座の位置づけ 「今期の展望」 経済的アプローチ(仲村) 論題の背景を理解するうえで必要な、経済についての基 礎知識を解説。 ディベート的アプローチ(この講義) 実際に試合を進めていくうえで、どういった戦略が考え られるのか、議論の種を提供する。 この講座の構成 前半(関) スタンダードな プランについて Netの議論が中心 後半(佐々木) 様々なプランを扱う CP、Fiatなど、 Theoryが中心 講座概要(前半・関担当分) 論題について Plan Action ADとDAの検証 具体的事例とPlanの検証 どのようなスタンスから論じるべきか 第1章 「論題について」 1-1. 今期の論題 Resolved: That Japan, the People‘s Republic of China, the Republic of Korea, and all the ASEAN members should each abolish its domestic currency and jointly adopt a common currency. 日本・中国・韓国および全ASEAN加盟国は,自 国通貨を廃止し,共通通貨を採用すべきである。 1-2. どの国がプランの対象となるのか 日本 中華人民共和国 (香港を含む) 大韓民国 全ASEAN加盟国 1-3. ASEANとは? Association of Southeast Asian Nations 東南アジア諸国連合 設立 1967年8月8日、於:バンコク 目的 域内における経済成長、社会・文化的発展の促進。 地域における政治・経済的安定の確保。 域内諸問題の解決。 原加盟国 インドネシア マレーシア フィリピン シンガポール タイ 新規加盟国 ブルネイ(84) ベトナム(95) ラオス(97) ミャンマー(97) カンボジア(99) • 以上10ヶ国 日本の約12倍の面積 人口は5億人以上 経済規模は 日本の約8分の1 中国の約半分 第2章 「Plan Action」 2-1.様々な通貨制度 スタンダードなアクション 新しい統一通貨を作り、旧通貨は廃止 その他のバリエーション 新しい統一通貨を作るが、旧通貨は存続 固定相場制へ移行 円や元などを統一通貨にする ドルやユーロを統一通貨として採用する 枠組みを変えて通貨統合 アジア各国の通貨制度 変動相場制 日本・韓国・タイ・フィリピン・インドネシア ドル・ユーロなどの主要通貨はすべて変動相場制 固定相場制(ドル・ペッグ) シンガポール・中国(香港を含む)・ブルネイ・マレー シア・ミャンマー・カンボジア・ベトナム・ラオス ※固定相場制とした国の中には、自分たちで変動相場制であると 主張している国もあるが、事実上対ドルレートが固定されてい るとして差し支えないため、固定相場制の中に含んだ。 アジア各国の通貨 日本 円 ブルネイ ドル 韓国 ウォン カンボジア リエル 中国 人民元 フィリピン ペソ タイ バーツ ミャンマー チャット シンガポール ドル ベトナム ドン マレーシア リンギ インドネシア ルピア ラオス キップ 香港 ドル ※シンガポール・ブルネイ・香港のドルは、名前は一緒だが 米ドルとは別物。それぞれ独立した一つの通貨。 2-2. 通貨統合 EURO EU加盟国の一部が採用。 ベラルーシ 2005年から、ロシアのルーブル を唯一の流通通貨として採用。 エクアドル 2000年に通貨を米ドルに統合。 GCC(湾岸協力会議) バーレーン、クウェート、カタール、オマーン、サウジア ラビア、アラブ首長国連邦の6カ国が、2010年の共通通貨 導入に合意。 アンザックドル オーストラリアとニュージーランドが検討。 メルコスール(南米南部共同市場) ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4カ国が共 通通貨を検討 第3章 「ADとDAの検証」 3-1. 共通通貨で何が変わるのか 経済交流はどう変わるのか? 通貨政策はどう変わるのか? コストの観点から 3-2「経済交流はどう変わるのか」 3-2-1.経済交流 日本とアジアの経済関係 同じ単位で表示されることで、価格差が透明 化され、わかりやすくなる。 通貨を交換するときに銀行が取っていた、 為替手数料が必要なくなる。 ユーロの場合、1ユーロあたり1.5円の手数料。 ありぞな銀行 統一通貨圏内で、為替変動のリスクがなくなる。 Japan 1個 300円(3円=バーツ) Thailand 1個 250円(2.5円=バーツ) 1個 200円(2円=バーツ) 自動車会社 1個100バーツ 部品工場 実際、通貨価値は大きく変動している。 アジア通貨危機の影響 この変動がなくなれば、もっと安心して海外の企業 と受注契約を結べるはず。 通貨圏の内部での関係 国を超えた経済交流がさらに進む。 通貨圏の外部との関係 経済のブロック化・地域主義が進み、外部の締出 しが起こりうる。 3-2-2.通貨圏内部での変化 通貨圏内での貿易・投資が活発化する(一般に、貿易・ 投資の拡大とGDPの間には、相関関係がある)。 市場が1つに統合され、企業戦略を一本化できる。 競争により、品質の良い製品が域内に行き渡る。 AD 競争の激化により、途上国の産業がダメージを 受ける。 分野によっては、品質の割に安い中国・韓国製 品への需要が拡大し、日本などの先進国もダ メージを受けうる。 自由貿易を認めれば、先進国の農業は太刀打ち できない。 DA 参加国全体でみれば、おそらく経済交流の進 展はプラスになる。 一方で、国家間での分業が進むため、格差の 拡大や、国としての自立性が問題になる可能 性もある。(一種のモノカルチャー化) Japan Philippines 「最適通貨圏」理論 マンデル(99年ノーベル経済学賞)が提唱。 ある地域で、通貨統合によるメリットとデメリッ トのどちらが大きいのかを判断するための理論。 「最適通貨圏」の条件 経済が相互に開放的 産業構造が分散・類似している 域内での資本・労働力の移動が自由である 経済動向(インフレ率等)が収斂している 賃金・物価の伸縮性が大きい 果たしてアジアは最適通貨圏の条件を満たし ているのか? ただし、ユーロの場合にもすべての条件を満たしていたとは言い難 い。学説も、当初批判的だったものの、実際に導入してからは肯定 的な方向に傾きつつあるため、やってみなければわからない、とい う部分も大きい。 3-2-3.通貨圏外部との関係 市場を外部の国々(特にアメリカ・ヨーロッ パ)に奪われず、自分たちで利益を守ること ができる。 為替手数料 為替リスク 価格の不透明性 etc… U.S. / E.U. 通貨の壁 ASIA AD 欧米で良い製品が作られていても、それと競争する ことがないため、結果的にアジア市場全体での品質 が下がり、消費者は損をする(今よりまし?) 締め出された欧米諸国の反発。 為替手数料 為替リスク 価格の不透明性 etc… U.S. / E.U. 通貨の壁 ASIA DA 3-3「通貨政策はどう変わるのか」 3-3-1.通貨の安定の必要性 なぜ通貨の安定が必要なのか? 為替変動により、企業収益は大きく変化。 Japan 1個 300円(3円=バーツ) Thailand 1個 250円(2.5円=バーツ) 1個 200円(2円=バーツ) 自動車会社 1個100バーツ 部品工場 円高が進めば、輸出は減少する。 Japan (円=0.4バーツ)40万バーツ Thailand (円=0.35バーツ)35万バーツ (円=0.3バーツ)30万バーツ 自動車会社 1台100万円 消費者 実際、通貨価値は大きく変動している。 アジア通貨危機の影響 対ドル相場が1円上がった場合の影響 トヨタ :年間250億円の減益 日産 :年間100億円の減益 松下 :年間50億円の売り上げ減 キャノン:年間61億円の売り上げ減 ※対アジア通貨相場ではなく、またアジア以外の地域の影響も含んでいることに注意。 福井日銀総裁 「最近の円高は景気の下振れリスクになりかねない」 毎日新聞 「輸出だけを頼りにする回復だから、1ドル=110円にな り輸出の伸びが止まったら、景気は腰折れする」 為替変動によって変わるのは、物の値段だけ ではない。 お金そのもの価値も変わる。つまり、他の国 からの借金(債権・債務)の額も上下する。 「ドル建ての債券」(債券とは、借金の証明書のようなもの) 債権国 (貸す側) 1ドル 1ドル = 40バーツ 1ドル 1ドル = 20バーツ? 債務国 40バーツ? (借りる側) 80バーツ? 通貨危機の仕組み アジア諸国の通貨はすぐに変動して不安定なので、 自前の通貨建ての債券では、誰も買ってくれない。 このため、ドル建ての債券を使って借金していた。 1997年、ジョージ・ソロスをはじめとするヘッジ ファンドが攻撃を仕掛け、(タイの変動相場制への 移行などの経緯を経て)各国の通貨を暴落させたた め、ドル建ての借金が膨れ上がり、タイをはじめと する東南アジア諸国では、国そのものが破産状態と なった。 通貨危機の影響 ドル建ての債券を使って資金運営をしていた銀行・企 業も、借金が膨張して大赤字に。貸し渋りも進行。 通貨暴落を受け、国内ではインフレが進行。 消費は激減 信用を失い、海外からの投資も激減 企業の倒産・リストラを受け、失業率が激増 通貨危機前後のGDPの変化 3-3-2.通貨の安定のために 何が問題だったのか? 外部からの売買で変動しやすい、弱い通貨 通貨の変動率の大きさ そこに起因する、国際的な信用のなさ(このため に、ドル建てでしか借金ができない) 一定の比率で各通貨を統合すれば、為替の変 動を相殺し、より安定した通貨が得られる + 通貨の背景となる資金量が大きければ、価値 を変動させるのにより多くの資金が必要とな り、攻撃しにくくなる。 A国 B国 C国 攻撃 ヘッジファンド 統一通貨 為替変動のリスクを小さくできる。 通貨の信頼性が向上し、自前の通貨建ての投資 が増える(自前の通貨でも債券が売買できる) 通貨危機のリスクを回避できる。 対等の立場から、ドル・ユーロをにらんだ大局 的な通貨運営ができる? AD 3-3-3.ドル支配からの脱却 通貨統一によって、自前の通貨建ての債券は確実に 増加する。 実際、欧州の場合はユーロ建債が激増した。 1981年時点では、 欧州通貨建取引は わずか13%だった。 なぜドル建ての市場がいけないのか。 通貨の暴落により、借金が膨れ上がる(通貨危機) ドル支配の下では、米国の独善的な通貨政策を黙認 することになる。 ドル建て債券 (財産) ドル建て借金 アメリカがドルを増刷 Philippines 財産価値が縮小 借金が縮小 U.S. 3-3-4. 通貨政策 中央銀行とは? 各国に1つずつあり、その国の通貨を発行・回収で きる唯一の存在(日本の場合は日本銀行) 個人や企業に対してではなく、銀行にお金を貸す。 通貨量の調整・市場介入・公定歩合の調整などを通 して、経済の動向をコントロールできる 正式名称は 「日本銀行券」 中央銀行による通貨政策の例 インフレの場合:通貨供給量を減らす デフレの場合 :通貨供給量を増やす 輸出を増やしたい場合:ドルを買う 安く輸入したい場合 :ドルを売る 「1つの国に、1つの通貨政策」が当然だった 通貨統合 「複数の国に、1つの通貨政策」となる 果たしてこれで大丈夫なのか? 全体で1つの通貨政策しかとれず、経済へのき め細やかな対応ができなくなる。 「マレーシアではインフレだが、日本ではデフレ」 「韓国は輸出を増やしたいが、逆にマレーシアは部品を安 く輸入したい」 といった場合に、どちらかに偏った対応しかできなくなる 調整機能が失われ、一度経済がつまずくと、そ こから立ち直るのが難しくなる。 DA トレードオフ関係 2つを優先すると、 かならず残りの1つ が犠牲になる。 Open Economy 為替の安定 政策の自主性 今の日本 今の中国 開放経済 開放経済 共通通貨 為替安定 自主性 開放経済 為替安定 為替安定 自主性 自主性 3-4「コストの観点から」 3-4.コスト 通貨を交換するときに銀行が取っていた、 為替手数料が必要なくなる。 ユーロの場合、1ユーロあたり1.5円の手数料 ありぞな銀行 AD 銀行は手数料収入を得られなくなる。 新通貨の発行にコストが必要。 価格表示の切り替えなどにコストがかかる。 特に金融機関は、商品の練り直しが必要。 ※ユーロの場合、初期投資は金融機関だけで約130億ドル DA 為替手数料が問題なら、CP「為替手数料を廃 止」でキャプチャーできる。いずれにせよ、大 した額ではない 初期投資も、長い目で見れば大したことはない いずれも、通貨統合の本来の意義・争点とはか け離れたADとDA。こんなつまらない小さなこ とが、今期の議論の中心になってはならない。 3-5.まとめ 交流・競争の推進はいいことなのか 貿易が活発化し、全体としては恐らく経済は成長 競争の激化により、格差が拡大する恐れも 通貨の安定と、自立した通貨政策のどちらが 大切か 為替リスク・通貨危機の回避は大きなメリット 個別の通貨政策をとれないと、経済運営に支障も 一応、コストの問題も(非常に小さい) 第4章 「具体的事例とPlanの検証」 4-1. EUROの場合 設立 99年に設立、2002年から流通開始 フランクフルトの欧州中央銀行が管理 参加国 15あるEU加盟国のうち、11カ国でス タート 2001年にギリシャが参加 イギリス・デンマーク・スウェーデンは不 参加。 通貨統合までの歩み 1958年 1967年 1979年 1993年 1994年 1999年 2002年 欧州共通通貨の構想 EC(欧州共同体)発足 EMS・ECU(欧州通貨単位)設立 EU(欧州連合)発足 市場統合が完成(関税撤廃) EMI(欧州通貨機構・欧州中央銀行の 前身)設立 ECU廃止、ユーロに移行 ユーロ通貨流通開始、各国通貨廃止 EUの取った、DAを抑えるための政策 自国通貨を廃止してユーロ一本にしぼる前に、ECU という架空の統一通貨を作り、各国の為替変動を、 なるべくECUに対して一定の範囲内に納めるように 求めた(経済動向の収斂) 経済状況の悪い国の影響が他の国に波及することの ないよう、ユーロ参加に一定の条件を課した 労働市場の開放・関税の撤廃などを通じて、貿易拡 大によるメリットを最大限に生かせるようにした EUとアジアの比較 EU アジア 関税 撤廃済み 保護貿易 労働市場 開放済み 未開放 産業構造 類似 バラバラ 経済水準 一定 バラバラ EUと今のアジアでは、状況があまりにも異なる Plan Actionの検証 ユーロを参考にするのであれば、自由貿易協定 (FTA)による関税の撤廃・労働市場の開放をPlan Spikeとして検討すべきかもしれない。 ユーロの場合、構想から実現まで約40年かかった。な にも今すぐにPlanを導入する必要はなく、もっと長期 的な視点で導入のプロセスを考えても良い。 4-2.アジア共通通貨構想 アジア通貨単位(ACU)構想 現在の通貨は廃止せず、架空の通貨バスケットACU を創設する(債券市場などにメリット) アジア自由貿易地域(AFTA)構想 アジア諸国間で関税等を撤廃し、市場統合を進める 日本も、すでにシンガポール・メキシコとFTAを締 結している。 ※労働市場の開放については、2003年のASEAN会合で「時期尚早」と 先送りされた。 アジア・モデル 第1段階 APEC共通通貨単位の発足 第2段階 APEC共通通貨単位市場の成立と発展 第3段階 アジア各国通貨のAPEC共通通貨単位へ の一定の変動幅を持つ連動 第4段階 APEC域内金融財政政策のサーべライス 強化と一定方向への政策と経済実体の 収斂(しゅうれん) 第5段階 APEC共通金融政策の策定 第6段階 APEC共通通貨同盟の発足 4-3.その他の共通通貨構想 GCC(湾岸アラブ6カ国) 2010年に共通通貨を導入することで合意。 すでに関税の完全撤廃を決定、金融統合も合意。 EUと自由貿易協定の締結を交渉中。 労働市場は開放され、6〜8割は出稼ぎ労働者。 メルコスール(南米南部共同市場) 95年より、原則として域内の関税を撤廃。 労働市場も開放済み。 FTA(自由貿易協定)の拡大 すでに、世界で200近くのFTAが結ばれている。 各地域のFTAをめぐる動き 北米自由貿易協定(NAFTA) 南米南部共同市場(メルスコール) 2005年までに双方を統合し、米大陸三十四カ国が加盟する「米州 自由貿易地域(FTAA)」を構築する構想も。 EU(欧州連合):東欧を加え25カ国体制に 大アラブ自由貿易地域(GAFTA):GCC中心で98年より構想。 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS) 04年までに自由貿易圏設立。共通通貨も検討。 第5章 「どのようなスタンスから論じるべきか」 5-1.誰にとっての利益を優先するのか デメリットが出ない政策を作るのは困難。 今回の論題の主語は「日本政府」ではない。 「欧米は損をするが、アジア全体ではもうか り、その中でも日本は損をし、途上国は得を する」といった場合に、判断基準はどうする のか? AffもNegも、「誰にとっての利益を優先する のか」というスタンスを最初に示しておくこ とが必要。 価値観は多様であり、どのスタンスが正しい、 ということは一概には言えない。 価値基準(Standard of Value)どうしの比較 が必要になる。 「アジア全体」の利益を最優先すべき 欧米がその力をますます強める中では、もはや国単 位の政策では対抗できない。地域全体が一体となり どう成長を維持していくのか、という視点から論じ る必要がある。主語も「ASEAN+3」となっている。 「日本」の利益を最優先すべき 我々は日本人としての立場から、日本の将来に向け ての政策を論じている。そもそも、アジアとの関係 を深めることが戦略上日本に有益なのか、という部 分から論じる必要がある。 「世界全体」にとっての利益を最優先すべき ある特定の地域だけが利益を上げ、他の地域が大 きな打撃をうけるような政策では、本当に人類に とって有益とはいえない。 そもそも、全ての加盟国にとって有益な政策 でなければ、採用すべきではない。 「トータルでプラスになるなら、1つ2つの国が 損害が被っても構わない」という発想そのものが、 共同発展を目指す国際協調の考えに反する。 最も貧しい国にとって有益な政策をとるべき 最貧国での状況はひどく、その経済の改善は最も 緊急性を要する。日本など、豊かな国が多少被害 を被ってでも、こうした国を救うべき。 5-2.将来の議論をどこまで評価するか ユーロの導入には、構想から実現まで約40 年かかった。 「ユーロの教訓を生かせば、アジアでも10 年以内に導入可能」とする学説も存在する。 実際、GCC(アラブ湾岸地域)での共通通貨 構想は、2000年に発表、2010年に実現という 早いスケジュールを採用。 ただし、アジア地域における経済のバラツキを 考慮すると、長期的な視点に立って考えるのが 現実的。 究極的には、「100年後、200年後に各国の経済 が安定し、十分均質化が進んだ時点で通貨統合 します」というプランもありうる。 ただし、安定・均質化が進むという証明が必要。 果たして、そこまで曖昧で不確実なADを評価し ていいのか。 5-3. 通貨統合の位置づけ 通貨統合は多くの場合、経済全体、あるいは 政治をも含めた将来の「地域統合」の一環と して位置づけられている。 共通通貨構想の多くは、そのメリットを生か すのに必要な、関税の撤廃・労働市場の開放 などを前提としていることが多い。 極めて抽象的だが、そもそも「国」とは、他 者と自分たちを区別するために作られたもの。 通貨統合の根本にある理念は「アジアは将来 1つの国になるべき」という発想。 統合できるものなら、何でも統合してしまっ た方がいいのか。それとも、文化の多様性や 個性を尊重していく方向を取るべきなのか。 5-4.最後に Framerの責任でもあるものの、「手数料・ 初期投資が云々」「currency=電気の交流」 などといった、そういう本当にくだらない議 論で埋め尽くされるシーズンでいいのか。 結局、どんなシーズンになるのか決めるのは ディベーター1人1人にかかっている。価値 観同士の比較が勝負の決め手になるような、 そんなシーズンに。 - Fin - UTYO Falcons Sophomore (OB) Shinichiro Seki 2004/03/13,14 @ NAFA Spring Seminar
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