24 永井義彦さん(2015.4.17号)

地域おこし協力隊・ぬまっち特派員が勝浦の様々なモノ・コトとつなが
り地域で活躍する勝浦らしい人=「かつうらしいひと」にフォーカス!
こんなところにステンドグラスの
いぶか
工 房 が あ っ た だ ろ う か …… 訝 し み な
がら興津の商店街をゆく。郵便局の手
前 の 建 物。 暗 が り の 向 こ う を 見 つ め
る と、 光 に 照 ら さ れ た 鮮 や か な ラ ン
プ が、 工 房 に 浮 か ん で い た。 こ
こ が〝 HIRO
ステンドグラス
ス タ ジ オ 〟 だ。 代 表 の 永 井
義 彦 さ ん は、 ス テ ン ド グ
ラスを作り続けて二五年
以上になる。
ステンドグラスと
ともに
「 こ れ は テ ィ フ ァ ニ ー
のランプを再現したもの
です。ガラスも百年前のア
ん の 脳 裏 に 浮 か ん で 来 た の が、 幼
い頃の興津の記憶だった。
「 興 津 で 育 っ た よ う な も
のなんです。子どもの頃、
親が興津に家を借りてい
て、一度興津に来たら二ヶ
月くらい滞在していたんで
す ね。 酒 屋 の オ ヤ ジ さ ん に よ
く 遊 ん で も ら っ て。 漁 師 さ ん に は
『乗ってけよ〜』なんて、
エビ船に乗っ
けてもらって。興津に来るのが楽しみ
だ っ た。 学 校 を 出 て か ら、
『 興 津、 ど
う
うなったかな』なんて、よく思い出し
て。 ゆ く ゆ く は 住 ん で み た い
なって、思っていたんです」
。
昨年の冬に興津へ移住。ま
ちのペースに合わせるよ
に、ひっそりとステンドグ
ラス工房をオープンした。
手作りの楽しさを
もっと知って欲しい
様々な色、透明度の
ガラスの中から、ラ
ンプに使うガラス
を 2 種類選ぶ。う〜
ん、どれにしよう…
空気が入らないよう側面
にハンダを付ける。「少
し盛り上げた方が細く見
えるんです」と永井さん
ンティークガラスを使ってるんで
す 」 と、 永 井 さ ん に 見 せ て い
ただいたステンドグラスの
ラ ン プ は、 彩 り に 溢 れ な が
らも深みのある上品な佇ま
い だ。「 ス テ ン ド グ ラ ス に
使うガラスは一枚一枚違いま
す。 一 枚 の ガ ラ ス で も、 ど こ の
部分を切り取るかで印象が変わって
きます」と、その世界の奥深さを語る。
永井さんがステンドグラスの魅力
に 引 き 込 ま れ た の は、 仕 事 で サ ン フ
ランシスコに住んでいた時に通っ
た、 ス テ ン ド グ ラ ス 教 室 が 始
まりだった。「教会のステン
ドグラスの修理をやったり
ね。 自 分 で 手 作 業 す る の
が 元 々 好 き な ん で す よ。 だ
現 在 は 月 二 回・ 月 四 回 の 教 室 の ほ
か、 初 心 者 向 け の 体 験 教 室 を 行 っ て
い る。 足 元 を 照 ら す 小 型 の フ ッ ト ラ
ン プ づ く り は、 熱 を 持 つ ハ ン ダ ゴ テ
の 使 い 方 さ え 注 意 す れ ば、 子 ど も で
も 体 験 で き る。 な お、 上 の 写 真 は ぬ
ま っ ち 特 派 員 が 体 験 し た 時 の 模 様。
ガラスを組み合わせる角度やハ
ンダの扱いに最初は戸惑った
が、 慣 れ て く る と、 も っ と
美 し く 仕 上 げ て み た い と、
だんだん手作りの面白さに
惹 か れ て く る。 永 井 さ ん は
永井義彦さん
から楽しかったで
す ね 」。 帰 国 後、
家具の販売店を営
んでいたが、ステ
ンドグラスの修
理を依頼される事が
増 え、 や が て、 東 京 の 百 貨 店
の カ ル チ ャ ー 教 室 で、 ス テ ン
ドグラス教室を受け持つまで
に。「 自 分 で 教 え る と は 思 っ
て も み な か っ た 」 と、 永 井 さ
ら い い な 」。 そ う 語 る 永 井 さ ん は、 今
「 技 術 を、 若 い 人 が 受 け 継 い で く れ た
楽 し さ が も っ と 分 か り ま す 」 と 笑 う。
「自分でオリジナルのを作ってみたら、
め た 時 に、 永 井 さ
と、 移 住 を 考 え 始
環境で過ごしたい
暖 か く、 穏 や か な
脊 椎 の 病 気 を 患 っ て し ま う。 手 術 後、
大勢の人たちにステンドグラスの
魅 力 を 伝 え て い た 永 井 さ ん だ っ た が、
思い出の地、興津へ
んは当時を振り返る。
永井さんが製作し
たティファニース
タイルのランプ
日も静かに光の色彩と向き合う。
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KATSUURA 2015.4.17
取材・撮影・文・デザイン:沼尻亙司 イラスト:瀧川由貴子
記事の問合せ▶勝浦市企画課地域活力推進係 ☎ 0470-73-3337
■ HIRO ステンドグラススタジオ
ではステンドグラス教室や、初心
者でも気軽にフットランプ製作
ができる体験教室を実施。体験
料 2000 円、所用は約 2 時間
(要予約 Tel.080-5488-4472)
ガラスの側面にコ
パテープ(銅製の
テープ)を貼る
コパテープを貼り終
えたガラス。ガラス
に直接ハンダが付か
ないため、このよう
に銅を巻く
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完 成! コ ン セ ン ト
と電球も付いてい
るのでその日から
使 え る。 ベ ッ ド サ
イドやトイレなど、
ちょっと明かりが
欲しいところに
工房の中でひとき
わ目を引くステン
ド グ ラ ス ラ ン プ。
その美しい明かり
の下で黙々と作業
する永井さん
かつうらしい
ひと
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幼少期の記憶と共に
光の美を照らす
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緊 張 の 一 瞬、ハ ン ダ
付 け。一 枚 一 枚 の ガ
ラスの角度に注意し
ながら接合していく
ステンドグラス
を使った
フットランプ
づくり体験に
チャレンジ!
昭 和 20 年 11 月 5 日 生 ま れ。
70 歳。 東 京 都 板 橋 区 出 身。 ア
メリカでの勤務時代、サンフラ
ンシスコでステンドグラス教室
に通い始めたことがきっかけで、
その魅力に引き込まれていく。
2014 年 1 月、川崎市から勝浦
市興津に移住。商店街の一角に
工房「HIRO ステンドグラスス
タジオ」を構える
人
ハ ン ダ ゴ テ を 使 っ て、
一枚一枚のガラスを
貼り合わせていく
katsuurashii-person