素形材連携経営賞の受賞テーマ一覧

素形材連携経営賞の受賞テーマ一覧
第 1 回~第 3 回(平成 24 年度~平成 26 年度)
一般財団法人素形材センター
【過去の受賞】
第 1 回 素形材センター会長賞 2 件
第 2 回 経済産業大臣賞 1 件、中小企業庁長官賞 1 件、素形材センター会長賞 2 件、
奨励賞 2 件
第 3 回 中小企業庁長官賞 1 件、経済産業省製造産業局長賞 1 件、素形材センター
会長賞 2 件
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------連携事業内容は、表彰式当日に配布した「素形材産業貢献表彰受賞者一覧と受賞概要(芳名簿)」に基づく。
※本受賞テーマ一覧は素形材センターHP にも掲載しています
http://www.sokeizai.or.jp/japanese/topics/sokeizai_award2015.html
経済産業大臣賞
第 2 回素形材連携経営賞(平成 25 年度)
連携事業名
シンバルの素材国産化および品種多様化への連携事業
受賞機関
株式会社大阪合金工業所、株式会社小出製作所、国立大学法人福井大学、公益財団法人応用科学研究所
連携事業内容
シンバルは、米国、カナダ、スイスの 3 企業で製作される寡占体制に
あり、日本人独特の音への感性も盛り込まれ難い状況にあったが、国内
4 者の連携によって、シンバルの国産化を、素材から一貫して製作する
ことが可能となった。大阪合金工業所が高錫銅合金を溶製・圧延して原
板を提供し、小出製作所がヘラ絞り・ハンマリングでシンバルに加工す
る。その中間品あるいは最終製品を福井大学と応用科学研究所で振動・
音響解析し、フィードバックする。
その結果、軽い打ち方で強い音が出る合わせシンバルを開発すること
ができ、高校生のブラスバンドから高い支持を得て、販売量も年間 1,000
枚を大きく超えるようになった。現在、添加元素が振動・音響特性に及
ぼす影響や、モード解析に必要なシンバルの内部歪分布を解析でき、日
本人の感性に合ったシンバル音を武器に海外進出を図ると共に、割れな
いロックシンバルという新分野を開拓し、年間 10,000 枚以上を目指す。
大阪合金工業所 原板製作
小出製作所 シンバル加工
ものつくり
研究・解析
第3元素がシンバルの音に及ぼす影響
シンバルの各周波数成分の経時変化
Cu-23Sn-0.3Zr
Cu-23Sn-0.3Ti
赤から青⇒周波数の減衰を表す
添加する元素の種類で、シンバル音への影響が大きく変化
福井大 振動・音響解析
応用科学研究所 内部ひずみ解析
中小企業庁長官賞
第 2 回素形材連携経営賞(平成 25 年度)
連携事業名
大田ブランド「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクト
受賞機関
株式会社マテリアル、東レ・カーボンマジック株式会社、株式会社昭和製作所、株式会社ナイトペイジャー、株式会
社上島熱処理工業所、株式会社ソフトウェアクレイドル、株式会社IRO
連携事業内容
二人乗りボブスレー(名称;下町ボブスレー)を製造。今まで日本ボブス
レーチームは、海外製の 10 年落ちのレンタルソリで戦っていたため、人
がソリに無理やり合わせて競技に参加していた。下町ボブスレー推進委員
会、企業連携でサポートに参加し、選手に要望通りのソリを作ることによ
り、操作性、また空力、重力、振動を研究し最速のソリを完成させる。
プロジェクトを通じ日本が弱いとされてきた「もの・ことづくり」の基
礎を築き、大田区・日本のモノづくりの将来の可能性を世界に示し、さら
に次世代を担う若者へ「モノづくりは面白い」と五感に訴える。
ランナー(金属)の低摩擦化技術は、風力発電などの次世代エネルギー開
発には必須の要素技術であり、またボブスレーソリの土台は金属と炭素系
素材で構成され、この技術は航空機などに採用されており、環境・航空機
分野へ進出の第一歩となる。
「ボブスレー」製造へ参入することにより、大
田区・日本のネットワークの世界的な技術信用度および開発プロデュース
力をPRし、欧米市場のスポーツ案件や環境エネルギー開発、航空機産業
などへ提案、受注獲得を目指す。
中小企業庁長官賞(続き)
第 3 回素形材連携経営賞(平成 26 年度)
連携事業名
深海探査機『江戸っ子 1 号』プロジェクト
受賞機関
岡本硝子株式会社、バキュームモールド工業株式会社、株式会社杉野ゴム化学工業所、株式会社浜野製作所、株式
会社パール技研、独立行政法人海洋研究開発機構、国立大学法人東京海洋大学、学校法人芝浦工業大学、東京東信
用金庫
連携事業内容
「江戸っ子1号」は、中小企業の活性化、下請け体質改善及び技術伝
承を目標に、下町企業を中心とする産学官金が連携して各固有技術
を研鑽・集積して、下記ビジネスモデルの構成によって実現したプロ
ジェクトである。
本プロジェクトでは日本海溝 8000mの深海に深海探査機を沈め
て、魚類の撮影や海底の泥を採取することを目指した。開発に当たっ
ては、安価で中小企業の技術で製作できる設計・仕様が重要課題とな
り、耐圧容器にチタンではなくガラス球を使用し縦型に 4 球を配置
した設計を行なった。各ガラス球には機能部品を分割して、3D のデ
ジタルカメラ、LED 照明、錘切り離し回路、通信回路を搭載した。
この深海探査機の機能は深海への着底には動力を使わずに錘をつけ
その重さによって海底まで沈める。その後カメラ撮影や泥を採取し
たら、海上より音波で指令をして、錘を切り離し機体の浮力で海面ま
で到達する仕組みである。
この成果を通じ中小企業が複合技術生産の経験を積むことによ
り、下請け体質の脱出のきっかけをつかむことに成功すると共に、純
国産部品による深海探査機を開発したことで、日本の中小企業の技
術力・企画力の高さを証明した。
連携メンバーは、今後この深海探査機が、内閣府が推し進めている
SIP(戦略的イノベーションプログラム)の研究開発に貢献すること
も視野に入れ、深海探査機の設計・製造を事業化し、一般に販売する
ビジネスを開始している。
経済産業省製造産業局長賞
第 3 回素形材連携経営賞(平成 26 年度)
連携事業名
接合工法による三次元冷却水路付き金型製作
受賞機関
株式会社松岡鐵工所、中部高周波工業株式会社
連携事業内容
部品生産工場の高品質・生産性を確保する重要ツールである金型において、金型の温度管理は重点課題の一つとされる。
本事業は、この課題解決にあたり、金型メーカ松岡鐵工所が従来の金型製作工法では製造困難な三次元的にレイアウトされ
た金型冷却水路を発案し、それを実現する新工法の開発へ向けて、特殊な金属固相接合技術を持つ熱処理メーカ中部高周波
工業が技術・ノウハウを連携して、金型に最適な金属接合工法を共同で開発したものである。連携体が開発機能を持つことに
より、連携体として高い競争力が確保されることとなった。
この新たな金属接合技術を用いて、金型ユーザの個別要望に合わせた三次元冷却水路付き金型製作プロセスを確立するこ
とにより、金型の温度管理を容易にし、部品生産における品質・生産性の向上に貢献した。なお、この工法で製作された金型
は、これまで 500 件以上の採用実績を積んでいる。
今後、連携メンバーが本工法の金型業界内での共有と異種業界への展開を図ることにより、日本製ツールの競争力強化の
推進に繋がることが期待される。
素形材センター会長賞
第 1 回素形材連携経営賞(平成 24 年度)
連携事業名
金属製コップの高付加価値化事業
受賞機関
小林研業、共同有限会社渋木プレス工業所、共同有限会社石井腐蝕、共同有限会社霜鳥スピニング工場、共同燕商
工会議所
連携事業内容
従来安価な海外製品が主な金属製カップに対して、本連携事業ではそ
れぞれの連携機関が得意とする技術を結集させ高付加価値な金属製カ
ップを商品化した。
カップ内面の磨きを 100 分の数ミクロン単位で調節することにより、
7:3 の割合でビールの泡が出るようにした。また、カップの板厚を 0.3
~0.4mm と従来商品よりも薄くすることにより、軽量化を図ると同時
に、カップが体温で温められて、ビールを飲んでいるうちに内壁が乾き、
2 杯目、3 杯目とビールを注いでも泡が出るようになった。また、このカ
ップのもう一つの特徴が飲み口にある。飲み口はカールして潰してあ
る。この形状がビールの味わいに大きく関係している。飲み口の形状は、
試行錯誤のうえ現在の形状にたどりついた。
連携企業全てが丁寧に自社の技術とノウハウを発揮することにより、
本商品が生まれた。
第 1 回素形材連携経営賞(平成 24 年度)
連携事業名
高出力産業用燃料電池スタックの低コスト化開発事業
受賞機関
株式会社サイベックコーポレーション、共同サン工業株式会社、株式会社IHIシバウラ、長野県工業技術総合セ
ンター、公益財団法人長野県テクノ財団
連携事業内容
産業用機械製造・販売で知られる IHI シバウラは、当時次世代エネル
ギーとして期待されている燃料電池の開発を進めていたが、燃料電池ス
タックに使用されるセパレータがカーボン素材の切削加工品のため非
常に高価であり、市販に向けての低コスト化が必要不可欠であった。そ
こで安価なセパレータを製作すべく、超精密金型及びプレス加工のサイ
ベックコーポレーションと、めっき表面処理のサン工業、測定・解析・
評価などの生産支援に長野県工業技術センター、そして事業化推進に長
野県テクノ財団が加わった連携事業を平成 18 年にスタートさせた。
研究開発の結果、連携事業開始から 6 年後には、開発した金属セパレ
ータを搭載した世界最小最軽量の産業用燃料電池実証システムを完成
させた。この実証システムは、発電効率 51%、熱利用効率も含めると
90%の非常に有効な成果を得た。なお現在、本開発の産業用燃料電池シ
ステムについては平成 27 年の実用化を目指している。
第 2 回素形材連携経営賞(平成 25 年度)
連携事業名
クラウドファンディングの活用によるスマートフォンケースの開発・製造・販売事業
受賞機関
株式会社ニットー、株式会社enmono
連携事業内容
今までの製品開発のプロセスでは、秘密保持のため非公開で行い、製
品が完成してから公開して販売活動を行うことが一般的であった。この
手法では開発や製造コストを自社で賄い、ユーザーの声を製品開発に活
かせないなど、高いリスクが問題となっている。
本連携事業では、試作から金型、製品製作までを一貫して行えるニッ
トーと日々急速に発展しているインターネットの事情に詳しい enmono
とが連携し、クラウドファンディングを活用して、自社製品を効率的に
開発、製造、販売までを行う新しいビジネスモデルにより、ユニークな
スマートフォンケースを製品化した。
開発の段階から試作品やアイデアの情報をインターネットのソーシ
ャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じ公開し、ネットのユーザ
ーから多くの意見を集めることで、短期間でユーザーのニーズに合った
製品開発が行えた。また、クラウドファンディングを活用することで、
資金調達だけでなく多くのファンが付き、そのファンの口コミにより広
告費をかけることなく製品を認知できたことや、発売前から代理店等の
販路も獲得することができ、発売当初から多くの売り上げを得ることが
できた。
本連携事業のようなビジネスモデルは、中小製造業の自社製品の開
発、製造、販売においてとても有効的な手法であり、次世代の中小製造
業にとって新たな可能性を示している。
素形材センター会長賞(続き)
第 2 回素形材連携経営賞(平成 25 年度)
連携事業名
高張力鋼を活用した軽量グレーチングの製造・販売事業
受賞機関
株式会社宝機材、フジデン株式会社、堺鋼板株式会社、光陽産業株式会社
連携事業内容
堺鋼板(鋼板事業)
従来グレーチングの主部材として用いられている SS400 鋼に対し
て、本連携事業では連携メンバーの技術と知識を結集させ、高張力鋼
を使った軽量グレーチングを開発・製品化した。
高張力鋼はマンガンやシリコンの添加量を調整して降伏点、引張強
度を高めた鋼材で、溶接や切断など加工の難易度が高い。また、高張
力鋼ユーザーの一般的な調達ロットは数百トン単位と非常に大きく、
グレーチングメーカーにはなじまない素材とされてきた。
連携メンバーがそれぞれの強みを発揮し、協力しながら、2 年ほど
かけて従来の加工技術に加え、高張力鋼の特性に応じた生産手法の確
立と少ロットでの高張力鋼調達ルートの確保を進めた結果、製品化に
こぎつけた。
本連携事業によって生まれた製品の最大の特長は、素材を高張力鋼
にしたことにより、従来設計に比べ平均 30%の軽量化を実現した点に
ある。これにより製造・施工現場の環境改善、メンテナンス負担の軽
減が図られ、コスト削減にも繋がり市場性が高い。
主部材最薄フラット
バー提供
販売先の拡充
光陽産業
(平鋼メーカー)
主部材最薄型Iバー
提供
フジデン(鋼材商社)
情報提供・安定調達
販売先の拡充
宝機材
(グレーチング製造・販売)
商品企画・販売ルート
第 3 回素形材連携経営賞(平成 26 年度)
連携事業名
琥珀粉末の新成形技術の実用化
受賞機関
久慈琥珀株式会社、ポーライト株式会社、国立大学法人岩手大学
連携事業内容
本連携事業は、貴重な資源である琥珀を用いた商品の製造に関して、事業に参
画した各機関の知見と技術を集結することにより、高効率な生産方法を確立した
ものである。ここで開発された製造技術は量産工程に展開され、商品は既に客先
へ提供されている。
これまで、対象商品を製造するには琥珀バルク材からの削り出しによる製造法
しかないと長らく考えられており、素材(琥珀)の歩留まり、生産性に問題を抱えて
いた。
そこで、産学官による金型構成および成形条件の検討に加え、連携メンバーであ
る粉末冶金メーカが保有する金属焼結法を応用することにより、ニアネットシェ
イプな成形品が離型時に得られ、材料歩留まりがおよそ 2 倍、生産効率も数倍に
向上した。成形効率の向上により、これまで応えられなかった国内需要に対応で
きるようになりつつあり、連携メンバーは現在海外への事情展開も検討している。
また、本連携事業の特徴として東北と関東の企業による広域連携が挙げられる。
今回の連携で、東北地方の資源を活かした産業を関東圏で後押しすることが可能
となり産業が活発化することで雇用の増大、復興促進に繋がることも期待される。
第 3 回素形材連携経営賞(平成 26 年度)
連携事業名
金属熱処理ソリューション
受賞機関
株式会社メタルヒート、東海高周波株式会社、株式会社栗山熱処理、株式会社名古屋熱錬工業所(株式会社メイネツ)
連携事業内容
これまで、各社が持つノウハウやコアコンピタンスは門外不出
であるが故に、熱処理技術の融合は困難であった。
本連携事業では、固有技術を有する熱処理企業が協力して、複
合熱処理など従来にない新たな付加価値を持った熱処理工法の
提案と提供を行なっている。具体的には、ユーザの抱える品質・
技術課題の解決のため、連携各社による勉強会や研究会を重ね、
各社の知識、技術、ノウハウを深く共有した。そうすることで、
素材選定~熱処理~仕上げ方法まで多角的視点からユーザの最
大利益を追求した提案を行なうことを可能とした。これらは単一
企業でおよそ到達し得ない発想での提案力であり、連携メンバー
であるメタルヒートを受注窓口として、試作、難加工品、特殊品
等、幅広いニーズに対応している。また、熱処理の知見を求める
ユーザに対しては教育サービスも提供している。熱処理業界は単
一種類の専業が多く、技術的相談への対応も専業であるが故に限
界があったが、本事業による利便性の向上により、ユーザでの開
発、設計、加工、仕上げ等、各工程の精度向上、更にはトータル
での歩留まりの改善に寄与するものと期待される。
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