2015 年 5 月 1 日 和歌山カレーヒ素事件の鑑定不正に関する公開論争 京都大学工学研究科教授 河合 潤 本 PDF は,以下のような経緯にもとづく文書を公開するのが目的である. 【1998~2000 年】和歌山ヒ素事件(1998 年)に関連する中井泉鑑定人がおこなった鑑定(甲 63,甲 1170,甲 1232,甲 1287,甲 1292,甲 1294,甲 1300 等)が和歌山地裁に提出さ れ,死刑判決(2002)の根拠とされた. 【2012 年以降】私(河合)は,中井鑑定を批判する論文を継続的に出版し始めた.また中井・ 山内鑑定書の鑑定不正を指摘する鑑定書(一部はプライバシー保護のため現時点では非 公開)を弁号証として再審請求弁護団を通じて裁判所に提出し始めた. 【2014 年 11 月 30 日】これらの私の論文と鑑定書を基に,再審請求弁護団は,中井教授に 公開質問状を送付した. 【2014 年 12 月 2 日】公開質問状に対する朝日新聞の取材[1]に対して,中井鑑定人は「当 時の鑑定に対して問題はない.質問も反論できる範囲のものと思っている」と話した. 【2014 年 12 月 18 日】中井教授は,公開質問状への回答を,河合論文および河合鑑定書に 対する意見書[3]として和歌山地方検察庁へ提出した. 【2014 年 12 月 26 日】公開質問状への回答は,和歌山地方検察庁へ提出した中井意見書に 含まれているとする文書[2]が,再審請求弁護団に送付された. 【2015 年 1 月 30 日】和歌山地方検察庁は,中井意見書[3]を和歌山地方裁判所へ提出した. 【2015 年 2 月以降】中井意見書[3]に対して,河合意見書(1), (2) , (3)が再審請求弁 護団を通じて和歌山地方裁判所へ提出され始めた[4-6].今後も継続して, (4), (5), (6),(7) ...を提出予定であり, (3)[6]以降も順次公開する. 公益社団法人日本分析化学会分析化学討論会等では「河合-中井論争」が公開の場で続い ているが,以上のような経緯の「河合-中井論争」([3–6])は裁判所へ提出されるだけで公 開されてこなかったため,2015 年 5 月 1 日に[1–5]をまとめて本 PDF として公開すること とした.文書[3-6]は和歌山地方裁判所へ提出された公式文書である.[3]はプライバシー 保護のため河合の責任で M,T 等の英大文字に上書きした. [1] 2014 年 12 月 2 日,朝日新聞朝刊(朝日新聞社の許諾を得て Web 公開) [2] 平成 26 年 12 月 26 日,文書 中井 泉 [3] 平成 26 年 12 月 18 日,意見書 中井 泉 1 [4] 2015 年 2 月 28 日,「和歌山地裁 27 年 1 月 30 日受付意見書」に対する 意見書(1) ,弁42号証 河合 潤 [5] 2015 年 3 月 30 日,同上意見書(2),弁44号証 河合 潤 [6] 2015 年 4 月 25 日,同上意見書(3),弁45号証 河合 潤 河合が執筆した和歌山ヒ素事件に関する学術論文リスト(共著論文を含む)は以下のとおり である(権威ある学術雑誌に掲載された論文のみをリストした).各論文への直接リンクは, http://masumi-shien.com/ にも掲載されている. 1) 河合潤:和歌山カレー砒素事件鑑定資料-蛍光 X 線分析,X 線分析の進歩,Vol.43, pp.49–87 (2012).[弁28](Web 公開,http://www.process.mtl.kyoto-u.ac.jp/ ) 2) 河合潤:和歌山カレーヒ素事件鑑定資料の軽元素組成の解析,X 線分析の進歩,Vol.44, pp.165–184 (2013).[弁29](Web 公開,http://www.process.mtl.kyoto-u.ac.jp/ ) 3) 河合潤:和歌山毒物カレー事件の鑑定の信頼性は十分であったか,現代化学,No.507, pp.42–46,6 月号 (2013). [和歌山地方検察庁上坂和央検事が平成 25 年 11 月 19 日付 検察意見書の参考文献として裁判所へ提出] 4) 河合潤: 論点,中井論文の誤りを指摘する,現代化学,No.511,p.68,10 月号 (2013). (文章のみ Web 公開,http://www.process.mtl.kyoto-u.ac.jp/ ) 5) J. Kawai: Forensic analysis of arsenic poisoning in Japan by synchrotron radiation X-ray fluorescence, X-Ray Spectrometry, Vol.43, pp.2–12 (2014).(オープン・アクセ ス,http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/xrs.2462/epdf ) 6) J. Kawai: Revisit of forensic analysis of arsenic poisoning case 1998, Advances in X-Ray Analysis, Vol.57, pp.177–184 (2014). 7) 河合 潤: 和歌山カレーヒ素事件における卓上型蛍光 X 線分析の役割, X 線分析の進歩, Vol.45,pp.71–85 (2014).(Web 公開,http://www.process.mtl.kyoto-u.ac.jp/ ) 8) A. T. Tu,河合 潤: 和歌山カレーヒ素事件鑑定における赤外吸収分光の役割, X 線分析 の進歩, Vol.45, pp.87–98 (2014).(Web 公開,http://www.process.mtl.kyoto-u.ac.jp/ ) 9) 河合潤: 直感的化学分析のすすめ 6,木を見て森を見ない分析,No.519,pp.64-66,6 月号 (2014). 10) 河合潤: 「工学倫理」講義の題材としての科学鑑定,ACADEMIA,No.148,pp.33–40 (2014). 11) 河合潤:和歌山カレーヒ素事件鑑定の問題点,海洋化学研究,Vol.27,No.2,pp.111– 123 (2014).(Web 公開,http://www.oceanochemistry.org/ ) 12) 河合潤:和歌山カレーヒ素事件における頭髪ヒ素鑑定の問題点,X 線分析の進歩,Vol.46, pp.33–58 (2015).[弁43](Web 公開予定,http://www.process.mtl.kyoto-u.ac.jp/ ) 2 上記文献リスト 1-12)以外に河合が執筆した弁号証は 2015 年 5 月 1 日までの時点で以下のと おりである. 弁32:2014 年 1 月 26 日,和歌山カレーヒ素事件鑑定書. 弁33:2014 年 7 月 1 日,鑑定書補充書. 弁34:2014 年 8 月 31 日,鑑定書補充書 2. 弁35:2014 年 9 月 15 日,鑑定書補充書頭髪鑑定. 弁41:2014 年 11 月 18 日,和歌山地裁浅見健次郎裁判長裁判官,溝田泰之裁判官,森優 介裁判官に対する意見書. 弁42:2015 年 2 月 28 日,本意見書(1). 弁44:2015 年 3 月 28 日,本意見書(2). 弁45:2015 年 4 月 25 日.本意見書(3). 3
© Copyright 2025 ExpyDoc