「中学 校数学」の教科書編 集にあたって [ 著作者 ] 〈 代表 〉 一松 信 京都大学名誉教授 岡田 雄 広島大学名誉教授 町田彰一郎 埼玉大学名誉教授 池田 敏和 横浜国立大学教授 荒川 昭 慶應義塾普通部教諭 荒木 昇 渋谷教育学園幕張中学校・高等学校教諭 う立場もあるのです。 石井 英真 京都大学准教授 広島大学名誉教授 後者の立場で展開しているのが,学校図書の教科書です。すなわち, 「生徒 植田 敦三 広島大学教授 岡田 雄 の問いを生かした教科書」と言われる所以です。 植村 哲郎 鹿児島大学名誉教授 大澤 弘典 山形大学教授 大塚みずほ お茶の水女子大学附属中学校教諭 加々美勝久 お茶の水女子大学附属中学校副校長 川㟢 道広 大分大学教授 清澤 毅光 静岡大学名誉教授 楠岡 成雄 東京大学教授 黒澤 俊二 常葉大学教授 教育の現場で,何のための数学教育かを考えさせられる場面によく出合い ます。 このような場合には 2 つの立場がありそうです。その 1 つは,数学がまず あってその後で数学教育の問題を考えるという立場です。2 つ目はそれを逆 にしたものですが,生徒が問題を感じたときに初めて数学を問題とするとい 今日の社会は,絶えずイノベーションを起こし人々に自立協働して生きる ことを求めています。数学は「科学の言葉」として,社会に求められるさまざ まな技術やシステムを影で支え作り出していますが,残念なことにこうした 社会で日々生活している多くの人々には,そうした数学の姿が見えてこない で,生徒や学生の調査には「自信がない。 」 「何のために学ぶかわからない。」 持 信幸 千葉大学名誉教授 との反応が多く見られます。そこで, 「中学生の数学」としては,日常の生活 齋藤 昇 立正大学教授 埼玉大学名誉教授 の中で時に感じる「生徒自らの問い」を浮き彫りにし, 「現実の数学」に結び 正田 良 国士舘大学教授 町田彰一郎 付けて数学をより身近に感じ取れる生徒の育成を目指していきたいと思いま 勝呂 正彦 元東京都武蔵村山市立第三中学校校長 鈴木 清夫 筑波大学附属駒場中学校・高等学校教諭 仲田 紀夫 元埼玉大学教授・数学旅行作家 中西 正治 三重大学教授 西谷 泉 群馬大学教授 布川 和彦 上越教育大学教授 深瀬 幹雄 元筑波大学付属駒場中学校・高等学校教諭 松沢 要一 上越教育大学教授 松本 純一 お茶の水女子大学附属中学校教諭 ってきたわけです。 山田 和美 新潟大学名誉教授 そこで,今回の教科書編集では,上記の論点に応えるべく,1 時間の授業 渡邊 慶子 滋賀大学講師 横浜国立大学教授 の流れに留まらず,可能な範囲で授業と授業とをつなぐ問いに焦点を当てる 和田 信哉 鹿児島大学准教授 池田敏和 ことにしました。授業と授業とをつなぐ問いにこそ,数学の活動性があると す。 思考力,表現力の育成が重視される中で,教科書でも,思考過程が明確に わかるような流れを裁量する方向に変化してきています。数学的な知識・技 能をただ身に付ければよいという考えではなく,どのような数学的活動を経 ることで,数学的知識,技能が獲得されるのかに目を向けることが論点にな 学校図書編修部 考えたからです。一話完結の授業から脱皮し,数学的活動の結果,新たにわ かったことや見えてきた問いを,セットで教科書に明記できないかを試みて います。具体的には,教科書における学習活動の区切りに,従来から掲載し てきた「まとめ」だけでなく,さらなる「問い」をキャラクターによる吹き 出しを利用して併記することにしました。 「なぜ学習するのか」を重視した教 科書を目指したわけです。ただし,本教科書で示した問いの流れは,一つの モデルであることにご留意頂きたいと思います。問いの流れは一意に決まる ものではないからです。モデルをアレンジして,自分流の指導計画,授業展 開へと高めて頂ければ幸いです。 [ ユニバーサルデザイン監修 ] 金子 健 田中 良広 国立特別支援教育総合研究所総括研究員 (カラーユニバーサルデザイン) 国立特別支援教育総合研究所総括研究員 (ユニバーサルデザイン)
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