Multiculturalism Tohoku University Spring 2015 Study Abroad Program February 16 ~ March 14 0 【目次】 1. はじめに p2 2. 研修日程 p3 3. 参加メンバー一覧 p4 4. 個人レポート p5~p76 5. 研修の様子 p77~p79 1 1. はじめに 1.1 プログラム概要 東北大学が主催する SAP(Steady Abroad Program)は、各プログラムのテーマに沿った体験学 習や外国語研修等を通じて語学力やアカデミックスキルを高めることを目的とした短期海外研修 プログラムである。私たちが参加した UCR(University California Riverside)プログラムのテーマ は、「多文化・多民族社会を学ぶ」である。多文化社会のアメリカの中でも特に移民が多く多文化 社会が根付いているカリフォルニア州での 1 か月の研修を通じて、多文化社会とは何か、またそ のあるべき姿について学んだ。授業は英語研修と異文化の授業、サイトビジットの三つに大別さ れる。英語研修では、プレゼンテーションの方法やエレベータートークなどのパブリックスピー チのやり方を学んだ。異文化の授業では、UCR の留学生との座談会や関連する講演会などで異文 化の多様性と接し方について学習した。サイトビジットでは、南カリフォルニア各地にある歴史 的・文化的要所を実際に訪問し、自分の目と耳で多文化・多民族社会を体感した。週末にはオプ ショナルトリップとして、ディズニーランドやハリウッドなど南カリフォルニアが誇る有名な観 光地への観光も行った。プログラムの最終日には最終プレゼン発表を行い、各自が研修を通じて 学んだことを英語で発表した。 1.2 学んだこと このプログラムを通して、言葉の壁、文化の違いなど、さまざまな新しい経験をすることができ、日 本では味わえない感動・困難・驚きを味わうことができた。自分で物事をやり遂げる自立心、行動力、 自らの意見をはっきり持つ意志力、様々な文化・人種の人たちとの触れ合いから得られるコミュニケー ション力、日本人にはあまりないと言われる明るさ・ポジティブさ、また、海外のスケールに触れるこ とで得た広い視野、そして、英語のリスニング・ライティング・スピーキング力をそれぞれが身につけ ることができるプログラムであった。 サイトビジットにおいては、全米日系人博物館では日系アメリカ人のアメリカにおける影響や歴史的役 割を、Museum of Tolerance では、ホロコーストの歴史、および今日世界で起きている差別の実態を学 ぶことができた。 2 2.研修日程 日曜日 月曜日 火曜日 16 水曜日 木曜日 17 18 金曜日 19 土曜日 20 21 UCR 到着 午 前 :オ リ エ 午前:授業 午前授業 午前:れいこ先 Disneyland US 祝日 ンテーショ ------------------ ----------------- 生の日本語授 in 大統領日 ン&テスト 午後: 午後 業 Hollywood ----------------- 歓迎ピザ会 :SF 作家の講 ------------------- (24 時 学 校 演 午後:授業 到着) 2月 午後: UCR 学内見 学 22 23 24 25 26 27 28 午前:授業 午前:授業 午前:授業 Universal Museum ------------------ ----------------- ------------------- Studios of Tolerance 午後:パネルデ 午後: 午後:勉強時間 Hollywood LA ツアー 午前:授業 (Japanese ------------------- American 午後: National Elena 先生の ィスカッショ Mission San Museum、Little 授業 ン Juan in ------------------Raund1 Capistrano Tokyo 、 Olvera Street) 1 2 Mall 午前: apple to 午前:授業 午 前 : & Scandia & apple& UNO ----------------- ASHAHI(SUS ------------------- HI 午後: 授業 Ontario 3 4 North 6 午前:授業 午前:授業 American High ----------------- ------------------- 午 後 :ズ ン バ School 見学 午後:映画鑑 午後:勉強時間 ダンス ---------------------- 賞 午後: 授業 “Freedom ) 7 フリーデー Writer” 3月 8 9 10 午前:授業 Six 5 12 13 午前:授業 午前:授業 午前:最終発表 14 ------------------- Morongo ------------------ ----------------- ------------------- 6:30am 午後:学内見学 Mission 午後:サークル 午後:会話練 午後:お別れ会 UCR 出発 Mountain or (LGBT センタ Indians 紹介 習 Magic Hiking Flags 11 ー) 3 3.参加メンバー一覧 班 1 氏名 小瀧 松村 陳 2 2年 健吾 工学部 2年 教育学部 1年 工学部 1年 渡辺 聖也 経済学部 1年 宮崎 佑美 医学部 2年 翔太郎 工学部 2年 小林 健太 工学部 1年 白井 森隆 経済学部 1年 齋藤 智子 文学部 1年 岡崎 楓子 工学部 2年 笹川 一平 経済学部 2年 亮 工学部 1年 鈴木 雄也 工学部 2年 芳野 幸奈 理学部 1年 二見 哲史 経済学部 2年 愛 農学部 2年 青木 拓磨 工学部 2年 上野 睦実 工学部 1年 嵩 工学部 1年 松井 美樹 理学部 2年 阿部 真澄 文学部 2年 健太朗 工学部 2年 達也 医学部 1年 瞭 工学部 1年 梶谷 梨帆 文学部 2年 松川 陽介 工学部 2年 宍戸 悠華 医学部 1年 楠木 啓介 工学部 1年 金光 広樹 経済学部 1年 土倉 宇野 菊池 宮 6 医学部 成紀 岩崎 5 由美香 伊藤 渡邊 4 学年 美月 郡山 3 学部 4 4.個人レポート 1班 新しさへの挑戦 小瀧 由美香 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私がSAPを通して達成したことは、2つあります。 1つめは、日常生活の中で使える新しい単語や表現を取り入れることができたということです。 今までの英語の勉強は、ただ机に座って単語帳を見てただひたすら暗記という形式でした。しかし 今回は生活一つ一つが新鮮であったので、その時の状況や体験を関連付けることにより、新しいこ とも効率良く定着させることが出来ました。機械的にひたすら覚えるのではなく、使用する状況や 場面設定も一緒に記憶に入るので、実用的でもありました。たとえある難しい単語の意味を一・二 個知っていてたとしても、実際に会話の時に咄嗟には出てこなく、仮に思い出せたとしても、簡単 な言葉に直した方が通じやすいこともありました。日常生活で使用する言葉はインプットとアウト プットの間隔が短いものが多いので、実践を多く積めたことが要因なのではないかと思います。 この経験を踏まえて、単語を知っているのと使えるのは別物なので、今後は実践的に使える単語 から広げていくべきだと感じました。ここで言う“実践的単語“の意味は、日常生活で頻繁に使う 単語や通じやすい単語だと考えます。更に今後語彙を増やしていくにあたっても、場面設定や使う 状況をイメージしながら新しく取り入れていきたいと感じました。今後授業としての英語はもうな いのですが、個人的に勉強する際には生かしたいと感じました。 2つめに、自分の意見を持つということです。普段何気なく行っている動作や言葉遣いの説明を 求められる場面が意外と多くありました。例えばトランプ等であればルールが決まっているので割 と説明しやすいのですが、親戚のお土産に適している形態等の表現やその考えの根拠は説明しきれ ないことがありました。日本語で考えてもはっきり表現できないことは、英語でも伝えることがで きないと分かり、曖昧な感覚で行っていることが身の回りに多いということが身に染みました。こ れは単に日常生活における日本についての説明だけではなく、意見交換の場でも同じことが言える と考えます。英語で相手に自分の主張や考えを伝えるには、前提として必ず自分の意見を持ってい なければなりません。 この経験を踏まえ、今後は何事にも日本語で自分の意見を持つべきだと考え、更に同じ日本語な ら確実に英語よりも伝えやすいことを考慮すると、日本では意見を言いやすい環境にあるのではな いかと考えます。自分の意見を外国語で伝える難しさを痛感したからこそ、日本ではもっと伸び伸 びと自分の意見を伝えるべきだと思いました。 2. 異文化適応 異文化適応に関して、私がSAPを通して達成したことは、2つあります。 まず1つめに、誰にでも気兼ねなく話し掛けるということです。アメリカでは大学関係者や店員 は勿論、道路やお店ですれ違った全く知らない人でさえも時折簡単な挨拶をしました。ご近所付き 合いの希薄化と叫ばれている今日の日本とは正反対の習慣に、始めは戸惑い返事しそびれてしまう 5 ことも多々ありました。しかし次第に慣れてきて最終的に、あるアクセサリーのお店では、探して いる形や色のイメージを店員さんに伝えながら一緒に探したり、店内の位置やおすすめ商品等の会 話を交えたりしながら楽しい時間を過ごすことまで出来ました。 この経験を踏まえ、 “一期一会”という言葉を改めて認識させられ、小さな機会でも一つ一つ大切 にしなければならないと感じました。2年後看護職に就いたら、きっと多くの患者さんや医療従事 者に出会います。その中には、入院で長く付き合う方々もいれば、外来で何分間だけの方々もいる でしょう。しかし気兼ねなく誰とでも話すことにより、多くの人と関わることができ、自分にとっ て良い刺激になります。また自分の成長にも繋がるし、相手に良い影響を与えることもできると考 えます。時には多すぎて仕事が機械的になってしまうこともあるかもしれません。だが今回感じた “一期一会“の大切さを持ち続けることにより、自分の核がぶれることなく小さな出会いを楽しみ 大切にできるのではないかと思います。 次に2つめに多文化の言葉の意味の理解です。アメリカは多文化という事実は理解していたつも りですが、サイトビジットでの多くの博物館訪問だけでなく生活の中でも多文化をふと感じること がいくつかありました。まず様々な人種の人がいたことです。日本では外国人だとすぐに認識でき る人は見かけますが、日本人が多くを占めています。今まで意識してこの視点で見てはいなかった ので、関連して移民の意味も理解しました。店は勿論大学や住宅でも、多くの人種の人が共存して いる所を初めて目の当たりにし、日々刺激が多いだろうと感じると同時に世界のニュースでよく民 族間紛争や人種差別問題が取り上げられていることに納得しました。この点で考えると、日本は移 民を受け入れていない分だけ平和だと改めて実感させられました。また、食事についても多国籍の 料理が楽しめたことが印象的でした。ホームステイを各々して、各家庭の背景に基づいた傾向があ る点が面白いと感じました。日本で各家庭に郷土料理があるのと同様に、アメリカでは各家庭に各 国の料理があるという事実もまた、多文化からこそだと感じました。 3. 行動力 行動力に関して、私がSAPを通して達成したことは、興味の幅が広がったことです。新しい土 地での生活により、道路の看板や注意書きなど、日本ではさほど気に留めなかったことまでも、意 識して見るようになりました。ほんの些細なものからでも、完全に理解したり日本と比較したりす ることにより、学びが多く得られました。同様に日本においても、見馴れたものでも意味を考える ことや普段と違う視点で道路を見たりすることにより、新しい発見があるのではないかと考えます。 自分の興味のアンテナを広げることで、いつもの同じ景色もまた違う見方ができると思うからです。 更に、今回のSAPのテーマは“多文化・多民族社会“で、出国前は私の専門と縁が薄い分野だと 考えていました。しかし今回実際参加してみて、自分の教養の一部になることが多く学ぶことが出 来て良い機会だったと感じます。以前は無意識のうちにシャットアウトしていた情報も、これを経 て頭の片隅に引っ掛かるように変化しました。 この経験を踏まえて、今後は今まで以上に興味のアンテナを広げて生活したいと考えています。 具体的には普段の生活の中で、日本特有の習慣や考え方について海外の人に説明するとしたらどの ように表現するのだろうと考えたり内容を深めたりすることや、ニュースや話のトピックとして取 り上げられていたら注意したいと考えます。また既知の事柄を深めるだけではなく、今回の様に以 前は興味もなかったことを新しい視点で考えてみることも重要だと考えます。一歩踏み出すまでは 時間がかかるかもしれないが、今回の経験から決して無駄にはならないと思うし学ぶ機会を自分か ら逃すべきではないと感じました。 6 カリフォルニア留学をおえて 松村 健吾 1. 自己の言語運用力について 私は以前より英語に対して苦手意識があり英語に関する成績がよくなかった。しかし大学一 年生の頃ユニバーシティハウスにて外国人留学生と英語で話し、コミュニケーションをとるこ とで徐々に英語に対する苦手意識が薄れるようになり、もっと英語を使えるようになりたい、 使う機会が欲しいと思うようになりSAPの短期海外留学を応募しようと思うようになった。 応募して実際に行き現地でコミュニケーションをとるようになり自分なりに 2 つの成長があっ たと思う。1 つ目は、自分の言語運用能力のなさを自覚できたこと、である。具体的にいうと 語彙と発音。語彙は机での自分でもわかっている勉強不足である。もう一つの発音は正直自信 があった。小さいころから発音を意識した英会話教室に通い、それなりに褒めてもらえていた ことが自信につながっていた。しかしいざ現地学生と話すと見えてくる、自分の発音の悪さ と、相手の発音の聴き取れなさ。何度か聞き直し、自分の発音を聞いてもらい、違うと言われ 何度トライしてもやはり違うといわれた。このような経験は初めてだった。外来語として日本 語にある英語を中心に、日本語にはない th や r と l の違いなど自分の想像を超える発音ので きてなさであった。これに気づくことができたというのは自分の中ですごく重要な一歩である と思っている。2 つ目は言語が違ってもやっているのは同じコミュニケーションであることに 気づけた、ということである。アメリカで最初の一週間、いろんな現地の学生と話したが、お 互いの自己紹介や質問に対して答えるといった、簡単な会話が続いた。あるとき考えたのだ、 どうして日本人同士すぐ仲好くなれるのに、現地の学生とは表面だけの会話が続き壁が生まれ てしまうのか、と。そして気が付いた、足りないのは英語力ではなく、会話力であることに。 具体的にいうと、今日こんなことがあった、こんな面白い話がある、という話を英語ではして いないことに気が付いた。確かに難しい、なぜならすぐに単語が出てこず会話にならなくなる からだ。だが 1 週間が過ぎたとき、勇気をもってなんとか相手を笑わせようと英語で、オチの ある自分の失敗エピソードを話してみた。最後まで聞いてくれた友達は笑ってくれた。今まで 専攻は?出身は?とつまらないことでしか会話をすることのできなかった僕は初めて、英語で 会話ができた気がした。これに気づいた後は早かった。トランプゲームや自分のエピソードな どを積極的にやったり話したりするようになり、会話が盛り上がるようになってきたように感 じた。最終日、仲良くなれた友達と別れるときに感じたさみしさは、一つ一つの会話が思い出 となっていた証拠だと思う。 この経験を踏まえ、将来的には 2 つのことを実践していこうと思う。まずは語彙力のアップ と正確な発音の習得。英語の映画を英語で見るといったトレーニングを少しずつ積んでいき、 積極的に日本に来ている留学生と会話をする機会を作っていければ成長できると考えている。 そして会話のネタを見つけ、それを英語で話し、ウケを取れるようになること。とまりどまり の英語ではテンポやタイミングをつかみにくい。やはり英語を自分のものにし、自分のものに できた英語で話を展開していけるようになることが自分に必要なことだと思った。 2. 異文化適応について 異文化適応について留学前から特に不安はなかった。異文化といえば室内で靴、お酒は 21 7 歳から、料理はアメリカらしい何かがでてくるのだろう、くらいしか思いつかなかったしそれ くらいなら乗り切ることができるだろうと思っていたからだ。留学中も特に不安を感じること はなかった。しかし、異文化はそんな単純ではないことに気が付いたのは一ヶ月の留学の成果 だと思う。一番なれなかったのはTIPの考え方である。どうして、日本と大して変わらない か少し高い値段を払っていながらさらにチップを払わなければならないのかーという思いがど うしても出てしまった。ホストファミリーに話をきくとカリフォルニアではパートの賃金が低 い。だからチップを渡してあげないとかわいそうだ、というのだ。それは店側の責任だと思う し、店員に直接渡すのならまだわかるのだがクレジットカードでチップを払える時点で店に払 っていることになっていると思うのだ。そして気が付いた。こういう感情は異文化を体験して いるからこそ来るものだということに。 SAPによる一ヶ月の海外留学のおかげで、異文化とは楽しむことのできる違いはもちろ ん、違和感に気が付くことで見つけられるものでもあるということに気づくことができた。こ こでいう楽しむことのできる違いとはたとえば左ハンドル右側通行であったり、郵便受けが複 数の家での集合ポストであることである。これらは、発見した時に日本ではこうだという話の ネタになる楽しい違いである。それに対し違和感に気が付くことで見つけられるものはチップ のようなものである。つまり、異文化は大きく二つに分けることができる。理解できるもの と、理解できないものである。そこで異文化適応とは後者のような理解できない文化を理解で きるようになれるかということであるといえる。 そういった観点でチップの話について考えてみると私自信、最後まで異文化に適応できなか ったことになる。チップを払わなかったわけではない。きちんと 15%払った。がやはり最後 まで理解することができなかった。 この経験を踏まえ将来的に異文化適応については、気づきと理解が大切であり、そのために は海外滞在経験を積むことと、現地の友達に積極的に聞いていくことが重要だと思う。今回、 いろんな友達に話を聞いたが理解できなかった。でもそれはそれでよかったと考えている。な ぜなら、自分なりに向きあった結果だと思っているからである。 こういった経験は海外から日本に来た留学生にも言えることだと思う。これからできるだろ う留学生の友達が日本に来た際に、いかに文化について説明できるかがその友達にとってプラ スにつながっていくと感じた。なかなか自分から自分の国の文化については気が付かないた め、積極的に話していくことで自分の文化に気づき考え、説明できるようになっていけたら、 それは一種の異文化適応につながっていくのではないかと考えるようになった。 3. 行動力について 行動力といっても様々な種類があるため3つに分類しようと思う。1つ目は対人の行動力の 中でも現地学生や大学の先生といった比較的内輪の人に話しかけていくといった行動力。2つ 目は対人の行動力の中でも店の人や電車で隣になった人など偶然あった人とコミュニケーショ ンを取っていく行動力。3つ目は積極的に街並みや観光地を訪れるといった物理的な行動力。 まず一つ目の行動力について自分の留学中を反省するとあまりなかったように思う。向こう から来てもらえるのを待つという非常に受け身に近かったため行動力はあまり発揮することが できなかったように思う。この要因として挙げられるのは単純に自分の積極性がなかったため である。しかし、後半になるにつれて車で運転してもらうときなどは積極的に助手席に座り雑 談をするように心がけるようになった。自分の名前が店員に聴き取ってもらえなかったから発 音って難しい、というくだらない話でもやってみると盛り上がってうれしかった。やはり、出 身や趣味など導入としてはいい話題もすぐに切れてしまうため、恋愛話であるとか世間話であ るとか、そういった話を自分から展開していったりしてもらったりという面では行動力があっ 8 たのではないかと思うことができた。 次に 2 つ目の店や飛行場などでの会話である。店などでメニューを指させば注文できる店に 入ることは簡単である。しかし、私は積極的に量り売りの店や味付けを自分で説明しなければ いけない店に挑戦することができたと思っている。挑戦してみなければ成長しないと思ったの は正しく、量り売りなどで度々意思疎通がうまくできない場面があった。主に日本語に外来語 として入っている言葉の料理名である。発音が聴き取ってもらえないし、正しい発音を自分が 知らなかったからだ。1 でも書いた通り発音が正しくないことに気づけたのも、コミュニケー ションが必要な店で注文するといった行動力があったからだと思う。また、飛行場では、シー トトラブルで座席の変更があった。一生懸命誤ってくださる空港職員の方になんと返せばいい か一生懸命考えながら、そっけなく受け入れるのではなく、気にしていないことを伝えられる ように会話をすることができた。これも一種の行動力があったからできたことではないかと考 えている。 最後に 3 つ目の物理的な行動力である。留学中、積極的にショッピングセンターや家の近く (徒歩 30 分)のスーパーに行くといった行動力を発揮した。一番驚いたのはWincoという スーパーマーケットでのことである。アメリカはカード社会。どんな小さな売店でもクレジッ トカードが使えるため、まさかスーパーマーケットにクレジットカードが使えない店があると は夢にも思わなかったのだ。その時手持ちのお金がなかったため友達に借りてその場をしのぐ ことができたのだが、スーパーでお買い物をするという些細な行動力が思わぬ事態に発展した のはいい経験である。後で調べると、その店は格安を売りにしておりそのためにクレジットカ ードが使えない店となっていたのだ。 こういった経験を踏まえて将来的にはやはりどの分野の行動力も発揮していきたいと思う。 どの分野でも行動力を発揮すれば必ずそれに見合った経験をすることができると強く感じるこ とができた。今回の一ヶ月の留学で知ったこの経験できる快感を忘れないようにこれからの海 外渡航の際も積極的に行動力を発揮していきたいと思う。 多文化主義に生きる 陳 美月 1. 自己の言語運用能力 この度の短期留学において、自己の言語運用能力に関して達成したことのうち、得に向上した のは「会話をする」という能力である。今回のプログラムを通じて、自国と違う言語を話す外国 人と意思疎通を図る上で最も大事なのは、 「言葉を発する」ことであると強く実感した。相手の話 している内容がほぼ分かるような状態であっても、こちらが話せなければコミュニケーションは 終了する。完璧である必要はない。身振り・手振り・アイコンタクトを同時に用いながら、こち らに何かを伝えようとする意志があることが相手に知ってもらう。 英語を話すことへの恐れや遠慮を少しずつ消していくよい機会となったのは、毎日の授業での 発言や、現地の学生とのパネルディスカッション、放課後の学生との他愛もない会話、家でのホ ストファミリーとの会話などである。特に現地の学生は日本に興味を抱いている人が多く、違う 言語を母語とする私達との会話でも相手の話すことを深く理解しようとする努力をしてくれ、多 9 文化を学ぶ私達のよいお手本となってくれた。 英語に毎日触れる環境にいて思ったのは、コミュニケーションを取ることを第一とする場にお いては、自分が思っていたよりも会話における文法の正しさはさほど重要ではなく、一つ一つの 文における重要な単語を相手に聞き取ってもらえるかどうかの方が大切ということである。R と L や T と TH の発音の使い分けは改めて難しいと感じたし、アクセントの付け方次第で誤解が生 まれる。ホームステイの間、ホストマザーの母親が外国人学生に対し英語の発音を教える先生で あったことを知った。ホストマザーは母親から聞いていた話を私達に教えてくれると同時に、私 達の発音が間違っていると丁寧に正してくれたため、自分の中で凝り固まりつつあった発音の間 違いを知ることができ、より実生活で通じる発音を習得することが出来た。また、UCR の学生も また発音が間違っていると正してくれたり、よりネイティブスピーカーの発音に近づくまで練習 に付き合ってくれたりもした。発音の良し悪しは、コミュニケーションにおいては発展的段階で 重要になってくることだと感じていたが、今回の海外経験で発音はもっと初期段階で重要になっ てくるのだなと感じた。 会話の中では、発言できるかどうかだけでなく、相手の言葉を聞き取れるかどうかということ ももちろん大切である。元々リスニングが苦手な私であったが、長時間ずっと英語を聞き続ける のは初めての経験であったし、とてつもない集中力が必要とされることであると実感した。アメ リカに行って感じたのは、会話においては自分がゆっくり話すようにすれば、相手も同じペース で話そうと、ゆっくり話す努力をしてくれるということだった。同じ人の英語を長時間聞き続け る場合には、まず出来るだけ聞き覚えのある単語を聞き取ることに集中しその人の話の内容を大 まかに理解したのちに、接続語や呼吸の置き方からペースを掴むようにしていた。 「会話」をする機会は大学内や家庭内以外でも多くあった。出かけた先のお店での店員との短 い会話も、繰り返し経験することで要領を得て落ち着いて注文出来るようになる。相手の言って いることが分かる、発言をする、相手が理解してくれる、自分の求めた答えを返してくれる、こ の会話の中の一連の流れを何度も経験することで、自信を得ることができ、徐々に発言への恐れ が消えていく。 見えてきた課題として、語彙力の無さがある。伝えたい感情や出来事や物事があっても、英単 語が出てこなくて苦労したことが多くあり、相手を戸惑わせてしまうこともあった。難しい単語 を簡単な単語で言い表すいい練習にはなったが、もっと多くの単語を知っていれば、より会話が 弾んだし楽しめたのではないかと思う。 2. 異文化適応力 異文化適応力に関して私が達成したことは、より柔軟に異文化を「理解」できるようになった ことである。理解するために重要なのは、能動的にその文化を知ること、自分が所属する文化と の違い・同じ点を明確に知ること、その文化で生活してみること、であると感じた。 最も自己の異文化適応力を向上させてくれたのはホームステイ経験であったと感じる。アメリ カの生活様式、食文化、宗教をアメリカの家族の一員として体感することが出来たからである。 家のつくり、家での過ごし方、味覚など違うことばかりで全てが新鮮であったが、時間が経つに つれその生活に違和感を感じなくなっていたり、許容できる範囲が広がっている自分を発見する ことが出来た。特に印象的であったのは、宗教に関することである。アメリカ人はクリスチャン の割合が非常に高く、リバーサイド内にも教会があちこちにあった。ホストマザーもクリスチャ ンで、週に何度か聖書の勉強会に参加していたし、食事前のお祈りは毎日私も一緒にした。毎日 の生活に宗教が入り込み、定められた行動をするというのは初めての経験でとても新鮮だった。 衣・食・住は、異文化とはいっても日本でも密に関わるものであるが、宗教と共に生活するとい うのは私にとって全く新たな経験であった。 10 「理解」するために自分の文化と他文化の違いを知ることが重要だと思ったのは、自分の中の 凝り固まった固定概念を取り去ることがまず重要であると感じたからである。チップを払うのは つい忘れそうになるし、家のペットの犬達は外も中も関係なく走り回るし、砂漠であったカリフ ォルニアでは飲み水が足りないのに使いすぎてしまったり。自分の中の「常識」が枷となってし まう経験が出来たのはとても良いことであったと感じたし、今後別の異文化に飛び込んだ時、役 に立つだろう。当たり前と思っていたことが通用せず、別の対応が求められた時、落ち着いて行 動出来ること、これは様々な場面で必要とされることだし、人種や宗教が関わってきた場合には より繊細な問題となってくる。違いを知ると同時に、自分の文化と似通う点、同じ点を見つける ことも重要なことであると気づくことが出来た。異文化を「異なる」ものと捉えすぎることは、 多文化社会を形成する上では良くないことであるし、差別や偏見を生む原因ともなり得るだろ う。そこで、自分と同じ点を見つけてみると、今まで全くの異文化であったものに親しみを感じ たり、違いを受け容れやすくなったりする。そして自分の文化とその文化が共存することに嫌悪 感や違和感を感じないようになっていくことができるのではないかと考えた。この SAP のプログ ラムの大きなテーマは、多文化主義について学ぶことである。様々な施設見学やゲストスピーカ ーから聞く話、授業の中でも、私達は multiculturalism について多くのことを学んだ。特に、ホ ロコーストについて多文化主義という側面から学べたことは良かった。ナチス政権時代、ヒトラ ーが指揮を取る中で、人々が世間に流れる情報を鵜呑みにしたこと。能動的にユダヤ人について 知ろうとしなかったこと。ユダヤ人を「異なる」ものと捉えすぎたこと。これらがホロコースト が起きる大きな要因になったと感じた。 アメリカでの家での生活、学校での授業、学校外で学ぶ多文化、それらで起きたことや学んだ ことは、一つ一つは些細なことであったかもしれないが、異文化を「理解」するヒントとなった し、その「理解」こそが異文化に適応するために最も必要とされることだと感じた。この経験を 踏まえて、今後は未だに自分にとって「違いすぎる」と感じる文化について理解を深めたり、人 との個人的なやりとりにも応用させて柔軟な適応力を身に付けたいと感じた。 3. 行動力 自己の行動力に関して、SAP を通じて達成できたと感じたのは、自己アピールを恐れずに出来 るようになったことである。現地で知り合った人々はもちろん、一緒にアメリカに行った SAP の メンバーも一人一人に個性があって、彼らと生活をする内に、自分が持つ長所や短所は何かをよ り考えるようになった。新たに多くの人と知り合える一か月間にしようと考えていたので、どの ように自分のことを相手に印象づけるかはとても大切なことだと感じたし、これまで以上に自分 のことを客観的に見つめるよい機会となった。アメリカ人と日本人のコミュニケーションの取り 方の大きな違いとして、直接的か間接的かということが挙げられる。日本人は、はっきりと述べ なくても曖昧なニュアンスで相手に真意を読み取ってもらおうとする傾向が高いし、アメリカ人 はその逆だと感じた。自分を知ってもらうためまず自己開示をして、会話の中でさらに自分を印 象づけていく。自分のことばかり話すのではなく、質問も投げかけてみる。相手がどういう人か を知った上で、さらに興味のありそうな話題の質問をしてみる。単に自分がふと疑問に感じたこ とも、とりあえず英語で質問してみると、相手はそこから広がる話題の中で自分に興味を持って くれる可能性もある。特に現地の学生との会話は、外国人の自分と同世代の若者が、どういう価 値観や考えを持っているのかを知ることができとても興味深かった。自分の取る行動一つ一つが 相手にどのような印象を与えるかというのは日本でも時たま考えることであったが、外国人相手 に対して接する時には、日本人相手とはまた少し違った自己アピールが必要とされることに気づ くことが出来た。 また、この SAP というプログラムに参加すること自体が私にとっては大きなチャレンジであっ 11 たため、今回多くのことを経験し学ぶことが出来たことで、これから自分が興味のあるものに恐 れずに挑戦する行動力が得られたと感じる。 多文化主義において重要な言語運用能力、異文化適応力、そして行動力のそれぞれで、SAP を 通して自分なりに達成できたことがあった。多文化主義の時代を迎える、日本で生きていくとい うこと。そのために役立つヒントがこの一か月間あちこちに散らばっていたように思う。それを どれだけ拾い上げられたかは分からないが、これからの私の人生の様々な場面で、それら一つ一 つが私の助けとなってくれるだろうと信じている。 SAP の活動を通して得たこと、感じたこと 伊藤 成紀 1.自己の言語運用力 今回の短期留学で重きを置いていた目標は英語の上達です。実際に英語が使われている国に行く ことは、日本で英語を勉強するよりも早く英語の運用力向上につながると考えていました。本当に その通りでした。初めは何を話したらいいのかもわからず、英語で会話することに対して戸惑いや、 ためらいがありまし。しかし、今回のプログラムで現地の人と触れ合うにつれて英語を発すること になんの抵抗も恥じらいも感じなくなりました。このことはただ英語の囲まれた環境に適応しただ けのことかしれませんが、日本にいたのでは決して得られなかった感覚であると思います。 ここまでは英語を話すことに対する意識について記述してきましたが、ここからは英語運用力を リスニング、スピーキングの二つに分けて論じたいと思います。まず、リスニングの能力に関して ですが、SAP に行く前に SAP 経験者の友人から「リスニングの能力は一番伸びにくいからアメリ カに行く前にトレーニングをしておいた方がいいよ。」と言われていました。実際に1ヵ月間アメ リカで過ごしましたが、やはりリスニングの能力は1ヵ月でどうにかなるものではなく、まだまだ 不十分のままであるというのが正直なところです。現地では英語で授業を受けたり、英語で映画を みたり、英語の講演を聞いたりと、リスニングの能力を最大限に使わなければならない場面がたく さんありました。もちろん日常の会話もそのひとつです。これらの中で特にリスニングの難しさを 感じたのは映画を観たときです。SAP 日程の中盤に映画館に連れて行ってもらいました。映画の中 では英語の台詞が高速で飛び交っていて、そのうち9割くらいは何を言っているのかまったく聞き 取れませんでした。途中で聞き取ろうと努力することを放棄したくなるくらいでした。その後もホ ームステイ先や授業の時間に何度か映画をみました。これらの映画は英語の音声に英語の字幕をつ けて見ました。字幕が付いていれば英語を読みながら聞くため、なんとか映画の内容を理解するこ とができましたが、かなり視覚に頼ってしまい字幕を読んで初めて何を言っているか理解できると いう状況でした。現地の学生同士の会話を聞いていてもまったくついていけず、これらの体験から ネイティブ同士の会話を聞き取ることは非常に高度なリスニングの能力が必要であり、1ヵ月程度 の留学では到達できない域だと思いました。一方、授業や現地の学生、ホストファミリーなどは映 画に比べてわかりやすい英語でゆっくりと話してくれて、そのような配慮のおかげで映画と比べれ ば理解できた割合は高かったです。しかし、言っていることのすべてを聞き取ることは、やはり難 しくて聞き取れた単語から推測することが多かったのも事実です。そして SAP 日程の後半になっ ても、聞き取れないことは依然として多々ありました。こうしたことからリスニングの能力が SAP の期間で大きく向上したとは言えないと思います。その一方で、日常会話でよく使われる表現につ いては、初めのうちは何を言っているのかわからなかったことも、何度も聞いているうちに音声が 12 記憶されて理解できるようになったものもあります。これはアメリカに行って生活したからこそ身 に着けられたことだと思います。また、字幕付きで映画を見ていて、字幕を読んで各文と照らし合 わせながらネイティブの発音を聞くことでリスニングの力を向上させることができるのではない かと思いました。実際に映画を観終わった後の脳の疲労感などから激しいトレーニングをしたとい う実感があったからです。 次はスピーキングについて論じたいと思います。スピーキングについては1ヵ月間滞在したこと である程度向上したと思っています。スピーキングは自分のペースで話せるため言い回しや語彙を 知っていれば話せるようになるものだと思います。アメリカで生活してみて、日常で使う表現をた くさん耳にするので「自分も使ってみよう」という意識が生まれて自分の中の表現や語彙が増えて いきました。また、現地で体調を崩してしまったため、自分の体の症状を英語で伝えることになり ました。そのときも体の部位や、状態を辞書で調べたことで語彙が増えました。このようなことか ら英語圏の国に行くことが英語を上達させる近道だと強く感じました。 今回の経験から、1ヵ月で劇的に英語の能力が向上したわけではありませんが、もっと英語の練 習をしてスムーズに現地の人と会話できるようになりたいと思いました。さらなる英語の向上心を 得られたため、今回短期留学をしたことに価値があったと思います。今後も英語で映画を観たり、 英会話の活動に参加したりするなどして英語の勉強を継続させていきたいと思います。 2.異文化適応 今回のプログラムでは日本とアメリカの文化や考え方の違いを感じられる場面が多々ありました。 まず、プログラムの内容にもあった多文化社会についてです。日本は島国ということもあって移民 が少なく人種の多様性はあまりみられません。しかしアメリカでは様々な異なる人種の人たちが同 じ学校に通い、共存していました。この多文化社会であるということがアメリカの文化であると思 いました。私たちが授業を受けていた留学生用のキャンパスだけでなく、メインキャンパスでもア ジア系やアフリカ系、メキシコ系などの多様な学生がいて、食べ物に関しても色々な国の料理のレ ストランがありました。多文化主義とは、お互いの文化を理解し、互いに尊重しながら共存を目指 す考え方であると授業内で学びましたが、実際にその考え方が実践されていて、異なる人種同士で も仲がよさそうでした。今回のプログラムでは「寛容の博物館」という名前の博物館も訪問しまし た。この博物館ではヒトラーが行ったユダヤ人の迫害や、アメリカでおこった黒人差別などを取り 扱っていて、多文化主義とは真逆の思想についても学ぶことができました。これからますますグロ ーバル化が進んでいくなかで、多文化主義的な考え方が求められているということは私を含めプロ グラムに参加したすべての学生が理解できたと思います。日本はまだまだ多文化社会や、多文化主 義という面では世界に後れを取っていますが、グローバル化により、将来的には異なる文化と共存 していくことになると思うので、私は今回の SAP で学んできたことを普段の生活に反映させてい きたいと思います i。自分が属さないコミュニティに対して理解を示すことに関係して、人種に限 らず、自分と異なる考え方を持った人を理解しようと努めてみることも大切であると思いました。 そうすることでアメリカの多民族社会のように良好な関係が築けるようになると思うからです。 3.行動力 私が今回のプログラムに参加した理由の一つに、積極性を身につけたかった、ということがあり ます。日本人は遠慮がちで消極的な民族とよく言われていて、私自身も消極的なタイプだったため、 アメリカに行って海外の積極的な姿勢を身につけたかったのです。前述のように今回のプログラム では過去の人種差別問題を取り扱った博物館を訪問しました。そのなかで一人の行動によって他人 に大きな影響を及ぼした例をいくつか見ました。ヒトラーが独裁政治を行い、ドイツ人を洗脳し、 ユダヤ人を大量虐殺したことや、外交官だった杉原千畝がユダヤ人にビザを発行しドイツから逃が 13 したこと、キング牧師が白人に対して黒人差別をやめるよう訴え差別問題の改善に繋がったことな どが挙げられます。これらの人たちが及ぼしたのが悪い影響であったにしても良い影響であったに しても、彼らは自ら行動して世の中になにかしらの変化をもたらしました。彼らの例をみて自分も 行動力を身につけて世間に良い影響をもたらしたいと改めて感じました。 プログラムのなかでプレゼンを聞いたり、パネルディスカッションをしたりする機会があり、 東北大学の学生が意見を求められました。普段の私は言いたいことがあっても挙手をして発言す ることはありませんでしたが、今回はできるだけ発言するように心がけました。私自身が発言す る勇気を出して、意識的に発言しようとしただけで今までの自分とは違う行動をしている自分に 出会えました。英語のリスニングやスピーキングができるか否かの能力とは関係なしに、自分の 意識だけで違いを作ることができたのです。プログラムの一環で現地の高校を訪問し、授業の様 子を見学しました。現地の高校生たちは先生の問いかけに反応して、積極的に授業に参加する姿 勢をもっていました。アメリカでは話し手に対して何も反応を示さないことは、失礼にあたるら しく、日本との文化の違いなのかなとも思いましたが、改めて考えてみると、日本にいても積極 的に話し手に反応してもいいはずだし、そうした方がお互いの理解が深まるなど、メリットが多 いと思いました。日本人全員の意識を変えることは難しいことです。しかし、まずは自分だけで も、良い方向に変わった意識を継続したいと思っています。今回の経験から、行動力が欠けてい る人でもなにかのきっかけをつかみ自分の意識を変えることで行動力がつくものなのではないか と感じました。今回の SAP が私にとってのきっかけになったと思っています。 カリフォルニア研修での成果と課題 渡辺 聖也 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、大きく分けて二つありま す。 一つは、今まで学校で習ってきたことの焼き直しです。私は今回の研修が初めての海外経験 ということで、これまで日常の中で英語を使い会話をしたり、生活をしたりという経験をした ことが余りありませんでした。それ故に、学校で英語を習ってはいましたが、それはあくまで 知識として私の頭にあるだけで、体には染み付いておらず、実際には使い物にならないもので あったと思います。ただの知識を実践的なものへと昇華させる手段として、今回の海外研修は 私にとって最適なものであったと考えます。最初こそ自分の英語が伝わるか不安でしたが、一 度落ち着いて、今まで習ってきたことを反芻し、実践してみたところ、あちらの方々にも自分 の意見を伝えることが出来るようになりました。その時が、私の今まで習ってきたことが実際 に使えるものなのだと実感した時でもあります。 第二として、英語に対する恐怖心、羞恥心を拭うことができたということが挙げられます。 この海外研修に応募する前の自分は、どこか完璧主義的なところがあり、英語を話すときにも 自分の英語が間違っていたらどうしよう、周りの人に笑われたりしたら嫌だなどとよく考えて いました。今考えるにそれは自分が笑われるのが恥ずかしいという羞恥心や、自分の伝えたい ことが伝わらないという恐怖心からくるものであったと思います。今回の研修で私はこの自分 の中の弱みを乗り越えることを目標としました。その為に、あちらでは羞恥心を捨て、ホーム ステイ先ではホストファミリーと多くの時間を共有するようにし、休み時間や放課後には現地 の学生と共に遊ぶなどして、積極的にコミュニケーションを図るようにしました。時には自分 14 の言いたいことが上手く表現できない場面もありましたが、そういった場合には手でサインを 送ったりするなど様々なアプローチでコミュニケーションを取ろうと努力しました。その過程 で、言語学習において、文法が正しいか間違っているかということは大事ではありますが、そ れよりも大事なことは、ためらわずに積極的に話しに行く姿勢であるということに気付きまし た。そのことに気付いたときには、英語に対する恐怖心も薄れていました。実際に現地で英語 に囲まれて生活することで、英語に対する心的距離感を近づけることが出来たのだと思いま す。 この経験をふまえて、今後はより詳細に自分の伝えたいことを英語で伝えられるように努力 したいと思います。その為に、語彙のよりいっそうの強化、文法確認などを徹底していきたい と思います。そして、前述の通り、言語というものは実際に使わないと上達しないものである と私は考えているので、従来やってきた座学に加えて、実際に英語を使う時間を多く取ろうと 思います。具体的には、東北大学内で行われている留学生のイベントに積極的に参加して多く の方とコミュニケーションを取ることや、今回の研修で新しく出来た友達と SNS や Skype な どを通じて連絡を取り合い、同時に英語の練習とするといったことを実践していきたいと考え ています。また、現地の学生は私達と話すときに、ネイティブ同士よりもゆっくりと話をして くれました。目標として、彼らの素のスピードの英語も確かに聞き取れるようにしたいと思い ます。その為にも前述したイベントへの参加、友達とのコミュニケーションなどを継続してい き、目標に向けて日々努力していきたいと思います。 2. 異文化適応 異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、多分化社会に対する理解を深め ることができたということです。私が研修前に持っていたカリフォルニアのイメージは、かな りステレオタイプ的なもので、道を歩けば白人の方々とばかりすれ違うのだろう、あまりアジ ア系の人はいないのではないかというものでした。その実、大きく違うもので、私の周りだけ だったのかもしれませんが、アジア系の方との交流がとても多かったです。アメリカは白人国 家などではなく、様々な人種で構成されている国なのだということを再確認することができま した。また、生徒らの出自はそれぞれ異なるはずなのに、皆がそのことを気にかけずに、一人 の人間として平等に接しているということからも多くのことを学ぶことができました。もし日 本の学校に日本人ではない人が転校してきたとしたら、虐めるということはないにしても、カ リフォルニアのように皆が平然と接することは難しいと思います。日本人の同調性は輪を重ん じる心として尊重されるべき文化ではありますが、こういった場面ではマイナスに働くのでは ないでしょうか。グローバル化が進む現在、外国人が日本にやって来る場面も多くなっていく はずです。そういった時の対応として、カリフォルニアから学ぶことは多いと思います。 この経験をふまえて、今後は私自身が様々な異文化に対する理解を持ち、それを周りに広げ ていきたいと考えています。前述の通り、日本ではアメリカ程に様々な民族がいるわけではあ りません。それ故に、外国の人々に対して距離を置いてしまう人が多いと思います。様々な国 の方が、当たり前のように生活できるようになるために、日本も変わるべきだと思います。私 達に出来ることは、彼らに対する理解を持ち、そのことを友達や知人などに話して少しずつ変 えていくことだと思います。日本の文化も残しつつ、様々な国の文化も尊重するような社会に なるために、微力ながら貢献していきたいと思います。また、今回新たに出来たカリフォルニ アの友達らや、これから東北大学に留学に来る学生らにも、より一層日本のことを知ってもら うべく、学校で行われるイベントや、サークル活動などを通じて、コミュニケーションを図っ ていきたいとも考えています。 15 3. 行動力 行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、現地の方に対する積極的なコミュニ ケーションです。一ヶ月という短い期間であったので、私は日本語を話に来たのではなく、英 語を話に来たのだという信念のもと、現地人とのコミュニケーションを最優先として、日本人 だけで固まることは控えるよう心がけました。現地学生は勿論のこと、ツアーガイドや先生、 ツアー先の職員などにも積極的に質問や会話をするようにしました。最初こそ自分の英語が伝 わるか不安でしたが、回数を重ねるにつれてどの場面でどのような発言が適切であるのかなど が段々と体に染みついていき、研修終了際には彼らと自然な会話をすることも出来るようにな りました。また、自分の言いたいことを英語でどのように表現すれば良いか分からないような 時には、諦めたりせずに身振り手振りで伝えようと努力しました。また、ホームステイ先で は、ホストファミリーとの時間をなるべく長く取るようにし、あちらの生活でしか体験できな いことに積極的に取り組みました。家族の団欒、手伝い、実際の住人の意見など様々な交流を 行うことができました。前述しましたが、研修前に立てた、現地の方々と積極的にコミュニケ ーションを図るという目標は達成できたと思います。日本人はある程度英語を習っているの に、恥らいを持ち、言い方が分からないからと英語を喋らないことが多いように感じます。分 からなかったとしても伝えようという意志を持って行動することが、特に海外でのコミュニケ ーションでは大事であると思いました。実際に現地で暮らすことで身に着く経験こそ日本での 座学だけでは身に付かないものであり、とても価値のあるものであると実感しました。 今回の経験をふまえて、今後は英語を使った学問的な場にも、積極的に入れるように勉学に 励みたいと考えています。現地での授業や講演などの折、話している内容のレベルが高すぎて 話題について行けないことがありました。いくら行動する気持ちがあったとしても、理解が及 ばぬばかりに何の質問もすることが出来ず、相手に失礼をしてしまう場面がありました。そう ならぬように、よりいっそう勉学に励みたいと思います。また、これからも海外の方と積極的 にコミュニケーションを図るべく、校内で行われる様々な交流会などの企画に参加し、より多 くの経験値を得たいと考えています。そして、最終的にはより長期の留学に応募して、多くの ことを現地で学びたいと思っています。この熱が一過性のものとならぬ為にも、今回できたカ リフォルニア、また日本の友達らと切磋琢磨しあい、英語能力を高めるべく日々精進していき たいと思います。 16 2班 UCR で達成できたこと 宮崎 佑美 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、積極的に英語を使うことであ る。私は昨年の夏に SAP で韓国ソウルに行った。そこでは想像していたよりも英語を使う機会が 少なかったため、今回の SAP では積極的に英語を使っていこうと決めていた。授業や UCR の学 生、ホストファミリーとのコミュニケーションで、自己の英語力の低さを痛感し、正しい英語を 教えてもらうことで日々英語力の向上に努めた。英語をたくさん使い気付いたことは、必ずしも 正しい英語を話さなければならないことはないということである。正しい英語を意識することは もちろん必要ではあるが、正しい英語が使えないからといって黙ってしまうことは英語の上達に は決してつながらないため、正しい文法や語彙で無くても、相手に伝えることが大事であると分 かった。相手も理解しようとしてくれていて、間違った時には訂正してくれたり、聞き返して確 認してくれたりする。そこで新しく使い方を覚えることができる。英語使ってみるというチャレ ンジ精神を獲得することができた。また、もう一つ達成したこととして挙げられるのは、プレゼ ンテーション力である。授業では毎回生徒先生の前でプレゼンテーションを行った。自分自身に ついてや与えられたテーマについて調べたことなど、一人でする場合もグループでする場合もあ り、多くプレゼンテーションを経験した。 このカリフォルニアで学ぶ多文化・多民族社会プログラムでは、UCR の教授や学生が私たちの ために特別に講義をしてくださった。とても貴重な講義だったのだが、残念だったのは、十分な 理解ができなかったことである。専門的な語彙が多かったこともあるが、講義内容をより深く理 解するために、質問をすることができなかった。正直、質問する勇気がなかったのもあるが、英 語で聴きその内容の筋を自分の中でうまく組み立てることができなかった。英語を聞き慣れてい なかった。長い間英語を聞きとりその内容を理解することが今後の課題である。この課題を解決 するためには日々の英語に触れる機会を増やすことが不可欠である。洋楽を聞くことや英語の字 幕で英語を観るなど自分の興味があるものと英語を関連つけていきたい。難しい内容の英語も理 解できるようになるために英語の雑誌、ニュース、インターネットでは“TED”を利用していこ うと考えている。さらに、今後の課題として挙げたいことは、語彙と英語表現を増やすことであ る。毎日単語帳を最低2ページ覚えることをしたいと考えている。 2. 異文化適応 このプログラムでは、多文化・多民族社会について学習した。アメリカ、カリフォルニアには 多くの民族が暮らしている。現在の多文化・多民族社会が「サラダ・ボウル」となるまでには、 苦い歴史が多くあった。 「サラダ・ボウル」とは、多くの民族が存在し、それぞれの個性を残した まま共存している状態を示している。この多文化・多民族社会には、「差別」が重要な課題であ 17 る。 “The Japanese American National Museum”では、日系アメリカ人について学んだ。彼ら は、周りからの偏見、差別と闘い続けた。第二世界大戦時、特にカリフォルニア州では、生まれ も育ちもアメリカであるにも関わらず、日本の血が 4 分の 1 以上流れている日系人は、収容所に 送られ、厳しい冬の中脆い建物で暮らさなければならなかった。その頃は、敵国の民族として扱 われ残酷な差別を受けていた。アメリカの志願兵になる日系人が存在し、彼らは戦争で米国の人 間として戦った。多くの志願兵がアメリカのために血を流し、命を落とした。この博物館ではそ の志願兵の名前と紫色のリボンがついたメダルが飾られていた。戦争だけでなく、偏見や差別に 立ち向かい戦い抜いたという姿勢も称えられていた。彼らが戦ってくれたからこそ、日系アメリ カ人に対する差別がなくなっていったからである。 “Museum of Tolerance” では、人種差別の代表例である、ナチスのユダヤ大虐殺について学ん だ。ヒトラーは自己の演説力やマスメディアを利用した宣伝によって人々を洗脳し、ユダヤ人が 社会の悪であること、ユダヤ人を排除しなければならないと主張した。ユダヤ大虐殺は、ユダヤ 人が犯した罪や悪事によって行われたのではなく、偏見が偉大な存在と化し、差別につながった ことによって起こったのである。この博物館では、衝撃を受け、自ら差別について考える重要な 機会を頂いた。偏見は誰もが持ち、持たないことはあり得ない。そこである人種に対して同じ偏 見を持った人たちが集団化するとその偏見は大きな存在へと変化し、ある人種を排除しようとし たときに差別が生まれる。差別の一番の原因は偏見なのである。差別はあってはならないもので ある。しかし偏見は無くなるものではない。差別をなくすためには、その偏見を小さいもののま まに留めることが重要であると私は考えた。差別をなくすための3つの方法として、1つ目は、 正しい情報を持つことである。インターネットで多くの視点から述べた意見や考えを収集し、自 分の知識が正しいかどうかを見直すことである。2つ目は、公正な教育を受けるということであ る。偏った考えのある教育からは偏見しか生まれない。公正な教育とは、私がまさにカリフォル ニアで体験したこのプログラムである。多くの博物館に訪れ、歴史と向き合うことである。日常 生活では差別という問題に意識が向かなかったが、この博物館では、差別は身近にも存在するも のであり失くすべきものであると改めて気づかされた。歴史が物事の善悪を客観的に教えてくれ ることがある。また、他国で起こった差別や問題を学ぶことで、自国の場合はどうかと自国につ いて客観的に考えるようになった。このような教育が偏見を修正してくると私は考える。そして 3つ目は、ある人種を集団としてみるのではなく、個人としてみて関わるということである。相 手をある集団の者と考えることこそがすでに偏見である。人はそれぞれどの集団に属していても ある個人という人間である。自分の考えを持っていて、個性がある。個性のある個人として、個 人対個人の関わりを大切にすることである。 また、このプログラムでは、ホストファミリーや多くの UCR の学生と交流することができ、考 えや価値観を共有することができた。良い刺激を受けるとともに、自分の文化と比較し、日本文 化の良いところ悪いところを改めて見つけることができた。 この経験をふまえて、今後異文化におかれる状況になったら、その文化を恐れることなく積極 的にその文化を理解していくことに努めたいと思う。また、歴史を学んで今後にどうつなげるか ということをつよく意識させられた機会が多くあった。自分にも世界を少しでも変える力がある ということを忘れずに日々を過ごしていきたいと感じた。 3. 行動力 この SAP で大きく変わったのは行動力だったと感じている。昨年の夏の SAP でも行動力に大 きな変化が見られたが、今回はまた違った部分である。夏の SAP では、自分がしたいと思ったこ とに対して自信をもって行動を起こすことができるようになった。今回身についたのは、積極性 18 と問題解決力である。 今回の SAP の魅力はいろんな人と関わることができる点であった。夏の SAP ではソウル大を お世話になったのだが、ソウル大の学生とあまり交流できなかった。そういう機会も少なかった が、少ないチャンスの中で自分がもっと積極的に行動を起こしていたら変わっていたのではない かという心残りがあった。今回の SAP は、自分自身の内気な部分を改善して、なかなか関わるこ とのできない違う言語や文化を持った人たちに勇気をもって話しかけるという目標を達成したい と強く思い挑んだ。UCR では、ピザパーティーを設けてくださりそこで多くの生徒とコミュニケ ーションをとるよう努めた。授業でも UCR の学生とパネルディスカッションや会話を行う機会が あり、言語や文化の違う学生との交流を楽しむことができた。また、ホームステイを経験し、ホ ストファミリーとの交流もあった。初めてのホストファミリーという存在に嬉しさと戸惑いを感 じながらも積極的に会話をしようと努めた。自ら積極的に話かけたり質問したりすることで相手 も自分自身に対し関心を持ってくれるということが体験できた。 カリフォルニアで大変だったことは特になかった。あえて挙げるならば、授業だった。アメリ カの授業は私が経験してきた日本の授業とは大きく違い、発言を多く求められた。人前で発言す ることに慣れていなかったためその授業が私にとって苦痛であった。しかし、一緒に授業を受け ている友達が徐々に進んで発言するようになり、焦燥感や自己嫌悪に似た感情に追われ、自ら発 言する機会を狙っていこうという姿勢に進むことができた。授業についていけるようになったの は周りの刺激によるものであったが、このように困難な状況を乗り越えられたことが自分の行動 力に自信を持てるようになった。また、このプログラムの最後に、このプログラムを総括するプ レゼンテーションを行うことになっていて、その準備が私にとっては精力を注がなければならい くらい難しいものであった。そこではグループの話し合いを何度も行い、決定したことも何度も 確認し、わからないことがあれば友達、先生、UCR の学生、ホストファミリーにも相談した。最 後のプレゼンテーションが良いものになるように、SAP で学んだことを全て伝えられるものにな るように最善を尽くした。人前で話すことはとても苦手だったが、周りの協力と刺激で乗り越え ることできた。今後もこの体験を踏まえて、自分の成長した行動力に自信を持ちたいと思う。 SAP UCR を通して学んだこと 郡山 翔太郎 1. 自己の言語適応力 自己の言語運用力に関して、僕が SAP を通して達成したことは、基礎的な英語力の向上とそれに よってもたらされる相手との意思疎通、コミュニケーション能力が向上したと思う。僕はもとも と英語が得意なほうではなかったし、英語に対しての原動力を得たいと考えていたので SAP に応 募した。そのためコミュニケーションを取る以前の問題として、単語力の問題やリスニングに対 しての不安があった。単語力については努力で補えるものなので、留学前に単語本を買って毎日 少しずつやるようにしていた。留学前に一周した。留学にも一緒に持っていって、夜の暇な時間 などに読んだ。 ‘実際に英語圏で使われている一つの標準的な英語’で使われている単語を勉強す ることは、留学に対してすごく意味のあることと思ったので、器械的に単語がのっかっているも のは避けた。実際に留学してみると、日本の大学や日常的に勉強する英語と、現地で人とコミュ ニケーションで使う英語には違いがあった。これは日本でもいえることだと思う。日本人はコミ 19 ュニケーションとして、国語の教科書に載っているような難しい言い回しはしないし、会話にお いてシンプルで簡単に伝えようとする。英語にも同じことが言えた。自分の意思を簡単な英語で シンプルに伝える。一見簡単そうに思えるけれどこれが案外難しかった。自分が考えた難しい日 本語をシンプルな英語に置き換えることが初めはとても難しかった。ホストファミリー、学校の 先生、UCR の生徒たちとの会話から、相手の言い回しなどで、このときはこの単語を使うのだと 気付いたときは、メモを取るようにした。新しい単語や言い回しもたくさん覚えた。ノートを一 冊持って行って、日付ごとに区切って新しく覚えたものを記録した。このプログラムは、アメリ カの多文化を学ぶものなので、専門用語の単語も覚える機会があった。現地で覚えた単語につい て特に印象的だったのがホストファミリーとの生活や会話の中で覚えた単語だ。僕のホストファ ミリーは毎週新しい単語を 2~3 個教えてくれてその意味も教えてくれた。ただ教えてくれるので はなく、数日たったらテストがあった。テストは突然行われた。車の中や家で会話しているとき など、突然単語の意味を尋ねられた。最初に教わった単語は、treat である。留学初日に教わった 単語だ。Treat の意味は“something special”。ホストマザーは、僕たちの留学という体験、アメ リカに来た体験そのものが特別な体験、treat なんだよと言ってくれた。とても感動的だった。こ の単語達はホストファミリーから一方的に教わったものだけでなく、ホストファミリーとの体験 に基づくものあった。たとえば snitch という単語がある。意味は leak out と同じで何か秘密を漏 らしてしまうといった意味だ。どのようにしてこの単語を聞いたかというと、アメリカに来て最 初の金曜日だった。TGIF!その日の帰りにホストファザーがマザーに内緒で BAR に連れて行っ てくれた。ファザーはこのことがマザーにばれるとこっぴどく叱られるらしく、秘密にしようと 提案してきた。僕たちは秘密を守る気でいたが、思いのほか酔ってしまって、帰ってからマザー に心配されて白状してしまった。自らの危険を感じたファザーは”You snitched!!“といった。と ても印象に残った単語だった。他にも例はある。ぼくのルームメイトは陽介だった。僕と陽介の 性格は正反対で、学校の宿題への計画性に顕著に表れた。僕は割と早めに宿題を早めにおわらせ るのに対して、陽介はため込むタイプで、直前になって一気に宿題をやっていた。そんな二人を 見て、ホストマザーは陽介に対して”You are procrastinater.“といった。このことから procrastinate という単語を新しく知ることができた。意味は put off と同じで延期する。これら の単語は普通に単語帳で見たら気が付いたら忘れてしまいそうなレベルの単語だけど、経験や体 験と結びつくことで、記憶にしっかりと残るものになった。これらはあくまで一例に過ぎない。 ほかにもさまざまな印象に残る単語があった。現地の生徒たちに教えてもらったスラングもあ る。UCR での生活を通して得た単語は、いわば自分と思い出をつないでいるようなもので、かけ がえのないものになった。次にリスニングについてだ。リスニングは現地に行ってから鍛えるし かないと思っていたので、事前にはあまり対策はしていなかった。学校の英語の授業で扱った英 語のニュースを聞く教材を使ってリスニングの練習をした。現地にいってからは耳が慣れるまで に苦労した。最初は何を言っているか速すぎて全く理解出来なかった。留学後半に単語が聞き取 れるようになって、相手がなんとなく何をいいたいのかわかるようになった。これらのことから SAP を通して英語力は確実に向上した。英語力の向上は自信になり、コミュニケーションを積極 的に取ろうという意識がついた。コミュニケーションがうまくいくとそれがまた自信になり、良 いスパイラルができた。留学が終わった今、この経験をふまえて今後は、英語力が落ちないよう に努力していきたいと思っている。また、自分の中で英語に対するモチベーションが上がったの でさらに高いレベルの英語力を目指していきたいと思うようになった。 2. 異文化適応 異文化適応に関して僕が SAP を通して達成したことは、アメリカの文化を理解し、快適にすごす ということである。当たり前のことだがアメリカと日本の文化は大きく異なっていた。まずは食 20 生活。アメリカの食べ物はとにかく量が多いしオイリーだ。アメリカは日本に比べてすべてのス ケールが大きいように感じた。ゲストスピーカーの授業でアメリカと日本の文化の違いついて、 アメリカ人は大きいからアメリカのものはすべて大きくなる。という話があってなるほどなと思 った。けれどもともとアメリカ人が大きくなるきっかけを作ったのはこの食生活では?とも思っ てしまう。ハンバーガーなどのアメリカンフード以外にも、カリフォルニアはメキシコに近いの で、メキシカン料理などをたべる機会があった。正直最初の一週間で食事にはうんざりして日本 食が恋しくなったが、アメリカの食事を食べる機会なんてそうそうないからと思って、ケーキ、 ホットドッグ、タコス、トルティーヤ、ハンバーガーなどいろいろな料理にチャレンジした。最 初はうんざりしていたが、慣れとは怖ろしいもので食生活に関しての不満は留学後半になってほ とんどなくなった。食生活も含まれるが、アメリカでの生活で一番異文化を感じたのは、ホスト ファミリーとの生活である。具体的にいうと性格、価値観の違い、宗教において特に異文化を感 じた。性格に関してアメリカ人はとにかく陽気。ファザーもマザーも毎日ジョークを言って笑わ せてくれた。そして社交的であるということ。マザーの健康診断のために病院に一緒に行ったこ とがあった。待合室に行くと、そこで初めて会った人なのに、マザーはそこにいるみんなと世間 話や検査についての情報交換などをしていた。実際に僕たちも他の患者さんに話かけられた。そ の人の家もホストファミリーをやっているらしく、その話で盛り上がった。日本では考えられな い光景である。日本の病院の待合室はとても静かで沈黙のイメージがある。次に価値観の違いに ついて、時間に対する価値観の違いを痛感した。日本人がいかにパンクチュアルであるか思い知 った。留学して最初の休日にモールに連れて行ってもらったことがあった。マザーと四時半にモ ールの玄関で集合と約束をしていったん別れた。ところが約束の時間になってもマザーは現れな い。三十分たっても来ない。自分たちが英語を聞き間違えたのか、マザーが場所を間違えたのか 分からなかった。けれど携帯もつながらない環境だったので、不安だけが募っていった。そして 四十五分後、何事もなかったかのようにマザーがやってきた。遅れたことに関しては特に何も言 っていない。信じられなかった。最後に宗教に関して、僕のホストファミリーはキリスト教だっ た。毎週木曜日にバイブルスタディーがあった。近所の人が集まってきて、聖書を読みあってい た。多神教の日本人にはとても珍しい光景だったし、異文化を感じることができた。これらのこ とから、日常的に異文化を感じる場面はいくつもあった。最初は戸惑うこともあったが、一カ月 という長いスパンで見たら、その異文化を受け入れ、当たり前のように感じることができるよう になった。この経験を踏まえて今後は、どんなに異なる環境に送り出されてもそれを認めて、共 存できるような、フレキシブルな価値観を持った人間になりたいと思った。 3.行動力 行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、シャイを克服するということである。僕は 自分の考えや意思をはっきりと言うタイプの人間ではなかった。自分の意見を持っていても、は っきりと表明しないので周りに流されてしまう傾向にあった。実際にアメリカに行ってみて日本 人がとてもシャイであることを痛感した。先ほどあげた病院の例からでも明らかである。また、 アメリカでは日本でよくある、どっちとも言えないという概念がない。YES、NO とはっきり言 わないと相手には伝わらない。はっきりと NO ということは、相手に失礼なじゃないかと思って いたが、自分の意思をはっきり言わないほうがここでは失礼になる。できるだけシャイを克服す るように頑張ろうと思って、意思表示をはっきりするように心がけた。日本に帰る前日。ホスト ファミリーと過ごす最後の夜に、マザーから話があった。マザーは、翔太郎は最初大人しくて、 とってもシャイだと感じて意思疎通がうまく取れなかったけれど、後半になって積極的に話がで きるようになったし、それはすごいことだよ。Awesome と言ってくれた。その言葉を聞いて、人 間的にも SAP を通じて少しは成長があったのかもと思えた。この経験を踏まえて、今後は留学生 21 や外国の人と話す機会があったら積極的に意思疎通をしていきたいと思った。 初海外の経験 小林 健太 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、私がどのくらい英語を使える のかを理解したことです。いままで日本にいた間に英語を使って話す機会はほとんどありませんで した。そのためどのくらい私が英語を使って会話することができるのか全く分かりませんでした。 今回の留学では毎日英語を使う機会がありました。ホームステイ先でのホストマザーたちとの会話 や学校、お店など様々な場面で英語を使いました。その中で私の伝えたいことがうまく伝えられる 時と伝えることができないときがありました。ホストマザーと会話しているときに私から簡単な質 問をすることはできました。しかしその質問から答えが返ってきた後に会話がつながらないことが 多々ありました。話しかけてくれている英語をただひたすらきいているときもありました。簡単な 質問をする以外に私から話すことがあまりできなかったように感じます。どうしてあまり私から話 すことができなかったのか考えたときに、頭の中では日本語で伝えたいことがあってもそれを英語 にすることができていなかったからだと思います。伝えるために必要な単語や文法がまだまだ分か っていないことがわかりました。知らない単語がまだまだたくさんあることを日々の生活の中で実 感していました。テレビをみているときやアメリカの学生と話している中で知らない単語がたくさ んでてきたからです。辞書を使わないと単語を理解することは難しかったです。また、英語で会話 するためには相手の英語を理解しなければ会話することはできません。自分から質問しても相手の 話す英語がはやくて聞き取れないこともたくさんありました。初めてアメリカについた日と比べる と日本に帰るころには少しは英語が聞こえるようになったと思います。それでもお店などで相手の 英語が聞こえなくて戸惑った経験を何度もしました。ゆっくりで、わかりやすくないとまだまだ英 語を聞き取ることができないことがわかりました。私はまだ簡単な英語しか使えず、英語をしっか り聞いて理解することができないことがわかりました。話せなかったというほどではなかったと思 いますがうまく話せていたとはいい難いです。今回の経験をふまえて、今後は生活していく中で英 語の勉強に励み、今回持っていなかったと感じた語彙力、文法力、リスリング力を鍛えていきたい と思います。いつか留学した時に困らないほどうまく英語を使えるようになりたいと思っています。 そのためにはまず英語を勉強する時間を作ることが必要になると思います。毎日ほかのことで時間 を取られることは多いと思いますがなるべく英語を勉強できるように努力したいと思います。語彙 力や文法力、リスニング力をつけるために TOEFL 対策の勉強を中心にやっていこうと思います。 TOEFL の点数を上げることが自分の英語力を高めることにつながると信じています。私は今回の 経験をしていなかったら英語を勉強することに力を入れようとは思わなかったと思います。それは しゃべれないことがもどかしいということをわかっていなかったからだと思います。伝えたくても 伝えられない経験をした今、もっとしゃべれるようになりたいと強く思いました。英語が話せるこ 22 とは必要なことだと感じた私はこれからの生活の中で英語のために努力することができると思い ます。 2. 異文化適応 異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、日本とは違う文化を素直に受け入れ られるようになったことです。アメリカについてからは日本と違う文化が数多くあり驚かされるこ との多い日々でした。アメリカについた次の日、私はサイクリングに行きました。そこで私は車が 右側通行であることや信号機の仕組みの違いに驚きました。日本は左側通行なので最初は違和感が ありましたがすぐになれました。信号機について私が驚いた点はまず歩行者用の信号が赤から青に なるためには必ず押しボタンを押さないといけないということです。日本ではたいていの信号が自 動で変わるのでボタンを押す必要があまりありませんでしたが、アメリカでは道路を横断するため には必ずボタンを押さなければなりませんでした。日本であまりボタンを押すことがないために最 初はボタンを押すのを忘れていてなかなか道路を渡ることができませんでした。この日に信号機の 日本とは異なる点を経験したことでそれ以降は戸惑うこともなく道路を横断するようになりまし た。またほかの異なる文化として私はお金に関して学びました。日本では円を使っていて、アメリ カではドルを使っています。日本と違う硬貨や紙幣の種類。最初はどの硬貨がいくらなのか全くわ かりませんでした。日々買い物をしていく中でどの硬貨がいくらなのかがわかっていきました。最 後まで理解するのに時間がかかったのは5セントと10セントです。10セントのほうが5セント より高いはずなのに硬貨のサイズが5セントのほうが大きかったからです。最初買い物していたこ ろは購入した金額よりもとりあえず大きい金額の紙幣をだして硬貨は使いませんでした。しかし時 間がたち硬貨の種類を覚えていくと購入した金額と同じ額をだせるようになりました。日本と違う 文化を受け入れていく中で自分の中で日本を下に見ることが多くなったように感じます。それはア メリカの高校に見学に行った時のことです。日本の高校よりも広く、何倍もの生徒が通っていまし た。授業や学校を見学していて生徒たちの環境がとてもいいものであると感じ、生徒たちが楽しそ うにみえました。その環境が日本とアメリカの文化の違いから生まれたのだと考えるとアメリカの 文化のほうが日本より良いのではないかと思いました。しかし、これはあまりよくないことだと思 います。この経験をふまえて、今後は日本とほかの国のどちらの文化が良いか比較しないようにし ていきたいと思います。比較をするとどちらが良いか優劣をつけてしまうことになります。その優 劣によって日本を下に見てしまったりほかの国を下に見てしまったりしてしまいます。これをなく すため異なる文化を受け入れていくときには日本の文化とは異なるものなので優劣をつけられる ものではないと考え、しっかりと区別したうえであたらしい文化として受け入れたいと思います。 アメリカに行く前まで、私は日本と異なる文化を経験した時になかなか適応することができず困っ てしまうだろうと思っていました。しかし、いざ経験してみると困るようなことがあるのは最初だ けですぐになれることができました。実際に私がどのくらい適応できるのかは実際に経験してみな いと分からないことだったので今回の経験は自分のことをより詳しく知るいい機会になったと思 います。 3. 行動力 行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、好奇心をもって生活し毎日を充実したも のにできたことです。アメリカについてから見た景色や街並みは日本では見られない素晴らしいも のでした。日本では見られないものをもっと見たいと最初に思いました。それから私は毎日新しい ものを経験するために様々な行動をしてきました。機会があったので住宅地や広大な大地をサイク リングしながら堪能しました。植物が少ない山や丘が遠くまで見渡せる光景に感動したのを覚えて います。また景色だけではなく食事にも好奇心がわいていました。大学の前に様々な種類の飲食店 23 がありました。私はほとんどの店に行きました。どんな料理が食べられるのか気になったからです。 ハンバーガー店やタコスのお店に行くことが多かったです。日本ではタコスを食べる機会があまり なかったため食べていてとても楽しかったです。ホームステイ先で食べたご飯も日本ではあまり食 べられない料理がでることが多く毎日楽しみにしていました。昼ご飯をたべるときにはアメリカの 学生と一緒のことが多く、家ではホストマザーなどと一緒に食べていてそのたびに会話をしていま した。このとき英語で話すのがとても大変でした。しかし、相手に興味を持って話そうとしていた のであまり臆せずに話すことができていたと思います。相手のことを知りたいと思う好奇心があっ たからこそ英語で話したいと考えることができたと思います。今回見るものすべてが新鮮で好奇心 が常にありました。そして自分はその好奇心を原動力に毎日行動していて、そのおかげで毎日を充 実したものにできたと思います。好奇心を持つことがどれほど自分に影響を与えるのかがよくわか りました。アメリカに行く前までの自分の生活を振り返った時、好奇心がなかったとは言いません が毎日あったわけではなく退屈に過ごした日々が多くありました。好奇心をもつことで毎日が充実 したものにできることを経験した今、退屈な日々を過ごすことはもったいないように思います。こ の経験をふまえて、今後は何かしらに好奇心をもって日々を過ごしたと思います。自分が好奇心を 持った時その心を満たすために行動することができるのはわかりました。しかし、何に対して好奇 心をもてるのかはまだよくわかっていません。わかっているのは見たことない景色をみたいことや 食べたことのない料理をたべたくなること、英語で話したいと思っていることなどです。毎日を充 実させていくためには自分が何に対して興味があり、好奇心がもてるのかを見つけることが最初に 必要なことだと思います。残りの大学生活の中で自分が何に対して好奇心をもつのか探したいと思 います。それをみつけるまでは今回の経験でわかった見たことないものをみたいという好奇心を日 本でも満たせるよう行動していきたいと思います。アメリカに行くことで初めて自分が好奇心をも つことで様々な行動に移せるのだと分かりました。アメリカに行かないとそれに気づけなかったと 考えると、行く前と行った後で自分の行動力はあがったのではないかと考えられます。 一カ月の短期留学を経験して 白井 森隆 1. 自己の言語運用能力 自己の言語運用能力について、この留学で見つかった課題は三つありました。一つ目は、否定 疑問文に対する答え方です。日本語で、 「ご飯食べたくないのか。 」と聞かれた時に、食べたくな かったら、 「うん。 」と答えるのが普通です。その理論で、アメリカで生活しているときも何度か 「No」と言うべきところで「Yes」と言ってしまったことがあり、話し相手を混乱させてしまっ たことが多々ありました。これは日本の学校でも習うことですが、答え方だけを知っていて、な ぜなのかを知らない僕にとっては何度やっても難しかったのです。そんな時に、常に気にかけて くれていたホストファザーの学校とは異なるもう一つの授業が始まりました。私のホストファザ ーは日本人でしたが、英語を習得するために昔相当な努力を積み上げてきたのだろうということ がすぐわかりました。ホストファザーの指導のおかげで、最終的に私は否定疑問文に対する答え 方をマスターすることができました。今まで何年間も英語を学んでいて、今回初めて答え方に関 する練習をしたと思います。二つ目は、質問に対して、答えをシンプルに答えるということで す。質問されたことに関して丁寧に答えようとしすぎて、関係ないところまで答え、英語がわか なくてつまり、相手が混乱するということが多々ありました。そうするくらいであれば、簡単に 24 答えられるところから答え、あとはちょっとずつでも付け足していけばよかったのだと学びまし た。三つ目として、口語の表現をもう少し学んでおけば良かったと思いました。ホストファミリ ーとの会話の中では、聞き取れてもなにをはなしているかわからないことが多々ありました。あ る日ホストファザーが口語英語のテキストを見せてくれたことがありました。私はアメリカに来 る前から、日本の学校で勉強している英語と普段英語圏の人が使っている英語は果たして一緒な のかと疑問に思っていました。もちろん学んだ英語は大部分で通用することができました、現地 の人の使う英語はよりシンプルで明快であった気がします。 今後の課題として、私が掲げることは二つあります。一つは、筆記体の英語の読み書きをでき るようになること。アメリカではビジネスの場面ではほとんど筆記体でやりとりをしていると聞 きました。さっそく勉強を始めます。もう一つは口語英語の勉強です。より明快に、わかりやす く自分の思っていることを伝えたいと今回の留学を通して思いました。これらの二つが、私のこ れからの目標です。 2. 異文化適応 異文化適応に関して、私がこの留学を通して達成できたことは、どんな文化背景を持つ人とで も気兼ねなく話すことができるようになったということです。私が留学したカリフォルニア大学 リバーサイド校は特に、多くの人種の学生委がいる大学であったと思います。メキシコが近いこ ともあり、多くのヒスパニック系の学生。そして、多くのアジア系アメリカ人の学生がいまし た。話す話題は好きな音楽の話題など、普段日本で日本人の友達と話しているような他愛のない 話をしていました。私が第二外国語としてスペイン語をとっていたことは、ヒスパニック系の学 生と仲良くなるきっかけとしてとても役に立ちました。さらに、音楽を好きなことも、たくさん の学生と自分の好きな音楽について共感したり教えあったりすることに役立ちました。この経験 から私は、異文化の人と話すためには、興味があることが多いことが大切なのだと感じました。 さらに、自分とは異なる文化を持っているのだからと気負うことなく、普段の自分でいることが 一番大切なのだと思いました。現地の学生と私は、特に特別な感情を持つことや、いつもとは全 く違う行動をしていたという覚えがありません。だからこそ、簡単な言い方になってはしまいま すが、彼らとの交流をとても楽しむことができたと思っています。 この経験を踏まえて、今後の課題としては、生活に宗教の影響を多く受けている文化とも、今 回学んだ方法で適応できるだろうか、ということがあげられると思います。今回の留学では、あ まり宗教に信心深い人々と交流する機会はありませんでした。昨今、宗教に関する問題が大きく なってきています。例に出すと、イスラム教の中の、過激派の中の、さらに一部が宗教とテロ行 為を結び付け、残虐な行為を繰り返しています。このことで、イスラム教の信者たちにも悪いイ メージがついてしますかもしれない。私は、イスラム教の信者と話したことがありません。しか し、おそらく今回学んだ方法で仲良くなれるだろうと思っています。自分と文化が全く違うから と言って、気負いすぎずに、ありのままの自分で話しかける。しかし、この時に忘れてはいけな いことは、相手へのリスペクトの気持ちです。たとえ自分と違う文化を持っていても、相手への リスペクト、相手の文化へのリスペクトを忘れなければうまくやっていくことができると思いま す。この考えをもとに、これからもたくさんの文化背景を持つ人々と話していきたいと思いま す。 3. 行動力 行動力に関して、私がこの留学を通して達成できたことは二つあります。ます一つ目として、 UCR での授業の中で自分から手を挙げて発言することを意識づけ、それを一か月続けることがで きたと思う点です。UCR で授業を受けていて、先生方がしきりに言っていたことは、アメリカで 25 は質問をしないことのほうが無礼になるということでした。そして、決して質問することを怖が ってはいけないということです。日本の授業では、なかなか質問をしづらいということがあげら れると思います。もちろん授業にもよりますが、その要因はほかの人の目なのではないかと私は 考えていました。不思議と、アメリカでは全くそのようなことが気にならず、間違っているかも しれなくても手を挙げてなんとかわからないことを伝えようとしました。これは、日本に帰って も続けようと思います。そして、もう一つとしては、リーダーとしての行動力だと思います。私 は、今回 UCR 組の 30 人のリーダーを引き受けました。仕事は人数を確認するだけといわれてリ ーダーの任についたものの、日本から渡米して帰国するまで、リーダーの仕事はたくさんありま した。先に行ってしまったメンバーを呼び戻すためにほかのメンバーにその場で待ってもらうよ うに指示を出したこともありました。最後に UCR の学生にお礼のアルバムやムービーを作った時 には、買い出しや、なかなかまとまらない意見をまとめることに苦労しました。このようなグル ープでリーダーをやった経験は何度かありましたが、海外の慣れない場所で人を引っ張ることは 想像以上に苦労しました。しかし、この経験は同じプログラムに参加したメンバーが経験したも のとも違う、私だけのものだと思っています。リーダーだからこそ、責任を持たなければならな いとき、一番に行動しなければならないときはたくさんありました。この経験が、私の積極性と 責任感をさらに養うものとなったことは、自分にとって非常に良いことだと思いました。 私の目標は、このプログラムのメンバーの関係をこの SAP の間だけで終わらせないということ です。本当に、この一カ月は、毎日の一瞬一瞬が充実していました。時間を本当に有効に使えた と思います。そして、それに加えて最高の人々、メンバーに出会うことができました。現地であ った学生との絆も、東北大生との絆もここだけで終わらせたくはありません。もちろん、ほかの メンバーもそう思っていることと思います。しかし、私自身、この最高のメンバーの中でリーダ ーをやらせていただき、たくさんのことを学ばせていただくことができました。今後の目標とし て、これからも何回も集まって、この SAP を通して刺激を受けて感じたことを話し合っていきた いと思います。 SAP での体験と今後の課題 齋藤 1. 智子 自己の言語運用力 私は、SAP に参加する前には、英語を話す機会などほぼ無く、英語と触れる機会と言えば、大 学の英語の授業くらいのものでした。そのため、言語運用力の中でも特にスピーキングやコミュ ニケーションの能力については自信がなく、自分の意見や考えを英語で伝えることには不安しか ありませんでした。そのようななかで、UCR に着いてすぐにホストファミリーと引き合わされ、 すべてが英語の授業も始まりました。ホストファミリーとのコミュニケーションでは、最初の頃 は言われたことを聞き取るのに精いっぱいで、”Thank you.” や “OK.” ばかりで答えていました が、少しずつ慣れてくると、その日にあったことの報告をしたり、テレビ番組について話したり できるようになりました。ルームメイトと相談して、大学までの送迎の 15 分程度の間、話をとぎ れさせないようにする努力をすることを約束し、天気の話などの軽い話題から、日本の政治・経 済などの難しい話題まで、ホストファミリーと話すことができました。UCR の学生とのコミュニ ケーションにおいては、日本語がわかる学生にもなるべく英語で接するようにし、学生同士なら ではの、カジュアルな場面での英会話も実践できたように思います。スラングもいろいろ教えて 26 もらいました。授業では、伝えたいことを正しい文法で話す自信がなく、発言を控えていました が、先生がとても優しく、言いたいことをくみ取ってくださる方だったため、とりあえず発言す ることを優先できるようになりました。先生の指示の聞き取りについても、最初の頃は理解でき ないことも多かったのですが、次第に聞き取りやすくなっていったように思います。 このような体験で見えてきた課題は、語彙力の無さと、実践で使える文法知識の無さです。私 にとって、ここまでの英語に触れる機会は初めてで、意外に伝えたい気持ちがあれば伝わるもの だなと感じた一方、自分の使っている英語はとても幼稚で単純だなとも感じました。もっとたく さんの語彙を知っていたら、もっとたくさんの文法知識があったら、よりいっそう楽しいコミュ ニケーションを取れたはずだと思うのです。しかし、今までのようにただ暗記するだけの勉強法 はよくないと思います。今回、英語に囲まれて生活してみて、周囲の人が使っている英語を真似 して使うようになるとその単語や文法は忘れないのだなと感じました。そのため、覚えた単語や 文法を使う場面を自らに提供しなくてはならないと思います。よって、今後は、UCR の学生と skype などで連絡を取ったり、インターネットでの英会話サイト QQEnglish で先生とお話したり することによって、今回刺激されたリスニング力やコミュニケーション力が衰える前に、英語を 使う機会を増やしていきたいと思います。週に3回以上はそのような英会話を続けたいです。 2. 異文化適応 上記の通り、私は SAP 以前に海外渡航体験がなかったため、私の周囲の文化はいたって日本的 なものばかりであり、異文化に触れたことはほぼありませんでしたが、私は、自身が偏見を持つ ような人間ではないと思っていたため、異文化に適応することは簡単なことだと考えていまし た。しかし、ホストファミリーのアフリカ的文化に触れ、スパイシーな食事を食べたり、アメリ カのトイレの個室がしっかりと隔離されていないことを知ったり、アメリカのカップルのオープ ンな態度に衝撃を受けたりするなかで、文化の違いというのはこんなにも大きいのかと思い知り ました。また、Site Visit で訪れた、Museum of Tolerance で、人間は誰しも偏見をすることを 学んで、私も確かに見た目や噂などで偏見などをするなと気付きました。さまざまな異文化に触 れ、簡単には適応できないこともあるかもしれないけれど、ほとんどのことは次第に適応できる ものだなと思いました。例えば、ホストファミリーの食事はスパイシーなものが多く、最初の頃 は少しつらいと思っていましたが、次第に慣れてきて、プログラムが終了する頃には、スパイシ ーな料理が好きになってしまいました。また、アメリカの文化を知りたいと思うようになり、ホ ストファミリーにアメリカ文化について様々なことを質問しました。異文化は触れてみないとわ からないことも多く、それに適応する際には時間が解決してくれることも多いことを学びまし た。 このような体験をして見えてきた課題は、自分が外国について知らないことが多すぎるという ことです。自分の知識と、実際に体験したこととの間のギャップが少なければ少ないほど、異文 化に適応することは簡単になるはずだと思います。そのため、インターネットや新聞などで外国 の情報に目を光らせるとともに、UCR の学生と情報交換をすることによって、現地の情報を仕入 れることに挑戦してみたいと思います。 3. 行動力 この点は、私が SAP に参加することで最も改善できた点だと考えます。知りたい、やりたいと 思ったことを素直に聞いたりやったりすることができるようになったと思います。SAP に参加す る以前は、何かをする前に、こうなったらどうしようなどとネガティブなことを考えていたよう に思いますが、SAP 参加中は、知りたいことをすぐ質問し、やりたいことをすぐやるようになり ました。授業中に発言することに対する抵抗もなくなりました。SAP 参加当初、様々な人 27 に、”Don’t be shy.”と言われ続け、ショックを受けていましたが、周囲にも刺激を受け、次第にそ のようなことも言われなくなりました。 このような体験をして見えてきた課題は、SAP 中に養ったこの行動力をいかに減らさないかと いうことです。周囲がとても積極的で、自由が許されるアメリカの雰囲気だからこそ、shy な自 分を捨てることができたと思いますが、周りも shy な状況で自分が率先してそのような雰囲気を 打破できるかということには少し不安があります。 しかし、せっかく養った行動力を維持するため、意識的にやりたいことをすぐにやることを心掛 けたいと思います。具体的な策は思いつきませんが、とにかく意識し続けるしかないと思いま す。SAP で培った行動力が一生の宝物になるよう、努力します。 3班 SAP を通して 岡崎 楓子 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、ネイティブな英語に触れて基 礎的な語彙力を向上させることである。中学から英語を学んできて8年間、簡単な会話程度ならで きるつもりでアメリカへ向かった。しかし、最初の段階でかなりショックを受けた。文章を頭で考 え書き出すことはできても、実際に聞き取ること、話すことはとても難しかった。日本語は日本語、 英語は英語として考えなければならないとわかってはいても、やはり頭に入ってきた英語を日本語 に訳し、さらにそれに対しての返答を日本語で考え英語に訳して口に出す、というプロセスを踏ん でしまう。しかしそうすると、日本語と英語の性質の違いにすぐに対応できないのである。たとえ ば、 “Don’t you~?”や“Aren’t you~?”という聞き方に対し、日本語と英語の肯定・否定は答え方 が異なる。文法として習ってきたのでそれは理解しているが、実際うまく対処できず、思っている ことと反対の意味が相手に伝わってしまうことが多々あった。 私は高校時代から、自分の英語の語彙力のなさを感じていた。単語帳などで覚えようと努力もし たが、何度反復学習をしても時間がたつと忘れてしまうのである。そんななか、留学中知らない単 語に多々出会い、そのたびに調べたり UCR の友達に意味を教えてもらったりした。すると不思議 なことに、少し時間がたってもきちんと覚えているのである。いつ、どんな場面で、どんな会話で 出てきた言葉なのか、実際の経験や思い出として頭に残り、気づけばその単語や言語を使えるよう になっている。授業や研修、ホストファミリーや UCR の友達との生活のなかで英語を学ぶ機会が 多く設けられており、時間がたつにつれて自分の語彙力が向上しているのが実感できた。 日本語と英語を全く別のものとして扱うためにも、英語の語句を覚えるためにも、英語をもっと 学ぶ必要がある。また、英語を学びたければ、日本で勉強するだけでは足りないと実感した。これ はほかの言語や文化でも同じだと思う。言語や文化の本質を学ぶためには、それらが実際に使われ ているところに行き、人々に触れて、自分の五感を使って経験し感じ取らなければならない。その 点ではこの留学は英語と多文化を学ぶプログラムとして非常に最適なものであったと思うし、また 同時にそれを達成するためには1か月では足りないと感じた。 この経験をふまえて、今後は、理系学生ということで多少疎遠になっていた英語であるが、もっ と力を入れて学びたいと感じた。将来「英語圏で働きたい」というような希望があるわけではない が、国際化が進むいま、英語は学業的知識を発信したり、互いを知るための重要なツールとなりう 28 る。日本の会社が海外に進出したり、逆に海外の会社が日本に進出したりということは非常に頻繁 に起こっており、そのような社会の中で、英語について文系・理系の分類はもはや関係ない。今後 はさらに、どのような職種についても英語に触れる場面は多くなっていくだろう。留学というと学 生時代しか経験できないイメージであるが、多々設けられている英語に触れる機会を有効に活用し、 また社会人になっても海外へ行ったり英語を使ったりして、より多くの文化について理解を深めた い。 2. 異文化適応 異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、異文化と自国の文化の両方の理解で ある。留学するまで、私は日本のことがそんなに好きではなかった。逆に嫌いでもなかったが、自 分の住んでいる国に対する愛国心はなかったと思う。留学中ホストファミリーや UCR の友達に、 日本の好きなところ、またアメリカの好きなところを聞かれることが多かった。最初のころは、ア メリカのことをあまり知らなかったので答えに困ったが、アメリカのことならまだしも、日本の特 徴、好きなところさえも答えることができなかったのである。そんななか、ホストファミリーや UCR の友達など、日本の文化をよく知ってくれている人たちと多く出会った。彼ら、彼女らは、 「日本のことが好きだ」と言ってくれた。マンガや言葉など、日本独特のものをたくさん知ってく れていた。それを聞いて私はとてもうれしく思った。強い自国愛などないと思っていたのになぜだ ろうか。それは、彼ら、彼女らが私の属する文化について正しく理解してくれていたからだと思う。 先入観などではなく、実際に見たり聞いたりしたことにより日本の文化を理解し、そのうえで「好 きだ」と言ってくれたのである。この経験から、人は自らが気づかないうちにも自分の属する文化 に誇りを持っており、それを理解してもらえることで喜びを感じるのだろうと考えた。それならば 逆もしかりで、自分が異文化を理解することでそこに属する人を明るい気持ちにさせることができ る、すなわち、互いの関係をよいものにするために、いかに相互理解が大切なものであるかという ことを感じた。 それを実感した具体的な体験がある。あるとき、UCR の友達が Orange County という郡の Boiling Crab という店に連れて行ってくれた。注文は UCR の友達に任せて待っていると、ビニー ル袋に大量に入ったザリガニがでてきたのである。ゆでて少しスパイスのきいた味付けがしてあっ たのだが、見た目は日本の池にもいるあのザリガニである。エビのような味や食感なのだろうと想 像はついても、日本では食べないものなので、とても抵抗があった。しかし、食べてみるとおいし かったし、普段食べないようなものを食べて異文化を体験している感じが面白かった。その日の帰 り道、ホストファミリーとその日のことについて話していて、 「日本ではザリガニは食べないで、ペ ットとして飼ったりする」と伝えたら、マザーが ”You have eaten your pets!” と言って驚いてい て、話が弾んでとても楽しかった。 そのほか、日本との文化の違いや、アメリカの同年代の学生たちの間で流行していることや俗語 など、ときにはカルチャーショックを受けつつも、しかしそのような違いはとても興味深いものば かりであった。片言の英語で話す私のことも周りの人は皆受け入れてくれたし、互いが理解しよう として関わるときには言葉がうまく通じないことなど関係ないと思った。身振り手振りや表情を使 ってうまく伝えようとすれば相手は聞いてくれるし、また UCR の友達が日本語で話そうとしてく れているときは、私たちも相手の言おうとしていることを理解しようときちんと向き合って話をす ることができた。 この経験をふまえて、互いに知らない文化を持ち合わせていても、相互にそれらを知り、理解し あうことで話も盛り上がり、良い関係や雰囲気を作ることができると感じた。今後は、もっと多く の異文化に触れてみたいと思う。相互理解を深めることはさまざまな差別をなくす一歩になると思 うし、私もその手助けができるよう今後も学業に励みたいと考えている。 29 3. 行動力 行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、自分の気持ちを伝えようと努力すること である。ホストファミリーや学校の先生は特に、つたない英語でも、自分の考えを話そうとしてい るときはよく聞いてくれた。アメリカの人々は、日本と比べてとても友好的なので、スーパーのレ ジの店員でさえも話しかけてくる。アメリカには多くの民族がいて、見た目は日本人に似ていても、 英語を母国語とする日系アメリカ人などはたくさんいるので、話しかける側は私たちが英語を流暢 に話せるわけではないということは、見た目からはわからない。そんななか、滞在開始当初は少し 怖がってしまって、話しかけてもらっても愛想笑いで返してしまうことが多々あった。しかし、そ んな私も自分の意思を伝えなければならない場面に直面した。 私は、カリフォルニアに到着して3日目、携帯を紛失した。放課後ホストファミリーとショッピ ングをしていたときのことである。いくつかの店に行ったあとに紛失にきづいたので、ルームメイ トと二人でそれらの店を回り、店員に「携帯をなくしたのだが見ていないか」ということ、 「もし見 つけたら連絡してほしい」ということを伝えた。店員たちは、はじめは私たちが留学生であること など知らないので、とても速い英語で話してきた。そんななか私たちがなんとか状況を伝えようと、 思いつく英語で必死に説明すると、ゆっくり話してくれたし、親身になって心配してくれた。ホス トマザーが高齢であまり電子機器に詳しくなかったので、彼女に携帯の機能や保障について説明し たりもした。海外保険の会社や携帯会社に連絡するために、電話を借りる必要があったので、自分 のとりたい行動をきちんと説明した。 このとき、日本語ならもっと自分の気持ちを十分に伝えられるのに、ととてももどかしい気持ち になった。しかし、英語はあまり話せないからと勇気をだしていろんな人に話していかなかったら、 携帯の件も落ち着くまでもっと時間がかかっていただろう。流暢に話せなくてもきちんと聞いても らえたので、相手がどう思うだろうか、と無駄な心配をする必要はないと感じた。満足に気持ちを 伝えられない状況に置かれたとしても、それを伝えようとする努力をすれば少しずつでも伝わるこ とを実感した。 この経験をふまえて、今後はこの努力を集団の中でもできるようにしたいと思う。今回の経験で は、自らの力で対処しなければならない場面だったので、自分が努力しなければどうにもならない 状況であった。私は、言語や場面にかかわらず、集団の中ではあまり発言もしないし、ただ従うだ けのことが多い。意見がないわけではないのだが、言葉にしようとすると時間がかかったり、発言 する勇気が出なかったりする。しかし、言わないことや行動しないことは、何も考えていないこと とほとんど変わりないことを今回の留学で学んだ。自分の考えを伝えることで状況が変わることは 少なくないと思うし、もっと自分の考えを伝える努力をしていきたい。 SAP を通じて学んだこと 笹川 一平 1.自己の言語運用能力 自己の言語運用力に関して私が達成できたことはリスニング能力の向上である。送り迎えの車で はホストファミリーの話を聞き取り、学校では先生の話を聞き取り、放課後は UCR 学生の話を聞 き取り、家にいる間はテレビの音声を聞き取り子供と英語でおままごとをするというリスニング三 30 昧の生活を一か月続けたことで、私のリスニング能力は格段に向上した。初めは何を話しているの かわからなかった人の話が次第に聞き取れるようになった。それはただ話者の話す英語に慣れただ けかとも考えたが、特に後半は初めて話を聞く人の英語も聞き取ることができるようになった。こ れはリスニング能力が向上したといえると考える。これによって自分に自信がつき、臆することな く現地の方々に話しかけることができるようになった。 UCR 学生やホストファミリーと交流する中で痛感したのは自分の言いたいことが表現できない もどかしさだ。日本ではこれまでリーディングやライティングの学習しかしてこなかったのでスピ ーキングについてはほとんど素人であった。生活する中でリスニング能力が向上し、相手の言って いることがわかるようになったからこそスピーキング能力をもっと高め、自分の伝えたいことをよ りスムーズに正確に伝えられるようになりたいと強く思った。私はホストマザーとの会話の中でこ の課題に対する解決策をすでに見つけている。私のホストマザーはフィリピンの出身で母国語はフ ィリピン語だ。したがって英語は第二外国語であるという点で、日本人の私と同じ境遇だったので ある。しかし今彼女は英語がペラペラである。どのような努力をしたのかと聞くと、学校で英語の 授業を受け、英語の本を読み、友人と英語で話すという英語漬けの日々を送っていたと教えてくれ た。マザー曰くスピーキングの能力は話せば話すほど改善されるのだという。この SAP の活動で、 東北大にはスピーキング能力を向上させることができる場が用意されていることを私は知ってい る。無料の英会話教室がほぼ毎日キャンパス内で開催されていたり、留学生と交流するイベントが 数多く催されていたりする。私は今後これらに積極的に参加しスピーキング能力を改善しようと思 う。SAP を通じて得た大きな収穫の一つは、スピーキングにおいては1度で完璧な文を言わなくて も、何度も言い直して伝えることができるということを知れたことだ。もし伝わらなくとも言い直 して別の表現を使えば相手には必ず伝わるのだ。だから私は間違いを恐れず積極的に話していこう と思う。そして UCR の友達が日本に帰ってきたときに見違えるようなスピーキングで彼らを驚か せようと思う。 2.異文化適用力 カリフォルニアは多文化社会であり、現在はサラダボールのような状態で各自の文化を尊重して いる。これは私たちが出発前に SAP の課題で行った事前研修で調べた情報である。確かにこの情 報は正しかったが、一か月のカリフォルニアでの滞在とそこでのサイトビジットを通じてその本当 の意味を理解することができた。カリフォルニアでは、ヒスパニックやアフリカ系、フィリピン系、 中国系、ベトナム系、韓国系など多くの人種の人と出会った。彼らはそれぞれに異なった価値観や 文化を持っている。食事は何を食べるのか、時間を守るのか、何の言語をしゃべるのか。そこには 日本で想像していた以上の障害がたくさんあることが分かった。日本に住む私たちには想像するこ とが難しいのだが、これは大変難解な問題である。友達とレストランに行くこと一つとっても自分 とは異なる味覚の人といくことになるのだ。待ち合わせをするときであっても、時間通りに来ない ことが文化である人もいる。また英語が使えない人だってもちろんいるし、慣習やしきたり、マナ ーまでもが人によって異なるのである。このことからもわかるように、様々な文化的背景をもっと いる人たちがサラダボールとして共存するのは容易いことではないのである。またそこには偏見や 差別も存在する。偏見や差別が生まれた結果としてホロコーストのような悲劇が生まれるのである。 ヒトラーは言葉の力を巧みに使い人々の間に偏見と差別を作り上げた。その結果多くのユダヤ人が 虐殺してしまったのだ。このような多くの問題を肌で感じ、どうすればよいのかを本気で議論する ことができたのは本当に良い経験であった。なぜなら日本では人種問題を考える機会がとても少な いからだ。 今後、グローバル化によって必ず日本も同じ問題を抱えるはずだ。少子化で不足する労働力を外 国人労働者に頼る時代が必ず来る。彼らは日本に移住し、その子供たちが二世三世として日本に住 31 んでいくことになるだろう。しかし単一民族国家である現在の日本は、多文化社会とはほど遠い立 場にある。将来日本もカリフォルニアのように多文化社会になる時が来るかもしれない。そうなっ た時、今のままでは日本において偏見と差別による多くの問題が起こることは明白だ。これは日本 がグローバリゼーションの波に乗ることを阻害する。このままでは日本はグローバル化の流れに取 り残されてしまうのだ。 カリフォルニアでの滞在を通じて日本は変わらなければならないと多くの SAP 参加者は思った はずだ。これまでの読み書き重視の英語教育から脱却しもっと話せる人材を育成する必要があるし、 多文化教育を拡充し差別や偏見の無い異文化・異民族への寛容な心を育てていくことも求められる。 日本がこれから世界で生き残っていくためには、このような変化によって個々人の意識を変えてい くことが必要なのだ。そしてこのような変化を将来日本にもたらすのは私たち若い世代である。私 たちが行動し日本を変えなければ日本の存続はあり得ないのだ。そして変化のためには私たち一人 一人がもっとよく将来の日本のあり方を考えなくてはならない。ホロコーストの悲劇を止められな かったのは自分の考えを持たずヒトラーの言葉に流された人々がたくさんいたからである。変化の ためには私たち一人一人がしっかり考え、自分の意見を持って発信していかねばならない。私たち が SAP を通じて得たこの実感と気づきをもとに日本を変えなければグローバル化の中で日本は生 き残ることができないのだ。アメリカでの経験から私はそう感じることができるようになった。 3.行動力 アメリカ滞在中、私はホームステイを一か月経験した。初めはホストマザーやホストファザーが 話していることが理解できず、なんとなくの雰囲気で OK、Yes などと短く答えていた。そうする と会話が続かず気まずくなるので、最初の数日間は食事が終わるとすぐ部屋に籠っていた。しかし 生活を送っていく上でホストファミリーとの間にすれ違いや一種の壁のようなものを感じるよう になった。また食事の時間を除いてただ部屋にいるのではホテルに泊まるのと変わらないのではな いか、せっかくホームステイをしているのにこれでいいのだろうかと考えるようになった。これで はいけないと思い、伝わらなくてもいいからためらわずに話しかけてみることにした。まずは送り 迎えの車の中や食事の際にホストファミリーにその日あった出来事やラジオで流れている音楽の こと、その日のランチやディナーのこと、その日授業で習ったスラングのこと、お互いの家族のこ となどの話題で話しかけてみることにした。そうすると面白いもので相手が話している内容がだん だんと聞き取れるようになってきたのである。相手が言うことがわかるようになると会話が楽しく なってきてより積極的に話しかけることができるようになった。そうすると自分に自信がついてき てホストファミリーだけでなく UCR の学生やキャンパス内で話しかけてきてくれる職員の方々と も積極的に交流することができるようになった。放課後には日本語を専攻する UCR 学生の日本語 の授業の宿題を手伝ったり、日本のトランプゲームを教えてあげたりした。この交流の中で彼らの 車で週末にショッピングモールや遊園地、レストラン等に連れていってもらえることになり、そこ でまた新しい UCR 学生と出会うといったように交流の輪がどんどん広がっていった。能動的に話 しかけるということが、私の一か月を充実したものにしたのである。ホストファミリーの言葉をた だ受け流し、じっと部屋に籠っていては実現しなかった時間である。自分で反省し行動を変え、積 極的に話しかけたことで素晴らしい時間を手に入れることができたという経験は、自分の中で素晴 らしい財産になった。SAP で学んだこの Don`t be shy と Get moving の精神をこれからも生かし ていきたい。 SAP を通して成長したこと 32 渡邊 亮 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して成長できたことは、主に三つある。 一つめは英語によるコミュニケーション能力だ。一か月という短い期間ではあったが、英語のヒ アリングとスピーキングの基礎、土台を築くことができたのではないかと感じている。特にホーム ステイという環境では、ホストファミリーの意見に耳を傾け、自分の意見もまたはっきりと伝える ことが必要不可欠だったため、これらの能力が必然的に養われた。 二つめは英語による情報収集及び選択能力だ。UCR での授業では、指定された事柄について調 べプレゼンテーションを行うグループ学習が度々あった。調べる事柄によるが、日本語で記述され た内容より英語で記述された情報量の方が圧倒的に多い場合がほとんどだったので、英語を用いて 数多くある情報の中から正確な情報を選択し、それらをまとめる能力が養われた。 最後は日本語を英語に、また英語を日本語に正しく変換する能力だ。例えば、日本文化について 説明するとき、今まで自分はそれらについて日本語を用いて考えることしかなかった。更にいうと、 日本特有の料理や作法など、そもそもその単語を知らない人に説明するときは、一般的な単語のよ うに日本語と英語を一対一で対応させることができないので、様々な情報を英語で述べ、その単語 について相手に理解してもらうのは難しかった。また、UCR の日本語の授業を見学させていただ いた時にティーチングアシストをしたのだが、これはとても良い経験になった。語順や語幹、活用 語尾の変形について英語を用いて現地の学生に説明することを通して、私自身、普段私たちが当た り前のように使っている日本語は非常に複雑なのだと気付かされた。 これらの経験は、私が今までよりも意識的に言語運用力を向上させ続けようと決意するきっかけ となった。一か月という期間はやはり、能力を伸ばすために十分であるとは言えない。しかし、こ の貴重な経験を通して英語力の基礎を築けたこと、今後私が言語に関して積極的に学ぼうと思えた ことは非常に大きな収穫だと感じている。 2. 異文化適応 異文化適応に関して、私は SAP を通して初めて身をもってその必要性を感じた。この度の留学 は私にとって初めての海外だったので、始めは様々な疑問や問題が生じた。アメリカは比較的に日 本と文化のギャップは少ないはずだと考えていたが、食、時間、生活習慣、安全、お金、人との関 わり方、生き方、すべてに対するものの見方や考え方が日本のそれとは異なっていた。 中でも私が最も強く感じたことは、他人に対して自分の意見を明確に述べなければ、自分の意思 がくまれることはないということだ。前項でも述べた通り、ホームステイ先ではしっかりと自分の 意見をホストファミリーに伝え、正しく理解してもらう必要があった。しかしこのおかげで英語力、 行動力共に成長させられた。 次に、アメリカがサラダボウルと呼ばれるように多種多様な人々が生活しているということは、 サイトビジットやフィルムワーク、プレゼン学習でもよく学んだし、アメリカで一か月生活しただ けでも身に染みて感じられた。多種多様な人々が生活しているということに関してひとつ私が誤解 していたことがある。私がアメリカに来る前までは、アメリカに多種多様な文化が存在するという のは、別個に様々な文化が存在しているのだと思っていた。しかしサイトビジット学習でサン・ホ アン・カピストラーノを訪れたとき、その考えかたが間違っていたことに気付いた。その教会はス ペイン人が入植した当時、ネイティブアメリカンへの布教を目的に建設されたもののひとつである。 この教会の建設には数多くのネイティブアメリカンが従事しており、その内部を見学した際に、ス ペインの伝統的な装飾とネイティブアメリカンが伝統的に使用していた文様が共存していた。また、 33 地中海性気候に似たカリフォルニアの気候を生かし、ここはオレンジの栽培やカリフォルニアワイ ンの製造が始まった地でもある。このようにして、元々存在していた複数の文化が各々の形を残し ながらも融合し、新たな文化が数多く誕生していたことを知った。 このように、アメリカという国は多文化を学ぶのに最適な地であったと思う。今まで日本という 狭い世界でしか生活したことのなかった自分にとって、アメリカで手に取る物、聞くこと、関わる 人々すべてが新鮮であった。自分の知らない世界が広がっていたことを身をもって感じ、もっと多 くの文化、人々に触れてみたいという志が高まった。 3. 行動力 行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、発言力の成長だ。 UCR の授業ではグループディスカッションをほぼ毎日行った。同じ SAP のメンバーと英語でデ ィスカッションを行っていたが、それぞれが自分の意見を必ず述べられるような雰囲気の良い状態 でディスカッションができ満足している。また他人の意見を聞くと更に新たな意見が浮かぶように なり、それをいかに相手に理解してもらうか、英語で伝えるということ自体にも困難があったので、 だからこそ毎日試行錯誤する中で発言力という点では飛躍的に成長できた。 この経験をふまえて、英語によるディスカッションのみならずいかなる場合においても、相手に いかに理解してもらうかということに着目して発言するよう意識したいと思う。 SAP を通して学んだこと 鈴木 雄也 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、生きた英語でコミュニケーシ ョンをとるということです。実際のネイティブスピーカーとの会話の中では、学校では習わないよ うな略語や俗語、冗談の表現や砕けた表現が多く見られ、最初は戸惑うこともありましたが、一つ 一つ辞書で意味を調べたり、意味を質問したりすることで理解していくことができました。また、 単語を知っていても、それをどういった場面・どういった用法で実際に使っていくのかは知らない というものも多かったのですが、それにも少しずつ慣れていくことができました。 発音については、l と r の音の違いや、w や v などの発音、単語の強勢の位置などに気をつけな いと、こちらの言っていることが伝わらないことがあり、特に店の名前や地名などの固有名詞につ いては苦労しました。日本語ではカタカナとして定着している固有名詞などは強勢の位置がわから ず、相手が理解するまでに時間がかかることがありました。 留学中、相手の話を理解することや、相手の質問に対する簡単な受け答えはある程度できるよう になりましたが、一番苦労したのは日本のことについて説明するときでした。ホストファミリーか ら日本の文化などについて質問されることが何度かあったのですが、専門用語を英語で何というの か知らなかったり、日本人独特の感じ方や考え方をどう説明すればいいのかと悩んだり、時には自 分の日本文化に対する理解が足りずに説明できないこともありました。しかし、こうやって日本と 他の文化を比較し、日本の文化を説明しようとすることは、日本について再考するいい機会になり ましたし、日本についてもっと深く知らなくてはならないとも思うようになりました。 また、南部カリフォルニアでは、歴史的な背景やヒスパニックの人口の多さなどもあり、スペイ ン語に触れる機会も多くありました。私のホストファミリーや UCR で友人になった何人かもメキ シコ系でスペイン語話者でした。カリフォルニアにはメキシコ料理店も多く、タコスやブリトーな 34 どのメキシコ料理を食べる機会も何度もありました。私は第二外国語でスペイン語をとっていたの ですが、スペイン語ももっとよく勉強していれば、より多文化の理解につながっていただろうと思 い、そこは残念に思っています。UCR の生徒の中には、3 言語や 4 言語を話すことができる人も 多く、英語だけでなく第二外国語ももっと学習してみたいという刺激も得ることができました。 この経験をふまえて、今後はより実践的な英語を学んでいきたいと思いました。この留学中、自 分の伝えたいことが相手に伝わった時の喜びも、反対に伝わらなかった時の悔しさも経験しました。 この悔しさはこれからも英語を学んでいくうえでのモチベーションになると思います。TOEFL や TOEIC のスコアアップや、英検準一級などの資格の取得を目標にして、普段から英語の学習を続 けていき、また、ホストファミリーや、派遣先の大学で仲良くなった友人たちと継続的に LINE や Facebook などの SNS で交流したり、海外の映画を英語で見るなどして、生きた英語に触れ続けて いきたいと思いました。そして、いつかはネイティブスピーカーと対等なレベルで会話や議論でき るくらいの英語力を身につけ、海外でも活躍できるような人材になりたいです。 2. 異文化適応 異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、相手の文化を認め、尊重することで す。私が留学中よく使ったことわざに、”When in Rome, do as the Romans do.”(郷に入っては郷 に従え。)があります。これは、異文化に対する心構えを的確に表している表現だと思います。 私がアメリカで戸惑った文化のひとつとして、チップの文化があげられます。レストランなどで 食事をした後、食事代とは別にチップを従業員に払うという文化です。レシートにチップの料金の 目安があらかじめ書いてあって、その額を払うのがマナーなのですが、これは当然日本にはない文 化であり、当初は違和感がありました。しかし、その背景にある従業員の低賃金などの理由を知り、 それがアメリカの文化であると受け入れることができました。 次のような文化の違いも経験しました。Little Tokyo に行ったとき、昼食にラーメン屋にラーメ ンを食べに行ったのですが、そこでは音をたてないように、お客が麺をすすらずに食べていたので す。フォークを使ってスパゲッティのように食べていた人もいました。アメリカでは食事中に音を 立てることは下品なことで、マナー違反であると考えられており、すすって食べる音を聞くと不快 に感じる人も多いそうなので、日本では普段からなじみのあるラーメンひとつに関しても、そうい った点に注意が必要でした。 他にも、滞在中に異文化を感じた出来事は多々ありましたが、日本での考え方に囚われず、柔軟 に対応することができたと思います。 逆に、異文化を認めてもらったホームステイ中の出来事もありました。私のホストファミリーは、 日本の文化に興味を持ち、尊重してくれて、白米や味噌汁、麦茶や緑茶などを家に用意してくれた のです。おかげで私は時々それらをいただくことができました。ホストマザーは、 「食べ物について は文化によって好き嫌いがあるのは仕方ないから、苦手なものがあったら言ってね。 」と言ってく れ、アメリカ料理やメキシコ料理が出る食事の際にはいつも”How is it?”と感想を聞いてくれまし た。アメリカの食べ物や飲み物には、辛すぎたり甘すぎたりで私が苦手なものもあったので、この 心遣いは非常にありがたかったです。 また、私は食事の際には「いただきます」と「ごちそうさま」を欠かさず言うようにしていまし た。最初のうちはホストファミリーは不思議そうにそれを見ていたのですが、その言葉は食物の生 命や調理人への感謝の意味が込められていると説明すると、「それはとてもいいことだね」と言っ て私たちの文化を尊重してくれました。このように、他の文化を認めて尊重することが相手の助け になるのだと身をもって実感しました。 この経験をふまえて、今後は異文化に触れる機会があったとき、その人の立場から考え、その文 化を理解して、尊重することが大事だと思いました。 「郷に入っては郷に従え」ということわざも先 35 述しましたが、特に宗教や生活に深く根差した文化などの面では、どうしても譲れないものごとや 考え方が出てくると思います。その時に自分の考え方や文化を押し付け、強要するのではなく、相 互に理解しようとすることでお互いが気持ちよく過ごすことができるのだと思いました。 3. 行動力 行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、失敗を恐れないことです。 例えば英語に関しては、英語を話すうえで、時制がおかしくなったり、前置詞が間違ったりする ということはよく起こりました。しかし、そのくらいの小さな間違いなら相手も理解してくれると 気づいたので、多少のミスは気にせずに積極的に話しかけたり質問したりするようになっていきま した。しどろもどろの英語でも懸命に伝えようとすれば、相手も理解しようと耳を傾けてくれまし たし、わからないことがあっても質問すれば丁寧に教えてくれました。また、アメリカでは質問を するというのが相手の話に興味を持って聞いているという証になるので、積極的に質問するという のはコミュニケ―ションを円滑にするためにも必要だと感じました。初対面の人にも積極的に話し かけていくようになりました。英語には、日本語の敬語にあたる言葉が少なく、日本語に生まれが ちな人と人の距離感を感じにくいというのも大きな要因の一つだったと思います。アメリカでは、 積極的に話しかけていけば、大抵の人はフレンドリーに返してくれました。言語や文化、肌の色な どのバックグラウンドが異なっても、多くの人と友達になれました。行動力を持つということは、 このように多くの友達を作ることにもつながりました。 私がアメリカで驚いたことは、アメリカでは授業への積極的な参加が求められたことです。アメ リカでは、教授が生徒にたくさん質問を投げかけ、生徒がそれについて考え、発表によって全体と その考えをシェアするというスタイルで授業が進んでいき、生徒の発言がとても重要視されていま した。結果、発言の必要性が増し、失敗を恐れずにどんどん発言するようになりました。日本のよ うな、先生が板書して、生徒がそれを写すというような受け身の授業とは授業のスタイルが大きく 異なっていました。私は、日本の授業もアメリカのように、生徒主体のスタイルで本来行うべきだ と思いました。 また、アメリカでの 1 か月という短い時間を実り多い時間にするため、滞在中はできるだけいろ いろなことを経験できるようにと活動しました。UCR の学生たちとの交流をはじめ、UCR のクラ ブ活動やパーティーへの参加、今までに食べたことのない料理に挑戦など、それまでならためらっ てしまっていたかもしれないことに積極的に次々挑戦していった結果、これまでにないくらい密度 のある、充実した 1 か月を過ごすことができました。 この経験をふまえて、今後は、多少ためらってしまうことがあっても恐れずに、まず行動するこ とが大事だと感じました。行動してみれば後から結果はどんな形であれついてくるし、その経験は 決して無駄にはならないと思います。自分からアクションを出さなければ現状は変わりません。当 初は SAP に応募することも迷っていたのですが、実際にこうして SAP に応募して、海外で 1 か月 間過ごしたという行動の選択は、結果として、大きく自分の従来の考え方や価値観を変えたと思っ ています。悩むならまず行動してみる、ということを心掛けてこれからの大学生活を送っていきた いです。 初めての海外経験 芳野 幸奈 36 1. 自己の言語運用能力 自己の言語運用能力としてこの SAP では英語のプレゼンテーションを行うことによって、自分 の意見を分かりやすく英語で伝えるということを達成した。この SAP のプログラムでは最終日に 多文化社会を学んだ上で、グループで行うファイナルプレゼンテーションが設定されており、私た ちのグループは「差別」をテーマにプレゼンテーションを行った。授業では、プレゼンテーション のやり方や多文化社会についての講義が英語で行われ、ファイナルプレゼンテーション前には、先 生に原稿を見ていただいたり、アクセントを教えていただいたりした。また、プレゼンテーション のグループではそれぞれの意見を出し合い、納得できる論理を積み上げることで良いものを作り上 げることができた。ホームステイ先のホストファミリーや現地学生との交流では日常会話を英語で 行う必要があったが、ここでは自分の英語力不足を痛感した。自分のリスニングに自信が持てず、 聞き返してしまったり、質問に答えられなかったり考え込んでしまったりするため、自然なテンポ で会話することができずに、相手に気を使わせてしまうことが多かった。また、自然な慣用表現で あるとか、相槌をするタイミングであるとか、母国語である日本語ではできることだが英語ではで きないことが多いと感じた。自分は、まず相手の言うことを聞き取って頭の中で日本語に変換して、 日本語で発言したいことを練って英語に訳すという作業をしているということを強く実感した。こ の間に不自然な間が開いてしまい、自然なコミュニケーションをとることができなかった。 この SAP での経験をふまえると、自己の言語運用能力の課題は、リスニングとリスニングした ことに対して素早く反応する英会話の能力である。特に、英会話の練習は今まで重点的にしたこと が無く、今回 SAP で実際にホストファミリーや現地の学生と会話して、この練習が必要であると 強く実感した。今後は、東北大学から提供されている SLA 英会話や Global Café などを利用し、 英会話の機会を定期的に作るようにしていきたい。さらに、現地学生との交流を続け、楽しみなが ら英語に触れていきたい。語彙の少なさもまた、会話に支障を来していたので、今までの単語集を やり直し、素早く思い出せるように練習したい。また、英語のプレゼンテーションや授業などを通 して、自分の意見を積極的に発信することや分かりやすく伝える能力の必要さを感じた。日本語で あっても英語であっても求められる能力であるから、今後の大学生活でも、積極的に授業に参加す ることで伸ばしていきたい。 2. 異文化適応 この SAP のプログラムは私にとって初めての海外経験であった。つまり、アメリカに渡りロサ ンゼルスやリバーサイドで見たり聞いたりしたすべてのものは私にとって初めての経験であった。 例えば、レジの対応では、アメリカのレジでは商品をすべてカートから取り出して、ビニール袋に 入れるのは店員の仕事であったし、店員は他の店員とのおしゃべりを楽しみながらレジ打ちをして いた。私はひとつひとつのスーパーやカートや商品が大きくて驚いた。また、アメリカは車社会だ ということを実際に見て知ることができた。ホストファミリーに毎日の送り迎えをしていただき、 外を見ていると歩いている人がほとんどいなかった。対して道路は常に混んでおり、一度通学に使 う道で事故が起きたときは、大渋滞が起こっていた。さらに、ロサンゼルスに向かう道では毎日通 勤通学に使われる朝型や夕方に混んでいて、軽い渋滞が起こっていた。学校の敷地内には歩いてい る人がいたが、車を持っている現地の学生も多く、移動するときは車を用いていた。ゲストスピー カーの先生の講義でも、アメリカの車社会について触れられており、アメリカでは車を持たなけれ ば生活が成立しない点が問題になっているとおっしゃっていたことが印象に残った。また、ホスト ファミリーや現地の学生、先生と話していると、褒める言葉がよく使われていることに気づき、そ ういう言葉がコミュニケーションを円滑にしているのだということを学ぶことができた。アメリカ のカリフォルニア州という地域は、特に移民が多く、様々な人種や宗教の人がおり、その人達がと もに生きることができるようになるまでの歴史を持つ地域である。ロサンゼルスにある歴史を学ぶ 37 施設である Museum of tolerance では、Power of words という言葉が強く主張されていた。それ をふまえて、アメリカでは、自分の意見を正確に伝えること、また人の意見をよく聞くことが徹底 して教育されているように感じた。 この SAP のプログラムで様々な経験を通して、多種多様な異文化に触れることができた。今回 のプログラムの内容が多文化社会を学ぶということもあり、多くの文化は私たちに対して開かれて いて、さらに幸運なことにその文化の成り立ちやこれまでの歴史なども学ぶことができた。ダンス やコミュニケーションや生活など様々なところで文化の違いを感じた。それは歴史によるものであ ったり、言語や宗教によるものであったりなど何かしらの背景があり、その文化で生活している人 がいるのだということを実感することができた。この経験をふまえて、これから異文化に遭遇した ときに、興味を持ってその周辺背景やその文化で生活している人たちはどういう人達なのだろうか ということを調べて、その文化を尊重する態度を取りたいと思った。自分たちと違う文化を知るこ とはとても面白く興味深いことだと今回の SAP で体感することができた。それと同時に、自分た ちの文化をもっと良く知り尊重して、自分たちと違う文化で生活する人たちに分かりやすく紹介す ることができれば、さらに面白い経験ができるだろうと思った。自分の文化、日本の文化を知り伝 え、相手の文化を知るために耳を傾けるということを実践していきたい。 3. 行動力 この SAP プログラムは予定が詰まっており、さらにホストファミリーの送り迎え付きで、車が 無いと移動できない土地であったため、自分で自由に動くということはしなかった。行動力という 観点で見ると、自分で自由に動かなかったために、達成できたことは少なかったかもしれない。し かし、ホストファミリーが親切な方々で、いろいろな場所に連れて行ってくれたり、行きたいと言 った場所に連れて行ってくれたりした。また、現地学生も予定が詰まっている私たちの合間を見つ けてはどこかに行くイベントを組み込んでくれたり、放課後にラウンジまで話しかけにきてくれた りした。特に印象に残っているのは、現地の学生にハイキングに連れて行ってもらったときで、い きなり学校の裏山に登ることになったときのことである。思ったより急な山だったが、現地の学生 や同じ SAP のメンバーに助けてもらいつつ登った。山は日本の多くの山と違って木が生えておら ず、草が生え多くの岩が転がっていたが、大きな岩にはたくさんの落書きがあり、こんなことをす るのは文化の違いなのだろうかと衝撃を受けた。山の上から見たリバーサイドの景色はとてもきれ いで達成感を感じた。私は今までハイキングをしたことが無かったから、もし日本で誘われたとし ても体力面の心配であるとか何かと理由を付けて断っていたかもしれない。しかし、今回の SAP で は突然の誘いであったにもかかわらず、ハイキングに行き、知らない山に登り、それを全力で楽し むことができた。新たな楽しいことを見つけることができ、現地の学生にはとても感謝しているし、 そういう行動をとれた自分にもまた新たな驚きがあった。自分から行動を起こす行動力の他にもフ ットワーク軽くついていく行動力というのもあるのかもしれない。今回は実際に行動することで得 る楽しさを実感することができた。また、現地の学生に遊びにいくときなど車で送ってもらったり 毎日ラウンジまで話しにきてもらったりと大変お世話になったため、SAP のメンバー全員で現地 の学生に感謝の気持ちを伝えるためにメッセージ付きアルバムとメッセージムービーを制作した。 現地の学生に見つからないように教室を借りたり、班ごとに集まってムービーの内容を考えたりな ど自分たちで工夫して現地の学生へのサプライズを作った。提案があり、アイデアを募り、実際に 協力しながら作り出すという流れができて、感謝の気持ちを伝えるという目標に向かって楽しみな がら行動することができた。実際に現地の学生に見せたときは、喜んでもらえたのでとても良かっ たと思う。 この経験を通して、とにかくやってみるということと相手のために何ができるかを考え実行する ことの楽しさを学んだ。私はいままで、相手に言われたことをしっかりやることが1番相手のため 38 になるという考えを持っていた。しかし、今回は自分たちの伝えたいことを自分たちで表現するた めに1番良い方法を考えだし、実際に自分たちで作り上げて相手を喜ばせることができて、相手の ために何ができるかを自分で考え実行することも大事だと思うようになった。なにより全員で楽し んでやったということが楽しかった。これから、相手のために何ができるか、考えるだけでなく、 行動に移す行動力を磨いていきたいと思った。私は自分の頭の中だけで考えてあきらめてしまうこ ともあるのだが、行動に移さなければ成功するかどうかは分からないということを心の片隅におい て、できるだけ行動に移すようにしていきたい。いろいろなことを長い時間考えてやらないよりも、 なにか直感的なものでも行動に移すほうが様々な経験をすることができることを学んだ。この SAP に参加して本当に良かったと思う。このプログラムは、日本から出たことの無かった私の海外への 偏見や恐怖を和らげ、海外に出ても言語や文化が違うだけで、同じ人間が生活しているだけだとい うことを強く実感させてくれた。これから、また SAP のような短期留学があれば是非参加したい。 39 4班 いかに英語学習を継続させるかおよび異文化を理解するか 二見 哲史 1.自己の言語運用能力 事故の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、第一に英語話者に対して自身 の未熟な英語を使うことへの躊躇がなくなったことである。アメリカに行けば当然日本語はほぼ 通じない訳であるから、英語を話さないと何もできなくなってしまう。アメリカで生活するにあ たって英語を話すことは何よりの大前提であるから、意思疎通を図るために否が応でも英語を使 わざるを得ない。すなわち、苦手だからと言って英語を話すことをためらうことなどできないの である。英語が苦手な私にとってスムーズな意思伝達は難しいものであったが、回数をこなすに つれ慣れていった。また、相手もこちらがわかりやすい表現に換言したり、ゆっくり話したりす ることでお互いが気を遣ってやり取りをするようになった。プログラム中に何度か生徒やホスト ファミリーとの間で日本人はなぜ英語が苦手であるか議論になったことがあったが、日本人は英 語を話したがらない。なぜならば多くの日本人は実際に英語を母語とする人と英語で会話する機 会があまりない上に、日常で英語を話すことは求められないからである。更には文法や概念、文 字など全く異なる言語であるから学習のモチベーションの維持はかなり大変である。実際に日本 の中高生の会話力の現状は悲惨なものである。私はアメリカに来ることによって英語の学習の必 要性を再認識することができた。さらに現地の学生と友人になることによってモチベーションの 維持も見込める。第二に、実際にアメリカで使われている俗語を含めた言い回しをいくつか学ぶ ことができた。日本語のような比喩表現や、単語を縮めて作られた新語、若者言葉など非常に興 味深いものが多く、それらを学ぶことによって英単語の概念への理解が深められた。例え ば ’wallet hurts’ が一つ目の例である。単純に直訳すれば、 「財布が傷ついた」となる。しかしこ れは比喩表現で、散財することを財布が傷つくという表現で例えている。次の例として、これは かなり俗語的なのだが、’bae’ が挙げられる。これは ‘baby’ を短縮したもので、主に若者が最も 親しい相手に対して使う。最後の例として、’awesome’ や ‘sick’ が挙げられる。これは日本で若 者が良く使う「やばい」に当たる言葉となる。最後に、多くの授業で課されたプレゼンの練習に よって、人前で英語による発表があまり苦にならなくなった。当然私にとっては日本語で発表す る方が容易ではあるが、仮に発表中に原稿内容を忘れてもとっさに英作文をしてなんとか切り抜 けることが僅かながらできるようになった。 この経験をふまえて、今後は更なる英語力の向上に励みたい。英語を話すこと自体はそれほど 難しいことではないが、早口の相手に対しスムーズに聞き取ったり、政治や経済、その他専門性 40 の高い議論になったりすると全く太刀打ちができなくなる。そのあたりを今後は重点的に改善し ていきたい。日本で英語を勉強するとなると、TOEIC 等資格試験の性質上どうしても読み書きに 比重が高く置かれるように思える。しかしながらアメリカの生活では会話力の方がはるかに重要 である。日本で生活しているとその力は時間とともに無くなって行ってしまうであろう。ではど のような学習が適切かに議論は移る。勿論資格の所得は一種の自己の英語力の指標となる。就職 の際にも高いスコアがあれば有利だろう。しかしながら実際の運用力を表すものとなるかは疑問 である。そもそも英語を話すことができればそういった資格の類は不要に思えてならない。とは いっても現状日本では資格の所得は評価の対象となるところが悩ましい。単純に英語力を磨くに はネイティブとの会話が一番手っ取り早いように思う。ただそれだけでは自分相手ともに語彙力 の限界があるので更なる工夫が必要である。ここで私が提案したいのが新聞を読むことだ。やや 高度な専門用語に加え最新のニュースも知ることができる。要はアメリカ人のような暮らしをす ればよいということだ。ただしそれにも時間的制約がある。したがって、私は少しずつでも継続 的な学習を続けていくことが肝要であると思う。 2.異文化適応 異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、差別への理解が深まったことだ。日 本にいるとあまり人間同士での差別は顕著にみられない。勿論地域や人によっては部落に対する 差別や、在日に対する偏見などがないとも言えないが、アメリカにおける差別はより規模が大き く、歴史的にも根深い問題となっている。差別は私の班が最終プレゼンテーションで発表したテ ーマでもある。今でこそサラダボウルと呼ばれるアメリカだが、特に黒人に対する差別は今なお 拭い切れてはいない。私がアメリカに行く前も白人警官による黒人に対する暴力行為事件が起き ており、さらにアメリカにいる間にもニュースで政治家が黒人差別に準ずる発言があったと報道 されていた。かつてはわれわれ日本人も例外ではなかった。私はプログラムの一環で little Tokyo や画家のミネ・オオクボの資料館に行ったが、私の知らなかった日本人の歴史がそこにあった。 1867 年の明治維新とともに日本人はハワイに移民し、これが日系アメリカ人のはじめとされてい る。これよりアメリカ西部に徐々に日系アメリカ人が増えていくわけである。しかし当初からこ の移民は歓迎されていなかった。というのも、彼らが増えることで元々住んでいたアメリカ人の 職が減り、土地が減った。文化的背景も全く異なっていたためになじむことが難しかった。しか しながら時が経つにつれそういった不満も消えていった。ところが日露戦争で日本が事実上勝利 したのち、彼らに対してアメリカ人の見る目が変わった。もともと小国の島国としてしか認識さ れていなかった日本が、アメリカと比肩しうる国力を持っていた当時のロシアに勝利したので日 本を脅威とする見方が俄かに顕れた。そして差別意識が決定的になった原因が第二次世界大戦で ある。日系アメリカ人を当時の敵国日本と同一視し始める動きがあり、多くの日系アメリカ人は アメリカ西部に点在する 10 の収容施設に分けて入れられた。これはアウシュビッツなどのような 凄惨なものではなかったが、あまりいい暮らしとは言えない生活を強要された。転機が訪れたの はほとんどを日系アメリカ人で構成する The 442nd Regimental Combat Team が目覚ましい活躍 をみせたのちである。これによって収容所から日本人が解放されることとなった。このことは最 終プレゼンでも発表したのだが、私の歴史認識に多少なりとも影響があったことは間違いない。 私は異文化適応をするためには、その人がどのような価値観を持っているかが非常に重要だと思 っている。例えば、同じ日本人でも育った環境やそれに起因する思考が全く異なっていれば話が かみ合わないことも珍しくない。つまり、その人がどのような考え方をするのかを知っているこ とは重要である。敷衍すると自分の適応しようとしている集団意識や思考がどのようなものかを 知る必要がある。したがって、それを見極めるためにそれに至る歴史が重要だということであ る。 41 この経験をふまえて、今後はより歴史について学習していきたいと考えるようになった。周知 のとおり、歴史については民族によってしばしば捻じ曲げられて教えられるし、必ずしも自分が かつて習ってきたそれは正しいものであるとはいえない。したがって、何が正しいかという学習 は不毛である。重要なのは、異文化の人々はどのような歴史を教えられているのかということ だ。私のホームステイ先のホストマザーは歴史に非常に興味があるようで、英語で様々な歴史の 薀蓄を論じていたが、そんな人でも第二次世界大戦中のイタリアは連合国側であると勘違いして いたくらいである。日独伊三国同盟について教えたらかなり面食らった様子だった。もし枢軸国 側だと知っていたら彼女のイタリアに対する認識は全く違うものであっただろう。そこが非常に 興味深いところで、歴史の知識ひとつで考え方が変わってしまう。また、彼女は原子爆弾につい ても肯定している。ここも私とは見解の異なるところで、彼女によると原子爆弾を使わなければ 戦争は終わらなかったという主張なのだが、私は当時日本がミッドウェー海戦の惨敗時点で日本 軍に勝ち目は消えた上、東京大空襲、沖縄戦もあって降伏寸前だったはずである。ポツダム宣言 について言及すると、日本は交渉継続の意向でまだ声明は出さないという意味でノーコメントと したが、これを連合側が交渉破棄と受け取ってしまった。さらに 1945 年 8 月にソビエト連邦が日 本に対して宣戦布告したが、それに対する示威行為として落としたと考えている。しかしこうい った私自身の見解は重要ではない。適応対象の異文化がどのように考えているかが重要なのだ。 ちなみに他国の留学生同士で歴史の論議をするとしばしば喧嘩になるそうである。 3.行動力 行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、日本人で固まって行動しなくても何とも 思わなくなったことである。日本人に限ったことではないかもしれないが、集団で留学に行くと どうしても同じ国の人で固まって英語を使わなくなりがちだ。もともと集団で行動するのがあま り好きでなかったが、アメリカに行って日本人の集団から抜け出し、一人で展示を楽しんだり、 店で買い物をしたり、店の人やほかの観光客との会話を楽しんだりすることに些かの躊躇を持た なくなった。人によっては独善的に見えるらしいが、別に私は日本の友人を作るためにこのプロ グラムに参加したわけではないし、集合時間、規則等は守ったので責められる筋合いはない。ホ ストマザーもしばしば同様のことを不満がっていた。家にいるときはついルームメイトと日本語 で会話してしまう。このプログラムの性質上ある程度は仕方のないことだと思うが、せっかくア メリカにいるのだからもっと英語を使い、学校でも積極的に現地の大学生と関わっていくべきな のだ。アメリカでの生活で多少なりとも上達した英語も、使わなければ「なまくら」となってし まう。日本に帰ってからも積極的に使っていかねばならない。 この経験をふまえて、今後は先のとおり英語を使っていく生活を目指したい。ここで問題とな るのがいかにネイティブと会話をするかである。留学先で何人か友人ができたが、彼らも当然忙 しいであろうし毎日は当然できないだろう。学内でネイティブの知り合いがいればいいが、あい にくそのような知り合いはいない。ではどうするかというと東北大学が語学学習支援で行ってい るものを利用することである。アメリカに行く前も 何度かマルチメディア棟で行っているものや、図書館の二階で行っている英語学習のための催し に参加した。特にマルチメディア棟で行っていた会話練習はもっとも実践的であったので、今後 も積極的に参加していきたいと考えている。 2015 年春 SAP に参加して 42 岩崎 愛 1.自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して最も飛躍を感じたのはヒアリング能力です。私 はもともとリスニングを非常に苦手としていたこともあり、渡米当初はホストファミリーや UCR の先生方の話している内容の三分の一も聞き取ることができませんでした。そのため何度も聞き 返したり、場合によってはスペルを教えていただいたりと、一つの内容を理解するのに大変な手 間がかかっていました。その度に「日本人はリーディングとライティングが上手だから」とフォ ローをいただきましたが、その言葉は私にとって非常に悔しいものでした。英語は言語、つまり はコミュニケーションのツールです。実際に英語を使い、コミュニケーションをとることができ なければ何の意味もありません。そしてコミュニケーションは多くの場合、会話で行われます。 留学して「英語は言語である」ということを本当に実感しました。それに改めて気づくことがで きたことがまず私にとっての財産であり、そしてこの機会を決して無駄にしない、という思いで ひたすら英語と触れ合うようにしました。時間があるときはホストファミリーと過ごすように し、ホストファミリーの手が空いていないときはテレビを見るようにしていました。はじめは自 分の英語力の低さが本当に恥ずかしかったのですが、それをこらえ、続けていくと、次第に耳が 英語に慣れ、留学 4 週目ともなれば、ホストファミリー、先生方、そして UCR の友人たちの話 す内容のほとんどを聞き取ることができるようになりました。さらにうれしいことには、日本に いたころは英語を聞き取り、一旦頭の中で日本語訳をしてその意味を把握していたのですが、今 では英語を英語としてその意味を捉えることができるようになりました。これは留学するうえで の一つの目標であったので、自分の英語力の向上を強く実感することができました。残念なこと に、テレビのタレントやアナウンサー、店員さんなどが話すスピードともなるとなかなか聞き取 れない部分もありましたが、私としては 1 か月で得られる最大限の能力の向上を得ることができ たと思っています。このように、ヒアリングについては大きく力をつけたと感じますが、スピー キングについてはあまり変化がなかったように思います。スピーキング能力の向上を実感するに は 1 か月は短すぎると感じました。しかし、今回のプログラムの個人的に設定した目標の一つで ある「英語を話すことへの抵抗感をなくす」については概ね達成できたと思います。 以上の経験をふまえて、今後はヒアリング能力の維持、さらには向上を目指すことを念頭に置 こうと思います。この 1 か月で培った能力は必ず将来に活きてくると思うので、低下させること がないよう、最大の努力をしていきます。また、スピーキング能力の低さ、英語表現の稚拙さを 切に感じたので、それらの向上にも努めていきたいと思います。具体的な手立てとしては、英語 の映画やテレビ番組を見ることや、UCR の学生たちとの電話を実践しており、さらに東北大学に おける留学生との交流サークルへの加入なども考えています。また、英語を使わざるを得ない、 という環境が英語力の向上への近道だと実感したので長期留学も視野にいれて行動していきたい と思います。 2.異文化適応 異文化適応に関して、私が SAP で得たものはこれからの人生において重要な価値観の形成に大 きな影響を与えると思います。今回の SAP は私にとって初めての海外訪問であり、そのため大き なカルチャーショックを受けました。日本とはあまりにちがうスケール、制度、教育、慣習な ど、まだまだ多民族国家とは言えない日本にとどまっていては決して知りえなかった多くのこと に触れ合うことができました。何より強く感じたのは、知識として知っていることと実際に体験 することの差です。たとえば様々な人種の「アメリカ人」がいること、屋内でも靴を脱がないこ と、ハグの習慣など、日本にいたころからもちろん知っていたことではあったけれども、実際に 43 目の当りにすることで文化を肌で感じ、はじめて現実として認識することができ、そこでようや くその文化を受け入れることができたと言えるのだと思います。たとえば、私にとってもっとも 興味深かったことは宗教です。ホストファミリーはキリスト教を信仰しており、そのような環境 で過ごすことは非常に新鮮でした。日本にいるとどうしても私の生活の中の宗教の割合は大きく はありません。よって信仰が生活の中に自然と垣間見え、教えにしたがって行動している様子は 新鮮で、そのような人々が普段どのように物事を考えるのかわかり、非常に勉強になりました。 キリスト教は知っていても、実際にそれを信仰している人々がどのような思考をもち、どのよう な生活を送っているのか、それは実際に目の当りにしなければわからないでしょう。今まで宗 教、ときいてもいまいち想像しづらく、ともすればマイナスなイメージすらあったのですが、今 回の留学ですっかり覆りました。これは大きな財産になると思います。しかしながら、やはり正 しい知識を持つこと非常に重要です。今回のプログラムは多文化、多民族理解がテーマであり、 そのような授業を通して多文化の習慣等への理解を深めること、あるいはそれらに対する正しい 知識を持ち固定観念や偏見を捨てることがその文化、民族、人々を理解することにつながると学 びました。ホロコーストやジャパニーズアメリカンの第二次世界大戦中のキャンプ収容などの悲 劇的な人種差別も、相手の文化への理解のなさ、あるいは偏見からはじまりました。このプログ ラムに参加していなければ私にはアメリカの文化についての誤解や偏見があったまま、それがい つか大きな差別へと成長していただろうと思います。そういった意味で、アメリカでの生活を体 験しそれに適応させていったことは私の人生に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。また、 異文化に適応することに関して、今回の留学で最も感じたのは、文化の優劣を考えることの不毛 さです。アメリカに行ったばかりのころは、日本の文化と比較し、どちらが優れているか比べが ちでした。しかしアメリカで過ごしていくうちに、それらがいかに小さく、意味のないことか学 びました。日本で生まれ、日本で育った私にとっては、自分の「常識」が通じる日本の文化の方 が心地よいのは当たり前です。しかしそれは日本の文化の方が優秀だということにはならない、 ということを感じました。そしてそれを知ったことが、アメリカでの生活に適応するうえで非常 に役立ちましたし、これからも異文化を受け入れていくうえで大変有利にはたらくと思います。 いつまでも自分の育った環境、文化が最上のものだと思うことは、その時点ですでに相手の文化 を否定しているのだと思います。このような考えではいつまでたっても異文化の理解、適応はで きないでしょうし、いずれは差別や戦争などにつながっていくのだと感じました。しかしながら これは相手の文化の方が素晴らしいと思わなければいけないということでもありません。相手の 文化を受け入れることは大切ですが、自分の文化を低めたり、否定したりする必要はないので す。以上から文化を比較して順位をつけることにはまったく意味がないのだと学びました。これ は異文化適応において最も重要な考えだと思います。 このような経験をふまえて、今後はさらに異文化についての興味をもち、なるべく正しい知識 を吸収できるよう努力していきたいと思います。今日、メディアは多様な形をとり、インターネ ットの普及などにより私たちは手軽に情報を得ることができるようになりました。しかしその情 報をただ享受するのは危険だと考えます。手軽になったからこそ、無責任であったり、誤った情 報もあふれているためです。自分で様々な媒体を使い、その情報の真偽を自分で考え、また一つ の情報にこだわらない、これらが正しい情報、ひいては正しい知識を取り込むためには非常に重 要だと思います。こうした取り組みで他国の文化や生活への偏見や誤解は少なくなり、その文化 を受け入れることを容易にするのだと思います。また、世界は以前に比べてずっと小さくなりま した。旅行や留学も、それほど難しいことではなくなっています。実際に訪れてみたり、現地の 人たちと交流したりすることで、より相手の文化を身近に感じることができるのではないでしょ うか。今回の留学で、日本を出ることへの壁をなくすことができましたし、世界に目を向けるこ との重要さを改めて知ることができましたので、これからは積極的に外へ目を向け、行動に移し 44 ていきたいと思います。 3.行動力 行動力に関して、私は SAP を通して大きな成果を得ました。まず、今回の留学で最も大きな目 標としていた「英語を話すことへの抵抗感をなくす」は、概ね達成できたと思います。渡米当初 は自分の英語への自信のなさから、相槌程度しか話すことができませんでしたが、今ではそのよ うな壁を感じることはありません。それはもちろん慣れもあると思いますが、ホストファミリー や先生、UCR の友人たちの力によるところが大きいと思います。私がうまく伝えられなくても、 熱心に耳を傾け、その内容を理解しようとしてくださったため、私も必死に伝えようと、自然と 抵抗感がなくなったのだと思います。このような経験から、うまく話せなかったのだとしても、 伝えようとすることが最も大切だと学んだので、もう英語を話すことへの抵抗感はほとんどあり ません。また、自分から積極的に行動する、という力も備わったと感じています。アメリカで英 語力を向上させるためには、能動的に行動しなければなりませんでした。上述しましたが、ヒア リング能力を上げるために私は積極的にホストファミリーや UCR の友人たちとコミュニケーショ ンをとろうと努めました。そうしなかったならば、今ほど英語を聞き取ることはできなかったと 思います。何かを得るためには積極的に自ら行動を起こさなければいけない、ということを経験 として学びました。 この経験をふまえて、今後も積極的に英語を使ったコミュニケーションをとっていきたいと思 います。何もしないまま日本にとどまっていれば留学以前の状態に戻ってしまうでしょう。友人 たちとの電話、留学との交流サークルへの加入などを通して英語をさらに身近なものにしていき たいと思います。また英語以外においても、何かを学ぼうとしたときに最も必要なのは積極性で ある、ということを忘れずに、これから多文化理解や大学での専門分野等への勉強にも役立てて いきたいと思います。新しい知識や、未知新鮮な経験に対して、さらに能動的で貪欲な人間にな れるよう、努力していきます。 SAP を通して成長できたこと 青木 拓磨 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私がSAPを通して達成したことはまずは英語に対しての抵抗 感が少なくなったことです。SAPへ行く前私は英語が苦手で英語に対してとても苦手意識が ありとても不安でした。現地へ行き初めは現地の学生が親切に話してくれなんとかなりました が、そのあと私は少し怖がってしまい自分から話に行くことがなかなかできませんでした。し かし最初は友達と一緒に話にいったりしてなんとか自分の考えを英語にしようとがんばって いると少しずつですがなんとかなるんだなという考えが自分の中で生まれていき自分の話し た英語が伝わったときはとてもうれしい気持ちになりました。また、英語で話していて思った のは必ずしも中学校、高校で習ったちゃんとした英文法を使う必要がないんだなと思いました。 なんとかして伝えようとする気持ちが大切なんだなと感じました。ただ、レストランとかだと 相手がなにを話しているのかなかなか聞き取れずとても苦労して何度も聞き直したりしてし まったりしたことがありました。なので相手が少しでも私たち日本人に興味を持っていたりし 45 ているかしていないかでかなり自分たちがコミュニケーションをとれるかどうかが変わって くるんだなと感じました。ただリバーサイドの高校に行った時もなんとか一生懸命話そうとす ることで伝わるしやっぱり自分から怖がらずに英語を話しにいくということが大切なんだな と感じました。また、ホームステイ先では何かお願いを伝えることはなんとかできました。し かし、その依頼を1回違う方向に捉えられてしまった時があり、その時は本当のことを伝える のがとても大変だったしホストファミリーの人も苦戦していた感じがしました。しっかり自分 の考えはちゃんと伝わるようにするのがとても大切なんだなと感じました。全体を通して質問 はできたけどそれに対する返答に対して本当に「はい」、 「いいえ」とかくらいしか返せずそこ は難しかったです。 この経験をふまえて、今後は私は本当にいい経験をしたなと考えているのでアメリカで学ん だことを忘れずに日本でも伸ばせるところはのばしていきたいです。たとえば今回しゃべろう と思ってもあまりしゃべれなかったことを勉強したり、耳が慣れるのを少しでも継続するため に留学生などと接する機会を増やしたりしていきたいなと考えています。また、今回英語に対 する抵抗感がすごいあった私にとって英語に触れ英語を話すということを学ぶいい機会にな ったなと考えているので海外の方と積極的に話しに行ったり英会話の勉強を継続していきた いなと考えています。 2. 異文化適応 異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、アメリカで学んだ日本とは異なる 文化に対して慣れて少しは当たり前なんだなと思えたことです。アメリカには日本にはない文 化がたくさんありました。たとえば日本では浴槽につかり風呂に入るがアメリカではシャワー だけだったり、他にもたくさん私たちが知らない文化がありました。アメリカへ行ったすぐは 様々な知らない文化に驚くばかりでほんとに自分がこんな風に生活するんだなと心配でした。 しかし、言質で生活していくにつれ私もそれに慣れていくことができました。またサイトビジ ットでヒトラーのユダヤ人迫害に関する博物館に行ったときに感じたのは人種差別は当たり 前のように起こっているんだということでした。私は、21年間日本で暮らしていて人種差別 を感じたことは1度もありませんでした。ニュースなどで見ても常に他人事のように考えてい ました。しかしアメリカで1ヶ月生活して話を聞いたり博物館などに訪れて思ったのは日常で 普通におこっているんだと感じました。また、それで苦しんでいる人もいるんだなと感じまし た。また、アメリカで授業を受けて感じたことは日本の授業とはスタイルが違うんだなと感じ ました。日本では教授が話して黒板を書いて生徒がそれをただ聞いてノートを書いて終わる授 業がほとんどです。それに対してアメリカでは生徒同士あるいは生徒と教授がコミュニケーシ ョンをとり授業をしている印象が強かったです。それによりアメリカの人はコミュニケーショ ン能力が高いのかなと考えました。最初そのような授業スタイルに英語を話すのが苦手だった のでどうなるのかとても心配でした。しかし受けていくとほんとに毎日楽しい授業でした。毎 日なにがあったか話したり先生と英語で話したりと楽しみつつ少しは英語能力があがったか なと感じました。またカリフォルニアには本当にいろんな人種の人がいるんだなと感じました。 日本はほとんどが日本人ですがメキシカン系の人やアジア系の人など色々な人がいてそれぞ れがそれぞれの文化をもちながら生活していっているなと感じました。フード点もたくさんの 種類がありました。そういったアメリカに行かないと体験できないような異文化をたくさん感 じることができまた、それに慣れて少しでも適応し当たり前だとおもうことが1ヶ月でできま した。 この経験をふまえて今後は、自分が今までに当たり前ではないということもしっかり考えてい 46 こうと考えています。例えば今までは外国の方がいるだけで少し違和感を感じていましたが、 それはごく普通なことであったり、他の国、他の人には当たり前なこともあるのでそれは自分 でも取り入れたり慣れていくことも自分の成長や視野を広げるためには少しは必要なのかな とまなびました。また、そうするためには異なる文化について知ることが大切なので少しでも 多くの人と関わったり様々な国にいったりしてみたいです。 3. 行動力 行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは怖がらずに自分から一生懸命伝えようと すれば伝わるということです。初め私は言葉が通じないことに対して怖がって自分から UCR の学生やホストファミリーになかなか自分から話しかけにいくことができませんでした。しか し、勇気をもって話しかけに行ったらなんとか伝わったり、伝わらなくてもなんとか伝えよう とすることで聞く方も聞き耳をたててくれたりしました。そして、自分から行動する大切さを 学びました。また、ホストファミリーに対しても自分からなにも言わないとなにもないんだと 捉えられてしまうため自分から言いたいことはしっかりいうことがとても大切だと感じまし た。また、UCR の学生とも自分からはなしかけた分だけ仲良くなれて最後はほんとに一緒に いて楽しい時間が過ごすことができました。 この経験をふまえて今後は、自分でやろうかなと考えたことは怖がらずに行動していこうと考 えています。今まで私は少しやりたいことがあっても直前とかでいいやってやめてしまったり することが多くやろうやろうと思ってても自分からなにかをするということが少なかったで す。なので行動することは本当に大切だし行動することで自分のなにかが変わっていく感じが この1ヶ月でしていたので、少しでも積極的に行動していこうと考えています。また、英語に 対して抵抗感が少なからず減ったので英語を使う場にも少しずつ参加していって自分の考え を広げて行ったり自分を成長させていけたらなと考えています。 SAP を通して学んだこと 上野 睦実 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、自分から相手にコミュニケ ーションをとることができるようになったことです。日本にいるときは英会話を学ぶ機会が非 常に少ないために、言葉に出して英語を使うことがあまりありませんでした。そのため、何を きっかけとして英語で会話を始めればいいのかがわかりませんでした。この SAP 中に私の英会 話力をのばすことができたきっかけは、ホストファミリーがしてくれた大学までの送り迎えだ と思います。はじめの一週間はホストマザーと何を話したらいいのかわからず、いつも通りの 挨拶をして、しばらくするとラジオをかけられてしまい大学につくまで黙り込んでしまいあん まり会話ができない状態でした。そんな中、英語を話す時間を増やそうと思って始めたのが「1 5分間英会話」です。それは大学に行くまでの約 15 分間、ホストマザーと話し続けるというも のでした。ルールは大学に行くまでの間にラジオをつけられたら負けというものでした。ルー ムメイトと一緒に毎朝何を話そう、などと打ち合わせをして、はじめのうちは非常に苦労しな がらも、この会話を楽しんでいました。正しい英文法を使うことはできていなかったと思うけ れども、ホストマザーに自分の言いたいことが伝わるのがとてもうれしくて毎日のこの時間が 47 とても貴重でした。話しているうちに、大きな声ではっきりと、そしてゆっくりはなすことに よってより伝わりやすくなることもわかりました。会話を初めて最初のころは、恥ずかしくて モゴモゴと小さな声で話していてなかなか通じなくてもどかしかったので、話すポイントが分 かったことが大きな成長だと思います。最終週になるとホストマザーからも話すのがうまくな ったねと褒められるようになりもっともっとうまくなりたいと思うようになりました。会話に 慣れていくにつれて、昨日授業であったことだけではなく、アメリカでの生活で疑問に思った ことなどを聞いてみて、アメリカでのルールや、ホストマザーがナイジェリア人だったので、 ナイジェリアでのルールを教えてもらい、日本との違いや、他国の良さを学ぶことができまし た。 この経験を踏まえて、今後 UCR から友達が遊びに来た時はもちろん、英語を話す人と話す 機会がある際は自分から積極的に話すことや、相手が何をしてきた人なのか、何に興味がある のかを聞くなど会話を自分からしていけるようにしたいです。また、UCR で作った友達として いる LINE や FaceBook、テレビ電話などをし続けて、英語を使う時間を大切にしていきます。 留学している間に、現地学生に勧められた映画やドラマを英語で見るなどして会話のきっかけ を作ったり、耳を慣らしたりもしたいと思っています。また、英語の必要性を感じることがで きたので、スピーキングだけでなく、ボキャブラリーを増やし、英文を読む機会を増やすなど をして、二年生の一年間で TOEFL のスコア向上を頑張りたいと思います。 2. 異文化適応 異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、アメリカとナイジェリアの文化を 受け入れる免疫が少しでもできたことです。アメリカについて一番衝撃が大きかったのは食べ 物でした。はじめは、すべてが、大きく、油っぽく、塩辛く、甘すぎて驚きでした。アメリカで 有名だといわれた「Casey’s Cupcakes」で食べたカップケーキの色が、まずすごかったです。 私は比較的普通の色をしているカップケーキを食べたのですが、友達が選んだカップケーキの クリームの色が水色、上に乗っている飾りのさくらんぼみたいなものの色は毒りんごのような 赤。まさに絵本で出てくるようなカップケーキが出てきて驚きでした。どのカップケーキも一 口食べてみると砂糖が飽和しているのかクリームがシャリシャリしていて再び驚かされました。 次に驚いたのはシックスフラッグで食べたフィネルケーキでした。揚げたてのケーキを出して くれるのですが、とてもケーキがジューシー。油を切るという文化がないのか、油を含んだケ ーキが出てきて驚きました。食べ物に関してはこのほかにも驚いたことがたくさんあったので すが、生活をしているうちに、だんだんご飯がおいしく感じられるようになっていき、味覚も なじんでいくのだなと思いました。また、ホストファミリーに日本食の話をした際、 「だし」の 味があまり好きではないということが分かりました。ほかのホームステイ先の人も、お土産と して持参したお吸い物があまり喜ばれていなかったという話を聞いたので、日本人が好む味で も、ほかの国の人にとっては不思議な味であるということが分かりました。 この経験から、自分にとって当たり前、一番良いもの、と思っていたものがほかの文化圏の 人にとっては異質のものである可能性があるということが分かりました。今後は自分の考えや 日本の固定観念に縛られず、新しくいいなと思ったものを素直に受け入れていける柔軟さを持 ちたいと思います。また今回のホストファミリーとの生活を通して、南アフリカや南アメリカ の食文化に興味を持ったのでそれについても今後調べてみたり、日本にある南アフリカや南ア メリカのお店にいって食べてみたりしたいと思っています。 3. 行動力 行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、 「とりあえずやってみる」という気持 48 ちが強くなったことだと思います。もともと私は好奇心が強いため、気になったことがあれば 何でもチャレンジするようにしていたと思います。しかし、アメリカに来て、はじめのころは 本当にやっていいのだろうか、など不安になってしまい、なかなか行動に移せない、というこ とに悩んでいました。しかし、UCR でできた友達が、「なんでやりたいことをやらないの?」 と聞いてきたことによって、迷いが吹っ切れました。日本にいても、アメリカにいても、やり たいことはきちんと言葉にして行動しないと何もできないし、行動すればなにかが変わるとい うことが分かりました。また、ホロコーストについてのミュージアムに行った際、ガイドさん が私たちに課した課題「Make a difference」が非常に心に残っています。ホロコーストが起こ っていた第二次世界大戦のころの世界には、ホロコーストを受け入れている人、何もしない人、 ホロコーストを否定しようと活動をしている人の三種類の人がいて、何もしていない人が多か ったために、ヒットラーの力がどんどん世界に広がっていってしまったということが分かりま した。間違っているなとともったことを変えるためには自分が行動に移さないと何もかわらな いのだと思いました。 この経験を踏まえて、今後は自分が正しいと思ったことをやり通すために、やろうと思った ことを進んで行動できるようになりたいと思います。また、今回の SAP で行ったホロコースト のミュージアムや日系アメリカ人のミュージアムで学んだ歴史を今後、周りの人に伝えていく ことが、私にできることだと思うので伝えていきたいです。そして、これを期に世界で起こっ ている紛争や事件について知り、なぜそのようなことが起こっているのかの背景に興味を持っ ていきたいです。 SAP での活動を通して 土倉 嵩 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、 私が SAP を通して達成したことは英語のスピーキング力の向上です。 アメリカの生活が始まったばかりのころは何を喋ればいいかわからず、喋りたいことも伝えたいこ とも伝えることが難しく、英語を喋ろうとすることにつかれていました。二日目にショッピングに 行ったときに、外国人の店員と全くコミュニケーションをとれず、思うような買い物をできなかっ たことから、正直居心地の悪さを感じました。しかし、UCR の学生たちが頑張って日本語を使って、 片言でもコミュニケーションをとろうとしているのをみて、自分も負けてはいられないと思い、ま た、自分の英語が片言にきこえても恥などないというように感じるようになりました。UCR の学生 の日本語の授業に参加したとき、アメリカの人たちがいつもより身近の存在なように感じられまし た。それは、いつも私たちは母国語でない英語を、それを母国語としている人たちに対して使って いる時に感じる、外国人に対する劣等感が大きく薄まっていく瞬間でした。それでもやはり、アメ リカ人の人たちは日本人よりも積極的に日本語を話そうし、また、私たち日本人に質問してきてい て、熱心だと感じました。そのような事実に影響もされ、もっと積極的に英語を話していこう意識 が芽生えました。そして、その後特に成長したと感じることは、とっさに英語が出てくるようにな ったということです。それまでは言いたいことを日本語でイメージし、それを頭の中で英語に訳し てから言葉にしていたためどうしてもスムーズなコミュニケーションが取りづらく、また、どうし ても形式じみた英語しかしゃべれなかったのが、少しばかり改善されたのではないかと思います。 49 たとえば、何かしてもいいかを尋ねたいとき、 「~してもいいですか?」よりも先に、 「Can I ~?」 が自然と口に出てくるなど、自分の脳内で日本語を仲介していないような感覚になることがしばし ばありました。英語をペラペラしゃべる人は、この感覚をもっと伸ばしていった人なのではないか というような気もします。まだまだその域には達しないと思いますが、いつかそれくらいにまで英 語でコミュニケーションをとれるようになれればと思います。 今回の経験を踏まえて、今後はもっと積極的に英語向上に努めていきたいと思いました。もっと、 自分から英語を使い、質問し、聞き取ろうと思いました。具体的には、キャンパス内でもグローバ ルカフェなど英語と触れ合える機会がたくさんあると思うので、そのようなところに積極的に参加 し、また、自分でも毎日英語を勉強していきたいと思いました。理由としては、なにより、外国人 と英語でうまく話せば話すほど楽しいということがこの海外研修において感じたからです。まずは、 近い目標としては、夏に UCR の学生たちが東北大学に来た時に、もっと英語でコミュニケーション をとり、今度は日本人として彼らをサポートし、引っ張っていてということです。さらに、それが、 今回の海外研修でお世話になった分の恩返しになればいいと思っています。 2.異文化適応力 異文化適応力に関して、私がこの SAP で達成したことは、海外の文化、主に、アメリカの文化と いうのはどのようなものなのかを知ることができたということです。そして、アメリカと日本の文 化の違いを感じ取ることができたということです。 まず、アメリカで驚いたことは、日本との授業の違いです。アメリカの高校の授業に混ざって参 加したときにそれをもっとも感じました。日本の授業は、生徒たちは全員席につき、生徒たちは静 かに先生の話を聞きノートをとるというのが一般的なスタイルです。しかし、アメリカでは、先生 と生徒はいわば友達というような感じで、授業中、先生は生徒に語り掛け、生徒たちはみなそれに 応え、またそれとは逆に、生徒からの質問が絶えず、先生はそれに応えるというようなスタイルで した。もし、日本でこのような授業風景があったら、間違いなく先生側は怒っているだろうな、と いうときもたまにあるほどでしたが、むしろアメリカの授業は先生も生徒も楽しそうに授業に取り 組んでいるようでした。正直、アメリカの授業ならあまり眠くなることもないだろうし、なにより、 日本より楽しく勉強をできるだろうなと思いました。けれど、日本いても積極的になることはでき るし、アメリカの生徒のいいところは自分自身に取り入れていきたいと思いました。 また、アメリカ人は知らない人に対しても関係なく親切でフレンドリーであるなと思いました。 UCR 校内を歩いていて私たち日本人にあいさつを交わしてくれる人もいれば、道を尋ねれば、とて も親切に対応してくれます。 このような体験はアメリカに限った話ではないのではないかと思います。グローバルな場ではこ のアメリカで経験したような状況に似ていると思います。だからこそ、将来、グローバルな場でも 活躍するためにはこのような文化に適応していかなければいけないと思いました。すなはち、もっ と積極的にフレンドリーに、ということを日々の生活の中で意識していきたいと思いました。もち ろん、その時に見失ってはいけないものは、日本人の良いところ、たとえば、勤勉さ、などだと思 います。このような考えを常に持ち続けていきたいです。 3.行動力 アメリカの研修において、私は行動力が身に着いたと感じています まず一つ目として、わからないところがあれば人に素直にきく、ということです。私は今まで、 何かわからないことを人に聞くということに恥じらいを感じ、人に質問するということが少し苦手 でした。けれど、その欠点はアメリカでのホームステイ先での生活、外国人の先生による授業にお いては、致命的で、苦手意識を捨て去ることをしなければいけない状況に立たされていました。そ 50 のおかげで、授業中先生に質問したり、ホストマザーに生活の仕方などについて質問したり、それ によって、いろいろなことが解決されるということを身にもって経験しました。また、素直にわか らないことはきいてみるということがよりよい人間関係へと導いてくれるのではないかとも感じ ました。 そして、二つ目として、自分のやりたいことをやる、ということです。これは、とても当たり前 で簡単なことのように聞こえますが、自分にとっては難しいことのように感じます。私は、人に合 わせるのが得意です。言い方を変えれば、自分で先陣をきって何かをしたり、人と違った自分の意 見を素直に言葉にしたりするのが苦手な方で、どちらかというと、人についていくタイプの人間で す。けれど、アメリカでは、逆にそのような自分を嫌い、改善したいという面も見ることができた のではないかと思います。それは、アメリカといういつもと違う環境において、人に合わせている だけではやっていけないということを実感していたからなのではないかと思います。また、アメリ カではほとんどが集団行動で、その集団の中にずっと納まってしまえば、日本人同士で楽しく安全 に生活できるものの、アメリカという場でなかなか新鮮な経験をできないという状況でした。それ により、自分から何か行動を起こすことでよりいろいろな経験をしていかなければならないという 状況が多々あったように感じます。たとえば、日本語をしゃべることができない外国人と一対一で 面と向かって話をしてみるということや、ホストマザーに自分の意見を話してみるというようなこ とです。このようなことは、一度、日本人ばかりの集団の空間から離れて自分で行動するというこ とが必要であったように思います。もちろん、集団行動の大切さは忘れてはいけないし、むしろ、 外国という環境においてはもっとも大切なことだと思います。しかし、時には、その環境で一歩踏 み出して、自分のやりたいいろいろな行動を起こしてみるということの大切さを、このカリフォル ニアでの生活を通して新しく実感したように感じています。 これらの感じたことに共通していることは積極性です。この海外研修をとおして、自分の積極性 のなさにあらためて気づかされたように感じています。これらの感じたことをこれからの大学生活 に活かしていけばもっと充実すると思うし、就職し社会に出た時も役立つと思います。行動する、 行動に移す、ということをしっかり実行していきたいです。 51 5班 初のアメリカ滞在で学んだこと 松井 美樹 1. 自己の言語運用力 米国に渡る前から、1 か月の研修は言語運用力を思ったように伸ばすには私にとっては短いと 感じていたため、研修の間に言語運用力を向上させるというよりは、それまでの学習の成果を確認 し、弱点を具体的に見つけて今後の学習の手掛かりにすることを言語学習に関する目的として SAP に参加した。 SAP 参加直前には、TOEFL 対策の教材を用いてリスニングとディクテーション、付属の CD の発音を一文ずつ真似する、といったようにそれまでの言語学習よりも音を意識した学習を行った。 実際現地に行って英語を用いる場面になると、場面によりけりではあるが、自分が想像してい たよりは多くを聞き取ることができたが、やはり聞き返す場面も多く、理想どおりにはいかないも のだと感じた。留学生対象の普段の授業や、留学生受け入れの経験の多いホストファミリーとの会 話では何を言っているか理解することができたが、現地の学生同士の会話に混ざったり、現地の学 生に講義をしているようなゲストスピーカーの長時間の講義を聞いたりしているときは一度理解 できなくなるとそのまま話全体が理解できなくなった。前者と後者の一番の違いは、前者はこちら がどの程度理解しているか確認しながら話を進めてくれており、わからなければ簡単な単語で言い 換えてもらったりこちらから質問したりすることもできたが、後者はそうではなかったことである。 つまりは、単語の難しさと、それまでの内容を理解して次の内容に移るのに余裕があったか否かに よるのではないか。相手話者の話す速さや間の取り方を自分のために毎回調節してもらうわけには いかないので、自分の処理能力をさらに上げる必要があるように感じた。文頭に注意して聞き取る こと、毎日英語を聞いてイントネーションや単語の音に耳を慣れさせることを 1 か月継続しただけ で SAP に来る前より聞き取りに余裕ができたので帰国後も継続したい。 自分から発話する場面では、原稿を覚えて発表するようなときや、話したい文をすばやく構成 できたときは、相手に通じやすく発音も良いと言ってもらえることがあった。1 か月のうちにだん 52 だん話したい文をすばやく構成できるようになり、話しやすくなっていったのは、よく使う言い回 しを少しずつ覚えて使えるようになってきたからである。それでも言葉に詰まってうまく自分の意 見を伝えられなかったのは、適切な単語を知らなかったときで、特にこの言い回しは相手にとって 失礼でないかと気にしすぎたときである。日本語の敬語表現を英語に置き換えることにこだわりす ぎたともいえる。先生やホストファザー、ホストマザーのような目上の相手に対して話すときだけ ではなく、同じ年代のネイティブの学生と話すときに依頼や相手が言っていることに対して否定を する時にも自分の表現で相手に違和感を与えないかが心配になった。これには語彙力を伸ばすだけ でなく、アメリカなどそれぞれの国ではどのように敬意を表すのか、誰かに何かを依頼する・依頼 されるときにどのように感じるか、というような言語の裏にある考え方や慣習まで学ぶ必要がある だろう。ただし、次の2.異文化適応 で述べるように、アメリカの文化に染まりきるのではなく、 アメリカの文化を理解したうえで日本の文化も保持したまま生活できるほうが望ましいと SAP を 通して感じたので、その国での考え方も理解したうえで日本文化での考え方を反映できるような英 語の言葉遣いや表情、身振りができるようになるのが理想ではないかと思う。日本語と英語では言 語の構造や異なる点が多いので非常に難しいことだとは思うが、多文化主義が進む現代では大切な ことになってくるのではと思う。 総括すると、この SAP を通して、これまでの学習で単語を音として聞き取り、真似して発音 する段階はある程度クリアできたということが確認でき、これからは聞き取った音と意味をスムー ズにつなげられるようにイディオムや尊敬表現、よく使う言い回しというような表現のストックを さらに増し、最終的には言葉の裏側にまで気を配れるようにすることを目標にすればいいというこ とがわかった。そのために TOEFL 対策教材に出る講義で使うような英語だけではなく、日常で使 うような英語を聞きなじむまで聞きたい。これまで洋画の俳優や女優は大げさな身振りをしている のかと思って日常生活に還元できるか疑問に思っていたところもあったが、今回で日常で会話する のと同じくらいの身振りなのだと分かったので、海外のドラマや映画も参考に勉強したい。またこ れは自身の語学のためだけではなく自分が UCR の生徒に親切にしてもらったのが嬉しかったので、 同じようにして東北大学に来る留学生を助けたいという思いからくるものだが、IPLA などの機関 から留学生のサポートをしたり、これまでに友達になった留学生や UCR の生徒との交流を続けた りしたいと思う。 2. 異文化適応 異文化適応に関して、私が SAP を通して感じたことは、永住ではなく留学のような一時的な 滞在であればアメリカでの異文化適応はそこまで難しくはないのではないかということである。 対人関係においては、相手もそうだったかはわからないが少なくとも私は不快な思いをしたこ とはなかった。日本にチップの文化がなく、初めはどのくらいの額を払えばいいのかわからなかっ たが、消費税の約 2 倍を払えばいいと教えてもらったため、払い忘れないようにだけ気を付ければ 難しい習慣というわけではなかった。食事についてはパン中心で米よりも腹持ちが悪いように感じ はするが、様々な文化の人々が集まっているのでその分様々な種類の料理や食材が集まっていて日 本にいる時より選択の幅を広げることができてかえって楽しいかもしれない。距離や量、温度の単 位について、マイルやガロンといった日本では使わない単位がよく使われていて混乱したが、アメ リカ国内でもさまざまな単位を用いる人がいるので、たとえば距離を伝えるのであれば車でどのく らい時間がかかるか、というように伝え方を変えて工夫しているそうである。滞在中に出会った以 上の日本とアメリカ間での異文化には慣れれば何とか適応できた。 適応が難しいと思ったのは移動手段である。今回が私にとって初めてのアメリカだったが、一 番驚いたのは自動車の量だった。自動車中心の社会で、20 代以上はほとんどの人が自分の自動車を 持っており、自分の車がないと家から学校の間でさえ移動できない。16 歳から自動車免許が取得で 53 きるそうなので大学生は入学前には免許を取得して自動車通学をする人が多いようだ。日本に比べ てはるかに国土が大きく、特に今回滞在したリバーサイドは砂漠の近くで土地が広いため、自動車 での移動が最適なのだろう。国土の広さだけでなく、スーパーで売っている家庭用の食料や日用品 も同様に大きく、一度に購入する量も多いので、確かに徒歩や公共交通機関といった自動車以外の 手段では移動が大変だろう。移動範囲の広さや持ち運ぶ荷物の多さのような理由以外にも、アメリ カ人の気質として自動車での移動が向いているのかもしれない。授業で多文化主義を扱ったときに、 doing の文化と being の文化があることを学んだ。前者はアメリカでよく見られるもので、無駄な 時間なしに行動することを重視する文化であるのに対し、後者は日本でよく見られ、常に行動して いなくても時間の余裕を愉しむ文化を指すようだ。時間を効率よく使いたいアメリカ人にとって、 待ち時間の長い公共交通機関を利用するよりは自家用車での移動のほうが向いているのだろう。し かしその分フリーウェイでの運転速度の速さや車線変更の荒さも相当のものであり、私もホームス テイ先から大学まではフリーウェイを経由して送迎してもらっていたが、車線の多さや車線変更を 見て、自分がもし免許を持っていたとしてもこの運転にはなじめないかもしれないと思った。 今回の SAP を通して感じたことは、様々な背景をもつ人々を抱えるアメリカだからこそ、異 文化に適応しやすい環境が整っており、最近日本もグローバル化が進んでいるのでまったく初めて 見る、というものは数十年前に比べて少なくなったのだろうということだ。国の隔てなく世界を行 き来しやすい時代になったからこそ、melting pot ではなく salad bowl にたとえられるように、す べての文化を融合してしまうのではなくそれぞれの文化がその特性を生かしたまま共存できるよ うにしていくことが重要だろう。そのためには私を含む各個人が持つ自分以外の文化をすべてでは なくとも理解して受け入れ、それに対する偏見をなくす必要がある。アメリカは世界において、少 なくとも単一民族の国家である日本よりはその点優れていて、見習うべき点が多くあった。国家単 位の大きな仕組みを変えるには及ばないとしても、個人単位で他の文化を持つ友人を作るのが最も 手っ取り早いと思う。将来日本にいても海外にいたとしても、相手の文化を理解して自分を適応で きるような大らかな人になりたい。アメリカでいろんな人が共に生きている様子を肌で感じ、その 意識を持てただけでも大きな収穫であると思うので、これを忘れないようにしたい。 3. 行動力 SAP に申し込みを決めた時点から行動力に関しては前より向上していると思う。現地に着い てから、日本にいる時よりも誰かに質問しに行ったり、初対面の人でも英語で話ができたりするよ うになったのは周りの環境のおかげだといえる。授業は少人数で発現のしやすい雰囲気であり、質 問もしやすかった。パネルディスカッションで日本人留学生が、日本人同士で固まらずに現地の学 生と話しているという旨の話を聞いてからは、放課後などの自由時間はなるべく日本人だけのグル ープではなく UCR の生徒のグループの中に入って会話ができるように努め、東北大学のグループ の中へ話しに来てくれる学生だけではなく、なるべくいろんな人と話せるようにした。 この経験によって、話しかければたいていの人は親切であること、自分の行動で周りから反 応が返ってくることの面白さが分かり、また自分で行動することへの自信をつけることができたの で、これからは今回のような相手から手を差し伸べて助けてくれるような環境でなくとも、自分で いいと判断したほうに行動できるようになりたい。そのために、日本語でも英語でも自分に必要な 情報を正確に収集できるような能力を身に着けたいと思った。 SAPレポート 54 阿部 真澄 1. 自己の言語運用力 SAPの一か月間の目標として、英語力の向上、自分の英語がどの程度のものかを知る、という ことを掲げていた。実際、この短期間で英語力が格段に上がったということはないが、しかし英語 に限らずコミュニケーションにおいて重要なことを学ぶことができた。それは、例えば自分がどう したいか、相手にどうしてほしいかというような自分の気持ちをうやむやにせずきちんと相手に伝 えようとすることが大切である、ということである。日本人は特に、相手のことを自分のことのよ うに思いやって、相手にも自分の本当の要求を言わずとも察してほしいと思う人が多い。それは日 本人の素晴らしい点であるが、それと同時に愚かな点でもあると考える。いくら他人の考えている ことを察して、直接言葉にせずとも円滑にコミュニケーションができるとしても、事実他人の思考 を100%知ることは不可能であり、 「余計なお世話」 「おせっかい」という言葉があるように、相 手の要望に応えようとするあまり、逆に相手にとって迷惑になってしまうこともある。さらにその 場合、せっかく相手が自分のことを考えて行動してくれたのだからと、余計なお世話を焼いてくれ た相手に本当はこうしてほしかったのだという本心を伝えることもできないのである。 アメリカでは、自分の本心を相手に伝えることはすごく重要なことである。相手は自分の言葉以 上のことを自分から察するということをしないからである。日本人のお互いの本心を探り読み取り あう文化とは違い、コミュニケーションの表面に出てくる言葉を重要視する文化である。日本人の 相手の立場にたって物事を考えられるということは、素晴らしいことであるが、それゆえにお互い 我慢し合ったり、誤解が生じてしまったり、本心が上手くぶつかり合えずに相互に作用し合えなか ったりもする。いきなりアメリカ人のように感情を言葉に乗せてぶつかり合うコミュニケーション をしよう、というのではなく、相手が察してくれることを望み自分の思いを直接相手に伝えること を避けるということは、意見のぶつかり合いといういい意味での連鎖反応の機会を失っていること でもあるという自覚が日本人にとって大事なことなのであると考える。 そして、とりわけ英語の運用についてであるが、発音についてはlとrの区別が本当に難しいと いうことを実感した。自分が考えて文を作りながら発話するよりも、相手の話す英語を日本語に変 換することが容易であると実感した。紙に書けば、文法的に正しい文章を作れるのであるが、頭の 中で考えて言葉に変換して発音していったときに、文法的に正しい文章を作ることはものすごく大 変だった。しかし文法的に若干間違っていても、相手は何とか汲み取ってくれるので、たとえきれ いな英語でなかったり言葉の使い方が定かでなかったりしても、先に述べたように言葉にして伝え ようとすることが大切であるということもまたわかった。自分は、自分が思う以上に大学受験の勉 強等で英単語を知っていて、相手がゆっくり話してくれさえすれば、その内容の7割ほどは理解で きた。しかし、その自分のボキャブラリーの中からとっさにアウトプットするのはすごく大変であ った。発話する機会がないと、このアウトプットの能力に関しては向上していかないと思うので、 日本にいながらも英語を話す機会は自分で作るようにして鍛えていかないといけないと思った。そ の他には、現地の人が実際の会話で使うようなスラングを自分は全く知らないということも感じた。 学校の英語の教科書には文法的な文しか載っていないため、実際の言葉としての崩された英語を知 る機会はネイティブスピーカーと会話をすることに限られてしまうのである。 授業の先生やゲストスピーカーやガイドの方の話や、UCRの学生やホストファミリーとの会話 から上記のことを実感した。日本にいながらも英語の言語運用力を向上させる方法を自ら探し、持 続させていくことは困難であるが、今後の自分にとって大切なことであると思った。 2. 異文化適応 異文化適応についてまず初めに思ったことは、アメリカでの食事についてである。私はもともと 55 食べ物の好き嫌いが多く、日本では食わず嫌いもしょっちゅうであった。実際ホストファミリーが 作ってくれる食事には今までの私だったら一口も食べずに拒否していたようなものもあったが、そ の人にとってはそれが食事なのであるから一口も食べないというのは大変失礼であり、とりあえず 一口食べてみて判断しようと試みた。アメリカの食事は毎食となると重たくて大変であるが、最も 苦手に感じたのはメキシコ料理であった。日本でもタコスなどメキシコ料理を食べる機会はあるが、 カリフォルニアでのメキシコ料理はそれとは少し違って質感が苦手なものが多かった。さらにアメ リカは多文化であるというだけあって、モールのフードコートの中に他国的なレストランが何店も 入っており、自分の好みのものを選択して食べることも可能であるのがすごいなと感じた。 また、やはりアメリカの特徴でありこのUCRプログラムの主題である多文化について知る機会 が多くあったことが印象的である。SAPの前は、アメリカは白人でいっぱいなのだと考えていた が、実際は白人だけでなく黒人やアジア系の人も多く、まさしくサラダボウルであった。数多くの サイトビジットでほんのわずかではあるがそんなアメリカの歴史的背景を学ぶことができ、SAP に行く前と帰ってきてからではアメリカに対する考え方が大きく変わった。このことからもまた、 私は重要なことを学ぶことができた。それは、他者とは異なる自己を認め、さらに自己と異なる他 者を評価することの重要性である。日本は地理的にも宗教的にも孤立しており、一つの国として統 一され他者や集団との同化をよしとする風潮がある。しかしアメリカは真逆で、自分の文化や考え 方を尊重し他との相違点を見出すことで評価につなげることが多い。自分のあり方を誇張し、相手 にぶつけ、さらに相手の文化も理解しようとする。つまり、他者と共通する点を伸ばすか、他者と の差異を尊重するかの違いなのである。日本では、集団から浮き出ないように目立たないように、 自分独自の意見を言うことにためらいを感じがちで自己アピールが苦手な人が多いが、アメリカで は、自分はこういう人間であると、相手に誇示し自分の存在が集団に埋もれないように努力する人 が多いように感じた。そのアメリカの考え方が日本人の私にとっては新鮮で、かつとても魅力的で あった。集団から少し飛び出ることで、釘を打たれることや失敗することも当然あるだろうが、し かしその努力によって他者からの理解や評価を受けることができることもあるのである。協調性と いう観点では日本人の他者との同化という文化も優れているが、アメリカのような自己主張の文化 から学べることは数多く素晴らしいものである。この文化を知ることで、他者と一致する自己と、 他者と異なる自己の両方の自分を受け入れ、同時に他者についても同様な理解をすることができる ようになれるのである。それは国規模にも膨らませることができ、日本とアメリカの相違点を認め、 それぞれを正当に評価することができるのは大切なことである、ということなのである。今後、自 分個人についても、世界規模のことでも、二つのことを比較する際にはこの考え方を大切にしてい きたい。 3. 行動力 私は比較的自分が必要だと感じたり興味があったりすることに対しては意欲的に行動すること ができると自負している。この一か月の海外研修も、私にとって重要な決断であり、行動してよか ったと思えるものであった。私の好きな言葉に、 「迷ったらGO」という言葉がある。有名な言葉で 言えば、やらなかった後悔よりやってした後悔の方がまし、である。人生は一度きり。今この瞬間 も一度きりである。その時その場所でのチャンスを逃したら、もうそのチャンスは二度と来ないか もしれない。そう考えると、すべきかしないべきか迷ったとしても、せっかく巡り会えたチャンス、 チャンスも人との出会い同様に一期一会のものと思って行動する道を選んだ方が、後の後悔は少な いのではないか。 今回SAPでは、日本人が30人で、しかも一年生と二年生だけで、アメリカの文化の中で、自 分が前に出て頑張ろうと、意識せずとも積極的な行動力を発揮することができたと思う。私はアメ リカの授業のスタイルが好きである。一般的に考えて、日本の学校では、教師一人が淡々と説明を 56 し、生徒たちはそれをただ聞くことしかできない。目立つことを嫌がる生徒が多いため、なかなか 発言することができないし、そもそも発言する場があまりない。一方で、アメリカの学校において は発言しないことは怠慢、授業に参加する意欲が足りないとみなされ、生徒同士でのディスカッシ ョンの場が多く設けられる。先生も友達や仲間のように友好的であり、日本の伝統的な教師像とし ての教室内で一番偉い人という捉え方とは大きく異なる。しかし、発言の機会を失われた日本の生 徒たちは、自分の意見を人に話すことに抵抗や感じてしまう。小さいうちから意見を交わすアメリ カの生徒たちは、自己と他者の違いを幼くして自覚しながら育っていき、人と異なるということは 当然だと思うことができる。しかし日本の子供たちは、個人の中で思考がとどまってしまい、他者 の意見を耳にする機会が少ないため、自分の意見に自信を持ちづらく、また大衆の意見に影響され やすい。私は、自分の意見を発言し相手の意見を聞くことで、より自分や相手の意見をいいものに する、という作業が好きである。そのため、授業中に積極的に発言をすることが奨励されるアメリ カでの授業は私にとって刺激的であった。私は学部卒業後、大学院に行きさらに自分の専門である 英語学の勉強をし、そして高校で英語教師になりたいと思っている。そこで将来、自分が実際に教 壇に立って授業をするときには、アメリカ風に、生徒にできるだけ多く考えさせ発言できるような 雰囲気づくりをしたいと思う。英語という外国語と一緒に、外国の文化も一緒に感じてほしいので ある。SAPに行く以前は、このような考え方をしたことはなく、単に自分が好きな英語の文法や 文構造の魅力を生徒に分かってほしいと考えていた。しかし、私の英語の授業を通して、実際に英 語を母国語とする人々の文化を感じ、いずれは英語を使って外国に行ってみてほしいと思うように なったのだ。英語教師として、英語を話せないといけないと思いそれ以降の長期留学も視野に入れ てSAPに行くことを決めたが、SAPは予想以上に自分の将来のビジョンにいい影響を与えてく れた。 初の海外留学で生まれた変化 宇野 健太朗 1.自己の言語運用力 自己の言語運用力について私が SAP で達成できたことは,簡単な気持ちや考えを述べる場合に は,日本語で考えずに最初から英語としてその表現を口にできるようになったことである。これは 毎日自分から話す機会を得られたからだ。私の配属されたクラス内では毎回冒頭にてその日の前日 にあった出来事を一人につき 1 トピックずつ発表するという時間があった。はじめのうち私はその 場で即座に英語での発表をすることができず,ノートに昨日の印象に残った出来事とそのときの感 想を,まるで小さなエッセイのように一度書き起こし,それを読み上げるという形で返答していた。 つまり一度頭で作った日本語のエピソードをノートに英作文し,それをそのまま発表していたので ある。しかしこのようなスピーチを毎日行っていくことで徐々にそのスタイルが変わっていった。 まず一週間が経った頃にはノートに文章を書き起こさなくても発表が行えるようになった。そして このとき頭の中で「日本文→英文」の訳し作業が行えていることに気が付いた。これは単純に訳す のが早くなったためであると思われる。そしてさらにこのプログラムを終える頃には,簡単な表現 であれば「日本語→英語」のプロセスを踏まずにはじめから直接英語の表現として頭に浮かんでく るようになった。ほぼ毎日スピーチを行うことで,よく使う表現や言い回し構文が自動的に頭に入 り、その頭の中にある引出しから英文が直接的に引き出されるようになったからだと考える。この 能力はホストファミリーとの会話や現地学生との交流の中でも鍛えられた。便利な言い回しや使い 57 やすい単語がまず頭に蓄積し,日常会話の中で自然に使用できるようになった。 ここから見えてきた今後の課題としては,まずこのように「頭に直接英語の表現として思い浮か ぶ」言い回しをより多く蓄積させることであると考える。そして自然に日常会話の中で使うことの できる表現を数多く頭に記憶していくことが重要である。これらの英語のコードが構築されていけ ば,だんだんと返答する際にかかる時間が減っていき,自然に英語のみで会話できる(自分の気持 ちや考えを表現できる)状態に近づいていくと思われる。ただし,この考えは日常会話に関しての み言えることである。専門的な知識を加えてプレゼンテーションを行ったり,あるテーマに沿って ディスカッションを行ったりする場では,ある種定型句のような,決まりきった表現だけでは自分 の考えを詳細に表現することは難しい。つまりその場で自分の考えを論理的に組み立てながら英文 を組み立てていく能力もまた必要となる。これを達成するには英文法と語彙力の強化は欠かせない。 幅広い分野の単語を網羅的に頭に入れておくことと複雑な表現を含めて高校で行った文法事項を 覚え直し,会話で使えるレベルにまで持っていくこともまた,私にとって今後の重要な課題である。 2.異文化適応 異文化適応能力に関して私が SAP で達成できたこととして,自分とは異なる文化圏の習慣・食 事・考えについて毛嫌いせずにまずは自分の中に取り込んでみよう,という意識がより一層強まっ たことが挙げられる。そしてさらに言えば自分の知らない他の文化に対して興味と尊重の念を持っ て接する姿勢が芽生えたと感じている。今回の SAP が初めての海外渡航でもあった私にとって, 複数の全く異なる文化が部分的にまじりあい、また部分的には独立して共存しているまさにサラダ ボウルと形容されるべきアメリカの文化は非常に刺激的だった。その例が顕著に表れていたと感じ るのが現地での食事である。私のホストファミリーはメキシコ系アメリカ人の家庭で,食事ではト ルティーヤやブリトー,メキシカンライスといったメニューを多く食べたが,ほかのメンバーによ ると日系アメリカ人の家庭で味噌汁と日本米を食べたという話やアフリカ系アメリカ人の家庭で ほぼ毎晩テイクアウトのハンバーガーやピザを食べているという話を聞き驚いた。アメリカには多 くの移民の子孫が暮らしており,それぞれが独自の文化圏を持っている。しかし,これらの人々が 同じアメリカ市民であることには変わりなく,共存社会が成り立っているのである。そしてこのよ うな共存社会の中で私が感じたアメリカ人の気風は,「細かいことにこだわり過ぎないこと」と, 「思ったことは隠さず淡泊に打ち明けること」である。このような気風のもとでアメリカ人は自分 の文化も大切に保持しつつ他者の文化も受け入れながら暮らしているのだと感じた。そしてこのア メリカの雰囲気が私は大好きになった。以前までは日本以外の文化に対しては排他的ではないにし ろ興味がわかなかった私であるが, この SAP を通して他国の習慣や食について自分から知りたい, そして日本文化を広めたい,と思うようになったことが私の大きな変化である。 今後の課題としては,文化多様性について興味の火が点いている今の状態を維持しつつ実際の行 動に移すことであろう。具体的には他国の文化習慣についての詳しい知識を深めたい。というのも, 私は将来的に国際的に活躍できる工学技術職に就きたいと考えている。そして世界各国の研究者と 共同でプロジェクトを進めるような仕事において各国の文化について予備知識を持っていること は非常に重要だと考えるからである。このことに関して一つ気にかけておかなければならないポイ ントがある。それは当たり前のことだが,個人によって同じ文化でもそのとらえ方は大きく変わる ことである。いくら日本人として自国のポップカルチャーを勉強していっても,現地の学生が抱い ているイメージが「他国から見たニッポン」であることに変わりはない。この文化観の違いの溝を 少しでも埋めるためにはやはり直接意見を交換すること,これに尽きると思う。よって今後自分で 文化多様性における知識を深めていく中で日本人以外の学生や先生と意見交換する機会を増やし ていきたいと考える。これは日本にいながらにしても十分にできることであるから,具体的な今後 58 として,まず学内での留学生との交流イベント等に積極的に参加していきたい。 3.行動力 行動力に関して私が SAP で達成できたことはトラブルマネジメント能力の向上である。つまり 何か問題が発生した場合に自分もしくは周囲の助けを借りて冷静にかつ迅速に問題を解決へと導 く能力を伸ばすことができた。ある時,週末の休日に私のホームステイペアの友人と別行動をとっ ていたとき,ロサンゼルスに行った友人の帰りが渋滞により遅くなってしまっていた。またその時 不運にも彼のスマートフォンが故障してしまっていたため直接連絡を取ることができなかった。迎 えに来ていたホストファミリーは過剰に心配してしまい,またこれ以上待つことはできないと言わ れてしまったとき,UCR の友人にお願いをしての友人に連絡を取ってもらい,住所を教えて直接 ホームステイ先に送ってもらえるようなお願いをしたこと,そしてホームステイペアは渋滞により 遅れているだけで,ほかの日本学生や現地学生と一緒に行動しており心配は不要であることなどを わかりやすく伝えることができた。最終的にはペアがその直後に帰宅してホストファミリーの車で 家路に着くことができた。そしてホストファミリーに要らぬ心配やそれ以上の迷惑をかけることな く事態を解決できた。自分だけが状況を把握しており誤解の無いような状況説明をしなければいけ ない中で落ち着いて必要な情報をしっかり伝えることができた,という経験は大きな自信につなが っている。近くにいた UCR 学生にすぐに助けを得られる状況であったことと,事態がある程度差 し迫っていたことも一種,気持ちの面で後押しにはなったが,主体的に問題解決に向かって行くこ とができた。 今後の課題としてはトラブルの解決だけでなく,例えばあるディスカッションの場や,ワークシ ョップのような場面でも,率先して意見を出したり進行役に買って出たりと様々な場面で積極性を 示していくことだろうと考える。私はこのような周囲の人間をリードする能力が,とくに初めて会 う人たちの中ではなかなか発揮できない。日本人は初めて会った人たちと打ち解けるまでに時間が かかるものの,一度緊張がほぐれてしまえば自分の考えをしっかりとわかりやすく他者に伝えるこ とができると思う。このような日本人の典型駅なイメージの殻を破り,初めて顔を合わせた人たち の中でもむしろ皆の緊張を和らげ,建設的な話し合いを進められるような率先力を磨きたい。この ような能力の向上には実践が一番である。まずは学部内の授業や研究室内のゼミで自分から意見を 切り出すことを意識して行っていくつもりである。 1か月のカリフォルニア滞在で学んだこと 菊池 達也 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私がSAPを通して達成したことは、リスニング力の飛躍的な向 上です。UCRのプログラムでは、平日は朝から授業、放課後はUCRの学生と会話、ホームス テイ先ではホストファミリーと会話をするなど一日中英語に触れる機会があります。またサイト ビジットでは様々な種類の博物館、観光名所でガイドの方の話を聞くため、日常会話の英語だけ でなく、様々な種類の専門用語にも触れる機会があります。そこで初めて聞いた英語をメモして 意味を調べ発表することが宿題になっているので、わからなかった単語もしっかり復習できるよ うになっています。このように様々な形で英語と接する機会のあるこのUCRのプラグラムです が、一番の魅力は非常に親切で面倒見のいいUCRの学生だと思います。毎日授業が午後4時こ 59 ろに終わっても、UCRの学生と7時や8時まで話します。週に1回か2回は、UCRの学生と 夜の12時まで遊んでいることもありました。このように現地の学生と自然にかかわり友達にな ることで、英語に対する今までの”英語”という認識は消え、現地の学生と交流するためのツールだ と思うようになりました。このように自分の英語に対する認識が変わるころには、相手が何を言 ってるかわかるようになっていました。また、日本帰国3日前には現地の学生と映画を見に行っ たのですが、字幕なしでもある程度内容をつかむことができ、1か月の成果を実感できました。 しかし、スピーキング力に関してはあまり上がりませんでした。ホストファミリーやUCRの 友達と話すときも質問に対して単語や簡単な短い文で答えることしかできず、最後まであまりそ の状況は変わりませんでした。その理由は、相手とスムーズな会話をすることにこだわってしま ったからだと思います。今思えば、止まったりしても拙くてもいいから、初めのころから文で話 すように心がけていればリスニング力同様にスピーキング力も上がったと思います。結局、日本 と同様、相手のことを気にしすぎて失敗してしまいました。 この反省を生かして、しっかり英語が話せるようになるために日本でできることをやりたいと 思います。そのためには英作文の力も重要ではありますが、来年度からは国際交流系のサークル にも参加して、自身の英語力の向上とUCRの生徒にしてもらったように留学生の人との交流を していきたいと思います。自分がカリフォルニアで経験したことと同じくらい素晴らしいことを 経験してもらいたいです。 2. 異文化適応 異文化適応に関して私がSAPを通して感じたことは、やはりアメリカの生活は日本とはまる で違って、1か月でアメリカに順応することはできなかったなということです。 まず食生活についてですが、アメリカは食べる量が多いというのは聞いてたとおりありました が、それについては「I’m full」と言えばいいだけなので問題ありませんでした。それよりも私に は一つ1つの食べ物の味が濃いことがとても気になりました。コンビニで買ったアイスや毎朝で るマフィンは甘すぎるし、昼ごはんのサンドウィッチはしょっぱいしケチャップは辛いしとまだ 食べられるのに味が舌に合わなくて食べたくないということの方が多かったです。天気も毎日日 が照っていて個人的には日本の方が好きでした。 しかし一番アメリカに順応しきれなかったなと思うのは、英語を話すという点です。前述のと おり英語を聞く機会はたくさんあったこのUCRのプログラムですが、積極的にならなければ英 語は話さなくてもどうにかなるプログラムでもあると思います。UCRでできた友達の多くは、 日本語を専攻していたり、今までも日本人の留学生と接してきているため日本語も通じる人が多 かったです。また、ホームステイは日本人2人ずつだったので、家の中ではどうしてももう片方 の日本人と話してしまいがちでした。授業中も、英語が得意で積極的な人にはどうしても勝て ず、発言するときなども譲ってしまうことが多かったです。特にプログラムの後半あたりは身体 的な疲れも精神的な疲れもたまっていて、朝起きて英語話したくないなとか思っていました。や はり、1か月シャワーだけというのは疲れがとれないなと思いました。 それでも、音楽の話のときだけは積極的になって話せました。よくUCRの生徒の車でどこか に遊びに行くという機会はあったのですが、移動中に好きな音楽を流しながら音楽について話す のはとても楽しく、スムーズに英語も話せていたように感じます。 全体として、アメリカの生活に慣れることはできませんでしたが、決してアメリカより日本の 方が好きだということはなく、少なくとも人に関しては、アメリカの人の方が本当の意味で親切 だと感じました。日本人はみんな優しいけれど、私たちが会ったUCRの学生たちのように初め て会う人にあそこまで親切にできる人はいないと思います。積極的に話しかけてくれてすぐ友達 になれる、アメリカの人のそういった面を日本人は見習うべきだと思うし、なにより私がそうい 60 う人になりたいなと思いました。UCR内にたくさんの友達ができたという点では異文化に適応 することができたと思います。 3. 行動力 アメリカではかなりアクティブに行動できたと思います。まず筋トレやウォーキング、ランニ ングを毎日続けられたことは自分にとってはかなり凄いことです。日本ではあまりサークルにも 顔を出さず漫然と過ごしていたのですが、アメリカでは目標をもって毎日続けることができまし た。また、UCRの生徒を誘ってロサンゼルスのダウンタウンに買い物に行ったり、NBAの試 合を見に行ったり、日本語のクラスで知り合った現地の学生と映画を見に行ったりしました。ど れも実際に見に行くまでに毎日メールのやり取りなどをして大変だった面もありますが、それ以 上にどれも楽しく最高の思い出になりました。 中でも1番アクティブに行動したと思うのは、一人でロサンゼルスまで行きミュージカルを見 たことです。私は年末頃からミュージカルに興味をもち、特に「wicked」というミュージカルが 好きだったのですが、渡米前に調べてみるとちょうど滞在期間中にロサンゼルスで wicked が上演 されていることを知り、日本にいるときから見に行こうと思っていました。しかし日本のクレジ ットカードでアメリカで買うということでチケットの取り方が非常に複雑で一人で買うことがで きず、UCRの人に何人にも聞いて回りました。それでなんとかチケットは買えたのですが、ミ ュージカル上演の日はホストファミリーは用事があるらしく、一人でバスや電車などの公共交通 機関を使ってシアターまで行かなければいけませんでした。バスや地下鉄の乗り方は日本と違 い、またアメリカではインターネットも使えなかったので途中何度も困るときがありましたが、 そのたびに周りの人に話しかけてなんとかミュージカルシアターまで行けました。一人で歩くと ロサンゼルスの治安の悪さも多少感じましたが、それと同時に日本同様優しい人もいることを実 感しました。ミュージカル自体は事前に歌の歌詞などは全て覚えていたので非常に楽しめました し、演出は期待以上のものでした。シアターの立派さ、広さには感動しました。帰りには急に電 車が1時間以上線路上で止まってしまうというアクシデントが起きるなど、ひやひやしっぱなし の1日ではありましたが、終わってみれば旅行客とみられないようアメリカ人らしく堂々と歩く など、アメリカ滞在1か月の中で 少し変わった1日で刺激的でした。 この1日の経験を通して、一人でもいろいろなことができるという自信がつくとともに、たく さんの人の手助けのおかげで達成できたことに感謝しています。日本では今度は困っている人を 助ける側の立場になりたいと思います。 カリフォルニアで学ぶ多文化・多民族社会(UCR) 宮 瞭 1. 自己の言語運用力 私が自己の言語運用力に関して SAP で達成できたと思うことは英語を「話す」ということだ。 今回の短期留学は私にとって初めて日本を離れた経験であり、日本でも英会話教室などに通ってい たわけではない。つまり中学校、高校、大学の英語の授業でしか英語に触れることはなかったため、 英語を話すことも聞き取ることもとても難しかったし、そのこと自体は SAP 前も後も大きくは変 わらない。しかしできないからと言って何もしないままでは状況は改善しないと思い、自らホスト 61 ファミリーや UCR の生徒に話しかけ、また授業中などでも積極的に発言するようにした。最初の ころは自分が言いたいことを英語で伝えようと思っても言葉がでてこなかったが、少しずつではあ るがジェスチャーなどを交えて自分の考えを相手に伝えることができるようになった。もちろんこ の一か月で英語を話せるようになった、聞き取れるようになったというようには思わない。だが SAP 前と後で比較したら明らかに英語を話すことに対する抵抗はなくなったと思うし、話せるか 話せないかを考えるのではなくとりあえず話してみるという考えに変わったことは非常に良かっ たと思う。 この経験をふまえて、今後私が改善していきたい問題は英語力である。確かにこの一か月で英語 を話すようにはなったのだが、英語を話せるというレベルには程遠く、根本的な英語力もまだまだ 未熟である。実際 SAP では学校には周りにたくさんの日本人がいて、ホームステイ先でも日本人 が自分ともう一人いるためいくらでも日本語を使い、困った時に他人の協力を求めることができ精 神的にも負担が少なかったが、一人で留学して日本語が一切使えない状況を考えたらおそらく今の ままでは私はうまく生活できないだろう。私自身漠然とではあるが、大学院に入学後半年から一年 ほどの留学を考えているため、できる限りは学部生であるうちから英語力を伸ばしたい。ではその ために今何ができるかというと、 まず TOEFL や TOEIC は学内でも試験を受けることができるし、 自分の基本的な英語力を量る指標としては分かりやすい。またこれらの試験で高得点を取ることは 一つの資格としても扱えるため、すぐにでも実践したい。そして英語を話せるようになるにはやは り実際に英語を話すしかないと思うので、例えば外国人と触れ合えるサークルやイベントに参加す ることや夏休みなどの長期休暇を利用して実際に海外に行くことが考えられる。先日留学経験のあ る知人に話を聞いたところ、二週間や三週間だけでも近くの国々に行って他国の文化を楽しみなが ら英語の勉強をしたということだ。時間や金銭の問題で長期間行けないとしても日本国内で英語の 勉強をするよりも有意義であると考えるし、私も実際に行ってみたいとも思う。これからどこまで 改善できるか分からないが、次に留学したときにもっと勉強していればと後悔が残らないように努 力したい。 2. 異文化適応 異文化適応に関して私が SAP で学び、達成できたと思うことは文化の違いを認め、その違いを 楽しむということである。例えば食文化は日本とアメリカでは大きく違い、そのこと自体は出発前 から分かっていたがやはり最初のころは慣れないし、日本のものを食べたいと感じていた。だがア メリカ料理やメキシコ料理、韓国料理など今まであまり食べたことのないような食事をとることを 少しずつ楽しいと感じることができるようになった。もちろんすべてのものを美味しい、また食べ たいというように感じたわけではないが、だからといってやはり日本食がいいなどのように考える ことはなく、このような食事もあるというようにその違いを認めるができた。また個人の性格の面 でも文化の違いが表れていたと感じる。個人個人で多少の差があるとはいえ、やはりアメリカ人は 日本人に比べ積極的にコミュニケーションを取るし言いたいことをはっきりと言う。しかし日本人 はアメリカ人に比べて人の気持ちを考え、時に自分よりも他人を優先して行動できる。これらの性 格はほんの一例でしかないが私がこの一か月で感じた大きな違いである。だがこのことも同様に、 どちらが良い、悪いということではないのだ。というのも人や文化によっては内気であること、傲 慢であることを良しとすることもあるし、価値観は人それぞれ異なるからだ。それを批判せず受け 入れることは、私自身そういった違いを見て自分の改善すべき性格等を発見することができたし、 非常に有意義なことだと思う。 ここで今回の経験を通して私が感じた課題はもっと日本について知らなければならないという ことだ。他国の文化を知る過程で私は自国、つまり日本について何も知らないのではないかと感じ たし、実際あまり知らないのだろう。もし日本の文化の現状や背景をもっと詳しく知っていたら、 62 他国の文化をさらに深く理解できたのではないかと思う。しかし日本の文化を理解することに遅す ぎるということはないと思うし、むしろ今回の SAP でこのことに気づけたことは幸運だったと言 える。なぜなら日常生活における衣服や食事、建造物などその全てに文化ごとに違いがあり、そし てそういった違いがある理由や背景があることで、これから常にすべての物事に興味をもてると思 うからだ。また今回の海外経験を通して再びアメリカに行きたい、他の国にも行ってみたいと思う と同時に、もっと日本の様々な場所に行きたいと思った。よく考えると日本国内で私が行ったこと のある場所と言ったら数少ないし、日本国内でも様々な文化を体験できるのでないかと考える。こ のようにして自分の文化を知ることで他の文化について学び、また他の文化を学ぶことで自分の文 化を知っていきたい。 3. 行動力 行動力に関して私が SAP で学び、達成できたと思うことは意見を言うこと、つまり自ら行動す ることである。具体的な例を二つほど挙げようと思う。一つ目は授業中に感じたことであるが、UCR での授業は基本的に先生が出した問題やテーマに対して生徒がいくつかのグループに分かれてそ のお題を調査し、グループでまとめて授業の最後にプレゼンの形で発表するものであった。この授 業の形式自体私は日本でほとんど経験したことがなかったので最初のころは少し戸惑っていたが、 慣れていくうちに気づいたことはプレゼンの制作過程でグループの個人個人が自分の意見を言う ことがとても重要であることだ。なぜなら一つのグループは 3 人か4人のため情報量自体とても少 なく、さらにここで意見を言うことを躊躇する人がいると一人か二人の意見をグループ全体で発表 するというあまり意味のないプレゼンになるからだ。だがグループのメンバー全員が自分の意見を 言い、相手の意見に質問したり意見したりすることで、グループのプレゼンはよりよいものへと変 わっていく。二つ目はホームステイ先で体験したことであるが、私のホストマザーは非常に料理が 得意で毎日たくさんの手作りのおいしい料理を提供してくれた。しかし一つ問題があり、それはそ の家でホームステイしていた私と私の友達はそこまで食べる量が多いわけではなく、それでも作っ てもらった料理を残すことを失礼に感じて無理やりにでも食べ、初めの数日間は毎日食べ過ぎでお 腹の調子がよくなかったことである。また放課後早めに帰った日や予定のない日など、ホストファ ミリーは私たちが新たな経験をできるように様々な場所へ連れて行ってくれようとしたが、慣れな い生活やハードな日程のために少しゆっくり休みたかったり、宿題のために時間がほしかったりす ることもあった。これらの状況を改善するには自ら何に困っていてどのようにしたいか言うしかな いのだ。しかしホストマザーは自分たちのことを考えて親切にしてくれていることを思うと非常に 言いにくいことではあったが、はっきりと言うことで状況は改善した。決してホストマザーは嫌な 顔をしなかったし、もしはっきりと伝えなければ私たちはここまで満足した生活を送れなかっただ ろう。以上の二つの例は一か月の生活の様々な体験のほんの一部であるが、それでも自ら意見を言 うことの重要性が分かると思う。 この経験をふまえて、今後は日本でも自分から行動できる人間になりたいと思う。というのも、 「アメリカ」という国は自由な国であり自分で行動することが非常に重要だし、自ら行動せざるを 得ない場面も多く、また私が UCR で関わった多くの人はすぐに行動できる人であった。この点に おいては日本、また日本人とは全く違っていたと思う。基本的に日本人は受動的な人が多いと言わ れ、具体的にどのような場面で自分を受動的と感じるか聞かれてもすぐには答えられないが、私自 身どちらかと言えば受動的であると考えるし、日本という場所で暮らしている限り自分で意識して 変わろうと思わなければこのことは変わらないと思う。だがこの一か月で学んだこと、経験したこ とは私に大きな影響を与えたことは疑いようもなく、言葉がうまく伝わらないアメリカでもできた のだから、自分の言いたいことを自分の言葉に表して伝えられる日本なら自ら行動できる、変わっ ていけるという自信もある。もちろんそれがどのような場面で有効なのか今現在は分からないが、 63 広い視野でみれば大学のみならず社会に出てからも自ら行動できる人材になることは重要であり、 その能力は必ずや自分自身に自信を与え、力となり支えてくれると思う。だから今回学んだ「自ら 行動する」ということを常に忘れることなく生活していきたい。 6班 異文化のなかで、自分を見つめる 梶谷 梨帆 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して私が SAP を通して学んだことは、日常生活における英会話の難しさ と、発話することへの恐怖心の払拭です。日常で交わされる英会話は、読み書きの英語とは全く異 なるように感じました。簡単な語彙や表現でも、いざ話そうとすると全く使うことができない、と いう場面にたくさん遭遇しました。聞けば知っているはずなのに、とっさに言葉にできないもどか しさ。英語論文を読んだりすることができても、実際に自分の口から当意即妙に発話できなければ 会話は成立しません。知っている単語でうまい言い換えはないものか、この表現はどのように言う のだろうか…辞書を片手に四苦八苦。口どもったり、考え込んだり。稚拙な発音のせいで、何度も 言い直しを求められることもありました。また、せっかく相手の方が冗談をいって楽しませようと してくれているのに、うまくくみ取ることができず、がっかりさせてしまったことも。一緒に楽し むことが会話の醍醐味だと思っている私にとって、感情をうまく伝えられないこと、正しく受け取 ってあげられないことはとてつもなく苦々しい経験でした。少しでも英語で密接なコミュニケーシ ョンをとりたいと日々考えていると、 「正しさ」よりも「よく聞き、よく話すこと」のほうが大事だ ということにだんだんと気付いてきました。確かに、第一の目標として掲げていることは、正しく 流暢な英語を話せるようになることです。しかし、最初から 100%のものを求めて発話のチャンス を逃すよりも、荒削りな英語でどんどん話して場数を踏んでゆくほうが実はこの目標への近道だっ たりします。この機会が、SAP の間に私に与えられた学びの機会であり、今までためらいがちだっ た英会話への足かせを外してくれる契機となりました。 この経験をふまえて今後取り組みたいと考えていることは、文法、イディオム、語彙、読み書き ともに基礎的な英語の知識を増やすことはもちろん、この知識をどんどんアウトプットしていくこ とです。具体的には、英会話や英作文、スピーチ、プレゼンテーションなどが挙げられます。そし 64 てとりわけ、コミュニケーションツールとしての英会話に力を入れていきたいと考えています。今 回のプログラムでは、インプットしっぱなしだった自分の英語をアウトプットすることに重点が置 かれたように思いました。これによって自分が分からなかったことや知ってはいても使えなかった ことがあぶりだされました。実際に使ってみないと自分が正しい理解をしているのかどうか確認で きません。そういった意味でも、アウトプットは英語運用力に重要な役割を果たします。プログラ ム中は必然的に毎日英語を耳にし、話すことが求められていましたが、帰国後は意識して場を作ら ないとそのような機会はなかなかありません。自分で探していかなければならないのです。よって 今後も自己の言語運用力の強化を継続してゆくため、主体的に英語をアウトプットする場に踏み込 んでいこうと思います。そして、そこで分かった自分の英語能力の不足点を振り返ることで、言語 学習を深めていきたいです。 2. 異文化適応 異文化適応に関して私が SAP を通して達成したことは、自分の既存の知識や常識が正しいとは 限らないということに気付けたことと、自分と異なる考えやバックグラウンドを持つ人の話にも深 く興味をもって耳を傾けられるようになったことです。まず、自己の常識が当たり前ではないとい うことですが、これはアメリカで生活している中で常に感じていました。卑近な例を挙げると、信 号機の違いや右側通行といった交通マナー、婉曲表現をして物事を伝えることがむしろ相手にとっ て失礼にあたること、靴のまま家の中にあがることなどです。 「郷に入りては郷に従え」ということ わざにもある通り、その土地で生活をするならばたとえそれが自分の道徳観念とは異なったとして も、そこでのルールを知り、守らなければなりません。最初はとても窮屈さや違和感を抱いていま したが、次第にそれが自分のなかでの「当たり前」となってゆく感覚は、一所だけで生活していて はなかなか体験できないもののように思いました。日本国内でも、住むところによって勝手が違う こともありますが、外国ではなおさらそのギャップが激しいので、環境に適応する力を養う良い機 会だったと思います。自分とは異なる考え方を持つ人との交流で特に印象深かったのは、宗教に関 するものと、食文化に関するものです。私のホストファミリーたちはクリスチャンだったこともあ り、キリスト教を通じたものの見方や習慣を間近で知ることができました。私の家では毎週決まっ た曜日に教会に通っていましたが、その日のホストファミリーは身だしなみや集合時間にいつも以 上に気を使っていて、いかにこの習慣が大切なのかが分かりました。アメリカでは、フォーマルと インフォーマルの「差」が日本よりも頻繁に、そして大きくつけられているように感じました。同 じ一神教であるイスラム教徒は、絶対に間違いをしない神の教えを誤って解釈している、との意見 も聞き、普段はあまり深く考えない宗教の話がとても新鮮に私の中をかけていきました。同時に、 もっとキリスト教の教えを理解できたならば、クリスチャンの人びとの価値観もより深く理解でき るようになるのではないかと感じ、より興味関心の領域が広がりました。私は勝手に、アメリカ人 は合理的で非科学的な物はあまり信用していないのだろうな、という先入観を持っていましたが、 実際に当事者の人たちの話を聞いてみると内実は違うこともあり、大変勉強になりました。また、 以前バロットという有精卵を食べる習慣を知ったときに、どうしてこんな気持ち悪いものを食べ物、 ましてやおいしいものだと思えるのだろうかと思っていました。しかし今回、現地のフィリピン系 アメリカ人の友人がこれを好んで食べているという話を聞くと、いくらかバロットへの嫌悪感が薄 まり、機会があれば挑戦してみようと考えられるようになりました。不思議なことです。よりたく さんの人の話に耳を傾けてみると、今までよりも心が寛容に、世界が怖いものから面白いものにな っていくような気がします。ここには書ききれませんが、SAP を通じてアメリカで経験したことは すべて、そこにつながっているように思っています。 この経験をふまえて今後は、今まで自分が興味関心を持っていたこと以外にも目を向け、また、 様々な人たちとこれまで以上に話してみようと考えています。普段の生活では、無意識に自分と似 65 たような趣味や興味を持つ人たちばかりと関わりがちになってしまうと思います。確かにそれは、 話が深いところまでできて盛り上がったり、自分の感覚で相手に接することができるのでとても居 心地が良いです。しかし、自分の価値観や習慣と異なる人とも仲良くなることも、日々新しい発見 ができると共に、とても楽しい時間になるのではないでしょうか。この SAP ではそれをとても強 く感じました。なので今後は自分の興味関心の枠にはまることなく視野を広げ、様々な人と交流を 持ちたいと思います。 3. 行動力 行動力に関して私が SAP を通して達成したことは、多少分からないこと、不安なことがあって もとりあえず挑戦してみようと思えるようになったことです。現地や空港では日本と勝手が違うこ とがたくさんあったり、英語での説明がうまく理解できないことがありました。そんな時、分から ないからやらないのではなく、とりあえず思ったようにやってみると、案外なんとかできたりしま した。ときには間違えてしまうこともありましたが、失敗することで学べることがたくさんありま した。また、待っているだけでは会話の機会を得ることや欲しいものを買うことすら難しく、自分 の意志をしっかり示してゆかないと、だれにも見向きされません。しかし、ちょっとの勇気をだし て主体的に動いてみると、世の中そんなに冷たくないなと感じることができます。アメリカという 土地柄も、ためらいなく行動するために最適な場所だったと思います。UCR 近隣の高校見学に行 った時のことを例に挙げてみると、そこの学生たちは私よりも年下なのにも関わらず、何かと自分 の意見を持っていて、話すことができていました。先生に指名された場合も、正誤に関わらず大き な声で発表をする姿に、気後れしながらも刺激をうけ、自分も話してみようと思うことができまし た。もっとも、自由な校風からか発言の場以外でもおしゃべりをする姿も見受けられましたが、常 に主体的に自分の意見を発信してゆくことの大切さに気付かされました。少しの勇気さえあれば得 られるものが格段に増えるということを改めて体験し、考えているだけでなかなか行動に移せない ことがもったいなく感じました。 この経験をふまえて今後は、やりたくても自分の能力不足や体裁を気にして挑戦できなかったこ とに飛び込んでみようと思います。これはどんなことにも当てはまると思いますし、繰り返しにな るかと思いますが「とにかくやってみる」ことが成長への第一歩だからです。次年度からは 3 年生 ということもあり、自分の将来についての決定が迫ってきます。もっとも、民間企業への就活を視 野にいれて活動をするのか、公務員試験合格に向けて勉強を始めるのかの選択と、卒業論文までつ ながる自分の専門分野のフィールドワーク先決定の 2 点はこの春までにしなければなりません。残 された時間をどのように使えば最良の選択ができるのでしょうか。そのためにはじっくり考えすぎ てアイディアを煮詰めてしまう前に、その道を選ぶ場合の判断材料となるものをどんどん集めに走 ってみることが重要だと思っています。これは主体的に行動する力が試されますが、ためらわずに それができれば成長できるということを、SAP を通じて学んだので、臆せず踏み出していこうと思 います。 私が SAP を通して達成したことと今後の目標 松川 陽介 1. 自己の言語運用能力 自己の言語運用能力に関して、私が SAP を通して達成したことは、英語により親しみ、より流 66 暢に話せるように努めたことです。具体的には以下の 2 つです。 第一に、ホストファミリーや UCR の学生、インストラクターの人に積極的に話しかけたことで す。実際に、英語で会話することから得られるものは非常に大きかったです。実際の会話では、即 効性が求められました。自分が何をしているか、何をしたいかを瞬時に答えなければならないので す。これは、たとえば大学の試験で行われるライティングとは大きく異なります。そのため、考え る時間をできるだけ短く、できればノータイムで答えられるように努力しました。そのためには相 手の質問を的確に捉える必要があり、常に相手が放つ言葉に神経をとがらせていました。よって、 自然とリスニングの練習にもなっていました。実際の会話には、英文の本を読んだり、英文でメー ルを交換したりするだけでは得られないものがありました。 第二に、UCR の授業で行ったプレゼンテーションの内容を暗記したことです。約 3 分間の英語 の文章を覚えることは、普段使わないような単語もあり、難しかったのですが、良い練習になると 思い、熱心に励みました。練習中に英文を忘れてしまったときも、原稿を見るのではなく、キーワ ードから英文を新たに構築するようにしました。そうすることで、本番中に英文を忘れてしまった ときでも、少しは対応できるようになると思ったからです。また、英文をとっさに考える訓練にも なります。また、プレゼンテーションにおける話し方にも気を配るようになりました。以前までは、 プレゼンテーションは内容がもっとも重要であると考え、話し方を意識したことはあまりありませ んでした。しかし、実際に先生の話を聞き、いくつかのプレゼンテーションを聞く中で、聴衆に明 確に伝わる話し方、聴衆の関心を集める話し方はあり、それこそがプレゼンテーションの善し悪し を決定づけると確信しました。これは、日本語で行うプレゼンテーションのときも同様です。 この経験をふまえて、今後はさらに英語の運用能力の向上を図りたいと思います。今回の研修の 中で、UCR からの課題として、その日を振り返って記述する、日記のようなものがありました。そ こでは、自分がその日にしたことを英語で考えられるので、次の日の話題を英語で作る良い機会に なりました。英文を作ることで、文法や単語を確認できるので、今後も継続して英語で日記をつけ たいです。また、英語で話す能力を向上させるために、東北大学に留学している学生と積極的に話 そうと思いました。彼らと交流する機会は年に数回から十数回はあるので、是非ともその会合に参 加したいです。 2. 異文化適応 異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、他国の文化を理解し、日本の文化を 見直すことです。 研修当初は、日本との文化や生活スタイルの違いに戸惑うことがいくつかありました。 食事の面では、野菜がほとんど食卓にならばないことに驚きました。日本の食事では、調理の 際に野菜を使用することもあり、ほぼ毎日野菜を食べますが、アメリカでの生活では、夕食です ら野菜を食べない日も多かったです。そのかわり、ホームステイの家には、リンゴやバナナなど の果物が常備されていて、ホストファミリーは果物から食物繊維をとるという考え方でした。同 様に、栄養を補給するためのサプリメントが常備されていました。アメリカのいくつかの店で は、サプリメントが大量に陳列されており、アメリカの文化では、サプリメントから足りない栄 養素を補給することは一般的なのだと感じました。日本では、一般に、栄養が偏らないように食 事の献立に気を配ることが優先されるので、これは大きな違いです。また、ひとつひとつの料理 が非常に大きかったことにも驚きました。一人前を一人で食べきれないこともありました。そこ で、アメリカでは、食事の際は、好きなものを好きなだけ食べるという考えが主流なのだろうと 思いました。日本の多くの人は、体型や健康を考えて食事をするので、このように自らの嗜好の みにしたがって食事をするのは、私にとっては面白い差異です。 また、私のホストファミリーは惣菜のテイクアウトをよく利用する家庭でした。私がホームス 67 テイの家で夕食を食べるときは、ほとんどがテイクアウトによるものでした。ホストファミリー によると、多くのアメリカ人が頻繁にテイクアウトを利用するそうです。私の実家では、テイク アウトを利用することは年に数回しかありませんし、多くの日本の家庭がそうです。アメリカで は、テイクアウトの文化が根付いていて、そのため、テイクアウトが可能な飲食店が数多くあり ました。全日程のうち、10 日ほどはテイクアウトによる夕食でしたが、同じ店のテイクアウトを 食べることは、一日としてありませんでした。 アメリカでの食事は、量が多く、油を多量に使用しているものが多かったのですが、そこには 多様性があり、様々な味を体感することができました。 次に、アメリカの人々は、知らない人にも話しかけるので、それが非常に面白かったです。 ホストマザーの検診のために、一緒に病院に行ったことがあるのですが、ホストマザーは待合 室で知らない人に話しかけていました。会話の内容は、いたって普通な世間話でしたが、日本で はほぼありえないことなので、私にとっては大変衝撃的でした。私も話に混ぜてもらい、そこで は、相手の方に質問をたくさんされ、なんとかそれに答えていました。お互いに名前も分かりま せんでしたが、そこにいた短時間だけでもつながりが持てたのは大変喜ばしいことでした。 また、アメリカでは、道を譲って他人を先に通してあげたり、扉を押さえてあげたりすると、 必ず、「Thank you」 「You’re welcome」という会話が生まれます。日本では、会釈をする程度 で、言葉に出すことは少ないと思います。 これらの文化はとても魅力的だと思います。アメリカでは、他人に話しかけることは良いこと だと捉えられています。むしろ、相手に質問しないことや、淡白に返答することは無礼であると 考えられています。日本では、他人に干渉することはあまり良いことではないので、そのように 他人に話しかけることは、ほとんどありません。 アメリカの多文化社会が生まれるまでの経緯を、課外活動や授業で学んできましたが、私が知 らないことがたくさんありました。人種や宗教の違う人々が共存できる社会が、どのようにして 構築されていったのかを学ぶことができました。そこには、常に問題があり、苦しめられる人が いました。これらの歴史を知らなければ、近年の日本や世界が抱えている、さまざまな問題は解 決できません。 しかし、日系アメリカ人や第二次世界大戦のはなしなど、日本人として知ってくべきこともほ とんど知らなかったので、非常に悔しい思いをしました。 この経験をふまえて、今後は日本や諸外国の文化や歴史を勉強しようと思いました。具体的に は、それらに関連する本を読むことです。自国の文化については、自分が普段生活している中で は気づかないこともたくさんあるので、他人が書いた本を読むことで、異なる視点から自分の生 活を見直すことができます。これは大変重要なことです。自分が当たり前だと思っていること が、相手にとっても当たり前とは限りません。それらの認識の齟齬が様々ないさかいを生むので す。日本や諸外国の文化を学ぶ際には、日本と他国を比較、対照させながら、相違点や共通点を 見つける所存です。 歴史についてですが、私は日本の歴史ですら、詳しく分かっていません。しかし、今回の研修 で、日本の歴史、世界の歴史に大変興味を引きつけられました。人の言動や行動が、周りの人の 心を動かし、大衆を巻き込んで、何か大きな出来事を起こす様子に魅了されました。現在の世界 がどのようにして形成されたのか、当時の人々はどのような思いで行動に移ったのか、私はこれ から、まず、日本の歴史について勉強しようと思います。 3. 行動力 行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、自ら積極的に、インストラクターや UCR の学生など、現地の人に話しかけることです。 68 研修当初は、私の英語が正しく伝わるか不安で、他人と話すことに消極的になっていました。 しかし、同じプログラムの東北大学の学生が、一生懸命に自分が分からないことを相手に聞いて いる姿を見て、私も行動を起こさなければならないと感じました。どんなに下手な英語でも、練 習しなければ、それ以上の上達はありえないからです。 それからは、課外研修のときは、できるだけインストラクターの近くで話を聞き、分からない ことがあれば質問するようにしました。また、UCR の学生にも、相手が普段していることや近況 について質問しました。反対に、自分が質問されて、それに返答するときは大変苦労しました。 リスニングよりもスピーキングのほうが、自分で文法や単語を探さなければならない分、考える ことが多いからです。話し始める前に、自分が言いたいことを明確にして、ある程度文を決めて から話すように心がけましたが、うまくいかないことが多く、試行錯誤の連続でした。それで も、現地の方々は優しく、私の言いたいことを読みとるよう、努めてくださいました。 また、UCR の学生が企画している催し物にも積極的に参加するようにしました。1 ヶ月という 短期間だったので、できることは全て行動に移すようにしました。それらの催し物では、初対面 の学生ともたくさん出会うのですが、私にとってそれはとても良い刺激になりました。新しい人 との出会いにはいつも心が躍ります。特に、現地の学生は愉快な人が多く、すぐに打ち解け、楽 しく話すことができました。それぞれの学生が、自分のことをより知ってもらおうとし、相手の ことを楽しませようとしていました。初対面の人を相手に、冗談を交えながら会話をするのは高 い技術を要します。加えて、サービス精神がなければできません。 この経験をふまえて、今後はより自分のことをアピールできる人になりたいと思いました。自 分の意見を主張することは難しいことです。ときどき私は自分の中に意見があっても、それを隠 してしまうことがあります。自分の意見が正しい保証なんて無いからです。特に、相手の意見に 異議を唱えることに抵抗を感じていました。しかし、自分の意見を他者に伝えることは、コミュ ニケーションの基本であると、今回の研修を通して再確認しました。アメリカの人々は、自分の 意見が世間的に正しいか否かを気にするよりも、まず、自分の意見を発信しようという意識があ るように感じられました。これからは私も、彼らのように積極的に自分の意見を言い、疑問点が あれば問いただすようにしたいです。 SAP を通して学んだこと 宍戸 悠華 1.自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、英語の語彙力の獲得とリスニ ング力の向上です。まずは英語の語彙力の獲得について。この 1 ヶ月英語で会話をしたり英語の 授業を受けたりする中で分からない単語に数多く出会いました。日本にいる時は分からない単語 に出会ってもそのままにしてしまうことが多かったのですがカリフォルニアに滞在している間は 辞書で調べて直ぐに会話の中で使うように心がけていました。その結果、多くの単語を新たに覚 えることができたように感じています。次にリスニング力の向上についてです。この 1 ヶ月間は 今までで一番多く英語を聞きました。特にホームステイ先の家では家族間、ネイティブ同士の早 い英語の会話を聞く機会も多かったです。特に始めは全く聞き取れないことばかりで何度も聞き 返してやっと分かることが多かったのですが最後の方は何とか聞き取れる事も増えました。また 自分の考えてることを英語で伝えることがとても難しいと実感し勉強になりました。伝えようと することで相手も話を返してくれたりもし、積極的に話していくことがリスニング力の向上にも 69 繋がると感じました。 この経験をふまえて、今後は TOEFL 対策などで英語を聞き続ける習慣を維持したり分からない 単語をそのままにしないようにすることで英語力の向上を目指していきたいと考えています。具 体的には TOEFL で点数 30 点上昇を目標に勉強を継続していきたいと思います。この 1 ヶ月間程 は英語を聞く事は出来ないと思いますが、隙間の時間などを利用して積極的に英語を聞く機会や 時間を増やしていくように心がけていきたいと思います。また、下手でも喋ることは出来るよう になったと思うので英語を喋る機会がある時は積極的に話していきたいです。そして TOEFL の 点数による英語の単位取得を目指したいと考えています。目標を設定し、達成することで自信を 獲得しさらに高い目標を目指していくことでさらに成長していきたいです。 2.自己の異文化適応 自己の異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、他の文化圏の食事について実 際に体験し学んだことと、プログラム中の様々な授業を通して異文化について学んだことです。 まずは食事について。私はこの 1 ヶ月、ホームステイ先の家族に今まで食べたことのない様々な 食事を食べさせてもらいました。さらに、その食事について家族と会話することでその食事につ いても色々学ぶことができました。カリフォルニアならではの食事、ホームステイ先の家族の出 身地であるフィリピンならではの食事などなど様々な国や地域の食事を食べることができまし た。写真や画像で見るのとは異なり、実際に食べてみることで感じるものも多かった様に感じま した。さらにホームステイ先の家族はその食事についての話もしてくれました。食べながらもそ れについて学ぶことができました。様々な経験をさせてくれたホストファミリーには感謝しかあ りません。次にプログラム中の様々な授業についてです。クラスではクイズやグループごとのプ レゼンテーションなどを通して他の国について、スモールトークについて、カルチャーショック についてなど様々なことを学びました。ただ聞くだけの受動的な授業はほとんどなく、能動的な 授業が多かったので楽しく身につくように学ぶことができたと思います。クラスで異文化につい て知り学ぶことで異文化に適応しやすくなっていたと感じています。サイトビジットではカリフ ォルニアの文化を体験できる場所を多く訪れ、ガイドさんやその場所の職員さんから話を聞くこ とでその場所についての理解が深まったように思います。これらに加えてダンスや映画を見るこ となども通して異文化について学びました。このプログラムでは様々な方向から異文化について 学ぶ機会があったように思います。 この経験をふまえて、今後は積極的に異文化について学んだり物事を様々な方向から見るように していきたいと考えています。まずは積極的に異文化について学ぶことについて。今回のプログ ラムを通して異文化について学ぶことの楽しさを知ることができました。さらに、異文化の学び 方のいくつかも知ることが出来ました。この経験を生かしてこれからは異文化を積極的に体験し たり知ったりすることで学んでいきたいと思いました。また、異文化について学んだことによっ て同じものについてでも違った見方もできるようになったように感じました。たくさんの新しい 出会いの中で視野が前よりも少しは広がったように思っています。すばらしい出会いの機会を与 えてくれたこのプログラムにとても感謝しています。しかし、異文化適応について学んだ一方で 自己の文化のすばらしさも改めて知ることができたようにも感じています。異文化を知るために 自己の文化について学ぶ機会も多かったので自己の文化について今まで知らなかったことについ ても知ることができました。 3.自己の行動力 自己の行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、自分で計画を立てて実行する力の 向上と予定のない時間を有効に活用する力の向上です。まずは自分で計画を立てて実行する力に 70 ついて。今回のプログラムでは参加者全員で行動する時間もありましたがその一方で自由な時間 も多くありました。自分で行きたい場所やりたいことなどから計画を立て、UCR の学生やホスト ファミリーに頼むことで実行してみる機会も多かったと思います。計画を立てて実行してみるこ とでこれらの力が向上したと思いました。次に予定のない時間を有効に活用する力の向上につい てです。クラスやサイトビジットが終わって帰宅した後は自由な時間がある日も多かったです。 その時間に UCR の学生と約束をして外出したりホストファミリーと会話を楽しんだりしていまし た。プログラムの後半で慣れてくるとこの日は何をしてということを自分で決めて伝えて実行す ることが多かったです。自由な時間から何ができるか、何をしたいかを考える訓練を多く積むこ とができたと感じています。 この経験をふまえて、今後は隙間や長期休暇などの空いた時間を有効に活用できるようにしてい きたいと考えています。これから学年が上がるにつれて忙しくなっていきます。なので空いた時 間を有効に活用していくことが重要になっていくと感じています。この時間を有効に活用する力 がこのプログラムを通して少しは磨かれたと思うのでこれで終わることなく磨き続けていきたい です。これは心がけで変わることだと思うので忘れないようにします。具体的には直近でこのプ ログラム中と同じように休日など予定が無い時を有効に使っていくことです。新学年になり、勉 強や部活動、アルバイトなど今までよりもやらなければならないことが増えています。そこでで きること、やりたいことを明確にし、それを実行していけるように、さらに積極的に参加してい けるように努めていきたいです。 4.まとめ このプログラムでは上記の 1〜3 が向上したのはもちろんですが、その他にも得るものがたくさ んありました。多くの良い出会いです。東北大学の学生でさえも知り合いがほとんどいない状態 から始まりました。しかし終わってみると全員と話せるようになり交友が広がったと思います。 私が所属している医学部では医学部の他の学部の人と関わる機会がほとんどありません。その意 味でも色々な学部の人と出会えたことでとても良い機会だったと感じています。短期留学中だけ で終わらずこれからも付き合っていけたらいいなと思っています。UCR の学生達も下手な英語の 会話に付き合ってくれたり一緒に色々な所へ行ったりととてもお世話になりました。今でもメー ルを交換して英語の学習を助けてくれる友人もできました。メールの中でも様々な表現を使って くれるので勉強になります。また、返信時にはその時に使う単語について調べてから使うことも 多いため単語だけでなく語法についても学ぶことができています。今後も継続していくことで英 語能力の維持と向上をしていきたいです。会話については留学生と話す機会はほとんど無くなっ てしまったので、東北大学のグローバルカフェなどの制度を利用していくことで自分で機会を作 っていくよう努めていしたいです。また、日本ではできない様々な経験を得ることができまし た。ホームステイ、食生活などがそうです。 色々な経験、出会いを得させてくれたプログラム、友人に感謝しています。このプログラムで得 ることのできたものを得ただけにせず、生かしていけるように努力していきたいです。また、向 上したと感じる能力もまだまだな部分が多いと感じているのでこれからの日本での生活で伸ばし ていきたいと考えています。実行していけるように頑張ります。 カリフォルニアでの一ヵ月間で経験したこと 楠木 71 啓介 1. 自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して達成したことは、恥ずかしがらずに自分の意見をどうにかして伝え ようとすることである。このプログラムに参加する前まで、私は自分の英語が通じるのか不安で 仕方がなかった。しかし、このプログラムが始まってからは「自分が殻に閉じこもってはいけな い」「せっかく来たのだから積極的に話さなければもったいない」と考えた。なので、私はシャイ にならずにどんどん積極的にコミュニケーションを取っていこうと思った。自分が言語運用力に 関して、一番向上するのに役に立ったと考えるのは日常生活での会話である。その中の1つは UCR の学生との交流だ。私たちと彼等はほぼ毎日交流をしていた。始めて会ったときは名前を聞いた り、それぞれの専攻は何なのかを話したりすることで終わってしまった。しかし、それから毎日 会うたびに様々な話題で話せるようになっていった。彼らは休日にも自分たちの車で私たちを LA まで連れて行ってくれたり、放課後には一緒にスポーツをしたり、ボーリングやカラオケに誘っ てくれたりした。また、Universal Studios Hollywood や Six Flags Magic Mountain にも来てく れた。私がとっさに言いたい単語が出てこない時もたくさんあった。けれども、UCR の学生たちは どうにかして私の言いたいことを理解するように努めてくれた。そのおかげで、私は何としてで も「彼らに言いたいことを伝えなければいけない」という意欲が湧いて出た。2つ目はホストフ ァミリーとの生活である。私のホストファミリーは黒人の夫婦でとても大らかな人たちだった。 また、一緒にホストシスターも住んでいた。食事のときはたまにしか一緒に食べなかったので、 私たちが会話をすることが出来たのは、主に学校の送り迎えをしてくれるときであった。初めの ころはホストファミリーが「今日の学校はどうだったの?」などと質問をしてくれたので、私た ちはそれに答えるだけという感じになってしまっていた。内心私は「このままではいけない」と 考えていた。なので「徐々に自分から話さないといけない」と思った。自分から今日の出来事を 話したりすることは自分で英文を考える練習にもなったし、またホストファミリーとのコミュニ ケーションも取れているなと実感することが出来たのでとても役に立ったと感じた。また、見え てきた課題は2つある。1つ目として、聞き取れない単語が多いということである。UCR の学生や ホストファミリーとの会話では彼らは私が分からない単語をゆっくり話してくれたので、まだ聞 き取ることが出来た。しかし、授業や学校の外での会話になってくると、一気に聞き取れる単語 が少なくなってしまうことがあった。2つ目として、英語の発音である。L と R の違いなど私は授 業で何回も指摘された。他にも会話をしている中で相手に違う意味で捉えられているときもあっ た。とても悔しい思いをしました。もっと日本で勉強しておけばもっと上手にコミュニケーショ ンが取れたのにと思ったりもした。 この経験をふまえて、私が今後やるべきことを考えた。1つ目として、まずはボキャブラリー を増やすことである。単語を知っていなければ、会話の中で意味が分かるわけもなく、それでは 元も子もない。このプログラム中にも自分のボキャブラリー不足が原因で伝えたいことを伝えら れなかったり、聞き取れなかったりすることがたくさんあった。なので、毎日少しずつでも単語 を覚えていきたいと思う。2つ目はリスニングである。今までは文法に力を入れて勉強をしてき た。しかし、リスニングも大切なことである。この1ヶ月間は毎日英語を聞いていて常にリスニ ングの練習状態であった。日本に帰った後でもこれを継続することが重要であると思う。なの で、出来るだけ毎日英語に触れていきたいと考えている。3つ目は発音である。中学、高校と英 語を勉強してきたが、英語を聞いたり、書いたりすることはあったものの、話す機会はそんなに なかった。また、よく単語のところに書いてある発音記号にもそんなに意識しないままでいた。 だが、そのままではいつまでたっても発音の違いには気づかず、外国の人と会話をするのには不 十分であると考えた。なので、これからは発音のための教材を買ったりして、一から勉強した り、東北大にいる留学生の人と会話をして、自分の発音との違いを見つけていきたいと思ってい 72 る。 2.異文化適応 異文化適応に関して私が SAP で達成したことは2つある。まずは家での生活の中にあったこと である。1つ目は家で靴を脱がないことである。日本人は必ず家では靴を脱ぐだろう。しかし、 アメリカの家庭ではほとんどが靴を脱ぐ習慣がない。実際、私のホストファミリーもそうだっ た。私はスリッパを持って行っていたのでさほど気にはならなかった。2つ目は風呂である。ア メリカの風呂は日本のホテルのようにトイレと風呂が一緒のいわゆるユニットバスとなってい る。なので、たいてい湯船にも浸かることが出来ない。私は日本にいるときはいつも湯船に浸か っていたので、この生活が1ヶ月間続けられるか心配であった。最初の一週間は「湯船に浸かり たい。全然疲れがとれない。 」などとずっと思っていた。しかし、2週間目、3週間目になるとそ んなことは全く考えなくなり、これが当たり前のように思えてきた。その時、「やっぱり慣れは大 事だな。」と思った。2つ目はやはり食事である。アメリカの食事はやはり、何もかもが大きく驚 いた。最初にアメリカにきて、さっそくハンバーガーを食べたとき、「やっとアメリカに来たな」 と感じた。また、食事の栄養バランスにも驚愕した。私たちが普段食べている和食はとても栄養 バランスがとれている。しかし、アメリカでの食事はとにかく肉、肉、肉であった。野菜はたま にしか出てこなくて、出たとしてもブロッコリーやホウレンソウ、コーンなどであった。また、 果物に関してはこの一ヶ月は100%果汁ジュースくらいだった。この1ヶ月でアメリカ人にな ぜ肥満体型が多いのかよく分かった。だが、意外にもこの食生活で私はストレスを感じることは なかった。3つ目は教育形態の違いである。このプログラム中では通常の授業だけではなく、 School visit で実際に現地の高校の授業にも参加することが出来た。その時、感じたのは先生主 体ではなく、生徒が主体となって、授業が進んでいるということである。それはどういうことか というと、日本の場合、 「先生がただ黒板に書いて、生徒は黙々と聞いていたり、書いたりしてい るだけの状態」である。反対に、アメリカの場合、いわゆるディスカッションのようなものが多 く、先生と生徒の距離が近くなるような気がする。私がアメリカで受けた授業は日本ではあまり 体験できないものであったので、とても新鮮であった。また、アメリカの先生は陽気な人が多い なとも思った。 異文化適応に関して学んだことは次のことである。私の異文化(アメリカ)での最初の1週間 は、驚きと興奮の連続であった。これまでの自分の人生で、当たり前と思っていたことが、異な ることに愕然とした。異なることに刺激を受け、自由であることに興奮を覚えたりもした。外国 にいることが信じられない、やっと来たのだという留学の実感と現実がそこにあり、それだけで も興奮していたのだと思う。目で見るものすべてが興奮の対象である。日本と違うところにいる 自分自身に興奮し、満足している状態である。私は最初の1週間がとてつもなく長く感じた。そ の時、「これがあと3週間も続くのか。 」と考えるとものすごい1ヶ月だと思った。しかし、実際 はそうはならず、日が経つにつれてどんどん早く時間が過ぎていくと感じた。そして、気付いた ら1ヶ月が終わってしまっていた。それは、異文化を体験しているという興奮が冷め、何もかも を驚きの目で見た期間が過ぎ去って、日ごとに驚きと興奮の数が、激減してったからではないか と考える。要するに、私が分かったことは前にも述べたように、人は慣れればある程度のことは 適応できるということである。なので、現在のグローバル化している社会で生きている私たちは 様々なことを受け入れて、適応することが重要だと考えた。 3.行動力 まず行動力というのは何なのかということを考えてみた。それは、何かを思い立った際に、実 際に行動を起こし、それを実現することや、そうした実現に向けて行動する勇気や度胸などのこ 73 とだと思う。私にとって、最初に行動力と呼べる出来事はこの SAP のプログラムに参加したこと であった。今まで海外旅行にさえ行ったことのない私がいきなり1ヶ月間もアメリカで生活でき るのかどうか不安だった。しかし、色々な人の助けがあって、何事もなく1ヶ月間過ごすことが できた。本当に感謝したいと思う。次にプログラム中の行動力について書こうと思う。このプロ グラムで私は多くの UCR の学生と仲良くなることが出来た。そして自分から一緒にバスケをしよ うというメールを送ることもできた。結局バスケは人数が揃わなくて出来なかったが、その代わ りにビリヤードをすることが出来たし、自分から誘うことがまさかあるとは思ってもなかったの で、この点では成長したのだと思う。しかし、見えてきた課題もある。それは「英語しか」話さ ない人とコミュニケーションをもっと取るべきであったということだ。私が友達になった UCR の 学生は日本語を話すことが出来たので、たまに英語で分からないときは日本語に翻訳して話して くれたりしていた。もちろん、ショップの店員の人などは英語しか話さないが、短い会話である ので、それほど困ることはなかった。だが、「もしも自分の周りに日本語を話すひとが1人もいな かったら……」と想像するとぞっとする。 この経験をふまえて、私は今後、もっと外国の方々とコミュニケーションを取る機会が必要で あると考えている。今まで、私は東北大学にいる留学生の人とはほとんど関わったことがなかっ た。この留学に行ってから、 「なんでもっと留学生の人と関わらなかったのだろう。もったいなか った。」と考えるようになった。なので、今後は積極的に留学生の人とのイベントやボランティア 活動などにも参加したいと思っている。そして、自分の語学力をもっと向上させられたらいいな と思う。「SAP に参加する」という行動力が自分にあったおかげで自分の価値観ががらりと変わっ た。また自分の語学力がどの程度なのかも知ることが出来た。今では、そういった思いこそが英 語に対する勉強意欲や他の活動に対する意欲へと変わっていると思う。私はこのプログラムに参 加してよかった。 SAPマジック 金光 広樹 1.自己の言語運用力 自己の言語運用力に関して、私が SAP を通して達成したことは、現地の人と話すとき焦らずゆ っくり話して、自分の意思を伝えることができるようになったことだ。ホストファミリーと会話 するとき、最初は話しかけられたらすぐに答えなければならないと思い、言葉を絞り出そうと慌 ててしまい、かえってうまく答えることができなかった。UCR の学生や先生と会話を重ねるにつれ て、慌てず話せば自分の意思がしっかりと伝わることに気がついた。それから、焦らずにゆっく り話すことを意識するようになり、うまくコミュニケーションがとれるようになった。最後のプ レゼンテーションでも原稿を見ずに、聴衆を見ながら英語で話せた。授業中のプレゼンテーショ ンの練習の発表でも先生からの質問にその場で答えることができるようになった。しかしながら 、ある程度は英語でコミュニケーションをとれるようにはなったものの、英語を話す速さが速い ときや、英語の話し手の話し方によっては聞き取れず、コミュニケーションがうまくとれないこ とがあった。また私はアメリカに来る前は、単語さえ分かっていれば、コミュニケーションがと れると思っていたが、会話のときに瞬時に英文を組み立てるための文法の能力も大事だというこ 74 とを痛感した。 この経験をふまえて、今後は CNN のニュースリスニングを使ってリスニング力を鍛えて、もっ と英語でのコミュニケーション能力を向上させたい。また、更なる言語運用力の向上のため、自 分の中で留学に行く決心がついたので TOEFL の勉強もやり始めるつもりだ。特に TOEFL の勉強で は文法問題のセクションを中心に対策し、自己の文法能力を上げたい。SAP の経験を通して、英語 を話すことに抵抗がなくなったので、これからは自分が所属しているサークルのアットホームを 利用して積極的に留学生と交流したり、skype を使って個人的に仲良くなった UCR の学生と定期的 にビデオ電話をすることで英語でコミュニケーションをとることから遠ざからないようにするつ もりだ。 2.異文化適応 異文化適応に関して、私が SAP を通して達成したことは、アメリカ文化を身をもって体感でき たことだ。まず会話のときに遠回しな表現を避けることだ。ホストファミリーの家についてから 二日目でスーツケースの鍵を紛失してしまい、パスポートを取り出せなくなったことがあった。 ホストファザーに鍵の件のことを話し、鍵を探しに行き、それでも見つからなかったとき、ホス トファザーに「鍵は見つけたか?」と尋ねられた。そこで私は「いろんなところを探したのです が・・・」のように遠回しに話そうとしたが、ホストファザーから「結局見つけたのか?」と少 し怒りを帯びた口調で問われた。そこから英語で会話するときは、遠回しな表現は避けたほうが よいと感じた。また、アメリカではレディーファーストの文化や人に気を遣っていることを行動 で表す文化が深く根付いていると思った。日本語のクラスでペアになり仲良くなった UCR の女子 生徒とその弟と一緒に映画を観に行くことがあった。建物の出入り口から出入りする際、彼女の 弟は笑顔でドアを押さえ、後ろから来る人を先に入れてあげていた。彼女の弟に限らず多くのア メリカ人男性がレディーファーストや人に気を遣ってあげることを意識していると思った。いつ もしてもらってばかりで私は恥ずかしい気持ちになった。また日本で洋食化が進んでいるとはい え、食文化は大きく異なっていた。私のホストファミリーの朝食はシリアルとバナナとマフィン だったのだが、マフィンの味付けがとても甘かった。最初は食べられなかったが、徐々に食べれ るようになった。また夕食は冷凍食品にサラダというパターンが多かった。栄養的に偏っていた と思う。またアメリカ人は日本人に比べて生活に音楽が結びついていると思った。ホストファザ ーの車に乗っているとき、音楽が流れるとホストファザーは歌いながらリズムに乗って体を揺ら していた。最初は戸惑ったが、すぐに慣れ、私も足でリズムに乗りながら指を鳴らすようになっ た。 この経験をふまえて、今後は東北大学の留学生と交流する際、日本語に特有な遠回しな表現は 避けたいと思う。留学生とコミュニケーションをとることで異文化をもっと深く理解したい。ま た、現地の方々のようにさまざまところで気を遣える人になろうと努力したい。誰にでも笑顔 で、建物に入るときにドアを押さえてあげたり、席を譲ったりできるかっこいい男になれるよう がんばりたい。また、今後海外で生活するときは意識的に野菜やフルーツを摂取するように心が けたい。アメリカを訪れる際には、アメリカの食べ物は少しの量でも意外とカロリーを摂取して しまうので食べ過ぎないようにしたい。最終的には交換留学生として長期留学することで異文化 をもっと深く学びたいと思っている。 3.行動力 行動力に関して、私が SAP を通して達成したことは、やりたいことをためらわずに実行できる ようになったことだ。私は中学生のころからバスケットボールをしていて、どうしても NBA の試 合を現地の staples center で観戦したかった。だから、NBA の試合をどうにかして観ようと決心 75 してアメリカに行った。最初のピザパーティで UCR の学生と交流したときに自分がバスケットボ ールが好きで NBA の試合が観たいということを説明して回った。そして、予定が空いてれば連れ ていけるという UCR の学生を見つけることができた。その後に観戦したいチームの試合日程を調 べ、土日はオプショナルトリップがあり、それも行きたかったので、平日に見に行きたいと、 Messenger を使って連絡した。若干、迷惑なくらいしつこくお願いしたが、結果としてチケットを あらかじめ用意してくれ、staples center まで連れて行ってもらい、一緒に観戦することができ た。とても感謝している。また、このプログラムは UCR の学生と交流することはできるが、日本 人留学生をもてなす団体のメンバーとの交流が中心だった。その団体以外の UCR の学生とも交流 したいと思った。そこで UCR の日本語のクラスで、少しの時間だがペアになった学生とメールア ドレスを交換し、連絡をとりあった。日本語の文と同じ意味の英語の文を同時にうって、連絡を とりあった。相手も日本語の文と英語の文をうってくれた。また毎週金曜日に図書館で会い、お 互いの文章で不自然なところを訂正しあった。最後は彼女と彼女の弟と映画を見に行った。とて も仲の良い現地の学生ができてとてもうれしい。最後の日曜日に、UCR の学生達とハイキングに行 く予定だったが、ホストファザーが車を出せないことがあった。UCR の学生に連絡しても、連絡が とれず集合時間がどんどん迫っていった。そこで市営バスを利用することに決めた。UCR までの路 線が全く分からなかったので、バスの運転手にどうやって UCR まで行くかを聞き、3回乗り継い で、無事 UCR に着くことができた。今回の SAP ではホストファミリーが放任主義な方だというこ ともあり放課後を有意義に使おうと毎日がんばっていたため、行動力は飛躍的に伸びたと思う。 それでも英語がもっとできていれば、ホストファザーと交渉するときにもっと円滑に交渉できた と思う。また語弊を生んでしまうトラブルもよくあった。 この経験をふまえて、まず思いついたらすぐに行動するくせを日本での生活でも意識してキー プしていきたいと思う。また、やはり言葉を話せたほうが円滑にコミュニケーションがとれるの で、言語学習もしっかりとやりたい。今後の自分自身の進路のために、情報収集もしっかりとし たい。自分のやりたいことに向かって、早い段階から準備を進めていきたいと思う。まずは、長 期留学についての情報収集が一番の優先事項だと思う。自分が将来やりたいことは、まだ漠然と しているが、開発途上国で働いてみたいという思いがある。自分の将来のビジョンを経済学部棟 の国際支援室やキャリア相談センターを利用しつつ明確化するつもりだ。そして、そのビジョン に繋がるような留学先を選びたいと思っている。 76 5.研修の様子 77 UCR初日に撮った写真。これから1か月ここで過ごします! 自然溢れる庭園と荘厳な教会が印象的な Mission San Juan Capistrano 78 Riverside Downotown にある キング牧師の像 最終プレゼンテーションを終え無事卒業! 1か月お世話になった先生方にも、友達にも感謝です 79 アメリカ最終日、Farewell Party 1か月仲良くしたUCRの友達と の別れを惜しみました。 また会おうね! 80
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