メディカル情報生命専攻 - 東京大学大学院新領域創成科学研究科

Department of Computational Biology and Medical Sciences, Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo
メディカル情報生命専攻
Department of Computational Biology
and
Medical Sciences
28
専攻設立の背景と理念
メディカル情報生命専攻
20世紀後半は
専攻長 渡
邉
俊
樹
子生物学の大きな発展が見られ、ゲノムを基盤とするシステムである生物について、原理的理解が
急速に進みました。これを受けて21世紀は生命科学の応用の時代、ライフイノベーションの時代といわれています。
しかしながら、生命現象は複雑なものであり、それを多数の構成
子と素過程に
解し、単純化して原理を見出すこ
とのみで理解さらには応用できるわけではありません。そのためには複雑な生命現象を全体として解析し、それに関
わる多数の要素とその関係を明らかにした上で、それを制御する方法を見出す必要があります。このような技術革新
こそがライフイノベーションの時代を先導する上で必須と
えられます。
近年のDNA配列解読技術、オミックス解析技術あるいはイメージング技術等の急速な発展は、多種多様な生体高
子の網羅的解析をはじめて可能にし、複雑な生命現象を全体として解析することの糸口となりました。またこれと同
時にもたらされた、生命
子についての大量の情報解析がライフイノベーションの焦点となることも明らかにしまし
た。生命科学の情報化の時代には、情報技術の革新こそが、生命現象に関わる多数の要素とその相互関係を理解し、
その制御を
えるために必須となります。
医学はその切実なニーズから、応用生命科学の先頭を常に走ってきましたが、生命科学の情報化の時代においても
例外ではありません。ヒトにおいては、パーソナルゲノムの収集が著しく進展し、疾患に関連する変異を迅速に推定
することが可能になり、臨床への応用が本格化しようとしています。さらにヒトでは様々な網羅的解析情報のみなら
ず、医療情報という形で大量の表現型情報が蓄積されているため、新たな情報技術の対象として最も適している野生
生物とも
えられます。それゆえ、生命科学の情報化の時代には、医科学
野が他の
野を先導する展開も期待され
ます。
以上のような時代認識を背景に、メディカルゲノム専攻と情報生命科学専攻が併合して、国内でも類を見ないユ
ニークな新専攻を設立するに至りました。この新専攻は、生命科学の情報化を先導し、ライフイノベーションに大き
く貢献しつつ、その成果を臨床の現場にトランスレーションして行くことのできる人材を教育することを目標として
います。そのためには、情報学と医科学の最先端の研究現場でのオン・ザ・ジョブ・トレーニングを積極的に取り入
れ、情報科学と医科学の融合的な基礎教育の環境を実現し、新たな専門性を持った人材の育成を図っていく必要があ
ると
えています。このような人材は、単に医学のためばかりでなく、他の農学、薬学、環境学、生命工学等の応用
野でも必要です。我々が理想とする新専攻は、そのような人材を教育できる日本で唯一の専攻として、生命科学の
応用の時代と言われる21世紀の日本の研究をリードしつつ、生命科学の情報化とライフイノベーションに貢献する人
材を広く供給していくことを目指しています。
目
次
メディカルサイエンス群
研究
野紹介
………………………………………………………………………………………………………
1
イノベーション政策研究講座
研究
野紹介
………………………………………………………………………………………………………
25
野紹介 …………………………………………………………………………………………………………
27
入学志願者案内(修士) ………………………………………………………………………………………………
46
入学志願者案内(博士) ………………………………………………………………………………………………
48
入学試験受験者心得(修士・博士) …………………………………………………………………………………
50
チェックシート(修士課程用)…………………………………………………………………………………………
51
チェックシート(博士後期課程用)……………………………………………………………………………………
53
調査票(修士) …………………………………………………………………………………………………………
55
調査票(博士) …………………………………………………………………………………………………………
57
情報生命科学群
研究
試験会場案内図
問い合わせ先
〒277-8562 千葉県柏市柏の葉5−1−5
東京大学大学院新領域
成科学研究科
メディカル情報生命専攻
メディカルサイエンス群
バイオ知財コース
富
田
野
乃
情報生命科学群
津
田
宏
治
nyushi@mgs.k.u-tokyo.ac.jp
メディカル情報生命専攻ホームページ
http://www.cbms.k.u-tokyo.ac.jp
メディカルサイエンス群
メディカルサイエンス群の紹介
21世紀の生命科学は、ゲノムを抜きにしては語る事
ショナルリサーチを推進する研究者層を
出すること
が出来ない。現在、ヒトをはじめとするさまざまな生
が急務である。メディカルサイエンス群では、ゲノム
物種の遺伝情報の全容が明らかにされつつある。今ま
研究などの基礎的な生物学を先端医療と結びつける新
さに、ゲノムを基盤とした新しい生命像が
しい医科学
生しよう
野を開拓する人材の育成を
命とし、人
としている。遺伝情報に関する研究成果の最大の活用
類の
が、人類の
としている。グローバルな視野を持ちベンチャースピ
康に直結する医学である。癌をはじめと
康と福祉に貢献する先端医療の研究推進を目標
するヒトの疾患の原因の多くが遺伝子の損傷に由来す
リットに
ることが、 子生物学などによるDNA研究によって明
る学生の参加を歓迎している。医学、ゲノム科学のみ
らかにされつつある。20世紀の医学はヒトの観察から
ならず、生命科学を中心とした関連
その病理を解析するアプローチだったが、現在は遺伝
募集している。本専攻の修学を終えた学生は、単に日
情報からその発症を予測する医学へと急速に変貌しつ
本のみならず世界のポストゲノム研究・産業の未来を
つある。メディカルゲノム科学とは、ヒトのゲノム情
開拓するものと期待している。
報の多様性と疾患との関係を明らかにし、先端医療へ
とtranslateすることを目指す新しい学問
野である。
れた生命科学の研究者となることを希望す
野の人材を広く
メディカルサイエンス群では、医科学研究所のヒト
ゲノム解析センターや探索型病院と連携しつつ、ゲノ
2003年に人の全遺伝子情報が決定され、ゲノム研究は、 ム、プロテオーム、モデル生物についての基礎生命科
個人の遺伝情報の差(SNP解析)から病理を解き明か
学研究と先端医療の連結した研究教育を実施している。
す方向に急激な勢いで進もうとしている。
平成19年度からは文部科学省の大学院教育改革支援プ
現在、米国がバイオテクノロジーにおいてリーダー
ログラムの補助を受けて5年制の「メディカルゲノム
シップを発揮している土台は、基礎生命科学と医科学
サイエンスプログラム」をスタートし、それに合わせ
との間での活発な人材や知識の
てカリキュラムの改訂と教育の体制の強化を行ってい
流にある。個の相互
流は、旧来の学問領域にこだわらず、生命科学を俯
瞰し自在に横断出来るチャレンジ精神に富む人材を育
成してきたことにある。こうした人材が米国のバイオ
産業を支えており、また、バイオベンチャーの活発な
業をもたらしている。日本においても、基礎的な生
命科学の研究を医療
野へと展開するトランスレー
る。本プログラムを受講した学生には修了証が
れる。
付さ
メディカルサイエンス群・基幹講座
平成28年度の学生募集をします
子医科学
教
授
上田
野
卓也
04-7136-3641
ueda@k.u-tokyo.ac.jp
准教授
富田
野乃
04-7136-3644
nono@k.u-tokyo.ac.jp
P UR E s ys temを組み込んだ人工細胞
蛋白質合成系は生命の根幹となるメカニズムである。真性細
菌、真核生物、オルガネラの蛋白質合成系の共通原理の解明を
進めている。また、試験管内で再構築した蛋白質合成系を用い
⑶
試験管内進化系による医薬プロ
ーブの開発
て人工細胞の構築という合成生物学的目標に挑戦している。さ
らに、無細胞蛋白質合成系を用いた蛋白質
薬の開発を推進し
ている
抗体医薬品はこれからの
薬の中心となることが期待されて
いるが、抗体の開発には膨大な開発費が必要である。PURE
systemに基づいたリボソームディスプレー法は、こうした抗体
⑴
蛋白質合成系の生化学
医薬品の開発を加速する技術である。PURE systemで合成した
ヒトGPCRを用いて、リボソームディスプレー法より蛋白性医
大腸菌の蛋白質合成システムを精製された因子から再構築す
薬品の開発を進めている。
ることに成功している(PURE system)
。このシステムを用い
て大腸菌の蛋白質合成系の生化学的解析を進めている。また、
酵母、ミトコンドリアのPURE systemの構築を進めている。酵
母のPURE systemを用いて、不明の部
が多い真核生物の翻訳
調節機構、とくにmRNA品質管理機構のメカニズム解析に取り
組んでいる。ミトコンドリアの翻訳系のメカニズムの解析では、
ミトコンドリア病などの疾患と関連づけながら進めている。
薬を指向したリボソームディスプレー法
参
P UR E s ys tem
⑵
P UR E s ys temを用いた人工
細胞の構築
論文
Nat Biotechnol (2001) 19, 751-755
Mol Cell (2009) 35, 502-510
Angew Chem Int Ed Engl (2014) 53, 7535-7538
Biochem J (2012) 442, 631-638
大腸菌のPURE systemを用いて大腸菌のゲノム上の約4,000
PNAS (2009) 106, 4201-4206
の蛋白質の合成を行った。また、より高次の構造体であるリボ
PNAS (2012) 109, 8937-8942
ソームなどの超
子複合体や、ATP合成酵素などの膜蛋白質複
BBRC (2007) 352, 270-276
合体が合成可能なセルフリー系の開発に取り組んでいる。これ
BBRC (2012) 428, 395-400
らのバイオシステムをBottom-up的に組み上げることで、バイ
オシステムの集積体である人工細胞の合成に挑戦している。
メディカルサイエンス群・基幹講座
造を模倣することで、リボソームの共通触媒構造を乗っ取るこ
平成28年度の学生募集をします
生命
教
授
子遺伝学
伊藤
とが可能になり同様な機能遂行を行うという「解離因子-tRNA
子擬態仮説」を提唱し、その実証を進めてきた。現在、細菌
野
型RFのtRNA擬態性の実証が一通り完了しさらに詳細な
機構の解明を目指す一方で、新たに真核・古細菌型RFの
耕一
構の解明に着手し解明を進めている。翻訳終結の
04-7136-3600
itokoichi@k.u-tokyo.ac.jp
生命は多様な機能システムの集合体であり、それぞれのシス
調して機能するための
子機
子機構を明
らかにすることで『なぜ現存生命の遺伝暗号システムが終止コ
ドンの解読にtRNA擬態タンパク質を用いるのか
テムにはさまざまな生体
子
子が関与する。個々の生体
子機構には基本的な
』の難問に
答えたい。
子が協
が多く残されて
いる。
例えば、タンパク質合成過程では、50種以上のタンパク質と
RNAからなる巨大複合
子・リボソームを中心 に、多 数 の
tRNAや翻訳因子が加わり全体の反応が進行する。2000年には、
細菌リボソームの全原子構造がX線結晶解析法により解明され、
2009年度のノーベル化学賞を受賞した。この研究成果により、
翻訳反応素過程の可視的な理解に拍車が掛かったが、その一方
機構や、合成されるタンパク質の機能性を保証するための品質
遺伝暗号解読におけるリボソーム普遍
機能とtR NA擬態 子
管理機構といったヒトの疾患にも関わるような高次なシステム
真核生物では、リボソームでの遺伝暗号解読の各反応過程に
で、状況によりタンパク質合成を臨機応変に調節する環境応答
に連携する
おいて、tRNAや解離因子などに対してそれぞれ異なる相同性
子機構の理解は遅れている。
我々の研究室では、個々の生体
子それぞれと、機能するシ
の高いEF-1αファミリーGタンパク質が機能するが、古細菌で
ステムと密接に関連づけて解析するために、大腸菌や酵母など
は、アミノ酸伸長に関わるtRNA、翻訳終結に関わるRFさらに
の単細胞生物を、それぞれ細菌やオルガネラ、ヒトを含む真核
mRNA品質管理に関わるPelotaの3種すべてに対し単一のEF
生物細胞のモデル系として駆
子遺伝学的解析を行う。
-1αが対応することが判明した。このことは真核・古細菌タンパ
さらに、生化学や構造生物学的手法を横断的に活用し、タンパ
ク質合成過程には翻訳伸長・終結・品質管理それぞれの過程に
ク質合成系や膜輸送体系などのシステムの
共通するtRNA擬態機能構造による未知の
する
子機構解明を目指
す。
翻訳終結機構および遺伝暗号読替え
( R EC OD ING ) 子機構の解明
子機構が存在する
ことを意味する。普遍的で新規な翻訳機構の意義解明をめざす。
参 論文
Cell, 101:349-352 (2000)
Nature, 403:680-684 (2000)
タンパク質合成終了を意味する遺伝暗号、すなわち終止コド
Mol Cell 9 :1263-1272 (2002)
ンは、全ての生物種のタンパク質合成に必須である。アミノ酸
Proc Natl Acad Sci USA 99 :8494-9499 (2002)
をコードする他のコドンが核酸であるtRNA 子の介在により
Genes and Development, 23:1106-1118 (2009)
EMBO J., 28:3602-3612 (2009)
解読されるのに対して、終止コドンはタンパク質因子(ペプチ
Proc Natl Acad Sci USA, 107:19242-19247 (2010)
ド鎖解離因子: RF )により解読されるという点で例外的であ
FEBS Lett., 584:790-794 (2010)
る。また、終止コドンはタンパク質の合成終了ばかりではなく、
WIREs RNA, 2:647-668 (2011)
積極的にアミノ酸に読み替えられることで遺伝暗号表からは予
Nature, 496:247 251 (2013)
Nucleic Acids Res. 42:7851-66 (2014)
想出来ないタンパク質合成に関わる多義性も明らかになった。
は解説論文。
我々は、これまでRFタンパク質が核酸であるtRNAの機能構
メディカルサイエンス群・基幹講座
平成28年度の学生募集をします
ゲノムシステム医療科学 野
教
授
菅野
純夫
03-5449-5286
ssugano@k.u-tokyo.ac.jp
准教授
渡邊
学
03-5449-5343
wata@k.u-tokyo.ac.jp
図2
ヒトは、約3万種類の遺伝子産物によって構成される複雑で
精巧な
子システムである。疾患はこの
機能未知新規遺伝子の細胞内局在の同定
新規遺伝子(GeneX)の完全長cDNAを用いて、EYFPとの融合タンパクを発現させ
細胞内局在を同定した(A)。染色された核(B)、ミトコンドリア(C)との位置の比
較から、本遺伝子はミトコンドリアに局在することが かる(D)。
子システムの乱れと
捉えることができる。我々の研究室では、完全長cDNAライブラ
完全長cDNAの塩基配列情報は、そのコードするタンパク質
リーの構築法を開発し、完全長cDNAの形でのヒト遺伝子の網
の完全な情報をもたらしただけでなく、従来困難であった正確
羅的収集を行ってきた。現在までに約2万種類(既知遺伝子約
な転写開始点
(完全長cDNAの5 端は定義上mRNAの転写開始
1万種類と同数の新規遺伝子)の完全長cDNAの収集を完了し、 点に相当する)の決定作業をゲノム規模で行うことを可能にし
ヒト遺伝子の大部
についてはそのカタログ化が終了したと
えている(http://www.nedo.go.jp/bio/)
。
た。我々は、完全長cDNA配列と今年に入って完成したヒトゲノ
ム配列を比較することにより、約1万のヒト遺伝子についてゲ
ノム上での正確な転写開始点の位置を決定し、隣接する上流転
写制御領域(プロモーター領域)の配列を同定している(図3)。
詳しくは我々の
開するデータベースDBTSS(http ://dbtss.
hgc.jp/)を参照されたい。
さらに同定されたプロモーターのどの領域にどのような転写
活性化能が含まれるかを実験的に検証すべく、
我々は約500の遺
伝子について、プロモータークローンを単離、レポーター遺伝
子アッセイによりその転写活性化能を測定している。また、ク
ロマチン免疫沈降法を用いて、転写因子とプロモーターとの相
互作用を同定する実験系の構築も併せて行っている。
図1
完全長cD NA ライブラリーの作製法
今後は、これらのcDNAを基盤として
子システムとしての
ヒトを理解し、疾病の診断・治療・予防につなげていかなけれ
ばならない。そのために、まず依然として機能未知である約1
万の新規遺伝子について、我々は、質量
析機を用いたタンパ
ク質レベルでの遺伝子発現の検証を行うと同時に、計算機を用
いたタンパク質モチーフまた、膜貫通領域といった機能ドメイ
ンの推定を行っている。さらに予測された細胞内局在を検証す
べく、GFP・YFP融合タンパクを用いたハイスループットな細
胞内局在の実験的同定を行っている(図2)
。
さらに、多数の遺伝子群がいつどのような制御を受けて発現
されているかのメカニズムを解明することが不可欠である。そ
のためには、遺伝子のプロモーターなど発現制御領域の同定と
解析が必要である。
図3
我々の研究室で運営する転写開始点データベースD B TS S
約1万種類のヒト遺伝子の転写開始点と隣接するプロモーター配列が検索
できる。
メディカルサイエンス群・基幹講座
る(
「多段階発癌機構」
)
。ATL対策は、ウイルスの感染予防、
平成28年度は学生募集をしません
病態医療科学
教
授
渡邉
ATLの発症予防およびATLの新規治療法の開発が基本的な課
題である。当研究室では、全国共同研究組織 JSPFADのセン
野
ターとして、ウイルスキャリアのコホート研究と検体のマテリ
俊樹
アルバンク形成を行っている。最近の成果の一部を以下に紹介
03-5449-5298
tnabe@k.u-tokyo.ac.jp
准教授
する。
1. 末梢血中のHTLV-1感染細胞の数(ウイルスロード)4%
以上がキャリアからのATL発症危険因子である事を明らか
佐藤
にした(Iwanaga et al., Blood 116:1211,2010)。
03-5449-5299
hitsatoh@k.u-tokyo.ac.jp
2. バイオマテリアルバンクを用いて網羅的なゲノム解析と発
現解析から、ATL腫瘍細胞ではmiR-31の発現欠損があり、そ
当研究
野では、病気を対象にその病的生命現象の基盤とな
れがATL細胞に見られる恒常的NF-kB活性化をもたらす事、
子の新たな機能を解明する
miRNAの発現がポリコームを介してエピジェネティックに
と共に、得られた知識を疾患の診断や治療へ応用する事を目指
制御される事を明らかにした(Yamagishi et al.,Cancer Cell
している。具体的な研究対象は、白血病・悪性リンパ腫と、ひ
21:121,2012、図3)。
る
子機構を明らかにし、個々の
とレトロウイルスの病原性発現機構である。研究テーマの関係
は図1に示す。
図3
図1
P o lyco m-miR -31-NF- B C as cade
3. HTLV-1 Rex が 細 胞 の 宿 主 細 胞 の RNA 品 質 管 理 機 構
渡邉研における研究プロジェクト
(Nonsence-mediated Decay,NMD)を抑制し、ウイルスの複
⑴
成人T細胞性白血病(ATL)の
発癌機構の解析(図2)
ATLの 原 因 ウ イ ル ス で あ る ひ と T 細 胞 白 血 病 ウ イ ル ス
(HTLV-1)は母乳を介して垂直感染し、50年以上後に白血病
が発症する。このため、感染Tリンパ球の腫瘍化にはウイルスの
遺伝子ばかりでなく多くの遺伝子の変化が関与すると
えられ
製を促進すると共に細胞遺伝子の発言を撹乱する事を発見し
た(Nakano et al. Microb Infect, inrevision)
⑵
染色体異常の 子機構とキメラ
遺伝子の機能解析
(佐藤准教授グループ)
がん細胞における特異的染色体転座の
子生物学的解析が進
んでいるが、腫瘍発生機構が未だ明らかにされていない腫瘍も多
く存在している。我々は、個々の悪性リンパ腫症例ごとの細胞遺
伝学的手法(FISH法、CGH法)によるゲノム染色体全体の構造
異常解析を基礎にして、多段階にわたる疾患に関与する病因遺伝
子異常を明らかにし、関連遺伝子の機能解析により、 子病態の
解明に迫っている。
図2
多段階発癌モデルに基づくHTLV-1/ATL pro ject
メディカルサイエンス群・基幹講座
平成28年度は学生募集をしません
図:ピロリ菌
(http://mikroby.blox.pl/
微生物ゲノムシステム学 野
教
授
小林
html/1310721,262146,
14,15.html? 1)
一三
03-5449-5326
ikobaya@k.u-tokyo.ac.jp
ikobaya@ims.u-tokyo.ac.jp
遺伝と進化という生命の基本を、細菌を対象として解明して
いる。とくに「ゲノムのDNAメチル化が、内外の因子によって
変換し、それが遺伝子発現と形質を変換し、適応をもたらす」
という「エピジェネティクス駆動進化モデル」の検証を目指し
ている。
アプローチは、
子遺伝学、
子生物学、ゲノム科学、バイ
オインフォマティクス、生化学、構造生物学、数理生物学と多
図
B amHI制限修飾遺伝子の枯草菌内での爆発的自己増殖(FIS H)
制限修飾系:エピゲノムを支配する
利己的遺伝子
細菌のDNAメチル化酵素の多くは、同じ配列を認識する制限
様である。
酵素とペアになり「制限修飾系」を作っている。それらは、特
定配列でのメチル化という「エピジェネティクなID」を持たな
いDNAを、
「非自己」と見て切断・破壊する。このような、「遺
伝子の流れからの隔離」
は、
「特定の遺伝子発現パターンの実現」
と共に、適応進化を可能にしているのだろう。その検証を進め
ている。
私達は、制限修飾系遺伝子単位が自らの居る細菌のゲノムを
も時に攻撃するウイルス・ゲノムのような「利己的な動く遺伝
子」である証拠を得て、それらのバイオロジー(生き物として
の研究)という
野を開拓してきた。
その結果、制限修飾系遺伝子の爆発的自己増幅、スモール
図:エピジェネティクス駆動進化モデル
RNAによる発現制御、様々な相互競争を発見した。新しいタン
パク質基本立体構造「ハー
発ガン細菌の進化
フ・パイプ」と新しい反応
様式(塩基切り出し)を持
ヒトの半ばの胃に幼年期から 住み着いているピロリ菌
つ制限酵素を発見した。認
Helicobacter pyloriは、炎症・潰瘍だけでなく、数十年の体内共
識配列から DNAをたぐり
進化を経て、ついには胃ガンを引き起こす。大きな時間スケー
寄せる制限酵素については、
ルでは、出アフリカ以前から数万年、ヒトと共に地球上を移動
停止した DNA複製フォー
し、地域的
化を遂げてきた。日本で胃ガンが多いことは、東
アジア株の遺伝子型に関連する可能性がある。私たちは、日本
株多数の全ゲノムを解読し、他のゲノムと詳細に比較している。
DNAメチル化がどの配列で起きるかを規定している「特異性
遺伝子」では、「遺伝子内の二つのドメインの間で配列が移動す
る」という、 新しい遺伝子構造変換と進化のしくみ(ドメイン
移動、DoMo) を発見した。この特異性遺伝子の構造変換が、ゲ
ク に 追 い つ い た と き に、
DNAを切断する事を証明
図
ハーフパイプ構造の制限酵素
した。
応用:医療と育種
これらの理解は、
「細菌進化予測」
(=「病態予測」
)に、さら
には「エピゲノム工学」による育種に繋がる。
ノムのメチル化状態の変換をもたらすことを、第三世代シーケ
ンサーによるメチローム解析で、遺伝子発現の変換をもたらす
詳細については、ホームページを参照の事。
ことを、次世代シーケンサーによるトランスクリプトーム解析
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/ikobaya/
で証明しつつある。
メディカルサイエンス群・学内協力講座
子医療科学講座(医科学研究所)
教
授
甲
米田
物実験により、生体での攻防の全貌解明を目指して研究を行っ
共存や、これらの感染症がもたらす免疫抑制、免疫撹乱、神経
病原性発現機構や持続感染機構の解明につながり、ウイルス感
野
染症に対する新たな治療法の開発につながると期待される。
知恵子
Nipah virusについては、1999年に始めて出現した致死率の非常
03-5449-5497
ckai@ims.u-tokyo.ac.jp
准教授
子生物学的に解析している。さらに動
ている。これらの基礎研究で得られる成果は、宿主・寄生体の
平成28年度の学生募集をします
ゲノム機能
について、包括的かつ
に高いエマージングウイルスであり、自然宿主であるオオコウ
モリから動物やヒトへの感染が起こり東南アジアで大流行を起
こした。現在でも南アジア地域で頻繁に発生しているが、有効
美佐子
な予防法や治療法が確立されていない。そこで我々は、ワクチ
03-5449-5498
yone@ims.u-tokyo.ac.jp
ン開発や抗ウイルス薬の探索も精力的に行なっている。
エマージングウイルス感染症が近年社会的に大きな問題と
なっているが、このような未知のウイルスが出現する要因は、
本来の宿主動物でない動物種に種の壁を越えて感染伝播した結
果と推測されている。しかし、ウイルスが動物種を超えて感染
し病原性を発現する機構は、ウイルス学の本質的な命題であり
ニパウイルスのNタンパクとPタンパクの細胞内共局在
ながら未だに解明されていない。我々の研究室では、最も重篤
なエマージングウイルス感染症の多くの原因ウイルスであるモ
ノネガウイルス目(マイナス一本鎖のRNAウイルス群)を中心
に、ウイルスと宿主との相互作用を、
子レベルから個体レベ
平成28年度の学生募集をします
ルでの病原性に至るまで解析することによって、種を超える機
疾患遺伝子解析
序や病原性発現を決定する機構についての研究を進めている。
教
授
俣野
野
哲朗
03-5285-1111(内線2302)
matano@ims.u-tokyo.ac.jp
HIV 慢性持続感染症成立機序の
解析・エイズワクチン開発
近年のゲノム科学の進展により、多くの内因性の疾患とゲノ
ムとの関係が明らかになりつつある。一方、ウイルス感染症で
は、外因性のウイルスゲノムと内因性の宿主ゲノムとの相互作
用が疾患の本質であり、より複雑な解析が必要となる。我々の
研究室では、個体レベルのウイルス感染症におけるこのゲノム
リバースジェネティックス系の概略
モノネガウイルスの全ゲノムcDNAから感染死ウイルスを作
同士の相互作用を、
子レベルで解明していくことを目標とし
ている。
出 す る 方 法(リ バース ジェネ ティック ス 系)を、measles
病原性ウイルスとして知られているものの多くは、自然免疫
virus、rinderpest virus、canine distemper virus、およびnipah
の壁をのりこえ病原性を発揮するが、感染後に誘導される獲得
virusにおいて、世界に先駆けて開発した。この系によりウイル
免疫を中心とした宿主防御免疫によって排除される。しかし、
スゲノムを改変した感染性ウイルスを作出することが可能とな
HIV感染症では、獲得免疫の誘導が認められた後もウイルス複
り、これら改変ウイルスと動物実験系を併せて用いることに
製が制御されず、慢性持続感染症が成立する。我々は、このHIV
よって、動物種を超える機序や病原性発現に係るウイルス側の
慢性持続感染症の成立機序の解析を、サルエイズモデルを用い
遺伝子領域の探索を行なっている。またウイルスが宿主細胞内
て行っている。
で相互作用する細胞因子を、マイクロアレイやCAGEの手法も
これまでに、HIV複製抑制に中心的役割を担う細胞傷害性T
用いて網羅的に探索し、宿主とウイルスとのせめぎ合いの全貌
リンパ球(CTL)を効率よく誘導するセンダイウイルスベク
メディカルサイエンス群・学内協力講座
ターワクチンシステムを開発し、これを用いてワクチン誘導
CTLによるHIV複製制御の可能性を示すことに成功した。さら
に、宿主であるサルの主要組織適合遺伝子複合体(M HC)の解
析を加え、ワクチンによりエイズウイルス複製制御にいたる世
界で唯一のサル群を樹立した。現在、この系を用いて、HIV複
製制御につながる免疫機序の解明を進展させるとともに、この
ウイルスと宿主の攻防の結果生じるウイルスゲノムの進化につ
いての解析を進めている。これらの研究は、我々が臨床応用を
めざしているエイズワクチンシステムの、今後の方向性を決め
るうえでも極めて重要である。
解析を通して、自然免疫系の
子基盤の解明に努める。
平成28年度の学生募集をします
炎症免疫学
教
授
清野
野
宏
03-5449-5270
kiyono@ims.u-tokyo.ac.jp
ホームページ:
ヒトの体は各種細胞が高次複雑系を形成しているが、解剖・
http://square.umin.ac.jp/arc/
組織学的に眺めてみると基本形は筒状であり内側が粘膜、外側
M atano Research Group JP/Home.html
が皮膚に被われその間に生命体を維持する巧妙かつダイナミッ
クな各種臓器が存在している。粘膜と皮膚が体表面バリアを形
成し、監視・防御・共生システムの構築と維持の役割を果たし
平成28年度の学生募集をします
感染遺伝学
教
授
三宅
ている。口腔・鼻腔にはじまる呼吸器・消化器そして泌尿生殖
器を被っている粘膜面は皮膚の400倍以上の広さになる。そし
野
て、日常の呼吸、消化、性行為という生理的行為を介して様々
介
な病原微生物、アレルゲンに暴露されている。我々はこの広大
03-5449-5294
kmiyake@ims.u-tokyo.ac.jp
な粘膜面に第一線のバリアとして働く免疫機構つまり「粘膜免
疫システム」の存在を証明し、そのユニーク性・柔軟性を担っ
ている
免疫機構は、リンパ球を中心とした獲得免疫系と、樹状細胞
や貪食細胞を中心とした自然免疫系に大きく
けられる。自然
免疫系においては、病原体センサーと呼ばれる
子・細胞ネットワークを解明する研究を展開している。
呼吸器・消化器には粘膜免疫をつかさどる特有なリンパ系組織
が存在し、その発達プログラム・機能の解明を
子・細胞・組
子群によって
織そして時間軸・空間軸をふまえて解析している。そこから生
病原体が認識される。代表的な病原体センサーとして、Toll様
まれてくる新知見を新興・再興感染症に対する「経口・経鼻ワ
受容体(Toll-like receptor, TLR)があげられる。TLRは、病
クチン」の開発に発展させていく。さらにアレルギーなど免疫
原体由来の糖脂質や核酸に応答して、活性化シグナルを伝達し、
病に対しても「粘膜免疫療法」への応用を進めていく。詳細に
感染防御反応を誘導する。最近、TLRをはじめとする病原体セ
ついては炎症免疫学
ンサーは自己由来類似成
(http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/EnMen/index e.html)
ギー、肥満、動脈
にも応答し、自己免疫疾患、アレル
化など、非感染性の炎症疾患にも関わって
いることが明らかになってきた。当
野では
TLRによる病原
体認識、活性制御機構の解明を目指し、活性制御の破綻がいか
なる病態を引き起こすのかについても解析を進める。これらの
野ホームページを参照してください。
メディカルサイエンス群・学内協力講座
己複製能や
平成28年度の学生募集をします
子発癌
教
授
井上
研究を進めており、特にRNAの選択的スプライシングに関与す
る遺伝子やエピゲノム修飾を司る遺伝子の役割に着目しながら、
野
神経発生の全容を明らかにすることを目指している。これらの
純一郎
遺伝子は他の組織においても重要な機能を持つ。われわれは次
03-5449-5275
jun-i@ims.u-tokyo.ac.jp
准教授
秋山
化能の制御機序を明らかにすることを目的として
世代の作出を担う唯一の細胞であり、発生過程でゲノムが初期
化される特異な細胞でもある生殖細胞の発生制御機序をエピゲ
ノム修飾という切り口から解析しており、得られた知見の不妊
泰身
治療への応用も視野にいれている。さらに、リンパ管発生異常
03-5449-5276
taishin@ims.u-tokyo.ac.jp
を呈する突然変異マウスの原因遺伝子も連鎖解析手法を用いて
同定しており、血管と比較して未知の部
研究室のテーマは「癌」
「免疫」
「骨」である。実は、この3
の発生
が多かったリンパ管
化、および新生リンパ管の制御を司る
子機序につい
つとも“TRAF6”と“NF- B”と呼ばれるタンパク質と深く関
ても、数々の新知見を得ることに成功している。加えて、上記
連している。TRAF6はサイトカインのシグナルをその受容体
のような研究を可能にする発生工学技術を
から受け取り、細胞内へ伝達し、核でのNF- Bによる転写活性
もわれわれ「発生工学研究
化を誘導する。ヒトには種々の骨代謝異常や免疫不全が原因の
CRISPR/Cas9システムも取り入れて、さらに発展させている。
重 篤 な 疾 患 が 存 在 す る が そ れ と 酷 似 し た 疾 患 が TRAF6や
教育面では個々の人の興味とユニークなアイデアを生かしなが
NF- B の ノック ア ウ ト マ ウ ス で 再 現 さ れ る。こ の こ と は
ら活発な議論をもとに柔軟に研究を行っている。URL: http://
TRAF6/NF- Bシグナルが正常な骨形成と免疫の成立に必須
www.ims.u-tokyo.ac.jp/cem
であることを示している。またNF- Bの異常な活性化は白血病
html
に高度化すること
野」が担う重要な研究課題であり、
er/HPidenshikinou/main.
を始め多くの癌においてその発症や進展に重要な役割を担って
いる。研究室ではノックアウトマウスの作成及び解析や培養細
胞への遺伝子導入実験を駆
して癌化、免疫成立、骨形成にお
けるTRAF6/NF- Bシグナルの機能を
子レベルで解明する
とともに、その成果をヒトの疾患の診断治療に役立てることを
平成28年度は学生募集をしません
目標としている。詳細については以下のホームページを参照し
幹細胞治療研究
てください。
教
平成28年度の学生募集をします
教
授
吉田
中内
啓光
03-5449-5330
stemcell@ims.u-tokyo.ac.jp
(http://www.traf6.com)
発生工学研究
授
野
野
進昭
03-5449-5753
nobuaki@ims.u-tokyo.ac.jp
当研究室では、免疫学、
子生物学、細胞生物学、発生工学
など、基礎科学の知識や方法論を臨床医学と結びつけることに
より、新しい病気や治療法の発見など、先端医療の確立に貢献
することを最終的な目標としている。現在は臓器再生の鍵をに
ぎる細胞である「幹細胞」に焦点をあて、ES細胞、あるいは骨
髄、肝臓、精巣など、いろいろな組織・臓器に存在する幹細胞
を
離同定し、未
化性維持や多能性・可塑性の機構など、幹
細胞に共通な機構の解明を目指している。そこで得られた知見
キーワードはES細胞、組織幹細胞、生殖細胞、リンパ管であ
をもとに幹細胞の
化と自己複製の制御法を確立することによ
り、疾患に関わるような様々な遺伝子の機能を発生工学的な手
り、臓器再生という新しい治療戦略につなげることが研究面で
法を用いて細胞レベルならびに個体レベルで解析し、得られた
の目標である。また、教育面では各人の興味・個性・能力を最
知見を医学へと還元することを目指している。具体的な研究内
大限に発揮できる環境を準備し、生命科学の
容として、様々なステージの胚性幹細胞における自己複製能と
的な研究を発信し続けることのできる人材の育成を目指してい
多能性維持機構の解析を行い、
それぞれの胚性幹細胞が持つ
「個
る。URL:http://stemcell-u-tokyo.org/sct/
性」を明らかにするとともに同細胞の再生医療への応用の可能
性を探求している。組織幹細胞研究では、神経幹細胞の持つ自
野において
造
メディカルサイエンス群・学内協力講座
国内外の4,000近い研究室で
平成28年度の学生募集をします
方法論を駆
機能解析イン・シリコ
教
中井
授
野
謙太
用されています。
我々はこれらの
して、患者さん由来の異常遺伝子をマウスに導入
することにより造血器腫瘍をマウス体内で再現し、発症機序の
研究を行っています。また今後は、ヒト臍帯血細胞や白血病細
胞を免疫不全マウスに移植するXenograftモデルも活用し、よ
03-5449-5131
knakai@ims.u-tokyo.ac.jp
り臨床応用を意識した研究を推進していきます。最終的な目標
は新たな
子治療法の開発であり、現在も転写因子の阻害剤開
発を米国のベンチャー企業と共同研究で行なっています。
野名にあるin silicoとは、生物学でいうin vivo(生体内)
どうして
と思うことをつきつめて
える楽しみを共有しま
やin vitro(試験管内)とのアナロジーで、シリコンチップ内と
しょう。大学院を卒業したあとに海外に留学する人が多いのも
いう意味である。すなわち、当研究
研究部の特徴です。詳しくは研究室のホームページ(http://
野では、コンピュータを
って、ゲノム情報や遺伝子産物の機能解析を行うバイオイン
フォマティクスの研究を行っている。その中でも、
「遺伝情報の
www.ims.u-tokyo.ac.jp/clinical oncol/)を参
にしてくださ
い。
本体であるDNAの塩基配列にはどのように情報が書き込まれ
ているのだろう
タを
」という素朴な疑問を大切にし、コンピュー
って、ゲノム中に書き込まれた情報の解読、特に遺伝子
の発現制御を司る領域の情報解析、に取り組んできた。また、
遺伝子産物間の相互作用ネットワークの研究なども展開してい
平成28年度の学生募集をします
る。従って、我々の研究室はもともと基礎研究志向であるが、
感染制御
最近では、DNAシークエンス決定技術が非常に発達したため、
教
我々の研究がいろいろな場面で医科学に貢献できる場が広がっ
てきている。特に再生医療、免疫学、発生生物学などの
野に
授
川口
野
寧
03-6409-2070
ykawagu@ims.u-tokyo.ac.jp
おける最先端の研究者との共同研究を展開しているので、これ
らの
野に新しい角度から貢献してみたい学生にも魅力のある
研究室でありたいと
えている。コンピュータの素人の参入も
ヘルペスウイルス科に属するウイルスは、牡蛎などの無脊椎
動物から、魚類、鳥類、ほ乳類などを含む脊椎動物に至るまで
歓迎する。
幅広く
研究室ホームページ http://fais.hgc.jp/
スが発見されている。ヒトを宿主とするヘルペスウイルスは8
布しており、
現在までに130種類以上のヘルペスウイル
種類あり、神経疾患、粘膜性疾患、皮膚疾患、腫瘍性疾患といっ
た様々な病態を引き起こす。また、馬、牛、豚などの家畜や、
犬、猫などの伴侶動物には、それぞれ固有のヘルペスウイルス
平成28年度の学生募集をします
細胞療法
准教授
合山
があり、宿主に重篤な病気を引き起こす。このように、ヘルペ
スウイルスは、医学・獣医学領域において極めて重要な病原体
野
群といえる。当研究室では、ヘルペスウイルスのプロトタイプ
進
である単純ヘルペスウイルス、癌ウイルスであるEpstein-Barr
03-5449-5782
goyama@ims.u-tokyo.ac.jp
ウイルスをモデルとして、ヘルペスウイルスの増殖機構、生体
内での生存戦略、病原性発現機構の解明を試みている。これら
の基礎研究を通して、
当研究室では、白血病や骨髄異形成症候群などの造血器腫瘍
の
子生物学について研究しています。
特にエピジェ ネティク
ス関連
子や転写因子による造血幹細胞の
化、増殖の制御機
構、またその破綻が造血器腫瘍の発症を誘導する
明を目指しています。この
ジェネティクス関連
子機構の解
野は最近多くの造血器腫瘍でエピ
子の異常が見つかったこともあり、大変
注目されています。
当研究室の北村俊雄教授が開発した効率の良いレトロウイル
スベクターによる遺伝子導入法および発現クローニング法は、
法の確立、
ヘルペスウイルス感染症に対する制御
ウイルスを調教(改変)し、ヒト疾患に対する遺
伝子治療ベクターやウイルス療法などに利用することを目指し
ている。詳しくは、以下のホームページを参照してください。
(http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/Kawaguchi-lab/
KawaguchiLabTop.html)
メディカルサイエンス群・学内協力講座
には、1)がん化に関与する新規がん関連
平成28年度の学生募集をします
ウイルス感染
教
授
河岡
析、2)がんで活性化しているヒストン修飾酵素の機能の解明、
3)次世代シークエンサーを用いた、がんにおける遺伝子変異
野
の同定とその臨床応用、4)モデル動物を用いたがん治療法開
義裕
発のための基礎的研究、などの研究を推進しています。詳細は、
03-5449-5310
kawaoka@ims.u-tokyo.ac.jp
准教授
今井
以下のホームページをご覧下さい。
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/furukawa/index.html
正樹
エボラウイルスに感染するとなぜ人は死ぬのか
エンザウイルスはなぜ人にも感染できるのか
だまだ多くの
子の同定と機能解
鳥インフル
ウイルスにはま
が隠されており、このような単純な疑問でさえ
も明確な答えは得られていません。
私たちが研究対象とするのはインフルエンザウイルスとエボ
平成28年度の学生募集をします
人癌病因遺伝子
教
授
ラウイルスです。現在進行中の研究テーマは、ウイルス粒子形
村上
野
善則
03-5449-5260
ymurakam@ims.u-tokyo.ac.jp
成機構の解析、ウイルスタンパク質と細胞因子との相互作用・
機能解析、強毒ウイルスの病原性獲得機構の解析、動物種を越
える伝播機序の解明、流行ウイルスの性状解析、ウイルスの人
工合成法の開発、新規ワクチン開発など、
子・細胞レベルか
人の癌は多段階を経て発生、進展し、悪性化する。この過程
で癌遺伝子、癌抑制遺伝子など発癌と進展の鍵になる
子群に
ら個体・集団レベルの解析まで、多岐にわたります。研究テー
異常が生じ、さらにゲノム、エピゲノムの不安定性が加わり、
マは個々人の興味に合わせて自ら決定し、主に
子生物学的・
DNA異常が加速度的に蓄積して悪性形質が獲得される。我々の
生化学的・病理学的・形態学的手法を用いて研究を進めていき
研究室では、肺癌、消化器癌、泌尿器癌、成人T細胞白血病
ます。
(ATL)などを対象として、多段階発癌とゲノム不安定性の
ウイルス学は、社会的に有用なだけでなく、サイエンスとし
子機構を解明し、人の癌の予防、診断、治療に役立てる基礎研
ても未知の世界が広がる魅力的なフィールドです。興味のある
究を行っている。特に癌の浸潤、転移、抗癌剤耐性に注目し、
方は、ぜひ当研究室のホームページをご覧ください。
我々が同定した免疫グロブリン・スーパーファミリー細胞接着
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/virology/index.html
子CADM 1を中心として、細胞接着の破綻が癌を悪性化させ
る
子機構の解明に取り組んでいる。また、癌細胞におけるゲ
ノム不安定性機構としてcopy number variation(CNV)の実
体を把握しようとしている、また、ATLや一部の癌を標的とし
平成28年度の学生募集をします
臨床ゲノム腫瘍学
教
授
古川
て、癌の浸潤・転移抑制医薬品の開発の基礎研究を展開してい
る。さらに、タイ国東北部で肝吸虫感染により発生する胆道癌
野
の
洋一
共同研究を行っている。趣味と実益を兼ねて、研究生活をたっ
03-6409-2100
furukawa@ims.u-tokyo.ac.jp
ぷり楽しめる元気な若手研究者を求めている。
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/hitogan/index.html
がん細胞のゲノムには、配列や構造の異常、修飾の異常、遺
伝子発現の異常など、様々な異常が蓄積している。これらの異
常のうちの一部が腫瘍の発生あるいは進展に関わっている。が
んゲノムの異常を体系的に理解し、がん化に関わる
子の機能
と役割を解明することは、診断や治療法の開発、あるいはがん
の予防法開発にとって重要である。 我々の研究室では、腫瘍細
胞の発生や進展に重要な
子機構の解明と予防、診断マーカーの開発を目指した国際
子の同定、それらの
子の機能解析
や関わるシグナル伝達経路の解析から、治療薬開発や個別化医
療開発など、臨床応用を目指した研究に取組んでいる。具体的
メディカルサイエンス群・学内協力講座
平成28年度の学生募集をします
共政策研究
教
武藤
授
野
香織
に関して成果をあげている。たとえば、骨格筋特異的グルココ
ルチコイドレセプター(GR)遺伝子破壊マウス(写真)の解析
から骨格筋萎縮の病態を解明し、新しい治療法を提案した。す
でに、東京大学医科学研究所附属病院において医師主導臨床試
験(phase I/II Clinical trial)もスタートしている。また、心
03-6409-2079
krmt@ims.u-tokyo.ac.jp
筋を標的とした難治性心疾患の新規治療法開発も進展している。
核内レセプターを標的とした
薬理論を追求し、作用
離型薬
剤開発の基盤構築に関与するなど、製薬業界との産学連携も積
本研究
野は、日本の基礎医学・生物学系研究所における唯
極的に取り組んでいる。我々とともにベンチからベッドまでの
一の人文・社会科学系研究部門として、ヒトゲノム解析研究を
真のトランスレーショナルリサーチを希求するチャレンジ精神
はじめ、医科学研究所で実施される様々な医科学領域の基礎研
旺盛な学生の参加を歓迎する。
究から臨床試験までが社会にもたらしうる影響を国際的な視野
から検証しています。従来、医科学研究と社会との接点といえ
ば、医科学研究政策と生命倫理政策のあり方に注目が集まって
いましたが、医療政策、福祉政策、労働政策、家族政策など他
の政策領域との関連を重視し、それらに立脚した提言を医科学
研究者集団、地域社会、国に対しておこなっています。昨年度
は、代理出産に関する国際的な比較調査(厚労省委託)や、遺
伝子検査ビジネスに関する東アジアの調査研究(JST)を実施し
たほか、オーダーメイド医療の実現に向けた計量経済学的実証
研究、医科学研究の倫理審査システムのあり方に関する比較文
化論的研究、ヒト試料の研究利用が患者・障害者に与える影響
に関する文化人類学的研究などに取り組んでいます。
また、科学の表象文化が一般市民の科学観・倫理観の醸成や
支持・不支持の態度形成に与えている影響については、あまり
検討されてきていません。芸術やサブカルチャーと医科学の関
係について、歴
的な視座から検証し、コレクションを整理す
るとともに、芸術的なアプーチからの実践についても尽力して
います。定期的に、若手研究者と倫理的な問題を議論するカ
フェ、芸術の現場に乗り込んで科学を語るカフェの実践などを
平成28年度の学生募集をします
シークエンス技術開発
准教授
田
野
浩一
03-5449-5376
koichima@ims.u-tokyo.ac.jp
始めています。お気軽にぜひご参加下さい。
詳しくは http://www.pubpoli-imsut.jp/まで。
近年の医療技術の進歩や新薬の導入にも関わらず、癌で亡く
なる人は依然増え続けています。我々の研究室では「癌を制圧
する」という大きな目的のために、様々なアプローチで研究を
平成28年度の学生募集をします
免疫病治療学
教
授
田中
野
廣壽
進めています。
30億塩基に及ぶDNAの配列の
かな違いが、外見や性格等の
個性だけではなく、病気のなりやすさなどに関わっていること
が近年明らかとなってきました。我々は数千人単位の人につい
てDNA配列の違いを網羅的に調べることにより、病気になりや
03-5449-5547、03-6409-2405
hirotnk@ims.u-tokyo.ac.jp
すい体質について研究を行ってきました。その結果、これまで
に癌を含めた様々な疾患のなりやすさにかかわる遺伝子、また
薬の効果や副作用に関わる遺伝子を明らかにしました。しかし
我々の研究室は、先端的基礎研究からその成果の臨床応用ま
ながら、原因遺伝子が明らかになっていない病気や効果予測が
で一貫して取り組み、日本発の画期的治療法を世界に向けて発
困難な薬剤が沢山残っており、これらの疾患についてさらなる
信しようとしている。とくに、核内レセプターをはじめとした
研究を進めています。我々の研究成果は、 患者一人一人の個性
転写因子の機能と構造の解析から
に応じた医療(オーダーメイド医療)
」の実現につながると期待
薬などの臨床応用への展開
メディカルサイエンス群・学内協力講座
しています。
もうひとつの研究テーマは発癌のメカニズムの解明です。遺
伝子の異常が蓄積することが癌化の原因ですが、中でもp53は
約半数の癌で異常がみられる最も重要な癌抑制遺伝子です。
我々はこれまで多くのp53下流遺伝子を単離し、新たなp53の機
能を明らかとしてきました。現在次世代シークエンサーやプロ
テオーム解析などの網羅的探索によって、新たなp53を介した
発癌制御メカニズムの解明を進めています。
詳細な情報については、ホームページ(http://www.ims.
u-tokyo.ac.jp/nakamura/main/top.html)を参照して下さい。
平成28年度の学生募集をします
疾患蛋白質工学
准教授
尾山
次世代型質量
析システムを用いたショットガンプロテオミクス解析
平成28年度の学生募集をします
野
先端ゲノム医学
大明
准教授
加藤
野
直也
03-5449-5469
moyama@ims.u-tokyo.ac.jp
03-6409-2335
kato-2im@ims.u-tokyo.ac.jp
次世代の生命科学研究における中核の一つとして注目されて
当
野は、東京大学グローバルCOEプログラム「ゲノム情報
きたプロテオミクス研究は、超高感度ショットガン解析を可能
に基づく先端医療の教育研究拠点−オーダーメイド医療の実現
とする次世代型質量
析システムの登場により、数千のタンパ
と感染症の克服を目指して」における戦略的研究ユニットとし
ク質の動態を一度に俯瞰することができるようになってきてい
て作られた「疾患制御ゲノムユニット」
(2008年12月∼)を前身
ます。当
とし、2013年4月に先端医療研究センターの新たな
野では、ゲノム科学の進展によって得られた大量の
ゲノム・トランスクリプトーム情報を基に、細胞内タンパク質
設立されました。
の全体像(プロテオーム)やそれらの翻訳後修飾の全体像(モ
先端ゲノム医学
野は、
先端=先端医療を担うべく、
ゲノム=
ディフィコーム)の網羅的計測を通して、翻訳制御やシグナル
ゲノム情報を駆
伝達をはじめとする生命システムの構築理論に迫ることを試み
ら名付けられました。
ています。また、タンパク質安定同位体ラベル化技術を基盤と
当
野として
して、医学=臨床に役立つ研究を行うことか
野では、私が消化器内科医・肝臓専門医であることもあ
した高精度相対定量プロテオーム解析技術を軸に、プロテオー
り、主に肝臓病に関わる研究を推進しています。特にわが国の
ムやモディフィコ
ムに関する時空間動態解析を行う技術基盤
国民病とも言われる“ウイルス性肝炎から肝癌”という典型的
の確立を併せて推進しています。現在、リン酸化などの翻訳後
かつ普遍的である“感染から発癌”というプロセスを主な研究
修飾によるタンパク質相互作用ネットワークの動的な制御機構
対象として、発癌メカニズムから新たな治療法の開発へとつな
の解析に焦点を当て、医科学研究所内外の各種疾患解析をリー
げていくことを目標としています。ヒトおよびウイルスのゲノ
ドするグループとの共同研究により、乳がん・脳腫瘍など疾患
ごとの相互作用ネットワークの特性をシステムレベルで記述し、
数理科学・統計科学的手法を用いて
薬ターゲットの探索を理
論的に行う情報解析基盤の構築を進めています。
当研究室ではプロテオミクスを軸として
子生物学、
析化
学、情報科学などを組み合わせ、タンパク質が織り成す複雑な
生命現象をシステムとして理解し、制御することを目標として
います。詳しくはHP:http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/mpl/top.
htmlをご覧下さい。
メディカルサイエンス群・学内協力講座
し、臨床に立脚した質の高いトランスレーショナ
て い ま す。三 重 変 異 を 有 す る 第 三 世 代 の が ん 治 療 用 HSV
ルな研究(translational research: TR)を推進、医科学研究所
-1(G47Δ)を用いて、世界に先駆けた臨床試験を進めていま
のミッションである先端医療の実現を目指しています。
す。一方で、バクテリア人工染色体と組換え酵素系を利用して
ム情報を駆
当
野は、研究のみならず、
「医科研病院における非MD系TR
遺伝子組換えHSV-1作製システムを開発し、G47Δの基本骨格
人材育成による先端医療の飛躍的展開」事業も担当しています。 にさまざまな遺伝子やプロモータを挿入して、特殊な機能を付
メディカル情報生命専攻では「医学概論」
、
「橋渡し研究概論」
、
加した新規の遺伝子組換えウイルスを作製しています。ウイル
「MGS基礎演習Ⅰ(医学体験)」を行います。高度に
化・専門
ス感染や複製が細胞の防御機構や自然免疫に左右される一方、
化したこれからの先進医療を支えるTRを教育し、実践してい
体内でウイルスががん細胞を破壊すると効率よく抗腫瘍免疫が
きます。
誘導されるなど、私たちの研究は免疫とも密接に関わっていま
現在の研究テーマとして、1)
C型肝炎における肝
変進展・
す。また、ヒトの悪性脳腫瘍組織から、がん幹細胞を
離培養
肝癌感受性に関連するSNPと疾患関連遺伝子の同定と機能解
して、がん幹細胞の特性解明や根絶法の開発研究も行っていま
析、それら疾患関連遺伝子機能調節による新規治療法の開発、
す。
2)B型肝炎ウイルスの持続感染維持機構と発癌メカニズムの
当研究室では、附属病院の医師と研究者が一緒になって、実
解明、それらに基づく新規治療法の開発、3)肝炎ウイルス増
際に明日のがん治療に役立つ先端的な研究成果の
出をめざし
殖・抗ウイルス療法・炎症・発癌に関わるmicroRNAの解明、
ています。個々の興味とアイディアを研究テーマに反映させな
4)肝炎・肝発癌における自然免疫機構の役割の解明、などを
がら、基礎と臨床を橋渡しする先端的開発研究を実践します。
展開しています。
詳 し く は ホーム ページ:http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/
dagm/japanese/home.htmlをご覧下さい。
平成28年度の学生募集をします
先端がん治療
教
授
藤堂
野
平成28年度の学生募集をします
腫瘍抑制
教
授
山梨
野
裕司
03-6409-2115
yyamanas@ims.u-tokyo.ac.jp
具紀
03-6409-2142
toudou-nsu@umin.ac.jp
我々の研究グループでは生命活動を支えるシグナル伝達機構
の理解と、それに基づく難治性疾患の克服を目指しています。
それ故に、ある特定の疾患に拘泥することなく、真に新たな知
手術や放射線治療、薬物治療の技術が進歩しているにもかか
見を求めて、広く細胞機能を制御するシグナル伝達機構全般を
わらず、がんによる死亡率が増加の一途をたどる現況において、 その研究課題としています。具体的には、細胞機能制御の破綻
あらゆるがんを完治させるには、既存の治療法とは異なる革新
として発症する癌、発生発達障害や免疫・神経筋疾患等に重要
的な治療アプローチが必要です。私たちは、がん細胞のみで複
なシグナル伝達機構に関して、未知のシグナル
製することができるウイルスを利用した「ウイルス療法」のト
経路を同定し、生理学的もしくは病態生理学的な視点から、そ
ランスレーショナルリサーチを実践しています。特に、単純ヘ
れらの機能と作用機構の解明を進めています。また、その成果
ルペスウイルスⅠ型(HSV-1)の遺伝子を人為的に変異させ
として得られた知見については、動物モデルや臨床検体を用い
て、がん治療に安全に適用できる遺伝子組換えHSV-1を開発し
た研究を通じて臨床応用への展開を図っています。実際、我々
子やシグナル
は神経筋シナプスに必須のDok-7シグナル経路を発見し、その
知見に基づく研究からDOK7型筋無力症と新たな病原性自己抗
体陽性の重症筋無力症を発見しています。さらに、現在、これ
らの疾患に対する全く新しい治療法の基礎、並びに橋渡し研究
を進めています。しかしながら、我々の第一義的な目標は真に
新たな知見を得る事にありますので、疾病にかかわる事象のみ
にとらわれることなく、グループに属する各々が個々の課題の
本質を捉えることのできる研究グループとして発展・成長すべ
く、日々の努力を続けています。
メディカルサイエンス群・学内協力講座
より詳しい情報を御希望の場合は、以下のホームページを御
ける制御異常を解明してきました。また、SUMO化・ユビキチ
覧下さい。
ン化によるERK経路の活性調節や、ストレス顆粒と呼ばれる
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/genetics/html/home.html
mRNA-蛋白質複合体による細胞死の制御など、新たなシグナ
ル伝達制御メカニズムを見出しており、癌や神経変性疾患を始
めとする疾病との関わりを明らかにすべく研究を進めています。
詳 し く は HP: http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/dcsmm/
平成28年度の学生募集をします
子シグナル制御
教
授
武川
DCSMM /Top.htmlをご覧下さい。
野
睦寛
平成28年度の学生募集をします
03-6409-2156
takekawa@ims.u-tokyo.ac.jp
当研究室では、
胞運命(増殖、
幹細胞ダイナミクス解析 野
子生物学や生化学の研究手法を駆
し、細
化、死など)の決定に極めて重要なシグナル
伝達システムであるM APキナーゼ(M APK)カスケードの研究
准教授
ベアーテ・ハイジッヒ
03-6409-2108
dynamics@ims.u-tokyo.ac.jp
を行っています。哺乳類細胞には、増殖因子によって活性化さ
れ、主に細胞増殖に作用するERK経路と、様々な環境ストレス
生体中の組織幹細胞は組織や臓器の維持だけでなく、傷害さ
刺激(紫外線、放射線、オキシダント、高浸透圧、熱ショック
れた組織の修復を担う細胞です。私たちは
子生物学的なアプ
など)によって活性化され、細胞周期停止╱アポトーシスや炎
ローチを駆
症を惹起するp38経路およびJNK経路という、少なくとも3種
境下で如何にして組織幹細胞が制御されているのかについて、
類のMAPK経路が存在します。
微小環境中のプロテアーゼ活性を起点とした解析を行っていま
し、造血機構において正常あるいは異常な微小環
これら複数のMAPK経路が、刺激に応じて正しく制御される
す。最近では癌の維持や増殖ついても微小環境の関与が注目さ
ことで、人体の恒常性が維持されており、一方、その制御異常
れていることから、私たちは微小環境と癌幹細胞の相互作用に
が、癌、アレルギー・自己免疫疾患、糖尿病や神経変性疾患な
ついても研究を進めています。さらに、組織再生や癌の増殖・
どの疾病発症に繋がることが知られています。私達は、MAPK
転移には組織幹細胞だけでなく機能的な血管構築が重要です。
経路の活性制御機構と生理機能、および疾病との関連を
私たちは血管構築(血管新生)におけるプロテアーゼ活性につ
子レ
ベルで解き明かし、さらにM APK経路をターゲットとした
子
いても研究を進めております。これらの知見を基に、癌または
標的薬剤を開発して疾患治療に役立てることを目標に研究を進
虚血性疾患や心筋梗塞、アテローム性動脈
めています。
じめとした心血管疾患の新たな治療標的を開発することを目標
当研究室ではこれまでに、p38/JNK経路を制御する新たな
子として、MTK1や PP2C等の蛋白質リン酸化/脱リン酸化酵
素、ストレス応答のメインスイッチとも
連
えられるGADD45関
子など、複数の遺伝子を同定し、その生理機能と疾患にお
化症、血栓症をは
としています。
興味のある方は、ぜひ研究室のホームページと合わせて以下
のホームページをご覧ください。
研究室ホームページ:
http://stemcell-u-tokyo.org/scd
研究紹介:
http://ganshien.umin.jp/public/research/main/heissig/
index.html
メディカルサイエンス群・学内協力講座
平成28年度の学生募集をします
細胞機能情報
准教授
中江
野
進
03-6409-2111
snakae@ims.u-tokyo.ac.jp
細胞情報システム講座
( 子生物学研究所)
平成28年度の学生募集をします
機能形成研究
教
当研究室では、アレルギーをメインに、自己免疫疾患等の難
治性慢性炎症疾患の発症および病態形成に関与が疑われる病因
授
宮島
野
篤
03-5841-7884
miyajima@iam.u-tokyo.ac.jp
遺伝子をオミックス解析等により探索し、候補遺伝子の欠損マ
ウスの作製およびその利用により、アレルギー等の発症におけ
る候補遺伝子の機能解析を行っている。
アレルギーの発症機構の解析
肝臓の発生・
化・再生
肝臓は代謝や血清タンパク質の合成など多彩な機能をもち生
命の維持に必須の臓器である。肝臓は胎生中期に前腸上皮細胞
・アレルギー関連遺伝子の探索
から発生し、発生直後の肝芽細胞は、肝臓の諸機能を担う肝細
・候補遺伝子欠損・改変マウスの作製
胞と胆管に
化する肝臓の幹細胞である。当研究室では、この
・遺伝子欠損・改変マウスを用いたアレルギー性モデル(喘息、 肝芽細胞はじめ肝臓を構成する各種の細胞を
皮膚炎、鼻炎、食物アレルギー等)の解析
離・培養するシ
ステムを開発しており、それらが有機的に相互作用しながら成
熟肝臓を形成する過程の解明に取り組んでいる。
これまで、IgEに反応する免疫細胞であるマスト細胞を活性
成体肝臓は再生能力を備えたユニークな臓器であり、肝障害
化する因子IL-33やTh17細胞が産生するIL-17を中心にアレル
により肝幹細胞に依存性する場合と依存しない場合がある。部
ギー疾患の発症機序の解明に取り組んできた。現在、これら以
肝切除から肝臓が再生する際には、残存肝細胞が増殖して元
外にマスト細胞やTh17細胞を活性化する因子の他、オミックス
の大きさに戻り、幹細胞は関与しない。一方、胆管結紮や薬剤
解析により、アレルギーの発症の責任遺伝子の同定を試みてい
による肝障害においては幹細胞様の細胞が増殖する。当研究室
る。得られた知見をもとに、予防および治療法の確立への基盤
では、こうした肝再生の
を提供することができるものと
ウイルス感染や代謝異常など様々な原因による肝炎が慢性化す
えている。
子機構の解明を目指している。また、
ホームページ:
ると線維化、肝
http:www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/lab/
る。こうした肝臓の病態、再生機構、さらに肝癌発生の機構の
experimentalmedicine/
解明、肝幹細胞のがん化との関連にも取り組んでいる。成体肝
(東京大学医科学研究所
システム疾患モデル研究センター
システムズバイオロジー研究
野)
変を経て肝臓癌に移行することが知られてい
臓は腸管から様々な異物が大量に流入する組織でもあり、肝特
有の免疫応答システムが発達している。このシステムの異常は
炎症を惹起して肝疾患につながる。したがって、肝臓における
免疫系の理解は肝疾患発症のメカニズムを理解する上で必須で
皮膚炎モデルマウス
ある遺伝子を欠損することによって産まれてすぐ皮膚炎を発症するマウス
(A-C )。D -Fは同腹の正常マウス。
メディカルサイエンス群・学内協力講座
あり、それを目指す研究も展開している。
機能と動作原理の解明を目指して研究を行っています。
非コードRNAの代表例としては、 子生物学の黎明期に発見
iP S 細胞の
化誘導系と再生医学
されたrRNA(ribosomal RNA)
、tRNA(transfer RNA)、
snRNA(small nuclear RNA)などがよく知られています。こ
糖尿病の治療として膵臓内の内
泌器官である膵島の移植が
れらのRNAは、mRNAの成熟やタンパク質への翻訳といった
行われているが、ドナー不足から移植に利用可能な膵島を作る
セントラルドグマの基本過程に必須であることから、長年にわ
技術開発が強く求められている。当研究室では、マウス胎児膵
たって詳細な解析が進められてきました。一方最近の研究から
臓細胞からin vitroで膵島の3次元構造を作ることに成功して
は、細胞の中にはこれらの古典的なRNAだけではなく、もっと
おり、これを元にしてマウスiPS細胞からの機能的な膵島形成
多種多様な非コードRNAが存在していることが明らかとなっ
に成功している。そこで現在、この技術をヒトiPS細胞に応用し
ています。1990年代以降になって次々と 発 見 さ れ た miRNA
て移植や
薬研究に利用可能な膵島を作ることを目指している。 (microRNA)やsiRNA(small interfering RNA)
、piRNA
また、機能的な肝細胞は
薬研究に必須であり、当研究室で
は、高い肝機能を備えた細胞をヒトiPS細胞から
化誘導する
システムの開発も行っている。
(PIWI-interacting RNA)などの20∼30塩基の小
子 RNA
(small RNA)
は、自身と相補的なRNAを選択的に認識し、そ
の
解や翻訳抑制を引き起こすことで、遺伝子の発現を負に制
御しています。また近年、long non-coding RNA(lncRNA)
ホームページアドレス
と呼ばれる長い非コードRNAが、核内でクロマチン動態や転写
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/cytokine/
のエピジェネティックな制御に関わるなど、多様な役割を果た
していることが明らかになって来ています。これらの非コード
RNAは、遺伝子発現を緻密に制御することで、複雑で高次な生
命現象を支えていると
えられています。しかしこれらの非
コードRNAが、どのようにして生み出され、どのような原理で
機能しているのかについては、まだほとんどわかっていません。
私たちの研究室では、生化学、生物物理学、細胞生物学、遺伝
学などを組み合わせることにより、非コードRNAを中心とした
RNAワールドの不思議に挑戦しています。
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/tomari
平成28年度の学生募集をします
RNA機能研究
教
授
泊
野
幸秀
03-5841-7839
tomari@iam.u-tokyo.ac.jp
私たちのゲノムDNAにコードされた遺伝情報の多くは、転写
によってmRNA(messenger RNA)へと写し取られたのちに、
タンパク質へと翻訳されることで発現します。1958年にクリッ
クによって提唱されたこのセントラルドグマの概念は、生命の
根幹を成す基本原理として広く受け入れられてきました。しか
し現在では、この概念には数多くの例外が存在していることが
わかっています。私たちの研究室ではそのような例外の代表格
である、非コードRNA(non-coding RNA; ncRNA)と呼ばれ
る「タンパク質に翻訳されずにはたらくRNA」に注目し、その
小さなR NA の一種であるs iR NA(くし)は、R IS C と呼ばれるエフェク
ター複合体(お )を形成することにより、自身と相補的な配列を持つ標的
mR NA (組みひも)を切断(はさみ)し、その発現を抑制します。
メディカルサイエンス群・学内協力講座
平成28年度の学生募集をします
超
准教授
平成28年度の学生募集をします
子機能構造解析
深井
野
幹細胞制御研究
周也
准教授
03-5841-7807
fukai@iam.u-tokyo.ac.jp
田中
野
稔
03-5841-0472
tanaka@iam.u-tokyo.ac.jp
タンパク質や核酸などの生体高
子は一定の立体構造に折り
成体の肝臓は生命を維持する上で必須の代謝器官であり、そ
子がはたらくメカ
の主要な機能を担う肝実質細胞(肝細胞)と肝非実質細胞(類
ニズムを解明するためには、立体構造を決定することが必要不
洞内皮細胞、肝星細胞、胆管上皮細胞、血液細胞など)から構
可欠です。X線結晶構造解析は、 解能の高さと解析可能な
成されています。肝発生過程においては、肝細胞と胆管上皮細
畳まって機能します。したがって、生体高
量の点において強力な立体構造決定法です。当
の生体高
子
野では、複数
子が特異的に相互作用して形成される複合体のX線
結晶構造解析を行なうことによって、複合体が担う細胞内外の
子シグナリングや反応の制御メカニズムを原子
解能レベル
胞は肝芽細胞と呼ばれる共通前駆細胞から
化してくることか
ら、肝芽細胞は胎児期の肝幹╱前駆細胞(LPC)と
えられて
います。当研究室ではマウス胎仔肝臓を構成する各細胞種に対
するマーカー
子を多数同定し、フローサイトメトリー解析や
で明らかにし、さらに、立体構造から予測される複合体の形成
細胞培養、遺伝子改変マウスを利用することで、LPCの増殖お
原理と機能発現メカニズムを、変異体を用いたin vitroおよびin
よび
vivoでの機能解析によって裏付ける研究を行っています。研究
方、成体肝臓においても重篤な肝障害時に出現するオーバル細
室の情報については、当
胞は肝再生に寄与するLPCであると
野 の ホーム ページ (http://www.
iam.u-tokyo.ac.jp/srro/)を参
にして下さい。
化に関わる細胞間相互作用を明らかにしてきました。一
えられていましたが、そ
の実体については長い間不明でした。当研究室ではマウスの
LPCマーカー
ンパク質
子として EpCAM と TROP2という2つの膜タ
子を同定し、セルソーターを用いた解析や細胞培養
系によりLPCの性状を明らかにしてきました。しかしながら、
成体肝臓における LPCの制御機構については不明な点も多く
残されています。本研究
野では、肝疾患時の再生過程におけ
るLPCの制御機構を細胞間相互作用を中心に明らかにするこ
とを目指します。また、新たに同定したLPCマーカー
には、炎症や線維化に関わる
現している
子の中
子や多くのヒト肝癌細胞株で発
子も含まれることを見出しており、現在、LPCと
肝線維化や肝癌発症との関連についても検討を進めています。
メディカルサイエンス群・学外協力講座
を用い、染色体DNA複製制御機構及び染色体の安定性維持機構
を解析している。明らかになった 子機構に基づき、これらの
臨床医科学講座
(東京都医学 合研究所)
過程が発生や
化の過程とどのように関連するか、又その異常
がどのように種々の疾患を引き起こすか、
新規
平成28年度の学生募集をします
臨床医科学
(東京都医学
教
授
に、疾患の治療の
薬の開発を目指す。⑵細
胞の増殖、
運命を決定する染色体ダイナミクスの制御機構(核内
染色体高次構造の制御メカニズム):長大な染色体の複製は、厳
野
密な時間的・空間的プログラムに従って秩序正しく進行する。
この過程は、核内染色体高次構造の制御と密接に関連し、転写・
合研究所)
田中
子標的の発見、制がん戦略・
組換え・修復等の染色体ダイナミクスとも連動する。私達は、
啓二
ゲノムワイドの染色体複製開始・進行の時空間制御機構のメカ
ニズムを解明し、染色体高次構造を制御する新規のメカニズム
03-5316-3337
tanaka-kj@igakuken.or.jp
と、それによる細胞の運命決定の機構を明らかにする。⑶染色
体複製の普遍的メカニズム・その起源と進化:大腸菌、
母、動物細胞
生体を構成する主要成
であり、生命現象を支える機能素子
であるタンパク質は、細胞内で絶えず合成と
裂酵
に変異マウスなど多様なモデル生物を用い、原
核細胞からヒトまで保存された染色体複製の普遍的メカニズム
解を繰り返して
の解明を目指す。特にゲノムのキャリアである染色体のB型ら
おり、きわめて動的なリサイクル(循環)システムを構成して
いる。実際、細胞内の全てのタンパク質は、千差万別の寿命を
せん構造以外の特殊DNA構造・核内での染色体の高次構築はそ
の配置がゲノム複製やゲノム機能発現をどのように制御するか
もってダイナミックに代謝回転(ターンオーバー)しており、
に注目している。 に、得られた知見からDNA複製の起源と進
生物はこの新陳代謝を通して良・不良を問わず不要なタンパク
化を
察する。(http://www.igakuken.or.jp/genome/)
質をクリアランス(細胞内を浄化)
するとともに、エントロピー
の増大(秩序から無秩序への劣化)を食い止め、生体の恒常性
維持を図っている。われわれは生命科学
上最も巨大で複雑な
准教授
タンパク質 解装置であるプロテアソーム(真核生物のATP依
存性プロテアーゼ複合体)とそのパートナーであるユビキチン
(
解シグナルとして働く翻訳後修飾
賞)の動態と作動機構について、
村上
誠
03-5316-3228
murakami-mk@igakuken.or.jp
子:2004年ノーベル
子から個体レベルまで多面
脂質は蛋白質、核酸、糖質と並ぶ重要な生体構成成
であり、
的に研究を進めている。このユビキチン・プロテアソームシス
脂質の代謝が正常に作動しなければ生命は成り立たない。脂質
テム(UPS)は多様な生体反応を迅速に、順序立って不可逆的
は栄養素として最大のエネルギー源であり、また細胞膜の主要
に進める手段として様々な生命現象に不可欠な役割を果たして
構成成
いる。高齢化社会を迎えた今日、UPSの破綻に伴って発症する
疾病が急増しており、タンパク質 解の生理と病態に関する研
十
究の重要性は、拡大の一途を
素群により
っている。
であるが、情報伝達
子としての脂質の機能は一般に
理解されているとは言い難い。膜リン脂質は情報伝達物質
の貯蔵庫であり、細胞外シグナルに応じて適宜リン脂質代謝酵
解代謝され、ここから種々の生理活性脂質が産生
そこで、UPSの 子基盤を解明することで生命の根幹を支え
る仕組みを明らかにするとともに、癌やパーキンソン病など
される。私達は、これら膜脂質代謝に関わる酵素群の動態、機
UPSの破綻によって引き起こされる疾患の発症機構の解明を
目指す。
情報伝達における脂質代謝ネットワークの重要性と位置づけを
(http://www.igakuken.or.jp/pro-meta/)
現象における各酵素の生理機能を解明し、これを体系化するこ
能、活性制御機構を
子、細胞、個体レベルで解明し、細胞膜
明らかにすることを目的としている。細胞・個体レベルの生命
とにより、特に代謝疾患
(メタボリックシンドローム)
、アレル
教
授
正井
久雄
03-5316-3231
masai-hs@igakuken.or.jp
ギーを含む炎症免疫疾患、癌、脱毛症、不妊症などの「医学的
解明・解決への社会的関心が高い病態」に脂質代謝ネットワー
クの量的・質的な異常が如何に関わっているかを明らかにする
ことを目指す。具体的には、脂質代謝に関わる酵素群の遺伝子
改変マウスの解析を基軸に、リピドミクスによる脂質
子の網
生物の生存と遺伝において、遺伝情報の正確な倍加(DNA複
羅的解析技術を展開して、それぞれの酵素が固有に関わる疾患
製)と娘細胞への伝達は最も基本的な生命現象の一つである。
とそれに関連する脂質代謝ネットワークの全体像を包括的に解
これが保証されないと、生命は存続できないことは言うまでも
明することを目標としている。
ないが、その過程に異常が生じると、遺伝情報の誤りの蓄積、
(http://www.igakuken.or.jp/lipid/)
ゲノムの不安定化がもたらされ、種々の疾患の原因となる。
私達は、このDNA複製の 子機構について主に3つの側面か
らアプローチしている。⑴ゲノムの安定性維持機構とその破
され、東京都医学
綻:増殖シグナル伝達、細胞周期は厳密に制御される。その破
所の新研究棟で研究を行なっています。
綻はただちに、細胞の異常増殖、種々の染色体異常等を引き起
所在地
こし、がんなどの疾患、或は老化の原因となる。私達は、大腸
電 話
菌・酵母・動物細胞(正常細胞、がん細胞、胚性幹細胞)
・個体
平成23年4月より臨床研、神経研、精神研の3研究所が統合
合研究所にとして新たに発足し、下記の場
〒156-8506 東京都世田谷区上北沢二丁目1番6号
03-5316-3100(代表)
メディカルサイエンス群・学外協力講座
る酵素機能改変、リボソーム工学による宿主機能改変を柱にこ
生命機能 子工学講座
(産業技術 合研究所)
れらの要素を組み合わせて微生物機能を自在に生み出します。
メタゲノミクスによる新規酵素の探索
平成28年度の学生募集をします
生命機能
(産業技術
教
授
環境中の微生物の大半は実験室での培養が困難な「難培養性
子工学
微生物」である。我々は環境から抽出した微生物ゲノムを直接
野
解析するメタゲノミクスの手法により、従来の培養に依存した
方法では入手困難な新規酵素の取得を行っている。Curr Opin
合研究所)
本田
真也
Biotechnol 20: 616-22 (2009); ISME J 3: 1335-48 (2009);
029-862-6737
s.honda@aist.go.jp
Environ Microbiol 9:2289-97 (2007)
進化
我が国の医薬品の輸入超過額は2兆円を超え、国民医療費の
多くが最終的に国外に流出しています。この医療経済の貿易不
衡は喫緊の社会問題で、そのような支出は、例えばあらたな
設備投資を導き
全な雇用を
出するような、国内経済に還元
される社会環境を整えなければなりません。このため
「日の丸」
印の医薬品の
出、とりわけバイオ医薬品
野における
薬と
生産の国産技術革新が求められています。我々は、
『知る生物
子工学による酵素機能改変
酵素を工業利用する際に、その物理化学的な脆弱性や副反応
などが実用化の妨げとなることが多い。我々は、進化
の基盤技術開発とそれを駆
子工学
した酵素・生体機能改変を行なっ
ている。J Biol Chem 281: 10236-42 (2006);Trends Biochem
Sci 26:100-6 (2001);J Mol Biol 297:1015-26 (2000)
リボソーム工学による宿主機能改変
る生物学へ』をモットーに、バイオ医
様々なニーズにあった宿主をカスタムデザインすることを目
薬・生産に資するオリジナルな基盤技術の構築をめざ
的に、リボソームの大規模な機能改変を行っている。またリボ
し、関連するタンパク質工学および合成生物学の研究を理論と
ソーム改変研究を通じ、リボソームの未知機能解明も行ってい
実験の両面から進めています。
る。Nat Commun 2:549 (2011):PNAS 109:19220-5 (2012)
学、操る生物学から、
薬品の
具体的な課題としては、独自開発の計算手法であるクロスプ
ロファイリング法を用いたタンパク質の
子進化の解析、エネ
ルギー地形探索に基づく人工タンパク質設計ソフトウエアの開
発、ファージディスプレイ法等の進化
質の構造化と機能化、
詳細は、ホームページを参照ください。
http://staff.aist.go.jp/miyazaki-kentaro/group/index.html
子工学によるタンパク
薬スクリーニングのための酵母の合成
生物学的改変、薬剤耐性遺伝子の耐性獲得機構の解析、バイオ
医薬品の体内動態向上技術の開発、翻訳後修飾機構を用いた医
教
授
富田
耕造
029-861-6085
kozo-tomita@aist.go.jp
療用タンパク質の高機能化、非イムノグロブリン骨格を有する
薬シーズ探索用ライブラリの構築、人工タンパク質をもちい
∼RNAが合成されて機能するまで∼ RNAはその鋳型であ
たバイオ医薬品質管理技術の高度化、などを行っています。こ
るDNAから転写された後、多岐にわたる加工プロセスを経て機
れらを通じて、生物システムの俯瞰的な理解と工学的価値のあ
能をもったRNAへと成熟化されます。富田研究室では、RNAが
る産業応用シーズの提供を目指しています。大学とは異なる
合成され、最終的に機能をもったRNAへと成熟化される一連の
囲気の国立研究所の中で少し変わった学生生活を過ごしてみた
“RNAプロセシング”過程に注目し、この過程に関わる蛋白
い人の入学を歓迎します。詳細はホームページを参照ください
質、蛋白質複合体装置の“機能”
、
“構造”
、
“進化”
、そして“制
(
「東大
御”の詳細な
本田研」で検索
)
。
http://unit.aist.go.jp/biomed-ri/biomed-mcb/ci/honda lab/
子機構を明らかにすること目指しています。具
体的にはRNA合成、RNAの代謝、RNAの成熟化、RNAの機能
付加に関わる酵素複合体に注目し、それらの蛋白質、蛋白質複
教
授
宮崎
合体の詳細な反応
太郎
子認識機構、
構の解明を、生化学、遺伝学、
029-861-6033
miyazaki-kentaro@aist.go.jp
子進化、制御機
子細胞生物学、構造生物学的
手法を用いて多角的に明らかにする以下の基礎研究を推進して
います。
微生物をプラットフォームとした合成生物学を展開していま
す。メタゲノミクスによる新規酵素の探索、進化
子機構、
子工学によ
メディカルサイエンス群・学外協力講座
1. 鋳型非依存的R NA 合成酵素の
反応の 子基盤
ポリA付加酵素やCCA付加酵素など、核酸性の鋳型を用いず
に特定の配列を合成する典型的な鋳型非依存的RNA合成酵素
の反応
子機構解析を
よって説明できるようになってきた。哺乳類における体内時計
の中枢は、脳内視床下部の視
叉上核に存在しているが、時計
遺伝子の発現は肝臓や心臓、血球細胞に至るまでほぼ全身にお
いて認められ、培養細胞においても自律的なリズムを刻む体内
時計の存在が明らかとなっている。
一方、体内時計は、睡眠障害やうつ病などの精神疾患や、癌、
子生物学的手法、構造生物学的手法を
取り入れて研究を進めています。これらの研究から核酸
(RNA)
糖尿病や肥満、高血圧といった生活習慣病の発症とも深い関係
の機能が蛋白質へ写し取られた進化
にあることが明らかとなってきた。当研究室では、体内時計の
子基盤をも明らかにする
リズム発振機構の解明とともに、睡眠障害や生活習慣病などの
ことを目指しています。
2. ウイルス由来R NA 合成酵素の
反応の 子基盤
疾患発症と体内時計との関連について、時計遺伝子を中心とし
た
子メカニズムの解明を目指した研究を行っている。特に、
睡眠障害に起因する様々な疾患の発症メカニズムを解明する目
ウイルス由来RNA依存的RNA合成酵素のうち、その機能発
的で、ヒトへの外挿が可能な遺伝子変異を伴わないストレス性
現に宿主の蛋白質合成に関わる翻訳因子を必要とする RNA合
睡眠障害(不眠症)モデルマウスを開発し、睡眠障害の発症メ
成酵素の複合体形成機構や制御機構解析を
カニズムの解明とともに、睡眠障害性の精神疾患や代謝性疾患
子生物学的手法、
構造生物学的手法を取り入れて研究を進めています。これらの
の発症メカニズムの解明を目指している。
研究から宿主翻訳因子によるウイルスRNA合成酵素の制御機
構を明らかにすると同時に、翻訳因子の起源をさぐることをも
目指しています。
3. 高次生命現象発現に関わる鋳型非依
存的R NA 合成酵素の制御 子基盤
細胞内外刺激に応答して特定のmRNAの発現を制御したり、
発生―
化をコントロールする低
子RNAの代謝発現を制御
することが報告されている、特殊な鋳型非依存的RNA合成酵素
群の反応制御
子機構の解析を
子生物学的、構造生物学的手
法を用いて研究を進めています。これらのRNA合成酵素複合体
のコンポーネントの解析、複合体形成機構解析、制御機構解析
は、医療、
平成28年度の学生募集をします
システム構造生物学
野
(高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所)
教
授
千田
俊哉
029-879-6178
toshiya.senda@kek.jp
准教授
加藤
龍一
029-879-6179
ryuichi.kato@kek.jp
薬への利用に向けた基盤となると期待できます。
人間の体は、およそ60兆個の細胞により構成されています。
発表論文:
. 2012, 19, p229.
各々の細胞は基本的には同一の遺伝情報を持っていますが、体
2010,
内には様々な性質をもつ細胞があり、
ヒトでは約200種類の細胞
2008, 27,
があるといわれています。この多様性は、細胞内で発現する遺
2011, 19, p232.
107, p15733.
p1944.
2009, 28, p3353.
2007, 449, p867.
2006, 443, p956.
2006, 25, p5942.
2004, 430, p700.
Web site:http://www.tomita-lab.net
伝子の差に起因すると
える事ができます。真核生物の細胞で
は、DNA 子は小さな核内に格納されています。しかしDNAは
非常に巨大な
子で、ヒトの場合、細胞内にあるDNAをつなぎ
合わせると2 mにもおよぶ事が知られています。このため、
准教授
大石
勝隆
029-861-6053
k-ooishi@aist.go.jp
DNA 子は核内でヒストンと言われるタンパク質等と複合体
を形成し、クロマチン構造というコンパクトな構造を取る事で
核に格納されているのです。しかしながら、クロマチン構造を
取る事で、遺伝情報を読み取るための
地球上のほとんどすべての生物には、地球の自転周期に一致
した約24時間周期の概日(サーカディアン)リズムを刻む体内
時計が存在している。哺乳類の時計遺伝子が初めて発見されて
から10年余りが経過し、体内時計のリズム発振機構が、時計
子間の転写調節を中心としたフィードバックループモデルに
子複合体がDNA 子と
相互作用ができなくなり、遺伝情報の読み取りが阻害されてし
まいます。つまり、遺伝情報を読み出すためには、クロマチン
構造がほどかれ、DNA 子に直接アクセスできるような状態に
なる事が必要なのです。実際に、真核生物の細胞中には、クロ
マチン構造の特定の場所をほどくための仕組みがあります。近
メディカルサイエンス群・学外協力講座
年の研究では、DNAやヒストン
子の化学修飾がエピジェネ
ティック情報として機能し、遺伝情報の読み出しパターンを制
御している事が
かってきました。つまり、これらの化学修飾
平成28年度の学生募集をします
は、クロマチン構造の形成や破壊をコントロールすることで、
感染制御 子機能解析 野
遺伝情報の読み取りをコントロールしているようなのです。重
(理化学研究所)
要な点は、このような化学修飾は親細胞から娘細胞に伝達され
教
る点です。エピジェネティック情報が親細胞から娘細胞に伝達
されることで、細胞の形質が世代を超えて維持されるのに役
立っていると
えられます。
これまでに、DNAの化学修飾の伝達に関しては精力的に研究
がなされ、その
子機構が明らかにされて来ました。これとは
授
間
陽子
048-462-4408
aida@riken.jp
准教授
竹嶋
RIKEN
伸之輔
048-462-4420
takesima@riken.jp
対照的に、ヒストンの化学修飾の伝達に関してはあまり多くの
ことが
の
かっていません。これは、ヒストンの化学修飾の伝達
子機構が極めて複雑な過程であることが原因と
現在、世界の死亡原因の約3割が感染症であり、今後その割
えられま
合は急上昇する恐れがある。近年、エイズ、SARS、インフルエ
す。つまり、核内には様々に化学修飾されたヒストンが無数に
ンザを初めとする新興ウイルス感染症が次々と現れているから
あり、しかもこれらを親細胞から娘細胞に運ぶタンパク質(複
である。我々の研究室では、新興ウイルス感染症であるエイズ
合体)の数も多く、全体として非常に複雑な過程になっている
と成人T細胞白血病を引き起こすヒトレトロウイルス (HIV、
のです。このような問題を通常の生化学的、生物学的な方法を
HTLV)およびそれに近縁であるウシレトロウイルス(BLV)
って解き明かす事は極めて困難です。しかしヒストンの化学
修飾の伝達の問題は、生物学
野において極めて重要で解くべ
き課題であるのです。
私たちのグループでは、上記の問題をヒストンのエピジェネ
ティック情報伝達に関わるタンパク質
基づいて解こうと
の完全な制圧システムの確立を目指している。これらの高度に
進化したレトロウイルスにのみ認められる調節遺伝子およびア
クセサリー遺伝子群に焦点をあて、それらの遺伝子産物と相互
作用する細胞内因子の作用機序の解明を通じて、レトロウイル
スの感染と増殖の新たな制御機構の発見とそれを標的にした抗
子複合体の立体構造に
ウイルス薬の開発を行う。また、ウイルスに抵抗性を示す宿主
えています。これまでに、立体構造に基づ
遺伝子の検索、ケミカルバイオロジー研究的アプローチによる
いた遺伝学的、生化学的な解析を行うことで、ヒストンの化学
ウイルス制御
修飾の伝達やその機能に関して、いくつかのモデルを提唱して
ルスの体内動態と細胞内動態の解析、ウイルス蛋白質
きました(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 4285-4290
因子との相互作用を可視化する新技術にも挑戦している。この
(2007),Nature, 446, 338-341 (2007),Proc. Natl. Acad. Sci.
ようなレトロウイルス研究から得られた新知見を他のウイルス
子の探索、
子イメージング技術を用いたウイ
細胞内
および細胞の普遍的な増殖制御機構の解明に役立てることを目
。
USA, 107, 8153-8158 (2010))
立体構造の決定には、主にエックス線結晶構造解析の手法を
っています。私たちの研究室は高エネルギー加速器研究機構
(KEK)内に位置し、シンクロトロン放射光施設であるフォト
ンファクトリー(PF)を容易に利用できる環境です。PFのタン
指す。(http://www.riken.jp/r-world/research/lab/spunit/
viral/)
主なテーマ:
1. HIV-1によるエイズ発症機構の解明と
薬の開発
2. ヒト・ウシレトロウイルスによる白血病発症機構の解明と
パク質結晶構造解析用のビームラインは極めて高性能で、これ
制御方法の確立
までに多くのタンパク質の構造決定に役立ってきました。また、 3. インフルエンザウイルスの複製機構の解明と
構造生物学研究センターには、最先端の機器を備えた生化学・
子生物学用の実験室があります。
上記のプロジェクトに加え、私たちの研究室では、ピロリ菌
由来の発がんタンパク質による細胞内シグナルかく乱の
子機
構の研究や(Cell Host Microbe,12, 20-33 (2012))
、生物学的、
産業的に重要な酵素の研究なども行っています。さらに、PFの
ビームラインにおいては、構造生物学用のビームラインの開発
も行っています。
私たちの研究室では、最先端の環境で私たちと一緒に研究を
したいというやる気のある学生を求めています。構造生物学の
研究をやってみたいという意欲のある学生は、是非、私たちの
研究室の門を叩いてください。
薬の開発
メディカルサイエンス群・学外協力講座
平成28年度の学生募集をします
がん
教
子標的治療学
(がん研究会
野
授
冨田
章弘
03-3570-0514
akihiro.tomida@jfcr.or.jp
がん化学療法センター)
当研究室では、がんに特徴的にみられる生体内での増殖環境
がん
子標的治療薬の臨床導入が進むにつれ、その有効性が
明らかになり、また副作用が比較的軽微であることから、がん
微小環境
に着目し、がん微小環境選択的な
子標的治療法
の開発研究に取り組んでいます。生体内においてがん細胞は、
子標的治療薬への期待はますます大きなものとなっています。 低酸素やグルコース欠乏といった劣悪な微小環境で生き
びる
子標的治療法の開発を目指し、
ため、正常細胞とは異なる代謝機構を備えるとともに、環境ス
標的となりうるがん転移機構・薬剤耐性化機構(藤田担当)
、が
トレスに対して適応応答し、自らを保護しています。そこで本
ん細胞の環境適応機構
(冨田担当)
、がん細胞のテロメア制御機
研究室では、遺伝子発現解析技術を応用し、低酸素やグルコー
構、がん幹細胞(清宮担当)といった多岐にわたる基礎研究を
ス欠乏などに対する適応応答を中心に、生体内における増殖環
展開しています。そして、その成果を基盤とした
境へのがん細胞の適応応答の解析を行っています。そして、微
当研究
野では、新しいがん
薬研究に取
小環境におけるがん細胞の適応応答を制御しがん細胞を選択的
り組んでいます。
に死滅させる、新しい
子標的治療法の開発を目指して研究を
進めています。とりわけ、UPRと呼ばれるストレス応答、低酸
素応答、糖代謝制御、翻訳制御、オートファジー、エピジェネ
ティック制御などに興味をもって研究を進めています。一方で、
臨床検体等での遺伝子発現解析を通じた、薬剤の有効性診断や
治療抵抗性がんに対する新たな
教
藤田
授
直也
(http://www.jfcr.or.jp/chemotherapy/department/genome/
03-3570-0481
naoya.fujita@jfcr.or.jp
当研究室では、がん
子標的探索の研究にも取り組
んでいます。
index.html)
子標的治療薬
製に向けた基礎研究・
薬研究として、以下の3つのテーマを中心に研究しています。
准教授
清宮
啓之
03-3570-0466
hseimiya@jfcr.or.jp
1)我々は転移がん細胞表面に発現している血小板凝集促進因
子を同定し、Aggrusと命名しました。この転移促進
の機能を阻害する中和抗体や低
子化合物を
子Aggrus
製し、転移阻害
薬として臨床応用することを目指しています。また、がん転移
関連
子の探索と血小板より放出される増殖因子によるがん転
移促進機構を解析しています。2)現在臨床で広く用いられて
いるがん
子標的治療薬は劇的な奏功率を示すものがあり、が
ん医療に大きな革新をもたらしています。しかし、これら薬剤
に対し著効を示した症例でも1年以内に耐性が生じてしまいま
す。我々はこの獲得耐性の
子機構を臨床検体を用いて次世代
シーケンサーと細胞生物学を駆
がん
子標的治療薬の
した解析を行い、より有効な
製を目指しています。3)幹細胞様形
質を持ったがん細胞(がん幹細胞)が、がんの転移・薬剤耐性
に関与していることが示唆されています。我々はがん幹細胞の
同定と共にがん幹細胞を標的にした治療法開発を行なっていま
す。
(http://www.jfcr.or.jp/chemotherapy/department/
fundamental/index.html)
当研究室は、がん細胞の普遍的性質である「不老不死性」お
よびがんの起源となる「がん幹細胞」に焦点をあて、その機構
解明と
薬応用を目指した基礎研究を推進しています。
1)細胞老化の時限装置として働く染色体末端構造、テロメア
に着目しています。テロメア合成酵素テロメラーゼの阻害剤や、
テロメア4重鎖(G-quadruplex)リガンドなど、がん細胞のテ
ロメア再生機構を破綻させる化合物の同定・
たながん
製を起点に、新
子標的治療法の開発を目指しています。
2)テロメラーゼの機能を促進するポリ(ADP-リボシル)化酵
素、
タンキラーゼに関する基礎研究を進めています。
タンキラー
ゼは発がんや幹細胞制御に寄与するWnt/β-カテニンシグナル
の促進因子でもあり、革新的制がん
薬シーズとして、阻害剤
開発とその臨床応用を目指した治療研究も進めています。
3)がん細胞集団の中でも特に腫瘍源性が高く、薬剤耐性や再
発の原因となるがん幹細胞が近年注目されています。我々は、
機能ゲノミクスや網羅的遺伝子発現解析により、がん幹細胞の
治療標的となる
子を追究しています。
(http://www.jfcr.or.jp/chemotherapy/department/
molecular biotherapy/index.html)
イノベーション政策研究講座
(バイオ知財コース担当)
バイオ知財コース
平成28年度の学生募集をします
バイオ知財コース
准教授
加納
信吾
04-7136-3715
kano@k.u-tokyo.ac.jp
准教授
山中
隆幸
04-7136-5524
yamanaka-takayuki@k.u-tokyo.ac.jp
○バイオ産業を発展させるためには、基礎研究と応用研究を結
びつけることが不可欠であるが、バイオ産業における基礎研究
と応用研究ではプレーヤーが異なるため、基礎研究の段階で応
用面における適切な期待値を算出し、先行的に研究活動に取り
入れることが重要である。
○基礎と応用の連結は、異なるプレーヤーをつなぐナショナ
ル・イノベーション・システムの価値連鎖をどのように設計す
るかというシステム設計上の問題であり、経験論的なケースス
タディを超えて、研究成果を産業に結びつけるための有効な技
術移転システムに関する新たな 析フレームワークの構築が求
められている。
○このためには、イノベーションの実態と知財戦略の相関を実
証的に 析することが必要であり、まずは起きているイノベー
ションそのものをどのように測定するかという一義的な問題に
社会科学的なアプローチにより正面から取り組んでいる。 に
はそれらを裏打ちした知財戦略やイノベーション活動を担った
組織や制度との関係を明らかにしていくことがこれからの知財
戦略に基づくイノベーション政策立案や企業戦略立案に重要で
あると私達は えている。
○「バイオ知財コース」では、バイオ 野の基礎研究を産業化
に結びつけるための知財戦略の系統的に学習する機会を広く学
生に提供すること、イノベーション 出と知財戦略との相関を
実証的に研究することを目的としている。
以下、本コースの特徴と、教育・研究内容を紹介する。
1. バイオ知財コース」の特徴
⑴ 知財 野、バイオビジネスでの豊富な実務経験者による教
育カリキュラムが編成されている。
⑵ 実証的な社会科学的アプローチによるイノベーション研究
を行うことで博士号の取得が可能。また、そのための研究イ
ンフラが構築されている。
⑶ バイオ 野に特化した知財戦略を研究することができる。
2. バイオ知財コース」の教育カリキュラム
⑴ バイオ知財法に関する実践的授業の開講
特許庁審査官経験者を含む知財の専門家により、知財に関す
る基本的な学習機会を提供している(バイオ知財法概論)
。ま
た、実際に先行技術調査を行い、発明をクレームとして表現す
ることで、知識の権利化における実践的な演習を行っている
(バ
イオ知財実務演習Ⅰ)
。
⑵ バイオビジネスの事業化におけるM OT教育
知財の事業化、ビジネスモデルの解析、産業 野としての医
療産業や医薬品産業に関する知識、スタートアップ企業の事業
計画立案、資金調達、大手企業との提携、組織などM anagement
of Technologyに関する基本的な概念や知識については初学者
に 慮した講義(バイオ知財戦略論)を用意しているが、具体
的な実例については、ベテランの弁理士、TLOの担当者、ベン
チャーキャピタリスト、アナリスト、製薬企業のアライアンス
担当者などの実務家に対して理論と実践を踏まえた講義と討議
を依頼している(バイオ知財実務演習Ⅱ)
。
3. バイオ知財コース」の研究内容
⑴ バイオ 野の知財戦略の 析
ライフサイエンス 野における知財戦略を議論するための基
礎となる研究に取り組んでいる。特にブレークスルーが起きた
ときに知財戦略はどうあるべきか、新たな研究領域が発生した
場合にどう取り扱われるべきかに着目している。
例えば、PCR特許やマイクロアレイ特許などバイオ 野にお
ける重要な研究成果に対して特許戦略はどう組まれたかについ
て特許ファミリー全体を対象としてクレーム概念と特許の成立
過程に着目する研究、ブランド薬とジェネリック薬を巡る攻防
に見られる医薬品のライフサイクルマネジメントの実証的な
析などに取り組んでいる。
⑵ 先端医療 野におけるイノベーションの測定
先端医療 野におけるイノベーションの実態を把握すること
目的とし、特許戦略、産学連携、企業戦略の実証 析の手段と
して特許DB・文献DBを用いたパテントメトリクス、ビブリオ
メトリクス 野の手法も用いるが、特定の技術・製品・企業に
焦点をあてて、研究開発活動の測定方法の開発を通じて、イノ
ベーション 出活動を実証的に 析していくことを目指してい
る。
例えば、カプセル内視鏡の研究開発における大手企業とベン
チャー企業の研究者ネットワークを時系列に比較して、各々の
コア能力の形成過程を 析する研究などを実施している。また、
よりマクロな視点に立ち、ライフサイエンス 野と他 野を比
較しつつイノベーションを測定するという観点からは、特許
類概念の変遷がイノベーションの発生に相当することに着目し
類概念の変 を用いてイノベーションの程度を 析する研究、
特許成立性に与える因子を代表的な技術 野で比較して定量的
に 析する研究も実施している。
⑶ 知的財産権とナショナル・イノベーション・システム
ナショナル・イノベーション・システムとしての我が国の制
度・組織、科学技術政策に関する研究を行っている。例えば、
独法化した大学において新たに設計された産学連携システムが
有効に機能しているかを検証するため、東京大学におけるライ
フサイエンス 野の20年間の産学連携の実証 析に取り組んで
いる他、バイオインフォマティクス 野における科学技術政策
の評価、新たに知財制度が組成過程にある中国と日本の比較制
度 析、
医療 野では
「レギュレーションの整備がイノベーショ
ンを誘発する」という観点に立ったレギュレーションとイノ
ベーションの相互作用に着目する研究などを実施している。
<留意事項>
○修士課程から「バイオ知財コース」を選択する場合、博士課
程で研究者に戻ることは難しいため、キャリアパス設計上の意
義付けを明確にしておく必要がある。
○社会人の博士課程入学にも門戸を開いているが、月例の研究
ミーティングと雑誌会への出席は義務であり、継続的にコミッ
トできることが条件である。
※「バイオ知財コース」に関する詳細は、次のURL参照。
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/bioipcourse/index.html
情 報 生 命 科 学 群
情報生命科学群のめざすもの
情報生命科学とは、生命科学と情報科学が融合して
生まれた最先端の学問
カリキュラムは、情報系・生物系に限らず、物理系・
野です。当専攻では、生命を
化学系・数理系・計測系など、どのようなバックグラ
システムとして理解するための幅広い研究を展開する
ウンドの学生が入学しても情報生命科学を基礎から学
とともに、この新しい
べるように配慮してあります。情報生命科学群の構成
野の将来を担う人材の育成を
行っています。
は、基幹講座に加えて、東京大学の
究所、産業技術
子細胞生物学研
合研究所、理化学研究所に所属する
バイオインフォマティクスは今や、生命現象を解き
協力講座、そして理学系研究科生物科学専攻の兼担教
明かすために本質的に欠かせない学問として広く認知
員による研究室などから成ります。これにメディカル
されています。ゲノム配列はもちろんのこと、遺伝子
サイエンス群、イノベーション政策研究講座の教員陣
発現、 子間相互作用、生体
子構造、生体内パスウェ
が加わることにより、情報系から生命系まで幅広い講
イ、遺伝子ネットワーク、細胞ネットワーク、生態系
義をバランス良く受講することができます。なお、情
構造といった様々なデータを情報科学的な手法や
え
報生命科学群の前身である旧情報生命科学専攻は、文
方を用いて解析し、新たな生命現象の理解や発見に繋
部科学省が世界トップレベルの教育・研究機関に与え
げていくことは、今日の生命科学における世界的な潮
るCOE(Center Of Excellence)プログラムにおいて、
流となっています。
バイオインフォマティクスの卓越した研究教育機関と
して2回連続して選ばれています(2004∼2008年度の
この潮流を作り出す大きな力となっているのが、網
21世紀COEとして「言語から読み解くゲノムと生命シ
羅的に生命科学データの計測を行うゲノミクス、プロ
ステム」
。2009∼2013年度のグローバルCOEとして
「ゲ
テオミクス、トランスクリプトミクス、メタボロミク
ノム情報ビッグバンから読み解く生命圏」
)
。
ス、エピゲノミクス、メタゲノミクスなどの
野の
称であるオーミクスの革新的な発展です。さらに、生
21世紀に入り、情報生命科学は、生命のふるまいや
命の構成要素と生命現象のダイナミックな振る舞いと
進化の
を、数理モデルと定量的な実験によって結びつけるシ
科学においても中心的な研究手段となっています。個
ステム生物学は近年大きな注目を集め続けています。
別化医療を目指した医学的な応用は言うまでもなく、
を解くことに留まらず、応用を目指した生命
例えば、ヒトの腸内や地球の特殊環境下で生息する微
これらの学問
野はそれぞれが密接に関わり合って
生物のゲノムが数多く読まれ、
康・地球環境・エネ
おり、切り離せるものではありません。
「情報生命科学
ルギー問題をも解決する手段として、様々な可能性が
(情報科学的なものの見方で生命科学を行う)」
という
広がり続けています。
言葉を
案したのはこのためです。情報生命科学群で
は、生命現象をシステム的に理解するための情報技術
や実験技術を開発でき、かつ、それらの技術を駆
し
て新たな生命科学の地平を切り拓くことのできる人材
を育成することを目指しています。
新しい発想や才能を秘めた学生の参加を心から歓迎
します。
情報生命科学群・基幹講座
ズムには
平成28年度の学生募集をします
が多いです。
■遺伝子破壊株のイメージ
大規模オーミクス解析
教
授
森下
野
真一
DNA配列がわかると、遺伝子をノックアウトもしくは強制的
に発現するようにDNAを改変することが可能です。必須遺伝子
の破壊は致死的ですが、非必須遺伝子の場合は表現型が微妙に
変化します。そこで出芽酵母のすべての非必須遺伝子を破壊し
た株の画像を撮影し、わずかな変化を捉え、機能推定に活かし
ています(図4)。
moris@cb.k.u-tokyo.ac.jp
http://mlab.cb.k.u-tokyo.ac.jp/
■生命の設計図DNAで変化する部
析
、不変な部
DNA(ゲノム)には幅広いスケールの変化が起こることが知
られています。
・数億年にわたる染色体の大規模な再編成
・種として かれた後の比較的小規模な変化 (遺伝的多様性)
・発生、 化の過程でおこるDNA修飾等
これらの変化が、遺伝子の機能を豊かにし、多様な生物を生
み、さまざまな疾患を引き起こします。そこで
DNAにはどのような変化が起きるか 」
不変量および不変な性質はなにか 」
を主題に膨大なDNAデータおよび画像データを情報
きました。同時に高速に
てきています。
析して
析するためのアルゴリズムも研究し
■染色体の大規模な変化
過去6∼10億年、脊椎動物や昆虫の染色体がどのように進化
してきたかを 析し、とくに1970年にOhnoが提唱した「脊椎動
物初期にDNA全体が2回重複し遺伝子セットを豊かにした」と
いう仮説を、ヒト、チキン、メダカ、フグのDNAを比較して解
明しました (図1)。
■個人D NA解読と疾患関連遺伝子の探索
数百万年から数十年のスケールでは、置換、挿入、削除等の
比較的小さな変化が生まれ、異なる表現型、たとえば遺伝病に
関与しています。この変化をとらえるには個人DNAを解読し比
較します。約30億塩基対の2倍体DNAを読むのは大変なことで
す。私たちは超高速解読装置(Illumina, PacBio)および超並
列計算機を って、個人DNAに起こる変化を1週間程度で 析
できるシステムを作成しています。これをもとに、東大病院と
共同で日本人固有の遺伝的多様性を 析しています。この結果、
「日本人の標準的DNA像」が明らかになりつつあります。ま
た、遺伝的要因の強いことが知られている脳疾患を対象に、関
図1
脊椎動物の染色体進化
(出 典 Nature, 447:714-719, 2007, Genome Research, 17(9):
1254-1265, 2007)
図2
クロマチン構造とD NA 変化は相関する
(出典
Science, 323(5912):401-404, 2009)
連する遺伝子の変化を探索しています。
■クロマチン構造、DNAメチル化、遺伝的多様性
伸ばすと約2mのヒトDNAはヒストン8量体に巻きつきク
ロマチン構造を形成し、直径10μmほどの小さな核の中に折り
畳まれています。DNAがコピーされ2つの核に 配される際に
長いひものDNAはなぜ絡まらないのか
遠く離れた位置に
コードされる遺伝子が協調して働くとき、折畳みにより近い位
置に配置されるのか
などの疑問にアプローチしています。
クロマチン構造に関して報告した面白い現象は、転写開始点下
流において、遺伝的多様性には周期性があり、クロマチン構造
と相関する結果です(図2)。また脊椎動物ではCpGのCがメチ
ル化されるとTへ変異しやすいですが、その周辺の塩基も変異
する傾向も報告しました
(図3)。DNA変化を導く背後のメカニ
図3
(出典
図4
低メチル化領域周辺ではD NA 変異が少ない
Genome Research, 22(8):1419-1425, 2012)
出芽酵母遺伝子破壊株(左)と画像
(出典
析(右)
PNAS, 102(52):19015-20, 2005)
情報生命科学群・基幹講座
めの重要な手掛かりは、他の
平成28年度の学生募集をします
の多くはタンパク質と複合体を作ることによって機能するので、
ゲノム情報解析
教
授
浅井
子との相互作用です。RNA 子
野
機能が既知のタンパク質との相互作用があると解れば、機能を
り込むことができます。また、RNA 子は、他のRNA 子と
相補塩基対を作ることによって配列特異的にターゲット RNA
潔
を認識します。当研究室では、非コードRNAの機能解明に貢献
asai@k.u-tokyo.ac.jp
http://asailab.cb.k.u-tokyo.ac.jp/
するため、RNA・タンパク質相互作用、RNA・RNA相互作用
を情報処理によって予測する研究も行っています。これらは、
当研究室では、生命の情報学の立場からの理解を目指した研
究をおこなっています。その基盤として、確率的な枠組みを中
心とした数理的な理論を重視しており、新しいアルゴリズム・
巨大な計算機パワーを必要とするので、
「京」コンピュータを
った予測も行いました。
■ゲノム配列設計
ソフトウェアの開発とその応用に取り組んでいます。
工的なゲノム配列を設計する研究も行っています。参加してい
■ゲノム情報解析
ゲノム塩基配列は、単なる文字列ではなく、その背後には物
質としての構造があり、複雑な生命現象のメカニズムが隠れて
います。「見る」ことができる文字列の背後に、
「意味」が隠さ
れているのです。近年の研究で、ゲノムは動的に制御されてい
ることが明らかとなり、発生・細胞
微生物に目的物質を効率的に産させることを目的として、人
化、癌などとゲノム構造
の変化、エピゲノムとの関係が注目されています。ゲノム配列
は、我々が手にすることができる生命情報の中で最も精度の高
いデータですから、ゲノム配列に隠された「意味」を見出す研
る経済産業省のプロジェクトでは、設計したDNA配列が合成さ
れて微生物に導入され、物質の生産性を測定して次の設計に生
かしていく研究開発を行っています。このような設計では、遺
伝子群のmRNAへの転写効率とともに、mRNAの翻訳効率も
目的とする物質の生産が向上するように最適化しなければなり
ません。配列情報解析技術、RNA情報解析技術をさらに発展さ
せるだけでなく、翻訳効率とRNAの構造の関係など、研究課題
も豊富です。
■主な研究プロジェクト
究は極めて重要なのです。
浅井研では、遺伝子予測、ゲノム比較など、ゲノム情報解析
新学術領域研究
「生命科学系3
のためのソフトウェアを数多く開発してきました。特に近年は、
新型の高速シークエンサーからの巨大な配列データを効率的に
処理し、かつ確率的な基盤に基づく情報を抽出するための手法
を開発しています。
科研費基盤A「RNA・タンパク質相互作用の網羅的予測と検
証」
HPCI戦略プログラム1「予測する生命科学・医療および
経済産業省「革新的バイオマテリアル実現のための高機能化
以前は、mRNAとして転写されてタンパク質に翻訳されるタ
ンパク質コード遺伝子と、その転写の制御にかかわるプロモー
タなどの制御配列だけが、ゲノム配列中で重要な領域であると
えられていました。しかし、RNA干渉やマイクロRNAの発見
ゲノムデザイン技術開発」
(産
が、翻訳抑制とどまらず、様々な細胞内の現象に重要な役割を
担っていることが明らかとなりました。
当研究室のメンバーとその共同研究者たちは、最も信頼性の
高いRNA2次構造予測ソフトウェアCentroidFoldをはじめ、
RNA配列・構造の情報解析で世界をリードする理論・ソフト
ウェアを数多く生み出してしてきました(http://www.ncrna.
org)。
RNA情報解析の急激な進歩は近年に集中しているため、大規
模なゲノム情報解析には、その成果が十
に生かされていると
は言えません。最新のRNA情報解析技術を駆
することによっ
て解決しそうな研究テーマが数多く残されています。
が浅く、その多くは機能
かっていません。機能未知の非コードRNAの機能を知るた
研)
経済産業省「次世代治療・診断実現のための
薬基盤技術開
発」
■研究環境
以降、転写されるが翻訳されず、かつ機能をもつ非コードRNA
が
薬
基盤」
■R NAのバイオインフォマティクス
機能性の非コードRNAは研究の歴
野支援活動」
(情報解析支援)
当研究室は、本専攻の連携大学院も拠点としている、産業技
術
合研究所の臨海副都心センター(お台場)と連携し、研究
活動を行っています。現在、研究員、学生は全員、お台場で快
適に研究しています。産
研では、研究室の枠にとらわれるこ
となく、バイオインフォマティクスの専門の研究者と日常的に
流し、研究討論やセミナーにも参加することができます。
当研究室では、学生の自主性を尊重し、学生自身が興味を持
つテーマを掘り下げ、研究室内外のメンバーとの議論を通じて
研究を進めていく方式を取っています。数理的な理論や、プロ
グラミング技術を習得しながら、学生自身の興味と資質に応じ
で研究を進めていくことができます。また、生物学に関する知
識の乏しい学生であっても、それに合った研究テーマが見つけ
られるように配慮しています。
情報生命科学群・基幹講座
な「パッセンジャー変異」から区別するのは依然として困難で
平成28年度の学生募集をします
生命システム観測
教
授
鈴木
ある。特に遺伝子発現制御に異常をきたす変異については、重
要性が指摘されつつもその同定から検証にいたる方法論に定式
野
がない。当研究室では、培養がん細胞株をモデルにゲノム変異、
エピゲノム変異、トランスクリプトーム変異を相互に対応させ
穣
て計測する系を構築、その相互依存性を検証することで、これ
ysuzuki@k.u-tokyo.ac.jp
http://www.cb.k.u-tokyo.ac.jp/suzukilab/
らの問題解明に取り組んでいる。また、それらががんの転移、
薬剤耐性の獲得といったがんの再発時にどのように改変される
のかについてのデータ収集、データベースの
開を進めている。
当研究室では、ヒトゲノム配列に生じた多型、突然変異がど
のような生物学的意義を持って、最終的に疾患の病因として寄
与するのか、エピゲノム、トランスクリプトームといった様々
なオミクス階層について、実験的、情報学的手法を駆
し多角
的に解析を進めている。
近年の次世代シークエンサー技術の進展により、ヒトの全ゲ
ノムあるいは全エキソーム解析(後述)から疾患関連遺伝子を
同定、あるいは診断に応用しようという試みが急速に加速して
いる。しかし見出された変異がどのような
子機序を持って疾
患に寄与しているのか、その生物学的意義は必ずしも明らかで
はない。一方で、圧倒的なシークエンス産生能を背景に、DNA
のメチル化部位、あるいは特定の修飾を受けたヒストン部位お
よび種々の転写因子に結合するゲノム部位を解析するいわゆる
エピゲノム解析、あるいは転写産物を解析するトランスクリプ
トーム解析も広く行われている。当研究室では以下に示す応用
2. 汎遺伝子発現制御についての計測技術開発と
モデル化
途について、多階層から得られたオーミクスデータの統合を行
うことで、疾患と関連付けられたゲノム変異の生物学的意義の
解明を試みている。また同時に、次世代シークエンス技術、シ
ングルセル解析技術、1
子シークエンス技術等の新技術を基
盤に、現在、計測することができないオミクス階層について新
解析技術の開発を行い、国内有数のシークエンス拠点として全
国の研究者に提供している。
近年のトランスクリプトーム研究から、遺伝子発現は転写開
始段階だけでなく、RNAの伸長、移送、
解の各段階におい
て、精密に制御されていることが明らかになっている。当研究
室では、最新のオミクス計測技術を基盤にこれらの制御要素の
各段階において対応する新技術を開発、得られたデータを解析
することでそのモデル化を行っている。例えば、ゲノム塩基の
置換がどのようにプロモーター活性に影響を及ぼすか、人為的
に変異を導入したDNA配列を飽和規模で配列-活性相関を測定
する実験系を開発し、機械学習等の手法を用いてデータ解析を
行うことで予測モデルの構築を行っている。最終的には、遺伝
子発現量を規定する要素としてのクロマチン構造、mRNA 解
速度等についてもモデルに取り込み、汎発現制御機構について
のモデル化を目指す。これにより臨床検体において見出される
ゲノム多型・変異について、モデルの演繹から生物学的意義を
推定することが可能になると
えている。
3. 野外株を用いた感染症ゲノム解析
感染症ゲノム解析の
1. がんゲノム解析
野において、野外株感染時のヒト免疫
細胞の応答は、研究室環境でモデル化したものと大きく異なる。
本研究室はインドネシアに野外活動拠点を持ち、特にマラリア
当研究室では多くの病院、臨床研究機関と連携して、肺がん、 原虫感染時の寄生虫-宿主応答を中心に多階層オミクス解析を
行っている。同一環境の中で相互に相克する生物種間での遺伝
大腸がん、食道がんをはじめとして多くのがん種について、ゲ
ノムに生じる体細胞突然変異の同定を行ってきた。その結果、
子発現プログラムの相互干渉を明らかにしようという試みであ
p53、KRAS、EGFR遺伝子等の代表的な遺伝子を例外に、多く
る。
のがん症例においてそれぞれに共通する変異遺伝子はまれであ
ることが明らかになった。症例間相互の共通項の比較が困難で
参
あるために、発がんの主たる駆動力になる「ドライバー変異」
次世代シーエクエンス目的別アドバンストリファレンス:秀潤
文献
と、がんにおけるゲノムの不安定化の結果生じる機能的に中立
社.:菅野純夫、鈴木穣
情報生命科学群・基幹講座
平成28年度の学生募集をします
大規模知識発見
教
授
津田
野
宏治
Koji.tsuda@gmail.com
http://www.cbrc.jp/ tsuda/
(移設予定)
図2
本研究室では、大量かつ多様なデータから、信頼できる知識
秘密計算によるプライバシ保護データマイニング
を高速に発見するための数理手法に関する研究を行う。データ
中心科学の拠点として、生物学、化学、薬学、エネルギー・環
いまま処理する秘密計算技術を開発する。特に、GWASデータ
境など、どのような科学
を秘匿したまま、形質に関連した多型を特定する方法や、秘密
野からのデータでも、その本質を素
早く見抜き、高度なアルゴリズムを駆
して、重要な知見を発
見することができる人材の育成を目指す。
計算による配列アラインメントなどの課題に取り組んでいる。
機械学習・データマイニングの基礎研究
組合せ効果の多重検定法
自然科学で得られるデータ量は増加の一途をたどり、これら
本研究室では、生命科学での応用に向けて、高速な機械学習・
データマイニングの基礎研究も行っている。例えば、
子構造
を有効に解析できる方法が望まれている。しかし、従来の統計
などグラフ構造を持つデータから、毒性などの性質を予測し、
検定手法では観測できる対象が増えれば増えるほど、発見の基
同時に、重要な役割を持つ部
準を厳しくしなくてはならない。特に、複合的な組み合せ因子
[2]
。また、対象データから高速に類似ペ
gBoostの開発を行った
に対して極めて保守的な検定値(P値)を出すことが多く、有
アを発見するアルゴリズムにも力を入れている
[3]
。
これらの手
意義な実験結果が不当に低く評価されることがあった。本研究
法は、ゲノム・エピゲノム・代謝物データなど、マルチ・オミッ
室では、超高速アルゴリズムの技法を用いて、従来法より、格
クスデータの解析に利用できると
構造を特定するアルゴリズム
えられる。
段に精度の高いP値を算出する新手法LAM P (Limitless Arity
[1]
。転写因子の組み合
M ultiple-testing Procedure)を開発した
わせ効果の研究をはじめ、複数の遺伝子が原因となっている疾
患の同定や多数の部位が関わる脳の高次機能の解明など、複合
要因に起因する現象の解明が加速されることが期待される。
図3 G B O O S T[2]によって発見された部
参
グラフ特徴
文献
[1] A. Terada, M. Okada-Hatakeyama, K. Tsuda and J.
Sese : Statistical significance of combinatorial regulations, Proceedings of the National Academy of Sciences
図1
LAMP による多重検定
高機能暗号によるプライバシ保護マイニング
of the United States of America, 110(32): 12996-13001,
2013.
[2] H. Saigo, S. Nowozin, T. Kadowaki, T. Kudo, and K.
本研究室は、JST CRESTプロジェクト
「自己情報コントロー
Tsuda. gBoost:A mathematical programming approach
ル機構を持つプライバシ保護データ収集・解析基盤の構築と個
to graph classification and regression.Machine Learning,
別化医療・ゲノム疫学への展開」に参加しており、ゲノムデー
75:69-89, 2009.
タに関するプライバシ保護マイニング技術の研究を行っている。 [3] K.Shimizu and K.Tsuda.SlideSort:All Pairs Similarこのプロジェクトにおいては、ゲノムデータを扱う際に個人情
ity Search for Short Reads. Bioinformatics, 27(4):
報が漏えいすることを防ぐため、準同型暗号、属性ベース暗号
464-470, 2011.
等の高機能暗号を用いて、暗号化したデータを一度も複合しな
情報生命科学群・基幹講座
くアルゴリズムやソフトウェアなどを開発し、手工業的な生物
平成28年度の学生募集をします
大規模バイオ情報解析
講
師
笠原
学の世界に「ゲノムサイエンスの産業革命」をもたらすことを
野
雅弘
mkasa@k.u-tokyo.ac.jp
http://ka.cb.k.u-tokyo.ac.jp/
目的に研究している。
数千・数万人のゲノム配列の「違い」を高速に解析す
るアルゴリズムの研究
従来のゲノム配列比較アルゴリズムはせいぜい数種の全ゲノ
ム配列を比較する「全ゲノム比較解析」と、1種類の「その種
の標準的なゲノム配列」に対して数百∼数千人(個体)
1990年にスタートした国際ヒトゲノム計画では、ヒトゲノム
1人
のゲ
ノム配列を付き合わせて比較するアルゴリズムだけが存在して
のゲノム配列を解読するために13年間の歳月と3000億円
いた。しかし、現在では、個人間のゲノム配列にはかなりの構
の費用を要したが、2014年1月に Illumina 社が発表した最新
造的な差異等があり、
「ある種の標準的なゲノム配列」
なるもの
のDNA配列シークエンサー HiSeq X Tenは、たった1日と約
をそもそも定義することが難しいことが
10万円でヒトゲノム一人
のゲノム比較をn回繰り返してもn人のゲノム比較としては不
のゲノム配列を解読できる。技術革
新により毎年数
の1になっていたDNA配列決定のコストは、
20年の間に300万
の1になってしまった。
言い換えると現代で
は世界中で 300万人
のヒトゲノム配列を決定することすら絵
かってきた。1対1
適なのだ。
そこで、本研究室ではグラフと呼ばれる数学構造をベースに
数万人のゲノム配列を
体として扱い、ゲノム配列の違いと表
空事ではなくなってきている。このペースで技術革新が続けば
現型の違いを効率的に結びつけていくアルゴリズム手法を研究
10年後には毎年数億人の新生児についてゲノム解読を行ってい
している。
るかもしれない。
このようなDNA配列シークエンサーの劇的な運転コスト低
下はゲノム配列の比較を行う学問領域に革命をもたらした。従
来はコスト的に不可能だった、ヒトの個人間のゲノム配列の差
ゲノム配列の「違い」から「意味」を理解するための
解析アルゴリズムやシステムの研究
ゲノム配列を眺めていても、その機能や構造は
からない。
異、あるいは動物や昆虫・植物の個体間のゲノムの差異を調べ
ゲノム配列の一部を取り出して、その「機能」を確定させるに
ることが可能になってきたのである。数万人のヒトゲノム解析
は、集約された知識と個別にデザインされた、ある意味職人芸
結果が明らかになるにつれ、同じ種の個体間でもゲノム配列に
的とも言える地道な実験による実証が従来は必要であった。
はかなりの多様性があり、ヒトのゲノムですら一人一人にかな
りの違いがあることが
しかし、ゲノム情報の読み取りコストが下がった今、ゲノム
かってきた。このような比較解析の最
入れ宇と表現型が異なったヒト(あるいはそれ以外の種)の検
大の応用例は遺伝病の原因遺伝子探索である。数百人から数万
体を大量に用意しゲノム配列決定及び表現型との関連探索を計
人ものヒトゲノムを解析することで、遺伝病の原因遺伝子は
算機上で行うことにより、ゲノムの「機能」をほぼ確定させる
次々に同定されており、過去2∼3年間に見つかった疾患の原
可能性が出てきた。ジェノタイプ、タンパク質の立体構造・相
因遺伝子数はそれ以前の累積数を超えている。また、農業や畜
互作用、パスウェイ、オーソロジー、など、利用可能なあらゆ
産などの領域でも、
「美味しい」
「害虫に強い」
「異なる気候に適
る情報を駆
応できる」などの形質を生み出す遺伝子を次々に同定している。
から工場制機械工業によるサイエンスに転換する手法を研究し
しかし、このようなDNA配列決定のコスト低下に対して情報
してゲノムの「機能」決定を職人芸のサイエンス
ている。
解析手法の進歩は遙かに遅い。コンピューターの速度向上を遙
かに上回るスピードで増えたゲノム情報を解析するためには、
ゲノム比較解析アルゴリズムの改良、新しい計算ハードウェア
大規模観測データ解析ためのプライベートクラウドミ
ドルウェアの開発・研究
の活用、ソフトウェア開発手法の改良、実験手法の改良など、
データ量の増加に伴って、プログラミングのコストはそれ以
ありとあらゆる面から速度向上・コスト低下を図らなければな
上に大きく増加している。我々は、生命科学に特化して、膨大
らない。現在では、数千人・数万人のヒトゲノムを解析するに
なデータから効率よく仮説検証を行うために、大容量データに
は10億円以上のスーパーコンピューターが必要となっており、
対して効率よく並列計算を行うプログラムを、研究者が短期間
もし指をくわえて傍観すれば、
ほんの数年でデータ量は100倍に
になるべくバグを出さずに開発することができるような
なり、1000億円のスーパーコンピューターが必要になってしま
ミドルウェアの開発を行い生命科学研究に応用していく。
利な
うだろう。また、現状でも既にゲノムの比較解析は情報解析が
ボトルネックとなっている。
本 研 究 室 で は 最 新 の 高 性 能 科 学 技 術 計 算( High-
研究体制など
研究は、なるべく実験を行っている他研究室と共同して進め
Performance computing; HPC)手法を用いて数千∼数十万人
るようにし、やりがいのある研究ができる環境を目指している。
(個体)のゲノム配列を効率良く解析し、ゲノム配列の「違い」
他研究室とは独立のテーマもいくつか用意している。
と表現型の「違い」の間の関連を系統的な手法で結びつけてい
情報生命科学群・基幹講座
タを用いて、RNAの構造進化に関する研究を行なっています。
平成28年度の学生募集をします
生命ネットワーク解析
准教授
木立
(図2)
野
尚孝
kiryu-h@k.u-tokyo.ac.jp
http://www.cb.k.u-tokyo.ac.jp/kiryulab/
がんゲノムの進化
がんは、細胞が無制限に増殖する病気であり、DNAへの変異
の蓄積がおもな要因です。多くのがん種では、細胞
に、ゲノム中にさまざまな塩基変異を蓄積します。この、がん
ゲノムの変化の過程は、生物種
木立研究室では、ゲノム配列、マイクロアレイ発現データ、
次世代シーケンサーデータなど、ゲノムスケールの大規模生物
情報から、統計的手法により、新しい生物学的事実を発見する
研究を行なっています。また、そのために必要となる確率的、
数学的手法を開発することにも力を入れています。
1990年代に初めて生物の全ゲノムが解読されてから、これま
裂のたび
化の際のゲノム進化と似てお
り、進化学や遺伝学の手法を用いて、がんの進行過程を調べる
ことができます。私たちは、集団遺伝学で
われるマルコフ過
程や合祖理論を用いて、がんゲノムのシーケンシングデータか
ら、がんの増殖過程を推定する手法の開発を進めています。ま
た、推定された、がん組織の定量的なデータからがんが転移・
再発する確率を予測する手法、の開発を目指しています。
で微生物からヒトまで数千の生物種についてゲノムの解読が行
われました。大規模なデータ計測の対象は、ゲノム配列のみに
とどまらず、RNA、タンパク質、代謝物質、DNAの修飾状態な
ど、生命活動を構成するさまざまな要素へ広がっています。し
かし、これらの大規模データの本格的な解析は始まったばかり
で、まだまだ多くの課題が残されています。私たちは、ぱっと
みただけでは
からないようなデータの微妙な特徴を、複雑な
統計計算であぶりだし、データに潜む、生物学的に深い真実を
発見することを目指しています。
R NA 構造の機能と進化
図2 左:開発した系統樹プログラム P ro bP ars e を用いて計算された
ヒトを含む28種の脊椎動物の局所進化系統樹。右:P ro bP ars e で計
算したマイクロR NA 領域の塩基置換パターン。
胚発生と細胞
化のシミュレーション
動物の胚発生では、受精卵の卵割に始まり、原腸形成、胚葉
ゲノムにコードされているタンパク質遺伝子の発現には、
化などを経て、臓器、骨、筋肉などが形成されます。このよ
メッセンジャーRNA、転移RNA、マイクロRNAなど、様々な
うな動物のマクロスコピックな変化は、細胞内の転写ネット
RNA 子が関わっています。多くの RNA 子は、A-U、C-G、
ワークと、モルフォゲンなどを介した生体環境との相互作用に
G-Uなどの塩基ペアが水素結合した、二次構造を形成します。こ
より、精密に制御されています。しかし、このような制御メカ
の、二次構造形成のエネルギーは比較的大きく、遺伝子発現の
ニズムを、転写因子結合・ヒストン修飾などのシーケンシング
制御や効率に大きな影響を与えています。RNA二次構造につい
データから推定する技術は、まだまだ未熟な状態です。私たち
ては、確率文脈自由文法とよばれる情報科学的概念に基づく非
は、数理生物学における、微
常に精密なモデルがあり、これを用いて、RNA構造のいろいろ
バイオインフォマティクスにおける、ベイズ推定に基づく遺伝
な性質を計算機上で調べることができます。私たちはこのモデ
子ネットワーク解析手法とを融合することにより、マクロスコ
ルを駆
して、マイクロRNA・RNA結合タンパク質の結合、選
ピックな胚発生過程とミクロスコピックなシーケンシングデー
択的スプライシング、メッセンジャーRNAの翻訳など、RNAが
タとを関連付ける手法の開発を進めています。これを用いて、
関わるさまざまな生物過程について、構造科学的な観点から研
シーケンシングデータから、動物の発生過程の推定やシミュ
究をしています。
(図1)
また、
脊椎動物やヒトの集団ゲノムデー
レーションを可能にすることを目指しています。
方程式を用いた胚発生モデルと、
共同研究、連携先
産業技術
合研究所・生命情報工学研究センターのグループ
と緊密に連絡をとり共同研究を行っています。
研究体制
当研究室は、実験設備を持たないドライ系の研究室であるた
め、自前で生物実験を行うことはなく、
図1 R NA のアクセシビリティを計算するツールR acces s によるゲノ
ムスケールの配列解析。R acces s はR NA 転写物の全ての領域につ
いて、その領域が二次構造を形成しない露出した領域であるかどうかを
確率値として与えます。
究先の実験データを用いて、計算機を
なります。
開データ及び共同研
った研究を行うことに
情報生命科学群・学内協力講座
平成28年度の学生募集をします
生物情報科学
野
(大学院理学系研究科 生物科学専攻)
教
授
高木
利久
2. 相互作用に基づく生命システムの解析
生命システムは生体
子間の相互作用を通して高度な機能を
実現している。従って、複数の生物種における生体
子間の相
互作用やネットワークを比較し、複数の生物に共通する、ある
いは、ある生物特有の局所構造を切り出し、それらが実現して
いる生体機能と対応づけることが重要である。我々の研究室で
tt@bs.s.u-tokyo.ac.jp
http://takagilab.bi.s.u-tokyo.ac.jp
はこのような研究に必要な情報技術の開発およびシステム開発
に取り組んでいる。
3. オントロジー構築
知識処理技術を用いた生命システムの再構築
生命をシステムとして理解するためには、ゲノム配列やタン
パク質立体構造だけでなく、発現、局在、相互作用、パスウェ
イ、ネットワーク、表現型などのさまざまな種類のデータ、お
よび、それらの間の関係や生物学的な制約や文脈などに関する
知識などを統合し解析すること、すなわち、計算機上に生命シ
ステムを再構築し、その性質、特徴、振る舞い、などを調べる
ことが不可欠である。このような
えのもとに、我々の研究室
では、次に掲げる研究テーマに取り組んでいる。
1. 文献からの知識抽出
パスウェイやネットワークなどの生命メカニズムに関する知
識やそれの根拠となった実験事実の多くは、論文や教科書にテ
キスト(英文)や図表の形で書かれている。そこで、膨大な文
献の中に埋もれたこれらの知識を自然言語処理や情報検索の技
術を
い効率的に取り出す手法を開発している。より具体的に
は、タンパク質や遺伝子、化合物、疾患等の様々な医学生物学
的概念に関する情報と概念間の関係性の自動抽出のための技術
を開発している。また、抽出した知識を用いて実験データを解
釈し、新たな知識発見を支援するシステムの開発を進めている。
その他、複数の文献に書かれている内容を俯瞰するための手法、
ポンチ絵や画像の検索システム、自然文での質問に回答するシ
ステムの開発などをあわせて行っている。
ゲノムの配列は ATGCの4種類のアルファベットの並びで
簡単に表現できる。しかしながら、生体機能や生体メカニズム
などに関する複雑な知識をその本質を損なうことなく計算機上
に表現することは容易ではない。また、複数の生物のシステム
を比較解析するには、機能に関する表現などの統一を図る必要
がある。生体機能や生体メカニズムに関する記述法の開発やそ
の標準化のことをオントロジーと呼ぶが、我々の研究室では、
パスウェイやネットワークなどを中心にオントロジー構築を進
めている。
4. データベースの統合化技術
生命システムを理解するには、さまざまな種類のデータや知
識を統合し、そこから新たな知識発見を行うことが必要である。
そこで、DBCLSやNBDCなどのデータベースセンターと連携
して、RDFなどの知識表現技術を用いて複雑な生物情報を統一
的に表現する技術の開発を行っている。また、これらを用いて
多種多様なデータベースの統合化に取り組んでいる。
5. 大規模データの表現手法の開発
個々の研究者がこれまで
えられなかった量のデータを扱う
ようになる中、大規模データを効果的に生物学的な解釈につな
げるためのデータ表現手法の開発を行っている。例えば、オー
ミクスデータはしばしば巨大で複雑なネットワークとして、直
感的な解釈が不可能な形で表現されるが、これをGoogle M aps
のように動的に情報を抽象化、解釈可能な形で表現するネット
ワーク解析法を開発している。
情報生命科学群・学内協力講座
平成28年度の学生募集をします
生物情報科学
野
(大学院理学系研究科 生物科学専攻)
教
授
黒田
真也
skuroda@bs.s.u-tokyo.ac.jp
http://www.kurodalab.org
私たちの研究室では生命現象を制御するシグナル伝達経路を、
図2
インスリンの波形の違いにより異なる
子を制御
細胞外環境の情報を伝達するための「通信路」とみなしその特
性を理解することを目的としています。特に、
子の活性化な
どの時間パターンに情報を埋め込む「時間情報コーディング」
の概念を世界に先駆けて提唱しています。シグナル伝達経路は
ることを見出しています。
細胞運命決定機構:PC12細胞では成長因子の刺激に応じて
ERKが活性化し、増殖または神経
化が誘導されますが、ERK
複雑な相互作用により成り立っているため、従来のように個々
活性化が一過的な場合には増殖が、持続的な場合には 化が誘
に理解できません。 導されます。つまりERK活性化の時間パターンにより細胞の運
そこで、私たちはシミュレーションモデル構築と細胞内の 子
命が決定されます。私たちは刺激の増加速度と最終濃度がそれ
の
子を生命現象に関連づけるだけでは十
ダイナミクス計測を密接にフィードバックさせることにより、
ぞれ一過性あるいは持続性ERKの活性化を制御していること
シグナル伝達経路の振る舞いを予測できるモデルの構築を行っ
をシミュレーションから予測して実験により実証しました。現
ています(図1)。さらに、複雑なモデルをシンプルにしてシグ
在、ERKやc-FOSなどの
ナル伝達の振る舞いの本質を抽出します。このようにヒトを含
む哺乳類を中心としたシグナル伝達機構のシステム生物学が私
たちの研究テーマです。
子の活性化などを一細胞レベルでの
布データをもとに、シグナル伝達経路がどの程度正確に情報
が伝達できるかを情報理論の観点から解析しています。
2. トランスオミクス:私たちは個別の研究によるボトム
アップアプローチの限界を克服するため、複数階層を網羅的に
測定し、多階層にまたがる大規模ネットワークを同定するトッ
プダウンアプローチである「トランスオミクス解析」の手法を
確立しました。現在までに、インスリン作用を題材に、メタボ
ロームやリン酸化プロテオームの共同実験を行い、多階層にま
たがる代謝調節経路をデータドリブンに同定しました(図3)。
これによりインスリン作用の経路の全体像が初めて明らかにな
りました。この手法により、さまざまな生命現象のネットワー
クの全貌を明らかにすることができます。
図1
システム生物学の解析の流れ
1. シグナル伝達機構の情報コーディング
インスリン作用:インスリンは血糖を下げる唯一のホルモン
で、生体のホメオスタシスを制御しています。血中のインスリ
ンは複数の時間パターンからなり、その生理学意義も報告され
ていますが、その作用の
子メカニズムは不明です。
「時間情報
コーディング」の概念から、これらの時間パターンに複数の情
報がコードされ、情報依存的に標的臓器の応答を個別に制御し
ている可能性が
えられます。
我々は、
インスリンの時間パター
ンに埋め込まれた複数の情報が、一旦、AKTの時間パターンに
多重にコードされ、下流の
図3
インスリン作用のトランスオミクス経路
人材の多様性が
造性のカギ
子を個別に制御できることを明ら
システム生物学には生命科学や物理、工学、情報、数学など
かにしました(図2)。将来的には動物を用いた実験を行い、生
の基本的な知識も必要です。私たちの研究室ではさまざまな
体内における「時間情報コーディング」の実証とメカニズムの
backgroundの人が参加しており一つのラボで異
解明を目指しています。また、時間情報コーディングはインス
指しています。
リンに限らず広くシグナル伝達経路一般に認められる特性であ
野融合を目
情報生命科学群・学内協力講座
ゲノムワイドなR NAサイレンシング機構の解明
平成28年度の学生募集をします
生物情報科学
ノンコーディングRNAの中には約20塩基ほどの小さな2本
野
鎖RNAから数10キロ塩基という長いRNAまで様々なものがあ
り、それぞれ多様な生命現象に関わっていることが明らかに
(大学院理学系研究科 生物科学専攻)
准教授
程
なって き て い ま す。mircoRNA や small interfering RNA
久美子
(siRNA)という約20塩基の小
ktei@bs.s.u-tokyo.ac.jp
http://ui-tei.rnai.jp/
シングでは、小
子RNAによるRNAサイレン
子RNA全長の約3
の1の領域がターゲット
遺 伝 子 を 配 列 依 存 的 に 識 別 し、相 補 的 な 配 列 を も つ 数
100∼1,000種のメッセンジャーRNAの発現を一挙に抑制しま
細胞内ではゲノムを構成する DNAから RNAが転写され、
す。ノンコーディングRNA研究では、このような遺伝子全体の
RNAからタンパク質が翻訳されることによって、ゲノムの遺伝
挙動を明らにすることが重要ですが、そのためにはゲノムワイ
情報に基づいた機能が発揮されます。このような
ドな研究が必要です。microRNAには癌由来細胞を
子生物学の
化多能性
中心原理はセントラルドグマと呼ばれます。長い間、RNAは
をもつ細胞へと
DNAからタンパク質へと遺伝情報を伝達するための仲介
ゲット識別部位をもつものが複数存在します。たとえばマイク
子
化誘導できるものがありますが、同じター
であると認識されていました。しかし、近年、RNAに関する
ロアレイでは、これらが共通の遺伝子群の発現をコントロール
子生物学の研究が急速に進展して、RNA は単なる遺伝情報の
していることがわかります
(図1)
。さらに、私たちはターゲッ
仲介役ではなく、自身にも様々な機能があることが明らかに
トを識別する配列が異なるmicroRNAは、その配列によって規
なってきました。このようなRNAはノンコーディングRNAと
定される熱力学的安定性がサイレンシングの程度を制御してい
呼ばれ、これまでの研究対象となっていたRNA群とは異なるも
ることも明らかにしています。このような
のと位置づけられます。私たちは、主としてノンコーディング
物理化学的性質から、ゲノムワイドな遺伝子発現制御機構を解
RNAを対象とした研究を行っています。
明し、重要な生命現象を理解することを目指しています。
子生物学的および
R NA結合タンパク質の機能解析
RNA結合タンパク質は、RNAサイレンシングの過程やター
ゲット遺伝子識別機構、RNAの編集機構、さらにはRNAウイル
スによる免疫応答反応などの様々な生体機能に関わっている重
要なタンパク質です。それらの機能を明らかにするとともに、
大規模シークエンスによる網羅的な結合領域の特定などを行い、
遺伝子の発現をどのように制御しているのかを解析しています。
R NA干渉法を利用した遺伝子ネットワーク解析
siRNAによるRNAサイレンシングはRNA干渉と呼ばれ、現
代の
子生物学では欠かせないツールになってきています。ま
た、ゲノム遺伝子には影響を与えないため、その臨床応用にも
大きな期待がかかっています。しかしながら、RNA干渉では、
ターゲット遺伝子を抑制するだけではなく、部
的に相補的な
配列をもつ多くの非ターゲット遺伝子も非特異的に抑制する作
用があります。私たちはRNA干渉の機構を明らかにすることに
図1
ターゲット遺伝子を識別する塩基の配列が同じmiR NAは共通の遺
伝子群を抑制する
より、目的とする1つの遺伝子のみを特異的に抑制する方法を
構築しています
(図2)
。この方
法は遺伝子機能解析法、および
ウイルス感染防止法などの応用
研究にも利用されています。そ
れだけではなく、本手法は、従
来のトランスクリプトーム解析
の手法のみでは困難とされてい
た遺伝子ネットワーク解析法と
して利用可能であり、その全体
像を明らかにすることを目指し
図2
標的遺伝子特異的R NA干渉法の構築とマイクロアレイによる確認
ています。
情報生命科学群・学内協力講座
立ちやその進化学的・生態学的背景に関する新しい概念、仮説、
平成28年度の学生募集をします
生物情報科学
法則性を導いていくことが、私たちの目標です。
野
ゲノムや生命システムの機能と進化
(大学院理学系研究科 生物科学専攻)
准教授
岩崎
ゲノム情報は生命活動の礎となるものであり、また祖先生命
渉
から私たち現代の生命に至る長い歴
iwasaki@bs.s.u-tokyo.ac.jp
http://iwasakilab.bi.s.u-tokyo.ac.jp/
の記録でもあります。ゲ
ノム進化解析によって、生命の共通祖先から現在に至る生命が
どのように地球上で進化してきたか、ゲノムやそこにコードさ
れた生命システム・代謝ネットワークはどのように進化してき
たか、また、生命と地球が長い時間の中でどのような歴
生命現象を俯瞰的な視点から捉えなおす
バイオインフォマティクスの発展とライフサイエンス
を相
綴ってきたか、などを明らかにするための研究を行っています。
野に
さらに、トランスクリプトーム情報にはゲノム中で機能して
おける技術革新により、これまでは得ることすら想像できな
いる遺伝子全体についての、メタゲノム情報には環境微生物の
かった規模の様々なデータを解析できる時代が到来しました。
生態系についての、それぞれ豊富な知識が埋もれています。環
数億年スケールの遥かな時間を越え、生命の過去の歴
を現
境の変化に応じた様々なオーミクスデータの変動を解析するこ
在に伝える「ゲノムデータ」
。遺伝子発現、調節、そして相互作
とで、生命が環境の変化にどのように応答するか、生態系のダ
用など、ゲノム配列が機能するメカニズムを語る種々の「オー
イナミクスが生命と環境のどのような相互作用により生み出さ
ミクスデータ」。生物学者がこれまでに蓄えてきた膨大な知識
れているか、などを探求しています。
を、コンピュータが理解できる形式で表現した「パスウェイ・
ネットワークデータ」
。生物の表現型、行動や社会性を定量的に
解析することを可能にする「生物画像・動画データ」
。そして、
画像動画解析、書誌情報解析
生物を撮影した画像・動画データから、表現型や行動といっ
環境と生命の複雑な相互作用ネットワークを描き出す「メタゲ
たこれまで定量的に解析することが難しかった性質を定量的に
ノム・生態系ゲノムデータ」
。
解析することができるようになりました。この研究
時には新しいデータを自ら取得しつつ、これらのデータを新
たな視点や手法によって解析することで、生命システムの成り
野をバイ
オイメージインフォマティクスと呼び、近年、注目が高まって
いる
野です。私たちは、動画データから生物の行動を解析す
るための新しい情報技術を開発するとともに、生物行動に隠さ
れた法則性を見いだすための研究をすすめています。
またそのほかに、データビジュアライゼーション、テキスト
マイニング・書誌情報解析に関する研究を行っています。
教育・研究体制
生命を俯瞰するデータを自在に解析し、新しい概念や仮説へ
結びつけていくためには、生物学と情報学の双方に対する理解
と興味が必要となります。そこで私たちの研究室では、生命と
情報の双方を学び、独自の発想に基づいた研究に挑戦する研究
者の育成を重視しています。
生命と情報の双方を学び、独自のアイデアに基づいた研究に
挑戦したい方を歓迎します。研究室見学や質問等は随時受け付
けていますので、まずはメールにてご連絡ください。
図
生命現象を俯瞰的な視点から捉えなおす
情報生命科学群・学内協力講座
平成28年度の学生募集をします
生物機能情報
野
( 子細胞生物学研究所)
准教授
伊藤
啓
も、周辺脳領域との入力と出力の情報の流れを詳しく解析して
いる。
2. 脳の機能の解析
ゲノムプロジェクトの遺伝子データベースを利用したin situ
ハイブリダイゼーションや各種抗体を組み合わせて、
(1)で同
itokei@iam.u-tokyo.ac.jp
http://jfly.iam.u-tokyo.ac.jp/lab/
定された神経がどの伝達物質を放出し、どの伝達物質を受容す
るかのマップ作業を進めている。また神経の機能を転換したり
阻害したりする各種遺伝子を特異的に強制発現させ、
情報処理装置としての脳がどうやって動作するのか、その回
路がどうやって作られるのかは、わかっていないことが未だ大
半である。そこで本研究室では、複雑膨大すぎる全貌を把握す
ることが難しい高等脊椎動物の脳ではなく、シンプルな構造の
わりに高度な情報処理を行い、豊富なゲノム情報と多様な遺伝
子工学テクニックを駆
尾行動
や光源定位行動などへの影響を調べることで、神経回路と脳の
機能
担の相関を解析している。
3. 脳の発生の解析
同定された神経回路が形成される過程を、正常状態および各
した研究が可能なモデル動物キイロ
種遺伝子の強制発現や突然変異状態下において経時的に解析を
ショウジョウバエを用いて、脳神経回路の構造・機能・発生過
することで、神経繊維が正しく伸長し、回路を形成し、微小環
程を体系的に解析している。
境に応じて動的に再構成を行う過程を研究している。新しい細
1. 脳の構造の解析
全遺伝子型の7
胞ラベル法を実用化することにより、1つの神経幹細胞の子孫
細胞が作る全神経回路を成体脳で可視化し、細胞系譜に依存し
の1以上をカバーする、4500系統を越える
た神経回路モジュールが脳内に多数存在することを発見した。
GAL4エンハンサートラップ系統コレクションを用いて、幼虫
複雑な脳回路をこのようなモジュール構造の組み合わせとして
と成虫の脳における発現パターンを画像データベース化した。
整理して把握し、神経細胞とグリア細胞の相互作用に着目しな
このデータから様々な神経回路を特徴的にラベル化する系統を
がら、神経回路形成メカニズムの解析を進めている。
スクリーニングし、構造を詳細に解析することによって、感覚
神経から脳の高次中枢へと順番に、視覚、嗅覚、聴覚など感覚
4. 脳のバイオインフォマティクス
の種類ごとに情報の流れを追って回路の同定を進めている(図
極度に単純化された仮想的な「ニューラルネット」でなく現
参照)。また学習などの高次機能を担うとされる領域について
実の神経回路に基づいた脳機能のコンピュータシミュレーショ
ンは、未だ実現にはほど遠い。比較的単純な
構造を持つショウジョウバエ程度の脳が完璧
にシミュレートできないようでは、SFに出て
くるような人間の脳の機能を再現したコン
ピュータは、いつまでも絵空事の世界にとど
まり続ける。そこでハエの脳の回路をコン
ピュータ上に再現することを長期目標として、
当面は複雑な三次元的回路構造からのトポロ
ジカル情報の抽出と、データベース化の方法
を検討している。
図:G AL 4エンハンサートラップ法でラベルされた、複眼からの視覚情報を脳本体へ伝える様々な
経路の三次元再構成像
情報生命科学群・学内協力講座
in silicoで観察することを可能にしてきた。これによってその
平成28年度の学生募集をします
生物機能情報
作動原理の解明が可能になってきた。
野
バイオナノマシンの立体構造予測とモデリング
機能解明のために大規模シミュレーションを実行する前提と
( 子細胞生物学研究所)
准教授
北尾
して、まずバイオナノマシンの立体構造を明らかにする必要が
彰朗
ある。
当研究室では、
シミュレーションとバイオインフォマティ
kitao@iam.u-tokyo.ac.jp
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/MolDes/
クスを用いてバイオナノマシンの立体構造を予測しモデリング
する方法を開発している。代表的なものは、タンパク質―低
子複合体予測や、図2で示したタンパク質―タンパク質複合体
生命体中にはリボゾーム・トランスポータ・べん毛などといっ
たナノレベルの機能ユニットが多数存在し、複雑な相互作用に
よって生命活動を維持している。これらの機能ユニットは蛋白
質などの生体高
子やそれらの集合体である生体超
子であっ
の構造予測などである。また、従来から立体構造決定に主に用
いられてきた結晶解析・溶液NMRだけでなく、中性子散乱、テ
ラヘルツ
光等の実験データからも立体構造やダイナミクスを
モデル化する手法を開発している。
て、進化によって洗練されてきたバイオナノマシンといえる。
この研究室では、バイオナノマシンが立体構造を形成し機能
を発揮するまでの過程を、
子シミュレーションなどの計算物
理化学的手法と情報学的な手法を用いて解明すると共に、バイ
オナノマシンの制御を可能にし、また、得られた知見を基に新
たなバイオナノマシンをデザインすることを将来的な目標とし
ている。
大規模シミュレーションによるバイオナノマシンの作
動原理解明
図2
バイオナノマシンがどのように立体構造形成し、機能を発揮
することができるのかは、基礎科学に限定されない大きな問題
であり、バイオナノマシンを制御して病気の治療につなげたり、
バイオナノマシンを改変したりデザインするためにも必要であ
複合体予測において結合自由エネルギー計算によって評価したタン
パク質-タンパク質候補立体構造。
バイオナノマシンのシミュレーション法開発
京コンピュータも含めた利用可能な計算機資源を最大限に活
る。この問題を解明するには、原子レベルで何が起こっている
用して、巨大なバイオナノマシンの
のかを明らかにする必要がある。我々は、スパコンやPCクラス
率的に行う手法を開発している。具体的には、大規模なバイオ
ター・GPGPUマシンなどのコンピュータを用いて大規模なシ
ナノマシンのシミュレーションを、京コンピュータなどの超並
ミュレーションをおこなうことで、実験では直接観察すること
列コンピュータやグリッドコンピューティング、PCクラスター
ができない、バイオナノマシンが機能する原子レベルの過程を
などによって精密かつ効率的に実行するための並列計算アルゴ
子シミュレーションを効
リズム開発や、これを実装したソフトウエア開発をおこなって
いる。また、より効率的な計算をおこなうため、粗視化したモ
デルによるシミュレーション法や、複数レベルのモデルを組み
合わせた階層的シミュレーション法の開発もおこなっている。
本研究室では、上記のような複雑な現象を明らかにするため、
様々な側面からアプローチを行い、統合的な解明を進めている。
これまでに在籍した大学院生・研究員の学部までの専門は、生
物学、化学、物理学、薬学、情報学、計算機科学など多岐にわ
たる。本研究室では従来の学問の枠にとらわれない新しい発想
法を用いた研究をおこなっているので、学部での専門にこだわ
らず新しい 野を開拓していく意欲のある学生を大いに歓迎する。
共同研究・研究体制
図1
バイオナノマシン系は周りの溶媒 子も含めると数百万原子にも達
する。シミュレーションで研究している細胞べん毛システム(左上)、シ
ミュレーションしたべん毛モーター固定子のプロトン輸送(右上)とウ
イルスタンパク質複合体の細胞外膜貫通過程(下)。
内外の理論研究者・実験研究者と綿密な議論をおこない、多
数の密接な共同研究を展開している。
情報生命科学群・学外協力講座
最近の成果
平成28年度の学生募集をします
子機能情報学
(産業技術
准教授
ミトコンドリア外膜プロテーム:
野
バクテリアと同様、ミトコンドリアの外膜にβバレルという
構造を持つ蛋白質が存在するが、我々の最近の研究により、そ
合研究所)
ポール
の種類がバクテリアの10 の1にも満たない可能性が高いこと
ホートン
を指摘した[Imai et al. Cell 2008](www.natureasia.com/
horton-p@aist.go.jp
http://seq.cbrc.jp/
japan/tokushu/detail.php?id=153にも紹介されている)。
文字列アルゴリズム:
モチーフ抽出の計算量上限、
改良suffix array構築アルゴリズ
本研究室はCBRC配列解析チームと共にゲノム解析を行って
ムなど。
ゲノム配列解析ソフトウェア:
いる。
独自の改良型Suffix Arrayデータ構造を利用した、繰り返し
配列に強い類似性配列検索プログラム:LAST。
学生の環境と活動
2007年度に研究室が始まったばかりだが、2008年度からM1
とD1の学生を一人づつ受け入れ、2009年度に修士課程でもう
ひとり入る予定となった。毎週開かれるgroup discussionなど
を通し、研究室の学生がCBRC配列解析チームの研究員とアド
バイスを聞くなど、気軽に
チーム・研究室・メンバー
流ができる環境となっている。
現時点では、学生は蛋白質の核外移行シグナルやミトコンド
CBRC配列解析チームには、M artin Frith研究員、蛋白質構
造予測ツールFORTEなどを開発した富井
リアゲノム進化などの研究に励んでいる。
太郎研究員(私と
同じく、本専攻の客員准教授を努めている)を初め、有力な研
究員6人が揃っている。数理、アルゴリズム、ソフトウェア開
発、ウェブサーバの構築と運用、
それぞれの
子生物学の各
野において、
野に詳しい研究者がいる。国籍5ヶ国のメンバー
が3ヶ国語(日・英・中)でコミュニケーションを取りながら、
楽しく研究している。
どうしてゲノム解析
「細胞君」
ゲノムは細胞、そして個体の運命を決める、38億年の進化的
経験が凝集してできた生命の「聖書」である。
ゲノム解析用に改良したs uffix
array構築アルゴリズム
蛋白質局在予測の説明資料
(兼研究室マスコット)
ゲノム配列は、
1) コンパクト:コンピュータで扱いやすいデジタル情報
最近の論文
2) 正確:他の実験観測データと比べ、誤差が少ない
K. Imai, M.M. Gromiha & P. Horton Mitochondrial b-
3) 普遍的:遺伝子発現などと違い、同一個体の異なる細胞
でほぼ不変である。
どうやって解析する
Barrel Proteins, an Exlcusive Club? , Cell 135: 1158-9,
2008.
M. Frith, et al., Discovering Sequence Motifs with Arbitrary Insertions and Deletions , PloS Comput Biol, 4(5):
方法:文字列のデータ構造(suffix array,suffix tree)、最適化
アルゴリズム(dynamic programming, expectation maximization, branch and bound,)、 機械学習・統計処理(mixture
model, weighted k-Nearest Neighbors, minimum spanning
tree,self organizing map)の理論を、必要に応じて改良しなが
ら、ゲノム解析問題に応用している。
ソフトウェア:優れたアルゴリズムを発見しても、優れた実装
が伴わないとあまり役に立たない。我々はソフトウェア開発を
重視し、新しいアルゴリズムをLinux環境で実装し、配布を行
なっている。
e1000071, 2008.
P.Horton,“ヌクレオソーム位置とその配列解析”,ファルマシ
ア, 44(4):352-3, 2008.
P. Horton et al., WoLF PSORT: Protein Localization
Predictor , NAR, doi:10.1093/nar/gkm259, 2007.
P. Horton & W. Fujibuchi, An upper Bound on the Hardness of Exact Matrix Based Motif Discovery ,Journal of
Discrete Algorithms, 5:(4), 706-13, 2007.
K.Nakai& P.Horton, Computational Prediction ofSubcellular Localization , Methods Mol Biol, 390:429-66, 2007.
情報生命科学群・学外協力講座
平成28年度の学生募集をします
子機能情報学
(産業技術
准教授
野
合研究所)
富井
太郎
k-tomii@aist.go.jp
http://www.cbrc.jp/ tomii/lab/
核酸やタンパク質などの配列、構造、機能に関する膨大な量
の観測データが急激に蓄積されてきている現在、こうした生体
高
子に関する大量データを、計算機を
って高速に解析する
必要が一層高まっている。当研究室では、こうした大量データ
を利用した新たな生物学的知識の獲得に向けた新規解析手法の
開発とその応用研究を行っている。研究
造生物学や配列情報解析
限らず幅広い
野としては、計算構
野の研究が主体であるが、これらに
図2
質間での基質結合部位の類似性などが新たに明らかとなった。
また本手法を用いた、立体構造情報からのタンパク質の機能予
測や
アミノ酸配列からのタンパク質立体構造予測は、情報生命科
学の大きな課題の一つである。
薬研究への応用などが期待されている[3]
。
タンパク質の翻訳後修飾に関する研究
野の研究を実施している。
タンパク質立体構造予測
タンパク質の基質結合部位比較法の概念図。
生体内でのタンパク質の役割を予測するには、タンパク質の
多様な翻訳後修飾についての知識を得ることも重要である。わ
れわれはHorton研や実験研究者と協力し、近年の新たな実験
データを利用して、細胞内のプロテアーゼにより切断されるタ
ンパク質のアミノ酸配列パターンの解析を行い、その結果に基
づく予測しクテムの構築を行っている[4,5]
。これらシステム
の予測結果は、
なる基質タンパク質の発見やタンパク質の細
胞内局在の変化予測などへの応用も期待されている。
共同研究
産業技術
合研究所の研究者や、国内外の大学、外部の研究
機関などの計算機・実験両方の研究者との共同研究を行ってい
る。
研究体制
研究室は産業技術
合研究所臨海副都心センター(お台場)
内にあり、学生の研究活動も主に同センターで行われる。
図1
タンパク質の立体構造予測法FOR TEの概念図。
参
文献
当研究室では、パターン認識の手法を用いた、タンパク質の
1. K. Tomii et al., Protein structure prediction using a
立体構造予測に応用可能な、アミノ酸配列のプロファイル比較
variety of profile libraries and 3D verification.Proteins,61
法 FORTE を 開 発 し、
(S7), 114-121(2005).
開 し て い る(http://www.cbrc.jp/
forte/)。この手法を利用して、世界的規模で開催されている立
2. K. Marumo et al., Ligand heterogeneity of the cysteine
体構造予測実験CASPに参加している
[1]
。また、FORTEはタ
protease binding protein family in the parasitic protist
ンパク質の未知ドメイン同定にも応用され、実験研究の推進に
Entamoeba histolytica. Int. J. Parasitol., 44(9), 625-635
貢献している[2]。
タンパク質基質結合部位比較
タンパク質の機能予測も、現代生命科学の大きな課題の一つ
である。タンパク質の立体構造情報からの機能予測は、この課
題に対する有効な処方箋の一つである。当研究室では、ソート
(2014).
3. J.-I. Ito et al., PoSSuM v.2.0: data update and a new
function for investigating ligand analogs and target proteins of small-molecule drugs. Nucleic Acids Res., 43(DB
issue), D392-D398(2015).
4. S.C. Fu et al., ScreenCap3: Improving prediction of
アルゴリズムを応用し、タンパク質立体構造データベースPDB
caspase-3 cleavage sites using experimentally verified
に登録されているタンパク質の基質結合部位を網羅的に比較可
noncleavage sites.Proteomics,14(17-18),2042-2046(2014).
能とする高速比較手法を開発し、実際の比較結果をまとめた
5. Y. Fukasawa et al., MitoFates:Improved prediction of
データベースPoSSuM を構築し、 開している
(http://possum.
mitochondrial targeting sequences and their cleavage
cbrc.jp/PoSSuM /)。この手法により、類縁関係がないタンパク
sites. Mol. Cell. Proteomics, mcp.M 114.043083(2015).
情報生命科学群・学外協力講座
ら推定し、その結果を立体構造予測に反映させる戦略をとって
平成28年度の学生募集をします
子機能情報学
(産業技術
准教授
いる。
などが挙げられる。
野
2. 化合物との複合体モデリング
合研究所)
広川
子モデリング実施例には、ヒスタミン受容体(図1)
貴次
タンパク質と化合物間のドッキング計算法には、これまで多
t-hirokawa@aist.go.jp
http://www.molprof.jp/research/iddt2.html
くの先行研究が報告され、利用可能なソフトウェアも提供され
ている。しかし、ドッキング計算の精度がタンパク質や化合物
の種類に依存するなど、化合物結合候補構造探索と結合評価関
新薬開発の標的となる受容体タンパク質の立体構造・相互作
数改善への課題が残っている。我々は、標的タンパク質立体構
用情報に基づいて医薬品設計を行う Structure-Based Drug
造を構築後、代表的な化合物(阻害物等)を活性化部位に対し
Design(以下SBDD)が構造ゲノミクスの進展により改めて注
てドッキング計算し、化合物結合状態を評価する方法
(CoLBA
目されてきている。計算機的手法による従来のSBDDでは、標的
法)
を開発している。CoLBA法とは、ドッキング計算によって
タンパク質の高精度な立体構造座標が必要で、さらに化合物と
得られた候補構造を相互作用エネルギーだけで一意に決定せず、
のドッキング計算では、効果的な構造探索や相互作用エネル
複数の化合物間の結果を利用して、標的タンパク質との原子間
ギー値の精度が求められている。しかし、既存の医薬品の標的
接触プロファイルを相互比較しながらコンセンサスのある結合
タンパク質ファミリーの1つと知られている F-protein Cou-
状態を決定するという特徴を持つ化合物結合予測法である。こ
pled Receptor(以下GPCR)などは、結晶構造が皆無に近いと
れにより相互作用エネルギーのみに依存しない、柔軟でかつ直
いう現状があり、計算機的手法による
感的なスクリーニングが実現しつつある(図2)
。
下モデリング技術に期
待が高まっている。またGPCRと並ぶ代表的な標的タンパク質
であるTyrosine Kinaseファミリーについても、結晶構造が比
較的多く存在するものの、化合物結合前後では構造変化が生じ
ていることがあり、SBDDに対応した適切な構造への最適化と
評価が必要とされている。
このような背景の中、私たちは標的タンパク質の
子モデリ
ング法の開発と化合物とのドッキング計算、そしてバーチャル
スクリーニングへの展開を目指して研究を行っている。
1. 標的タンパク質の
子モデリング
図2
比
GPCRファミリーとTyrosine Kinaseファミリーについて、
較モデリング法と
子動力学計算法を中心に、標的タンパク質
構造ごとに特化した
子モデリングを行っている。例えば、
GPCRは7本の膜貫通ヘリックスを持つ標的タンパク質である
C o LB A法によって選択されたヒスタミンH1受容体に対する3種
類の阻害剤の結合モデル。
3. バーチャルスクリーニング
標的タンパク質の
子モデリングおよび化合物とのドッキン
が、ヘリックス間の安定に存在するために必要なアミノ酸残基
グ計算から得られた標的タンパク質ー化合物複合体モデルをも
と、化合物を受容するために必要なアミノ酸残基を配列解析か
とにバーチャルスクリーニングを行う。バーチャルスクリーニ
ングでは、標的タンパク質に対する基地の活性化化合物群とラ
ンダム化合物ライブラリから選択された非活性化合物群を用い
てヒット率をシミュレーションし評価を行う。この評価の結果
を標的タンパク質の
子モデリングやドッキング計算過程に
フィードバックし標的タンパク質−化合物複合体モデルを最適
化する。さらに、共同研究等が可能であれば、実際に数百万件
の化合物ライブラリから複合体モデルに基づいて化合物を選定
し、生理活性を評価することも視野に入れている。
図1
ヒスタミンH2受容体(ヒト)の
平方向に投影。
子モデリング:膜面(緑)から水
情報生命科学群・学外協力講座
平成28年度の学生募集をします
システム情報生物学
野
(理化学研究所)
准教授
ケム
ツアン
kamzhang@riken.jp
http://www.riken.jp/zhangiru
タンパク質の複雑な生物学的機能は同様に緻密な三次元構造
パク質の位相改良のため、正確な電子密度
布、溶媒平滑性、
によって決定される。正確に折りたたまれた天然構造は細胞中
電子密度の正確な局所形状、同一
におけるタンパク質の適切な機能実現にとって不可欠である。
手順にまとめた。電子密度におけるこれらの制約は連立非線形
天然構造からの小さな歪みがタンパク質の機能不全を起こし疾
方程式を解くことによって同時に満たされる。我々は新しい制
患を生ずる。我々はその構造を計算機で研究することによって
約を探求し、位相問題の解決に
タンパク質の機能を理解しようと試みている。我々の研究の関
心は以下の
野である。
子、それらの制約を一つの
用する。
3. スキャフォールドを基にしたドラッグデザイン
・タンパク質の折りたたみと設計
我々はスキャフォールドを基にしたドラッグデザインのパラ
・X線結晶構造の位相問題
ダイムを開発した。これは、新たなスキャフォールドの発見や
・スキャフォールドを基にしたドラッグデザイン
小
子阻害剤の設計のために、化合物の低親和性スクリーニン
グ か ら ス タート し、高 ス ループット 共 結 晶 構 造 解 析 と コ ン
1. タンパク質の折りたたみと設計
ピュータ解析を行う反復的アプローチを取り込んだものである。
タンパク質の折りたたみの原理、特にエネルギー論、を理解
このスキャフォールドを基にしたドラッグデザインのアプロー
することで、その塩基配列からタンパク質の立体構造を予測す
チを
用して、多くの新しいスキャフォールドが発見され、そ
ることができる。我々はアミノ酸の選好性を環境変数の連続関
れをキナーゼや核内ホルモン受容体やホスホジエストラーゼ等
数として表示する連続的3Dプロファイル法を提案している。
のいくつかのタンパク質ファミリーの強力かつ選択的な阻害剤
フーリエ級数として表現されたこの残基選好性の連続的表示は、 の開発のための基礎として
用した。
離散的な環境クラスに遭遇すると、わずかに異なる環境での残
これら阻害剤の数個は現在メラノーマや糖尿病のような様々
基選好性の急激な変化を回避する。プロファイルスコアの関数
な病気の治療のため臨床実験されている。我々はさらにこの手
形を定義することによって、原子構造がよりタンパク質の側鎖
法を改良し、様々な
に適合する残基環境を作るように順応する原子精密化の特性を
用していく。
薬標的の新しい阻害剤を同定するのに利
描く道を開いた。我々はこのアプローチで構造精密化、または
ab initio構造予測を探求している。
タンパク質設計によって、我々は自然ではまだ観測されてい
ないタンパク質の世界の広大な領域を探求することができる。
我々は計算機によるタンパク質設計によって、単量体L型タン
パク質を安定二量体に変換した。また、計算機によってL型タン
パク質の新しい骨格立体構造の再設計をした。我々はタンパク
質設計の原理を新型構造、新しい生物学的機能、または効果的
参
な治療学に応用することに関心を持っている。
1. Voet, A., et al., PNAS, 111, 15102-15107 (2014).
文献
2. Kumar, A., et al., J. Chem. Inf. Model., 54, 2784-2793
(2014).
3. Berenger, F., et al., J. Cheminformatics, 6:23 (2014)
4. Shrestha, R. et al., Proteins, 82, 2240-2252 (2014).
5. Voet, A., et al., Med. Chem. Commun., 5, 783-786
(2014).
2. X線結晶構造の位相問題
6. Kumar, A., et al., J. Chem. Inf. Model., 54, 870-880
我々はX線結晶構造の位相問題を解決するために新しい計算
手法を開発している。我々は電子密度の同時
電子密度修正法の制約として
布とその勾配を
用して、タンパク質の位相改良
(2014).
7. Voet, A., et al., J. Comput-Aided Mol. Des., 28, 363-373
(2014).
の新しい手法を開発した。これはSQUASHというプログラム
8. Simoncini, D., etal., PLoS ONE, 7, e38799,(2012).
パッケージに組み込まれている。この手法とその後継である
9. Berenger, F., et al., Bioinformatics, 27, 939-945 (2011).
DM はX線結晶構造の世界で広く
10. Bollag, G., et al., Nature, 467:596-599 (2010).
用されてきた。我々はタン
メディカル情報生命専攻教員一覧
エ
講
座
名
メディカルサイエンス講座
子医科学 野
生命 子遺伝学 野
ゲノムシステム医療科学 野
病態医療科学 野
微生物ゲノムシステム学 野
クリニカルシークエンス 野
子医療科学講座(医科学研究所)
ゲノム機能 野
疾患遺伝子解析 野
感染遺伝学 野
炎症免疫学 野
子発癌 野
幹細胞治療研究 野
発生工学研究 野
機能解析イン・シリコ 野
細胞療法 野
感染制御 野
ウイルス感染 野
臨床ゲノム腫瘍学 野
人癌病因遺伝子 野
共政策研究 野
免疫病治療学 野
シークエンス技術開発 野
疾患蛋白質工学 野
先端ゲノム医学 野
先端がん治療 野
腫瘍抑制 野
子シグナル制御 野
幹細胞ダイナミクス解析 野
細胞機能情報 野
ン
細胞情報システム講座( 子生物学研究所)
基
幹
講
座
学
内
メ
デ
ィ
協
力
カ
講
ル
座
サ
イ
機能形成研究 野
RNA機能研究 野
超 子機能構造解析
幹細胞制御研究 野
ス
群
教
授
上田 卓也
伊藤 耕一
菅野 純夫
渡邉 俊樹
小林 一三
着任予定
甲 知恵子
俣野 哲朗
三宅
介
清野
宏
井上純一郎
中内 啓光
吉田 進昭
中井 謙太
川口
河岡
古川
村上
武藤
田中
藤堂
山梨
武川
寧
義裕
洋一
善則
香織
廣壽
准教授・講師
富田
野乃
渡邊
佐藤
学
米田美佐子
秋山
泰身
合山
進
今井
正樹
田
尾山
加藤
浩一
大明
直也
具紀
裕司
睦寛
ベアーテ ハイジッヒ
宮島
泊
中江
進
深井
田中
周也
稔
村上
誠
大石
勝隆
龍一
篤
幸秀
野
臨床医科学講座(東京都医学 合研究所)
臨床医科学
学
野
生命機能 子工学講座
(産業技術 合研究所)
生命機能 子工学 野
外
協
力
講
座
システム構造生物学講座
(高エネルギー加速器研究機構 物質
構造科学研究所)
システム構造生物学 野
感染制御 子機能解析講座
(理化学研究所)
感染制御 子機能解析 野
がん 子標的治療学講座
(がん研究会 がん化学療法センター)
がん 子標的治療学 野
田中
正井
本田
宮崎
富田
啓二
久雄
真也
太郎
耕造
千田
俊哉
加藤
間
陽子
竹嶋伸之輔
藤田
冨田
直也
章弘
清宮
啓之
講
座
名
イノベーション政策研究講座
バイオイノベーション政策 野
(バイオ知財コース担当)
情報生命科学講座
大規模オーミクス解析 野
基
ゲノム情報解析 野
幹
生命システム観測 野
講
大規模知識発見 野
情
座
大規模バイオ情報解析 野
生命ネットワーク解析 野
報
生物情報科学 野
生 学 (理学系研究科生物科学専攻)
内
命 協
力
講
科 座 生物機能情報講座
( 子生物学研究所)
生物機能情報 野
学
子機能情報学講座(産業技術 合研
究所)
群 学
子機能情報学 野
外
協
力
講 システム情報生物学講座(理化学研究
座 所)
システム情報生物学 野
教
森下
浅井
鈴木
津田
授
准教授・講師
加納
山中
信吾
隆幸
笠原
木立
雅弘
尚孝
真一
潔
穣
宏治
高木
利久
黒田
真也
程 久美子
岩崎
渉
伊藤
啓
北尾 彰朗
富井 太郎
広川 貴次
ポール ホートン
ケム
ツアン
入 学 志 願 者 案 内(修士)
出願資格
・本研究科募集要項を参照のこと。入学志願者は、出願資格を有する者であれば、その専攻
野及び資格取得年
次を問わない。
提出書類
・志願者は「調査票(修士)」に必要事項を記入し、願書と共に提出すること。
・その他の各種証明書等の提出については、本研究科募集要項および本入試案内書に添付されているチェック
シートを参照のこと。
募集人数および配属研究
野
・募集人数は53名である(バイオ知財コース、若干名)
。
・メディカルサイエンス群、情報生命科学群、および、バイオ知財コース、の中から志望する群/コースを選び、
その中で配属を希望する
野を「調査票(修士)
」に記入すること。
・メディカルサイエンス群の志願者は少なくとも第1志望
者は少なくとも第2志望
野、最大第5志望
野、最大第2志望
野まで、情報生命科学群の志願
野まで、バイオ知財コースの志願者は第1志望
野のみ、調査
・メディカルサイエンス群、情報生命科学群、および、バイオ知財コースのそれぞれをまたいで
野を希望する
票(修士)に記入すること。
ことはできない。
・特定の
野に志望が集中する場合には、希望の
野に配属されないことがある。配属研究
野については、口
述試験において再度、意思確認をおこなう。
選抜方法
メディカル情報生命専攻では、外国人等特別選
を行わないが、希望により一般入試の設問はすべて日英2ヶ
国語でなされ、解答も日英2ヶ国語のどちらでもできる。
【一般入試】
筆記試験(外国語、専門科目)および口述試験により選抜する。
筆記試験
外国語(英語)
①TOEFL-ITPを受験、②TOEFLのスコアシートを提出、③TOEICのスコアシートを提出。
①∼③のうち1つ以上を選択する(本研究科募集要項の外国語の試験のタイプE3に相当)
。
ただし、メディカルサイエンス群およびバイオ知財コースを志望する場合には
“③TOEICのスコアシート
を提出”を選ぶことはできないので留意すること。外国語試験の選択について調査票に記入すること。スコ
アシートの提出方法は研究科募集要項に従うこと(試験当日の追加提出など、提出期日を過ぎたものは一切
認めない。)。
専門科目
生命科学、情報科学、及びその関連
野から計12問出題。その中から4題を選択して解答する。出願時に
志望調査票で申告した希望者には英語版を用意する。解答は英語か日本語で記入する。
口述試験
筆記試験の合格者のみに対して行う。専門
野も含めた基礎学力、研究意欲を
合的に試問する。
試験日程
柏キャンパスにおいて以下の日程で実施する。会場等の詳細は受験票発送時(7月下旬頃)に通知する。
平成27年8月3日㈪
9:30 - 11:30 専門科目
12:30 - 14:50 外国語(英語)(TOEFL-ITP)
平成27年8月4日㈫
16:00 -
口述試験 (バイオ知財コース)
平成27年8月5日㈬
10:00 -
口述試験 (バイオ知財コース以外)
*調査票の「外国語の選択」においてTOEFL-ITPを選択しなかった者は、上記の外国語
(英語)
(TOEFL-ITP)
の試験を受ける必要はない。
*口述試験は、筆記試験の合格者のみに対して行う。
合格者の発表
・第1次試験 (筆記試験):平成27年8月4日㈫正午に新領域教務係(柏キャンパス新領域基盤棟1階エントラ
ンス)及び白金台キャンパス医科研掲示板(正門内左側)の2カ所に掲示する。
・第2次試験(口述試験):本研究科募集要項を参照のこと。
その他
・10月入学:既卒者および平成27年9月までの卒業見込者で10月入学を希望する者は、志望調査票に記入するこ
と。この場合、平成27年9月までに卒業できなければ、試験に合格しても入学できず、4月入学に変
するこ
ともできない。
・過去問:メディカル情報生命専攻の専門科目の問題は、専攻ホームページ(http://www.cbms.k.u-tokyo.ac.
jp/)で入手可能である。
・その他:詳細については本研究科募集要項及び専攻入試情報ウェブページ(http://www.cbms.k.u-tokyo.ac.
jp/)を参照のこと。
※個人情報について:出願に当たって知り得た氏名、住所その他の個人情報については、入学者選抜(出願処
理、選抜実施)、合格発表、入学手続業務にのみ利用する。また、同個人情報は、入学者のみ、教務関係(学籍、
修学等)、学生支援関係(
康管理、就職支援、授業料免除・奨学金申請、図書館の利用等)
、授業料徴収に関す
る業務に利用する。また、入学者選抜に用いた試験成績は、今後の本学の入試及び教育の改善に向けた検討のた
めに利用することがある。
入 学 志 願 者 案 内(博士)
出願資格
・本研究科募集要項を参照のこと。入学志願者は、出願資格を有する者であれば、その専攻
野及び資格取得年
次を問わない。
・医歯学・獣医学・薬学系の6年制学部卒業、卒業見込みの者は、博士後期課程学生募集要項に従い、個別の入
学資格審査を行うので、詳細は事前に問い合わせること。また、B日程で出願することはできないので留意す
ること。
提出書類
・志願者は「調査票(博士)」に必要事項を記入し、願書と共に提出すること。
・その他、各種証明書等の提出については、本研究科募集要項および本入試案内書に添付されているチェック
シートを参照のこと。
募集人数および配属研究
野
・募集人数は24名である(バイオ知財コース、若干名)
。
・配属を希望する
野を「調査票(博士)」に記入すること。
・出願の前に必ず志望する研究
野の教員に連絡をとること。ただし事前相談ができなかった場合でも出願を妨
げるものではない。
選抜方法
メディカル情報生命専攻では、外国人等特別選
を行わないが、希望により一般入試の設問はすべて日英2ヶ
国語でなされ、解答も日英2ヶ国語のどちらでもできる。
【一般入試】
筆記試験(外国語)および修士論文の発表を含む口述試験により選抜する。
*本学の修士課程を修了、修了見込みの者は、外国語(英語)の
試験科目を省略する。
*医歯学・獣医学・薬学系の6年制学部卒業、卒業見込みの者、及び、本専攻以外の修士課程を修了、修了見込
みの者で情報生命科学群を志望する者は、筆記試験に専門科目が含まれる。
筆記試験
外国語(英語)
①TOEFL-ITPを受験、②TOEFLのスコアシートを提出、③TOEICのスコアシートを提出。
A日程:①∼③のうち1つ以上を選択する(本研究科募集要項の外国語の試験のタイプE3に相当)
。ただし、
メディカルサイエンス群およびバイオ知財コースを志望する場合には“③TOEICのスコアシートを提出”を選
ぶことはできないので留意すること。
B日程:②、③のうち1つ以上を選択する(本研究科募集要項の外国語の試験のタイプE9に相当)
外国語試験の選択について調査票(博士)に記入すること。スコアシートの提出方法は研究科募集要項に従
うこと(試験当日の追加提出など、提出期日を過ぎたものは一切認めない。
)
。
専門科目
医歯学・獣医学・薬学系の6年制学部卒業、卒業見込みの者、及び、本専攻以外の修士課程を修了、修了見
込みの者で情報生命科学群を志望する者のみ。
生命科学、情報科学、及びその関連
野から計12問出題。その中から4題を選択して解答する。出願時に志
望調査票で申告した希望者には英語版を用意する。解答は英語か日本語で記入する。
口述試験
筆記試験の合格者のみに対して行う。専門
野も含めた基礎学力、研究意欲を
合的に試問する。
試験日程
柏キャンパスにおいて以下の日程で実施する。尚、口述試験を実施するキャンパスは変
する可能性がある。
会場等の詳細は受験票発送時(7月下旬頃)に通知する。
平成27年8月3日㈪
12:30 - 14:50 外国語(英語)(TOEFL-ITP)
口述試験
平成28年2月中(予定)
*本学の修士課程を修了、修了見込みの者は、外国語(英語)の
試験科目を省略する。
*調査票で「外国語の選択」においてTOEFL-ITPを選択しなかった者は、外国語(英語)(TOEFL-ITP)の試
験を受ける必要はない。
*口述試験は、筆記試験の合格者のみに対して行う。
*入試日程Bの日程については、受験票発送時に通知する。
*バイオ知財コースも同じ日程で行う。
【医歯学・獣医学・薬学系の6年制学部卒業(見込)の者、及び、本専攻以外の修士課程を修了、修了見込みの者
で情報生命科学群を志望する者】
柏キャンパスにおいて以下の日程で実施する。会場等の詳細は受験票発送時(7月下旬頃)に通知する。
平成27年8月3日㈪
9:30 - 11:30 専門科目
12:30 - 14:50 外国語(英語)(TOEFL-ITP)
口述試験 (バイオ知財コース)
平成27年8月4日㈫
16:00 -
平成27年8月5日㈬
13:00 -
口述試験(バイオ知財コース以外)
*本学の修士課程を修了、修了見込みの者は、外国語(英語)の
試験科目を省略する。
*調査票で「外国語の選択」においてTOEFL-ITPを選択しなかった者は、外国語(英語)(TOEFL-ITP)の試
験を受ける必要はない。
*口述試験は、筆記試験の合格者のみに対して行う。
合格者の発表
・第1次試験(筆記試験):平成27年8月4日㈫正午に新領域教務係(柏キャンパス新領域基盤棟1階エントラン
ス)及び白金台キャンパス医科研掲示板(正門内左側)の2カ所に掲示する。
・第2次試験(口述試験):本研究科募集要項を参照のこと。
その他
・10月入学:既卒者および平成27年9月までの卒業見込者で10月入学を希望する者は、志望調査票に記入するこ
と。10月入学を希望する者に対しては、第2次試験を平成27年8月に行うが、その日時、場所等は入試担当教
員から連絡する。この場合、平成27年9月までに卒業できなければ、試験に合格しても入学できず、4月入学
に変
することもできない。また、本専攻では入試日程Bにおける10月入学は認めない。
・その他:詳細については本研究科募集要項及び専攻入試情報ウェブページ(http://www.cbms.k.u-tokyo.ac.
jp/)を参照のこと。
※個人情報について:出願に当たって知り得た氏名、住所その他の個人情報については、入学者選抜(出願処
理、選抜実施)、合格発表、入学手続業務にのみ利用する。また、同個人情報は、入学者のみ、教務関係(学籍、
修学等)、学生支援関係(
康管理、就職支援、授業料免除・奨学金申請、図書館の利用等)
、授業料徴収に関す
る業務に利用する。また、入学者選抜に用いた試験成績は、今後の本学の入試及び教育の改善に向けた検討のた
めに利用することがある。
入 学 試 験 受 験 者 心 得(修士・博士)
1. 試験日時
この入試案内書に記載の「試験日程」を参照すること。
2. 試 験 場
東京大学柏キャンパス新領域
合研究棟(筆記試験)
、生命棟(口述試験)
(千葉県柏市柏の葉5−1−5)
・ JR 常磐線柏駅西口から東武バス「国立がん研究センター(柏の葉
下車徒歩約3
園経由)
」行き、約25 (
「東大前」
)
・つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅から東武バス「流山おおたかの森駅東口」行き、又は、
「江戸川台
駅」行き、約13 (「東大前」下車徒歩約3
)無料シャトルバスを運行する予定で、詳細は受験票発送時
に案内する。
・東武野田線江戸川台駅よりタクシー約5
(地図参照)
⑴
各自が受験すべき試験室については、各試験室の前に掲示する。
⑵
受験者は試験開始15 前までに所定の試験場に入場すること。定刻に遅れた場合は、各試験監督者に申し
出ること。
3. 携 行 品
⑴
受験票
⑵
黒色
筆(又は黒色シャープペンシル)・消しゴム・ 筆削り(卓上式は不可)を必ず持参すること。時計
(時計機能だけのもの)も許可する。
4. 試験時の留意事項
⑴
専門科目試験開始後1時間以内は、退室を許さない。外国語(TOEFL-ITP)試験時間中の退室は、原則
として許さない。
⑵
試験時間中の一時退室は、原則として許さない。
⑶
受験中、受験票を常に机上に置くこと。
⑷
受験中、携帯電話等の電源は切っておくこと。時計として
⑸
解答用紙ごとに受験番号を記入すること。氏名を書いてはならない。
⑹
解答は、それぞれ所定の用紙に記入すること。
⑺
解答用紙には、解答不能の場合にも受験番号を記入すること。
⑻
問題の内容に関しては、質問を許さない。
⑼
解答用紙、問題冊子は、持ち帰ってはならない。
用することはできない。
修
チェックシート(修士課程用)
このシートは、提出書類に添付して送付すること。
入学願書
写真票A、写真票B、受験票
検定料 30,000円
*支払い方法は募集要項を参照のこと。
*外国人出願者のうち、日本政府(文部科学省)奨学金留学生は不要。ただし、本学に在学中(研究
生を含む)の者以外は、日本政府(文部科学省)奨学金留学生である証明書を提出すること。
返信用封筒
*本研究科所定のもの(420円切手を貼ること)
。
あて名ラベル
志望調査票
*本入試案内書に添付されている用紙に記入したもの。
切
取
TOEFL または TOEIC スコアシート(希望者のみ)
出身大学(大学院)の卒業(修了)証明書
*出願時に大学(大学院)を卒業(修了)している者
線
出身大学(大学院)の卒業(修了)見込証明書
*外国人のみ(日本人の場合必要ない)
。
出身大学の成績証明書
*情報生命科学群のみ。
*学部(教養課程を含む)の成績を証明するもの。
*メディカルサイエンス群、バイオ知財コースは、提出は必要ない。
学業・職務両立計画書
*企業・官
庁・団体等に在職する者で、在職身
のまま在学を希望する者。
登録原票記載事項証明書
*現に日本国に在住している外国人のみ(本研究科に在籍している者は不要)
。
博
チェックシート(博士課程用)
このシートは、提出書類に添付して送付すること。
入学願書
写真票A、写真票B、受験票
検定料 30,000円
*支払い方法は募集要項を参照のこと。
*本学において平成28年(2016)年3月(平成27年(2015)年10月入学の場合は平成27年(2015)年
9月)までに修士の学位を得る見込みの者は不要。
*外国人出願者のうち、日本政府(文部科学省)奨学金留学生は不要。ただし、本学に在学中(研究
生を含む)の者以外は、日本政府(文部科学省)奨学金留学生である証明書を提出すること。
返信用封筒
*本研究科所定のもの(420円切手を貼ること)
。
あて名ラベル
切
取
志望調査票
*本入試案内書に添付されている用紙に記入したもの。
TOEFL または TOEIC スコアシート(希望者のみ)
線
出身大学院の修了証明書
*出願時に大学院を修了している者。
*本研究科修士課程修了者は不要。
出身大学院の修了見込証明書
*外国人のみ(日本人の場合必要ない)
。
出身大学の卒業証明書
*外国人のみ(日本人の場合必要ない)
。
出身大学、大学院の成績証明書
*情報生命科学群のみ。
*本研究科修士課程を修了・修了見込の者は不要。
*学部(教養課程を含む)及び修士課程(博士前期課程)の成績を証明するもの。
*メディカルサイエンス群、バイオ知財コースは、提出は必要ない。
学業・職務両立計画書
*企業・官
庁・団体等に在職する者で、在職身
のまま在学を希望する者。
登録原票記載事項証明書
*現に日本国に在住している外国人のみ(本研究科に在籍している者は不要)
。
調
修
査
票(修士)
志願者は、願書と同時に必ず提出のこと。
東京大学大学院新領域 成科学研究科メディカル情報生命専攻
受験番号
(記入不要)
ふ り が な
氏
名
出身大学
大学
学部・研究科
学科・専攻
年卒業・修了/見込
〒
自宅または下宿の
連 住所と電話番号 電話:
(携帯電話が利用可能な場合の電話番号:
絡
先
所属研究室と
電話番号
大学
電話:
)
研究室
内線
【平成27年10月入学】(入試日程Aで有資格者のみ)
a. 10月入学を希望する
b. 希望しない
【専門科目の英語版】
(「a. 希望する」をマークすると英語版の専門科目試験を用意する。問題は日本語版と同一。
)
切
取
a. 希望する
b. 希望しない
【外国語(英語)の選択】
(複数選択可。ただしメディカルサイエンス群、バイオ知財コースを志望する者はTOEICのスコアシー
線
トを提出することはできない。)
a. TOEFL-ITPを受験
c. TOEICスコアシートを提出
【大学院入学の動機】
b. TOEFLスコアシートを提出
【志望する研究
野名】
*メディカルサイエンス群、情報生命科学群、および、バイオ知財コース、の中から志望
する群/コースを1つ選び、さらにその中で配属を希望する 野を希望順に [ ]内に
数字で記入する。
*メディカルサイエンス群の志願者は少なくとも第1志望 野、最大第 2志望 野まで、
情報生命科学群の志願者は少なくとも第 2志望 野、最大第 5志望 野まで、バイオ知
財コースの志願者は第 1志望 野のみ、記入すること。
*メディカルサイエンス群、情報生命科学群、および、バイオ知財コースのそれぞれをま
たいで 野を希望することはできない。
*リストにない 野は平成 28年度は学生を募集しない。
メディカルサイエンス群
基幹講座
[ ] 子医科学 野(上田・富田野) [
[ ]ゲノムシステム医療科学 野(菅野・渡邊学)
[
学内協力講座
[ ]ゲノム機能 野(甲 ・米田)
[
[ ]機能形成研究 野(宮島)
[
[ ]感染遺伝学 野(三宅)
[
[ ]発生工学研究 野(吉田)
[
[ ]機能解析イン・シリコ 野(中井)[
[ ]感染制御 野(川口)
[
[ ]ウイルス感染 野(河岡・今井) [
[ ]臨床ゲノム腫瘍学 野(古川)
[
[ ]超 子機能構造解析 野(深井) [
[ ]免疫病治療学 野(田中廣)
[
[ ]シークエンス技術開発 野( 田)[
[ ]先端がん治療 野(藤堂)
[
[ ] 子シグナル制御 野(武川)
[
学外協力講座
[ ]臨床医科学 野(田中啓)
[
[ ]臨床医科学 野(正井)
[
[ ]臨床医科学 野(村上誠)
[
[ ]がん 子標的治療学 野(藤田) [
[ ]がん 子標的治療学 野(冨田) [
[ ]がん 子標的治療学 野(清宮) [
]生命 子遺伝学 野(伊藤耕)
]クリニカルシークエンス 野(着任予定)
]疾患遺伝子解析 野(俣野)
]炎症免疫学 野(清野)
] 子発癌 野(井上・秋山)
]細胞療法 野(合山)
]人癌病因遺伝子 野(村上善)
]RNA機能研究 野(泊)
] 共政策研究 野(武藤)
]疾患蛋白質工学 野(尾山)
]先端ゲノム医学 野(加藤直)
]腫瘍抑制 野(山梨)
]幹細胞制御研究 野(田中稔)
]細胞機能情報 野(中江)
]幹細胞ダイナミクス解析 野(ハイジッヒ)
]生命機能 子工学 野(本田)
]生命機能 子工学 野(宮崎)
]生命機能 子工学 野(富田耕)
]生命機能 子工学 野(大石)
]システム構造生物学 野(千田・加藤龍)
]感染制御 子機能解析 野(間・竹嶋)
情報生命科学群
基幹講座
[ ]大規模オーミクス解析 野(森下)[ ]ゲノム情報解析 野(浅井)
[ ]生命システム観測 野(鈴木)
[ ]大規模知識発見 野(津田)
[ ]大規模バイオ情報解析 野(笠原)[ ]生命ネットワーク解析 野(木立)
学内協力講座
[ ]生物情報科学 野(高木)
[ ]生物情報科学 野(黒田)
[ ]生物情報科学 野(程)
[ ]生物機能情報 野(伊藤啓)
[ ]生物情報科学 野(岩﨑)
[ ]生物機能情報 野(北尾)
学外協力講座
[ ] 子機能情報学 野(ホートン) [ ] 子機能情報学 野(富井)
[ ] 子機能情報学 野(広川)
[ ]システム情報生物学 野(ツアン)
バイオ知財コース
[
]バイオイノベーション政策
野(加納・山中)
切
取
線
調
博
査
票(博士)
志願者は、願書と同時に必ず提出のこと。
東京大学大学院新領域 成科学研究科メディカル情報生命専攻
受験番号
(記入不要)
ふ り が な
氏
名
出身大学
大学
学部・研究科
学科・専攻
年卒業・修了/見込
〒
自宅または下宿の
連 住所と電話番号 電話:
(携帯電話が利用可能な場合の電話番号:
絡
先
所属研究室と
電話番号
)
大学
電話:
研究室
内線
(6年制学部卒業・卒業見込みの者のみ)
a. 医学部
b. 歯学部
c. 獣医学部
d. 薬学部
【平成27年10月入学】(入試日程Aで有資格者のみ)
a. 10月入学を希望する
b. 希望しない
切
【専門科目の英語版】
取
(「a. 希望する」をマークすると英語版の専門科目試験を用意する。問題は日本語版と同一。
)
a. 希望する
線
b. 希望しない
【外国語(英語)の選択】(入試日程A出願者記入欄)
(複数選択可。ただしメディカルサイエンス群、バイオ知財コースを志望する者はTOEICのスコアシー
トを提出することはできない。)
a. TOEFL-ITPを受験
c. TOEICスコアシートを提出
b. TOEFLスコアシートを提出
【外国語(英語)の選択】(入試日程B出願者記入欄)
(複数選択可。)
a. TOEFLスコアシートを提出
【大学院入学の動機】
b. TOEICスコアシートを提出
【志望する研究
野名】
*配属を希望する研究 野ひとつを選び、
[ ]内に○印を記入する。
*志願者は、必ず出願の前に志望する研究 野の教員に連絡をとること。ただし、事前相
談ができなかった場合でも出願を妨げるものではない。
*リストにない 野は平成 28年度は学生を募集しない。
メディカルサイエンス群
基幹講座
[ ] 子医科学 野(上田・富田野) [
[ ]ゲノムシステム医療科学 野(菅野・渡邊学)
[
学内協力講座
[ ]ゲノム機能 野(甲 ・米田)
[
[ ]機能形成研究 野(宮島)
[
[ ]感染遺伝学 野(三宅)
[
[ ]発生工学研究 野(吉田)
[
[ ]機能解析イン・シリコ 野(中井)[
[ ]感染制御 野(川口)
[
[ ]ウイルス感染 野(河岡・今井) [
[ ]臨床ゲノム腫瘍学 野(古川)
[
[ ]超 子機能構造解析 野(深井) [
[ ]免疫病治療学 野(田中廣)
[
[ ]シークエンス技術開発 野( 田)[
[ ]先端がん治療 野(藤堂)
[
[ ] 子シグナル制御 野(武川)
[
学外協力講座
[ ]臨床医科学 野(田中啓)
[
[ ]臨床医科学 野(正井)
[
[ ]臨床医科学 野(村上誠)
[
[ ]がん 子標的治療学 野(藤田) [
[ ]がん 子標的治療学 野(冨田) [
[ ]がん 子標的治療学 野(清宮) [
]生命 子遺伝学 野(伊藤耕)
]クリニカルシークエンス 野(着任予定)
]疾患遺伝子解析 野(俣野)
]炎症免疫学 野(清野)
] 子発癌 野(井上・秋山)
]細胞療法 野(合山)
]人癌病因遺伝子 野(村上善)
]RNA機能研究 野(泊)
] 共政策研究 野(武藤)
]疾患蛋白質工学 野(尾山)
]先端ゲノム医学 野(加藤直)
]腫瘍抑制 野(山梨)
]幹細胞制御研究 野(田中稔)
]細胞機能情報 野(中江)
]幹細胞ダイナミクス解析 野(ハイジッヒ)
]生命機能 子工学 野(本田)
]生命機能 子工学 野(宮崎)
]生命機能 子工学 野(富田耕)
]生命機能 子工学 野(大石)
]システム構造生物学 野(千田・加藤龍)
]感染制御 子機能解析 野(間・竹嶋)
基幹講座
[ ]大規模オーミクス解析 野(森下)[ ]ゲノム情報解析 野(浅井)
[ ]生命システム観測 野(鈴木)
[ ]大規模知識発見 野(津田)
[ ]大規模バイオ情報解析 野(笠原)[ ]生命ネットワーク解析 野(木立)
学内協力講座
[ ]生物情報科学 野(高木)
[ ]生物情報科学 野(黒田)
[ ]生物情報科学 野(程)
[ ]生物機能情報 野(伊藤啓)
[ ]生物情報科学 野(岩﨑)
[ ]生物機能情報 野(北尾)
学外協力講座
[ ] 子機能情報学 野(ホートン) [ ] 子機能情報学 野(富井)
[ ] 子機能情報学 野(広川)
[ ]システム情報生物学 野(ツアン)
バイオ知財コース
]バイオイノベーション政策
取
線
情報生命科学群
[
切
野(加納・山中)
試験会場
東京大学
柏キャンパスアクセスマップ
◆所在地
千葉県柏市柏の葉5-1-5
◆
通案内
最寄りの駅
・柏駅(JR 常磐線,地下鉄千代田線)
・江戸川台駅(東武野田線)
・柏の葉キャンパス駅(つくばエクス
プレス)
柏近傍からの 通アクセス
・柏駅西口から東武バス「国立がん研
究センター(柏の葉 園経由)」行で
約25 (東大前下車徒歩約3 )
・東 武 野 田 線 江 戸 川 台 駅 よ り タ ク
シーで約5
・つくばエクスプレス柏の葉キャン
パス駅より徒歩30 ,又は東武バ
ス「流山おおたかの森駅東口行き」
又は「江戸川台駅行き」で約13
(東大前下車徒歩約3 )
試験当日は,柏の葉キャンパス駅か
ら無料シャトルバスが運行予定(詳細
は受験票発送時に案内する)
東京大学
柏キャンパス案内図
Department of Computational Biology and Medical Sciences, Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo
Department of Computational Biology
and
Medical Sciences
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