学習指導案（学習指導要領）ポイント ●放射線にはさまざまな種類があり、エックス線、ガンマ線は電磁波の仲間。また、放射線は物を透過する性質を持っている ●放射線、放射能、放射性物質は違うもの ●放射線は身近にあり、地域、場所、条件によってその量は異なる ●呼吸や食品の摂取によって放射性物質を体内に取り込んでいる ●放射線は医療や農業、工業などさまざまな分野で利用されている時間（50分間） 0：00 （約 5分） 0：05 ◆教師の働きかけ ◇生徒の学習活動副読本該当ページ指導・留意点 ◆放射線に対するイメージをワークシートに書いてみましょう ◇ワークシートに記入＊学習の目的が、放射線を肯定したり否定したりすることではないことを確認する ◆書いたことを発表してください ◇発表を聞き、ほかの人のイメージをワークシートに記入する ◆放射線について知っていることを書いてみましょう書いたことを発表してください＊指名して発表させる。同じことを言ってもいい。正解や間違いということはないので、自由に思ったことを発表させる ●生徒の発表キーワードを板書する ◆放射線の性質や利用について、（約 20分）勉強してみましょう 1.放射線にはアルファ線、ベータ ■電磁波のなかま波長 1.放射線について 10-13m 10-12m 10-11m 10-10m （1Å） 10-9m 10-8m 10-7m 10-6m （1μm）エックス線可視光線 10-5m 10-4m 10-3m （1mm） 10-2m （1cm） 10 3m （1km） 1010Hz 10 9Hz （1GHz） 10 8Hz 10 7Hz AMラジオ 1011Hz 短波放送 1012Hz （1THz）中波︵MF︶レーダー 1013Hz 短波︵HF︶センチ波 1014Hz FMラジオ、無線超短波︵VHF︶ミリ波 1015Hz 10 2m 10m 極超短波テレビ︵地上波︶︵UHF︶携帯電話、電子レンジ 1016Hz 1m 電波サブミリ波 1017Hz 果物の酸度・糖度測定器 1018Hz サウナ 1019Hz 蛍光灯、白熱灯、可視レーザー光日焼け灯、殺菌灯 1020Hz p4 テレビのリモコン赤外線カメラこたつ、非接触温度計 1021Hz ＊コラムを参照ください。 1022Hz 放射光医療用器具の滅菌ジャガイモの発芽抑制 1023Hz 10-1m （10cm）遠赤外線赤外線マイクロ波 X線撮影コンピューター断層撮影放射線には物を透過する性質がある 10-14m ガンマ線周波数 ◆透過性についてはテキストをもとに説明のみ 10-15m 具体的な例 ◆ワークシートの1を見てください。との□の中に入ると思う言葉を書いてみましょう。 ◇ワークシートに記入 ◆では、答え合わせです線、エックス線、ガンマ線などさまざまな種類があり、エックス線、ガンマ線は赤外線、可視光線、紫外線などと同じ電磁波の仲間。また、放射線にはエネルギーを持つ高速の粒子で、粒子線と呼ばれるものもある 10 6Hz （1MHz）参考：（独）日本原子力研究開発機構「放射線ってなんだろう？」 p 3 ー 4 放射線の種類放射線の透過力 α線・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原子核から飛び出した粒子（陽子2個、中性子2個） β線・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原子核原子核から飛び出した電子 γ線・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原子核から出てくる目に見えない光中性子線・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原子核から飛び出した中性子 X線・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原子核外の電子からつくられた目に見えない光原子陽子紙電子放射線、放射性物質、放射能はそれぞれ意味が異なる光薄いアルミニウム板懐中電灯放射線 ◆（懐中電灯で説明）放射線、放射性物質、放射能を懐中電灯に例えたらどれにあたると思いますか？まずはワークシートの□に書いてみましょう ◇ワークシートに記入中性子放射性物質鉛板水やコンクリート光を出す能力放射線を出す能力（放射能） ◆では、答え合わせです p 5 ◆放射線の単位について。の□の中に入ると思う言葉を書いてみましょう ◇ワークシートに記入 ◆では、答え合わせです ◆その他の単位についてはテキストをもとに説明のみ ◆半減期についてはテキストをもとに説明のみ放射線と放射能を表す単位は違う ■放射線、放射能の単位表名称単位名（記号）放射能ベクレル（Bq）定義放射性物質の強さを表す単位（1秒間に原子核が崩壊する数を表す単位）シーベルト（Sv）放射線の人体への影響を表す単位（1 シーベルト=1,000 ミリシーベルト）線量放射線の運動エネルギーが物質や人体に吸収される量を表す単位グレイ（Gy） ■放射能は時間とともに減ります（例） 1 最初の量放射能の量放射線を出す能力は時間とともに減衰する。放射能の量が半分になるまでにかかる時間を「半減期」といい、その時間は放射性物質の種類によって決まっている 1/2 半減期核種半減期ナトリウム 24 15.0 時間ラドン 222 3.8 日ヨウ素 131 8.0 日コバルト 60 5.3 年セシウム 137 30 年ラジウム 226 1,600 年プルトニウム 239 2.4 万年ウラン 238 45 億年ヨウ素131は8日間で半分 8日 16日 24日 32日 1/2 1/4 1/8 1/16 ・・・・・・ 80日 1/1,024 80日経てば 1/1,000になる p 6 1/4 半減期 1/8 1/16 半減期半減期時間出典：日本アイソトープ協会｢アイソトープ手帳 11版｣裏面に続く時間 0：25 （約 20分） ◆教師の働きかけ ◇生徒の学習活動 2.自然界にある放射線 ◆放射線はどこにあると思いますか？の□の中に入ると思う言葉を書いてみましょう ◇ワークシートに記入副読本該当ページ指導・留意点、 2.自然界の放射線は宇宙誕生以来あるもので、宇宙から人類は古来より自然界の放射線（自然放射線）を日常的に受けている空気から p 7 食物から大地から ◆では、答え合わせです 0.89 0.98 ◆地域、場所、条件などにより受ける自然放射線量が異なることについてはテキストをもとに説明のみ身体に受ける自然放射線の量は地域、場所、条件などによって異なる 0.91 0.86 ※受ける自然放射線量に差があっても問題ないことを p11を参考に説明する 0.99 0.91 0.95 0.94 1.08 1.03 1.10 1.06 1.00 p 8 1.04 1.06 1.08 1.04 0.92 1.02 1.02 0.90 1.17 1.19 0.900.91 1.03 0.81 0.85 1.16 1.09 0.98 1.07 1.09 1.07 1.08 1.06 1.02 1.18 0.99 1.13 1.07 1.10 1.06 1.01 1.01 0.98 1.03 0.95 0.98 出典：資源エネルギー庁「原子力2010」 ◆自然放射線と人工放射線についてはテキストをもとに説明のみ ■自然から受ける放射線量（日本年間平均）放射線には自然放射線と人工放射線がある。日本人は自然放射線量を年間約1.5mSv、医療で放射線を年間約2.3mSv受けている。放射線の人への影響は、自然放射線も人工放射線も変わらない 0.29 0.40 宇宙線による被ばく大気中のラドンなどによる被ばく合計 1.48 外部被ばく内部被ばく 0.38 0.41 大地放射線による被ばく食物による被ばくウラン238 カリウム40 などカリウム40 炭素14 ルビジウム87 鉛・ビスマス214 など単位：ミリシーベルト出典：放射線医学総合研究所 2007年 ■自然および人工放射線によって受ける一人あたり年間線量世界平均日本平均 ※1 自然放射線医療被ばく自然放射線 2.4 0.61 1.480 p 9 ※1 医療被ばく合計 3.13 日本人は外国人よりも医療による放射線を受ける機会が多いので、合計値が多くなることを教える ◆体重60㎏の人の場合、体内にある放射性物質の量はどれだけだと思いますか？の□の中に数字を入れてみましょう（何人かに聞いてみる） 2.250 合計 3.75 フォールアウト※2 その他（原子力発電所等）0.013 ※2 0.11 フォールアウト 0.012 その他（航空機利用等）0.006 ※1 医療被ばく：レントゲン検査やCT検査で受ける被ばくのことです。 ※2 フォールアウト：1950年代から1960年代にかけて盛んに行われた核実験によって生成され、環境中に放出された放射性物質のことです。呼吸や食品摂取によって、自然界に存在する放射性物質を体内に取り込んでいる単位：ミリシーベルト出典：国連科学委員会（UNSCEAR）1992年報告、旧科学技術庁「生活環境放射線」 ■体内の主な放射性物質の量体重60㎏の日本人の場合カリウム40・・・・・・・・・・・・・・・・・・4,000ベクレル合計炭素14・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2,500ベクレル約7,000 ルビジウム87・・・・・・・・・・・・・・・・500ベクレルベクレル鉛210・ポロニウム210・・・・・・・20ベクレル ■食物中のカリウム40の量（日本）単位：ベクレル/kg p 10 干しこんぶ 2,000 生わかめ 200 牛乳干ししいたけ 700 ほうれん草 50 200 食パン 30 ポテトチップ魚 100 米 30 400 牛肉 100 ビール 10 出典：（財）原子力安全研究協会「生活環境放射線（平成4年）」 3.放射線の利用 ◆ 放射線がどんなところで利用されているのか、思いつくものをワークシートに書いてみましょう ◇ワークシートに記入（時間があれば発表させる） 3.放射線の持つ高い透過力やエネルギーは医療治療をはじめ、農業、工業など身近な多くの分野で利用されているガンマ線、電子線に加えて陽子線や重粒子線などを駆使した高度ながん治療技術が発達してきています。 ◆実は、こんなところで利用されているのです放射線照射後約半年発芽したジャガイモは有毒物質（ソラニン）を含む 0：45 （約 5分） ◆授業を受けて放射線に対するイメージは変わりましたか？ワークシートに書いてみましょう＊授業前と後でどの程度理解が深まったかを確認する＊他の人の意見を聞くことで、生徒が自分自身の考えを深める ◇ワークシートに記入 ◆今日の授業で学んだこと、気づいたことは何ですか？ワークシートに書いてみましょう ◇ワークシートに記入 ◆書いたことを発表しましょう ◇発表を聞き、ほかの人の意見を聞いて感じたことをワークシートに記入する 0：50 ◇ワークシートを提出授業終了 p 19 ー 20 食品保存放射線照射したジャガイモは発芽しない ●生徒の発表を板書するじゃがいもの芽に放射線を当てることで発芽を防止します。日本では食品への放射線照射はじゃがいもだけですが、海外ではスパイスの殺菌などにも使われています。