「平和安全法制整備法」および「国際平和支援法」関連法案 の廃案を

「平和安全法制整備法」および「国際平和支援法」関連法案
の廃案を求める意見書
政府は、集団的自衛権の行使を容認する法制度として,自衛隊法など10本
の現行法の改正を一括した「平和安全法制整備法」と、新たに戦争している他
国の軍隊を後方支援する恒久法である「国際平和支援法」を今国会に上程しま
した。
しかし、新たな安全保障法制は、十把ひとからげに審議する類の法案ではあ
りません。現行法の改正とは言うものの、新しい法律を定めるのに等しい内容
であり、「戦争立法」と呼ばれるように,新たな安全保障法制の制定・改正は、
憲法をないがしろにし、日米安保条約にも反するものです。与党からは「審議
は80数時間で十分間に合う」
(佐藤勉・自民党国会対策委員長、14日の記者
会見)との発言さえ出ています。安倍首相は4月29日の米議会演説で、
「この
夏までに成就させる」と、成立時期を言明しました。国会に提出してもいない
時点で法案の成立時期を言及するのは、国会軽視もはなはだしい対応といえま
す。
「平和安全法制整備法」の主な問題は以下の通りです。
現行の周辺事態法では、
「日本周辺」に限っていた地理的制約を「重要影響事
態」として地球規模で米軍などの後方支援を行えるようにしました。
武力攻撃事態法は、集団的自衛権を行使する「存立危機事態」への対応を明
記して名称も変えています。日本に対する武力攻撃が予測されてなく,国内が
平穏なのに、政府が存立危機と認定すれば集団的自衛権にもとづいて武力行使
に踏み切る余地が残されています。発動の要件が漠然としているので,時の政
府の裁量でいくらでも拡大する危険があります。米国の先制攻撃に相手国が反
撃した場合、攻撃に参加することを否定していませんから、
「集団的自衛」では
なく「集団的侵略」に加担する重大な危険があります。
PKO(平和維持活動)法は、敵対勢力との交戦も想定される治安維持活動や
他国軍の戦闘に「駆けつけ警護」を定め、任務遂行のための武器使用も可能に
しました。アフガニスタンの国際治安支援部隊では、ドイツ軍など多くの国が
戦死者をだしており、こうした活動に乗り出すことはきわめて危険です。名称
も国際平和協力法に変更されます。
また、新設の「国際平和支援法」と名づけられた海外派兵のための恒久法は、
米軍など他国軍に対して自衛隊が,補給、輸送、修理・整備、医療など多岐に
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わたった活動を認めています。従来の海外派兵法では禁じられていた弾薬の提
供や戦闘作戦行動のため発進準備をしている航空機への給油や整備なども可能
です。米軍などが行っている戦闘に自衛隊が直接巻き込まれることにもなりか
ねず、
「平和支援」どころか戦争支援にほかならず、自衛隊員の命を危険にさら
すものです。
恒久法での海外派兵は、
「例外なき事前承認」が盛り込まれたとしていますが、
国会の事前承認の対象は、わずかに「派兵先と活動の種類」などで7日以内に
議決することが義務付けられています。詳細な実施計画は「秘密」を理由に国
会に報告されることもありません。集団的自衛権や治安維持活動への参加など
はいずれも事後承認が認められており、いずれも歯止めにならないのは明らか
です。
このように、一連の安全保障法制は、4月27日に日米の外交・軍事担当会
合で18年ぶりに改訂された「日米軍事協力の指針(ガイドライン)」で、平時
から米軍の指揮権のもと自衛隊がいつでもどこにでも出向いて戦争ができる体
制を作りあげるものです。自衛隊は発足後、60年を経過しましたが、この間
他国の人を一人も傷つけず、隊員の中からも一人の犠牲者も出していません。
これは憲法9条のもと、
「海外での武力行使をしてはならない」という憲法上の
歯止めがあるからに他なりません。
戦争のない平和なアジアと世界を願う私たちは、憲法違反の「平和安全法制
整備法」および「国際平和支援法」を認めることはできません。各法案のすみ
やかなる廃案と憲法九条の遵守を求めます。
以上、地方自治法第 99 条の規定により意見書を提出します。
平成27年
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
防衛大臣
月
日
あて
市議会議長
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