沖野島だより

Okinoshimaだより
第212号
2015年8月1日発行
株式会社トス
第131回セーリングフェスタ
沖野島マリーナ
7月5日(日)
7月5日(日) 10:00スタート 距離2.5nm 風速5knot
天気は若干くもり、風は南西の微風の中4艇でのレース。
先頭切ってスタートラインを超えたのは「あけぼの」。「カレラ」がその後を猛然と追います。「ミンクス」と「アストロV」も
先頭集団につづきます。ものの10分程度で「あけぼの」が独走。
本日はピンク色の艇がいないので、「あけぼの」の独走を遮るものが誰もいません。オーナーさんとクルーの皆さんの
笑顔が眩しすぎました(笑)。
折り返しのブイに近づくにつれ「CARERRA」が追い上げるものの、余裕しゃくしゃくで「あけぼの」がブイを回ります。
後半は追手の風。本部艇の船頭も興の乗ったのか参加艇に叫びます「スピン!スピン!」スピンをあげた艇はありま
せんが、ジブを孕ませて各艇快走しておりました。
ファーストホームは約42分でゴールの「あけぼの」、
艇種
フィニッシュ 着順 順位
「CARERRA」「アストロV」がそれに続きます。
あけぼの
YAMAHA30SⅡ
10:41:54
1
1 「ミンクス」はゴールこそ最後でしたが、ゴール時間11:00:0
Carerra
HUNTER36
10:49:10
2
2 0と「ぴったりで賞」でした。
次回は9月6日(日)開催予定です。
ASTROⅤ
JEANNEAU32
10:53:23
3
3 奮ってご参加ください。
MINX
OCEANIS353
11:00:00
4
4
あけぼの
CARERRA
MINX
ASTRO
操業中、お邪魔します
上機嫌の「あけぼの」の皆さん
Okinoshimaだより
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広島湾の高潮発生(異常潮位)のメカニズム
夏から秋にかけて広島湾内で高潮に関する注意報・警報が発せられることがよくあります。
今回はこの高潮ほ発生原因について触れてみたいと思います。
高潮の主な原因として下記の4つが挙げられます。
1.気圧低下による海面の吸い上げ
台風や低気圧の中心気圧は、その周辺よりも低いことによって、気圧の高い周囲の空気は海面を押し付け、中心
付近の空気が海面を吸い上げるように作用する結果、海面が上昇します。
気圧が1hPa(ヘクトパスカル)低くなると、海面は約1センチ上昇します。
例:990hPaの場合の海面上昇量(1,013hPaの気圧で海面の基準をゼロとしています)
1,013 - 990 = 23cm 海面上昇は約23cm
台風接近による気圧の低下となりますと、他の条件が重なってかなりの上昇率になります。
2.風による吹き寄せ
台風に伴う強い風が沖から海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられ、海岸付近の海面が異常に上昇す
ることがあります。水深が浅い地域ほど、風の吹き寄せ作用が良く働き、高潮が発達しやすくなります。
3.波浪による海面上昇
波が海岸に近づいて砕けると、多量の海水が岸に運ばれ、沖に急速に戻ることができず、岸側に溜まるようにな
り、海面が上昇することになります。波が大きいほど海面上昇が大きくなります。
4.台風による高波の発生
台風時に強い風が長い時間吹き続け、しかも吹く距離が長い(障害物の無い広い海面)ほど波が発達して波高が
増大します。この高い波浪が沖から海岸に打ち寄せ、海面が一層高くなります。
ここまでが、俗に言われる高潮の原因なのですが、台風が来ていないのに高潮になることを「異常潮位」と言われ、ま
さしくこれが広島湾で発生している訳です。
高潮警報時は、廿日市市宮島町の厳島神社の回廊が冠水という現象を新聞やニュースで目にします。
この異常潮位は、上に挙げた原因だけではないようです。
太平洋を走る黒潮の南側は海面が約1mほど高くなっているのをご存じでしょうか?瀬戸内海からの海水の流失を黒
潮がある程度妨げているせいではないか、あるいは豊後水道から黒潮が流入することによって海水温が上昇して、膨
張による体積の増加が異常潮位の原因とも言われています。
黒潮が流れ込む理由は通常と違う黒潮の流れ(黒潮の蛇行)が起こるせいで、蛇行することによって常には無い支流
ができ、内海や湾に流れ込むのではないか…というものです。
黒潮のスピードは約2m/s。通常は潮岬、伊勢、八丈島の先端をかすめていくのですが、南へ大蛇行すると、太平洋
の海流と影響し合って変則的な支流が反時計回りに発生するそうで、これが沿岸部に圧力を加えたり、狭い内海の潮
位を上げている可能性があるということです。
実際に南方に棲んでいる海洋生物が多く瀬戸内海に入ってきているのはご存じの通りで、これは黒潮の支流によっ
て入って来ているとも考えられます。ナルトビエイ広島湾内で目撃されていますが、これは元々インド洋などの熱帯沿
岸区域に棲むもので、アサリなどの2枚貝を根こそぎ食べるそうです。また、アイゴも多く見かけられており、当マリーナ
で釣り上げた方もいらっしゃいます。これも本来は西太平洋に生息するものだそうです。(余談ですが、アイゴを釣って
もむやみに触らないでください。毒を持った背ビレで刺されると大変です)
ここまでは、近年にある程度わかってきた異常潮位の原因だと言われています。
そして2012年4月、広島大学大学院の金子教授(海洋物理学)が広島の世界遺産「厳島神社」の回廊が冠水した
際の異常潮位の発生メカニズムを解明したと発表されました。そのメカニズムを簡単に説明してみましょう。
1.台風で強い北風が広島湾内に吹くと、海面に近い表層の暖かい海水層が北側から広島湾南部の屋代島(山口県
周防大島町)に移動。
このとき、少なくなった北側の表層を補うように下部の深層の海水が広島湾北部の海面に上がってくる。
2.台風の通過後、北側に向かった深層の海水は岸にぶつかり、今度は南側に揺り戻される。同時に、南側に押し寄
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せていた表層の海水は南側に揺り戻された深層の海水に押し上げられ、一気に北側の岸に押し寄せる。
というものです。
1.まず、台風による強い北風により、表層の暖かい海水 2.そのとき、少なくなった北岸の表層の海水を補うよう
は北岸(広島湾)から対岸に位置する屋代島(周防大島) に、深層の海水が海面に上がってきます。これを湧昇(ゆ
へ向かって押し寄せます。
うしょう)といいます。
3.台風の通過後、北岸に押し寄せていた深層の海水は 4.同時に、南岸に押し寄せていた表層の海水は、南岸に
北岸にぶつかった後、再び南岸に揺り戻されます。
揺り戻された深層の海水に押し上げられ、一気に北岸へ
と押し寄せます。
厳島神社の建立時にはこういった異常潮位は無かったと
いう前提で造られたでしょうし、ベネチアの高潮も風の影
響や地盤の沈下など様々な説が唱えられています。地球
温暖化が原因とも言われていますが、それを否定する学
者さんも多いとか…現実として生態系には大きな変化が
起こっていることには間違いないようです。異常潮位の原
因については、先に述べました様にある程度判明している
様子ですが、その原因を引き起こしている理由がすべて
芋づる式連鎖し絡み合っているということ。近年の大型台
風もそうですが、これも海水温度が大きく影響しているよう
ですし、何事も連鎖している故、これらを解く鍵まだまだ手
5.この揺り戻しの発生時がちょうど大潮の時期と重なっ
の届かないところにあるのでしょうか…
たため、今回のような異常潮位の発生につながったので
(propman)
す。
マリーナからお知らせとお願い
マリーナ場内での魚釣りは、マナーを厳守していただくことが前提
で、特に禁止はしておりませんが、ゲストの方にマナーを徹底してい
ただきますようお願いします。
①桟橋上の置き竿は通行の妨げになります。
通行される方の邪魔にならないよう、配慮をお願いします。
②係留艇の近くで釣りをしない。無断で係留艇に上がらない。
撒き餌などで汚さない。釣り針を引っ掛けないように。
③仕掛けや餌、魚の死骸を放置しないでください。
撒き餌の飛散や、釣り針、魚・ヒトデなどの放置
④知人・友人の方など、釣り目的でオーナーさんの同伴無しでのご
来場は原則禁止とさせていただいております。
⑤特に小さなお子様をお連れの際は、お子様の動向に注意し、桟
橋ではライフジャケットの着用をお願いします。
以上をお守りいただき、ハーバーライフをお楽しみくださいますようお
願い申し上げます。
(ハーバーマスター)
株式会社トス 沖野島マリーナ
〒737-2214
広島県江田島市大柿町深江 836836-3
Tel 0823 (57) 2450
Fax 0823 (57) 6845
Homepage http://www1.sphere.ne.jp/toss
Email [email protected]
発行責任者:山内貴宏
制作・編集:propman
編集後記
みなさんいろんな理由で蜘蛛をお嫌
いになっているかと思いますが、イギ
リスの研究機関で最近の研究によっ
て蜘蛛のちょっと面白い生態が明ら
かになったそうです。
元々、蜘蛛は糸を使って空を飛ぶと
いうことは昔の研究で知られていたら
しいのですが、なんと、水の上を「帆
走」するというものです。
足を高く持ち上げることで風を受け止
め、それを推進力に水面を移動し、止
まりたくなった時に糸を水面にひっか
けてブレーキをかけることが判明しま
した。
これによって蜘蛛がどうやって長距離
を移動して新しい土地へと進出してき
たのかが、少し明らかになったそうで
す。
研究所で蜘蛛を水の張ったトレイの
上に置き、突風をシミュレーションする
ために風を吹き付けたそうです。
蜘蛛の足というのは水を弾く力が非
常に強いため、全ての蜘蛛が水の上
に立つことができ、また実験した325
匹のうち201匹の蜘蛛が水上の「航
海」に成功したそうです。その多くは足
を空中に整然と広げることで風を受け
止めていたとのこと。
航海している大型船に何回も上から
落ちて来る空飛ぶ蜘蛛というのが記
録されていることから、大移動を考え
て空を飛んでいるのがわかります。
空を飛ぶ時は糸が風をキャッチして浮
くわけです。
好条件の下だとなんと1日30キロほど
移動することもできるらしいのですが、
いつも成功するとは限らないので結構
なリスクがある移動手段とも言えます
が、コントロールできない空中飛行の
後、間違って水面に降りてしまう危険
性をうまく補完していると言えます。
またクモの糸は水面に浮いている物
へとたぐり寄せて無事に陸にたどり着
くための命綱としても使われるそうで
す。空を飛ぶクモはまた水面移動も上
手いことから、この二つの行動は平行
して進化してきたのではないかと研究
者たちは考えているそうです。
何とも不思議な生態で、陸はもちろ
ん、空と水上を自由自在に動き回れる
のは羨ましい。まあ、自由自在とは
言っても、風まかせで何処にたどり着
くかが全く予測できないところが冒険
好きのヨット乗りに似ている!?
(propman)
「帆走」する蜘蛛
水面に糸を出してブレーキ!
沖野島だよりでは、皆さんからの投稿を募集しています。どしどしお寄せください。