ISO 14001 規格の改正動向 ISO14001 規格は、2015 年 9 月(予定)に改正されます! 2015 年、改正版 ISO14001 がいよいよ発行されます。2012 年からスタートした ISO14001 改正作業は最終段階を迎 え、9 月には改正版 ISO14001 が、そして 12 月には改正版 JIS Q 14001 が制定される予定です。 ISO14001 規格の 2004 年版から 2015 年版への「移行期間」は、規格発行後 3 年間と決められているため、認証取 得組織では「移行期間」を過ぎないように新規格への対応が必要となります。 *赤字のスケジュールは、今後変更される可能性があります。 ISO14001 の改正スケジュール 2011 年 6 月 2012 年 2 月 2012 年 6 月 2012 年 9 月~10 月 2013 年 2 月 2013 年 6 月 2013 年 10 月 2013 年 10 月~2014 年 1 月 2014 年 2 月 2014 年 5 月 2014 年 6 月 2014 年 8 月~11 月 2015 年 2 月 2 日~7 日 2015 年 4 月 20 日~24 日 2015 年 6 月~7 月 2015 年 9 月 2015 年 12 月 2018 年 8 月 ISO14001 規格の改正決議(オスロ) WD(作業用原案).1 作成(ベルリン) TC207 総会開催、WD.2 作成(バンコク) WD.3 作成(ロチェスター) CD(委員会原案)作成(ヨーテポリ) TC207 総会開催、CD.1 に対するコメント処理(ボツアナ) CD.2 作成(コロンビア) CD に対する 3 ヶ月投票実 CD.2 に対するコメント処理(パドヴァ・イタリア) DIS(国際規格案)作成(パナマ) DIS 発行 DIS に対する 3 ヶ月投票 FDIS(最終国際案)作成(東京) →4 月のロンドン会議へ作業持ち越し FDIS 作成(ロンドン) FDIS に対する 2 ヶ月間投票開始 ISO14001:2015 発行 JIS Q 14001:2015 発行 ISO14001:2015 発行から 3 年以内に新規格への移行が完了 ISO14001:2015 規格はこう変わる!? 2014 年 6 月に発行された DIS(国際規格案)の構成は次の表のようになっています。各国の規格策定委員会からの コメントを集約して、FDIS(最終国際案)が作成・発行される予定です。DIS から FDIS へは、相当の内容の変更が あると思われますが、FDIS から正式な IS(国際規格)へは編集上の最小限の変更に限られることになっています。 ISO/DIS 14001 の構成 (下線部は環境固有の条項) 序文 7 支援 1 適用範囲 2 引用規格 7.1 資源 7.2 力量 7.3 認識 3 用語及び定義 7.4 コミュニケーション 4 組織の状況 7.4.1 一般 4.1 組織及びその状況の理解 7.4.2 内部コミュニケーション 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 7.4.3 外部コミュニケーション 4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の決定 7.5 文書化された情報 4.4 環境マネジメントシステム 7.5.1 一般 5 リーダーシップ 7.5.2 作成及び更新 5.1 リーダーシップ及びコミットメント 7.5.3 文書化された情報の管理 5.2 環境方針 8 運用 5.3 組織の役割、責任及び権限 8.1 運用の計画及び管理 6 計画 8.2 緊急事態への準備及び対応 6.1 脅威と機会に関連するリスクへの取組み 9 パフォーマンス評価 6.1.1 一般 9.1 監視、測定、分析及び評価 6.1.2 著しい環境側面 9.1.1 一般 6.1.3 順守義務 9.1.2 順守評価 6.1.4 脅威と機会に関連するリスク 9.2 内部監査 6.1.5 取組みのための計画 9.3 マネジメントレビュー 6.2 環境目的及びそれを達するための計画策定 10 改善 6.2.1 環境目的 10.1 不適合及び是正処置 6.2.2 環境目的達成のための取組みの計画 10.2 継続的改善 2015-04/r1 1 ㈱グローバルテクノ© ISO/DIS 14001 規格のワンポイント解説 ISO/DIS 14001 規格のポイントを箇条ごとに解説します。 2015 年の発行に向けて改正作業が進められている ISO14001 規格の DIS(国際規格案)は 2014 年 6 月に発行され ました。日本規格協会の WEB ストアで、冊子又は PDF 版を購入できます。 http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/Com/FlowControl.jsp?lang=jp&bunsyoId=ISO%2FDIS+14001%3A2014 &dantaiCd=ISO&status=1&pageNo=0 ISO/DIS 14001 序文 1.適用範囲 2.引用規格 3.用語及び定義 4.組織の状況 4.1 組織及びその状況の理解 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の 決定 4.4 環境マネジメントシステム 5.リーダーシップ 5.1 リーダーシップ及びコミットメント 5.2 環境方針 5.3 組織の役割、責任及び権限 6.計画 2015-04/r1 ワンポイント解説 ・序文は改正 ISO14001 の“世界観”を理解する上で重要で す。 ・持続可能性、環境パフォーマンス向上、そしてトップマネ ジメントのリーダーシップの重要性を説いています。 ・熟読してから要求事項へ入っていくことをお勧めします。 ・規格の適用範囲です。 ・EMS が意図する成果は、 「環境パフォーマンスの向上」 、 「順守義務への適合」 、そして「環境目的の達成」です。 ・ありません。 ・DIS 版では 33 の用語が定義されています(2004 年版では 20) ・戦略を立てるための情報収集です。 ・EMSが意図した成果を達成するために、組織を取り巻くプ ラス又はマイナスの影響を与える可能性がある重要な課題 を収集して決定します。 ・「重要な課題」には組織が影響を与える、または影響を受 ける環境状況を含みます。 ・組織にとって利害関係者は誰かを決定します ・その利害関係者のニーズと、その中で順守義務となるもの を決定します。 ・「順守義務」とは 2004 年版の「法的及びその他要求事項」 です。 ・4.1、4.2 で決めたことはこの後、重要な要素となるのでし っかり理解しておきましょう。 ・EMS の適用範囲は、4.1 で決めた課題と 4.2 で決めた順守 義務を考慮に入れて決定します。 ・要文書化! ・要公開! ・2004 年版の「一般要求事項」にあたります。 ・2004 年版との大きな違いは要求事項として「環境パフォ ーマンスの向上」を目的とすることです。 ・EMS の成否はトップマネジメントにかかっています。 ・したがってトップマネジメントへの要求事項も強化されて います。 ・トップマネジメントは EMS の有効性に関する説明責任を 負わなければなりません。 ・EMS の実行責任は他者(管理責任者など)に委譲できま すが、説明責任は委譲できません。 ・順守義務、継続的改善に加え、(汚染の予防を含む)環境 保護に対するコミットメントが追加されています。 ・要文書化! ・要公開! ・「管理責任者」という言葉は登場しませんが、もちろんい ても構いません。 ・いよいよ PDCA のスタートです。最初は「Plan」から。 ・まずは 4.1、4.2 に基づき戦略面の計画です。 2 ㈱グローバルテクノ© ISO/DIS 14001 6.1 脅威及び機会に関連するリスクへの取組み *2015 年 2 月の会議で、「脅威及び機会に関連す るリスク」は「リスク及び機会」に変更すること が決まりました。 6.1.1 一般 6.1.2 著しい環境側面 6.1.3 順守義務 6.1.4 脅威及び機会に関連するリスク 6.1.5 取組みのための計画策定 6.2 定 環境目的及びそれを達成するため計画策 6.2.1 環境目的 6.2.2 環境目的を達成するための取組みの計 画策定 7.支援 7.1 資源 7.2 力量 7.3 認識 7.4 コミュニケーション 7.4.1 一般 7.4.2 内部コミュニケーション 7.4.3 外部コミュニケーション 7.5 文書化した情報 7.5.1 一般 7.5.2 作成及び更新 7.5.3 文書化した情報の管理 8.運用 2015-04/r1 ワンポイント解説 ・6.1.2~6.1.4 までは、4.1 と 4.2 で決めたことを考慮しまし ょう。 ・要プロセスの計画! *「緊急事態の特定」が追加される見通しです。 ・環境側面の特定には、ライフサイクルの視点を考慮するこ とが必要です。ライフサイクルの範囲は組織が管理できる 又は影響を及ぼすことのできる範囲と考えましょう。 ・環境側面に加え環境影響も特定しましょう。 ・環境側面の特定には緊急事態も考慮しましょう。 ・環境影響を特定する人には「力量」が必要です。 ・要文書化! ・順守義務とは 2004 年版の「法的及びその他要求事項」の ことです。 ・要文書化! ・共通テキストでは「リスク及び機会」ですが、DIS14001 では「脅威及び機会に関連するリスク」となっています。 ・組織が目的を達成するために有害な影響(脅威)はある か、有益な影響(機会)はあるかを検討して決定します。 ・要文書化! ・6.1.2~6.1.4 で決定したことの実施計画を策定します。 ・実施方法は、8.1 運用管理などを通じて EMS に取り込み ましょう。 ・計画時に評価方法まで決めることが 2015 年版の特徴で す。 ・環境目的の設定と実施計画の策定です。 ・DIS では「目標」が消えていますが、「目的」に含まれて いると理解しましょう。 ・環境目的には、6.1.2~6.1.4 で決めたことが反映されるこ と以外は 2004 年版と変わりません。 ・要文書化! ・6.1.5 と同じく計画時に評価方法を決めます。 ・測定可能な場合は、評価のための指標も決めます。 ・計画は「事業プロセス」との統合を考えなければなりませ んが、そのレベルは組織で決定します。 ・環境目的の達成に寄与する人には力量が必要です。 ・ここをしっかり決めないと EMS は動きません。 ・EMS の運用にはヒト、モノ、カネが不可欠です。しっか り検討して決めましょう。 ・環境パフォーマンスに影響を与える業務を行う人の「力 量」を決定することが必要です。 ・「力量」は適切な教育、訓練又は経験によって備わります (「適切な教育訓練」のご用命はグローバルテクノへ!) ・力量の証拠を要文書化! ・「認識の手順」ではなく、 「認識」そのものが要求されてい ることに注意してください。 ・要プロセスの計画! ・「苦情受付」だけではなく、双方向のコミュニケーション を意図していることに注意しましょう。 ・法的な報告義務もコミュニケーションのうちです。しっか り計画に入れておきましょう。 ・コミュニケーションの証拠を要文書化! ・IT 化社会を考慮して「文書」と「記録」を区別していない ことが改正版の特徴です。 ・管理のポイントは同じです。 ・PDCA サイクルの「Do」です。 ・6.1、6.2 に基づく戦術の計画です。 3 ㈱グローバルテクノ© 8.1 ISO/DIS 14001 運用の計画及び管理 8.2 緊急事態への準備及び対応 9.パフォーマンス評価 9.1 監視、測定、分析及び評価 9.1.1 一般 9.1.2 順守評価 9.2 内部監査 9.3 マネジメントレビュー 10.改善 10.1 不適合及び是正処置 10.2 継続的改善 附属書 2015-04/r1 ワンポイント解説 ・6.1、6.2 で決めたことを実施するめの計画と管理方法を決 定します。要するに「運用管理」です。 ・ただし、求められるものは手順ではなくプロセスの計画で す。 ・アウトソースもライフサイクルの視点で管理しましょう。 ・著しい環境影響の原因となる可能性を持つ作業を行う人に は「力量」が必要です。 ・プロセス実施の証拠を要文書化! ・DIS では、唯一「手順の確立」が求められています(が、 FDIS ではどうなるか…) ・したがって、2004 年版と変わりません。 ・ただし、緊急事態に対応する人には「力量」が必要です。 ・PDCA の「Check」です ・「環境パフォーマンス評価」が要求されています。 ・監視及び測定の対象、方法、評価基準、実施と分析/評価 時期の決定が要求されています。 ・環境パフォーマンス評価は、 「指標」を使った評価基準を 決定します。 ・評価結果を要文書化! ・要プロセスの計画! ・評価頻度の決定に加え、不順守への処置が要求されます。 ・順守義務への適合状況に関する知識と理解の維持が要求さ れます。 ・すなわち、順守評価をする人には「力量」が必要です。そ してその源となる法規制に関する「知識と理解」を定期的 にアップデートしましょう、という意味です。 ・評価結果を要文書化! ・内部監査の目的が、EMS の「適切」な実施・維持ではな く「有効」な実施・維持の確認となっています。 ・内部監査員には「力量」が必要です。 ・内部監査の実施状況と結果を要文書化! ・「インプット」に変えて「考慮する」となっています。 ・考慮(インプット)する項目に大きな変更はありません が、 (内外の)変化の状況と有効性のレビューが重視され ているようです。 ・「アウトプット」はそのままですが、項目が具体的に整理 されています。 ・マネジメントレビューの結果を要文書化! ・PDCA の「Act」です。 ・「予防処置」が消えてなくなりましたが・・・ ・この EMS そのものが予防的なツールであることが大前提 です。 ・構造的には 4.1 から 6.2 の流れが予防処置に相当すること になりますが、計画段階ですべての予防処置を展開するこ とは不可能なので、10.1 で「類似の不適合の有無」と「発 生の可能性」を明確にすることが引き続き求められていま す。 ・とった処置と結果を要文書化! ・「環境パフォーマンス向上のため」の継続的改善であるこ とが要求されています。 ・理解のための参考となることがたくさん書いてあります。 ・ぜひお読みください。 4 ㈱グローバルテクノ© ISO 14001 規格改正への対応 2015年 2016年 2017年 2018年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 4 5 6 7 8 9 10 11 12 4 5 6 7 8 9 10 11 12 ISO 14001:2004 JIS Q 14001:2004 ISO 14001:2015(2015年9月に予定) JIS Q 1401:2015(12月下旬に改正予定) 移行期間 2018年8月まで(予定) 移行期間が終わるまでに新規格への対応を完了する必要あり ●認証取得組織の経営者・管理責任者・ご担当者 ISO14001 規格が改正される時期(2015 年 9 月の予定ですが変更される可能性があります)と、認証審査(サー ベイランス、再認証)を受けるタイミングをご確認ください。 ISO14001:2015 規格が発行されてから 3 年間の「移行期間」がありますので、遅くとも 2018 年 8 月(予定)ま でに、新規格に対応した文書の見直し、内部監査を完了し、認証審査(維持、更新)を終えておく必要がありま す。無理なく無駄なく効率よく新規格への対応ができるように計画を立ててください。 ●EMS 審査員・コンサルタントの方 規格改正後、速やかに新規格に対応できるように、DIS、FDIS の段階からお早めに情報収集されることをお薦めし ます。審査員資格基準の改正にあわせた審査員資格移行のための研修をご受講ください。 (CEAR 審査員登録基準、 移行要件が公表され次第、順次、移行研修を開催いたします。 ) ●内部監査員養成コース・審査員研修を修了された方、これから受講をお考えの方 規格改正後、新規格に対応した研修、セミナーを受講するなど準備を進めてください。資格基準の変更など、ご不 明な点はお気軽にお問合せ・ご連絡ください。 ISO14001 規格改正に関するおすすめセミナー 【ECP】ISO14001 審査員 CPD コース(19 頁) ISO14001 審査員向けの CPD コースです。TC207/SC1 国内委員長の吉田敬史講師による改正版 ISO14001 の最新情報 が直接入手できます。 【EQAR】ISO14001 審査員研修コース リフレッシュコース(19 頁) CEAR 登録審査員/主任審査員のためのリフレッシュコースです。改正版 ISO14001 の解釈、審査について演習、デ ィスカッションを通じて理解を深めます。 (1 日 7 時間の受講で 15CPD 時間にカウントされます) 2015 年 6~7 月に FDIS(最終国際規格案)が発行され次第、 「ISO14001:2015 改訂版解説コース」 「ISO14001:2015 移 行対応コース」 「EMS 審査員移行対応コース」などを、順次、企画・開催する予定です。最新情報は、グローバルテ クノのウェブサイトをご覧ください。http://www/gtc/co.jp 【改正版移行応援キャンペーン】 2014 年 11 月以降の「ISO14001 審査員研修コース/ISO14001 審査員資格拡大研修コース」受講者を対象に、今 後提供する ISO14001 改正版「移行研修コース(仮称)」へ無料招待いたします。詳細は研修部までお問い合わ せください。 この他にも随時、講演会、新規セミナーを企画・開催いたします。お気軽にお問合せください。 2015-04/r1 5 ㈱グローバルテクノ©
© Copyright 2024 ExpyDoc