日本型イネに導入した紫米における着色色素の同定

Title
日本型イネに導入した紫米における着色色素の同定
Author(s)
佐藤, 博二; 中野, 英樹; 前川, 雅彦; 金内, 里恵; 市原, 耿民
Citation
北海道大学農学部農場研究報告 = Research bulletin of the
University Farm Hokkaido University, 30: 47-53
Issue Date
1997-03-25
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/13434
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
30_p47-53.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
北海道大学農学部農場研究報告 第 3
0号
47-53(
1
9
9
7
)
日本型イネに導入した紫米における着色色素の同定
佐藤博二・中野英樹
(北海道大学農学部附属農場)
前川雅彦
(岡山大学資源生物科学研究所)
金内里恵・市原取民
(北海道大学農学部生物機能化学科)
(
19
9
7年
緒
1月 2
2日受理)
は,アントシアニンによる紫色のみであるが,玄
ー
百
米においては色調・模様に多様な変異が認められ
植物が合成するアントシアニンは,葉の表皮細
る。イネの粒色に関する遺伝子系については木下
胞に蓄積し有害な紫外線の防御機構として働くば
が詳しく述べているがへ大別して 2種の遺伝子
I
L 抗酸化作用やファイトアレキシン
系に分かれ,アントシアニン生成に関与する 3遺
として作用することも知られている。さらに,利
伝子の補足作用によって紫米となる系と 7),種皮
用面においても安全で、鮮やかな食品着色料とし
着色の 2遺伝子の補足作用により赤米となる系で
て,あるいは生体調節機能をもっ色素としての価
ある 8)。これら粒色に関しては,既に,紫米に関し
値があり,最近では,コレステロールの低下作用
1 赤米に
ては Nagaiらによりアントシアニンが9
かりでなく
もあることが明らかとなった 2)。一方,アントシア
関しては Nagaoらによりカテキン,カテコール
ニンは可視的形質として古くから二次代謝経路の
タンニンが関与することが報告されている 10)。一
研究対象となり,天然物化学・生物化学の進展も
般に有色米は赤米もしくは黒米と称されるが,着
あってその生合成経路が解明された。さらに最近
色色素の化学的成分を考慮すると用語はかならず
では,分子生物学的手法の展開で,色素着色の組
しも統ーされている分けではなく,前述のごとし
織特異性や発現時期といった転写制御系の解明が
玄米における着色・形態は多岐にわたり,色調と
盛んになり,
構成色素が一致しない場合もある。本論文では,
トウモロコシでは色素着色の転写制
御ネットワークが構築されようとしている。イネ
粒色の呈色の主成分としてアントシアニンが考え
でもトウモロコシと同様にアントシアニン着色は
られる場合に紫米と記載した。
トウ
紫米のアントシアニンについてはインド型イネ
モロコシとは異り生合成経路も未だ明らかとなっ
紫米について,特に色素利用を背景に,酒類醸造
ておらず,また分子的転写制御系も不明で、ある o
の原料として,インド型の紫米 11),および臭い紫米
最近,インド型の紫米から関与するアントシアニ
の ア ン ト シ ア ニ ン 色 素 の 同 定 が お こ な わ れ 12),
ンが特定された 4)。また 1
9
9
3年にイネとトウモロ
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nふ g
I
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c
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s
i
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eを主成分とする 3種以上の
コシのシンテニーが明らかになったことからめ,
アントシアニンが紫米構成色素として存在するこ
イネのアントシアニン合成に係わる転写制御遺伝
とが報告されている。
古くから遺伝分析の対象となってきたがヘ
子R
α がとられベイネでも転写制御遺伝子系のネ
ットワークが解明されようとしている。
日本型イネの在来種には葉身のみ紫色する紫イ
ネは存在するが,玄米がアントシアニンにより紫
イネにおける着色形態は茎・穎から玄米にいた
色もしくは黒色に着色するインド型イネに見られ
るまで種々多岐にわたっている。茎・葉において
る紫米は存在しない。しかしイネにおける着色形
北海道大学農学部農場研究報告
4
8
第3
0号
ORz
OH
HO
OH
, Rz
R
Cyanidin3-glucoside
Pigmentl : Glucose H
Cyanidin3
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Pigment2: Rutinose H
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Pigment3: Rutinose CH3 P
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c
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.
態は遺伝子形質として古くから注目され,遺伝子
方法と結果
分析の結果各種の色調あるいは模様に関する遺伝
子が確立され,インド型イネの紫米系と日本型イ
1.供試紫米
ネとの交雑後代で、紫米に固定された日本型イネが
茎葉部の色素抽出には,北海道品種しおかりに
研究室規模で存在する。インド型イネの紫米と B
日本稲 A-77(紫イネ)の Pl遺伝子を導入した準
本稲との交雑後代で紫米に固定された日本型イネ
同質遺伝子型系統しおかり PIBCF2を,着色粒の
の紫米のアントシアニンについての研究報告は,
i
r
色素抽出には,フィリッピン原産の紫米系統 P
著者の一人である前川らの報告があるのみであ
u
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o
n
gに A -5(赤室)および北海道在来種 A -
る同。紫米は,栽培上,耐病性,耐雑草性にすぐれ
1
3(茶穂)を交雑して紫米を導入した系統 H406を
用いた 13)。
ており,この特性は紫米のアントシアニン色素生
成との関連が推定される。また,農産加工原料と
して日本型イネの紫米はインド型イネの紫米で問
題となる物理的特性や臭いなどの問題もなく,形
2
. 色素の抽出
i)しおかり PIBCF2茎 葉 部 か ら の 色 素 の 抽
g
) をエタノール:
出・分離,紫色の茎葉部(l.5k
質導入は多くの利点が考えられる。
本報告は,インド型イネの紫米系質を日本型イ
0
:0
.
5
: 5(V/
V
)に浸漬し,室温に
酢酸・水. 1
ネに導入した系統と,茎葉部のみ紫色を示す Pl
一夜放置して色素を抽出した(2回)。ロ別した色
遺伝子を導入した,準同質遺伝子型系統を用い,
素抽出液を濃縮後,少量の
種子や葉からアントシアニンを分離し,
日本型イ
液に溶解し,不溶物を遠心分離で除いた後,上清
ネに導入された紫米におけるアントシアニン色素
部をシリカゲル ODS-Q3(富工ゲ、ル)のカラムに
を同定し,紫米の加工食品への利用および分子生
サンプリングした。カラムは
物学的基礎知見を得ることを目的とした。
3
0%メタノール,メタノールで順次溶出した。
4%酢酸メタノール溶
4%酢酸を含む水,
4
9
佐藤・中野・前川・金内・市原:日本型イネに導入した紫米における着色色素の同定
. Rfv
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7
3
l%HCl BHA
004
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4
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0
1
%HCI-MeOH FAB-MS
[
M
+
J
A
1
C
l3
λmax(nm) E"o/E
.
na
x(
%
)
5
7
0
2
7
9,
2
8
0,
5
3
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0
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5
v
)
4:
1:
2(
vI
O
*BAW n-BuOH:AcOH:H,
AH AcOH:
H
C
l:
H,
O
5
:1・5
O
l%HClH
C
l
:H,
2
:71
BHA n-BuOH:
4
C
l:
AcOH:
H,
O7
:2:
1・5
NH
鮮明な赤色を示した 30%メタノール (4%酢酸
ン部 (
n ブタノール層)と糖部(水層部)に分け
含有)溶出区分を濃縮して粗色素を得た。粗色素
0
た。糖部は炭酸銀で中和後 PPCおよび TLC (
区分を TLC (フナセル SF20X20cm,AcOH:
BuOH:P
y
r
i
d
i
o
e:H20
HCl:H20 5
品と共に展開し,グルコースを同定した。またア
1 5v
/
v
) で展開した結果 Rf
6
4 3v
/
v
) で標
値0
.59,0
.
7
3,0
.
8
3に少くとも 3つのスポットが
グリコン部は標品とともに TLC (AcOH:HCl:
確 認 さ れ た , そ れ ぞ れ Rf値 の 低 い 方 か ら 順 に
H20
Pigment1, 2および 3と仮称した。
定した。 lH-NMR (CF3C02D-DMSO-d
6
粗色素区分は調製用 TLC(フナセル SF20x20
cm,AcOH:HCl:H20
5
1 5),で精製
5
1 5v
/
v
)で展開して c
y
a
n
i
d
i
oを同
1
9) (図-2)では,アグリコン部のシアニジン由
S, H-4),8
.
2
6(
d
d,J=2,9Hz,H
来の o8.95(
1
3
.
8mg乾因物),
を繰り返えして, Pigment1 (
6
'
), 8
.
0
3(
d,J=2Hz,H
2
'
), 7
.
0
3(
d,J=9Hz,
Pigment2 (
2,
7mg),Pigment3 (1mg) を得
H
5
'
), 6
.
9
0(
d,J=2Hz,H-8), 6
.
6
8(
d,J=2Hz,
た
。
H-4) の 6個のプロトンおよび糖部グルコース由
i
i
) H4
0
6着色粒から色素の抽出・精製
4
4(
d,J=6.8)
来のアノメリックプロトンが o5,
H4
0
6 (玄米)を軽〈粉砕後,
1%塩酸・メタ
に,その他の 6個分のプロトンが o3
.
2
0
4
.
5
2に
ノールに浸漬して抽出を行った。抽出液を濃縮後,
y
a
n
i
d
i
n3-0β
認められた事から Pigment1を c
セファデックス LH-20カラムを通して,色素区
D-glucopyranosideと同定した。 UV-VIS スベ
分を集めた。組色素区分は TLCの結果主成分の
0
.
0
1% HCI-MeOH)では λmax2
7
9,5
7
0
クトル (
強いスポットとマイナ一成分の 2スポットのみが
nmで AIC13 添加では深色移動を示しアントシア
確認された。組色素区分を調製用 TLCで精製し
ニジン骨格の B環に隣接するフェノ -)レ性の水酸
て
, Pigment4と 5を単離した。
基を有する事,また, E440/Emax値が 35%であ
ることから Pigment1はモノグルコシドであり,
3
. 色素の同定
y
a
n
i
d
i
nの 3位であることを裏
糖の結合位置が c
i
) Pigment 1
FAB-MSスペクトルから
y
a
n
i
d
i
n 3付けている。最終的には標品の c
M+は m/z4
4
9に
, m/z2
8
7(M+-glucose)のピ
g
l
u
c
o
s
i
d
eと lH-NMR, FAR-MSのスベクトル
ークが認められた。 Pigmeot1を少量とり, 3N
データーと TLCの Rf値(表
塩酸メタノール溶液中で、 1
0
0
0
C,3
0分聞の加水分
とにより決定した。
解を行った。放冷後,メタノールを留去し,水で
希釈した後,
0
ブタノール抽出を行ってアグリコ
1)を比較するこ
i
i
) Pigment2:FAB-MSスペクトルから M+
は m/z5
9
5および m/z4
4
9(MLrhamnose)のピ
5
0
北海道大学農学部農場研究報告
第
3
0号
HO
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J~I
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.
ークが認められた。 P
igment2の塩酸による加水
3
0
1(
p
e
o
n
i
d
i
n
)のピークを認めた。 Pigment3の
y
a
n
i
d
i
nを,糖部
分解ではアグリコン部としては c
e
o
n
i
d
i
n
酸加水分解物から,アグリコンとして p
としてグルコースとラムノースを同定した。 lH
を,構成糖としてグルコースとラムノースを TLC
) では,アグリコン部
NMR スペクトル(図-3
igment1のシアニジンと同一ケ
のシグナルは P
上で確認した。 lH-NMR-スベクトルでは o
3
.
9
3
ミカルシフトカップリングで認められ,糖部グル
igment2の NMRスペ
ルが認められる以外は P
.
3
4 (lH,d,
コースのアノメリックプロトンが q5
クトルはほぼ同ーのケミカルシフトパターンを示
]=7.0Hz) に,ラムノースのアノメリックプロト
igment3をp
e
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n
i
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i
n3-0-(
6
"0
-(α-Lした。 P
ンが
O4
.
4
9(lH,b
r
s
)に認められる他グルコース,
(3H,s
)にペオニジン 3'位の -OCH3 基のジグナ
rhamnopyransylβD-glucopyranoside))と同定
ラムノースに由来の各プロトンが δ3.1-3.9に
7
9,5
3
0
した。 UV-US-スベクトルでは λmax2
igment2を c
y
a
n
i
d
i
n 3
0
認められた事から P
(
6"
0
(
α 一L-rhamnopyranosy
I
)
一 β-D-gluco
nmで ALC13 添加では λmaxは移動を示さず,シ
アニジンの B環に存在した隣接するフェノール性
u
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i
n
o
s
i
d
e
)と同定した。 UV-VIS ス
p
y
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n
o
s
i
d
e,r
水酸基が存在しない事を示している。 E440/Emax
ペクトラムでは λmax2
8
0,5
3
0nm,A
I
C
13 添加で
35%であり, Pigment3の構造を裏付けた。
i
v
) H4
0
6着色粒からの色素の同定
9%であり,
深 色 移 動 を 示 し ,E440/Emaxは 2
Pigment2の構造を裏付けた。
i
i
i
) Pigment 3
FAB-MSから M+は m/z
609, ま た m/z463 (MLrhamnose),
H-406着色粒から抽出・精製した Pigment4
お よ び 5は 表 -1に示すごとく TLC上の Rf値
および FAB-MSの M+ピークを比較しそれぞ、
佐藤・中野・前川・金内・市原:日本型イネに導入した紫米における着色色素の同定
5
1
H
HO
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3
5←
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グ
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.
P
1
W遺伝子を有し紫
れ Pigment 1, 2と同ーであり, Pigment4を
比は 70%以上と測定された。
c
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n3
g
1
u
c
o
s
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d
ePigment5を c
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i
n3
-
葉・紫米である H-406の玄米部の色素抽出の結果
r
u
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n
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i
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eと同定した。
も,粗色素区分は, TLC上 で c
y
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n 3-
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a
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n
e 3g
l
u
c
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s
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eが大半であり,少量の c
考 察
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u
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n
o
s
i
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eを認めたにすぎない。インド型イネの
C(花青素色原素), A (
アクチベータ)
紫米のアントシアニンの構成比においても
と Pl却(紫葉)の 3遺伝子の補足作用によることが
c
y
a
n
i
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i
n 3-g
l
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c
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d
eが 大 半 で あ り , 少 量 の
遺伝子分析から明らカか冶にされている η
c
y
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i
n
e3
r
u
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i
d
eを認められてるにすぎな
紫米は
しおかり P
刊lBCF2は し お か り に 日 本 稲 A 一
い。インド型イネの紫米のアントシアニンの構成
7
η
7 (紫イネ)の P
円f遺伝子を導入し,葉身・葉鞘の
比においても c
y
a
n
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n3
g
1
u
c
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d
eが 6
0%以上
み紫色となり玄米部は着色しない。しおがり
を占めるとの報告もあり
,これらの結果を考
IM2)
PIBCF2の紫葉部から抽出したアントシアニン
y
a
n
i
d
i
n 3慮、すると紫米の呈色主要成分は c
はc
yanidin 3-glucosideを 主 成 分 と す る
g
l
u
c
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s
i
d
eである。又,アントシアニンのアグリコ
c
y
a
n
i
d
i
n 3-r
u
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i
n
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s
i
d
eお よ び p
e
o
n
i
d
i
n 3
ン部はインド型イネ,日本型イネの紫米とも
r
u
t
i
n
o
s
i
d
eの 3種類であった。正確な定量は行な
c
y
a
n
i
d
i
nと p
e
o
n
i
d
i
nの 2種のみであり,他のア
←
わなかったが, TLCに展開後の粗色素区の各スポ
ントシアニジンの存在については今の所報告例が
ットをかき取り,単純に比色した結果では
ない。インド型イネの紫米から比較的多種類のア
c
y
a
n
i
d
i
n3
g
1
u
c
o
s
i
d
eのアントシアニン中の存在
ントシアニンが同定されているに比べ,Plw遺伝
5
2
北海道大学農学部農場研究報告
子導入で発現される日本型イネの紫米のアントシ
アニンは cyanidin3-g1ucosideを圧倒的多量な主
成分とし,他のアントシアニンは質的にも量的に
も微量であり,アントシアニンの構成は非常に単
純化されている 1ぺ P
l卸遺伝子導入による紫米ア
ントシアニンの発現制御は輿味ある問題である。
天然色素の直接的利用という観点から,紫米ア
ントシアニン(主構成分 cyanidin3-g1ucoside)の
食品加工における有効利用は今後の課題である。
既にインド型イネの紫米を原料として用いた,
日
本酒醸造やリキュールへの利用報告があるが,今
後は日本型イネに P
l山 遺 伝 子 を 導 入 し た 紫 米 に
よる加工食品への原料として研究が多くなる事が
予想される。利点は日本型イネを直接利用できる
点であり,問題点は紫米における着色層は種皮部
であり,清酒等への利用の場合精白で大部分の色
素は「ヌカ J部に移行してしまう事である。紫米
色素を「ヌカ」から抽出利用する場合はその原料
的利点は大半は失なわれる。育種的改良が望まれ
る
。
引用文献
1
. Takahasi,A
.,Takeda,K
.andO
h
n
i
s
h
i,T
. L
i
g
h
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I
n
d
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da
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7集
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育種学最近の進歩,第 1
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