J. Plasma Fusion Res. Vol.91, No.4 (2015)2 65‐270 小特集 トレーサー内蔵ペレット(TESPEL)による磁場閉じ込め高温プラズマ研究の進展 3.TESPEL を用いた不純物輸送研究の進展 3. Progress of Impurity Transport Study with the TESPEL 須藤 滋1,2) SUDO Shigeru 1) 核融合科学研究所,2)総合研究大学院大学物理科学研究科 (原稿受付:2 0 1 4年1 2月1 9日) トレーサー内蔵固体ペレット(Tracer-Encapsulated Solid Pellet: TESPEL)によりトレーサー粒子をプラズ マ中に局所的に注入し,これを追跡することで不純物輸送について調べた.この TESPEL の特徴であるトレー サー粒子をプラズマ中に局所的に注入できる長所を生かすことにより新しい発見があった.即ち,プラズマ周辺 部で不純物の遮蔽が起きているような高い密度のプラズマの場合にはプラズマ中の不純物密度が極めて低く,高 密度プラズマでは不純物の問題はないかに考えられていたが,TESPEL を用いた実験により,高密度プラズマの 場合にはよりトレーサーが長時間保持されることが初めてわかった.そして,不純物の輸送が不純物源の位置お よびプラズマの密度(衝突周波数)に依存することがわかった.ヘリカル系では密度が高い方がバルクプラズマ のエネルギー閉じ込め性能がよくなる傾向にあるので,高密度プラズマでの不純物の振る舞いの理解が重要であ り,その制御法が期待される.また,ダイバータへの熱負荷をできるだけ軽減する観点から,プラズマ周辺部で 不純物を局所的に滞留させ熱を放射光に変換する可能性も期待される. Keywords: TESPEL, LHD, impurity transport, tracer, plasma diagnostics 3. 1 はじめに り,レーザーブローオフ法や不純物ガスパフ法と違って直 プラズマ中の不純物の振る舞いはトカマクやヘリカル系 接的にプラズマ内部に不純物を注入できることなどの長所 など磁場閉じ込め装置において多くの研究者によって調べ がある.その TESPEL 製造法については第2章で詳しく述 られてきた.これは,プラズマ中で不純物が蓄積するとそ べた.本章では TESPEL を用いた不純物輸送の研究成果に の不純物による放射損失のためにプラズマの温度が低下 ついて述べる.TESPEL を用いたプラズマ中での粒子の輸 し,核融合反応率が落ちて核融合炉として成立しなくなる 送計測の原理と TESPEL 構造の概念図を図1に示す[1]. 恐れがあること,また不純物や核融合反応生成物であるヘ ここで TESPEL を用いた不純物輸送計測においてまず リウム灰がプラズマ中に溜まってくると核融合反応を起こ 明確にしておくべきことがある.それは,調べようとする すべき燃料粒子が希薄化して,核融合反応量が減ってしま プ ラ ズ マ に 対 し て 比 較 的 擾 乱 が 少 な い こ と で あ る. うなどの問題が生じるからである.一方で,ダイバータへ TESPEL の外層部の直径は通常 500∼900 μm(特に浅い侵 の熱負荷をできるだけ軽減する必要があるが,不純物をプ 入長を目標とする場合には 400 μm 程度まで)の範囲であ ラズマ周辺部に局在化させて,ダイバータへ流れ込む熱を り,その TESPEL 内に装填するトレーサー粒子数は1 017個 不純物による放射損失に変換できれば,ダイバータへの熱 程度である.これはバルクプラズマ粒子(すなわち電子と 負荷を減らせる可能性がある.この時にその不純物がプラ 通常陽子)の数量より4桁程度少ない.一方で,TESPEL ズマ中心部に向かわないよう制御できることが望ましい. の外層部はポリスチレンであり,これは炭素と水素のみで このように核融合炉の実現のためには不純物の輸送を十分 生成されるポリマーで,例えば典型的なサイズとして直径 に理解することが大変重要である.しかし,不純物輸送が 720 μm とすると,炭素と水素ともに1×1019個である.通 未だ十分解明されているとは言い難く,そこで不純物の輸 常のプラズマパラメータでは炭素と水素ともに完全電離す 送研究を更に進展させるため,我々はトレーサー内蔵固体 るから,LHD において TESPEL により増加する平均電子 ペレット(Tracer-Encapsulated Solid Pellet: TESPEL)を 密度の上昇は 0.2×1019 m−3 であり,本章で主として扱うプ 用いて不純物粒子の初期位置にも注目しながら研究を行っ ラズマの電子密度より1桁以上低い値となっている.ま てきたので,ここに主として LHD での実験結果とその解 た,密度の上昇の原因はトレーサー粒子によるものではな 析結果をまとめることとしたい. く,主として炭素に由来するものである.擾乱が比較的小 さい中でトレーサー粒子の発光線(!!線や Li-like,Be-like TESPEL の特徴は1章の「はじめに」に記した通りであ National Institute for Fusion Science, Toki, GIFU 509-5292, Japan author’s e-mail: [email protected] 265 !2015 The Japan Society of Plasma Science and Nuclear Fusion Research Journal of Plasma and Fusion Research Vol.91, No.4 April 2015 バーできるので,トレーサーである V,Mn,Co の Li-like 線 を 同 時 に 計 測(V XXI 24.04 nm, Mn XXIII 24.04 nm, Co XXV 17.82 nm)で き る.さ ら に Fe の Li-like 線 (Fe XXIV 19.2 nm)もこの波長範囲に含まれている.LHD プラズマの電子温度領域では,"!線が主としてプラズマ コア部からの発光であるのに対して,Li-like や Be-like 線な ど真空紫外域のライン光は主としてプラズマ周辺部からの 発光である. 3. 3 実験結果 初期の実験において,チタン(Ti) をトレーサーとして計 3.2 MW の NBI のバランス入射加熱プラズマにおいて入射 実験を実施し,チタントレーサーの入射後の Ti "!線の減 衰特性時間を測定した.そして,その密度依存性を図2に まとめている[7].明らかにチタンの保持時間がプラズマ 密度の上昇とともに増加している. 最近の 20 MW レベルの NBI 加熱プラズマにおいて中程 度の密度と高密度のプラズマにおいて,V,Mn,Co の3種 のトレーサーを入射した場合の実験結果を 図3に示す [1].磁場強度は !!2.75 T で,磁気軸位置は ##%!3.6 m である.図3(a)に高密度(%$!6.6×1019 m−3)および中密 度(%$!3.4×1019 m−3)の2種類の場合の電子密度の時間 図1 (a) TESPEL 計測の原理 (b) TESPEL の構造の概念図(参 考文献1の Fig. 1 を引用) . 変化を示している.TESPEL 入射のタイミングの &!3.69 s 付近でも密度上昇はわずかであるのがわかる.また,ト 線など)が,後で述べるように十分な S/N 比を以て観測で レーサーからの発光を観測しているフェーズではほぼ密度 きている.さらには同時に3種類程度のトレーサー粒子を は 一 定 と な っ て い る.中 心 電 子 温 度 は 高 密 度 の 場 合 装填することもできるので,同一のプラズマで電荷の異な $$" !# !# !1.8 keV,中密度の場合 $$" !3.2 keV となってい る輸送特性を比べることができると い っ た 特 徴 もある る.なお,電子温度と電子密度の積である電子の圧力分布 で見ると両ケースでほぼ同程度になっている.この高密度 [2, 3]. (衝突周波数では Pfirsch-Schlüter(PS)領域)と中密度 3. 2 計測システム (衝突周波数では Plateau 領域)の場合のトレーサー Co25+ TESPEL 入射装置については参考文献 [1]に記述されて イオン密度の空間分布の時間変化を STRAHL コード [8]で いる.典型的には400m/s 程度の速度の TESPEL によりプ 計算した結果を図3(b)に示す [9].ここで,拡散係数 " ラズマ中に注入したトレーサーの追跡は,"!線を 20− の 値 は 空 間 的 に 一 様 と 仮 定 し,高 密 度 の 時 に は 50 ms 程度の時間分解能且つ250eV 程度のエネルギー分解 能を有する X 線 PHA(pulse height analysis:波高分析器) システム[4]で観測し,Li-like や Be-like 線など真空紫外域 のライン光を 50 ms 程度の時間分解能を有する高波長分解 能のマルチチャンネル分光器である SOXMOS [5, 6]で計測 した.関連するトレーサーの元素の原子番号と "!線のエ ネルギーを表1に示す.真空容器構造材料のステンレスの 成分である Cr,Fe,Ni はプラズマ中に元来含まれるもの で,これも併せて示してある.表からわかるように例えば Fe は Mn と Co の間に挟まれているので,注入量のわかっ ているトレーサー粒子である Mn と Co の発光強度と Fe の発光強度の比較から Fe の量を推定することができる 図2 [2].また,Ar はガスパフで使用し,Cl は後述するように TESPEL のシェルに含有させてそれを追跡した.Ti(チタ チタントレーサーの入射後の Ti K!線の減衰特性時間の密 度依存性.(参考文献[7] の Fig. 4(a)を引用) . 表1 ン)はチタンゲッターでも使われているものであるが, バックグラウンドとして小さいとみなせる程度の発光強度 Z Atom Ka (keV) の 場 合 に は,ト レ ー サ ー 粒 子 と し て も 用 い て い る. SOXMOSにおいては,例えば15−27 nmを1ショットでカ 266 本章で関連する各元素の K!線のエネルギー. 1 7 Cl 2.6 1 8 Ar 3.0 2 2 Ti 4.5 2 3 V 5.0 2 4 Cr 5.4 2 5 Mn 5.9 2 6 Fe 6.4 2 7 Co 6.9 2 8 Ni 7.5 Special Topic Article 3. Progress of Impurity Transport Study with the TESPEL S. Sudo !!0.1 m2/s,中密度の時には !!0.2 m2/s としている.対 り詳細な空間分布の実験データが望ましく,これに向けた ! $で"!−2 m/s, 流速度 V は内向きで両ケースともに#!! 100チャンネルレベルの PHA 素子をもつ計測器を開発中で #!! ! ! #と #!" !で"!0 m/s 且つこれらの点を直線で結ん ある.図4(a)は PHA システムによる X 線エネルギースペ だものとして対流速度を与えている.この2種類のプラズ クトルで,トレーサーおよび壁由来の不純物からの %"線 マにおいて V,Mn,Co の %"線の発光強度の時間変化を図 強度を示している.中密度の時には明確に観測されていた 3(c)に示す.マーカーで示したものが PHA システムで計 鉄など壁由来の不純物が高密度の場合には完全に抑制され 測した %"線強度の実測データで,明らかに高密度の時に ているのがわかる.しかも,高密度の場合にはトレーサー は中密度の場合に比べて減衰時間が長くなっている.ま であるV,Mn,Coの3種類の%"線強度が強くなっていて, た,V,Mn,Co の3種類についてはほとんど時間変化に差 電子温度の低下によって壁由来の不純物の %"線強度が抑 がないこともわかる(#!3.9 s近辺で強度の規格化をしてい 制されているという可能性を排除できる.また,SOXMOS る).実線で示したものは,上記 STRAHL コードで計算し システムで計測した V,Mn,Co および壁由来の Fe の Li た各場 所 で の emissivity を 視 線 方 向 に 積 分 し た 値 で あ -like 線の plateau と PS の場合をそれぞれ図4(b),(c)に示 る.Plateau の場合にはほぼ時間変化が合っているが,PS している.TESPEL 入射前の #!3.65 s と入射後の #!3.85 s では実験値の方がより減衰がゆっくりしているように見え る.この差を調べるには今後より長いプラズマ運転時間で 減衰の比較をする必要がある.また,拡散係数 D の空間分 布について実験データと計算との比較を行うためには,よ 図3 (a) NBI 加熱プラズマの2種類の電子密度の時間変化.(参 考文献[3] の Fig. 2(a)を引用. ( )b) 高密度(PS)と 中 密 度 (Plateau)の場合のトレーサー Co25+イオン密度の空間分 布の時間変化.(c) V,Mn,Co の3種のトレーサーからの K" 線の発光強度の時間変化.(参考文献[1] の Fig. 8 を引用. ) 図4 (a) トレーサーおよび壁由来の不純物からの K"線強度. (参考文献[1] の Fig. 6を引用.)ボックスはトレーサー粒子 の K"線のエネルギー位置を示す.SOXMOS システムで計 測した Li-like 線の(b) plateau と(c) PS の場合. 267 Journal of Plasma and Fusion Research Vol.91, No.4 April 2015 上げれば,より詳細な測定が可能となる. の場合を示している.PS の場合の方が V,Mn,Co の Lilike 線強度は増加している(任意単位であるが, (b)と(c) 3. 4 炉における不純物制御 の縦軸の相対値は比例していて両者の比較は可能)が,PS 比較的密度が低くイオン温度勾配が急峻な場合には不純 の場合,Fe の Li-like 線強度は低い. PS 領域では壁由来の鉄不純物がプラズマ中に蓄積しな 物ホールという現象が LHD では観測されていて不純物の いことは既に知られていた[10]が,この TESPEL による実 排出が強く起こり,核融合炉として魅力的であるが,ヘリ 験でプラズマ中に注入した不純物は長時間閉じ込められる カル系ではエネルギーの閉じ込めスケーリングが密度の ことを実験的に初めて示したものである.さらに TESPEL 1/2 乗程度に比例するので,閉じ込め性能との両立が課題 入射と Ar ガスパフを同時に行い,壁由来の不純物発生量 である.一方で,高密度のモードではエネルギー閉じ込め によらず,一定量の Ar ガスパフで比較し,plateau の時に が有利になり,また壁由来の不純物が高密度で遮蔽される は Ar '"線が観測されるのに対して,PS 領域では Ar '" ので,これはヘリカル系にとっては,不純物の侵入の抑制 線が観測されず,プラズマ外から不純物がコア部へ侵入す と閉じ込め改善の両立ということで大変望ましいことであ るのを遮蔽する機構が働いているこ と を 明 確 に 示した る.但し,TESPEL 実験の示すところは,図6に示すよう [3].詳細は参考文献 [11]に譲るが,ヘリカル系ではプラ に不純物とバルクイオンの衝突周波数や不純物源の位置が ズマ周辺部において,磁力線のピッチ角が浅いため,イオ 不純物輸送の性質を決めるということであり,例えばフ ン温度勾配がつきにくく,不純物を上流部に駆動するいわ レーク状のものが壁から落ちてきてプラズマ中に不純物を ゆる熱力(thermal force)が小さく,一方でバルク粒子(こ 一旦供給してしまうと,高密度ではその不純物がずっとプ こでは陽子)が外へ流れ出る際に不純物を外へ駆動する摩 ラズマ中に保持されてしまう可能性を示している.また, 擦力が支配的になるため不純物が排出されるメカニズムが 核融合反応生成物であるヘリウム灰もプラズマコア中に長 シミュレーションでも示されている. 時間閉じ込められ排出が困難になる可能性があることを示 している. さて,PS 領域では壁由来の不純物が遮蔽され,コアに直 接注入したトレーサーは長時間閉じ込められるということ フレーク状の物質が溶発するのはプラズマ周辺部と考え は,ではどこにその全く異なった性質を示す領域の境界線 られ,この場合は周辺部で共鳴するECHを適用して電場を があるのだろうかと興味が持たれる.そこで,図5[12]に 制御することにより不純物を排出することが有効かもしれ 示すように標準的な (!)中 実 球 の TESPEL に 対 し て, (")薄いシェル状の TESPEL や, (#)薄いシ ェ ルにト レーサーとしての塩素(Cl)を混ぜたもの,および ($)Ar ガスパフを加えて実験を行った.その結果, (")ではより ! %#に 対 し て 浅 い 位 置(典 型 例 と し て,(!)の #!! #!! ! &$付近)にトレーサーを注入した場合も長時間保持 されることが観測された.一方で, (#)のケースの Cl の Li-like 線強度の減衰が!よりも非常に早く,#!"前後に供 給された粒子は遮蔽されることを示している[13].Ar の Li-like や Be-like 線の強度比の解析でも高密度の場合には Ar は #!0.88−0.93 の位置までしか到達していないことを 示している[1].したがって,境界線は #!0.9(0.85 - 0.93) 付近ということになるが,'"線やLi-like線の空間分解能を 図5 図6 (a) 不純物輸送特性を示す n-T ダイアグラム.SDCは超高密 度プラズマを指す.PS 領域では壁由来の不純物はプラズマ 中に蓄積せず,Plateau 領域で不純物が蓄積するケースが 観測されている[1 2] .(b) PS と Plateau の衝突域での不純 物源の位置と輸送の関係の概念図[1 2] . TESPEL の各種構造と Ar ガスパフの場合のトレーサー注入 位置の概念図.参考文献[1 2] の Fig. 2 を引用. 268 Special Topic Article 3. Progress of Impurity Transport Study with the TESPEL S. Sudo ない[1 2].ECH 印加によ り 不 純 物 の 排 出 が 早 ま る例が 図7に示すように観測されており,このECH印加の効果は 電場が正方向へ変化したためであると解析されているが, 今後系統的な実験が必要である.ヘリウム灰に関してはプ ラズマコア部であるので,ECH による制御だけでは困難と 思われ,一時的に密度を下げるなどの制御が必要になるか もしれないが,現実的なシナリオが可能か今後検討する必 要がある. 一方,不純物による放射パワー #は一般的に ##!!% $%% ( '%% ( ')% ( $% & & & & 図7 不純物の K#線強度の減衰時間が ECH 印可により短くなる 例[1 2] . 図8 放 射 パ ワ ー 損 失 率 の 実 験 値 と 計 算 値.参 考 文 献[1 3] の Fig. 3 から引用. 図9 磁気島に不純物(チタン) を入射したときの発光分布.2方 向 か ら の AXUVD(Absolute eXtreme Ultra Violet photo Diode)アレイにより観測.参考文献[1] の Fig. 17 から. と書け,')は 不 純物 密 度,!は 放 射 パ ワ ー 損 失 率 で あ る.TESPEL でほぼ局所的((#( ")にトレーサーを注入す ると, ')% ( ( $% (!( & #')% & "& !')% ( $%#") & と書ける(")は不純物粒子数)ので, #$!% $%% ( '%% ( ") & "& "& と近似できる.不純物を局所的にプラズマ中に注入でき, 且つその供給不純物量が前もってわかるという TESPEL の長所を生かして,不純物の注入位置の電子温度・密度を 特定した状態で不純物の放射パワーを観測した.各元素の 放射パワー損失率 !の実験値といくつかのモデル計算デー タ[14‐16]を図8に示す [17].比較的低い Z では実験値と Post の計算値とよく合っており,Z の大きい Gd や W では 実験値が Post の計算値の20‐50%程度となっている.W の 実 験 値 の !を 使 う と,1.6×1019 個 の W(5 mg)が $%#1 keV,'%#1×1020 m−3 の周辺部に局在していると 400 MW の放射パワーとなる. プラズマコア部に侵入せず周辺部に不純物を局在できれ ば,上記の量の程度でダイバータの熱負荷を軽減できるレ ベルにあると言える.不純物を周辺部に局在させるという ような虫のよい話が可能かということになると,これは磁 気島中に TESPEL を使って不純物をプラズ マ 周 辺部の &" '#" " "の磁気島中に入射する実験を行い,図9に示す ように2次元の発光分布を観測したところ,磁気島外より も磁気島内の方が不純物が長く閉じ込められることが見出 された[18].そこで,磁気島の制御と,磁気島から漏れ出 てプラズマコア部に侵入する不純物は ECH による電場制 に,内部へ直接注入したトレーサーは長時間保持されるこ 御で追い返すシナリオの可能性も考えられる. とがわかった.その結果,不純物の輸送が不純物源の位置 3. 5 まとめ およびプラズマの密度(衝突周波数)に依存することがわ トレーサーをプラズマ中にパルス的に直接局所的に注入 かった.また,高密度の場合にプラズマ周辺部と内部での できることやペレットの大きさやシェル構造などを自由に ! # 不純物輸送特性を分ける境界域に関しても調べ,%#! 選ぶことができ,目的に応じて TESPEL の侵入深さを調整 付近であることがわかった.上記の結果に基づき不純物制 できることなどの TESPEL の特長を活かして不純物輸送 御等,炉への展望についても議論した. について調べた.外部から侵入してくる不純物に対しては プラズマ周辺部で遮蔽が起きているような高い密度の場合 269 Journal of Plasma and Fusion Research Vol.91, No.4 April 2015 謝 [8]K. Behringer, Rep. JET-R (87) 08, JET Joint Undertaking, Abingdon (1987). [9]S. Sudo et al., Plasma Fusion Res. 8, 2402059 (2013). [1 0]Y. Nakamura et al., Nucl. Fusion 43, 219 (2003). [1 1]M. Kobayashi et al., Fusion Sci. Technol. 58, 220 (2010). [1 2]S. Sudo et al., “Study of Transport Characteristics of Multiple Impurities Depending on the Impurity Source Location in LHD” [EX/P6-32], paper presented at 25th IAEA International Conference on Fusion Energy St Petersburg 2014. [1 3]S. Sudo et al., Plasma Fusion Res. 9, 1202082 (2014). [1 4]D.E. Post et al., Atom. Data Nucl. Data Tables 20, 397 (1977). [1 5]T. Pütterich et al., Nucl. Fusion 50, 025012 (2010). [1 6]http://www-amdis.iaea.org/FLYCHK/. [1 7]S. Sudo et al., Plasma Fusion Res. 9, 1202147 (2014). [1 8]N. Tamura et al., J. Plasma Fusion Res. SERIES 8, 0975 (2009). 辞 国内外の多くの共同研究者や関係する先輩方,同僚の 方々,学生諸君に感謝申し上げる.特に,LHD での実験遂 行においては,LHD 実験グループと核融合科学研究所技術 部のご尽力に感謝申し上げる. 参考文献 [1]S. Sudo et al., Plasma Fusion Res. 9, 1402039 (2014). [2]S. Sudo et al., Nucl. Fusion 52, 063012 (2012). [3]S. Sudo et al., Plasma Phys. Control. Fusion 55, 095014 (2013). [4]S. Muto et al., Rev. Sci. Instrum. 72, 1206 (2001). [5]J.L. Schwob, et al., Rev. Sci. Instrum. 58, 1601 (1987). [6]C. Suzuki et al., J. Phys. B: At. Mol. Opt. Phys. 45, 135002 (2012). [7]N. Tamura et al., Plasma Phys. Control. Fusion 45, 27 (2003). 270
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