Keysight Technologies 最適なベンチ用電源を選択するためのポイント

Keysight Technologies
最適なベンチ用電源を選択するためのポイント
Application Note
はじめに
市場では膨大な数の電源が販売されています。その中から自分のニーズに合ったDCベンチ用電源を選択すること
は、容易ではありません。
ここで重要なのは、電源にはそれぞれ異なる特長があるという点を理解することです。価格だけで選択するのは
お勧めしません。実際、汎用のベンチ用電源の選択には、考慮すべき点がいくつかあります。
どのようなアプリケーションに対しても、高品質で安定したDC出力を提供する電源を選ぶことが不可欠です。ま
た、手頃な価格、使いやすさ、DUT
(被試験デバイス)の保護機能も重視しなくてはなりません。さらに、ベンチトッ
プの作業スペースをできるだけ確保するために、小型の電源を選ぶことも必要です。
DCベンチ用電源は汎用ですが、一般的に以下のようなアプリケーションで使用されます。
– 研究開発における汎用テスト
– 品質管理・品質保証検査
– 回路用のバイアス電源
– スループットをあまり重視しない製造テスト
– サブアセンブリのテスト
– 教育用ラボでの実験
– 回路の一般的なトラブルシューティング
電源のアプリケーションがわかれば、購入対象を絞り込むことができ、
最適な電源を選定する上で役立ちます。キー
サイトは、150種類を超える電源を提供し、最適な電源をお選びいただけます。
このアプリケーションノートでは、DC電源の仕様を決定し購入する際に検討すべき基本的なポイントをいくつか
ご紹介します。例えば、「アプリケーションニーズに最適な電源はどれか?、電源に関連するコストを抑えるには
どうすればよいか?、自分の環境にはどのような機能が必要なのか?、どのような特性を重視すべきか?」といっ
た内容について解説します。
アプリケーションノートでは、主に以下の内容を取り上げます。
– 出力/電力要件
– 性能特性
– 保護機能
– 高密度パッケージ
– 維持コスト
出力/電力の要件
テストが必要なDUTでは、どれだけの電
力が必要か、最大電力が必要になるのは
V
特定のポイントのみか、さまざまな電圧
/電流設定で最大電力が必要になるのか、
どのような範囲で電力を供給すればよい
か、などを検討する必要があります。例
えば、Keysight E3600シリーズ ベンチ用
I
シングルレンジ
Single
range
電源は、30 ∼ 200 Wの範囲の電力を供給
できます。高度な単出力電源には、電圧
/電源レンジを複数備えているものがあ
ります(図1参照)。
V
複数の機器を同時にテストする場合、出
力を複数備えた電源が便利です。マルチ
出力の電源を選定する際には、出力の分
離が必要かどうか、トラッキング機能が
I
デュアルレンジ
Dual range
あるかどうかを確認してください。
また、将来的な拡張性も考慮する必要が
あります。ただし出力の大きなモデルを
選択する場合は、サイズが大きくなる、
V
質量が増える、AC消費電力が増えるといっ
たデメリットも考慮する必要があります。
さらに、電源を供給する負荷の種類も検
討する必要があります。負荷には、抵抗性、
誘導性、容量性があり、負荷の特性と動
作が電圧プログラミングの応答時間に影
I
マルチレンジ
Multi range
図1. 電源の出力電圧/電流特性
響を与えます。
3
性能特性
保護機能
電力の大きさと種類が決定した後、次に
Keysight E3600シリーズ電源の主な仕様
電源の機能と仕様を検討します。
のほとんどが保証仕様で、データシート
置の故障は、大きな事故につながりかね
に記載された性能が保証されます。
ません。したがって電源装置では、装置
以下に、主な特性を示します。
する機能も重要になります。電源の保護
一般的に、「データシートに記載された数
値はすべて保証された仕様だ」という誤
解がありがちですが、実際の仕様には、
保証された値と代表値という2種類があり
ます。
保証された仕様とは、誤差解析の結果と、
製品性能に影響を与える可能性のあるあ
らゆる不確かさの原因に基づいて、メー
カーが決定する仕様です。この仕様は、
ー 負荷変動:負荷変動による出力電圧/
電流の変動。負荷によっては、数パー
セントを超える電圧変動が許容されな
い場合もあります。
ー 電源変動:AC電源の変動による出力電
圧/電流の変動。
ー プログラミング確度:プログラミング
ります。つまり、ワーストケースのパラ
された値が、実際の電圧/電流にどれだ
メータが複数同時に発生したとしても、
け近いかを示す特性。
保証されています。
代表値とは、製品の能力の平均値または
通常値を指します。代表値は、事前に決
められた測定を多数の製品ユニットで行
い、その結果に基づいた値です。
実際には、測定値が代表値から上下して
も許容されますが、保証された仕様を下
回る製品は不良とみなされます。
自体を保護するだけでなく、DUTを保護
回路は、電圧や電流を所定のレベル以下
に制限する機能や、過電圧または過電流
が発生した場合に電源を遮断する機能を
備えています。また、DUTをすばやく放
電するダウンプログラム回路を内蔵した
電源や、障害トリガを受信するとリレー
を開いてDUTを電源から切り離すことが
ワーストケース仕様と呼ばれることもあ
仕様の範囲内の測定値を得られることが
電源を扱うときは、安全が第一です。装
ー リードバック確度:表示される値が、
実際の電圧/電流にどれだけ近いかを示
す特性。
ー 分解能:プログラム可能な電圧/電流
の最小値。
ー 出力ノイズ:コモンモードとノーマル
モードがあります。
ー 過渡応答:負荷電流が極端に変動した
後、出力電流がプログラムした状態に
戻るまでにかかる時間。
ー センス接続:ローカルまたはリモート
のセンス機能。
ー インタフェース:フロントパネルまた
はリモート
(GPIB、USB、RS-232Cなど)
電源には、低ノイズ、優れたレギュレー
ション、リモートセンスなど、負荷リー
ドの電圧降下を小さく抑えるための機能
が必要です。Keysight E3600シリーズの
E3631A ∼ E3634Aお よ びE364xAに は
GPIBとRS-232Cが内蔵されているので、
フル機能のフロントパネル・インタフェー
スだけでなく、リモートインタフェース
からの操作も可能です。
4
できる電源もあります。Keysight E3600
シリーズ電源は、過電圧、過電流、電流
制限などのさまざまな保護機能を備えて
います。
高密度パッケージ
維持コスト
電源を使用する環境には、ベンチトップ
スイッチング電源には、以下のような利
電源を購入する際には、電源本体の価格
にあまりスペースがない、オシロスコー
点があります。
だけでなく、電源の使用に伴うコスト全
プやコンピューターモニターから近い場
所に電源を配置したい、持ち運びしたい
など、さまざまなニーズがあります。さ
まざまなサイズと質量の電源が提供され
ていますが、出力が大きくなるほど、サ
イズ、AC消費電力、冷却装置が大きくな
り ま す。DC電 源 に は リ ニ ア モ ー ド と ス
イッチングモードがありますが、以下に
示すように、アプリケーション応じてそ
れぞれ特長があります。
リニア電源には、以下のような利点があ
ります。
ー 低出力ノイズ
ー 高速過渡応答
ー 高速プログラミング
体を検討する必要があります。これには、
ー 小型
校正や修理に伴うダウンタイム、DUTと
ー 高効率
ー リニアモードに比べて冷却能力が低く
てもよい
メンテナンスサポートや、セットアップ
このようにスイッチング電源には魅力的
や日常業務での操作をサポートする専任
な利点がありますが、以下のような欠点
チームを提供しているメーカーもあるの
もあります。
で、検討することをお勧めします。この
ようなサポートがあれば、電源をアプリ
ー 過渡応答が低速
ー 出力ノイズが大きい
電源の選択での最終目標は、高品質な出
ー 150 W以上
力を継続的に供給し、電源とDUTの両方
キーサイトが提供するスイッチング電源
(主に、ATEとハイパワー出力のベンチア
プリケーション向け)は、優れた過渡応答、
低ノイズ出力、高速応答を備えています。
ー 効率が低い
電源装置は、出力ノイズと過渡応答のト
ー スイッチングモードよりも高い冷却能
レードオフが発生しないことに加えて、
ー 高レベルの低周波磁気放射によって
CRTでフリッカーが発生する
ー サイズが大きい
ケーションにスムーズに統合できます。
ー プログラミング速度が遅い
ただし、以下のような短所もあります。
力が必要
テスト機器の保護、電源の信頼性などの
関連コストが含まれます。
軽量、小型、省スペースを兼ね備えた製
品が求められます。
Keysight E3600シリーズ ベンチ用電源
は、ハイブリッドレギュレーション手法
により、スイッチング電源のサイズと効
率、リニア電源の低ノイズと高速応答を
両立させています。
5
を保護できる製品を選択することにあり
ます。また、障害時にはできるだけ短時
間で電源を復旧できるように、有能で信
頼できるサービス/サポートチームを利
用するのが理想的です。Keysight E3600
シリーズ ベンチ用電源は、一貫した性能
とキーサイトブランドの信頼性をお届け
します。
キーサイトの関連カタログ
カタログタイトル
カタログ番号
E3631A、E3632A、E3633A、E3634Aベンチ用電源、データシート
5968-9726JAJP
E3640A – E3649A DC電源、データシート
5968-7355JAJP
E3610A – E3630A手動電源、データシート
5968-9727JAJP
詳細については、www.keysight.co.jp/find/E3600 およびwww.keysight.co.jp/find/dcpower をご覧ください。
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www.keysight.co.jp/find/mykeysight
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www.keysight.com/go/quality
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Quality Management System
契約販売店
www.keysight.co.jp/find/channelpartners
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お気軽にお問い合わせください。
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www.keysight.co.jp/find/dcpower
© Keysight Technologies, 2006 - 2015
Published in Japan, May 27, 2015
5989-5278JAJP
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www.keysight.co.jp