ソブリンの信用力はどのように 他の格付に影響しうるか How

CREDIT POLICY
MARCH 26, 2015
CROSS-SECTOR
RATING
METHODOLOGY
ソブリンの信用力はどのように
他の格付に影響しうるか
How Sovereign Credit Quality Can
Affect Other Ratings
目次:
1
概要
ソブリンの信用力低下は、他の発行体に
幅広くマイナスの影響を与える
2
ファンダメンタルな信用力を、ソブリンを
上回る水準に格付する場合
3
電力・インフラセクターを含む事業会社
4
銀行以外の金融機関
4
サブソブリン
6
証券化商品
6
関連リサーチ
8
コンタクト:
東京
03.5408.4100
本格付手法は、ムーディーズの格付手法 “How Sovereign Credit Quality May
Affect Other Ratings” (Moody’s Investors Service, February 13, 2012)(ムーディー
ズ・ジャパン版「ソブリンの信用力はどのように他の格付に影響しうるか」(2012
年 2 月 22 日)を更新し、それに代わるものとして発行された。
概要
ソブリンの信用力の低下は、その国に所在する他の発行体の信用状況に直接
的に影響を与える可能性があり、より一般的には、マクロ経済や金融市場のトレ
ンドが、全ての発行体にとって不利な方向に変化することが多い。本レポートで
は、ソブリン格付と他の発行体の格付(事業会社、金融機関、サブソブリン、証
券化商品)の関連性を評価する際に適用する一般的な原則を説明する。グロ
ーバルに適用される一般的な原則をここに列挙するのは、ソブリン格付の変更
に伴う他のセクターの格付アクションの透明性を高めるためである。
ソブリン格付の変更によって、多数の格付がある程度の影響を受けるが、セク
ターによってソブリンとの関連性が異なるため、その度合いは発行体によって
異なる。ソブリン格付の引き下げによりもたらされうる影響の例をいくつか下に
示す。
This Moody’s Japan rating methodology is based on Moody’s Investors Service’s rating methodology titled “How
Sovereign Credit Quality Can Affect Other Ratings, (March 16, 2015).” The rating approach described in the
Moody’s Investors Service report was adopted by Moody’s Japan on March 26, 2015.
ムーディーズ・ジャパン株式会社
CREDIT POLICY
»
ソブリン格付に直接リンクしている格付は通常、ソブリンに対する格付アクションに連動
して変更される。例として、政府保証あるいは政府による他の信用補完に基づく格付
や、政府あるいは政府に直接関連する主体が発行した証券を主な担保資産とする証
券化案件が挙げられる。このような発行体は一般に、ソブリン債務格付と同一水準ある
いは若干それを下回る水準に格付される。
»
政府サポートの想定を織り込むことにより、格付が大幅にアップリフトされている政府系
発行体は、既にソブリンより低い格付が付与されている場合でも、格下げされる可能
性が高い。
»
政府証券または政府系事業体への多額の資産エクスポージャーを有する発行体、あ
るいは、ソブリンの信用力低下に伴って信用力が低下するカウンターパーティーへの
多額のエクスポージャーを有する発行体は、格下げされる可能性が高い。
ソブリンに加わる圧力と同様の圧力に晒される発行体や案件、および/またはソブリンの信
用力の変化に伴い、マクロ経済と金融市場に加わる圧力と同様の圧力に晒される発行体
や案件も、格付への圧力を受ける。これには、ソブリンの信用力の変化に伴って歳出入に
影響が及ぶサブソブリン(地域・地方政府)、資産の減損の増加が予想される銀行、収益
および事業に影響を受ける事業会社、担保資産のパフォーマンスとサービサーの信用力
が影響を受ける証券化商品、調達条件ならびに債券発行による調達状況や銀行借入の
状況に影響を受ける全ての発行体が含まれる。
大半のケースでは、事業会社1、保険会社、ファイナンスカンパニー等の銀行以外の金融
機関、サブソブリンのシニア無担保債務格付がソブリン格付を 2 ノッチを超えて上回ること
はない。これは、同一のソブリンの環境に置かれる発行体が、複数の経路を通してエクス
ポージャーを共有し、同様の影響を受けるからである。しかし、例外も存在する。例外とな
る発行体は、信頼性の高い外部サポートや、自国外に所在する資産、収益、調達源への
十分なアクセスを確保している。また、ソブリンの格付が低く(通常は B1 以下)、ソブリンの
デフォルトが及ぼす影響を明確に把握でき、予想されるデフォルトシナリオでは他の発行
体に限定的な影響しか及ばない場合も、例外となり得る。
ソブリンの信用力は、主に担保資産のパフォーマンスとカウンターパーティーの信用力を
通して、証券化案件とカバードボンドの格付に影響を与える。証券化商品とカバードボンド
は、収益源の分散、信用補完、および他のストラクチャー上の特性の恩恵を受ける。その
ため、ストラクチャード・ファイナンス以外の発行体よりも高い格付を取得することが可能
で、一定の条件を満たせば、ソブリン格付を限定的ではあるものの何ノッチか上回る格付
を取得できる場合もある。ただしその格付は、常に関連する国のカントリー・シーリングによ
り制約される。
ソブリンの信用力低下は、他の発行体に幅広くマイナスの影響を与える
ソブリンのデフォルトは一般に、経済環境の深刻な混乱に伴って発生する。過去のソブリンデ
フォルトの大部分は、景気後退に伴うものであった。ソブリンのデフォルト発生前には通常、投
資家の信認の喪失や、資本流出がみられ、システミックな銀行危機および/または為替危機を
引き起こす。事業・金融環境の悪化は、全セクターにわたるデフォルト率の大幅な上昇と回収
率の低下につながることが多い 1。そのため、ソブリン格付またはその見通しが変化したときに
は、当該国内の他の発行体の格付または見通し変更を伴うことが多い。
本件は信用格付付与の公表で
はありません。文中にて言及され
ている信用格付については、
ムーディーズのウェブサイト
(www.moodys.com)の発行体の
ページの Ratings タブで、最新の
格付付与に関する情報および
格付推移をご参照ください。
2
MARCH 26, 2015
同一のソブリン環境下に置かれた発行体はいずれも、経済の全てのセクターと国内銀行シス
テムにまたがるショックの伝播にある程度晒されている。加えて、財政緊縮策、税または規制
に関する方針の変更、危機下での介入などの政府による防御的な措置の影響を受ける。ソブ
1
ムーディーズのスペシャル・コメント “The Causes of Sovereign Defaults: Ability to Manage Crises Not Merely Determined by Debt
Levels" (Moody’s Investors Service, November 2, 2010) および “Emerging Market Corporate and Sub-Sovereign Defaults and
Sovereign Crises: Perspectives on Country Risk" (Moody’s Investors Service, February 2009 )参照。
クロス・セクター格付手法:ソブリンの信用力はどのように他の格付に影響しうるか
CREDIT POLICY
リン危機は、次のような多数の経路を通じて他のセクターの財務を悪化させることが示されて
いる 2。
»
経済活動の減速あるいは縮小
»
投資家の信認低下と信用逼迫による流動性の制約と調達コストの上昇
»
資本流出による為替危機および/またはシステミックな銀行危機
»
財政支出を削減または先送りする政府の財政緊縮策と、それが経済活動全般の抑制に
つながる可能性
»
為替、金利、物価の動きの、望ましくない方向への変化あるいは制約
»
政府による介入または規制の変更、ならびに税に関する方針の変更
»
政治的不確実性や、社会不安または労働市場不安というリスクの高まり
高水準の格付でも、確率は低いとはいえ、こうした影響が表れる。過去の実例をみると、高格
付の発行体でも、ソブリンの信用力の低下に伴う圧力拡大の影響を免れないことがわかる。
ファンダメンタルな信用力を、ソブリンを上回る水準に格付する場合
国内に所在するストラクチャード・ファイナンス以外の発行体の大半は、ソブリンと同水準ある
いはそれより低い水準に格付される。これは、同一の経済・金融環境で事業を行っているため、
ソブリンと同様に幅広い信用逼迫の影響を受けるためである。ソブリンは、自国市場あるいは
自国通貨において最もリスクが低いクレジットとみなされることが多い。
ある発行体がソブリンより高位に格付されるためには、ファンダメンタルな信用力がソブリンより
強固であるというだけでなく、通常ソブリンのデフォルトに伴って発生する国内のマクロ経済と
金融の混乱からある程度隔離されていることを示す必要がある。
一般的に、ソブリンとのデフォルト相関が低く、ソブリンの影響を受ける環境以外の地域から収
益、キャッシュフロー、資産、資本が得られる割合が高い発行体のみが、そのような強さを示
すことができ、ソブリン格付を超えることができるが、ほとんどの場合、その差は 1-2 ノッチであ
る。名義上の本社を置く国以外の地域で実質的に全事業を行っている場合には、その分散
度により、国内のソブリン格付にほとんど影響を受けないこともある。その場合には、発行体が
事業を展開する国のソブリン格付の平均を考慮し、その平均格付より 1-2 ノッチ以上高い格
付が付与されることは稀である。ソブリンよりはるかに強固な信用ファンダメンタルズを有する
発行体については、ソブリンとのデフォルト相関が低位ではなく中位とみられる場合でも、ソブ
リンを 1 ノッチ上回る格付の付与を考慮する可能性がある。
多国籍企業としての性格が極めて強い発行体、あるいはソブリン環境に影響されない信頼性
の高い外部サポート(強力な海外株主によるサポートなど)を得られる発行体の格付は、2 ノッ
チを超える幅でソブリン格付を上回る可能性がある。ソブリン格付が B1 から C レンジにあり、
ソブリンのデフォルトの性質とデフォルト時の影響がより明確に予想でき、他の発行体の全般
的な事業環境が政府のデフォルトから大きな影響を受けないと予想される場合も、ソブリン格
付との関連性がいくらか低下し、ソブリン格付とのノッチ差が拡大する可能性がある。ただし、
ソブリンのデフォルトの性質とデフォルト時の影響が明確であることは考えにくいため、そうした
事例は稀である。
また、ソブリンとのデフォルト相関が高い発行体の資本構成に含まれる、特定の債務証券が、
ソブリンのシニア無担保債務格付を 1 ノッチ以上上回ることもある。こうした状況は通常、ソブリ
ンのシニア無担保債務に比べてデフォルト時損失が小さくなりうる、仕組み上の保護がなされ
た債務でみられる。
2
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ムーディーズのスペシャル・コメント “Emerging Market Corporate and Sub-Sovereign Defaults and Sovereign Crises: Perspectives
on Country Risk" (Moody’s Investors Service, February 2009) 参照。
クロス・セクター格付手法:ソブリンの信用力はどのように他の格付に影響しうるか
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電力・インフラセクターを含む事業会社
事業会社については、政府のシニア無担保債務格付と、投資適格等級発行体のシニア無担
保債務格付または投機的等級発行体のコーポレート・ファミリー・レーティング(CFR) 3の差が、
参照点となる。上述した内容にしたがって、大半のケースでは、次の特性を持つ事業会社だ
けがソブリンを上回る格付を得られる。
»
政府以外のセクターから収益を得ている、あるいは、海外事業からの収益が多い。国内
収益源への依存度が高い場合は、強固な財務プロファイルを有し、国内の経済ファンダ
メンタルズの弱さから影響を受けるリスクが限定的でなくてはならない。
»
一般に、潤沢なフリー・キャッシュフローと、環境悪化時に財務プロファイルを維持するた
めの調整(減配や設備投資削減など)を行える財務の柔軟性を備えているため、資金調
達における国内の銀行あるいは資本市場への依存度が限定的である。
»
収益、キャッシュフロー、資産の大半を海外から得ており、資金調達を自国市場に依存し
ていない強固な事業会社であれば、ソブリンを 2 ノッチを超える幅で上回る格付が付与さ
れる可能性がある。名義上の本社を置く国以外の地域で実質的に全事業を行っていると
いう極端なケースでは、ソブリン格付と多国籍企業の格付はほとんど関連性を持たず、事
業を行っている国のソブリン格付との関連性がより強くなる。
»
海外の親会社からの強固なサポートも、ソブリンを大幅に上回る格付を付与する要因とな
り得るが、戦略上重要な 100%保有子会社は、少数持分保有の関連会社に比べ、時宜を
得た信頼し得るサポートを得られる可能性が高い。保証契約に基づき保証を受ける被保
証会社は、保証会社の格付と同水準の格付を得られる可能性がある。
多くの発行体(特にインフラ・電力セクター)は、政府との関連性が高い。これらの発行体は、
資金調達または収益を政府に直接的に依存している、政府によるライセンス認可に依存して
いる、収益に政府の影響が及ぶ(料金規制など)、政府の直接介入の影響を受ける、といった
要因を通して、政府と結びついている場合がある。このような発行体は、格付が政府格付を下
回っていても、ソブリンの格下げに伴い、格下げされる可能性がある。
ソブリンの信用力の低下に伴って発生し得るマクロ経済と金融の混乱により、収益及び利益
率の大幅な低下や調達に加わる圧力の増大に晒される事業会社発行体に関しても、格付ア
クションをとる可能性がある。
上述したように、ソブリン格付が B1 から C のレンジで、ソブリンのデフォルトが全般的な事業
環境に与える影響をより明確に予想できる場合、事業会社の格付が、政府格付を 2 ノッチを
超える幅で上回る可能性がある。しかし、広範な経済と金融の混乱ならびにクレジットの偏在
が、発行体のデフォルト時の損失の度合いに影響を与えることなどもあることから、このような
ケースは稀である。これらを全て勘案し、発行体の格付が政府債務格付を 2 ノッチ以上上回
ることは例外的であり、証券または債務クラスレベルでも 3 ノッチ以上上回ることは稀である。
銀行以外の金融機関
銀行以外の金融機関には、保険会社、証券会社、ファイナンスカンパニー、資産運用会社が
含まれる。保険会社については、政府のシニア無担保債務格付と保険財務格付を比較する。
証券会社、ファイナンスカンパニー、資産運用会社については、投資適格等級発行体のシニ
ア無担保債務格付、または投機的等級発行体のコーポレート・ファミリー・レーティング(CFR)
と比較する。
ソブリン格付と銀行の証券格付の関連は、主に適用される銀行格付手法で直接取り扱ってお
り、本クロス・セクター格付手法では詳細には取り扱わない。
3
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コーポレート・ファミリー・レーティング(CFR)は、コーポレート・ファミリーの契約債務の支払いにおけるデフォルトの可能
性と、デフォルト時の予想金銭損失を反映した長期格付である。CFR は通常、投機的等級発行体に用いられ、デフォル
トまでの距離が大きい投資適格等級発行体に用いられることは少ない。
クロス・セクター格付手法:ソブリンの信用力はどのように他の格付に影響しうるか
CREDIT POLICY
銀行以外の金融機関の信用力は、政府債務への直接のエクスポージャー、ならびに経済環
境および制度の頑健性等のファンダメンタルな要因を通して、ソブリンの信用リスクと通常は
密接にリンクしており、高いデフォルト・損失相関を示唆している。
とはいえ、その高い相関要因は、政府への直接のエクスポージャーの低さ、海外の株主、バラ
ンスシートと収益源の地理的分散、商品特性によってある程度相殺され得る。
政府債務への直接的エクスポージャー
一般に、国内ソブリン債務への直接のエクスポージャー(例えば、保険会社では自己資本対
比でのエクスポージャー)の水準が高い、銀行以外の金融機関が、ソブリン格付を上回る格付
を取得することは難しい。ムーディーズはこの種の投資集中リスクを分析する際に、金融機関
の資産の質に影響を与えるマクロ経済要因とソブリンの信用リスクの幅広い相関を把握し、ソ
ブリンリスクと相関する可能性のあるリスクプロファイルを持つ他の資産を考慮に入れる。
商品の特性
とはいえ、銀行金融商品以外の商品の一部は、特定のソブリンへの集中リスクを緩和する特
性を持つことを認識することが重要である。たとえば、保険商品の中には、投資損失の一部ま
たは全額を契約者が負担する商品があり、このような「プットオプション」は信用評価上、ポジ
ティブである。さらに、金融機関(特に保険会社)が販売する商品がすべて、ソブリンリスクに
影響を与えるマクロ経済要因に対し、同レベルの感応度を持っているわけではない。強制加
入保険など、背後にある経済環境への依存度が低い需要特性を持つ商品から収益の大きな
部分を得ている発行体は、ソブリンの信用プロファイルとの結びつきがより弱い。
海外の株主構成
コミットした海外の親会社を持つことは、国レベルのストレスに対する緩衝材となる場合がある。
海外親会社からの強いサポートにより、格付がソブリンを上回ることがある。ただし、少数株主
持ち分を有する関連会社より、100%所有の戦略的子会社のほうが、適時かつ確実なサポート
を得る可能性が高い。契約に基づく保証があれば、格付が保証提供者の格付と同水準となる
可能性がある。ムーディーズは、サポート契約に加え、サポート提供者自身の信用力や、サポ
ートを提供する能力および意思を評価する。しかし、潜在的なサポート提供者の信用力が子
会社よりも低い場合、あるいは、子会社が親会社の連結ベースの事業の大きな割合を占める
場合、金融機関の格付が自身の固有の信用力を上回る水準に引き上げられることはほとんど
ない。
分散
収益と利益の大部分を一国で得ている銀行以外の金融機関は、その国の情勢との結びつき
がより強いとみなされ、たとえソブリンへの直接的な投資エクスポージャーが大きくなくても、そ
の格付が 1 ノッチを超えてソブリンを上回る可能性は低い。対照的に、バランスシートが地理
的に分散された銀行以外の金融機関は、ソブリンの格下げに伴って信用力が低下する可能
性が低い。ムーディーズはそのようなケースの分析においても、金融機関が事業を行う海外の
ソブリンの信用力、海外事業固有の信用力、それらの事業の流動性と資産/負債プロファイル
を考慮する。
したがって、上述した緩和要因(極めて高い地理的分散度、あるいは低い投資エクスポージャ
ー)の一部または全てがあれば、銀行以外の金融機関の単独の信用プロファイルが、自国の
ソブリン格付を 2 ノッチを上限に上回ることが可能性である。また、限られた状況下ではあるが、
当該国の法律によって、あるいは保険会社自体のバランスシートによって、構造的な保護が
なされ、保険契約債務のデフォルト時損失が、ソブリンのシニア無担保債務の予想デフォルト
時損失より小さいとムーディーズが考える場合には、保険会社の単独での信用プロファイルが、
ソブリンのシニア無担保債務格付を 1-2 ノッチ上回る可能性がある。
マネー・マーケット・ファンドおよび債券ファンド
マネー・マーケット・ファンドおよび債券ファンドのリスクプロファイルも、ソブリンおよび銀行の
信用力に密接に結びついている場合がある。ソブリンおよび金融機関の債務への直接の投
資家と同様、マネー・マーケット・ファンドおよび債券ファンドも、ソブリンおよび金融機関の信
用力低下からマイナスの影響を受けることがある。信用状況が変動的である場合も、変動性の
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クロス・セクター格付手法:ソブリンの信用力はどのように他の格付に影響しうるか
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上昇が償還の増加、すなわちファンドの流動性の流出につながるため、マネー・マーケット・フ
ァンドに間接的な圧力をもたらしうる。ソブリンへのエクスポージャーが大きいファンド、信用力
が圧迫されている銀行、または大量の償還があったマネー・マーケットファンドについては、格
下げを行うのが適切と判断されることがある。
ソブリンより低い格付が付与されている銀行以外の金融機関については事例ごとに検討する。
多くは、ある程度、国の事業環境の影響を受けるため、発生度合いは異なっても、広範な格
付対象にわたって格下げ圧力が生じる可能性がある。
サブソブリン
サブソブリン発行体は、中央政府に影響を与えるマクロ経済と金融セクターへの圧力から極
めて影響を受けやすく、そのため、通常は中央政府の信用力が大半のサブソブリン発行体の
格付の基準になる。ただし、例外もある。たとえば、イタリアのトレント州、ボルツァーノ州や、ス
ペインのバスク自治政府は、ソブリンからの独立性が高い。とはいえ、そのような場合でも、サ
ブソブリンの格付がソブリン格付を上回る能力には、制限が加えられる。
これらの発行体にソブリンを上回る格付を付与する際に考慮するセクター固有の要因には、
中央政府とサブソブリン政府の権限を公的に分離し、歳入確保方針や課税と歳出にかかわる
決定などを含む極めて高度なサブソブリンの財政の自律性を担保する制度上の保護の有無
が含まれる。これらの発行体は一般に、ソブリンからの調達への依存度や、ソブリンとの歳入
基盤の相関が低く、資本市場や銀行から調達する必要性が限定的である。しかし、これらの
サブソブリンは、健全な財政状況と財政の柔軟性を有するにもかかわらず、その度合いは低
いものの、ソブリンと同様のマクロ経済上の課題やソブリン危機の影響を受けるため、格付がソ
ブリンを上回る幅は通常、1-2 ノッチにとどまる。
ソブリンより格付が低いサブソブリンについての検討事項は、ケース・バイ・ケースで異なる。サ
ブソブリンは全てソブリンを取り巻く環境からある程度影響を受けるため、あらゆる格付水準に
あるものに対して下方圧力が及ぶとみられる。同時に、全てが同程度の影響を受けるわけで
はない。比較的高い格付は、経済及び金融の混乱の影響を比較的受けにくく、最も低位にあ
る格付には、外生的な混乱に対する脆弱性について比較的ネガティブな想定が既に織り込
まれている場合がある。したがって、総体的には、少なくとも格付が比較的低いサブソブリン発
行体の中で、格付が圧迫される発行体が出てくることが予想される。
証券化商品
ソブリンの信用力の低下は、主に裏付け資産の損失の見込みもしくは変動性の上昇と、第三
者によるサポートの質あるいはその可能性の低下を通して、証券化商品とカバードボンドの格
付に影響を与える。
証券化案件とカバードボンドの大半は構造上、収益源の分散の恩恵を受けており、それに加
えて、シニアトランシェの場合は信用補完の恩恵を受けている。しかし、担保資産や債務者は
通常、同一地域に所在しているため、そのパフォーマンスはソブリン格付に影響するマクロ経
済と金融に加わる圧力の影響を同様に受けるという事実が、分散の恩恵を制約している。また、
証券化案件とカバードボンドは、サービシング機能や他の金融業務の担い手(口座銀行、ス
ワップ・カウンターパーティー、キャッシュ・マネージャーなど)を銀行に依存しており、銀行セク
ター全体の信用力の全般的な低下から影響を受けやすい。
格下げされたカウンターパーティーを差し替えるとでオペレーショナルリスクとカウンターパー
ティーリスクを緩和し、また信用補完水準を引き上げることで裏付け資産のパフォーマンスの
悪化を緩和するなど、ストラクチャーの変更を行うことによって信用力を維持することは、ある
程度の段階までは可能である。しかし、ソブリンの信用力が低下し、裏付け資産のパフォーマ
ンスおよびカウンターパーティーのリスクに関する不確実性が高まるにしたがって、カントリーリ
スクの上昇をストラクチャー上の特性で完全に手当てすることが不可能となってしまい、その
結果、最も高い格付を取得できなくなる。
ソブリン格付とストラクチャード・ファイナンスの格付の関係は、多数の要因に左右される。一定
の条件を満たせば、証券化商品の格付がソブリン格付を、一定のノッチ差を限度に上回る可
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クロス・セクター格付手法:ソブリンの信用力はどのように他の格付に影響しうるか
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能性があるが、その格付水準は、関連する国のカントリーシーリングに常に制約される。自国
通貨建てカントリー・リスク・シーリングが、当該国内の資産または居住者からのキャッシュフロ
ーを裏付けとする証券化商品の信用格付の上限を規定し、外貨建てカントリーシーリングは、
政府が、国内に所在する債務者の外貨建て債務・預金の支払いに介入するリスクを反映する。
シニア格付をソブリン格付より高い水準に維持する上で、ムーディーズは、案件で重要な役割
を担うカウンターパーティーの信用力と所在地、様々なストラクチャー上の特性、ならびにこれ
らの証券化商品が十分な信用補完を備えているかどうか、を評価する。カントリーリスクを要因
として、裏付け資産の将来のパフォーマンスに関する不確実性が高まれば、程度の差はある
とみられるが、案件の全てのトランシェが影響を受け、全ての水準の格付の変更につながる可
能性がある。
カバードボンドについても、ソブリンの信用力の低下の影響を格付に織り込む場合がある。ソ
ブリンの信用力低下の影響は、通常、発行銀行の格付を通してもたらされ、さらにタイムリー・
ペイメント・インディケーター(TPI)に織り込まれることになる。ソブリンと金融システムにストレス
が加われば、発行銀行のデフォルト時にカバードボンド保有者に対しタイムリーな支払いを行
うためのリファイナンスが難しくなる可能性があるからである。
カントリーシーリングとファンダメンタル格付
ソブリン格付は、政府が発行する債務にかかわる信用リスクを反映する。一方、カントリーシ
ーリングは、その国に所在する債務発行体、または当該国の資産・居住者からのキャッシュ
フローを裏付けとする証券化商品が取得可能な最も高い信用格付を規定する。通貨同盟の
場合、シーリングの決定要因のひとつは、政府のデフォルトに伴う通貨切り下げのリスクであ
る。ムーディーズは、自国通貨建てシーリングと外貨建てシーリングの両方を付与している。
外貨建てシーリングは、送金リスクと交換リスクを反映し、国内に所在する債務者の外貨建て
債務の償還(外貨建て債務シーリング)および外貨建て預金の払い戻し(外貨建て預金シー
リング)に介入するリスクを示す。
シーリングは通常、証券化商品の格付を制約するが、ソブリン格付により密接に結びついて
いるファンダメンタル格付には通常は影響を与えない。シーリングは、政府債務格付より 2 ノ
ッチを超えて上回ることが多いが、本格付手法に述べた通り、大半のファンダメンタル格付が
ソブリン格付を 2 ノッチを超えて上回ることはない。完全に多国籍で、収益および資産が海
外に完全に分散しており、国内の銀行・法制度とかかわりのないファンダメンタル発行体の
みが、ソブリンシーリングに近い水準(あるいはそれを上回る水準)の格付を得る可能性があ
る。こうした例でも、必要に応じて発行体の所在国が容易に変わる可能性がある。そうした状
況下では、発行体側の必要性によって、本拠を置く国が容易に変更されることがある。
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クロス・セクター格付手法:ソブリンの信用力はどのように他の格付に影響しうるか
CREDIT POLICY
関連リサーチ
スペシャル・コメント:
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MARCH 26, 2015
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Implications of a U.S. Rating Action for other Aaa Issuers, June 2011 (134092)
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2012 (139207)(日本語版「欧州の銀行:ムーディーズの分析アプローチは変化する課題
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Assessing the Impact of the Eurozone Sovereign Debt Crisis on Structured Finance
Transactions, April 2011 (SF243137)
クロス・セクター格付手法:ソブリンの信用力はどのように他の格付に影響しうるか
CREDIT POLICY
ムーディーズ・ジャパン株式会社
〒105-6220
東京都港区愛宕 2 丁目 5-1
愛宕グリーンヒルズ MORI タワー 20F
Report Number:
180150(Japanese)
179818 (English)
著者
Colin Ellis
Daniel Gates
Alastair Wilson
Elena Duggar
William Coley
Mark LaMonte
Jeffrey Berg
Benedicte Andries
Yaron Ernst
プロダクション・アソシエイト
渡邉 エリ
著作権表示(C)2015 年 Moody' s Corporation、Moody's Investors Service, Inc.、Moody’s Analytics, Inc. 並びに(又は)これらの者のライセンサー及び関連会社(以下、総称して「ムーディーズ」といい
ます)。無断複写・転載を禁じます。
Moody's Investors Service, Inc.及び信用格付を行う関連会社(以下「MIS」といいます)により付与される信用格付は、事業体、与信契約、債務又は債務類似証券の相対的な将来の信用リス
クについての、ムーディーズの現時点での意見です。ムーディーズが発行する信用格付及び調査刊行物(以下「ムーディーズの刊行物」といいます)は、事業体、与信契約、債務又は債務
類似証券の相対的な将来の信用リスクについてのムーディーズの現時点での意見を含むことがあります。ムーディーズは、信用リスクを、事業体が契約上・財務上の義務を期日に履行で
きないリスク及びデフォルト事由が発生した場合に見込まれるあらゆる種類の財産的損失と定義しています。信用格付は、流動性リスク、市場価値リスク、価格変動性及びその他のリスク
について言及するものではありません。信用格付及びムーディーズの刊行物に含まれているムーディーズの意見は、現在又は過去の事実を示すものではありません。ムーディーズの刊行
物はまた、定量的モデルに基づく信用リスクの評価及び Moody’s Analytics, Inc.が公表する関連意見又は解説を含むことがあります。信用格付及びムーディーズの刊行物は、投資又は財
務に関する助言を構成又は提供するものではありません。信用格付及びムーディーズの刊行物は特定の証券の購入、売却又は保有を推奨するものではありません。信用格付及びムー
ディーズの刊行物はいずれも、特定の投資家にとっての投資の適切性について論評するものではありません。ムーディーズは、投資家が、相当の注意をもって、購入、保有又は売却を検
討する各証券について投資家自身で研究・評価するという期待及び理解の下で、信用格付を付与し、ムーディーズの刊行物を発行します。
ムーディーズの信用格付及びムーディーズの刊行物は、個人投資家の利用を意図しておらず、個人投資家が何らかの投資判断を行う際にムーディーズの信用格付及びムーディーズの刊
行物を考慮することは、慎重を欠く行為です。もし、疑問がある場合には、ご自身のフィナンシャル・アドバイザーその他の専門家にご相談することを推奨します。
ここに記載する情報はすべて、著作権法を含む法律により保護されており、いかなる者も、いかなる形式若しくは方法又は手段によっても、全部か一部かを問わずこれらの情報を、ムーディ
ーズの事前の書面による同意なく、複製その他の方法により再製、リパッケージ、転送、譲渡、頒布、配布又は転売することはできず、また、これらの目的で再使用するために保管すること
はできません。
ここに記載する情報は、すべてムーディーズが正確かつ信頼しうると考える情報源から入手したものです。しかし、人的及び機械的誤りが存在する可能性並びにその他の事情により、ムー
ディーズはこれらの情報をいかなる種類の保証も付すことなく「現状有姿」で提供しています。ムーディーズは、信用格付を付与する際に用いる情報が十分な品質を有し、またその情報源が
ムーディーズにとって信頼できると考えられるものであること(独立した第三者がこの情報源に該当する場合もあります)を確保するため、すべての必要な措置を講じています。しかし、ムー
ディーズは監査を行う者ではなく、格付の過程で又はムーディーズの刊行物の作成に際して受領した情報の正確性及び有効性について常に独自に確認することはできません。
法律が許容する範囲において、ムーディーズ及びその取締役、役職員、従業員、代理人、代表者、ライセンサー及びサプライヤーは、いかなる者又は法人に対しても、ここに記載する情報
又は当該情報の使用若しくは使用が不可能であることに起因又は関連するあらゆる間接的、特別、二次的又は付随的な損失又は損害に対して、ムーディーズ又はその取締役、役職員、
従業員、代理人、代表者、ライセンサー又はサプライヤーのいずれかが事前に当該損失又は損害((a)現在若しくは将来の利益の喪失、又は(b)関連する金融商品が、ムーディーズが付与
する特定の信用格付の対象ではない場合に生じるあらゆる損失若しくは損害を含むがこれに限定されない)の可能性について助言を受けていた場合においても、責任を負いません。
法律が許容する範囲において、ムーディーズ及びその取締役、役職員、従業員、代理人、代表者、ライセンサー及びサプライヤーは、ここに記載する情報又は当該情報の使用若しくは使用
が不可能であることに起因又は関連していかなる者又は法人に生じたいかなる直接的又は補償的損失又は損害に対しても、それらがムーディーズ又はその取締役、役職員、従業員、代理
人、代表者、ライセンサー若しくはサプライヤーのうちいずれかの側の過失によるもの(但し、詐欺、故意による違反行為、又は、疑義を避けるために付言すると法により排除し得ない、その
他の種類の責任を除く)、あるいはそれらの者の支配力の範囲内外における偶発事象によるものである場合を含め、責任を負いません。
ここに記載される情報の一部を構成する格付、財務報告分析、予測及びその他の見解(もしあれば)は意見の表明であり、またそのようなものとしてのみ解釈されるべきものであり、これに
よって事実を表明し、又は証券の購入、売却若しくは保有を推奨するものではありません。ここに記載する情報の各利用者は、購入、保有又は売却を検討する各証券について、自ら研究・
評価しなければなりません。
ムーディーズは、いかなる形式又は方法によっても、これらの格付若しくはその他の意見又は情報の正確性、適時性、完全性、商品性及び特定の目的への適合性について、(明示的、黙
示的を問わず)いかなる保証も行っていません。
Moody's Corporation (以下「MCO」といいます)が全額出資する信用格付会社である Moody's Investors Service, Inc.は、同社が格付を行っている負債証券(社債、地方債、債券、手形及び CP を
含みます)及び優先株式の発行者の大部分が、Moody's Investors Service, Inc.が行う評価・格付サービスに対して、格付の付与に先立ち、1500 ドルから約 250 万ドルの手数料を Moody's
Investors Service, Inc.に支払うことに同意していることを、ここに開示します。また、MCO 及び MIS は、MIS の格付及び格付過程の独立性を確保するための方針と手続を整備しています。MCO
の取締役と格付対象会社との間、及び、MIS から格付を付与され、かつ MCO の株式の 5%以上を保有していることを SEC に公式に報告している会社間に存在し得る特定の利害関係に関す
る情報は、ムーディーズのウェブサイト www.moodys.com 上に"Investor Relations-Corporate Governance-Director and Shareholder Affiliation Policy"という表題で毎年、掲載されます。
オーストラリアについてのみ:この文書のオーストラリアでの発行は、ムーディーズの関連会社である Moody's Investors Service Pty Limited ABN 61 003 399 657(オーストラリア金融サービス認可
番号 336969)及び(又は)Moody's Analytics Australia Pty Ltd ABN 94 105 136 972(オーストラリア金融サービス認可番号 383569)(該当する者)のオーストラリア金融サービス認可に基づき行わ
れます。この文書は 2001 年会社法 761G 条の定める意味における「ホールセール顧客」のみへの提供を意図したものです。オーストラリア国内からこの文書に継続的にアクセスした場合、
貴殿は、ムーディーズに対して、貴殿が「ホールセール顧客」であるか又は「ホールセール顧客」の代表者としてこの文書にアクセスしていること、及び、貴殿又は貴殿が代表する法人が、直
接又は間接に、この文書又はその内容を 2001 年会社法 761G 条の定める意味における「リテール顧客」に配布しないことを表明したことになります。ムーディーズの信用格付は、発行者の
債務の信用力についての意見であり、発行者のエクイティ証券又はリテール顧客が取得可能なその他の形式の証券について意見を述べるものではありません。リテール顧客が、ムーディ
ーズの信用格付に基づいて投資判断をするのは危険です。もし、疑問がある場合には、ご自身のフィナンシャル・アドバイザーその他の専門家に相談することを推奨します。
日本についてのみ:ムーディーズ・ジャパン株式会社(以下、「MJKK」といいます。)は、ムーディーズ・グループ・ジャパン合同会社(MCO の完全子会社である Moody’s Overseas Holdings Inc.の
完全子会社)の完全子会社である信用格付会社です。また、ムーディーズ SF ジャパン株式会社(以下、「MSFJ」といいます。)は、MJKK の完全子会社である信用格付会社です。MSFJ は、全
米で認知された統計的格付機関(以下、「NRSRO」といいます。)ではありません。したがって、MSFJ の信用格付は、NRSRO ではない者により付与された「NRSRO ではない信用格付」であり、
それゆえ、MSFJ の信用格付の対象となる債務は、米国法の下で一定の取扱を受けるための要件を満たしていません。MJKK 及び MSFJ は日本の金融庁に登録された信用格付業者であり、
登録番号はそれぞれ金融庁長官(格付)第 2 号及び第 3 号です。
MJKK 又は MSFJ(のうち該当する方)は、同社が格付を行っている負債証券(社債、地方債、債券、手形及び CP を含みます。)及び優先株式の発行者の大部分が、MJKK 又は MSFJ(のうち該
当する方)が行う評価・格付サービスに対して、格付の付与に先立ち、20 万円から約 3 億 5,000 万円の手数料を MJKK 又は MSFJ(のうち該当する方)に支払うことに同意していることを、ここ
に開示します。
MJKK 及び MSFJ は、日本の規制上の要請を満たすための方針と手続も整備しています。
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MARCH 26, 2015
クロス・セクター格付手法:ソブリンの信用力はどのように他の格付に影響しうるか