平成27年度 事業計画書 (平成27年4月1日から平成28年3月31日) Ⅰ.実施方針 平成27年度事業計画の策定にあたり、現下の社会経済情勢を見ると、「景気は、個人消費 などに弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている」と政府から報告されているものの、 財政問題、エネルギー問題等に加え、欧州、中国、アジア経済の減速の影響等から国内経済は 依然として予断を許さないものと思われる。 このような社会経済情勢の下、熱供給事業においては、原油価格は低下傾向にあるものの、 円安基調により、引続き原燃料価格が高止まり、省エネの定着による熱販売高の減少や気温の 変動による不確定などにより、厳しい事業環境が引き続くものと予測される。 エネルギー政策においては、第四次エネルギー基本計画が策定され、コージェネ、再生可能 エネルギー熱の利用拡大が謳われた。また、市場の垣根を外していく供給構造改革等の推進の 一つとして、熱供給事業のシステム改革を行うとされ、総合資源エネルギー調査会基本政策分 科会ガスシステム改革小委員会及び産業構造審議会保安分科会ガス安全小委員会での議論を 経て改正熱供給事業法案が平成27年3月3日に閣議決定された。今後は、改正熱供給事業法 施行に向けて、的確に対応して行く必要がある。 このような熱供給事業の状況を踏まえ、協会としては、それらの課題に積極的に対応してい くこととする。具体的には、改正熱供給事業法案に関し今後検討される政令、省令改正への対 応を漏れなく行い、熱供給事業者が抱える現状及び将来に向けた多様な課題に関する情報収 集・提供や調査研究活動に加え、熱の有効利用に向けた提案・提言などに積極的に取り組むと ともに、研修会などを通じての会員支援や熱供給事業の理解浸透と導入促進のため、国、地方 自治体、開発事業者等と連携した普及啓発活動を実施していくこととする。 Ⅱ.事業内容 1.熱供給事業に関する調査及び研究に係る事業 (1)熱供給事業法改正等国の施策の動向に対する調査研究 国のエネルギーに関する各種審議会等政策の動向調査並びに熱エネルギー利用促進に関わ るエネルギー施策に積極的に対応し、必要に応じて提言等を行う。熱供給事業法改正に伴う 政令、省令改正への対応については、運営委員会検討会等を中心として検討、調整を行い、 的確に実施して行く。また、将来を見据えた熱供給事業のあり方に関する検討等の諸問題に ついて、必要に応じて調査・検討や政策提言を行う。 (2)熱供給事業法改正に伴う熱料金・需給契約に関する調査研究(新規) 熱供給事業法改正に伴い、熱供給事業者がお客さまと取り交わしている供給規程や需給契 約書の結び直しを行う必要が出てくる可能性があるため、新たに「モデル標準約款」及び「モ デル基本需給契約書」の作成に関する調査研究を行うとともに、自由化後の熱料金の組立て 方について、独占禁止法に抵触しない範囲で調査研究を実施する。 (3)熱供給技術に係る現状と対策に関する調査研究(新規) 地域熱供給の普及促進に向け、空調方式検討時に比較対象となる個別熱源の運転効率の実 態を明らかにするとともに、地域熱供給の優位性の証明に資することを目的に個別分散空調 方式の効率調査研究を行う。また、熱供給設備の劣化診断技術や延命化対策等、熱供給設備 の高経年化対応に関する調査・検討を行う。さらに、取引計量器に関する劣化診断、更新判 断基準及び更新手法などのとりまとめと、受入設備の省スペース化の検討を行う。 (4)保安・安全管理に関する調査研究 熱供給事業における保安の強化に継続的に取り組むとともに、災害対策への対応にも取り 組む。また、熱供給事業に従事する技術者にとって必要な技術や知識を整理し、教育・育成 用のテキスト「熱供給技術者のための基礎知識」を発刊する。 (5)熱供給設備・熱需要等のデータの定期的収集 熱供給設備調査等の定期的な調査、熱供給施設の事故情報等の収集を継続実施する。 (6)会員向け情報提供の拡充・強化の推進 熱供給の業務情報のみならず技術情報やお客さま情報等を会員に幅広くタイムリーに提供 できるよう施策を拡充し、一層の情報共有化を推進する。 (7)熱供給事業便覧の発行・頒布 例年どおり12月を目途に発行し、頒布する。また、熱供給事業法及び政令、省令の改正 内容に留意し、掲載項目の見直しに関する検討を開始する。 (8)会員名簿の整備 例年どおり10月を目途に作成し、会員向けに配付する。 2.熱供給事業に関する普及及び啓発に係る事業 (1)広報に係る国からの委託業務の受託 資源エネルギー庁の広報委託事業の受託に努め、当該業務の的確な実施を図る。 (2)協会自主活動による環境展示会への出展と熱供給シンポジウムの開催 上記の委託事業の展開を踏まえて、環境展示会への出展及び熱供給シンポジウムを開催し、 熱供給事業の普及啓発活動を実施する。あわせて、都市環境エネルギー協会等の関連団体と の共同開催等、新たな広報形態について検討を進める。 (3)協会広報誌「熱供給」の発行 官公庁・地方自治体、設計・建築関係、教育機関等各方面に頒布している広報誌「熱供給」 を年4回発行し、有識者の対談や論文、国や自治体の政策方針、事業者の地区紹介や協会活 動の紹介等を掲載し、熱供給事業ならびに熱供給事業を取り巻く環境についての理解増進を 図る。加えて、総務省など効果が期待できる新たな配布先を追加する。 (4)各種情報媒体を活用した熱供給事業に関する情報の発信 ①新規PRパンフレットの制作(新規) 従来の熱供給の魅力に加え、昨今注目されている防災都市の実現(BCP対応含む)やス マートコミュニティの核として期待されている熱供給の魅力を掲載したPRパンフレット を制作し、環境展示会等で情報発信を行う。 ②離脱防止に寄与する広報活動の検討 各委員会(運営委員会、技術委員会)が実施する「個別分散空調方式の効率調査研究」及 び「受入設備の省スペース化の調査検討」結果(中間報告等含む)等を活用し、離脱防止に 寄与する広報活動の進め方を検討・実施する。 ③各種広報媒体の効果的活用 ホームページを活用した情報発信や外部機関誌・協会発行の冊子等を活用し、熱供給事業 の理解増進を図る。 (5)熱供給事業法改正への対応(新規) 改正法施行に向けた会員向けの広報活動を推進するとともに、独占禁止法に抵触しない広 報活動の在り方やお客さま向けの広報活動について検討する。 3.熱供給事業に関する研究会、講習会等の開催に係る事業 (1)熱供給事業者セミナーの開催 経済、社会動向に関する情報提供のため、熱供給事業者セミナーを開催する。 (6月10日予定) (2)熱供給業務フォーラムの開催 会員の業務関係の課題や事業活動についての意見交換・情報交流等を目的に、熱供給 業務フォーラムを開催する。 (11月予定) (3)住宅事業者情報交換会の開催 熱供給事業法改正により指定供給区域となることが想定される住宅系事業者等を中心 に、営業・料金業務等の諸課題および取組み状況等に関する情報交換会を開催する。(1 1月予定) (4)契約の結び方ガイドライン説明会(その一)の開催(新規) 熱供給事業法改正に対応するため、新たに作成するモデル標準約款およびモデル基本 需給契約書に関する内容をとりまとめた「契約の結び方ガイドライン(その一)」の説明 会を開催する。 (上期中) (5)契約の結び方ガイドライン説明会(その二)の開催(新規) 熱供給事業法改正に伴い、自由化後の熱料金の組立て方に関する調査研究結果をとり まとめた「契約の結び方ガイドライン(その二) 」の説明会を開催する。(下期中) (6)熱料金申請書の作成手引説明会の開催(新規) 現行の熱料金制度および申請手続きの仕方を詳細に解説した「熱料金申請書の作成手 引」に関する説明会を、近々値上げを検討している事業者および指定旧供給区域となる ことが予想される事業者を対象に開催する。 (上期中) (7)熱料金研修会の開催 会員の熱料金制度に関する知識の向上を図るため、主として新規社員および技術系社 員を対象に、熱料金研修会の開催を検討する。(9月予定) (8)熱供給事業法改正や熱料金業務相談への対応 熱供給事業法改正や熱料金業務に関する諸課題等の解決を支援するため、会員からの 相談に対応する。 (9)お客さまの離脱防止等に関する相談への対応 お客さまの離脱防止を支援するため、会員からの相談に対応する。 (10)経理・税制説明会の開催 会員の経理・税制等に関する業務知識の向上を図るため、経理・税制説明会を開催す る。(7月予定) (11)技術シンポジウムの開催 会員の技術改善活動等の成果発表及び技術担当者の情報交流を目的に、技術シンポジウ ムを富山市で開催する。 (10月27日予定) (12)支部組織における技術情報交換会の開催の支援 技術委員会の活動状況や支部事業者の技術情報の共有化、コミュニケーションの強化、 技術知識の向上を目的に、支部及び地区単位での技術情報交換会の開催を支援する。 4.熱供給事業に関する内外関係機関等との交流及び協力に係る事業 (1)国際交流の推進 熱供給に関する海外事情視察団の派遣を行うとともに、国際機関や外国熱供給企業との 情報交換、交流を図る。(海外事情視察団は欧州方面、10月上旬予定) (2)国、自治体及び外部有識者、関連団体等との連携、交流 積極的な事業説明や意見交換会等を通じて連携と交流を拡大する。 5.その他目的達成のための事業 (1)協会表彰制度の運営 協会の表彰規程に基づき、定時社員総会において表彰を実施する。 (2)防災対応訓練の実施 全熱供給事業者を対象とした防災対応訓練を実施する。 (3)支部及び会員との交流促進 支部総会への参加等による情報交換を積極的に進める。
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