教職課程に関する情報(教員一覧その2)

横山 政夫(よこやま まさお)
講師・大阪音楽大学短期大学部教授
担当科目
教職入門Ⅰ
教職入門Ⅱ
道徳教育論
特別活動の指導法
⽣徒指導論Ⅰ(教育相談を含む。) 教職実践演習(中・高)
教育実習の指導
同和教育論
所属・職位
大阪音楽大学短期大学部 音楽科 教授
学位
修士(学校教育学)
学歴
1972(昭和 47)年 神⼾⼤学教育学部英語科 卒業 (教育学士)
1995(平成 7)年 兵庫教育大学大学院学校教育研究科幼児教育専攻 修了
修士(学校教育学)
1972(昭和 47)〜1977(昭和 52)年 茨⽊市⽴⽟島⼩学校 教諭
主な職歴
1977(昭和 52)〜1989(平成元)年 茨⽊市⽴北中学校 教諭
1989(平成元年)〜1999(平成 11)年 茨⽊市⽴天王中学校 教諭
1999(平成 11)〜2009(平成 21)年 茨⽊市⽴⻄陵中学校 教諭
2007(平成 19)年〜現在に⾄る 大阪音楽大学 非常勤講師
2007(平成 19)年〜現在に⾄る 国⽴⼤学法⼈⼤阪⼤学 非常勤講師
2010(平成 22)〜2013(平成 23)年 京都橘大学 非常勤講師
2014(平成 26)年〜現在に⾄る 大阪音楽大学短期大学部 教授
専攻(専門分野)
⽣徒指導論 特別活動論 道徳教育論
研究テーマ
教師の職能成⻑やストレス低減、バーンアウト予防を可能にする、教員のソーシャル・キャピタ
ル(社会関係資本)を研究している。
教育方針
1.正確な教育情報を知ることによって、「わかったつもり」から脱出する。
2.問題の現象だけに目を奪われるのではなく、背景に目を向け、その上で解決策を考える
ことを学ぶ。
3.問題を様々な視点からとらえることを学ぶ。
所属学会・団体等
日本教師教育学会
最近の業績
■『21 世紀を生きる子どもたちからのメッセージ"』(共著) 2010(平成 22)年三学出版
著書
刊(担当部分 pp.36〜122)
担当部分概要:「第1章調査が語る『学校は今』」(pp.36〜122)。
大阪府下の小中高生対象に 2005(平成 17)年に実施したアンケート調査の中学2年
⽣のデータをもとに、不登校、いじめ等の⽣徒指導上の諸問題とその解決の⽅向や、⽣徒会
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活動、⾏事、学級活動などの特別活動が、コミュニケーション⼒の育成や「⾃⼰理解」「他者
理解」「集団とかかわる⼒」「共感能⼒」などの道徳性の育成に有効であることや、⾃尊感情を
育てる部活動のあり⽅など論じた。また、上記の分析を裏づける中学校の実践事例(特に、
教科と連携した「特別活動」の実際(「総合的な学習の時間」の実践)、課題を持つ生徒
が⾏事に参加できる⼯夫、⽣徒間の「共感性」を⾼める⼯夫など)、を紹介した。
著作者⽒名:板倉史郎、⼤前哲彦、佐伯洋、佐々⽊温⼦、新主寿雄、前畠⼀誠、松
井登、守野美佐子、柚木健一、横山政夫、米山幸治
■『いじめ」講義の構想』2014(平成 26)年⼤阪⾳楽⼤学研究論集 創刊号(pp.31
教育業績
〜46)
「いじめ」問題の講義の構想として、次の 3 点をあげた。第一に、子どものいじめ問題の背景と
なっている、大人社会の「人権侵害・いじめ」の広がりについて検討を加えた。第二に、これまで
のいじめ研究を整理した。第三に、いじめ問題解決に苦闘した中学校の実践を紹介した。い
じめは、加害者被害者間だけの問題ではなく、クラス全員が様々な影響を受けており、教師
はいじめ解決の活動を⽣徒とともにすすめ、集団の中に道徳性と⾃治の⼒を育てる指導が求
められている。被害者・加害者・観衆・傍観者それぞれのの支援と指導のあり方、学級活動・
⾏事を通して、⾃治と道徳性を育成する学級指導を紹介した。
■『「つながり」を求める子どもたち』 2012(平成 24)年奈良県⺠教育研究所『奈良教
育フォーラム第 15 号』(pp.27〜35)
2005(平成 17)年 12 ⽉〜2006(平成 18)年1⽉にかけて⼤阪府下の⼦ども(⼩
2,小5,中2、高 2)を対象にアンケート調査を実施した。その中の中学 2 年⽣のデータ
をもとに、中学⽣の諸課題-学習のあり⽅(習熟度別授業や塾)、部活動のあり⽅、特別
活動の果たす役割、コミュニケーション能⼒の育成、社会貢献を重んじる道徳性の育成など
-について、子どもたちの願いに応える教育実践のヒントや大人のサポートについて考察したも
の。
■『⻄陵⽂化・合唱が響く学校づくり』(共著)2006(平成 18)年 季刊『人間と教育』
第 49 号(pp.108〜113)
活発で旺盛な⽣徒会活動と「合唱」を中⼼にした豊かな表現活動の展開を通じて、「⾃⼰理
解」「自主性」「他者の尊重」「集団とのかかわり」などの道徳性などが育成された中学校教育
実践を紹介。音楽科、総合的な学習の時間及び特別活動を有機的に関連させ、個人及び
集団の道徳的実践⼒を⾼める教育課程の創造について紹介したもの。
著作者氏名:井場節子、横山政夫
(横⼭が原案を書き、井場が修正を加えたため、担当部分抽出不可能)
その他
■「つながりを求める子どもたち-大阪の子ども調査に学ぶ-」(口頭発表)2011(平成
23)年奈良教育シンポジウムにおける研究発表
2005(平成 17)年 12 ⽉〜2006(平成 18)年1⽉にかけて⼤阪府下の⼦ども(⼩
2,小5,中2、高 2)を対象にアンケート調査を実施した。その中の中学 2 年⽣のデータ
分析を報告した。習熟度別授業、塾、部活動、特別活動などの分析を通じて明らかになった
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ことは、競争や能⼒主義に傷つき、「孤独」や「居場所のなさ」に悩み、友だちとの「つながり」を
求めていることである。「つながり」を⼤切にする学習、部活動、特別活動が不登校感情を軽
減し、コミュニケーション意欲や能⼒を⾼めることが明らかになった。
■「格差社会の陰」-第 3 回大阪子ども調査結果の報告-(口頭発表)2006(平成
18)年 日本教師教育学会における研究発表
2005(平成 17)年 12 ⽉〜2006(平成 18)年 1 月にかけて大阪府下の子ども(小
2、小 5、中 2、高 2)と教師、保護者(小 5、中 2)を対象にアンケート調査を実施した。
⽣徒会活動、学校⾏事、学級指導の活性化によって共感的な⽣徒集団を育成することが、
不登校感情の軽減、いじめ問題の減少、コミュニケーション能⼒の向上、社会貢献を重んじる
勉強観の育成といった道徳性の向上に有効であることが明らかになった。また、共感的な生徒
集団の育成に取り組んでいる中学校の実践事例(「総合的な学習の時間」の展開)を紹
介した。
平山 るみ(ひらやま るみ)
講師・大阪音楽大学短期大学部准教授
担当科目
教職入門Ⅰ・Ⅱ
教育⼼理学
教育⽅法論
教育実習の指導
教職実践演習(中・高)
所属・職位
大阪音楽大学短期大学部 音楽科 准教授
学位
修士(教育学)
学歴
2001 平成 13 年 関⻄⼤学⽂学部教育学科⼼理学専修 卒業 学士(文学)
2001 平成 13 年 京都大学大学院教育学研究科教育科学専攻修士課程 入学
2003 平成 15 年 京都大学大学院教育学研究科教育科学専攻修士課程 修了
修士(教育学)
2006 平成 18 年 京都大学大学院教育学研究科教育科学専攻博士課程 認定退学
主な職歴
2005 平成 17〜2006 平成 18 年 日本学術振興会 特別研究員 (DC2)
2006 平成 18〜2007 平成 19 年 日本学術振興会 特別研究員 (PD)
2007 平成 19〜2009 平成 21 年 京都大学教育学研究科 教務補佐員
2009 平成 21〜2014 平成 26 年 大阪音楽大学短期大学部 専任助教
2014 平成 26 年〜現在に⾄る 大阪音楽大学短期大学部 准教授
専攻(専門分野)
教育⼼理学
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担当科目
教職入門Ⅰ・Ⅱ
教育⼼理学
教育⽅法論
教育実習の指導
教職実践演習(中・高)
⼼理学の中でも、主に⼈の思考について研究しています。どうしたら騙されにくくなるのかしら?
研究テーマ
思い込みで判断をしたりせず、客観的に多面的に考えることができるようになるためにはどうした
ら いいのかしら??と、批判的思考(critical thinking)について研究しています。
授業では、知識を⾝につけてもらうだけではなく、教育において、また⽇常⽣活において、 それ
教育方針
らをどのように役⽴てることができるのかといったことを積極的に考えてもらいたいと思います。 ま
た、⼈や物事について、客観的にさまざまな角度から理解し、考えようとする⼒を伸ばしていっ
て もらいたいと思います。
所属学会・団体等
⽇本⼼理学会、⽇本教育⼼理学会、⽇本教育⼯学会
最近の業績
著書
■『ワードマップ 批判的思考:21 世紀を生き抜くリテラシーの基盤』 (分担執筆)
2015(平成 27)年 新曜社
証拠に基づき論理的に考えること、⾃分の考えに誤りや偏りがないか内省することなどを意味
する批判的思考は、膨⼤な情報を適切に読み解き活⽤できるリテラシーの基盤となる。この
批判的思考について、⼼理学、哲学、科学論などの学問的な基礎から、教授法、活用場面
まで、キーワード仕⽴てで解説している。このうち、批判的思考をどのように測定し評価するか
を紹介した「批判的思考⼒の評価」(30-33 頁),必要とされる能⼒やスキルについて紹
介した「批判的思考⼒の認知的要素」(34-37 頁),必要となる態度や傾向性などの情
意的要素について紹介した「批判的思考の態度」(38-41 頁)を執筆した。
■『科学技術をよく考える:クリティカルシンキング練習帳』分担執筆 2013(平成 25)年
名古屋大学出版会
「⽣きる⼒」を育むうえで重要とされるクリティカルシンキングを育むための練習帳である。遺伝
⼦組換え作物,地震予知等々,現代社会に⽣きる上で必要不可⽋な科学技術をテーマ
とした現実に即した課題設定をしており,思考⼒に加え,現代を⽣きるうえで必要な,さらに
未来を創り上げていく⼦どもたちの教育に携わるうえでも必要となる知識を得ることができる。
情報を読み解き考えるために必要なスキルのうち,思い込みによる思考の歪みについての「確
証バイアスと利⽤可能性バイアス」(208-212 頁)および思い込みに捉われず情報を正しく
理解するためのツールについての「四分割表と錯誤相関」(212-218 ⾴),新たな知識や
発⾒を作り上げていくための「予断の必要性」(223-227 頁)について執筆した。
■『批判的思考⼒を育む:学⼠⼒と社会⼈基礎⼒の基盤形成』(分担共著)2011
(平成 23)年 有斐閣
情報を鵜呑みにせず、深く吟味し正しく理解するための批判的思考⼒は、「⽣きる⼒」「ジェネ
リックスキル」として初等中等、そして高等教育においてその育成が重要視されている。第 1 部
では、批判的思考のメカニズム、発揮しやすい条件、測定・評価の⽅法等に関する理論を、
日本という文化の特質、現代の社会、学生の実情もふまえての解説し、第 2 部では、実際の
授業実践とそこから導き出された「育成のポイント」を紹介している。このうち、教育方法の発
展のために必要な教育評価に関わるものとして、批判的思考⼒および批判的思考を⽀えると
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いわれる態度や能⼒のさまざまな測定法について紹介した。(第 1 部第 6 章「批判的思考の
測定:どのように測定し評価できるか」を共同執筆、平⼭るみ・楠⾒孝、110p-134p)
■『Critical Thinking:情報を吟味・理解する⼒を鍛える』(分担執筆)2010(平成
22)年 株式会社ベネッセ i-キャリア
急速に変化し、さまざまな課題に直面する社会で必要とされる批判的思考⼒を育むための教
材である。各章、批判的思考が必要とされる場⾯の⾝近な事例、エクササイズを含む批判的
思考の解説、日常生活や専門教育の中でどのように生かせるかを学ぶ応用問題とで構成し
た。3 章から構成されており、批判的思考に必要な主張や根拠の同定といった議論の明確化
のスキル、暗黙の前提を理解するスキル、根拠の確かさの判断するスキルを教授し⾼める内
容となっている。このうち、根拠がどれくらい確かであるかを考えるための観点や方法について解
説を執筆し、問題を作成した(第 3 章「根拠の確かさ」、39-54 頁)。(楠⾒孝、⼦安増
⽣、道⽥泰司、林創、平⼭るみ)
学術論⽂等
■「食品リスク認知を支えるリスクリテラシーの構造:批判的思考と科学リテラシーに基づく検
討」(共著)2013(平成 25)年 日本リスク研究学会誌、第 23 巻、3 号
食育基本法において,教員も正しい⾷についての知識をもち,指導していくことが求められて
いるが、そのためには食品リスクリテラシーが求められる。そこで,人は食品についてどのような知
識を持ち,リスクを判断しているのか,そして,適切な判断を⾏うための⾷品リスクリテラシー
の獲得には,どのような要因が影響するのかについて検討した。1500 名の市⺠を対象に調
査を実施し,熟慮的思考スタイル,批判的思考態度,学歴,リスク知識,科学リテラシー
と食品リスクリテラシーの構造にどのように関わるかを明らかにした。その結果,熟慮的思考スタ
イルおよび学歴が,批判的思考態度に直接的に影響していた。批判的思考態度は,科学
リテラシーと,メディアへの接触および⾷品リスク情報理解を介して,⾷品リスク知識に影響し
ていた。批判的思考態度が,⾷品リスクリテラシーの獲得において重要な役割を果たしている
ことが示された。(165-172 頁)(楠⾒孝、平⼭るみ)
■「批判的思考⼒を育成する⼤学初年次教育の実践と評価」(共著)2012(平成
24)年認知科学,第 19 巻,1 号
「⽣きる⼒」「ジェネリックスキル」の中核を成すものとして批判的思考教育の重要性が唱えられ
るようになってきており、その教育方法を充実させることが課題となっている。そこで、大学入学
後の初年次教育を通じての批判的思考を育成するための授業を⾏い、学⽣の批判的思考
を測定し、授業評価を⾏った。批判的思考についてのジェネラルアプローチを⾏い、また⽇常へ
の転移を目指したワークシートを作成し実施した。また、メタ認知育成のための自己評価も毎
回実施した。さらに、協調的学習に基づく、学習者インタラクションを重視したディスカッションや
ピア・リーディング等の学習活動を取り⼊れた。また、批判的思考の態度やスキルそれぞれに関
わる 3 種類の教科書を使⽤した。そして、批判的思考態度尺度、批判的思考能⼒テスト、
討論参加態度尺度、批判的思考遂⾏のメタ認知尺度によって効果測定を⾏った。その結
果 、 批 判 的 思考 に 関 わ る 態 度 や メ タ認 知 にお い て 、 授 業 の 前 後 で 変 化 が み ら れ た。
(69-82 ⾴)(楠⾒孝、平⼭るみ、⽥中優⼦)
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■「⽇本語版認識論的信念の尺度構成と批判的思考態度との関連性の検討」(共著)
2010(平成 22)年⽇本教育⼯学会論⽂誌、第 34 巻、増刊号
知識や学習とはどのような性質を持つものかという認識論的信念は、通常授業や特別活動を
含む、さまざまな場面で培われると考えられる。その認識論的信念を評価できるツールとして、
SCHOMMER (1990)の認識論的信念尺度に基づいて、⽇本語版認識論的信念尺度を
構成した。大学生 426 名に対して調査をおこない、「⽣得的な能⼒」、「じっくりした学習」、
「⾃⼰努⼒による学習」、「単純な知識」の 4 因⼦から成る⽇本語版認識論的信念尺度を
構成した。これにより、「関心、意欲、態度」を⽀える認識論的信念を検討し、⼦どもたちのも
つ認識論的信念を踏まえた授業を構成していくことが可能となった。さらに,この尺度を⽤いて
認識論的信念と批判的思考態度との関連性を検討したところ、認識論的信念の「⽣得的な
能⼒」、「じっくりした学習」、「⾃⼰努⼒による学習」と、批判的思考態度との間に、有意な相
関がみられ、どのような認識論的信念をもつかが批判的思考態度と関連していることが明らか
となった。これらのことから、どのような認識論的信念を獲得することを学校教育全般を通じて
支援していくことが重要であるかといった教育目標について示した。(157-160 頁)(平山
るみ、楠⾒孝)
■「⽇本語版批判的思考能⼒尺度の構成と性質の検討:
コーネル批判的思考テスト・レベル Z を用いて」(共著)2010(平成 22)年 日本教育
⼯学会論⽂誌、第 33 巻、4 号
近年、「⽣きる⼒」を⽀える要素の⼀つとして、中等教育や⾼等教育において、批判的思考
育成の試みがなされている。しかし、それらの教育評価を⾏うための尺度は、⽇本にはほとんど
存在しない。そこで、コーネル批判的思考テスト・レベル Z (Ennis, et al. 1985)を用いて、
⽇本語版批判的思考能⼒尺度を構成した。⼤学⽣ 43 名に対し、批判的思考能⼒尺度、
批判的思考態度尺度、認知能⼒尺度を実施し、尺度について検討した結果、尺度の内的
整合性が得られ、課題の難易度は適切であることが確認された。また、批判的思考能⼒尺
度得点と⾔語性認知能⼒尺度得点との相関から、この尺度には⾔語能⼒が関わることが⽰
された。そして、批判的思考能⼒尺度と批判的思考態度尺度とは関係性がみられず、独⽴
した尺度であることが⽰された。これにより、批判的思考能⼒を教育目標とした場合に、事前
の⽣徒・学⽣たちの批判的思考能⼒の現状を把握したり、教育の成果を測定したりすること
が可能となったと考えられる。(441-448 ⾴)(平⼭るみ、⽥中優⼦、河崎美保、楠⾒
孝)
■「健康食品の効能とリスク判断に及ぼすサンプルサイズ情報の影響」(共著)2009(平
成 21)年 日本リスク研究学会誌、第 19 巻、1 号
健康やリスク情報等、食品に関する情報が溢れているが、その中には疑似科学的情報も含ま
れていることが問題視されている。科学リテラシー、情報リテラシーとしてこれらの情報を正しく理
解、判断し活⽤する⼒を育むことが食育という観点からも求められている。そこで、自身の身体
イメージへの関⼼が特に⾼い⻘年期である⼤学⽣に対して調査を実施し、痩⾝効果を謳った
健康食品の効能やリスクを判断する際、サンプルサイズに関する情報がどのように影響するか
検討した。その結果、サンプルサイズによってその情報の判断は異なるものであるという知識は
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持っており、リスク情報判断の際はサンプルサイズを考慮できる。しかし、痩身効果というベネフ
ィット情報を判断する際には、サンプルサイズ情報を無視し、効果を判断する傾向があることが
明らかになった。より正しく理解、判断する⼒を育むためには、⾷育や科学リテラシー教育にお
いて、サンプルサイズなどの科学的知識のみではなく、ベネフィット情報に触れた際の欲求の影
響といった⼼理学的な知識も提供することが必要なことを⽰した。(43-48 頁)(平山る
み、楠⾒孝)
■「⼤学初年次教育におけるグループ学習と討論:クリティカル・シンキング育成の試み」(共
著)2006(平成 18)年筑波大学学校教育学会誌、第 13 号
欧⽶圏においてはクリティカル・シンキング教育の重要性が認識され、さまざまな教育実践が⾏
われており、その教育効果や育成に関わる要因に関する検討も⾏われている。⽇本において
も、教育実践例の報告はまだ少なく、また質的および量的に多⾯的に教育評価を⾏った研
究は少ない。しかし、教育方法の改善のためには、単にさまざまな授業実践を⾏うだけではな
く、評価までを⼀貫して⾏うことが重要である。そこで、半期間の初年次教育において、講義や
グループでの調べ学習やディスカッションといったさまざまな教育方法を通じて、クリティカル・シン
キングの育成を試みた。その結果、批判的思考態度においては、授業の事前事後で有意な
差はあまりみられなかったが、討論形態や態度については上昇した。また、最終レポート課題に
おいては、クリティカルな態度に⾔及するものも多く、これらはクリティカル・シンキングへの態度形
成が促進されたものと考えられる。このように教育実践から評価までを⼀貫して⾏い、「⽣きる
⼒」に関わるクリティカル・シンキングのより効果的な教育⽅法を⽰した。(1-15 頁)(武
⽥明典、楠⾒孝、平⼭るみ)
■「批判的思考態度が結論導出プロセスに及ぼす影響:証拠評価と結論⽣成課題を⽤い
ての検討」(共著)2004(平成 16)年 教育⼼理学研究、第 52 巻、2 号
情報化社会では、玉石混合さまざまな情報があふれており、それらを正確に理解し判断し活
用する情報リテラシーが必要とされる。情報リテラシーには批判的思考が関係しているが、より
効果的な批判的思考の教育⽅法を検討するためには、まずは批判的思考の遂⾏にどのよう
な要因が関わっているのかを明らかにする必要がある。また、「関⼼・意欲・態度」や「思考・判
断・表現」が重視されているものの、そもそも批判的思考の態度を測定するためのツールが⽇
本には存在しない。そこで、まず批判的思考態度を測定するための評価ツールとしての尺度
を、調査によって作成した。その結果、「論理的思考への⾃覚」「探究⼼」「客観性」「証拠の
重視」の 4 因⼦から成る尺度が構成された。さらに、対⽴する情報からの結論を導くプロセスに
おいて、信念バイアスや確証バイアスを回避し、情報を客観的・多⾯的に評価することに対し
て、批判的思考態度が及ぼす影響を検討した。その結果、確証バイアスの回避に、批判的
思考態度の「探究⼼」が関わることが⽰され、⾃分が持つ考えに反する情報をも公平に検討
する情報リテラシー育成のためには、さまざまな情報を求めようとする態度を育むことが重要で
あることが示された。(186-198 ⾴)(平⼭るみ、楠⾒孝)
■「リスクコミュニケーションにおける対⽴情報回避:放射能・⾷品リスクに関する情報源信頼
性とリスク認知」(共著)2014(平成 26)年⽇本⼼理学会第 78 回⼤会発表論⽂集
21
(於:同支社大学)(楠⾒孝、平⼭るみ,嘉志摩佳久)
■「SNS への態度と批判的思考態度および熟慮性との関係性」 (共著) 2014(平成
26)年 ⽇本教育⼼理学会第 56 回総会発表論⽂集(平⼭るみ,楠⾒孝)
■「放射能リスクに関する対⽴情報の統合:⽚⾯-両⾯提⽰情報源の信頼度」(共著)
2013(平成 25)年⽇本⼼理学会第 77 回⼤会発表論⽂集(於:神⼾⼤学)(215
⾴)(楠⾒孝、平⼭るみ,嘉志摩佳久)
■「ジェネリックスキルとしての批判的思考⼒テスト:得点パタンにもとづく認知的特徴の検討」
(共著)2013(平成 25)年 日本テスト学会第 11 回⼤会発表論⽂集(148-151
⾴)(⽥中優⼦・鈴⽊雅之・孫媛・⼦安増⽣・道⽥泰司・林創・平⼭るみ・楠⾒孝)
■「芸術系短⼤教養科目を通じての批判的思考態度の育成」(共著)2013(平成
25)年⽇本教育⼼理学会第 55 回総会発表論⽂集(平⼭るみ,楠⾒孝)
■「情報不⼗分⽂章に対する批判的思考における専攻の影響」(共著)2012(平成
24)年⽇本教育⼼理学会第 54 回総会発表論⽂集(於:琉球⼤学)(平山るみ,
楠⾒孝)
■「批判的思考態度および思考スタイルの領域性:⾳⼤⽣を対象として」(共著)2011
(平成 23)年 ⽇本教育⼼理学会第 53 回総会(於:北海道学校⼼理⼠会・北翔⼤
学)(平⼭るみ、楠⾒孝)
■「ジェネリックスキルとしての批判的思考⼒テストの開発:⼤学偏差値,批判的学習態
度,授業履修との関連性の検討」(共著)2010(平成 22)年⽇本教育⼼理学会第
52 回総会発表論⽂集(於:早稲⽥⼤学) (661 頁)(楠⾒孝、⼦安増⽣、道⽥泰
司、林創、平山るみ、田中優子)
■「市⺠の⾷品リスクリテラシーの構造:学歴と批判的思考態度の影響」(共著)2009
(平成 21)年⽇本⼼理学会第 73 回⼤会発表論⽂集 (於:⽴命館⼤学)(86
⾴)(平⼭るみ、楠⾒孝)
■「健康食品の効果と副作用判断に及ぼすサンプルサイズ情報の影響」
(共著)2008(平成 20)年⽇本⼼理学会第 72 回⼤会発表論⽂集(於:北海道
大学)(951 ⾴)(平⼭るみ、楠⾒孝)
■「高校国語科における批判的読解指導効果」(共著)2007(平成 19)年日本教育
⼼理学会第 49 回総会発表論⽂集(於:⽂教⼤学)(63 頁)(楠⾒孝、平⼭るみ、⽥
中優子、冨江宏)
■「批判的思考と科学および情報リテラシーとの関連性」(共著)2007(平成 19)年日
本⼼理学会第 71 回⼤会発表論⽂集(於:東洋大学)(842 ⾴)(平⼭るみ、楠⾒
孝)
■「科学的情報の判断に関わる知識および批判的思考」(共著)2006(平成 18)年
⽇本⼼理学会第 70 回⼤会発表論⽂集(於:九州⼤学)(平⼭るみ、楠⾒孝)
■「批判的思考能⼒と科学的リテラシーがリスク認知に及ぼす効果」(共著)2006(平成
18)年 ⽇本教育⼼理学会第 48 回総会発表論⽂集(於:岡山大学)(258 頁)
(平⼭るみ、楠⾒孝)
■「 The effects of critical thinking and information monitoring process on
the conclusion drawing from contrary information」(共著)2005(平成 17)
22
年 6th Annual Meeting, Society of Judgment & Decision Making
(於:Toronto, Canada)(平⼭るみ、楠⾒孝)
■「批判的思考態度および能⼒と健康情報の判断との関係性」(共著)2005(平成
17)年⽇本教育⼼理学会第 47 回総会発表論⽂集(於:浅井学園)(512 頁)
(平⼭るみ、⽥中優⼦、⼭縣宏美、楠⾒孝)
■「認識論的信念と批判的思考との関連性の検討」(共著)2005(平成 17)年日本
⼼理学会第 69 回⼤会発表論⽂集(於:慶応義塾⼤学)(901 頁)(平山るみ、楠
⾒孝)
■「 The effect of one’s disposition and ability on critical thinking process」
(共著)2004(平成 16)年 25th Annual Conference, Society of Judgment &
Decision Making(於:Minneapolis, USA)(平⼭るみ、楠⾒孝)
■「批判的思考態度が対⽴情報の探索過程に及ぼす効果」(共著)2004(平成 16)
年⽇本教育⼼理学会第 46 回総会発表論⽂集(於:富⼭⼤学)(510 頁)(平山る
み、楠⾒孝)
■「批判的思考能⼒と知能および態度との関連性:コーネル批判的思考テストを⽤いての
検討」(共著)2004(平成 16)年⽇本⼼理学会第 68 回⼤会発表論⽂集(於:関
⻄⼤学)(873 ⾴)(平⼭るみ、⽥中優⼦、河崎美保、楠⾒孝)
■「クリティカル・シンキングを⽤いた⼤学演習授業:態度および課題成績からの検討」(共
著)2003(平成 15)年⽇本教育⼯学会第19回全国⼤会発表論⽂集(於:岩⼿
県⽴⼤学)(375-376 ⾴)(平⼭るみ、武⽥明典、楠⾒孝)
■「クリティカル・シンキングを用いた大学演習授業:実践報告」(共著)2003(平成
15)年⽇本教育⼯学会第19回全国⼤会(於:岩⼿県⽴⼤学)(377-378 頁)
(武田明典 楠⾒孝)
■「批判的思考を⽀える態度が読解プロセスに及ぼす影響」(共著)2003(平成 15)
年⽇本⼼理学会第 67 回⼤会発表論⽂集(於:東京⼤学)(905 頁)(平山るみ、
楠⾒孝)
■「批判的思考態度と課題成績との関連性:ワトソン・グレーザー課題と読解⼒リテラシー
課題を用いて」(共著)2002(平成 14)年⽇本教育⼼理学会第 44 回総会発表論⽂
集(於:熊本大学)(260 ⾴)(平⼭るみ、楠⾒孝)
■「批判的思考を⽀える態度と個⼈特性との関連性」(共著)2002(平成 14)年日本
⼼理学会第 66 回⼤会発表論⽂集(於:広島⼤学)(825 ⾴)(平⼭るみ、楠⾒
孝)
その他
■(自主企画)「批判的思考態度尺度の基礎研究と教育実践への利⽤可能性」における
話題提供『批判的思考の測定尺度研究の成果 〜批判的思考態度研究から批判的思考
教育を考える〜』(単著)2011(平成 23)年⽇本教育⼼理学会第 53 回総会(於:
北海道学校⼼理⼠会・北翔⼤学)
■「市⺠の⾷品リスク・リテラシーの構造:学歴と批判的思考態度の影響」(共著)2010
(平成 22)年科学研究補助⾦(基盤(A))助成研究報告書 課題番号 19208021
科学を基礎とした⾷品安全⾏政/リスクアナリシスと専門職業、職業倫理の確⽴(最終報
告書) (113 頁-128 ⾴)(楠⾒孝、平⼭るみ)
23
教育実践記録等
■『大学教育および教職課程における批判的思考育成の重要性』 (単著) 2014(平
成 26)年 ⼤阪⾳楽⼤学教育研究論集
■『批判的思考を⽀える態度および能⼒測定に関する展望』 (単著) 2004(平成
16)年 京都大学教育学研究科紀要,50 巻(290-302 頁)
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森 枝美(もり えみ)
講師・帝塚山大学現代生活学部こども学科准教授
担当科目
教育課程論
所属・職位
帝塚山大学現代生活学部こども学科准教授
学位
修士(教育学)
学歴
2000(平成 12)年 京都大学教育学部教育学科 卒業
2004(平成 16)年 京都大学大学院教育学研究科教育科学専攻修士課程 修了
2005(平成 17)年 京都大学大学院教育学研究科教育科学専攻博士後期課程 退
学
主な職歴
2005(平成 17)年 京都大学大学院教育学研究科リサーチ・アシスタント
2005(平成 17)〜2006(平成 18)年 京都大学大学院教育学研究科学術振興会
助手
2006(平成 18)〜2007(平成 19)年 京都大学大学院教育学研究科助手
2007(平成 19)〜2008(平成 20)年 三重大学人文学非常勤講師
2007(平成 19)〜2008(平成 20)年 三重大学生物資源学部・生物資源学研究科
非常勤講師
2007(平成 19)〜2010(平成 22)年 大阪健康福祉短期大学子ども福祉学科講師
2009(平成 21)年〜現在に⾄る 大阪音楽大学短期大学部 非常勤講師
2010(平成 22)〜2013(平成 25)年 奈良教育⼤学 任期付准教授
2013(平成 25)〜2014(平成 26)年 奈良教育⼤学 特任准教授
2013(平成 25)年〜現在に⾄る 大阪音楽大学 非常勤講師
2014(平成 26)年〜現在に⾄る 帝塚山大学現代生活学部こども学科准教授
専攻(専門分野)
教育方法学 教育課程 理科教育 性教育
担当科目
「教育課程論」
研究テーマ
学校教育で⾝につけた知識は、実際の⾏動や⽣活にどのようにつながるのか、教育と⽣活のつ
ながりに注目し、教育課程、教育評価という観点から研究しています。戦前の性教育論につい
ての分析をふまえ、とりわけ理科教育分野を⼿がかりにしながら、研究を進めています。
24
時間厳守。締め切り厳守。わからないことはそのままうやむやにせず、自分で解決方法を考えて
教育方針
⾏動すること。
所属学会・団体等
教育目標・評価学会、日本教育方法学会
最近の業績
著書
■『教師⼒を鍛えるケースメソッド123〜学校現場で⽣じる事例とその対応〜』 (共著)
2014(平成 26)年 3 月ミネルヴァ書房刊
学校で起こりうる事例を 123 とりあげ、そのような事例が⽣じたときにどう対応するかについて解
説したものである。ここで⽰した対応は、あくまでも⼀例であり、実際の現場で⽣じる事例にその
ままあてはめればよいというものではない。各事例の末尾に⽰した、基本認識・対応の原則・関
連知識および参考⽂献などをふまえて、読者が課題と向き合ったとき、その場その場で、最適と
思われる対応がとれることをめざしている。
監修:奈良教育⼤学次世代教員養成センター課題探究教育部門教師⼒サポートオフィス
共著者:赤井悟・柴本枝美
■『東アジア新時代の日本の教育―中国との対話』(共著)2012(平成 24)3 月京都大
学学術出版会
⽇中両国の研究者が教育の各領域について、それぞれの⽴場から分析し「対話」するという形
式で編集されており、日本の教育に対する多様な視点を提供することにより、日本の教育の現
状や改革動向を再検討することを目的としている。執筆部分は、前著の原稿をもとに、学校に
おける⼦どもの健康や安全について、学校保健の歴史を紐解きながら、学校保健安全法の改
正を中心に、現代日本における取り組みについて述べたものである。
辻本雅史・袁 振国 監修/南部広孝・高 峡 編/共著者:南部広孝、⾼⾒茂、杉本均、
田中耕治、森(柴本)枝美 他 24 名
A5 判、370 頁
執筆部分
「第 16 章 子どもたちの健康と安全を守る―学校保健を中心に」(290-307 頁)
■『21 世纪的日本教育改革 : 日中学者的视点』(共著)2009(平成 21)12 月教育
科学出版社(北京)
中国中央教育科学研究所と京都大学大学院教育学研究科との共同研究の成果報告書と
して、中国で発⾏された書籍である。政策法規、基礎教育、⾼等教育、⽣涯学習、教師教
育、情報技術教育、体育・保健体育・⾷育、国際理解教育の各章について、⽇中それぞれの
研究者が執筆した。執筆部分では、学校保健を中心に、子どもたちの健康と安全を守るという
観点から述べた。日本における学校保健の歴史をみながら、学校保健安全法への改正につい
て説明した。
田慧生, 田中耕治主编; 高峡执⾏
共著者:⽥中耕治、杉本均、⾼⾒茂、楠⾒孝、柴本枝美、他 21 名
169×238、全 339 頁
執筆部分「以学校保健為中心的歴史回顧与展望」(270-285 頁)
■『時代を拓いた教師たちⅡ―実践から教育を問い直す―』2009(平成 21)年 10 月 日
本標準刊
前著(著書の 1)をふまえ、戦後教育実践の中でも、現代に活きる教育実践を選び出し、そ
25
れぞれの実践について解説している。執筆部分では、⼩⽥切明徳が⽣物を専門とする理科教
師として取り組んだ性教育実践について検討した。生徒たちから「歩く性教育」と慕われていた小
⽥切の実践には、あくまでも科学的な事実に基づき、⾃らのセクシュアリティを絶えず問い返しな
がら、生徒に寄り添い、伝えていこうとする姿勢がみられた。
田中耕治編 共著者:田中耕治、二宮衆一、渡辺貴裕、伊藤実歩子、柴本枝美、他 12
名
四六判、全 245 頁
執筆部分「⼩⽥切明徳と性教育実践――「性」と「⽣」について学ぶ理科の授業――」
(125-136 頁)
■『やわらかアカデミズム・<わかる>シリーズ よくわかる教育課程』(共著)2008(平成
20)年 9 月ミレルヴァ書房
教育課程をはじめて学ぼうとする⼈を対象に、教育課程に関する基本的な考え⽅や⽅法原理
を説明している。筆者が担当した章は「日本の教育課程改革の歴史」であり、戦前から戦後に
至るまで、どのような教育課程改革がなされてきたのかを解説している。
田中耕治編 共著者:⽥中耕治、藤本和久、樋⼝とみ⼦、樋⼝太郎、柴本枝美 他 11 名
B5 判、216 頁
執筆部分
「明治期の教育課程」(170-173 頁)
「大正自由教育期の教育課程」(174-177 頁)
「国⺠学校期の教育課程」(178-179 頁)
「戦後「新教育」における教育課程」(180-181 頁)
「教育内容の現代化」(182-183 頁)
「教育内容の精選」(184-185 頁)
「理科のカリキュラム」(130-131 頁)
■『新しい学⼒テストを読み解く』(共著)2008(平成 20)年 6 月 日本標準
PISA2003 の科学的リテラシー、TIMSS2003、および平成 13 年度⼩中学校教育課程実
施状況調査における理科を中⼼に、それぞれの調査について検討することを通じて、これら三つ
の調査が測ろうとする理科の学⼒について検討した。とりわけ、遺伝にかかわる問題に注目して、
それぞれの調査における評価の枠組みを分析しながら、共通点と相違点を明らかにした。そこか
ら⽇本における理科の学⼒への⽰唆が得られるのではないかと考えている。
田中耕治編 共著者:田中耕治、八田幸恵、木村裕、石井英真、柴本枝美 他 6 名
A5 判、283 頁
執筆部分
「第 6 章 理科の学⼒と科学的リテラシー―遺伝にかかわる問題に注目して―」(125-149
頁)
■『人物で綴る戦後教育評価の歴史』(共著)2007(平成 19)年 3 月 三学出版
戦後⽇本において代表的な評価論を展開していた⼈物をとりあげ、それぞれの⼈物について解
説を加えている。下記に⽰す学術論⽂ 1 をもとに改訂を加えたものである。
田中耕治編 共著者:田中耕治、谷川とみ子、二宮衆一、渡辺貴裕、柴本枝美 他 10 名
A5 判、全 230 頁
26
執筆部分
「⼀⼈⼀⼈の⼦どもに即した教育評価論―東洋の場合―」(212-227 頁)
■『やわらかいアカデミズム・<わかる>シリーズ よくわかる授業論』(共著)2007(平成
19)年ミネルヴァ書房刊
はじめて教育について学ぶ人を対象に、授業に関する項目をわかりやすく、図や表を用いながら
具体的に解説している。「授業づくりの遺産に学ぶ」の一部を担当し、戦後日本で繰り広げられ
てきた教育実践を解説している。
田中耕治編 共著者:⽥中耕治、⻑⾕川豊、柏⽊正、松下佳代、柴本枝美 他 11 名
B5 判、全 222 頁
執筆部分
「 生活 単元 学習と問題解決学習」 (196-197 頁 )「 数 学教育 協 議 会と 水 道 方 式 」
(200-201 頁)「仮説実験授業と授業書」(202-203 頁)
「全国授業研究協議会の成果」(204-205 頁)
「教育技術の法則化運動」(208-209 頁)
「技術・家庭科の授業づくり」(160-161 頁)
■『“信頼される学校づくり ”に向けたカリキュラム・マネジメント・No.4 カリキュラムをつくる教師
の⼒量形成』(共著)2006(平成 18)年 5 月 教育開発研究所
学校を基礎にして、教師全員でカリキュラムをつくりあげていくために、どのような⼒量が求められる
のか、またその⼒量はどのようにすれば形成することができるのか、カリキュラム・マネジメントを支え
る教師の⼒量形成が多⾯的に⽰されている。執筆部分では、教師の⼒量形成をめざす実践
事例の⼀つとして、これまで共同研究として取り組んできた⼤学と⼩学校の連携を紹介した。
田中耕治編 共著者:⽥中耕治、安彦忠彦、⼭崎準⼆、林正和、柴本枝美 他 44 名
B5 判、全 223 頁
執筆部分「⼤学との連携による教師の⼒量形成」(204-207 頁)(第 1、4、5 節を林正和
教諭が、第 2、3 節を柴本が執筆した)
■『時代を拓いた教師たちー戦後教育実践からのメッセージー』(共著)2005(平成 17)
年⽇本標準
戦後⽇本の教育を切り開いてきた 15 の実践を取り上げ、それぞれの実践について解説してい
る。執筆部分では、庄司和晃の仮設実験授業における討論の位置づけに注目し、科学教育
における討論の意義について論じた。
田中耕治編 共著者:⽥中耕治、⾕川とみ⼦、窪⽥知⼦、樋⼝太郎、柴本枝美 他 12 名
四六判、全 237 頁
執筆部分「庄司和晃と仮説実験授業――科学教育における討論の可能性――」
(128-140 頁)
学術論⽂
■『教育課程論における取り組み―「教える」⽴場への⾃覚を促す―』(単著)2014(平成
26)年 2 月 ⼤阪⾳楽⼤学教育研究論集 創刊号
2009 年度より⼤阪⾳楽⼤学短期⼤学部で非常勤講師として勤めてきた教育課程論を通し
て、「教えられる」⽴場から「教える」⽴場へと受講⽣が意識を変えていくことができたのかどうか、ミ
ニレポートの記述をもとに検討した。受講⽣の記述を⾒ると、⾃分が授業をするのだという⾃覚に
27
基づいて感想を書いているものもいれば、教師の仕事が多忙であることに気づいてはいるものの、
⾃らが授業をするという⽴場にはまだ考えが及んでいないものもいた。(54-57 頁)
■『先端的な教育科目体系のモデル開発プロジェクト 3 年間の成果と今後の⾒通し』(共
著)2013(平成 25)年 3 月奈良教育⼤学教育実践開発研究センター研究紀要 第 22 号
平成 22 年度から平成 24 年度まで実施してきた「先端的な教職科目体系のモデル開発プロ
ジェクト」の成果と課題について整理し、今後の⾒通しについて述べた。成果としては、平成 24
年度新⼊⽣より導⼊された教員養成に⼀本化された教育課程により、教職科目群と教育実
習科目群の再編・体系化を実現できたこと、教師⼒サポートオフィスをはじめ、教職ノートや教
師⼒ルーブリック、ケースメソッド教材の開発など、体系的な学生支援システムを構築できたこと
があげられる。(211-216 頁)
共著者:柴本枝美、生田周二、赤沢早人、赤井悟
■『理科における「活⽤」する⼒についての⼀考察―平成 24 年度全国学⼒・学習状況調査、
TIMSS2007、PISA2006 の問題例を通して―』(単著)2013(平成 25)年 3 月奈良
教育大学教育実践開発研究センター研究紀要 第 22 号
理 科 に お け る 「 活 ⽤ 」 す る ⼒ に つ い て 、 平 成 24 年 度 全 国 学 ⼒ ・ 学 習 状 況 調 査 、
TIMSS2007、PISA2006 の評価の枠組みおよび出題された問題を手がかりに検討した。実
験⽅法にかかわる問題に注目してそれぞれの調査における特徴をみてみると、全国学⼒・学習
状況調査においては、知識を「活⽤」して実験を計画するのにとどまるのに対して、
TIMSS2007 および PISA2006 においては、知識を「活⽤」して実験を計画するとともに、なぜ
その手順が必要であるのか、根拠を説明することまでが求められているということが明らかになっ
た。(57-65 頁)
■『スイス・チューリヒ教育大学における教師教育の現状』2011(平成 23)年 3 月 奈良教
育大学教育実践総合センター研究紀要 第 20 号
スイス・チューリヒ教育大学への現地調査をふまえ、チューリヒ教育大学の概要、教育課程、能
⼒資質基準「NOVA09」、教育実習、実習に伴う適性検査を中⼼に整理した。理論と実践の
往還の仕組み、協⼒校との連携、実習を観察し評価する視点など、参考にできる点が多く⾒
受けられた。(251-257 頁)
共著者:生田周二、柴本枝美
■『奈良教育⼤学における教師⼒向上の取組―先端的な教職科目体系のモデル開発プロジ
ェクトの 1 年目の成果と課題―』(共著)2011(平成 23)年 3 月奈良教育⼤学教育実
践総合センター研究紀要第 20 号
先端的な教職科目体系のモデル開発プロジェクトの概要について説明し、平成 22 年度の取り
組みにおける成果と課題について整理した。平成 22 年度の成果としては、教師⼒サポートオフ
ィスの設置、教職ノート、教師⼒ 100 冊等の準備、教師⼒ルーブリックの検討、教育実習スタ
ートアップの実施がある。それぞれの取り組みで⾒出された課題を踏まえ、改善していくことが今
後の課題である。(245-249 頁)
共著者:柴本枝美、赤沢早人
■『教育実習のあり方(2)―「めざす保育者像」に関する考察―』(共著)2010(平成
22)年 3 月 創発(大阪健康福祉短期大学紀要)第 9 号
学術論⽂ 12 をふまえ、実習生が描く「めざす保育者像」と、現場が求めている保育者像につい
28
て調査し、教育実習指導のあり方について検討することを目的とした。実習生と幼稚園教諭に
対するアンケート調査結果をみると、保育者として必要であると考える資質能⼒には、そう⼤き
な隔たりはないことがわかった。実習生の実習ノートの分析もふまえ、保育技術だけではなく、子
ども理解、⼈間理解を含めた能⼒が必要であることが明らかになった。(103-113 頁)
共著者:山本弥栄子、小川友惠、柴本枝美
■『⽇本と中国における理科教育課程の⽐較―⽣物分野に焦点を当てて―』(単著)
2010(平成 22)年 3 月 創発(大阪健康福祉短期大学紀要)第 9 号
⽇本と中国における理科の教育課程について、とりわけ⽣物分野に焦点を当てて⽐較すること
を通して、日中両国において、生殖や遺伝といった性に関わる内容がどのように扱われているかを
検討した。中国における「⽣物課程標準(実験稿)」と、⽇本における学習指導要領に⽰さ
れた内容をみると、そう⼤差はみられないものの、倫理観や価値観についての配慮が中国におい
ては明記されているという相違点があったことがわかった。
(71-78 頁)
■『子どもたちの健康と安全を守る―日本における学校保健―』(単著)2010(平成 22)
年 1 月 21 世紀における⽇本の教育改⾰――⽇中学者の視点――(⽇本語論⽂集)
著書『21 世纪的日本教育改革 : 日中学者的视点』の⽇本語版論⽂集として、京都⼤学
⼤学院教育学研究科の教育実践コラボレーションセンターが発⾏したものである。著書8のもと
となった⽇本語の原稿を論⽂集としてまとめたものであり、執筆部分の内容については著書8と
同じである。(118-131 頁)
■『教育実習指導のあり方(1)―教育実習Ⅰの結果をふまえて―』(共著)2009(平成
21)年 3 月 創発(大阪健康福祉短期大学紀要)第 8 号
教育実習指導(事前指導、教育実習、事後指導を含む)について、平成 20 年度の取り組
みを振り返り、今後の課題と改善の⾒通しを得ることを目的とした。教育実習指導の内容を整
理し、学⽣の実習⽇誌を分析し、学⽣が幼稚園実習で何を学んできたかを⽰した。また、実習
園からの評価と学生の自己評価、実習園へのアンケート調査の結果を検討し、学生の実態と
実習園が学生に期待することを示した。(143-156 頁)
共著者:小川友惠、山本弥栄子、柴本枝美
■『⼭本宣治の性教育論における性⽣活調査の位置づけと役割』(単著)2008(平成 20
年)3 月 創発(大阪健康福祉短期大学紀要)第 7 号
⼭本宣治の性教育論において、性⽣活調査が果たした役割を明らかにした。⼭本の性教育論
で、科学的知識とは、性⽣活調査に基づいて⼀般の⼈々における現状の性⽣活を知ることから
確⽴されるものであり、性⽣活調査は、その知識内容の種類と質を吟味する役割を果たすもの
であった。そして再構築された科学を一般の人々に還元する一つの方法が、「人生生物学」講
義であった。性生活調査と山本の性教育実践とは、双方向的に関わりあっていたことを示した。
(35-41 頁)
■『理科の授業研究における仮説⽣成過程―⾼倉⼩学校と京都⼤学との連携に基づいて
―』(単著)2007(平成 19)年 3 月 教育方法の探究(京都大学大学院教育学研究
科教育方法学講座紀要)第 10 号
京都市⽴⾼倉⼩学校の教師と京都⼤学⼤学院教育学研究科教育⽅法学講座教育⽅法
分野の⼤学院⽣との連携による授業研究の中で、理科班において授業研究における研究仮
29
説を生成する過程を示した。6 年⽣の「⽣き物と養分(1)(2)」に焦点をあて、それぞれの年度に
おける取り組みでなされた話し合いに注目し、参加メンバーや目的が違う議論を重ねることで、
教師と大学院生がお互いの考えを持ち寄り、研究仮説として練り上げていったことを示した。
(1-8 頁)
■『⼦どものワークシートから授業改善へ―ルーブリックづくりを契機とする理科班の活動を通じて
―』(単著)2007(平成 19)年 3 月 学⼒向上をめざす評価規準と評価⽅法の開発
(平成 16-18 年度科学研究費補助⾦基盤研究(C) 研究成果最終報告書)
(研究代表者)田中耕治
2003 年度に始まった京都市⽴⾼倉⼩学校の教師と京都⼤学教育学研究科教育⽅法学講
座教育⽅法分野の⼤学院⽣との連携による授業研究における理科班の活動を紹介した。
2004 年度を中⼼に、ルーブリックづくりに⾄る活動をふりかえりながら、教師と⼤学院⽣が試⾏
錯誤しながら研究を進めていった過程を明らかにした。ルーブリックづくりを通じて、よいワークシー
トの規準を教師と大学院生が共有し、実際の授業がどう展開されていったのかを示した。
(181-193 頁)
■『理科の学⼒と科学的リテラシー―⽣物領域の問題に注目して―』(単著)2007(平成
19)年 3 月 学⼒向上をめざす評価規準と評価⽅法の開発(平成 16-18 年度科学研究
費補助⾦基盤研究(C) 研究成果最終報告書)(研究代表者)田中耕治
PISA2003 における科学的リテラシー、TIMSS2003、および平成 13 年度⼩中学校教育課
程実施状況調査における理科について、三つの調査が測ろうとする理科の学⼒について検討し
た。とりわけ、⽣物領域における実際の調査問題に注目した。共通点は、⽣物・地学領域の問
題が多い傾向がみられること、単に科学的な知識や概念の理解だけではなく、なぜその現象が
起こるのか、その理由について科学的な知識をもとに答える問題が含まれていたことであった。
(89-98 頁)
■『ルーブリックづくりの取り組みを通じて得た示唆』(共著)2007(平成 19)年 2 月 指導
と評価 日本教育評価研究会第 53 巻 2 月号 通巻第 626 号
2003 年度に始まった京都市⽴⾼倉⼩学校の教師と京都⼤学教育学研究科教育⽅法学講
座教育⽅法分野の⼤学院⽣との連携による授業研究における、理科班の活動を紹介してい
る。とりわけ、ルーブリックづくりに焦点をあてて検討した。ルーブリックづくりは、教師と大学院生が
良いワークシートの観点を共有し、そこから授業改善の具体的な⼿⽴てを⾒いだす契機となった
ことを示した。(59-63 頁)
共著者:清水隆志、柴本枝美
■『幼稚園の教育課程の変遷に関する一考察―自然にかかわる保育内容に焦点をあてて―』
(単著)2007(平成 18)年 3 月 教育方法の探究(京都大学大学院教育学研究科
教育方法学講座紀要)第 9 号
幼稚園の教育課程の歴史的な変遷について、自然にかかわる保育内容に焦点をあてて検討し
た。⾃然にかかわる領域は、位置づけや名称が移り変わりながらも、⾃然事象や動植物を観察
する活動を中心とし、実際に体験することを通じて、まず感覚的に⾃然をとらえることに⼒点がお
かれてきたということがわかった。そして、「科学的な⾒⽅や考え⽅の芽⽣え」を培い、⾃然に対す
る「親しみや畏敬の念、⽣命を⼤切にする気持ち」を養うことがめざされてきた。(1-8 頁)
■『山本宣治の「人生生物学」講義の意義と限界―学生のレポート分析を通して―』(単
30
著)(査読あり)2004(平成 18)年 3 月 教育方法学研究(日本教育方法学会紀
要)第 31 巻
山本宣治の「人生生物学」講義における評価課題を検討し、実践としての同講義の意義と限
界を示した。レポートでは、文献に示された理論から科学的な知識を習得することが期待されて
いた。学⽣のレポートの⼤半は、遺伝学や進化論などの⽂献を要約、⼀部抜粋したものであり、
⼭本がいう「推理思索法」が必ずしも実現されていたとはいえない。しかし⽂献を読み科学に対
峙 し てい る 点 で は 、「 人生生 物 学」 講義の 目 的の 一つ が 実 現 されてい たと 評価 で き る 。
(121-132 頁)
■『1920 年代⽇本における⼭本宣治の性教育論―「⼈⽣⽣物学」講義に着目して―』(単
著)(査読あり)2004(平成 16)年 12 月 教育目標・評価学会紀要第 15 号
山本宣治の性教育実践である「人生⽣物学」講義について検討した。講義資料の「⼈⽣⽣物
学⼩引」をみると、⽣物学の要素をおさえつつ、⻘年の関⼼を配慮し、科学的知識を⼈⽣という
⽂脈に位置づけようとしていた。また、⼭本は⼈⽣における⾏動を判断する際の基礎となる知識
を幅広く伝え、学⽣⾃らが教訓を導き出すことを期待していた。科学に基づいて常識を⾒直す
⼒を培い「性的⾃⼰決定能⼒」を育成することが目指されていたといえる。(65-77 頁)
■『1920 年代における性教育論の目的規定について―⼭本宣治の性教育論を中⼼に―』
(単著)2004(平成 16)年 3 月 京都大学大学院教育学研究科紀要第 51 号
1920 年代⽇本において展開されていた性教育論について、その目的規定に着目して検討し
た。当時主流であった性欲教育論者である⽻太鋭治、澤⽥順次郎の主張と、⼭本宣治の性
教育論における主張を検討し、共通点と相違点を明らかにすることを第⼀の目的とした。両者
の主張は、「科学的な知識」を教えることに主眼がおかれていたという共通点を持つ。しかし、「科
学的な知識」のとらえ⽅、科学的な知識を授ける目的という点で違いがみられることを論じた。
(290-301 頁)
■『明治期⾼等⼥学校における良妻賢⺟の教育について―京都府第⼀⾼等⼥学校を中⼼
に―』(単著)2002(平成 14)年 6 月 関⻄教育学会紀要第 27 号
明治期⾼等⼥学校における良妻賢⺟像を明らかにするために、京都府⽴第⼀⾼等⼥学校に
注目して検討した。同窓会誌『鴨沂会誌』の記事や生徒心得から、同校では、武士道に基づく
「外柔内剛」を目的として掲げ、「温順貞淑」の語に⽰されるような⼥らしさをもちつつ、非常時に
は冷静に対処できる「剛」の⼀⾯も兼ね備えた⼥性を理想としており、家政を治める主婦とし
て、⾝に付けた知識や技術を実⽣活に適応させることを強調していたことがわかった。(56-60
頁)
■『⼀⼈⼀⼈の⼦どもに即した教育評価論―東洋の場合―』(単著)2002(平成 14)
年 3 月 指導要録改訂期における教育評価の問題(平成 13-15 年度科学研究費補助⾦
中間報告書)
(研究代表者)天野正輝
(編者)田中耕治
戦後⽇本における教育評価論の歴史について、それぞれの時代において代表的な評価論を展
開していた⼈物をとりあげ、解説を加えている。執筆部分では、東洋の教育評価論について検
討した。東は教育評価を目的に応じた情報提供の一手段であるととらえ、一人一人の子どもに
応じた多面的な評価が必要であると主張していたことがわかった。(122-129 頁)
31
■ 修⼠論⽂
「⼈⽣⽣物学」としての性教育論――1920 年代初期における⼭本宣治の
到達点――(単著) 2004(平成 16)年 3 月 京都大学大学院教育学研究科
1920 年代初期の⼭本宣治の性教育論について「⼈⽣⽣物学」講義と性⽣活調査の関係を
検討し、⼭本の性教育論の本質を描き出すことを課題とした。同講義は、性⽣活調査の必要
性を普及する役割と、調査によって実証性を⾼められた科学的知識を⼀般の⼈々に還元する
役割を担っていた。性生活調査は、性科学の確⽴への基礎資料を収集する役割と、同講義の
教育内容を吟味する役割を担っていた。この⼀連の循環的な構造が、⼭本の性教育論の独⾃
性である。
学会発表
■『先端的な教職科目体系のモデル開発プロジェクト(第一報)』(共同研究)2010(平
成 22)年 10 月 平成 22 年度⽇本教育⼤学協会研究集会(於:サンラポーむらくも)
平成 22 年度より開始された先端的な教職科目体系のモデル開発プロジェクトについて、その概
要を報告するとともに、現時点での取り組みについて詳細を述べた。
(共同研究者)○柴本枝美 生田周二 赤沢早人
■『庄司和晃の教育実践――討論における「キッカケ⾔葉」への着目――』(個人研究)
2008(平成 20)年 11 月 教育目標・評価学会 第 19 回大会(於:東京学芸大学)
課題研究Ⅰ
仮説実験授業の討論において、「キッカケ⾔葉」に着目した庄司の討論の分析を検討し、庄司
がどのように⼦どもたちの認識の深まりをとらえていたのかを検討した。
■『理科の授業研究における研究仮説の⽣成過程――⾼倉⼩学校と京都⼤学⼤学院との
連携に基づいて――』(共同研究)平成 18 年 11 月
教育目標・評価学会 第 17 回大
会(於:慶應義塾大学)自由研究発表
⾼倉⼩学校と京都⼤学⼤学院との連携による授業研究の中で、理科班の活動を取り上げ、
理科の授業研究における研究仮説をどのように⽣成していったのか、その過程を⽰した。とりわ
け、6 年⽣の「⽣き物と養分(1)」「生き物と養分(2)」における取り組みに焦点をあてて検討し
た。
(共同研究者)○柴本枝美 本所恵
■『高倉小学校と京都大学大学院との連携による授業研究』(共同研究)2004(平成
18)年 10 月 日本教育方法学会 第 42 回大会(於:福島大学)自由研究発表
京都市⽴⾼倉⼩学校の教師と、京都⼤学⼤学院教育学研究科教育方法学講座教育方
法分野の⼤学院⽣との連携による授業研究の取り組みを紹介した。理科班の取り組みを振り
返る中で、共同して授業研究を進める過程を示し、大学院生と教師が共同で授業研究を進め
る意味を検討した。
(共同研究者)○柴本枝美 ○八田幸恵 石井英真 窪田知子 赤沢真世 他 2 名
■『1920 年代⽇本における⼭本宣治の性教育論――「⼈⽣⽣物学」講義に着目して――』
(個人研究)2004(平成 16)年 10 月 日本教育方 法 学会 第 40 回 記 念 ⼤会
(於:和光大学)自由研究発表
山本宣治の性教育実践である「人生生物学」講義における評価課題を検討することを通じて、
実践としての「人生生物学」講義の意義と限界を示した。
教育実践記録等
■ 『先端的な教育科目体系のモデル開発プロジェクト 3 年間の成果と今後の⾒通し』2013(平成
32
25)年奈良教育⼤学教育実践開発研究センター研究紀要
平成 22 年度から平成 24 年度まで実施してきた「先端的な教職科目体系のモデル開発プロジェクト」の成
果と課題について整理し、今後の⾒通しについて述べた。成果としては、平成 24 年度新⼊⽣より導⼊され
た教員養成に一本化された教育課程により、教職科目群と教育実習科目群の再編・体系化を実現でき
たこと、教師⼒サポートオフィスをはじめ、教職ノートや教師⼒ルーブリック、ケースメソッド教材の開発など、体
系的な学生支援システムを構築できたことがあげられる。
■先端的な教職科目体系のモデル開発プロジェクト(第一報)
平成 22 年度⽇本教育⼤学協会研究集会において平成 22 年度より開始された先端的な教
職科目体系のモデル開発プロジェクトについて、その概要を報告するとともに、現時点での取り組
みについて詳細を述べた。
■『スイス・チューリヒ教育大学における教師教育の現状』2011(平成 23)年奈良教育⼤学教育実践
総合センター研究紀要
スイス・チューリヒ教育⼤学への現地調査をふまえ、チューリヒ教育⼤学の概要、教育課程、能⼒資質基準
「NOVA09」、教育実習、実習に伴う適性検査を中⼼に整理した。理論と実践の往還の仕組み、協⼒校
との連携、実習を観察し評価する視点など、参考にできる点が多く⾒受けられた。
■『高倉小学校と京都大学「田中研究室」の連携――大学側からみた共同授業研究――』 ( 単 著 )
2004(平成 16)年 11 ⽉「確かな学⼒」「豊かな⼼」を育む⾼倉教育(京都市⽴⾼倉⼩学校研究紀
要)
京都市⽴⾼倉⼩学校と連携して取り組んできた共同授業研究について、⼤学側からの視点でまとめてい
る。高倉小学校との共同授業研究の特徴は、日常性、持続性、集団性があげられる。この取組の概要を
説明し、代表的な実践研究事例について解説を加えた。
(38-43 頁)
■『教育評価の未来を拓く』(共著)2003(平成 15)年 10 月ミネルヴァ書房
巻末資料の「教育評価⽤語集」で⽤語解説を⾏った。筆者が担当したのは、以下の⽤語である。
「アセスメント(assessment)」「カリキュラム評価」「教育測定(measurement:メジャメント)」「教
育評価(evaluation)と評定」「ゴールフリー評価」「個人内評価」「絶対評価(認定評価)」「相対評
価(正規分布曲線)」「到達度評価」
田中耕治編 共著者:⽥中耕治、⽯井英真、渡辺貴裕、川地亜弥⼦、⻄岡加名恵 他 9 名
その他
■2012(平成 24)年三重県⽴名張⾼等学校の公開授業を⾒学し、助⾔者としてコメントさせていただ
いた。
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田村 義一(たむら よしかず)
講師
担当科目
音楽科指導法Ⅱ
33
所属・職位
大阪音楽大学 非常勤講師
学位
学士(音楽)
学歴
1973(昭和 48)年 大阪音楽大学音楽学部作曲学科卒業
主な職歴
1973(昭和 48)〜1974(昭和 49)年 4 ⽉関⻄学院⾼等部非常勤講師
1973(昭和 48)〜1982(昭和 57)年 日本楽器製造株式会社指導講師
1980(昭和 55)年〜現在に⾄る 大阪音楽大学非常勤講師
1982(昭和 57)年〜現在に⾄る 京都教育大学非常勤講師
1984(昭和 59)〜2002(平成 14)年相愛大学非常勤講師
2011(平成 13)年〜現在に⾄る 京都⼥⼦⼤学大学非常勤講師
専攻(専門分野)
音楽教育
リコーダー教育・古楽器演奏
音楽会プロデュース
担当科目
「音楽科指導法Ⅱ」
研究テーマ
一人ひとりが生き生きと取り組める音楽授業の研究と提案
リコーダーオーケストラの研究と提案
教育方針
学⽣⼀⼈ひとりの教育⼒の向上
所属学会・団体等
日本音楽家ニニオン
最近の業績
著書
■『リコーダーの散歩道 我が心の花束』(単著)2014(平成 26)年 アルカディア・アン
サンブル神⼾刊
ソプラノ・アルトリコーダーの初歩からアンサンブルまでを扱った教則本.総 40 頁
■『The Fun of P1aying reoorder For Teachers』(単著)2005(平成 17)年
Malaysia YAMAHA 刊
リコーダーの基礎指導からアンサンブルまでを、単にテクニックの習得にとどまらず、音楽の基礎
指導や音楽文化に触れることのできる教則本.総 116 頁
■『The Fun of Playing recorder For Students』(単著)2005(平成 17)年
Malaysia YAMAHA 刊
2005(平成 17)年刊『The Fun of Playing recorder 』シリーズのマレーシア⺠謡アン
サンブル曲集。総 22 頁
(区分 3)
■『リコーダー楽譜カタログ 2013』(単著)
分類。編成、難易度、出版社を表記したカタログ。総 12 頁
教育実践記録等
■ 各地区および全日本リコーダー教育研究会での指導。
1979(昭和 54)年〜現在に⾄る 沖縄県リコーダー教育研究会で先生方へのアンサンブ
ル実技指導を⾏う。
1976(昭和 51)年〜現在に至る 浜松市リコーダーアンサンブル研究会で先生方へのアン
サンブル実技指導を⾏う。
■近畿音楽教育研究⼤会、各地⾳楽教育⼤会での指導、指導助⾔、講演を⾏う。
2008(平成 20)年 北河内⾳楽教育研究会守⼝市⼤会で先生方への提案研修、大
34
会当日の指導講評および講演。
2008(平成 20)年 近畿⾳楽教育研究会奈良県⼤会で先生方への提案研修、児童
⽣徒への指導を⾏う。
■ 各府県教育育委員会、音楽教育研究会等各地での指導。
2014(平成 26)大阪市小学校音楽研究会 小学校実技研修会
2014(平成 26)徳島市小学校音楽研究会 小学校夏期実技研修会
2013(平成 25)年 伊丹市教委 幼稚園校夏期実技研修会
2013(平成 25)年天理市教委 幼稚園校夏期実技研修会
2012(平成 24)年伊丹市⾳研 小学校夏期実技研修会
2010(平成 22)年 近畿 21 世紀の会 「音楽研修会」大阪会場 及び神⼾会場
2010(平成 22)年 福井県音研小中学校夏期実技研修会
2010(平成 22)年 山口県音研小中学校夏期実技研修会
2010(平成 22)年 伊丹市⾳研 小学校夏期実技研修会
1999(平成 11)〜2010(平成 12)年奈良県教育委員会
幼稚園新任実技研修会。
2008(平成 20)年 徳島市小学校音楽研究会 児童への師範授業と先生方への実技
研修
2008(平成 20)年 大和郡山市教育委員会 幼稚園教員実技研修会
2007(平成 19)〜2008(平成 20)年 音推協 「音楽科特別講座」東京会場
2007(平成 19)年 高槻市教育委員会 小学校夏期実技研修会 複数年指導。
2005(平成 17)年 大阪府教育委員会 小学校夏期実技研修会
2003(平成 15)年 大阪市小学校音楽研究会 小学校夏期実技研修会 複数年指
導。新しい方向性を目指した音楽授業の提案と実技研修
その他
2008 年〜 Crystal Ring 音楽監督として多数のコンサートを指導指揮。
ソロ及びあんあんぶるの代表として各地でのコンサート出演。
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大野 僚(おおの りょう)
講師
担当科目
教育学概論Ⅰ
教育学概論Ⅱ
教育⽅法論
所属・職位
学位
文学(博士)
学歴
2002(平成 14)年 大谷大学文学部 社会学科教育学分野 卒業 文学(学士)
2004(平成 16)年 大谷大学大学院文学研究科修士課程 哲学専攻教育学コース
修了 文学(修士)
35
2007(平成 19)年 大谷大学大学院文学研究科博士後期課程 哲学専攻教育学コ
ース
満期退学
2008(平成 20)年 大谷大学大学院文学研究科博士後期課程 哲学専攻教育学コ
ース 博士後期課程単位取得 文学(博士)
主な職歴
2005(平成 17)年 大谷大学文学部ティーチングアシスタント
2007(平成 19)〜2009(平成 21)年 大谷大学文学部 任期制助教
2009(平成 21) 大谷大学短期大学部 非常勤講師
2010(平成 22) 大谷大学 非常勤講師
2010(平成 22)〜2011(平成 23)年 大阪教育大学 非常勤講師
2011(平成 23)〜2014(平成 26)年 大阪経済法科大学 非常勤講師
2011(平成 23)年〜現在に⾄る 大阪音楽大学 非常勤講師
2011 年(平成 23)年〜現在に至る 神⼾⼥学院⼤学 非常勤講師
2014(平成 26)〜2015(平成 27)年 高田短期大学 助教
専攻(専門分野)
教育学、臨床教育学
担当科目
「教育学概論Ⅰ」「教育学概論Ⅱ」「教育⽅法論」
研究テーマ
戦後教育思想における教育言説の分析
教育方針
幅広い教養を身につける
所属学会・団体等
関⻄教育学会、⽇本教育学会、教育哲学会、教育⽅法学会
最近の業績
著書
■「教育と⽅法─教育評価における原理と⽅法─」川村覚昭編著『教育の根源』(共著)
2011(平成 23)年晃洋書房刊
教育活動における評価のなかでも、特に授業評価における諸理論を教育⽅法論の観点から
初学者にも理解しやすいように整理した。教育評価の歴史的変遷に関して制度と原理を紹
介し、それぞれの評価の特徴と教育方法学的な課題を指摘した。また、ポートフォリオなどの近
年注目されている評価の理論を紹介することで、評価や評定に関する新たな授業評価の動
向があることを明らかにした。第七章(105〜123 頁)を担当。
■『上⽥薫の⼈間形成論─新しい教育⾔説の誕⽣』(単著)2011(平成 23)年学術
出版会刊
戦後初期の教育思想を代表する事例として上⽥薫の社会科教育と道徳教育に⾒られる教
育思想や教育⽅法に注目した。本書では、彼の⼈間形成論が教育⾔説として新たな地平を
開くことを、臨床教育学の⽅法論であるテキスト解釈を参考にし、社会科教育と道徳教育の
具体的な教育⽅法やカリキュラムを⼊⼝にして、教育に⾒られる特有の論理を探り当てること
ができた。具体的には、彼特有の語りの構造を、特に「経験」概念に焦点化して最新のレトリ
ック研究を⽅法論に⽤いながら、従来の経験主義の思想と異なって際⽴った特質を有してい
ることを論証した。
学術論⽂等
■「向⼭洋⼀の教育論―その語りの形式―」(単著)2005(平成 17)年『関⻄教育学
会紀要』第 29 号
36
向⼭洋⼀と斎藤喜博の教育論の「まちがいの授業」を⽐較検討することで、両者の教育論の
違いを検討した。向⼭の教育論は、多様であるはずの教育技術をマニュアル化していくことで、
教育技術とは呼べない瑣末なものまでをも「教育技術」として定着させようとしたことを明らかに
した。また、向山の語りの⼿法が誇張と強調によって説得⼒をもたせようと試みていることを分
析した。
教育実践記録等
■『方法としての子ども研究―経験カリキュラムにおける実践記録を中心にー』2014(平成
26)年 2 ⽉⼤阪⾳楽⼤学教育研究論集(67〜75 頁)
学校教育において望ましい⼦どもの成⻑や特性を育むために⼯夫されたカリキュラムにて取り
組みを⾏っている実践を参考にして、⼦どもに対する多様な研究の特徴について考察した。そ
の際に、経験主義教育のカリキュラムの実践記録を事例として、⼦ども特有の理解の仕⽅や
教師の⼦ども理解に対する視点を読み取ることで子ども研究として展開されていることを明らか
にした。
■口頭発表 「授業における「カルテ」の有用性」2008(平成 20)年 "平成 20 年度⼤
谷大学哲学会秋季研究会"
「カルテ」という教育技術が授業場⾯で活⽤されることで、⼦どもを理解する⼿がかりになるのと
同時に、「カルテ」の有効性が授業を離れた後も⼈間理解の⼿法として成⽴していることを提
⽰した。「カルテ」は授業における実践的な技術として成⽴しているだけでなく、教師や⼦どもを
含めた学級および、学校活動における⼈間理解を捉え直すことのできる⽅法でもあった。
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川⻄ 千弘(かわにし ちひろ)
講師・京都光華⼥⼦⼤学健康科学部⼼理学科教授
担当科目
⻘年⼼理学
⽣徒指導論Ⅱ(進路指導を含む)
所属・職位
京都光華⼥⼦⼤学 健康科学部⼼理学科教授
学位
博士(教育学)
学歴
1991(平成 3)年 京都大学教育学部教育⼼理学科卒業
1993(平成 5)年 京都大学大学院教育学研究科教育⽅法学専攻修⼠課程修了
1995(平成 7)年 京都大学大学院教育学研究科教育方法学専攻 博士後期課程
中退(大阪音楽大学就職のため)
主な職歴
1995(平成 7)〜1998(平成 10)年 大阪音楽大学 専任講師
1998(平成 10)〜2002(平成 14)年 神⼾親和⼥⼦⼤学専任講師
1998(平成 10)〜2009(平成 21)年 大阪音楽大学非常勤講師
2000(平成 12)〜2002(平成 14)年 京都光華⼥⼦⼤学 非常勤講師
2002(平成 14)〜2008(平成 20)年 京都光華⼥⼦⼤学 人間関係学部 人間
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関係学科 准教授
2008(平成 20)〜2009(平成 21)年 京都光華⼥⼦⼤学 人間関係学部 人間
関係学科 教授
2009(平成 21)年 改組により京都光華⼥⼦⼤学 ⼈⽂学部⼼理学科 教授
2010(平成 22)年 〜現在に⾄る 改組により京都光華⼥⼦⼤学
健康科学部⼼理学科教授
専攻(専門分野)
教育⼼理学、社会⼼理学
担当科目
「⻘年⼼理学」「⽣徒指導論(進路指導を含む)」
研究テーマ
⺟親の被害的認知による虐待メカニズムの解明など
教育方針
⻘年期の⾃⼰開⽰や授業における怠学⾏動など⻘年期の⼼性と現状を明らかにするための
実証的研究を進め、それを授業に⽣かすことで最近の⻘年教育にとって何が重要かを学⽣⾃
ら考える知識とスキルを育てる。
所属学会・団体等
⽇本⼼理学会、⽇本教育⼼理学会、⽇本グループ・ダイナミックス学会、
⽇本社会⼼理学会
最近の業績
著書
■『ひと・⽂化・発達〜関係を⾒つめなおす⼈間科学の視点〜』(共著)2010(平成
22)年ミネルヴァ書房刊
第 6 章虐待リスクアセスメント〜⼦どもを虐待から守るために〜を分担執筆した。現在の虐待
リスクアセスメントの問題点を取り上げ、虐待加害者の個人差を測定する潜在的指標 IAT 導
入の可能性について言及した。まず IAT 研究を概観し、IAT の原理と理論的背景を精査し
たうえで、IAT ⾏動に対する予測妥当性の観点から、虐待傾向測度としての可能性を検討し
た。その上で、IAT を虐待傾向個人差測定に用いることの問題点を分析し、その使用の限界
について考察した。
■『よくわかる⼼理学』(共著)2009(平成 21)年ナカニシヤ出版
V-1 人の印象形成、V-2 対⼈判断に影響する要因〜暗黙裡の⼈格観とステレオタイプ〜、
V-3 予断がもたらすもの〜期待確証バイアス〜、V-6 ⼈が態度を変えるとき〜認知的不協
和と態度変容〜、V-7 説得のパラドックス〜ブーメラン効果とスリーパー効果〜を分担執筆し
た。
学術論⽂等
■『被開⽰者の受容・拒絶が開⽰者に与える⼼理的影響〜開⽰者と被開⽰者の親密性と
開示者の自尊心を踏まえて』2008(平成 20)年社会⼼理学研究
否定的内容を⾃⼰開⽰したとき、被開⽰者の受容のあるいは拒絶が開⽰者に与える⼼理
的効果について、開示者と被開示者の親密性や開示者の自尊心を踏まえ、多角的視点か
ら検討した。
⼥⼦⼤学⽣ 134 ⼈に対し、場⾯想定法による質問紙調査を⾏い、以下の結果をえた。
(1)被開⽰者から受容されるほうが拒絶されるより開⽰者の⼼理状態はポジティブであっ
た。
(2)「印象悪化懸念」など多くの次元で受容・拒絶にもかかわらず、被開示者が親友のほう
38
が顔⾒知り程度の友⼈よりも開⽰者の⼼理状態がポジティブであったが、開⽰直後からの変
化量をみると親友から拒絶されるほうが顔⾒知り程度の友⼈に拒絶されるよりも精神的ダメー
ジが大きかった。
(3)「自身喪失」や「今後の信頼関係」など一部の項目で、受容・拒絶にかかわらず自尊
⼼の低い⼈は⾼い⼈よりもネガティブな⼼理状態にとどまりやすいことが⽰された。ただし、今後
の課題として第 1 に、二重の場面想定法を用いたため、特に拒絶条件ではリアルに想像する
ことが困難であった。第 2 に、日常では「無視する」などのように受容・拒絶の反応レベルや曖
昧さあるいはその表現方法も多様である。今後は、これらの点を配慮して検討を重ねていく必
要がある。
教育実践記録等
『⼥⼦⼤学⽣の座席選択⾏動を規定要因』2009(平成 21)年 京都光華⼥⼦⼤学⼈
間関係学会第 12 号
本研究の目的は、S・アパシー、⼤学⽣活不安、帰属感および学習意欲・態度低下という⼼
理変数が座席選択に影響を与えるモデルを構築し検討することにより、上述の様々なパーソ
ナリティー変数が座席選択⾏動という学⽣の教室におけるパフォーマンスを決定する経路を明
らかにすることであった。
検討の結果、S・アパシー、⼤学⽣活不安、帰属感が学習意欲・態度低下に影響を与え、そ
の学習意欲・態度の低下が座席選択⾏動に影響を及ぼすという段階的構造をなしていた。
教員は、学⽣をより深く理解するために、彼らの⾏動からその⼼理的問題を推測する必要に
迫られるが、本研究は授業という最も⾝近な場で展開される座席選択⾏動が、どのような⼼
理的要因を背景とし、いかなる経路でその⾏動が発現するのかについて有意味な知⾒を得る
ことができた。しかし、より包括的なモデル構築には課題が山積みしており、座席選択という学
⽣のサインが何を意味しているのか、さらに理解を深める努⼒をしていく必要がある。
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串崎 真志(くしざき まさし) 講師・関⻄⼤学⽂学部総合⼈⽂学科教授
担当科目
⽣徒指導論Ⅰ(教育相談を含む)
所属・職位
関⻄⼤学⽂学部総合⼈⽂学科教授
学位
博士(人間科学)大阪大学
学歴
1993(平成 5)年 愛媛大学法文学部⽂学科⼼理学専攻卒業
1999(平成 11)年 大阪大学大学院 人間科学研究科 教育学専攻
博士課程後期課程修了
2000(平成 12)年 総合研究大学院大学 文化科学研究科
国際日本研究専攻 博士課程後期課程中途退学
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2000(平成 12)〜2004(平成 16)年 同志社⼥⼦大学生活科学部
主な職歴
人間生活学科専任講師
2004(平成 16)〜2007(平成 19)年 関⻄大学文学部総合人文学科助教授
2007(平成 19)〜2011(平成 23)年 関⻄⼤学⽂学部総合⼈⽂学科准教授
2011(平成 23)年〜 関⻄⼤学⽂学部総合⼈⽂学科教授(現在に至る)
専攻(専門分野)
⼼理学(臨床⼼理学)
担当科目
⽣徒指導論Ⅰ(教育相談を含む)
研究テーマ
カウンセリング場⾯におけるカウンセラーとクライエントの相互的な影響過程をふまえた⼼理療
法論、セルフケア、共感的理解、治療的変化についての基礎研究
各種教材や体験課題を通して⾃⼰理解⼒(⾃分をふりかえる⼒)を養い、それをもとに⽣
教育方針
徒を理解できるように⼯夫している
所属学会・団体等
⽇本⼼理学会、⽇本⼼理臨床学会、⽇本⼈間性⼼理学会、⽇本箱庭療法学会、⽇本
認知・⾏動療法学会
最近の業績
著書
■『子どもの発達障害・適応障害とメンタルヘルス』(共著)2010(平成 22)年ミネルヴァ
書房刊
「学業不振児の⼼理学的理解と⽀援」を担当。学業不振の児童⽣徒に対して⾃⼰調整学
習(自分自身の学習状況について知ること)を促すアプローチを概説し、後半では虐待によ
って情緒発達が歪み、そこから学業不振に陥っている事例を考察した。
■『絶対役⽴つ教養の⼼理学』(共著)2009(平成 21)年ミネルヴァ書房
「第 8 章人を支える、人に支えられる」p.189〜209 を担当。カウンセリングを受ける⽴場から
カウンセリングについて概説した。カウンセリングの申込み⽅、そのプロセス、よいカウンセラーの⾒
分け方などについて述べた。
■『健康とくらしに役⽴つ⼼理学』(共著)2009(平成 21)年北樹出版
「第 10 章自分をみつめる方法」p.113〜p.122 を担当。対人援助職にある人が仕事のスト
レスを自分でどのようにケアするか、その具体的な方法を解説した。ストレスに悩み、精神疾患
を余儀なくされる教師は多い。これから教師を目指す大学生は、ストレスを自分でケアできる
資質をぜひ備えておくことが望ましい。そのようなセルフケアの方法について解説した。
■『カウンセリングとソーシャルサポート』(共著)2007(平成 19)年ナカニシヤ出版
「第 1 章カウンセリングとサポート活動:カウンセラーが地域で活動するために必要な 6 つのこ
と」p.3-16 を担当。事例を通して地域で活動するためには何よりも即時性(フットワークのよ
さ)が必要であることを指摘した。そして状況を良く⾒て判断すること、ときには状況の流れに
判断を委ねてみることが物事を展開させることを示唆した。
■『くらしに活かす福祉の視点』(共著)2006(平成 18)年ミネルヴァ書房
「第 6 章⼦どもの成⻑と地域における⼦育て⽀援」p.107〜122 を担当。被虐待児童生徒
40
の回復及び親に対する再発防⽌を目指す、学校、⾏政、地域(⺠⽣委員等)の地域連
携システムの取り組みを紹介した。
■『研究論⽂で学ぶ臨床⼼理学』(共著)2006(平成 18)年ナカニシヤ出版
「第 3 章遊戯療法」を担当。⼦ども中⼼プレイセラピーの⽴場、アドラー派、親⼦療法のそれ
ぞれについて研究論⽂を要約しながら紹介した。
■『地域実践⼼理学〔実践編〕』(共著)2006(平成 18)年ナカニシヤ出版
被虐待児童生徒に対して自然の中で共同生活することで豊かな自然体験と生活指導を目
指す「キャンプ療法」、⾃閉症や発達障害をもつ⼦どもに対して豊かな情緒の育成を目指す
「⾳楽療法」、不登校児童に対する居場所づくりなど、コミュニティー(地域と学校・専門家と
ボランティア)の取り組みを紹介した。
教育実践記録等
■「キャンプ療法における運営の⼯夫」(単著)2006(平成 18)年「平成 17 年度⽂部
科学省学術フロンティア研究成果報告書」(関⻄⼤学⼤学院社会学研究科)p.41-48
被虐待児童生徒に対して自然の中で共同生活することで生活指導と豊かな自然体験を目
指す「キャンプ療法」について、その運営の⼯夫にについて述べた(企画と予算、ロケーションと
プログラム、スタッフとボランティア、集合と解散、病気とケガ、トラブルとその対処、⼦どもの成⻑
など)。
■「日常的支えが主観的幸福観に及ぼす影響」(共著)2006(平成 18)年「平成 17
年度⽂部科学省学術フロンティア研究成果報告書」(関⻄⼤学⼤学院社会学研究科)
p.189-202
⽇常的⽀え尺度を作成し、⼼理的⽀え、意地、主観的幸福感との関連を検討した。⽇常
的⽀えが主観的幸福感、⼼理的⽀え、意地の各変数に影響しちぇいるというモデルが得ら
れ、日常の小さなやりとりが、私たちを大きく勇気づけていることが示唆された。
■「意地尺度(短縮版)の作成」(共著)2006(平成 18)年「平成 17 年度⽂部科
学省学術フロンティア研究成果報告書」(関⻄⼤学⼤学院社会学研究科)p.177-187
意地を張りやすい程度の個⼈差を測る尺度を作成し、素直になれない状態から、頑固の段
階を経て、意志の強さに変化するという個人内の過程を示した。
■「クラスター分析で⾒た意地の 4 種類」(共著)2006(平成 18)年「千⾥⼭⽂学論
集」(関⻄⼤学⼤学院⽂学研究科院⽣協議会)p.91-100
意地を張りやすい状況についての基礎研究。素直でない自分が前面に出てしまうと、自分の
気持ちを引くに引けず意地を張ることになる。それは裏返せば「理解されたい」という気持ちの
一形態であると示唆された。
■「テーマプロジェクト『地域実践⼼理学』この⼀年の経過報告」(共著)2006(平成
18)年「関⻄⼤学⽂学論集」p.101-109
41
関⻄⼤学⽂学部で 2005 年から実施したテーマプロジェクト「地域実践⼼理学」(専修枠を
超えた⼼理学教育の試み)について、⼤学内における⼤学⽣のための居場所(コミュニテ
ィ)づくりの試み、地域社会の問題に対して臨床⼼理学からのアプローチの可能性を紹介し
た。
その他
■2000(平成 12)年〜現在に⾄るまで 年 2 回実施される「ひきこもり等児童宿泊等指
導事業」(厚⽣労働省による事業で児童相談所が実施する、不登校の⼦どもの⽣活指導
と豊かな⾃然体験を目指す)に参加し、⼦どもの理解と⽀援についての助⾔(スーパービジョ
ン)を⾏っている。
■2006(平成 18)〜2009(平成 21)年 学部生・大学院生が中心となり地域の自
閉症のこどもたち 4 人に対して、ほぼ毎月 1 回、⾏動療法に基づく⾔語形成やソーシャルスキ
ルトレーニングのプログラム、宿題などの学習補助等の⽀援を⾏った。
■2005(平成 17)〜2009(平成 21)年 大阪府吹田市内の小中学校で、ゼミ受講
生がほぼ毎週 1 回、当該小中学校にボランティアとして参加し、主に発達障害をもつ児童生
徒の教科指導の補助や運動会などの学校⾏事の補助を⾏うことにより、教育現場で⼦どもの
気持ちを理解し⽀援する⽅法を学ばせた。
■1995(平成 17)〜2008(平成 20)年まで 週 1 回津市家庭児童相談室におい
て、家庭相談員として相談業務を⾏った。
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白川 義夫(しらかわ よしお)
講師
担当科目
教職実践演習(中・高)
所属・職位
大阪音楽大学 非常勤講師
学位
教育学士
学歴
1973(昭和 48)年 大阪教育大学教育学部体育学科卒業
主な職歴
1973(昭和 48)〜1977(昭和 52)年 ⼤阪市⽴⽣野養護学校教諭
1977(昭和 52)〜1987(昭和 62)年 ⼤阪市⽴⽣野⼯業⾼校教諭
1987(昭和 62)〜2001(平成 13)年 ⼤阪市⽴東商業⾼校教諭
2000(平成 12)年〜現在に⾄る 大阪音楽大学 非常勤講師
2001(平成 13)〜2006(平成 18)年 ⼤阪市⽴難波養護学校教諭
2008(平成 20)年 ⼤阪市⽴学校教員を退職。宗教法人法圓寺(真宗大谷派)
住職・保護司
2009(平成 21)〜2010(平成 22)年 和歌山大学大学院 非常勤講師
2011(平成 23)〜2012(平成 24)年 和歌山大学大学院非常勤講師
2012(平成 24)年〜現在に⾄る
42
和歌山大学大学院非常勤講師
専攻(専門分野)
保健科教育法 体育科教育法 特別支援教育 発達論 地域史
担当科目
「教職実践演習(中・高)」
研究テーマ
⽣涯発達論 地域史・地域論
知的障害養護学校、高校、大学、特別支援学校、大学院での教育実践を経て、現在住
職・保護司として地域の熟年者、⾼齢者との地域活動、終末期の対話、⻘年・成⼈の保護
観察等に関与している。郷土史研究やまちづくり活動を通じ、地域社会で多様な方々と広義
の⽣涯学習活動の場を持っているが、新たな出遇いや発⾒から学ぶことの喜びと⽣⻑は年齢
を超えて共通している。機に応じ様々な異質・異年齢の学習集団を組織できること⾃体を地
域の資源として、⽣涯というスパンで住⺠がどのように相互発達的な関係を築いていけばよい
のか。地域住⺠の歴史的イデンティティーの形成を⼿掛かりに実践的に検証する。
教育方針
学ぶ主体を重んじ、対話と学⽣同⼠の討論により、⾃ら設定したテーマに⾃ら探究活動を組
織するクラスづくりをする。独習と共習を織り交ぜ、互いの発表と提案によって新たな発⾒のあ
る探究活動となるよう支援する。早い段階で最終成果の発表に全員が主体的に関わる動的
なプレゼンを求め、ゴールイメージに導かれて活動の筋道と論理の⼀貫性を⼤切にするよう促
す。
所属学会・団体等
なし
最近の業績
著書
■ 『寶圓寺のあゆみ』白川俊義名で発表(共著)2011(平成 23)年寶圓寺平成の
⼤修復記念誌編集委員会
現存する享保十五(1730 年)築の寶圓寺本堂の解体修復⼯事(平成の⼤修復)落慶記
念誌。解体⼯事で明らかになった事実とこの間の⽂書の発掘調査に基づき、喜連門徒団の
⽣成・発展過程を縦軸に、地域史を論証。⾝近な帰属集団の帰属意識の起源を併せて問
うた。工事のあゆみ・寶圓寺のあゆみ・喜連村のあゆみの三部構成。全 132 ⾴。⼤⼈が⼒を
合わせた時どのようなことができるのか、建物の⼤修復が地域連帯の復興でもあるひとつの実
証実践。⼤阪⾳⼤の先⽣⽅のご⽀援で落慶記念コンサートを折からの⼤震災の被災者⽀
援コンサートに切り替えた。慶事にも危機にも⾳楽の⼒は⼤きかった。満座の本堂に地域の連
帯がいっそう深まったことを誰もが感じた。
■「喜連村小史」白川俊義名で発表 2010(平成 22)年連4連合町会編集・平野区
役所発⾏『喜連 伎人(くれひと)の歴史・暮らし・まちの誇り』全16頁
⽉例会を中⼼に古⽼聞き取り、お蔵⼊りの古⽂書調査、年2回の喜連村歴史ウォーク、近
隣地域の発掘成果情報の整理など、公開性の⾼い⼿法で蓄積した喜連村史の会の研究
成果を凝縮し、古代から近現代までの地域の歴史を抄録。町会を通じ喜連住⺠に全⼾配
布された。忘れ去られようとしていた古地名と旧蹟を採録した「喜連村字・史跡地図」は住⺠
の記憶を呼び覚まし、歴史・文化の街づくりをめざす喜連環濠地区まちづくり研究会(大阪市
認定まちづくり団体)の結成を促した。住⺠が楽しく学びながら地域の教育⼒を⾼めていく⽅
法はある。やがて市⺠、地域の主体となる学⽣に⾒通しを得てもらうことを願う。(p.12〜15)
■ 「⼤阪にあった伎⼈郷息⻑河-喜連村史の地誌的・地名考古学的考察」⽩川俊義名
で発表 2009(平成 21)年『⼤阪春秋』新風書房(大阪)刊
万葉集 4457 番に「にお鳥の 息⻑河は絶えぬとも 君に語らむ 言尽きめやも」と詠われる
息⻑河(おきなががわ)が、国⽂学の上では近江息⻑川とされている。この歌が万葉集詞
43
書きの通り「河内国伎人郷馬史国人邸」で詠まれたものであることを、大伴家持ほか一連の
6首に詠まれた情景の分析と古地名調査、現地の地誌的研究と照合しながら大阪の現今
川上流域(伎⼈郷)に実在したことを論証。住⺠の歴史的アイデンティティーの尊重と形成
によって中⾼年になっても仲間意識というものは育つ。教師の目からは⾒えないこのような⼒が
地域の学校をも支えている。教職をめざすものが地域を視野に収めることを促す。
■『「発達障害児の運動発達の最近接領域を探る』旧姓榊原義夫名で発表(共著)
2008(平成 20)年⼟井捷三編『ヴィゴツキー学』第9巻 ヴィゴツキー学協会刊
発達障害児に往々⾒出される「うまい・へた」次元を超えた不器⽤さを、運動LD(発達性
協調運動障害)と捉え再観察分析。体幹からの順序⽴てた療育で不器⽤さは改善される
ことを特別⽀援学校での⾃⽴活動実践によって実証。不器⽤さは⾝体の定位や空間知覚
など⼊⼒系の困難に起因すると思われ、直観的課題提⽰が⼤切なため、アフォーダンス論に
⽴つ体育学習の有効性と可能性を説く。障害児からへたな⼦まで⼀般性を持つ指導法を提
起。教員としてどの⼦もできるようにする⼿⽴てを⽰す。(p.73〜89)
■ 第3章 領域編:保健学習実践例2 「構造改革」と職業高校での労働災害の実践
旧姓榊原義夫名で発表(共著)2004(平成 16)年学校体育研究同志会編『教師と
子どもがつくる 体育・健康教育の教育課程試案2』創文企画(東京)
90 年代の⼀連の労働法制「改正」後の情勢の中で就職活動を目前にした職業⾼校⽣に⾏
った実践。骨折や大けがなど一般的な労災のみならず、リストラから過労死までが、実際の親
取材レポートに続出し、⽇本の労働者情勢の悪化に、⽣徒達と胸を詰まらせながら「下流社
会」の展望を模索するような実践となった。⾼校⽣の社会的視点はいっそう鋭くなっている。そ
れは不幸な変化ともいえる。雇⽤情勢悪化のしわ寄せを⼀⽅的に受ける新規学卒者に最も
⾝近な事例によって労働情勢の構造的理解を迫る。(p.189〜195)
■ 第2章 ⼦どもの「労働・進路教育」とジェンダー第3節 生きて働く―規制緩和時代の
労働の教育とジェンダー―共著"旧姓榊原義夫名で発表 2004(平成 16)年橋本紀⼦
編『ジェンダーと教育の現在』⺠主教育研究所(東京)全 309 頁
中島みさき他 10 名と共著。「労災の学習から労働現場のジェンダー構造をあぶりだし、生徒
⾃ら、性差別の存在に気づき、他の労働問題との関連性を意識しています。ジェンダー構造と
その背景を知ることで、働くことのすばらしさを守るために社会のあり方を問い直す方向へ、生
徒の視線が自然に向かっています」(中島みさきの編者コメント)。やがて労働現場の一員と
なる学⽣に、労働そのものの学びを通して、⼥性参画社会を深部で規定するジェンダー性にま
で目を向けるよう誘う。(p.179〜194)
学術論⽂等
■ 「ZPDと教育実践」旧姓榊原義夫名で発表 2007(平成 19)年ヴィゴツキー学協
会第7回全国研究大会
ZPDは「発達の最近接領域」。⾼校体育実践、教科保健実践、障害児体育実践から、
発達の最近接領域を、実際事例に基づき分析検討。体育実践、障害児教育実践は教師
の働きかけとの⼦どもの発達の相互関係が目に⾒える形で提⽰され、ZPDを具体的に考
察できる利点があることを⽰す。⾳楽教育や教育実践演習には共通点が多く、⼀般化し適
用できる。教育は教師の発達が子どもの発達を規定している。教育実践研究を通して将来の
教師が自らの発達の最近接領域に気付いてくれることが隠しテーマである。
44
教育実践記録等
■喜連環濠地区史跡案内板の執筆(2014 年 7 ⽉〜2015 年 3 月順次完工)
喜連環濠地区まちづくり研究会の事業として、同地区 7 ヶ寺、7 口の地蔵堂、地域の学校、
幼稚園、古⺠家等計 20 か所の案内板を設置。寺・地蔵・環濠・街道・古⺠家・地名等の
個々の史跡の来歴と地域史概説等を案内板に執筆。各寺院チームや地蔵講との共同研究
で、地域の歴史を共に掘り起し・記述するムーブメントとしての側面を重視しつつ、すべての案
内板を回れば、外来者や子どもたちが、実物と照らし合わせながら喜連の通史を概略理解で
きるように全体設計した。2013 年度より喜連地域にある常磐会学園⼤学の教職特別講座
として小学校郷土史授業づくりのフィールドワークもふたコマ担当しており、案内板はこの教材
の一環でもある。喜連環濠地区まちづくり研究会は大阪市のまちづくり認定団体。案内板全
記事と画像を加えた詳解記事は大阪市平野区HPに掲載。
■『「芸能教科」技術指導論―体育の場合』2014 年 2 ⽉⼤阪⾳楽⼤学教育研究論集
⽇本では芸事の伝授はお師匠さん⽅式で⾏われてきた。感性や感覚が⼤きい世界を占める
音楽やスポーツの技術指導では、指導者の技術観が貧弱なほど、権威主義が入り込みやす
い。時には体罰まで伴う体育指導のケースを批判的に検討しながら、技術を技能・スキル・戦
術・戦略の相で分けて客観的に捉えること論じ、また近年の⽇本サッカーの躍進を⽀えるコー
チング学を事例的に考察して、⾳楽指導の参照に供する。
■『 発達障害こそ⼦ども理解の鍵 』旧姓榊原義夫名で発表(共著)2006(平成 18)
年学校体育研究同志会『たのしい体育・スポーツ』創⽂企画(東京)刊 No.193、7 頁
特別⽀援教育制度の翌年度実施を控え、⾜許から制度のあり⽅を考える特集を企画・編
集・執筆。制度の上でも障害の実情からも、健常と障害をリンクする発達障害者の実践的・
制度的処遇こそが、⽇本の障害児教育・特別⽀援教育の今後を決めていくことを述べる。発
達障害者は従来の「特殊」と「普通」をリンクする存在である。正しい発達障害児観がノーマラ
イゼーションをめざす実践の鍵といえる。
■『特別支援教育をアセスメントする』旧姓榊原義夫名で発表 2006(平成 18)年⼤阪
市養護教育諸学校教育研究会
特別⽀援教育検討委員会委員⻑としてまとめる。特別⽀援学校へのカウントダウンが始まる
中で、自閉症スペクトラム(連続体)と包括される発達障害児の特性の把握、その手法、
⽀援法の開発のための課題整理と校内体制づくりを提起。発達障害児への特別⽀援は⼀
般校普通学級ので処遇が前提であり、現場教師になったら即応を迫られる極めて今日的・
社会的実践的課題である。
■『特別支援教育の現在ありのまま―校内研修会Ⅳ・Ⅴ及び共同研究費他校研究班調
査総括レポート―』旧姓榊原義夫名で発表 2005(平成 17)年⼤阪市⽴難波養護学
校
『紀要なんば』
とりわけ知的障害養護学校には従来から自閉症児が処遇されてきたが、教員にはカナー型の
典型例のみが⾃閉症と認識されており、⾃閉性の程度が軽いものについては、知的障害の範
疇で経験的に処遇されてきた。平成 17 年の時点においては養護学校の教員すら知的障害
と⾃閉性障害と発達障害の概念的な区別や関連が⼗分認識されていたとは⾔い難い。知
的障害養護学校研究相談部⻑の⽴場から、府下各⾃治体での制度移⾏の進捗状況の把
握と、一般校普通学級・通級での先進的取り組みとの比較により、自校の課題を析出する。
■『知的障害児の運動発達を引き出す学習環境づくり―⾛運動のアフォーダンス論(⽣態
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知覚論)的アプローチ―』旧姓榊原義夫名で発表 2005(平成 17)年⼤阪市養護教育
諸学校研究会実践交流会・運動発達分科会
2年のスポーツテスト 50m 走で 1 年時より 5.4 秒タイムを短縮した生徒がいた。白線で引い
たスラロームの 50m コースを⾛らせた時のことである。学年平均でも 0.7 秒の短縮が⾒られ
た。低学年、遅進者には⼀般校でも常識に反してこのような現象がみられる。当該の⽣徒は
自閉症児である。スタートラインとゴールラインだけで示される 50m 走空間は実は捉えにくい。
曲⾛路はラインを引かないと描けない。実は曲⾛路の⽅が視覚⽀援され認識しやすいのであ
る。スポーツ場⾯ではこのように対象物の提⽰の仕⽅(⾒え)によって⼤きくパフォーマンスが
変わる。これまでの⾃らの実践で⾒出された現象と教材開発の歩みをアフォーダンス論により
体系づけて説明を試みた。教育実践の主要な働きかけの対象である教材と子ども、その双方
への研究の深まりから、指導法への新たな着眼を得た報告。
■『体育実践とアフォーダンス論の可能性』旧姓榊原義夫名で発表 2005(平成 17)年
学校体育研究同志会『たのしい体育・スポーツ』創文企画(東京)No.175、24〜27 頁
榊原の障害児学校、⾼校での体育実践事例をアフォーダンス論から理論化。⾼校⽣短距離
⾛遅進者が曲⾛路で速くなる。障害児や低学年では様々な曲⾛路による「平⾯障害物⾛」
が子どもに走る意味を与え、疾走の相が出現する。小学校で普及し始めた「平面障害物走」
は榊原のアフォーダンス論的アプローチから開発された教材である。様々な時間的技術の空間
化(可視化)が、飛躍的なパフォーマンスの向上に繋がるなどを示唆する。自閉症スペクトラ
ムへの視覚支援などの指導を内包し、健常者まで一般性が広い。
■『福祉基礎構造改⾰(利⽤制度移⾏)時代の知的障害養護学校校内実習のあり方
についての考察』旧姓榊原義夫名で発表
2002(平成 14)年(財)⽇本教育公務
員弘済会⼤阪⽀部教育賞論⽂。優秀賞受賞。
養護学校進路部⻑として、⾃⽴⽀援法の制定、特別⽀援学校制度の準備など障害児教
育の構造改革が進む中での校内実習の在り方と改革を、実践に基づき提起。就労支援施
設・⼤阪市⽴作業所と業務提携し実習材料を調達。作業所利⽤者の作業能率を目安とし
て⽣徒のあらゆる作業の定量化を試み、客観公正な進路指導に供する。障害児を担当した
場合、階梯ごとに進路選択の指導が⼤きな課題してと待ち受ける。障害児の進路指導という
重い課題に社会的な視野を持って向き合う手掛かりを示す。
その他
なし
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増井 一友(ますい かずとも)
講師
担当科目
教職実践演習(中・高)
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所属・職位
同志社⼥⼦⼤学 講師
学位
―
学歴
1976(昭和 51)年 大阪芸術大学音楽学部音楽学専攻中退
主な職歴
1977(昭和 52)年〜1980(昭和 55)年 関⻄電⼒学園 社外講師
1980(昭和 55)年〜現在に⾄る 大阪音楽大学 講師
2013(平成 25)年〜現在に⾄る
同志社⼥⼦⼤学 講師
専攻(専門分野)
ギター
担当科目
教職実践演習(中・高)
研究テーマ
集団授業におけるギターの活用
教育方針
学⽣が⾳楽全体の観点からギターを⾒つめ、表層ではなく根本での理解を深められるよう指
導したい。
所属学会・団体等
―
最近の業績
教育実践記録等
■『授業におけるギターの指導について』2014(平成 26)年 2 月大阪音楽大学教育研究
論集
その他
学生の楽器への興味を学問的な知識だけではなく、その演奏技術の向上とで深く持てるよ
うに指導している。
例として、楽器の持ち⽅や奏法では、歴史的な楽器の形状の変化やそれに伴う保持スタイル
の変化と⾳楽の変化など、実践と学術的な⾯を同時に⽰し、より深い理解を求める。
また歴史的な音楽の変遷だけでなく、現代の実際の音楽現場で使われている演奏スタイルも
⽰し、広汎な観点からギターの特徴を理解出来るよう指導している。
教育分野に詳しいギター演奏家は数少ないが、その上あらゆるジャンルで活動している利点
を教育内容に盛り込んだ指導実績を持つ。教室で多⼈数を対象にギター演習を⾏う際は常
に効率向上に努めている。
■2015(平成 27)年 2 月 増井一友ギターコンサート Vol.14
■2014(平成 26)年6⽉ 増井一友リサイタル(兵庫芸術センター小ホール)
■2011(平成 23)年 増井一友ギターコンサート Vol.3
■2010(平成 22)年 増井一友ギターコンサート Vol.1
リサイタルシリーズ第 1 回。年に 4 ヶ月ごとに 3 回⾏うリサイタルシリーズの 1 回目。
■2010(平成 22)年 ホセ・ルイス・ゴンサレス追悼コンサート
主催:アルコイ市
アルコイ出身の巨匠ギタリスト、ホセ・ルイス・ゴンサレスの追悼コンサートに弟子として出演。
共演:藤井 浩
■2009(平成 21)年 増井一友リサイタル「内なる想い」
■2009(平成 21)年 大阪クラシック 2009
大植英次プロデュース、御堂筋界隈で一週間で 100 公演開催するイベント
主催:⼤阪クラシック実⾏委員会(大阪市、大阪フィル八一モニー協会地)
協⼒:⼤阪⾳楽⼤学他
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