カナダ留学で得たもの(グローバル・コミュニケーション学科4年 山下沙帆

カナダ留学で得たもの
カナダ ビクトリア大学
留学期間 2013 年 9 月~2014 年 7 月
グローバル・コミュニケーション学科 3 年 山下
沙帆
2 年生の夏休み中に日本を発ち、10 か月間のカナダでの
留学生活を経て、3 年生の前期に日本に帰国しました。留学中は 1 秒が 1 分にも 10 分にも感じるくらい、
その毎日が長く感じましたが、帰国した今、反対に過ぎた日々はこんなにも短かったかという印象があ
ります。留学をしたいと思ったきっかけは、語学(英語)を学びたかったためですが、知り合いに留学経験
者が多く、その体験談を聞いたりしているうちに、自分も留学をしたいという気持ちが強くなったこと
もまた大きな要因でもあります。また、留学先をカナダに決めたのは、治安が良く、自然も豊かで人種
が多様であるために、学習をする上での環境が自分に一番合っていると考えたからです。
9 月の初めから実際にカナダで暮らし始めてみると、聞いていた通りの環境に安心感を得ると共に、ホ
ストファミリーやハウスメイト、友達たちを含め、すごく恵まれた環境であることも分かりました。平
日は語学学校に通い、休日は家でホストファミリーと過ごしたり自分で勉強したり、たまに息抜きでハ
ウスメイトや友達と出かけたり、毎日充実した生活を送る
ことが出来ました。しかし、留学生活は楽しいことばかり
ではなく、生活や文化などの日本との環境の違い、そして
何よりも、毎日英語しか話してはいけないという現実の壁
が大きく、当時の知識・学力不足の私にとっては、英語を
とことん駆使して全力で過ごす毎日は本当に体力、精神力
勝負でした。始めのうちは片頭痛に悩まされたり、慣れな
い環境で体調不良になったりして、体調の管理やストレス
への対処等がとても大変でした。けれど、優しいホストフ
ァミリーや友達のおかげで、大変な毎日の中でも、映画を一緒に見たり会話を弾ませたり、英語を学び、
話すことの楽しさを日々実感していくことが出来ました。
私は認定留学でカナダのビクトリア大学に留学したので、10 か月の留学期間はビクトリア大学の
English Language Centre という語学学校に通っていました。私が取っていた 12 週間(約三か月間)の
ELPI と呼ばれるプログラムではレベルが 6 つあり、初日に行われるプレイスメントテストというリーデ
ィング・ライティング・スピーキング・リスニングのテストを受け、その結果によってクラス分けがさ
れました。また、General と Academic という二つのコースが置かれ、自分の留学の目的に沿ってコース
が選べるのも特徴の一つでした。私はこの ELPI を連続三回とりそれぞれのプログラムで 80%以上の成
績を修めたために、クラスは 412G→492G→574G と順調に進級していくことが出来ました。通常授業と
選択授業、また発音授業も含めて、先生方は一人一人に熱心であり、的確なアドバイス、またユーモア
を交えた授業のおかげで、語学力が上がったことを最後の方では自分自身でも実感出来るぐらいまで成
長できました。しかし、日々の宿題・プレゼンテーションの多さは尋常でなく、授業途中でいきなり言
い渡されることも多々ある上に、一つ一つが成績や自分の成長に繋がるので、10 か月間毎日が気の抜け
ない日々でした。授業形態は少人数制を取っており、最大でも 15~16 人くらいと少人数なので、自分が
発言できる機会が授業内に多々あります。加えて、先生方が一方的に講義をするのではなく、先生と学
生たちが自分たちで授業を造り上げていくというあまり経験できない面白い授業形態に、他のクラスメ
イトの言動からも学ぶことが多くありました。始めのうちは、自分の意見さえ英語で言えずに授業では
静かであったり、悩んでいたりしたこともたく
さんありましたが、最後のプログラムでは、自
分の中から溢れ出る言葉を伝えたくて、これで
もかというくらいクラスメイトや先生の説明
に対して挙手して意見を述べ、他のクラスメイ
トと先生を巻き込んで議論を始める自分がそ
こに居ました。この 10 か月を経て、精神的に
も知識の量でも生まれ変わった自分が今こう
していることも、貴重な財産だと思います。
加えて、課外でも積極的に地域に溶け込み文化交流するため、小学生の頃からやって剣道の経験を活
かしてビクトリア大学の剣道部の稽古に週最低 1 回のペースで参加しました。初心者の方々に英語で稽
古の仕方を説明したり、どうやったら上手に技を改善できるかについて部員の方々と話し合いをしたり、
稽古が始まる前や終わった後に他愛のない会話をしたりすることで、リスニング・スピーキング力の練
習をしました。さらにみんなでパーティーを何回か開いたりすることを通じて、楽しく交流が出来たの
もいい思い出です。また、ビクトリアではボランティア活動が盛んでボランティア募集の専用 HP もあ
ったため、興味のあるものにたくさん応募し、積極的にボランティア活動をしました。目的は様々で、
募金や文化継承、地域活性化など多様多種に渡るボランティアの中で、たくさんの家族やお年寄りたち、
また学校の授業の一環として参加していたカナダ人の生徒たちとも話す機会があり、こうした語学学校
以外での地元のカナダ人の方々との交流の時間も充実した生活を送れた大きな要因でした。
この 10 か月間の留学期間では、出来ることから精一杯やろう、留学している今しかできないことをた
くさん経験しようと決め、毎月毎日スケジュールを組み立て、学習と課外での活動・遊びのバランスを
考えて過ごしました。一番良かったことは、留学を振り返ってみて、自分が留学中にしたことの中で後
悔したことが何もなく、本当に毎日充実していて、自分が思った以上のものが身についたということで
す。しかし、帰国した今、この留学を無駄にしないよう自分に何が出来るか、この積み上げてきた英語
力をどう保持するかということが一番難しい課題であると考えています。帰国以来、元クラスメイトや
今では色々な国に散らばってしまった友達たちと、週に 2 回以上は定期的に Skype で連絡を取り合った
り、LINE などの SNS 等を利用して毎日自分たちの近況報告
をしたりと、英語を使う楽しさと語学力保持の両立を図って
います。こうしたことを出来ている自分がいるのも、留学期
間中、支えてくれた家族、ホストファミリー、友達たちそし
て自分の努力のおかげだと思っています。辛いことも多い 10
か月間でしたが、自分にとって本当に貴重なかけがえのない
10 か月間になりました。自信を持って言えるのは、後悔する
ことは何もなく、留学をして本当に良かったということです。