平成 27 年 改正建築基準法関連等講習会 質問・回答 1 (一財)静岡県

平成 27 年 改正建築基準法関連等講習会 質問・回答
(一財)静岡県建築住宅まちづくりセンターご利用の皆様へ
日頃より当センターをご利用いただき、有り難うございます。
先に開催しました改正建築基準法関連等の講習会におきましては、多くの方にご参加を頂いて
開催することが出来ました。改めてお礼申し上げます。
さて、この講習会で頂きましたご質問について、以下のとおり、回答させて頂きます。
質問1
構造計算適合性判定の対象が合理化されることとなりましたが、ルート2による構造計算
の場合は、各事務所支所において審査することとなりますか。
質問2
①構造設計一級建築士ではないのでルート1で構造計算を行っていたが、ルート2審査対
応の指定機関へ申請する場合は、構造設計一級建築士の関与は不要と判断しても良いで
すか。
②ルート2で計算出来る規模など、その制限を教えて下さい。
質問3
敷地内に既存建築物が1棟あり、別棟で1棟新築した後に、既存建築物を除却する計画(=
確認申請上は敷地内の新築、かつ、棟別の新築)であるが、新築1棟の供用開始後に既存
を除却する場合は、仮使用の対象となりますか。
質問4
既存建築物を「曳き家」して、移動させた場合、基準法の適用範囲はどうなりますか。
また、その際には、建築基準法適合状況調査との関連はありますか。
質問1
構造計算適合性判定の対象が合理化されることとなりましたが、ルート2による構造計算の
場合は、各事務所支所において審査することとなりますか。
回答1
①
建築基準法に於いては、許容応力度等計算(ルート2)による計画建物で、「構造計算に関
する高度な専門的知識及び技術を有する資格者」が確認審査を行う場合は、構造計算適合
性判定の対象外とされました。
② 当センターにおいては、この資格を有する確認審査員が対応いたしますが、当面は業務部
構造審査課が担当いたします。
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平成 27 年 改正建築基準法関連等講習会 質問・回答
質問2
① 構造設計一級建築士ではないのでルート1で構造計算を行っていたが、ルート2審査対応
の指定機関へ申請する場合は、構造設計一級建築士の関与は不要と判断しても良いですか。
② ルート2で計算出来る規模など、その制限を教えて下さい。
回答2
① 建築基準法に規程されている構造計算(下表(ア)欄)と、建築士法に規程されている構造
設計一級建築士の関与の関係(下表(イ)欄)については、以下の表の通り全く別々の規程で
あり、同一ではありません。
参考:構造設計一級建築士の関与の義務付けとは。
下表(イ)に記載された建築物が関与の対象となっていますが、その関与のあり方は
次の通りとなっています。
①一定規模以上の建築物(イ)は、構造設計一級建築士が設計を行う必要があり、そ
の設計図書に構造設計一級建築士である旨の表示をしなければなりません。
② 又は、構造設計一級建築士以外の一級建築士が、一定規模以上の建築物の構造
設計を行った場合は、構造設計一級建築士が構造関係規定に適合するかどうか
の確認をし、建築物が関係規定に適合することを確認した旨を表示して記名押
印をする必要があります。
構造計算適合性判定 の 対象
建築基準法第 20 条
構造設計一級建築士の
構造設計一級建築士 の関与の
関与 の 対
となる構造計算
となる構造計算(
構造計算(ア)
象となる建築物
となる建築物(
建築物(イ)
(太文字ゴシック体)
(太文字ゴシック体)
・大臣認定
1号
高さが 60m を超える建
左記の内、一級建築士
一級建築士の
一級建築士の業務独
築物(超高層)
占に係る以下の
以下の建築物(型式適
建築物
合認定建築物は除く)
①学校
学校、
学校、病院、
病院、劇場、
劇場、映画館、
映画館、
百貨店等の
百貨店等の用途に
用途に供する建築物
する建築物
で、延べ面積が
面積が 500 ㎡を超える
もの
②木造
木造の
木造の建築物又は
建築物又は建築物の
建築物の部
分で、高さが 13m
13m又は軒の高さ
が 9mを超えるもの
・大臣認定
・ルート2
・ルート2(※)
2号
高さが 60m 以下の建築
③RC
RC 造、S 造等の
造等の建築物又は
建築物又は建
物
築物の
築物の部分で
部分で、延べ面積が
面積が 300
㎡、
・ルート3
・ルート3
高さが 13m
13m又は軒の高さが 9m
・限界耐力計算
を超えるもの
④延
延べ面積が
面積が 1,000 ㎡を超え、
かつ、
かつ、階数が
階数が2以上の
以上の建築物
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平成 27 年 改正建築基準法関連等講習会 質問・回答
・ルート1
・ルート1(大臣認定プログ
大臣認定プログ 3 号
ラム使用
ラム使用の
使用の場合)
場合)
・ルート2
・ルート2(※)
高さが 60m 以下の 2 号
※ 3 号、4 号に該当する
該当する建築物
する建築物
の建築物以外の中規
は 構造設計一級建築士の
構造設計一級建築士の関与
模建築物
は必要ありません
必要ありません。
ありません。
・ルート3
・ルート3
・限界耐力計算
・ルート1(上記以外の場
合)
・大臣認定
・ルート1
・ルート1(大臣認定プログ
大臣認定プログ 4 号
小規模建築物
ラム使用
ラム使用の
場合)
使用の場合)
・ルート2
・ルート2(※)
・ルート3
・ルート3
・限界耐力計算
・ルート1(上記以外の場
合)
・大臣認定
・仕様規定
ルート2
ルート2(※) 構造計算に
構造計算に関する高度
する高度な
高度な専門的知識及び
専門的知識及び技術を
技術を有する資格者
する資格者が
資格者が確認審査を
確認審査を行う
場合は
場合は、構造計算適合性判定の
構造計算適合性判定の対象外。
対象外。
② このルート 2 による構造計算は、建築基準法第 20 条の内、二号~四号に示されている高
さが 60 メートル以下の建築物とされ、構造設計一級建築士の関与の対象となる建築物も
含まれています。
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平成 27 年 改正建築基準法関連等講習会 質問・回答
質問3
敷地内に既存建築物が1棟あり、別棟で1棟新築した後に、既存建築物を除却する計画(=確
認申請上は敷地内の新築、かつ、棟別の新築)であるが、新築1棟の供用開始後に既存を除却
する場合は、仮使用の対象となりますか。
回答3
法第 7 条の 6 により、法第 6 条第 1 項第 1 号から第 3 号の建築物が仮使用の対象となりますが、
第 4 号に該当する建築物は使用制限がありませんので仮使用の対象外となります。
また、仮使用にあたっては、建物使用者の経路と、工事作業者の経路が重複しないように、フ
ェンスなどで明確に経路を分けるなど、平成 27 年国交省告示第 247 号第1第3項に安全確保
等が規定されています。
なお、仮使用認定が出来ない場合であっても、一定の条件を満たせば特定行政庁による仮使用
認定を受けることが出来るとされていますので、その際は、所管の特定行政庁と協議されるこ
とをお勧めします。
質問4
既存建築物を「曳き家」して、移動させた場合、基準法の適用範囲はどうなりますか。
また、その際には、建築基準法適合状況調査との関連はありますか。
回答4
これまでは、同一敷地内の移転は、既存不適格扱いとしてそのままの移動は可能でしたが、他
の敷地への移転の場合は、新築となり、現行法の規程が適用されてきました。
今回の法改正では、同一敷地内の移転はこれまで通りの扱いですが、他の敷地への移転は、特
定行政庁の認定によりそのままでの移転が可能となりました。
なお、建築基準法適合状況調査では、移転しようとする建築物の法適合性や不適格状況を把握
することが出来ますので、特定行政庁の認定申請にあたり必要な調査と考えられますので、
事前に特定行政庁と協議することをお勧めします。
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