所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策-国土交通省が検討会 伊藤久雄(認定NPO法人まちぽっと理事) さる 4 月 15 日、所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会の初会合 が開かれた。 (詳細記事は下記のアドレスに) ⇒http://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/iten/seisakutokatsu_iten_tk_000002.html 対応方針の検討にあたっての考え方等は以下のとおり(国土交通省配布資料) 。なお、検 討会の取りまとめは本年 12 月の予定となっている。 ◆ 所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策の検討にあたっての考え方 1.検討にあたっての考え方 不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所 有者に連絡がつかない土地(以下、「所有者の所在の把握が難しい土地」という。)につ いては、地方から都市への人口移動が進む中で、地方を中心に今後も増加することが想 定される。その結果、様々な事業の推進において土地の円滑な利活用に支障を来すおそ れがあるほか、そのためのコストも増大するおそれがある。 そのため、本検討会では、所有者の所在の把握が難しい土地の円滑な利活用等に向け て以下の考え方を基本としつつ、現場の対応の進展に貢献する実務的な方策について検 討を進める。 ① 所有者の所在の把握が難しい土地は、地方の基礎自治体や規模の小さな組織、個人等 が対応を迫られることも多いことから、そのような現場が抱える課題を把握する。 ② 現場の問題意識に立脚した上で、所有者の所在の把握が難しい土地の増加を防ぎ、ま た、その利活用が円滑に進むよう、現場の負担の軽減を含め、現場における対応の進 展に資する方策について検討する。 ③ 本件は、個別の機関においてはこれまでも検討されてきたが、各分野にまたがる課題 について検討する場は、本検討会が初めてとなることから、本検討会においては、主 として複数の施策分野に共通する取組及び関係機関が連携して取り組むことによって 効果が期待できる取組について検討する。 2. 検討の方向性 1.を踏まえ、本検討会においては、主として現場実務者からのヒアリングにより、 具体の課題と対応のあり方について検討を進める。現時点で想定される検討分野は、以 下のとおりであるが、今後、検討を進めていく中で、必要に応じて修正・追加し、また、 1 各項目の下により詳細な対応事項を設定していく。 ① 所有者の探索方法の明確化等、所有者探索における現場の負担を軽減するための取 組 ② 所有者の所在の把握が難しい土地を増加させないための取組 ③ 所有者の所在の把握が難しい土地の円滑な利活用のための取組等 3. 検討の進め方 ○検討会の前半(4~7月)においては、課題を把握するとともに対応方策を網羅的に 整理し、7月を目途に中間的なとりまとめを行う。 ○後半(9月~12月)においては、関係機関が連携して取り組む対応方策を中心に検 討を進め、12月を目途にとりまとめを行う。 ◆ 本検討会で扱う「所有者の所在の把握の難しい土地」について ○ 検討会で扱う「所有者の所在の把握が難しい土地とは(国土交通省説明) 本検討会で扱う「所有者の所在の把握が難しい土地」とは、「不動産登記簿等の所有 者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかない 土地」をいう。 ○ 具体的には ・所有者の探索を行う者の利用できる台帳が更新されていない、台帳間の情報が異な るなどの理由により、所有者(登記名義人が死亡している場合は、その相続人も含 む。以下同じ。)の特定を直ちに行うことが難しい土地 ・所有者を特定できたとしても、転居先が追えないなどの理由により、その所在が不 明である土地 ・登記名義人が死亡しており、その相続人を特定できたとしても、相続人が多数とな っている土地 ・所有者の探索を行う者の利用できる台帳に、全ての共有者が記載されていない共有 地 など ◆ 所有者の所在の把握が難しい土地に関する事例について(国土交通省例示) A 公共事業の実施 (事例1)公共事業用地の土地所有者が海外移住したこと等により相続人の追跡が困 (事例2)道路改良工事の実施にあたり、対象地の所有権移転登記がなされておらず、 所有者の特定にあたり大きな負担 (事例3)災害復旧工事の対象用地の地権者が相続のため多数となり、所在は把握でき たものの、同意の取得が難航し、事業未着手 (事例4)公共事業実施予定地が記名共有地となっており、対応困難 2 (事例5)公共事業実施予定地が清算未了のまま職権で登記簿が閉鎖された法人が所有 する土地であり、代表者が特定できない B 公益性の高い事業の実施 (事例6)森林組合の組合員の所在について様々な方法で把握に努めているが、組合員 の1割の所在が不明 (事例7)借地の所有者と連絡が取れなくなり、農業の継続に支障 (事例8)空き家バンク事業を開始したが、民間団体が探索しているため、所有者の探 索に限度 (事例9)水源保全指定地域の所有者への情報伝達を試みたが、不明者が多数で、探索 作業の負担が大きく特定が困難 C 共有財産の管理 (事例 10)集会所敷地の登記について認可地縁団体への名義変更にあたり、登記の名義 変更がなされておらず、相続人が多数になったため所有権確定訴訟により解 決 (事例 11)公民館建設予定地の登記の名義変更がなされておらず、相続人が多数になり、 所在の把握や同意の取り付けが困難となり、建設断念 ◆ 第1回所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会の議事要旨 ⇒http://www.mlit.go.jp/common/001089174.pdf 3
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