「学びへの情熱」と川崎高校 神奈川県立川崎高等学校長 小 宮 龍 一 「川崎中学」の誕生と「学びへの情熱」 神奈川県立川崎高等学校は県立高校改革推進計画により、県立川崎高等学校 と県立川崎南高等学校が再編統合され、平成 16 年 4 月に単位制普通科のフレ キシブルスクールとして開校しました。本校の歴史は現在の地に県立川崎中学 校が誕生した昭和 2(1927)年まで遡ることができます。1910 年代より「こ の川崎の地にぜひ県立中学校を」という声が高まり、1920 年代には神奈川県知事に意見書が提出され ました。県の財政難のために学校設立が難航すると、川崎市が校地を無償で県に提供することになり ました。校舎建築費の約半分は地元の皆さんの寄付で賄われました。地元の皆さんの「学びへの情熱」 がこの渡田の地に県立川崎中学校(当時)を誕生させたのでした。 「知の上昇」と「学びへの情熱」 平成 16 年 4 月の新校開校後、歴代の校長先生が常に誇らしく常に胸につけている川崎高校のシン ボルマークは県立学校関係者の間で大変よく知られています。この 4 月よりその川崎高校のシンボル マークを私自身が胸につけることになりました。計りにのせれば5グラムほどの重さですが、私には 非常に重いシンボルマークです。 シンボルマークは青、赤、黄の3本の矢でデザインされています。青が「上昇する知」を、赤が「学 びへの情熱」を、黄が「学びの躍動感」を表しています。3 本の矢が交錯して一体となって、フレキ シブルスクールのしなやかで柔軟な学びの形(f)を体現しています。フレキシブルスクールでは自 分で自分に合った時間割を考えます。大学に近い柔軟な学びの仕組みの中では一人ひとりが自律的に 学習や生活をすることが求められます。そして自律的な学習、生活を可能にするのが「学びへの情熱」 です。シンボルマークは赤い矢印と青い矢印が力強く交わっています。 「学びへの情熱」が「上昇する 知」を支えます。 「学びへの情熱」に応える フレキシブルスクールの川崎高校は生徒の皆さんの「学びへの情熱」に応えるために次のような「学 びの仕組み」を備えています。 ・ 基礎から発展・応用、集中講座など 100 を超える多様な科目が用意されているので、希望の進 路、興味・関心に応じた科目選択をすることができます。 ・ 生徒一人ひとりの学習ニーズに合わせた授業を展開するために数学(数学Ⅱ)と英語(コミュ ニケーション英語Ⅱ、Ⅲ)で習熟度別に講座を設定しています。 ・ きめ細かい親身の指導を実現するため、少人数クラス(全日制 30 人、定時制 20 人を基本)と チューター(生徒が選ぶもう一人の担任)制を導入しています。 川崎高校はフレキシブルな「学びの仕組み」を生かして生徒の皆さんの学力向上、人間力向上を目 指します。 「学びへの情熱」を学ぶ フレキシブルスクールの川崎高校では「学びの場所」も選ぶことができます。連携している大学や 専門学校の講義を聴講生として受講することができ、学校外での学修の成果が本校の単位として認め られます。また、フレキシブルスクールの川崎高校は「地域の学習センター」としての機能を担い、 地域の方々が「社会人聴講生」として生徒とともに授業に参加され、 「公開講座・県川公開セミナー」 は多くの地域の方が受講されます。 地域の方や大学生、専門学校生とともに学ぶことは川崎高校の生徒にとって、とてもよい刺激とな っています。生徒は学びの姿勢、 「学びへの情熱」を地域の方、大学生、専門学校生の皆さんから学ん でいます。
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