2013年度 全科目

時間(09:30~11:30)
数学 問題1【配点20%】
関数 y = 2cos(2αθ) + 4 sin(αθ) は、角度 θ と共に周期的に変化する。その変化の間
に、関数 y の極大値が現れる回数は α の値に依存する。例えば、角度 θ が 0 ≤ θ ≤ 2π (ラ
ジアン)の範囲で変化する時、 α = 1 では下図のように極大値は2カ所で現れる。 図 1.1 α = 1 での関数 y の様子
角度 θ が 0 ≤ θ ≤ 2π の範囲で変化する時、極大値が3回現れたとする。この条件を満
たす α の値の範囲を求めよ。但し、 α > 0 とする。 1
問題2【配点30%】
行列 A が次のように表されるとする。これに対して、各設問に答えなさい。
⎛
⎞
⎜⎜ k 1 −4 ⎟⎟
⎟
A = ⎜⎜⎜ 3 4 −6 ⎟⎟⎟
⎟
⎜⎜
⎝ 2 1 m ⎟⎠
(1)行列 A の3つの固有値は、1, 2, 3 である。この場合の行列 A の成分 k と m の値
を求めよ。 (2)上問(1)で求められた k と m の値を行列 A に代入したものを行列 B とする。非
対称行列 B の固有ベクトルを求めよ。
(3)上問(2)の固有ベクトルを用いて正則行列 P を作れば、非対称行列 B を対角化
して ⎛
⎞
⎜⎜ 1 0 0 ⎟⎟
P −1BP = ⎜⎜ 0 2 0 ⎟⎟⎟ ⎜⎜
⎟
⎜⎝ 0 0 3 ⎟⎟⎠
と表すことができる。右辺の対角項には固有値が並んでいる。行列 P を求めよ。 2
問題3【配点50%】
関数 f (x ) を有理関数(分子と分母を多項式で表現した関数)で近似する方法に Padè
近似がある。ここでは、この近似方法について理解を深めよう。 まずは、具体的な例を示す。関数 f (x ) を (
)
f (x ) ≡ log 1+ x (3.1) と定義するとき、 f (x ) の Maclaurin 級数( x = 0 を中心とする Taylor 級数)は 1
1
1
1
1
1
1
f (x ) ≅ x − x 2 + x 3 − x 4 + x 5 − x 6 + x 7 − x 8 + (3.2) 2
3
4
5
6
7
8
となり、その収束半径は 1 である。7 次項まで採用した Maclaurin 級数から始めて、
順次採用次数を増やしてゆき、最終的には 12 次項まで採用した Maclaurin 級数の様
子を図 3.1 に示す。採用次数を増やしても、 x >1 のとき有限項 Maclaurin 級数では
関数 f (x ) を表現できない事がわかる。収束半径を超えてなお良い近似を与える関数
が存在すれば便利である。それが、Padè 近似として存在する。 図 3.1 Maclaurin 展開した関数の様子
さて、関数 f (x ) に対する(1,1)次の Padè 近似を [1,1](x ) と表せば、 x
1
1+ x
2
であり、 [1,1](x ) の Maclaurin 級数は [1,1](x ) ≡
(3.3) 1
1
1
1
1
[1,1](x ) ≅ x − x 2 + x 3 − x 4 + x 5 − x 6 + 2
4
8
16
32
(3.4) となる。(3.2)式と(3.4)式を比べて、1+1=2 で 2 次項まで(2 次項を含む)が一致し
ている点に注目しよう。 関数 f (x ) に対する(2,2)次の Padè 近似を [2,2](x ) と表せば、 3
1
x + x2
2
[2,2](x ) ≡
1 2
1+ x + x
6
であり、 [2,2](x ) の Maclaurin 級数は (3.5) 1
1
1
7
11
[2,2](x ) ≅ x − x 2 + x 3 − x 4 + x 5 − x 6 + 2
3
4
36
72
(3.6) となる。(3.2)式と(3.6)式を比べて、2+2=4 で 4 次項まで(4 次項を含む)が一致し
ている。 結局、Padè 近似の特徴は、低次のベキ項を f (x ) の Maclaurin 級数に一致させる点
にある。図 3.2 に [1,1](x ) および [2,2](x ) の様子を示す。 図 3.2 Padè 近似した関数の様子
有限項 Maclaurin 級数はその収束半径を超えると適用できないのに対して、図 3.2
からは全域において Padè 近似が良い近似を与える事がわかる。これが Padè 近似の
特長である。 ここからは、関数 f (x ) を Maclaurin 展開可能な一般的関数として、Padè 近似の詳
しい内容に移ろう。 関数 f (x ) の Maclaurin 展開は f (k ) (0 ) k
f (x ) = ∑
x k!
k=0
であり、係数部を f (k ) (0 )
ak ≡
k!
とおいて、
∞
(3.7) (3.8) 4
∞
f (x ) = ∑ ai x i (3.9) i=0
と記す。
L,M を正の整数とするとき、関数 [L,M ](x ) を有理関数 ∞
[L,M ](x ) ≡
p0 + p1x ++ pLx L
1+q1x ++q M x
M
≡
∑p x
j=0
∞
∑q x
j=0
j
j
(3.10) j
j
で定義する。分子が L 次、分母が M 次の多項式である。分子、分母の級数範囲を 0
から ∞ と表示したので、 p j ≡ 0 (L +1 ≤ j ) (3.11) (M +1 ≤ j ) qj ≡ 0
(3.12) と約束している。また、(3.10)の分母で 0 次項を 1 としているので、 q 0 ≡ 1 (3.13) である。 具体例のように、(3.10)を Maclaurin 展開した関数の (L + M ) 次までの項が、(3.9)
の (L + M ) 次までの項に一致するとき、関数 [L,M ](x ) を (L,M ) 次の Padè 近似という。
したがって、関数 f (x ) と関数 [L,M ](x ) の差としては、(L + M ) 次よりも高次の関数が
残り、 f (x ) −[L,M ](x ) = bL+M +1x L+M +1 +bL+M +2x L+M +2 + (3.14) となる。右辺の級数をO(x L+M +1 ) と表示して、 f (x ) −[L,M ](x ) =O(x L+M +1 ) (3.15) と書く。ここで、記号O(x L+M +1 ) は、残差が (L + M +1) 次項から始まることを意味す
る。(3.9),(3.10)を(3.15)に代入すると
∞
∞
∑a x
i=0
i
i
−
∑p x
j=0
∞
∑q x
j=0
j
j
=O(x L+M +1 ) j
となる。これを変形して、
⎞ ∞
⎛∞
⎞⎛ ∞
⎜⎜ a x i ⎟⎟⎜⎜ q x j ⎟⎟ − p x j =O(x L+M +1 ) ⎜⎜⎝∑ i ⎟⎟⎠⎜⎜⎝∑ j ⎟⎟⎠ ∑ j
i=0
j=0
i=0
(3.17) j=0
となる。(3.17)の級数の積を組み替えれば、次のように書き換えられる。
∞ ⎛ j
∞
⎞
⎜⎜ a q ⎟⎟x j − p x j =O(x L+M +1 ) ∑⎜⎜⎝∑ i j−i ⎟⎟⎠ ∑ j
j=0
(3.16) j
(3.18) j=0
上式より、連立方程式 j
∑a q
i=0
i j−i
− p j = 0,
(0 ≤ j ≤ L + M ) が得られ,これを解けば、 p j と q j が定まる。 5
(3.19) 具体的な例として、(3.3)で示した Padè 近似を得る過程を示しておく。これは、 (3.20) L = 1, M = 1 の場合であって、(3.10)より、Padè 近似の形は p + p1x
(3.21) [1,1](x ) ≡ 0
1+q1x
である。(3.2)より、(3.9)の係数部 ai は、 1
a 0 = 0, a1 = 1, a 2 = − 2
となり、既知数と未知数は ⎪⎫⎪
p0 = unkown, q 0 = 1
⎪
p1 = unkown , q1 = unkown⎪⎬ ⎪⎪
⎪⎪
p2 = 0
, q2 = 0
⎪⎭
となる。(3.19)に(3.22),(3.23)を代入して、 ⎫
⎪
⎪
⎪
j = 0 : −p0 = 0
⎪
⎪
⎪
j = 1 : 1− p1 = 0 ⎪
⎬ ⎪
⎪
⎪
1
j = 2 : − +q1 = 0⎪
⎪
⎪
2
⎪
⎭
となり、これを解いて、 (3.22) (3.23) (3.24) 1
(3.25) 2
を得る。これを(3.21)に戻して、 x
[1,1](x ) ≡
(3.3)再記 1
1+ x
2
を得る。 Padè 近似の仕組みは低次側の多項式を Maclaurin 級数に一致させているだけであ
るにも拘らず、図 3.2 のように、遠くの点にまで良い近似が及ぶ事実には、有理関
数に秘められた不思議さと面白さの一端がうかがえる。 上記説明を理解して、以下の問いに答えよ。
p0 = 0, p1 = 1, q1 =
(1)(3.17)から(3.18)に変形する過程を詳しく示せ。 (2)(3.18)から(3.19)を得る過程を詳しく示せ。 (3) f (x ) = e −2x の Maclaurin 展開を示せ。 (4) f (x ) = e −2x の、(1,1)次および(2,2)次の Padè 近似を求めよ。 6
(5)近似関数の近似度をみるために、上問(3)(4)に関連する結果を下図のよう
にグラフに描いた。①から③までのグラフのうち、①は関数 f (x ) = e −2x そのものを表し
ている。残りの2つは、 (A) 4 次項までの Maclaurin 級数 (B) (1,1)次の Padè 近似 (C) (2,2)次の Padè 近似 のうちの2つである。②と③の曲線はそれぞれ、(A),(B),(C)のどれを表しているか示せ。
また、(A),(B),(C)のうち、下図に描かれていない曲線を図に描け。 図 3.3 関数の様子
7
問題3(5) グラフ用の答案用紙
受験番号
(5)近似関数の近似度をみるために、上問(3)(4)に関連する結果を下図のよう
にグラフに描いた。①から③までのグラフのうち、①は関数 f (x ) = e −2x そのものを表し
ている。残りの2つは、 (A) 4 次項までの Maclaurin 級数 (B) (1,1)次の Padè 近似 (C) (2,2)次の Padè 近似 のうちの2つである。②と③の曲線はそれぞれ、(A),(B),(C)のどれを表しているか示せ。
また、(A),(B),(C)のうち、下図に描かれていない曲線を図に描け。 図 3.3 関数の様子
8
時間(13:00 ~ 15:00)
力学
問題1【配点 50%】
図 1a のような天井走行クレーンを考えなさい。その水平方向移動台車下部に支点があり、そこから
長さ ℓ のワイヤで質量 𝑚𝑚 の質点(錘)を吊り、釣り合い状態にあるとします。その状態から水平方向初
速度ゼロで台車を水平かつ図 1a 中右方向に運転させるとします。図 1b のように、クレーン台車は最初
加速度をゼロから一定の加速度変化率 𝛽𝛽 で時間 𝑡𝑡0 の間増加させたのち、一定加速度での走行に移るとし
ます。
(このような運転方法をクッションスタートといいます。)ここで、重力加速度 𝑔𝑔 は図 1a 中に示
す鉛直下向き方向に作用するとし、𝛼𝛼、𝑡𝑡 はそれぞれクレーン台車の水平方向加速度、時間を表します。
錘の振れ角を 𝜃𝜃 とし、鉛直方向から反時計まわりの角度を正と定義します。この角度 𝜃𝜃 は十分小さい範
囲にあると仮定できるとします。またワイヤの質量、伸び、空気抵抗は無視できるとし、ワイヤの長さ
および錘の質量は時間により変化しないものとします。台車の走行レールは十分に水平かつなめらかと
仮定します。
𝛼𝛼
𝜃𝜃
図 1a
ℓ
𝑚𝑚
𝛼𝛼
𝑔𝑔
0
𝛽𝛽𝛽𝛽
𝑡𝑡0
𝛽𝛽𝑡𝑡0
図 1b
以下の問に答えなさい。
(1)0 < 𝑡𝑡 < 𝑡𝑡0 における 𝜃𝜃 を 𝑡𝑡 の関数として数式表現しなさい。
(2)𝑡𝑡0 < 𝑡𝑡 における 𝜃𝜃 を 𝑡𝑡 の関数として数式表現しなさい。
(3)𝑡𝑡0 < 𝑡𝑡 における 𝜃𝜃 の周期的変化を生じさせないための 𝑡𝑡0 の条件を説明しなさい。
1
𝑡𝑡
問題2【配点 50%】
鉛直でなめらかな壁と水平でなめらかな床に、図 2a のように質量 𝑚𝑚 、長さ ℓ の一様で細い剛な棒を
床と角度 𝛼𝛼 で立てかけます。重力加速度を 𝑔𝑔 として以下の設問に答えなさい。
𝑔𝑔
ℓ
𝐹𝐹
ℓ
𝛼𝛼
𝜃𝜃
図 2b
図 2a
(1) 棒を床と角度 𝛼𝛼 で静止させるために、棒の下端に水平方向の力 𝐹𝐹 を作用させます。𝐹𝐹 の大きさ
を示しなさい。
力 𝐹𝐹 を瞬時に解除すると、棒の下端は図左側に床をすべり、棒の上端は壁に沿って下降をはじめます。
しばらくすると棒は壁から離れると考えられますが、以下では、棒が壁から離れるまでの運動を考えま
す。
(2) 図 2b のように棒と床のなす角が 𝜃𝜃 のときに、棒の重心の速度は水平方向に 𝑢𝑢1 、鉛直方向に 𝑢𝑢2 、
角速度は 𝜔𝜔 とします。𝑢𝑢1 、𝑢𝑢2 を 𝜔𝜔 、𝜃𝜃 を使って示しなさい。なお、それぞれの正方向の定義は、
水平方向は図左向き、鉛直方向は図下向き、回転方向は反時計回りとします。
(3) 棒の重心まわりの慣性モーメント(紙面に対して垂直な軸まわりの慣性モーメント)を示しな
さい。
(4) 棒の運動方程式と力学的エネルギーの関係式(位置エネルギーと運動エネルギーの関係式)を
示しなさい。
棒が床に着くまでに棒は壁から離れるとして、その瞬間の棒と床との角度を 𝜃𝜃𝑐𝑐 とします。
(5) 𝜃𝜃𝑐𝑐 を 𝛼𝛼 の関数として示しなさい。
2
時間(13:00~15:00)
流体力学
問題 1 (配点 50%)
完全流体の仮定のもとで、複素ポテンシャル w( z ) が下記の(1.1)式で表される流れを考える。
2π
iz 

=
w
( z ) U 0  z + y0 e λ 


(1.1)
ここで、
z= x + iy
w( z )= φ + iψ
であり、x, y は2次元直交座標(図 1.1 参照)、 φ とψ はそれぞれ速度ポテンシャルと流線関数
である。
図 1.1
(1.1)式が表す流れは、図 1.1 に示すように、上空( y が十分に大きいところ)では一様な流れと
なっており、波型の地面より上方の流れを表している。図の太線で示した地面は、(1.1)式の ψ=0
を表している。この時、以下の問いに答えなさい。
(1) 流線関数ψ を求めた上で、ψ =0 となる地面の形状の式を示しなさい。
(2) 前問(1)の結果において y0 � λ であると仮定した場合、地面の形状は近似的に
=
y y0 ⋅ h( x) ( h( x) は x のみの関数)と表される。近似形状の式を示し、その形状のグ
ラフを書きなさい。
(3)
=
x 0,=
x
ψ > 0 の部分を考える。この時
λ
4
および x = −
λ
における流速の x, y 成分を求
4
めなさい。それぞれについて y 座標に対する分布の概略を図示しなさい。
(4) 流線の概略を示しなさい。
1
問題2 (配点 50%)
流体の粘性係数(粘度)を計測するには幾つかの方法があり、これに基づいてさまざまな粘度
計が提案されている。これらは、細管粘度計、落球粘度計、円筒型回転粘度計などである。この
うち細管粘度計は、円管内に生じるハーゲン・ポアズイユ流れの性質を利用するものである。細
管粘度計による粘度計測について、以下の問いに答えなさい。
(1)流れは定常で、細管(円管)断面の周方
r
向に流れが存在しない場合を考える。右
図のように、主流方向を x、円管の中心を
u
r0
x
原点として半径方向を r、それぞれの方向
の流速を u、vr とし、圧力を p 、流体の
密度と粘性係数(粘度)をそれぞれ ρ、μ
とするとき、円柱座標で記述された連続
の式と NS 方程式は、以下のように書ける。
∂u 1 ∂
(rvr ) =
0
+
∂x r ∂r
∂u
∂u
1 ∂p µ  ∂ 2u ∂ 2u 1 ∂u 
u + vr
=
−
+ 
+
+

∂x
∂r
r ∂x r  ∂x 2 ∂r 2 r ∂r 
u
(2.1)
(2.2)
∂vr
∂v
1 ∂p µ  ∂ 2 vr ∂ 2 vr 1 ∂vr vr 
+ vr r =
−
+ 
+
+
− 
r ∂r r  ∂x 2 ∂r 2 r ∂r r 2 
∂x
∂r
(2.3)
このとき、次ページに示したポアズイユ流れの支配方程式の導出過程に倣い、円管壁面で
vr = 0 であることに留意して、ハーゲン・ポアズイユ流れの支配方程式を示しなさい。た
だし、導出過程を明確に記述すること。
(2)円管の半径を r0 とする。圧力勾配 dp/dx が既知であるとき、u を求めなさい。
ただし、境界条件として、
du
at r 0,=
u 0 =
at r r0
= 0=
dr
とする。
(3)単位時間あたりの流量 Q を求めなさい。その結果から、粘性係数 µ を求める式を導出しな
さい。
(4)細管粘度計による粘度計測法を参考にして、下図のような粘度計測装置を考えた。この装
置は、オーバーフロータンクおよびそのタンクに接続された長さ L の円管で構成されてい
る。円管の中心から水面までの距離 H、円管から t 秒間に流出する流体の体積を V とする
とき、この流体の粘性係数を近似的に求める式を示しなさい。ただし、 r0 0 L, H とし、
重力加速度を g とする。
オーバーフロータンク
H
円管
L
V
2
ポアズイユ流れの支配方程式の導出
y
2次元の連続の式と NS 方程式は、主流方向
に x、2 枚の平行平板の間隔の方向に y をとり、
それぞれの方向の流速を u, v とすると、
∂u ∂v
+
=
0
∂x ∂y
u
x
(2.4)
∂u
∂u
1 ∂p µ  ∂ 2u ∂ 2u 
u +v
=
−
+  2+ 2
∂x
∂y
ρρ
∂x
 ∂x ∂y 
(2.5)
∂v
∂v
1 ∂p µ  ∂ 2 v ∂ 2 v 
+v =
−
+  2+ 2
∂x
∂y
∂y
ρρ
 ∂x ∂y 
(2.6)
u
である。
ポアズイユ流れは、無限長の平行平板間の流れであるので、その流速は x に依存しないと
考えられる。すなわち、
( y ), v v( y ) である。このとき、連続の式を考えると、
=
u u=
∂u
=0
∂x
であるので、
∂v
=0
∂y
が得られる。これは、
v = const.
を意味するが、壁面で速度がゼロだから、結局、
v=0
である。
=
u u=
( y ), v 0 を NS 方程式に代入すると、NS 方程式は、
1 ∂p µ ∂ 2u
−
+
0=
∂x
∂y 2
ρρ
1 ∂p
0= −
ρ ∂y
(2.7)
(2.8)
となる。
これらより、圧力 p は x のみの関数、u は y のみの関数であることがわかり、結局、圧力
勾配 dp/dx が既知であれば、解くべき方程式は、
1 dp µ d 2u
0=
−
+
ρρ
dx
dy 2
ということとなる。
3
(2.9)
時間( 9:30 ~ 11:30 )
材料力学
問題1(配点50%)
図1.1のように、同一水平線上にある2本の片持ちはり AB, CD を、自由端 B, C におい
て、なめらかなピンを介して剛なブロックで連結する。はり AB, CD は、いずれも一様断
面で、長さは 、ヤング率は E、曲げの中性軸周りの断面二次モーメントは I である。図
1.1のように、点 BC 間の中央に、鉛直下向きに集中荷重 P を加えた時の、点 B, C の鉛直
下向き変位をとする。次の問に答えよ。なお、はりおよび剛ブロックの重量は無視する。
また、はり AB, CD に軸力は生じないものとする。
(1) P との関係を P = Kと表すとき、K を E, I およびを用いて表せ。
P
A
B

図1.1
D
C

剛ブロックをはさんで連結された2本の片持ちはり
つぎに、図1.2のように、一様断面の真直棒 AD(ヤング率 E, 断面積 A)を鉛直に立て、
断面 B および C のそれぞれの位置で、同一水平線上にある2本の片持ちはりに、なめらか
なピンを介して連結する。棒 AD の上端 A および下端 D に、鉛直下向きに軸荷重 P1 およ
び P2 をそれぞれ加える場合について、以下の問いに答えよ。ただし、棒およびはりの重量
は無視する。また棒 AD は、鉛直を保って変位する。はりは、いずれも長さは 、ヤング
率は E, 曲げの中性軸周りの断面二次モーメントは I である。また断面は二軸対称で、断面
係数は Z である。いずれのはりも、軸力は生じないものとする。
(2) 断面 B の二か所のピンにおいて、はりに作用する鉛直方向の力の合計を Q1、また
断面 C の二か所のピンにおいて、はりに作用する鉛直方向の力の合計を Q2 とする。
さらに、断面 B および C の鉛直下向き変位をそれぞれ1 および2 とする。Q1 と1
の関係および Q2 と2 の関係を求めよ。
(3) 棒 AD の AB 間、BC 間および CD 間に作用する軸力 TAB, TBC および TCD(引っ張り
を正)を、P1, P2, Q1, Q2 を用いて表せ。
(4) 問(2)、
(3)の結果を用いて、荷重 P1 と P2 が同時に作用したときの変位1 およ
び 2 を求めよ。
1
(5) P1 = P, P2 = 0 の場合について、4本の片持ちはりに生じる曲げ応力の中の最大値を
求めよ。
(6) P1 = P/2, P2 = P/2 の場合について、4本の片持ちはりに生じる曲げ応力の中の最大
値を求めよ。また棒 AD の AB, BC, CD 間の伸び量AB, BC, CD をそれぞれ求めよ。
(7) はりの断面が図1.3のような中空正方形断面のとき、中性軸周りの曲げに関する
断面係数 Z を求めよ。
P1
A
a
B
a
C
a
D


P2
図1.2
4本の片持ちはりと連結された鉛直に立てられた真直棒
b/2
b/2
b/4 b/4
b/4
中性軸
図1.3
b/4
はりの断面形状
2
b/2
b/2
問題2(配点50%)
(1) 図2.1に示すように、腕付きはり AC が水平に単純支持されており、腕の先端 E
に鉛直下向きに集中荷重 W が作用している。このとき、部材 ABC に関する、せ
ん断力図および曲げモーメント図を、以下の手順にしたがって求めよ。ただし、
部材 BC, DE の長さ b, d の間に、b > d という関係があるとする。
(1.1)A 点および C 点での鉛直上向きの支持反力を、それぞれ、RA, RC としたとき、腕
付きはり AC 全体に作用する力のつり合い、およびモーメントのつり合いから、
RA および RC を求めよ。
(1.2)腕付きはり AC を、図2.2に示すように、部材 ABC と BDE に分解して考える。
ここで、B 点に働く鉛直および水平方向の内力を、それぞれ、RB, QB、モーメン
トを MB とする(各々の正方向は図2.2に示すとおり)。部材 ABC に関する力の
つり合い、およびモーメントのつり合いより、RB, QB, MB を求めよ。
(1.3)A 点からの水平右方向の距離を x とする。また鉛直下方向に y 座標をとる。部材
ABC の距離 x における断面のせん断力 F(x)、および曲げモーメント M(x)を計算
し、図示せよ。せん断力 F(x)、および曲げモーメント M(x)の正の向きは、図2.
3に示す通りとする。
a
b
C
A
B
c
W
D
図2.1
d
両端単純支持された腕付きはり AC
a
A
E
x
b
QB
MB
C
F(x)
B
RA
RC
RB
RB
B
QB
y
x
MB
W
c
M(x)
E
D
d
図2.2
F(x)
M(x)
y
図2.3 F(x)および M(x)の正の向き
分解された部材 ABC と BDE
3
(2)
図2.1において、部材 AB, BC, DE の長さ a, b, d の間に、図2.4のように、b = 3a,
d = 2a という関係が成り立つとき、B 点でのたわみ角とたわみを、以下の手順に
したがって求めよ。ただし、部材 AB, BC の断面は一様であり、その曲げ剛性は、
ヤング率 E および断面二次モーメント I を用いて、EI と表せるとする。また、問
(1.3)で定義した座標 y により、以下のたわみ y1, y2 を測ることとする。
(2.1)AB 間におけるたわみを y1 とする。A 点から水平右方向の距離を x として、AB
間におけるたわみ角とたわみを、x の関数として表せ。ただし、たわみ y1 は垂直
下方向を正とする。
(2.2)BC 間におけるたわみを y2 とする。A 点から水平右方向の距離を x として、BC 間
におけるたわみ角とたわみを、x の関数として表せ。ただし、たわみ y2 は垂直下
方向を正とする。
(2.3)たわみ y1, y2 に関する A 点、C 点での境界条件、および B 点での接続条件を式で
表せ。
(2.4)問(2.3)の境界条件と接続条件をもとに、B 点でのたわみ角およびたわみを求
めよ。
a
3a
C
A
B
c
W
D
図2.4
E
2a
両端単純支持された腕付きはり AC
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