ルーマニアで発生した事件に対する当団体の対応と今後の取り組み

2012 年 10 月 16 日
各 位
特定非営利活動法人アイセック・ジャパン
代表理事会長 椿 弘次
ルーマニアで発生した事件に対する当団体の対応と今後の取り組みについて
目
次
1. はじめに
2. 本事件発生以降の当団体の対応
3. 海外研修プログラムにおける研修生送り出しプロセス
4. これまでの安全確保のための取り組み
5. 再発防止に向けた研修生の安全確保のための方策
6. 当団体の概要
1. はじめに
当団体が紹介した海外研修に参加する予定であった大学生が、8 月 16 日(日本時間)、
ルーマニアの空港に到着した後に殺害されるという凶悪な犯罪に巻き込まれました。最愛
のご家族を亡くされたご遺族の深い悲しみをお察しし、心からお悔やみ申し上げます。関
係各所の皆様には多大なご心配をおかけしたこと、また、この間当団体の対応について至
らない点がありましたことにつきましても、深くお詫び申し上げます。
今回は、当団体にとって初めて直面する事態であり、私どもの海外研修プログラムの過
程において、このような結果が発生してしまったことを厳粛に受け止め、本件に対するこ
れまでの対応状況及び今後の方針について、お知らせいたします。なお、事件の経緯の詳
細に関しては、公表を望まれないというご遺族のご意向に沿い、説明を控えさせて頂いて
います。
当団体においては、本事件発生を認識後、直ちに、代表理事会長である椿弘次(早稲田
大学 商学学術院 教授)を委員長とする緊急対策委員会を設置しました。また、専務理事
及びルーマニアから留学中のスタッフを現地に派遣し、事実関係の確認を行う等、別法人
であるアイセックの現地支部等の関係各所とも連携し、対応に当たってまいりました。こ
れまでの間、再発防止策を実施する体制を整えるため、研修生の新規募集を停止していま
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す。
当団体では、従来の体制に不十分な点がないか真摯に検証し、下記の再発防止策を策定
しました。なお、下記(1)から(3)については、実施体制の整備が完了した対策であり、(4)
から(6)に関しては、実施体制の整備が進行中の対策です。
(1) 危機管理能力・知識、語学能力についての研修生選考基準の引き上げ
(2) 海外活動危機管理ガイドラインのさらなる充実と、危機管理に関する講習会実施等に
よる、海外でのトラブル予防・対応に関する教育の徹底
(3) 充実した保険サービスの推奨によるトラブル発生時の対応体制の強化
(4) アイセックの現地支部及び国際本部との連携強化
(5) 海外安全対策委員会等を通じた、危機管理等の専門家から助言を得られる体制の整備
(6) 空港送迎等充実したサポート内容を備えた保険の包括的な契約の検討
アイセックは、第二次世界大戦直後、平和の永続を願うヨーロッパの学生により設立さ
れ、現在では、113 の国・地域で活動しています。当団体は、その日本支部として 1962
年に設立されました。設立以来 50 年にわたり、学生が運営主体となって、約 4000 名の日
本の学生に海外での就業体験の機会を、また、約 3000 名の海外の学生に日本での就業体
験の機会を提供してきました。
当団体は、研修生の安全確保のため、今後も引き続き、できうる限りの努力を尽くして
まいる所存ですので、何卒よろしくお願い申し上げます。
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2. 本事件発生以降
本事件発生以降の
以降の当団体の対応(以下、日本時間で記載)
団体の対応
8 月 16 日(木) アイセックのルーマニア支部が現地警察へ連絡。
8 月 17 日(金) 午前中に到着確認の連絡がとれなかったことから、内規に基づき、直ちに
緊急対策委員会を設置。
全国の活動拠点と連携し、海外研修中の研修生の安否確認をする等、研
修生の安全確保の再確認を開始。
8 月 18 日(土) 国際会議出席のためモスクワに滞在中であったアイセック・ジャパン専務
理事及びルーマニアから留学中のスタッフを現地に派遣。現地では、ア
イセックのルーマニア支部とも協力し、事実関係の把握等に当たると同
時に、アイセックのルーマニア支部及び国際本部とも連携して、対応に
取り組んでいくことを確認。
8 月 20 日(月) 事件の詳細に関して公表を望まれないというご遺族のご意向を確認し、公
式声明をホームページ上にて発表。
(http://www.aiesec.jp/info/2012-08/5147.html)
再発防止に向け、従来の海外研修プログラムの運営体制の再検証、改善
方法の策定等に着手。以降、随時、専門家から助言を頂きながら検討を
継続。
8 月 22 日(水) 玄葉外務大臣が、本事件について、被害者氏名を含む公表をしたことを踏
まえ、公式声明をホームページ上にて発表。
(http://www.aiesec.jp/info/2012-08/5166.html)
また、事件発生後、当団体ホームページへのアクセスが集中し、表示さ
れにくい状況が続いていたため、お詫びを公式ホームページ上に掲載。
8 月 27 日(月) 全国の活動拠点の責任者を招集し、本件についての情報共有、当面の対応
策の確認を目的とする緊急会議を開催。
9 月 1 日(土)
アイセックの国際本部との間で、統一的なルール変更等の制度改善に関す
る協議を開始。
9 月 2 日(日)
全国の活動拠点の責任者との会議を開催。再発防止策に関する運用上の課
題の検証を実施。
9 月 13 日(木) 事務局において、再発防止策の草案を作成。当該草案に対し、再度、専門
家からの助言を頂く。
9 月 15 日(土) 再発防止策における運用上の課題を明らかにするため、全国の活動拠点か
ら再発防止策草案に対する意見の募集を開始。
9 月 25 日(火) 専門家からの助言、全国の活動拠点からの意見をもとに、草案を修正。
10 月 5 日(金) 代表理事会長、副会長、その他の理事により、再発防止策の最終案を決定。
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10 月 15 日(月) 社員総会にて、再発防止策についての計画を承認。
なお、再発防止策の策定にあたり、計 13 名の様々な分野の専門家に助言を頂きました。
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3. 海外研修プログラムにおける研修生送り出しプロセス
海外研修プログラムにおける研修生送り出しまでのプロセスは、概ね下記のとおりで
あり、全てのプログラムで同様のプロセスを経ています。このプロセスの内容は、研修生
と当団体との契約条件を定めた「海外研修プログラム参加規約」にも記載されており、研
修生には、下記のプロセスを承諾した上で、海外研修プログラムに参加して頂いています。
(1) 海外研修プログラムに参加の申込みを頂いた場合、下記の点等について、書類や外部
の面接官による面接(日本語及び英語)等によって審査します。その結果、一定の条
件を満たす方に限り、当団体との間で、海外研修プログラム参加に関する契約を締結
し、プログラム参加費 4 万円をお支払い頂きます。
• 一定水準以上の外国語の能力があること
• 未成年の場合は、親権者の同意があること
• その他、海外研修プログラムに参加頂くにあたり支障がないこと等
(2) 当団体は、研修生に、研修先機関を検索するためのデータベース・システムを提供し
ます。研修生は、自分の情報を登録した上で、アイセックの海外支部が登録した研修
先の情報の中から、自分の希望(研修先の国・地域、研修内容、時期・期間等)に沿
った研修先を検索します。その際、下記 4.「これまでの安全確保のための取り組み」
のとおり、海外活動危機管理ガイドラインに基づき、治安が悪化している国・地域を
選択することはできません。
(3) 研修生・研修先機関の双方の希望条件が合致すると、双方の合意により、研修先が決
定します。アイセックの現地支部等との調整が必要な場合には、適宜、当団体が支援
します。
(4) 研修生は、アイセックの現地支部とも連絡をとりながら、各自の都合も考慮して下記
の準備を行い、研修先の国・地域に渡航します。
• ビザ取得の手続き
• 航空券等、渡航手段の手配
• 滞在先(アパート、ホームステイ等)の確保
• 海外旅行傷害保険への加入、予防接種の実施
• 渡航、現地での生活に必要な情報の調査
• 海外活動危機管理ガイドラインの再確認
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4. これまでの安全確保のための取り組み
上記 3.「海外研修プログラムにおける研修生送り出しプロセス」のプロセスに際し、研
修生の安全確保のために、これまで当団体が実施していた主な対策は、下記のとおりです。
(1)海外活動危機管理ガイドラインを策定し、事前に研修生に配布(治安・予防接種等
に関する情報収集の方法、危機に遭遇した場合の対処方法、チェックリスト等を
掲載)
(2)外務省が提供する安全情報を基準とし、治安の悪化している国・地域への渡航を禁止
(研修開始後の中止についても同様の基準)
(3)渡航前に、研修生に対して、適宜、危機管理に関する講習会を実施
(4)海外旅行傷害保険への加入を義務付け
(5)研修生と家族等・当団体の間で、到着直後の確認連絡、その後の定期連絡を実施
(6)研修生が危機に遭遇した場合における緊急対策委員会の設置
上記(1)のとおり、当団体では、研修生の安全確保のための「海外活動危機管理ガイド
ライン」を策定して、事前に研修生に配布しており、その概要は、下記のとおりです。海
外活動危機管理ガイドラインでは、治安・予防接種等に関する情報収集の方法、滞在中の
感染症予防等、渡航にあたり注意すべき事項について情報を提供するとともに、収集すべ
き情報を列挙し、また、必要な準備を遺漏なく行うためのチェックリストを提供し、研修
生に確認して頂いています。
この海外活動危機管理ガイドラインを遵守することは、研修生と当団体との契約条件を
定めた「海外研修プログラム参加規約」においても明記されています。また、海外研修プ
ログラム参加規約においては、上記 3.「海外研修プログラムにおける研修生送り出しプロ
セス」の海外研修プログラムの概要の他、渡航前に緊急連絡先をはじめとする海外研修に
関する情報を研修生・家族等・当団体で共有すること等が定められています。
(a) 渡航前
• 研修先機関の検索・選定の段階で、外務省が提供する 4 種類の危険情報
(http://www.anzen.mofa.go.jp)のうち、「渡航の是非を検討して下さい」、「渡
航の延期をおすすめします」、「退避を勧告します」の 3 種類の危険情報が出さ
れている国・地域は、研修先として選択することができないよう、システム上の
措置を施しています。また、「十分注意して下さい」という危険情報が出されて
いる場合には、研修生ごとに個別の事情に応じて判断頂いています。
• 研修先の決定後、渡航前に、研修先の国・地域の危険情報が上記 3 種類の危険情
報レベルまで変更された場合は、原則として、他の国・地域の研修先を探しなお
すこととし、また、必要に応じて、契約延長等の措置をとっています。
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• 厚生労働省検疫所が提供する情報等を基に、渡航先の国・地域に応じて、予防接
種を受ける必要があります。
• 海外旅行傷害保険への加入を海外研修プログラムの参加必須条件の一つとして定
めています。短期の海外旅行だけでなく、海外研修での滞在も補償対象となる海
外旅行傷害保険への加入を必須としています。
(b) 滞在中
• 家族等及び当団体に対しては、到着直後の確認の連絡をはじめ、その後も、定期
的な連絡をして頂いています。
• 旅券法上は、3 ヶ月以上の滞在の場合には、在外公館への在留届の提出が必要です
が、3 ヶ月未満の滞在でも在留届を提出して頂いています。
• 研修先の国・地域について、外務省が提供する危険情報が、上記(a)の 3 種類に変
更された場合には、原則として、当該研修生の海外研修を中止することとしてお
り、その決定までのプロセスを定めています。
(c) 危機に遭遇した場合の対応
• 病気・怪我等の場合は、アイセックの現地支部に協力を依頼し、家族等、保険会
社、当団体に状況を報告することとしています。
• 災害、政変等の場合は、在外公館とも相談の上で安全な場所に退避し、家族等、
当団体に状況を報告することとしています。
• 当団体において、危機を察知した場合には、研修生、アイセックの現地支部、家
族等と連携し、研修生からの消息が途絶えた場合等には、当団体内に緊急対策委
員会を設置して対処します。
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5. 再発防止に向けた研修生の安全確保のための方策
(1) 実施体制の整備が完了した対策
当団体では、本件を受けて、研修生の応募から契約・渡航・海外研修の実施中・帰
国までの各プロセスにおいて、当団体の海外研修プログラムが現在孕んでいるリスク
の洗い出しを全面的に行い、研修生送り出しにおける危機管理体制のさらなる改善に
取り組んでいます。短期的には、(a)研修生選考基準の引き上げ、(b)海外でのトラブ
ル予防と対応に関する教育の徹底、(c)トラブル発生時の対応体制の強化の 3 つの対策
を実施します。これらに関しては、実施体制の整備が完了しています。
なお、これらの対策の検討にあたっては、今回の事件発生後に、海外における安全
確保について専門的な知見を有する機関、当団体と同様に海外に人員を派遣している
機関等の助言のもと、より効果的な安全確保のための方法を策定しています。
(a) 研修生選考基準の引き上げ
当団体では、従来、研修生との契約締結に先立ち、書類審査や面接(日本語及び
英語)により、語学能力その他の審査を行っていましたが、危機管理・対応能力に
関する選考基準を厳格化し、研修生として送り出す際の基準を見直しました。
•
危機管理能力・知識について
従来、危機管理に関して最低限の意識を持った学生を選抜するため、外部面
接官による面接を実施していました。今後は、これに加えて、海外への渡航・
現地での生活に最低限必要な危機管理能力・知識について定量的に測る試験を
実施し、この試験に合格することを審査条件として追加します。
【危機管理テストの出題内容例】
カテゴリー
出題内容例
防犯対策の基本
以下に記載した文章が正しいか否か答えなさい。
アイセックの講じる安全対策のみを守れば、安全対策
は十分である。
渡航前の準備
現地到着後、すぐに連絡をとれる手段を確保する為、
危機管理ガイドライン内で持参を推奨しているものを
2つ挙げなさい。
渡航途中及び現地
渡航後に、外務省の海外安全ホームページにて発信さ
到着後
れている危険情報が「十分注意して下さい」から「渡
航の是非を検討して下さい」に引き上げられた場合、
研修を続行できるか否か答えなさい。
トラブル発生時
自然災害・政変の際の対応策として、以下に記載した
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文章が正しいか否か答えなさい。
1.まずは身の危険が守れる場所へ逃げる。動き方につ
いては日本のアイセックへ相談する。
2.どんな場合でも、早急に帰国する。
3.渡航先のアイセック担当者及び、日本の保護者、日
本のアイセックへ状況を連絡する。
渡航先の情報収集
以下に記載した文章が正しいか否か答えなさい。
在外公館や病院、警察の情報は渡航後に調べれば良い。
•
語学能力について
語学能力が不十分な場合には、研修生が、アイセックの現地支部のスタッフ、
海外研修先のスタッフ、その他現地の人々との間のコミュニケーションにおい
て誤解が生じ、トラブルの発生要因となる可能性があります。さらに、トラブ
ルに巻き込まれた際に、適切に対応し、被害を最小限に抑えるには、語学能力
が不可欠であることから、従来よりも高度な英語能力を選考基準とします。従
来の参加条件としていた英語能力検定試験について、下記のとおり、基準を引
き上げ、下記の基準以上の成績または資格を取得していることを海外研修への
参加条件とします。
【参加条件となる英語能力検定試験のスコア】
英語能力検定試験
従来の基準
今後の基準
600 点以上
730 点以上
PBT
500 点以上
550 点以上
iBT
61 点以上
80 点以上
IELTS
5.0 点以上
6.5 点以上
英検
準 1 級以上
準 1 級以上
TOEIC
TOEFL
(b) 海外でのトラブル予防・対応に関する教育の徹底
•
海外活動危機管理ガイドラインのさらなる充実
海外活動危機管理ガイドラインを改訂し、研修生の安全確保のために有用な
情報の追加等、さらなる記載内容の充実を図ります。当ガイドラインでは、参
加者が渡航前に行うべき危機管理に関する準備事項のチェックリストを設け、
その事項に関して渡航前に十分に確認して頂きます。また、海外活動危機管理
ガイドラインに定められた準備事項の履行状況及び収集した情報を当団体に提
出して頂くことにより、渡航前に準備が完了したことを当団体が確認します。
また、その情報は、研修生及び家族等にも保管して頂きます。
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【研修生が研修前に収集する情報例】
項目
研修生から提出頂く情報
(1) 渡航手段に関する情報
■フライト等の交通手段
往路復路のそれぞれの航空便のフライトナ
ンバー等、交通手段に関する情報
往路復路のそれぞれの便の発着日時
経由地の有無、時間
経由地での滞在場所
■出迎えの情報
待ち合わせ場所、時刻
迎えに来る担当者の氏名、所属
担当者の連絡先(電話番号、Email アドレ
ス、Skype ID)
緊急時の代理担当者の氏名、所属
代理担当者の連絡先(電話番号、Email ア
ドレス、Skype ID)
■空港到着後の移動経路
経路・手段
※乗換等があり、複数の交通手段を利用す
る場合は、利用する手段別に経路を記載。
宿泊先到着予定時刻
(2) 研修先の国・地域に関する情報
■アイセックの現地支部
の連絡先
担当者の氏名、所属、連絡先(電話番号、
E-mail アドレス、Skype ID)
責任者の氏名、連絡先(電話番号、E-mail ア
ドレス、Skype ID)
■研修先の機関
名称
住所
電話番号
担当者氏名
■渡航先の在外公館
住所
電話番号
■病院
名称
住所
電話番号
■警察
住所
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電話番号
■滞在先
名称
滞在形態(トレイニーハウス、ホームステ
イ等)住所
電話番号
■現地連絡手段
携帯電話番号(現地でつながるものがあれ
ば)
Global Wifi の持参の有無
(3) 研修生に関する情報
■パスポート等の情報
パスポートとそれ以外の身分証明書(免許
証や健康保険証など)のコピー
パスポートナンバー
生年月日
■保険情報
加入した保険会社名
保険加入番号
24 時間伝言サービスの有無
緊急時送迎手配サービスの有無
■保護者の連絡先
氏名、続柄
電話番号
Email アドレス
■アイセックの日本支部
の連絡先
担当者(正・副)の氏名
担当者(正・副)の連絡先(電話番号、Email
アドレス、Skype ID)
•
海外における危機管理に関する講習会の実施
当団体では、従来、研修生の渡航前に、適宜、危機管理や現地生活等に関す
る講習会を実施していましたが、さらに充実した内容とします。講習会ではケ
ーススタディを用いる等、海外への渡航時や現地での生活を具体的に想定した
トレーニングを行い、研修生の知識不足や不注意によるトラブルの防止を図り
ます。
なお、全ての研修生について、①上記ガイドラインの記載内容を中心に準備が全
て完了すること、②危機管理に関する講習会に参加することを、渡航前に、必ず実
施して頂きます。
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(c) トラブル発生時の対応体制の強化
•
充実した保険サービスの推奨
従来、研修生には渡航前に、海外旅行傷害保険に加入して頂くことをプログ
ラムの参加条件としていましたが、保険の内容に関しては、長期滞在が補償対
象であることを推奨するに留まっていました。今後は、緊急時における 24 時間
の電話対応や空港送迎等の充実したサポートが含まれる保険の情報を提供し、
研修生に対し、加入を推奨します。
(2) 実施体制の整備が進行中の対策
上記(1)の実施体制の整備が完了した対策に加え、当団体では、中長期的な視点から
下記の対応を進めています。
(a) アイセックの現地支部及び国際本部との連携の強化
当団体を含む 113 の国・地域のアイセック支部は、各々がアイセックのネットワ
ークに加盟する団体であり、活動実態上も法形式上も独立した別個の主体です。し
たがって、当団体からアイセックの現地支部を直接、指揮・命令する関係にはなく、
各国・地域の団体がアイセックの国際本部の定めるルールにしたがって活動してい
ます。当団体では、研修生の安全確保をより確かなものとするための当該ルールの
充実、遵守されない場合の厳格な罰則制度の導入等の改善を国際本部に対して、要
望しています。
また、アイセックの現地支部と研修生との間の連絡状況等を把握し、随時、現地
支部との連携の強化も図ります。
(b) 危機管理等の専門家から助言を得られる体制の整備
当団体の理事会は、大学教員及び学生の責任者で構成されており、活動の根幹と
なる方針を理事会で承認した後、日常的な運営は、専務理事以下の学生が担ってい
ます。当団体では、このような体制を補強するため、経済界・学術界等各分野の有
識者に顧問・諮問委員への就任をお願いし、適宜助言を頂いていますが、今後は、
さらに多様な分野の有識者から助言を頂くことができる体制を整備してまいります。
特に、海外に日本人を一定期間派遣する活動(企業の海外勤務や海外インターン
シップ、海外ボランティア、留学等)に携わった経験のある海外活動・生活の危機
管理の有識者を恒常的なアドバイザーとして迎え入れて、半年に一度程度、危機管
理体制に関する助言を頂くための、海外安全対策委員会を開催し、危機管理に関し
て、弛まぬ改善策を検討し続けます。また、有事の際に対応方法について助言を頂
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ける方を迎え入れ、有事の際に迅速かつ適切に対応を行えるよう、体制を強化して
いきます。
(c) 包括的な保険契約の検討
緊急時における 24 時間の電話対応や空港送迎等の充実したサポート内容を備え
た保険について、当団体が保険会社と包括契約を締結し、当団体の全ての研修生に
対して、同一の保険サービスを適用することを検討します。
なお、当団体は、本事件発生後、再発防止策を確実に実施してゆける体制が整うまでの
間、研修生の新規募集を停止しています。今後、複数の外部の専門家によって構成される
海外安全対策委員会の開催を、10 月下旬以降に設置を予定しており、当該委員会の了承が
得られた場合、研修生の新規募集を再開します。再開の際には、当団体公式ホームページ
にてお知らせします。
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6. 当団体の概要
特定非営利活動法人アイセック・ジャパンは、次世代を担う若者に対して、異文化や実
社会と接する機会の提供を重視した事業を行うことにより、国際性及び社会性を兼ね備え
た人材を育成すること、また、人材が主体性を持って将来的に国際社会に貢献することで、
社会全体の利益の増進に寄与することを目的としています。
現在は、①日本の学生を海外に送り出し、海外の企業・NGO 等の団体での研修機会を提
供する事業(海外研修生送り出し事業)と、②海外の学生を日本に受け入れ、国内の企業・
団体等での研修機会を提供する事業(海外研修生受け入れ事業)を主幹事業としています。
当団体は、設立以来 50 年間にわたり、約 4000 名の日本の学生に海外の企業や NGO 等で
の就業体験の機会を、また、約 3000 名の海外の学生に日本での就業体験の機会を提供し
てきました。また、昨年度は、約 450 名の日本の学生を海外に送り出し、約 100 名の海外
の学生を日本に受け入れました。
団体名
特定非営利活動法人アイセック・ジャパン
(英名)
(AIESEC in Japan)
所轄庁
東京都
設立
1962 年 設立(2001 年 特定非営利活動法人格取得)
代表者
椿 弘次 (早稲田大学 商学学術院 教授)
活動分野
(1) 国際協力の活動
(2) 社会教育の推進を図る活動
(3) 前各号に掲げる活動を行う団体の運営または活動に関する連絡、また
は援助の活動
事業
(1) 海外研修生受け入れ事業
(2) 海外研修生送り出し事業
(3) 会員団体の設立、運営を支援する事業
(4) その他目的を達成するための教育、啓蒙に必要なセミナー事業
(5) その他目的を達成するために必要な事業
以上
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