『お客さま評価日本一』という戦略を掲げる損保ジャパンの - Hay Group

12
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Visionary Leaders ③
『お客さま評価日本一』という戦略を掲げる損保ジャパンの
リーダーは、異論に耳を傾け、人間力の重要性を力説する
ることになりました。
いった発 想はありません。基 本
もう1 つは、2014 年 9 月1日に
的に人間というのは、国籍の違
予定している日本興亜損保と損
いなどは関係なくて、あえて言え
̶̶ ところで、これからの世の
保ジャパンの合併に備え、この 4
ば風土や文化という観点も含め
中は、どう変わっていくと思われ
月から2 社の『実質合併』という
て、経 験と努 力の差しかないと
ますか?
ます。
取り組みにチャレンジしています。 思っています。
グロー バルな 視 点 で 見ると、
激戦が続く損保業界で、統合、合併を経て世界的企業として成長する損保
A 社の取締役が B 社の執行役
また、
「異 論を尊ぶ」といって
BRICs、そしてアジアの新興国が
ジャパンの専務として、最前線を牽引する西澤氏。オンとオフはなるべくはっ
員を兼務するという、保険業界始
も、彼らの言うことを鵜呑みには
伸びています。その後はアフリカ
きり分け、中国の古典がいう王道、人間力の重要性をいつも意識するという。
まって以来の認可をいただいて、 するわけではありません。つまり
が勢いを増すということではない
個々の人間に大差はなく、経験と努力が違う結果をもたらすだけという信念
この 4月に日本興亜損保の専務
「このやり方がドイツで成功した」
で、保険業界で初めて合併を予定する2 つの会社の専務を務める新しいタ
執行役員にも就任しました。こち
と言われても、同じことをやって日
ことだと思います。
イプのリーダーにお話をうかがった。
らでも、企画部門全般を担当す
本でも成功するかどうかはわから
一方、消費者ニーズという観
る形になっています。
ない、という思いを持つのです。
点で見ると、なかなか一極とか二
これから店舗やシステムを統合
大切なのはディスカッションだ
極で説明するのは難しくなってき
していきますが、意思決定の仕組
と思います。自分の考えと違うと
ています。ある国の5 年、10 年先
経歴 1980年4月、
安田火災海上保険株式会社(現 株式会社損害保険ジャパン)入社。以降、
富山支
みとしては「1will(ワンウィル)体
きに、
「なぜ、あなたはそう思うん
の消費者動向というのは、極めて
店長、
自動車業務部長を経て、2008年4月に執行役員営業企画部長。 10年4月、常務執行役員。 同
制」にすることとし、役員の相互
だ?」、
「なぜ、そういうことをやっ
多角的に想定する必要があるだ
兼務による一体化運営にチャレン
ているんだ?」
というように、ディス
ろうと思います。
ジしています。
カッションを通じて課題について
ただ、一 点、あらゆる場 所で
の理解を深めていきます。
共通して、IT の世界は変化し続
西澤 敬二
株式会社損害保険ジャパン
取締役専務執行役員
年6月、取締役常務執行役員。13年4月、取締役専務執行役員。 <兼職先>NKSJホールディングス
株式会社 取締役執行役員、
日本興亜損害保険株式会社 専務執行役員。
けるような気はします。我々が今
̶̶ さらに組織が大きくなるわ
職業人として意識を
芽生えさせてくれた原体験
きの印象は今でも鮮烈に残ってい
だったと思います。
ます。
でしょうか。マクロ的にはそういう
けですが、その際、何が大切にな
̶̶ ディスカッションをするのは、 想定できていないような変化が、
るとお考えですか?
必ずしも結論を得るためだけで
これからも起こってくる可能性は
保険業界に入ったのは、
「社会
̶̶ ある種 の 原 体 験で、そこ
一言でいえば「ダイバーシティ」
はない?
あると思います。今の子どもたち
に貢献できる仕事を」
と面接試験
が軸足になっていると。
と言えます。「異論を尊ぶ」
という
物事の本質を追究したい、突
の何十年後は、我々とは違う感
̶̶ これまで の 社 歴 の 中 で、 では言いましたけれど、本当に真
そうです。私はいつも
「原理原
言い方もできます。
き詰めたいという気持ちですね。 覚の大人になっているかもしれま
印象深いご体験は?
剣には、考え抜いていなかったか
則を貫け」と言っています。
「会
組織が大きくなると、内向きや
私自身が興味を持ったことにつ
せんし、また、IT 技術の革新に
私は「教育の安田」
といわれた
もしれません。比較的ファジーな理
社の原理原則」ではなくて、
「お
前例主義になりやすいということ
いて、物事の本質を深く知りた
より、これから成長するであろう
安田火災の出身で、当時は新人
由で、当時人気の高い会社を受
客様にとってどうかという意味で
を、私自身はとても気にしていま
いという気 持ちを強く持ってい
各国が、先進国がこれまで歩ん
研修を1 年間実施する珍しい会
けて内定が一番に出たこともあり、 の原理原則」
、信念を持ってこれ
す。社員には「同じような意見だ
社でした。この1年間の研修後に
縁を感じて入社しました。
けを集めるのではなく、多様な意
名古屋の保険金サービスの部署
研修を終えて正式に配属となり
に配属されました。
実践的に仕事をしてみて、お客様
初めてお客様のご自宅をうか
にお喜びいただけたこの経験は
がったのは建物が全焼した案件
大変印象に残る出来事でした。
で、どのようにお客様に声をおか
青臭いと笑われてしまうかもしれ
けしていいのかを電車の中で考え
ませんが、
「この仕事は単純に保
̶̶グループの中で、現 在はど
ながら向かいました。
険金をお払いするのではなく、お
のような職責を?
現地に着くと、ご主人様はもう
客様の生活を助け、ありがとうとい
2012 年度から企画部門全般
意気消沈しておられましたが、保
う気持ちになっていただける仕事
を担当していますが、今年からは
̶̶ダイバーシティというお話が
険金として臨時費用などもお支払
なのだ」
と強く感じました。
新しい仕事が 2 つ増えました。
出ましたが、日本 人 以 外とのコ
いできるということをお伝えしたとこ
その後もいろいろな部署で幅広
1 つは当社が進めている『お客
ミュニケーションでは、何か工夫
ろ、
「これで、これからの生活がで
い仕事を経験しましたが常にその
さま評価日本一 / No.1』
という戦
などをしておられますか?
きます」
と大変喜ばれました。入社
気持ちが根底にあり、職業人とし
略を加速するため、お客さま評価
例えば、先日もドイツに出張し
して30 年以上経ちますが、あのと
ての基 礎が形 成された出来 事
日本一 /No.1 推進本部を担当す
ました が、
「ドイツ人 だ から」と
を伝えています。
見を尊び、丁寧に聞いていこう。そ
異論を尊ぶ文化を
大切にしたい
れが会社を強くしていく」
と話をし
ています。
ディスカッションの中から
本質を引き出す
12
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Visionary Leaders ③
『お客さま評価日本一』という戦略を掲げる損保ジャパンの
リーダーは、異論に耳を傾け、人間力の重要性を力説する
ることになりました。
いった発 想はありません。基 本
もう1 つは、2014 年 9 月1日に
的に人間というのは、国籍の違
予定している日本興亜損保と損
いなどは関係なくて、あえて言え
̶̶ ところで、これからの世の
保ジャパンの合併に備え、この 4
ば風土や文化という観点も含め
中は、どう変わっていくと思われ
月から2 社の『実質合併』という
て、経 験と努 力の差しかないと
ますか?
ます。
取り組みにチャレンジしています。 思っています。
グロー バルな 視 点 で 見ると、
激戦が続く損保業界で、統合、合併を経て世界的企業として成長する損保
A 社の取締役が B 社の執行役
また、
「異 論を尊ぶ」といって
BRICs、そしてアジアの新興国が
ジャパンの専務として、最前線を牽引する西澤氏。オンとオフはなるべくはっ
員を兼務するという、保険業界始
も、彼らの言うことを鵜呑みには
伸びています。その後はアフリカ
きり分け、中国の古典がいう王道、人間力の重要性をいつも意識するという。
まって以来の認可をいただいて、 するわけではありません。つまり
が勢いを増すということではない
個々の人間に大差はなく、経験と努力が違う結果をもたらすだけという信念
この 4月に日本興亜損保の専務
「このやり方がドイツで成功した」
で、保険業界で初めて合併を予定する2 つの会社の専務を務める新しいタ
執行役員にも就任しました。こち
と言われても、同じことをやって日
ことだと思います。
イプのリーダーにお話をうかがった。
らでも、企画部門全般を担当す
本でも成功するかどうかはわから
一方、消費者ニーズという観
る形になっています。
ない、という思いを持つのです。
点で見ると、なかなか一極とか二
これから店舗やシステムを統合
大切なのはディスカッションだ
極で説明するのは難しくなってき
していきますが、意思決定の仕組
と思います。自分の考えと違うと
ています。ある国の5 年、10 年先
経歴 1980年4月、
安田火災海上保険株式会社(現 株式会社損害保険ジャパン)入社。以降、
富山支
みとしては「1will(ワンウィル)体
きに、
「なぜ、あなたはそう思うん
の消費者動向というのは、極めて
店長、
自動車業務部長を経て、2008年4月に執行役員営業企画部長。 10年4月、常務執行役員。 同
制」にすることとし、役員の相互
だ?」、
「なぜ、そういうことをやっ
多角的に想定する必要があるだ
兼務による一体化運営にチャレン
ているんだ?」
というように、ディス
ろうと思います。
ジしています。
カッションを通じて課題について
ただ、一 点、あらゆる場 所で
の理解を深めていきます。
共通して、IT の世界は変化し続
西澤 敬二
株式会社損害保険ジャパン
取締役専務執行役員
年6月、取締役常務執行役員。13年4月、取締役専務執行役員。 <兼職先>NKSJホールディングス
株式会社 取締役執行役員、
日本興亜損害保険株式会社 専務執行役員。
けるような気はします。我々が今
̶̶ さらに組織が大きくなるわ
職業人として意識を
芽生えさせてくれた原体験
きの印象は今でも鮮烈に残ってい
だったと思います。
ます。
でしょうか。マクロ的にはそういう
けですが、その際、何が大切にな
̶̶ ディスカッションをするのは、 想定できていないような変化が、
るとお考えですか?
必ずしも結論を得るためだけで
これからも起こってくる可能性は
保険業界に入ったのは、
「社会
̶̶ ある種 の 原 体 験で、そこ
一言でいえば「ダイバーシティ」
はない?
あると思います。今の子どもたち
に貢献できる仕事を」
と面接試験
が軸足になっていると。
と言えます。「異論を尊ぶ」
という
物事の本質を追究したい、突
の何十年後は、我々とは違う感
̶̶ これまで の 社 歴 の 中 で、 では言いましたけれど、本当に真
そうです。私はいつも
「原理原
言い方もできます。
き詰めたいという気持ちですね。 覚の大人になっているかもしれま
印象深いご体験は?
剣には、考え抜いていなかったか
則を貫け」と言っています。
「会
組織が大きくなると、内向きや
私自身が興味を持ったことにつ
せんし、また、IT 技術の革新に
私は「教育の安田」
といわれた
もしれません。比較的ファジーな理
社の原理原則」ではなくて、
「お
前例主義になりやすいということ
いて、物事の本質を深く知りた
より、これから成長するであろう
安田火災の出身で、当時は新人
由で、当時人気の高い会社を受
客様にとってどうかという意味で
を、私自身はとても気にしていま
いという気 持ちを強く持ってい
各国が、先進国がこれまで歩ん
研修を1 年間実施する珍しい会
けて内定が一番に出たこともあり、 の原理原則」
、信念を持ってこれ
す。社員には「同じような意見だ
社でした。この1年間の研修後に
縁を感じて入社しました。
けを集めるのではなく、多様な意
名古屋の保険金サービスの部署
研修を終えて正式に配属となり
に配属されました。
実践的に仕事をしてみて、お客様
初めてお客様のご自宅をうか
にお喜びいただけたこの経験は
がったのは建物が全焼した案件
大変印象に残る出来事でした。
で、どのようにお客様に声をおか
青臭いと笑われてしまうかもしれ
けしていいのかを電車の中で考え
ませんが、
「この仕事は単純に保
̶̶グループの中で、現 在はど
ながら向かいました。
険金をお払いするのではなく、お
のような職責を?
現地に着くと、ご主人様はもう
客様の生活を助け、ありがとうとい
2012 年度から企画部門全般
意気消沈しておられましたが、保
う気持ちになっていただける仕事
を担当していますが、今年からは
̶̶ダイバーシティというお話が
険金として臨時費用などもお支払
なのだ」
と強く感じました。
新しい仕事が 2 つ増えました。
出ましたが、日本 人 以 外とのコ
いできるということをお伝えしたとこ
その後もいろいろな部署で幅広
1 つは当社が進めている『お客
ミュニケーションでは、何か工夫
ろ、
「これで、これからの生活がで
い仕事を経験しましたが常にその
さま評価日本一 / No.1』
という戦
などをしておられますか?
きます」
と大変喜ばれました。入社
気持ちが根底にあり、職業人とし
略を加速するため、お客さま評価
例えば、先日もドイツに出張し
して30 年以上経ちますが、あのと
ての基 礎が形 成された出来 事
日本一 /No.1 推進本部を担当す
ました が、
「ドイツ人 だ から」と
を伝えています。
見を尊び、丁寧に聞いていこう。そ
異論を尊ぶ文化を
大切にしたい
れが会社を強くしていく」
と話をし
ています。
ディスカッションの中から
本質を引き出す
14
15
できた歴史を繰り返していくとい
からには情熱を傾けてやりたい」
が多いですね。なかでも、孟子
ことを自分でも意識してきたつも
うことではないかもしれません。
という気持ちは、非常に強いか
などが好きです。
りです。
もしれません。
課長時代や部長時代は若気
の至りで、そういうものを引っ張
̶̶ 決断する上で、ご自身とし
̶̶スポーツは何を?
り出して、少し皆さんにお話しし
て心がけていることは?
私は高校、大学時代は運動
たこともあります。
日々起こることは、部 下も悩
部でテニスに明け暮れていまし
孟子というのは、いわゆる「仁
んで相談に来たり、決断を求め
̶̶このごろは、生まれたとき
た。そのころの仲間とは、今でも
義」、仁と義の王道政治を説い
に来たりしますが、私に決断を
からウェブがあった「ウェブネイ
頻繁にゴルフや酒を酌み交わし
た思想家ですから、そういう意
求めるようなことは、端的にいえ
テニスに情熱を傾けた
時代も
ティブ世代」という言い方がある
て交流を深めています。また、私
味では「徳」というものを大事に
ば 51 対 49というようなことが実
そうですが、子どものころに、こ
は基本的にオンとオフがはっきり
した教えが多い。
は多いわけです。プラスとマイ
んな職業に就きたいといった夢
していて、できる限り、土日には
自分ができているとは思わな
ナスが 10 対 0 や 8 対 2 のレベル
はありましたか?
仕事を入れないようにしています。
いし、心がけているだけですけ
であれば、優秀な部下は、自分
れど、部下を持つマネジャーに
で 結 論 を出します。もちろん、
きです。もう1 つは、富山支店長
でも、価値観というものをしっか
飛行機のパイロットをやってみ
たいと、単純な憧れはありました。
̶̶ 最近、これは面白かった
なったら、あるいは偉くなればな
最後の最後に、ちょっと背中を
として、200 人ぐらいの部下を束
りと共有する。そこに共通点を
僕らが幼稚園とか小学校低学
なという本はありますか?
るほど、
「人間というのは知識や
押してほしいという場 合はそう
ねたときです。
見いだせなければ、とことんディ
年のころは、テレビゲームもあり
最近は、
「株式会社 JR 東日本
スキルじゃなくて、人 間 力が問
します。
思うようにいかないことが山ほ
スカッションをしなければいけな
ませんし、野原で野球や鬼ごっ
テクノハートTESSEI」という清
われてくるものだ」と、常日ごろ
51 対 49ということは、つまり
どあって、一生懸命やっていた
い。そうすることで、戦略も実現
こをするか、家の中でプラモデ
掃会社で、日本一のサービス会
言っており、
「人間性を磨かずし
「こちらを立てれば、あちらが立
のに部下に届いていない、言っ
していくと思っています。
ルを一生懸命つくるような時代
社ではないかと思うのですけれ
て、人 の 上に立ってはいけな
たず」という状況の中で決断を
たことがなかなか実現していか
本当の真ん中にある価値観
でした。そのうちに飛行機という
ど、これを書いた『新幹線お掃
い」ということだと思っています。
迫られるわけです。だから、部
ない。そんな失敗は山ほどあるし、
を共有できたら、あとは、若い人
のは格好いいな、
「自分で操縦
除の天使たち』
という本がありま
自分ができているとは言い難い
下も非常に困る。
熱く語ったつもりなのですが、そ
たちのいいアイディアもあるし、
してみたいな」
と思うようになりま
して、感動しましたね。実に素晴
のですが、そういう話をよくして
そのときに大事なのは、まず
れが逆に皆を冷めさせてしまっ
私が気がつかなかったようなや
らしいと思いました。
います。
そ の 企 業 の 哲 学 や、
それを成し遂げようとす
る情 熱に触れたときに、
心底感じ入るものがあり
ビジョンを示すのが
経営者の仕事
ます。当社よりも素晴ら
部下の話を聞いてあげるという
たり。そういういろいろな経 験、
り方を提案してくれるケースも多
ことです。聞いた上で、早く決
失敗の繰り返しがあって、人間
いので、そういうのはどんどん採
断 を 下して あ げ る。さらには、
は反省しますよね。反省すれば
り入れていきます。
決断したらブレないということだ
「自分を変えなければいけない」
したがってリーダーは、成し
と思 います。そ れさえ貫 けば、
と思いますが、それが一番大き
遂げたいことのビジョンを明確に
部 下も信 頼してくれます。リー
かったのは課長と支店長のとき
示し、そのビジョンの本 質につ
しいところがたくさんあり
̶̶リーダーの本当の役 割と
ダーとして組織をうまく回すとい
でした。
いて部下と価値観を共有し、そ
ますから、大変参考にな
は?
うのは、そういうことではないか
今の立 場になって思うのは
のために必要な決断をスピード
るだけでなく、むしろ企
チームリーダーというのは、部
と思います。
「物事には原理原則というもの
感を持って行うことが、最も重
業としての哲 学を学ぶ
下の話を聞いたり、スタッフの方
した。将 来、どういう学 校に行
観点から繰り返し読んで、本当
の話を聞いたり、そういう人たち
けば飛行機に乗れるのだろうか
に感銘しています。
の話も聞きながらチームを盛り立
てて、常に一体となって戦って
と親に聞いたりもしました。
があって、その原理原則の立ち
一番大事なのは
価値観の共有
要だと思っています。
H
位置、あるいは軸が何なのか」
ということを、部下に明示しなけ
ればいけないということではない
でしょうか。その価値観が共有
̶̶ 若いころに読んで非常に
いって結果を出す役割ととらえ
̶̶ かなり真剣に考えたので
印象に残って、今でも忘れられ
ています。
̶̶ご自身のマネジメントの転
されていないと、伝わっていきま
すね。
ない本はありますか?
それが、いわゆるビジネスリー
換期は、どの時点だと思われま
せん。
人間、ワクワクするものやおも
比較的好きで、何回も読み返
ダーとか経営者の立場になれば、
すか?
私の部下、その先の部下、さ
しろいもの、好きなものというのは、
したり、たまに手に取ったりする
部下の話を聞いて現状を知るこ
大きなタイミングが2つありまし
らにその 先と、3 段 階、4 段 階
情熱を燃やして取り組めますか
のは、中国の古典の本です。会
とはもちろん大 切ですが、最も
た。1 つは、初めて部下を持つ
あって、これが全国を動かすと
らね。かといって、その後もずっ
社に何冊も置いてあります。中
大 事なことは「ビジョンを示す」
立場になったとき、私どもの会社
なれば、もっと複雑な構成になり
とそういうものをつくっていたとい
国 の 古 典 の 倫 理 観とか 理 念、
ことと、
「決断する」ことにほかな
でいえば課長で、当時、7 人か
ますし、あるいはグローバルであ
うわけではありませんが、
「やる
物事の考え方は共感する部分
らないと思っています。そういう
8 人の営業組織の長になったと
ればもっとですね。そういう意味
西澤氏の信条
「人間の力・資質に
さほど差がない。
あるとすれば
それは経験と努力の差」
「雲外蒼天の心持ち」
≒ どのような場合でも
ポジティブな心持ち
(なんとかなるさ)」
14
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できた歴史を繰り返していくとい
からには情熱を傾けてやりたい」
が多いですね。なかでも、孟子
ことを自分でも意識してきたつも
うことではないかもしれません。
という気持ちは、非常に強いか
などが好きです。
りです。
もしれません。
課長時代や部長時代は若気
の至りで、そういうものを引っ張
̶̶ 決断する上で、ご自身とし
̶̶スポーツは何を?
り出して、少し皆さんにお話しし
て心がけていることは?
私は高校、大学時代は運動
たこともあります。
日々起こることは、部 下も悩
部でテニスに明け暮れていまし
孟子というのは、いわゆる「仁
んで相談に来たり、決断を求め
̶̶このごろは、生まれたとき
た。そのころの仲間とは、今でも
義」、仁と義の王道政治を説い
に来たりしますが、私に決断を
からウェブがあった「ウェブネイ
頻繁にゴルフや酒を酌み交わし
た思想家ですから、そういう意
求めるようなことは、端的にいえ
テニスに情熱を傾けた
時代も
ティブ世代」という言い方がある
て交流を深めています。また、私
味では「徳」というものを大事に
ば 51 対 49というようなことが実
そうですが、子どものころに、こ
は基本的にオンとオフがはっきり
した教えが多い。
は多いわけです。プラスとマイ
んな職業に就きたいといった夢
していて、できる限り、土日には
自分ができているとは思わな
ナスが 10 対 0 や 8 対 2 のレベル
はありましたか?
仕事を入れないようにしています。
いし、心がけているだけですけ
であれば、優秀な部下は、自分
れど、部下を持つマネジャーに
で 結 論 を出します。もちろん、
きです。もう1 つは、富山支店長
でも、価値観というものをしっか
飛行機のパイロットをやってみ
たいと、単純な憧れはありました。
̶̶ 最近、これは面白かった
なったら、あるいは偉くなればな
最後の最後に、ちょっと背中を
として、200 人ぐらいの部下を束
りと共有する。そこに共通点を
僕らが幼稚園とか小学校低学
なという本はありますか?
るほど、
「人間というのは知識や
押してほしいという場 合はそう
ねたときです。
見いだせなければ、とことんディ
年のころは、テレビゲームもあり
最近は、
「株式会社 JR 東日本
スキルじゃなくて、人 間 力が問
します。
思うようにいかないことが山ほ
スカッションをしなければいけな
ませんし、野原で野球や鬼ごっ
テクノハートTESSEI」という清
われてくるものだ」と、常日ごろ
51 対 49ということは、つまり
どあって、一生懸命やっていた
い。そうすることで、戦略も実現
こをするか、家の中でプラモデ
掃会社で、日本一のサービス会
言っており、
「人間性を磨かずし
「こちらを立てれば、あちらが立
のに部下に届いていない、言っ
していくと思っています。
ルを一生懸命つくるような時代
社ではないかと思うのですけれ
て、人 の 上に立ってはいけな
たず」という状況の中で決断を
たことがなかなか実現していか
本当の真ん中にある価値観
でした。そのうちに飛行機という
ど、これを書いた『新幹線お掃
い」ということだと思っています。
迫られるわけです。だから、部
ない。そんな失敗は山ほどあるし、
を共有できたら、あとは、若い人
のは格好いいな、
「自分で操縦
除の天使たち』
という本がありま
自分ができているとは言い難い
下も非常に困る。
熱く語ったつもりなのですが、そ
たちのいいアイディアもあるし、
してみたいな」
と思うようになりま
して、感動しましたね。実に素晴
のですが、そういう話をよくして
そのときに大事なのは、まず
れが逆に皆を冷めさせてしまっ
私が気がつかなかったようなや
らしいと思いました。
います。
そ の 企 業 の 哲 学 や、
それを成し遂げようとす
る情 熱に触れたときに、
心底感じ入るものがあり
ビジョンを示すのが
経営者の仕事
ます。当社よりも素晴ら
部下の話を聞いてあげるという
たり。そういういろいろな経 験、
り方を提案してくれるケースも多
ことです。聞いた上で、早く決
失敗の繰り返しがあって、人間
いので、そういうのはどんどん採
断 を 下して あ げ る。さらには、
は反省しますよね。反省すれば
り入れていきます。
決断したらブレないということだ
「自分を変えなければいけない」
したがってリーダーは、成し
と思 います。そ れさえ貫 けば、
と思いますが、それが一番大き
遂げたいことのビジョンを明確に
部 下も信 頼してくれます。リー
かったのは課長と支店長のとき
示し、そのビジョンの本 質につ
しいところがたくさんあり
̶̶リーダーの本当の役 割と
ダーとして組織をうまく回すとい
でした。
いて部下と価値観を共有し、そ
ますから、大変参考にな
は?
うのは、そういうことではないか
今の立 場になって思うのは
のために必要な決断をスピード
るだけでなく、むしろ企
チームリーダーというのは、部
と思います。
「物事には原理原則というもの
感を持って行うことが、最も重
業としての哲 学を学ぶ
下の話を聞いたり、スタッフの方
した。将 来、どういう学 校に行
観点から繰り返し読んで、本当
の話を聞いたり、そういう人たち
けば飛行機に乗れるのだろうか
に感銘しています。
の話も聞きながらチームを盛り立
てて、常に一体となって戦って
と親に聞いたりもしました。
があって、その原理原則の立ち
一番大事なのは
価値観の共有
要だと思っています。
H
位置、あるいは軸が何なのか」
ということを、部下に明示しなけ
ればいけないということではない
でしょうか。その価値観が共有
̶̶ 若いころに読んで非常に
いって結果を出す役割ととらえ
̶̶ かなり真剣に考えたので
印象に残って、今でも忘れられ
ています。
̶̶ご自身のマネジメントの転
されていないと、伝わっていきま
すね。
ない本はありますか?
それが、いわゆるビジネスリー
換期は、どの時点だと思われま
せん。
人間、ワクワクするものやおも
比較的好きで、何回も読み返
ダーとか経営者の立場になれば、
すか?
私の部下、その先の部下、さ
しろいもの、好きなものというのは、
したり、たまに手に取ったりする
部下の話を聞いて現状を知るこ
大きなタイミングが2つありまし
らにその 先と、3 段 階、4 段 階
情熱を燃やして取り組めますか
のは、中国の古典の本です。会
とはもちろん大 切ですが、最も
た。1 つは、初めて部下を持つ
あって、これが全国を動かすと
らね。かといって、その後もずっ
社に何冊も置いてあります。中
大 事なことは「ビジョンを示す」
立場になったとき、私どもの会社
なれば、もっと複雑な構成になり
とそういうものをつくっていたとい
国 の 古 典 の 倫 理 観とか 理 念、
ことと、
「決断する」ことにほかな
でいえば課長で、当時、7 人か
ますし、あるいはグローバルであ
うわけではありませんが、
「やる
物事の考え方は共感する部分
らないと思っています。そういう
8 人の営業組織の長になったと
ればもっとですね。そういう意味
西澤氏の信条
「人間の力・資質に
さほど差がない。
あるとすれば
それは経験と努力の差」
「雲外蒼天の心持ち」
≒ どのような場合でも
ポジティブな心持ち
(なんとかなるさ)」