MAEテクニカルレポート 2005 No.14 - 三菱自動車エンジニアリング

バーコードリーダを利用した
計測器管理システム
加 藤 幸 男*
長谷川 充利 *
概 要
三菱自動車工業(株)(以下,MMC とする)技術開発部門が使用している計測器は現在約 2 万点
あり,当グループが中心となり定期検査を実施している。
今回,2 次元バーコード(QR コード)を利用した管理システムを開発したので,以下に紹介す
る。
1
背景・ねらい
計測器の定期検査は,エクセルファイルで作成
させることも可能)。
(2) 受付処理
検査品受付時,当月の検査計測器リスト(以下,
した管理台帳から当月検査が必要な計測器をリス
リストとする)に受取日付・受取担当者氏名を手
トアップし,計測器管理責任者(約 60 名)へメー
書きで記入していたが,システムの受付画面
ルにて通知している。その後,計測器の受付け・
(図3)の手順に従って操作し,受付処理ができる
検査・受渡しを手書き伝票にて処理している。こ
ようにした。
のため,各処理に多くの工数を要し,また作業ミ
(3) 検査終了・結果情報の登録処理
スが発生することもあった(業務フローを表1に
検査終了時,リストに検査完了日・検査担当者
示す)。
そこで,これらの問題を解決するため,2 次元
氏名の記入並びに次回の検査予定日を手書きで記
入していたが,システムの登録照合処理(図4)
バーコードを利用し計測器を容易に管理できるシ
の手順に従って操作し,検査結果の情報登録まで
ステムを開発したので紹介する。
の処理ができるようにした。
2
計測器管理システム周辺機器
計測器管理システム(以下,システムとする)
に必要な 2 次元バーコード(写真1)及び周辺機器
(写真2)を示す。
3
開 発 内 容
(4) 受渡し処理
検査品受渡しのとき,リストに受渡し日・受渡
し担当者氏名を手書きで記入していたが,システ
ムの返却(図5)の手順に従って操作し,計測器
に貼り付けてある 2 次元バーコードを読み取ること
で,受渡し処理を容易にできるようにした。(一度
に多数の検査完了品を受渡しするとき,検査完了
(1) 月単位の検査品リストアップ
品の確認,受渡し日の記入が短時間で処理でき,
エクセルファイルで作成した管理台帳を本シス
同時に作業ミスも無くなった。)
テム内に登録し,システム画面(図1)から検査
期限リスト出力画面(図2)を呼び出し,全計測
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本管理システムの開発における効果
器リストとリンクさせて当月の検査期限リストを
(1) 検査期限の管理
表示し,検査品をリストアップする(既に受け付
検査期限を瞬時に閲覧でき,その場で顧客に情
けた計測器を,“含む/含まない”とリストに表示
*
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技術情報部
報提供できる効率的な運用が可能になった。
バーコードリーダを利用した計測器管理システム
表1 業務フロー
現行
バーコードを利用した管理システム
月単位の検査品リストアップ
計量管理責任者搬出
計量管理責任者搬出
検査室搬入
検査室搬入
搬入台帳記入(手書き)
搬入(バーコード読取り)
(管理台帳受取処理)
搬入(バーコード読取り)
検 査
検 査
検 査
管理台帳・成績書
合格・不合格処理
管理台帳・成績書
合格・不合格処理
管理台帳・成績書
合格・不合格処理
搬出台帳記入(手書き)
搬入(バーコード読取り)
受入処理
管理台帳受取処理
搬出台帳記入(手書き)
搬入台帳記入(手書き)
検 査
検査終了・結果情報の登録処理
管理台帳・成績書
合格・不合格処理
受渡し処理
搬入台帳記入(手書き)
管理台帳処理
検査室搬出
計量管理責任者搬入
搬出(バーコード読取り)
バーコード読取り
(検査品・現品照合 合格ラベル・管理台帳処理)
検査室搬出
計量管理責任者搬入
(合格ラベル・検査品確認)
写真1 2 次元バーコード
写真2 周辺機器
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バーコードリーダを利用した計測器管理システム
図1 システム画面
図3 システムの受付画面
図2 検査期限リスト出力画面
図4 システムの登録照合処理
(2) 受付処理
計測器をいつ・誰が・どのような状態で受け取
ったかをシステムに登録することにより,履歴管
理が可能になった。また,バーコードリーダで受
付処理するため受付ミスが無くなった。
(3) 結果情報の登録処理
計測器の状態(合格・不合格・修理中・検査保
留・廃却など)を登録することにより,現在どの
ような状態にあるかを瞬時に確認でき,計測器の
追跡(トレーサビリティ)調査が可能になった。
(4) 受渡し処理
計測器をいつ・誰が・誰に受渡したかをシステ
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図5 システムの返却
バーコードリーダを利用した計測器管理システム
ムに登録することにより,履歴が瞬時に確認でき,
高いシステムを構築して多種多様の分野に応用・
顧客からの問合せへの即答が可能となり,受付処
活用できるよう努力していきたい。最後に,本シ
理と同様バーコードリーダで受渡し処理するため,
ステムの開発に当たって多大なるご協力を頂いた
受渡しのミスが無くなった。
皆様に感謝致します。
9
5
ま と め
今回,計測器の管理用として開発した 2 次元
バーコードは,大容量情報をコード化することが
可能であり,本システムを改良することにより多
種多様の管理に応用できる目処が付いた。
加 藤 幸 男
今後は,本管理システムを更に改良し,価値の
長谷川 充利
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『陸・海・空 全走行キャンピングカー』
福島 駿介 9 才
福島 督夫(社員)子息
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