pdf document - 千葉大学 関屋・小室研究室

モルフォロジー処理によるインパルス性雑音検出法
Impulse Noise Detector Using Mathematical Morphology
伊藤好矩
呂建明
佐藤隆宣
関屋大雄
山下哲孝
谷萩隆嗣
千葉大学大学院自然科学研究科
Yoshinori ITO
Jianming LU
Takanori SATO
Hiroo SEKIYA
Noritaka YAMASHITA
Takashi YAHAGI
Graduate School of Science and Technology, Chiba University.
1
はじめに
ディジタル画像は, 符号化または伝送時に生じるエ
ラーによって, 劣化を生じることがある. 画像に生じた
エラーは画像データの欠損として現れ, 大振幅の雑音で
ルタの未検出, 誤検出を抑制するために新たにパラメー
タを用いてエッジ部と劣化画素を判別している. しかし,
パラメータが増えることにより, フィルタ設計が複雑化
するという問題がある.
あるインパルス性雑音としてモデル化される. インパル
近年, PSM フィルタの未検出, 誤検出を抑制する手
ス性雑音の除去問題は古くから研究され, 現在でも画像
法として, PWMAD(Pixel-Wised Median of the Absolute
Deviations from the median) による検出器 [5] が提案さ
復元における重要な研究課題になっている [1]∼[6]. イ
ンパルス性雑音による劣化画像の復元には, 非線形フィ
れている. PWMAD による検出器では, まず, 絶対偏差
ルタが効果的であることが知られている [1]. 代表的な
画像からメジアンフィルタを用いてエッジ成分を抽出す
非線形フィルタに, メジアンフィルタが挙げられる. し
る. 次に, 絶対偏差画像と抽出したエッジ成分の差分画
かし, メジアンフィルタは非劣化画素に対しても劣化画
像に対して閾値処理を行い雑音を検出している. 絶対偏
素と同様の処理を行うため, 画像細部を劣化してしまう
差画像からエッジ成分をなくすことで PSM フィルタの
という問題がある.
メジアンフィルタによる画像細部の劣化を回避する
手法として, インパルス性雑音検出と雑音除去の二つを
独立に行うスイッチングタイプのフィルタが提案されて
いる [2]∼[5]. スイッチングタイプのフィルタは, まず雑
音検出部でインパルス性雑音の位置を示す雑音フラグ画
像を作成する. 次に雑音除去部で, 作成した雑音フラグ
画像に基づき, 雑音と判断された画素を非劣化画素と判
未検出, 誤検出を抑制している. また, メジアンフィルタ
はパラメータを用いないフィルタであるため, フィルタ
設計は簡素化される. しかし, メジアンフィルタは, エッ
ジ近傍に劣化画素が存在する際, 雑音が除去されると同
時にエッジが雑音方向に移動するエッジシフトと呼ばれ
る現象が生じる [6]. エッジシフトにより, 正しいエッジ
成分の抽出が困難となる. したがって, 雑音検出精度が
低下するという問題がある.
断された画素のみを用いて復元処理を行う. スイッチン
提案手法は, 絶対偏差画像に対しモルフォロジー処理
グタイプのフィルタとして, PSM(Progressive Switching
の収縮を行った後に膨張を行う処理であるオープニング
Median) フィルタ [2] が挙げられる. PSM フィルタの検
出部は, 処理点の画素値とメジアン値との差である絶対
はメジアンフィルタと同様パラメータを用いない処理で
を適用することでエッジ成分を抽出する. オープニング
偏差に対して閾値処理することで雑音の有無を判断す
あるため, フィルタ設計は簡素化される. 絶対偏差画像
る. 劣化画素では, 絶対偏差は大きくなるので閾値で処
と抽出したエッジ成分との差をとり, 閾値処理を施すこ
理することは有効である. しかし, 絶対偏差はエッジ部
とにより雑音フラグ画像を作成する. 収縮, 膨張には双
においても大きな値をとるため, 閾値処理によって非劣
対性があるためエッジ成分の抽出にオープニングを適用
化画素であるにもかかわらず劣化画素と判断される誤
してもエッジシフトは生じない. したがって, エッジ抽
検出や, 劣化画素であるにもかかわらず非劣化画素と判
出性能が向上し, 差分画像における誤差が小さくなるた
断される未検出が生じる. 文献 [3], [4] では, PSM フィ
め, 雑音検出精度が向上する. シミュレーションにより
提案する検出器の有効性を確認する.
Median Filter
従来手法
2
Input
Corrupted
Image
本研究ではインパルス性雑音による劣化画像を以下
のモデルを使用する.
⎧
⎪
⎪
si j
⎪
⎪
⎪
⎨
xi j = ⎪
255
⎪
⎪
⎪
⎪
⎩ 0
: prob.
: prob.
: prob.
1 − p1 − p2
p1
p2
Absolute
Deviatio n
Impulse
Detector
Output
0 or 1
図 1: PWMAD の構成図
(1)
ここで, i, j は画素の位置, xi j は劣化画像, si j は非劣化画
像, 255 は最大階調値, 0 は最小階調値を表す. また, p1 ,
p2 は雑音発生確率を表す.
2.1
PWMAD による雑音検出
(a)
(b)
(c)
(d)
図 1 に PWMAD による雑音検出の構成図を示す. PW-
MAD による雑音検出では, 絶対偏差画像に対してメジ
アンフィルタを適用してエッジ成分を抽出する. 次に,
絶対偏差画像と抽出したエッジ成分との差分画像に対し
て閾値処理を行い雑音を検出する. 絶対偏差は. 劣化画素において大きな値をとり, エッ
ジ部においても値は大きくなる. 図 2 に絶対偏差画像を
示す. ここで, 図 2(c), (d) は反転表示している. 図 2(c) か
らエッジ部で絶対偏差が大きくなることがわかる. また,
図 2: 絶対偏差画像:(a) 原画像 (b) 劣化画像 (p1 =
図 2(d) から雑音画素とエッジ部で絶対偏差が大きくな
p2 =10%) (c) 原画像に対する絶対偏差画像 (反転表示)
(d) 劣化画像に対する絶対偏差画像 (反転表示)
ることがわかる. したがって, 絶対偏差画像からエッジ
成分を抽出し, 絶対偏差画像とエッジ成分の差分画像に
対して閾値処理を行うことで誤検出や未検出の問題を
ここで, T は閾値を表す. fi j が 1 のとき xi j は雑音と判
回避し, 雑音検出精度が向上する.
断され, 0 のとき非劣化画素であると判断される.
ここで検出器のフィルタサイズを W = (2K +1)×(2K +
1) としフィルタ内の画素 Xi j を次式で定義する.
2.2
問題点
PWMAD による検出器は, エッジ成分抽出の際にメジ
(2)
アンフィルタを用いる. メジアンフィルタは, エッジ近
PWMAD による検出器は, 繰り返し処理を行い雑音を
検出する.n 回目 (n = 0, 1, .....) の反復を例にとると,
PWMAD による検出器の処理手順は以下に示される. ⎧
⎪
⎪
⎨ |xi j − median(Xi j )| if n = 0
(n)
(3)
di j = ⎪
⎪
⎩ d(n)
otherwise
ij
エッジが雑音方向に移動するエッジシフトという現象が
Xi j = {xi−K, j−K , · · ·, xi j , · · ·, xi+K, j+K }
傍に劣化画素が存在する際, 雑音が除去されると同時に
生じる [6].
図 3 にエッジシフトの発生例を示す. 図 3(a) に垂直方
向のエッジ信号, 図 3(b) に図 3(a) のエッジ信号に対して
中央と右下の画素にインパルス性雑音が付加された信
号, 図 3(c) に図 3(b) の信号にメジアンフィルタを適用し
(n)
PW MADi(n)
j = median(di j )
(4)
た結果を示す. 図 3(c) では, 処理点の雑音は除去される
(n)
= |di(n)
di(n+1)
j − PW MADi j |
j
(5)
もののエッジシフトが発生していることがわかる. エッ
ここで median(Xi j ) は Xi j のメジアン値,
PW MADi(n)
j ,
di(n)
j
は n 回処理後のエッジ成分及び, 処理画像を表す. 特に,
(N)
di(0)
j は絶対偏差を表す. N 回処理後の di j に対して閾値
処理を行うことで雑音フラグ画像 fi j を作成する.
⎧
(N)
⎪
⎪
⎨ 1, di j ≥ T
(6)
fi j = ⎪
⎪
⎩ 0, d(N) < T
ij
ジシフトはエッジ部の高階調値と低階調値の 2 種類の
信号のうち多く含まれる信号成分に, 多く含まれる信号
成分とは逆の階調値を持つインパルス性雑音が複数付
加されたときに発生する.
PWMAD による検出器ではエッジ抽出の際にメジア
ンフィルタを用いるためエッジシフトが生じ, 正しいエッ
ジ成分の抽出が困難になる. したがって, 差分画像にお
(a)
Morphology
:impulse noise(the highest value)
Input
Corrupted
Image
:high level signal
Absolute
Deviation
Impulse
Detetor
Output
0 or 1
:low level signal
図 4: 提案する雑音検出法の構成図
(c)
(b)
(a)
(b)
(c)
図 3: エッジシフト発生例:(a) 非劣化時 (b) 雑音付加時
図 5: モルフォロジー処理:(a) 原画像 (b) 収縮 (c) オープ
(c) メジアンフィルタ適用後
ニング
いても誤差が生じ, 雑音検出精度が低下してしまう. エッ
ジ成分の抽出性能を向上させることで雑音検出精度を
処理を行うことをオープニングという. 逆に, 膨張→収
上げることができると考えられる.
縮の順に処理を行うことをクロージングという. オープ
ニングは, フィルタサイズよりも小さい凸状のインパル
提案手法
3
本章では提案する検出法について述べる. 図 4 に, 本
研究で提案する検出器の構成図を示す. 提案手法では,
絶対偏差画像に対してモルフォロジー処理を行いエッジ
成分を抽出する. 絶対偏差画像と抽出したエッジ成分と
の差分画像に対して閾値処理を行うことで雑音を検出
する. 3.1
ス性雑音を除去する働きがある. クロージングは, フィ
ルタサイズよりも小さい凹状のインパルス性雑音を除
去する働きがある. 図 5 に, モルフォロジー処理の例を
示す. 図 5(a) にテスト画像, 図 5(b) に図 5(a) に対して収
縮を行った結果, 図 5(c) に図 5(a) に対してオープニング
を行った結果を示す. 図 5(b) から, 収縮により孤立点は
取り除かれ, エッジ部は縮小していることがわかる. ま
モルフォロジー処理 [7]
た, 図 5(c) から, オープニングによってエッジ部は図 5(a)
絶対偏差画像上でエッジ成分のみを抽出するには, エッ
ジ成分を保存しつつ雑音成分を抑制する必要がある. 提
の大きさに戻るが, 孤立点は取り除かれていることがわ
かる.
案手法では, インパルス性雑音とエッジ成分の構造の違
オープニングはパラメータを用いない演算であるの
いを利用し, モルフォロジー処理を行うことによりエッ
で, フィルタ設計は単純となる. また, 一般的にモルフォ
ジ成分を抽出する.
ロジー処理は, 雑音の影響を受けにくいロバストな処理
提案手法で用いるモルフォロジー処理は, 濃淡画像に
対して行われる濃淡モルフォロジー処理とする [7]. 以
下, 特に明記しない限りモルフォロジー処理は濃淡モル
フォロジー処理を示す. モルフォロジー処理は, 二つの
集合演算, 収縮, 膨張を基本処理としている. 以下に, 収
縮, 膨張の演算を示す [8].
である [8].
3.2
エッジ成分抽出部
提案手法では, 絶対偏差画像と絶対偏差画像に対して
オープニングした画像との差分画像に対し, 閾値処理を
施すことで雑音フラグ画像を作成する. 特に, 差分画像
を求めることをトップハット変換と呼ぶ. トップハット
収縮 :
A
B = ∩b∈B A − b
(7)
変換では, オープニングで削り取られた部分が大きな値
膨張 :
A ⊕ B = ∩b∈B A + b
(8)
をとる. オープニングでは, エッジ成分が残り雑音が削
A は画像信号, B はフィルタを表す. 提案手法では, B を
3×3 の正方形のフィルタとする. 収縮は, フィルタ内の最
素に対して大きな値をとる. 以下, A に対しオープニン
り取られるため, トップハット変換後の画像には雑音画
小値出力処理 (min 処理) である. 収縮を行うことによっ
て, 突起の値は小さくなる. 一方, 膨張は, フィルタ内の
グした結果を, OPEN(A) とする.
提案手法は, 式 (3) で示される絶対偏差 di j をトップ
ハット変換する.
最大値出力処理 (max 処理) である. 膨張を行うことに
よって, 小さな溝の値は大きくなる. 収縮→膨張の順に
di j = |di j − OPEN(di j )|
(9)
シミュレーション
4
計算機シミュレーションにより提案手法の性能評価
を行う. テスト画像として,LENNA, BOAT, BRIDGE,
WOMAN(256×256, 8bit 画像) を用いる. 提案手法によ
る雑音除去部は, PSM フィルタ [2] の処理を適用する.
PSM フィルタの雑音除去部は, 劣化画素をフィルタ内の
非劣化画素のみを用いて復元処理を行う手法である. 各
実験で用いられるフィルタサイズ W は W = 3 とする.
なお, p1 と p2 のインパルス性雑音の発生確率は等しい
ものとし, その合計を p とする.
本研究では, 復元精度の指標に PSNR(Peak Singal-toNoise Ratio) を用いる. PSNR は次式で定義する.
図 6: 抽出したエッジ (反転表示)
次に, 雑音フラグ画像を作成するために di j に対して閾
値処理を行う.
N
m=1 n=1
⎧
⎪
⎪
⎨ 1, di j ≥ T
fi j = ⎪
⎪
⎩ 0, d < T
ij
(10)
T は閾値を表す. fi j が 1 のとき xi j は雑音と判断され, 0
のとき非劣化画素であると判断される.
3.3
M
PS NR = 10 log10
2552
[dB] (13)
(Z(m, n) − S (m, n))2
M × N を画像サイズとし, Z は復元画像, S は非劣化画
像とする. PSNR が高いほど復元結果が良好なことを示
している.
4.1
パラメータの設定
図 7 に, p = 20% のインパルス性雑音を付加した劣化
収縮, 膨張の双対性
画像 (BOAT, BRIDGE, LENNA) に対する閾値 T に対す
本節では, モルフォロジー処理によるエッジ成分抽出
る PSNR の特性を示す. 図 7 から, 閾値の変化に対して,
安定した PSNR を示していることがわかる. 本研究では,
の有効性について説明する.
提案手法では, オープニングを適用することでエッジ
提案手法に用いる閾値 T を T = 45 とする.
成分を抽出し, エッジ抽出性能の向上を図る. モルフォ
また, トップハット変換の適用回数については回数を
ロジー処理において, 膨張と収縮には双対性と呼ばれる
多くする程, 誤検出は小さくなり未検出は大きくなる.
関係があるためエッジシフトが生じない. 双対性の関係
これは, 適用回数が多くなるとトップハット変換後の値
がある場合, 次に示す関係が成り立つ [8].
は非劣化画素のみならず, 劣化画素においても小さな値
A ⊕ B = (Ac
A
をとるためと考えられる. フィルタのサイズについては,
B)C
(11)
B = (Ac ⊕ B)C
(12)
フィルタサイズが大きくなる程, 誤検出は大きくなり未
検出は小さくなる. オープニングの際削り取る雑音の大
きさはフィルタサイズに依存するため, フィルタサイズ
A は対象画像, B はフィルタ, AC は A の補集合とする. 双
対性は, A を B で膨張すると, 膨張した領域は A の補集
合に対して B で収縮させた領域に等しいということを
る. 本研究では, 適用回数, フィルタサイズは実験的に求
表す. 逆に, A を B で収縮すると, 収縮した領域は A の
め, 適用回数は 1 回, フィルタサイズは 3×3 とする.
補集合に対して B で膨張させた領域に等しいというこ
とを表す. つまり, 収縮により縮小される領域と, 膨張に
より拡大される領域が等しくなるということである. 双
対性により, 収縮させ膨張させると元の領域が復元され
る. したがって, 収縮を行うことでインパルス性雑音は
除去され, 膨張を行うことによって領域は復元されない.
一方, エッジ成分は収縮を行うことで領域は小さくなる
が, 膨張を行うことによって元の領域に復元される. 双
対性により元の領域が復元されるため, エッジシフトは
発生せずにインパルス性雑音のみを除去できる.
が大きくなるとエッジ部まで削り取ることがある. この
ため, フィルタサイズが大きくなる程誤検出が大きくな
4.2
エッジ抽出
提案手法によるエッジ抽出性能を確認する. 図 6 に,
図 2(b) に対してオープニングを行った結果を示す. ここ
で, 図 6 は反転表示している. 図 6 からオープニングに
より雑音成分を抑制しエッジ成分を抽出していることが
わかる.
4.3
検出精度
提案手法と他の雑音検出法の雑音検出性能に関する
比較実験を行う. 比較対象として, PSM フィルタの検出
6
Undetected Ratio [%]
30
PSNR [dB]
25
20
15
10
4
3
2
1
LENNA
BOAT
BRIDGE
5
PSM [2]
PWMAD [5]
Proposed
5
0
5
10
15
0
5
15
25
35
45
55
65
75
85
Mis-detected Ratio [%]
図 7: 閾値に対する PSNR の特性
器 [2], PWMAD による検出器 [5] を用いる. テスト画像
は, BOAT, WOMAN にインパルス性雑音を付加した劣
化画像を用いる. 図 8 に, 劣化画像に対して, PSM フィ
30
5
4
3
2
PSM [2]
PWMAD [5]
Proposed
1
0
ルタの検出器, PWMAD による検出器, 提案手法で検出
5
10
15
30
25
30
Undetected Ratio [%]
7
低くなっている. 未検出に対しては, 提案手法がいくつか
の劣化画素に対して差をとるため, わずかに高くなった
と考えられる. 誤検出に対しては, 提案手法が絶対偏差
画像とエッジ成分を抽出との差分画像に対し閾値処理を
PSM [2]
PWMAD [5]
Proposed
6
5
4
3
2
1
5
10
行ったため抑制できたと考えられる. また, PWMAD と
15
20
Impulse Noise Ratio [%]
提案手法を比べると未検出率, 誤検出率ともに同等かそ
(c)
れ以下になっている. これは, 提案手法が PWMAD に比
5
Mis-detected Ratio [%]
べエッジ成分の抽出性能が向上したためと考えられる.
復元精度
提案手法を用いた場合に得られる復元精度を検証す
る. PSM フィルタと PWMAD による手法の雑音除去部
4
3
2
PSM [2]
PWMAD [5]
Proposed
1
0
5
1
10
15
20
25
30
Impulse Noise Ratio[%]
は, PSM フィルタの処理 [2] を適用する. 提案手法で用
(d)
いられる閾値 T は 4.1 で示したものとする. 従来手法に
用いられるパラメータは PSNR が最大となるように設
25
(b)
手法はわずかに高くなっているが, 誤検出率は 2%以上
定した.
20
Impulse Noise Ratio [%]
× 100[%])
図 8 より, PSM と提案手法を比べると未検出率は提案
4.4
25
(a)
95
T
未検出の画素数
を行った場合の未検出率 ( インパルス性雑音の画素数
誤検出の画素数
及び誤検出率 ( 全画素数 × 100[%]) を示す.
20
Impulse Noise Ratio [%]
図 8: 検出率の比較: (a) BOAT 未検出率 (b) BOAT 誤検
出率 (c) WOMAN 未検出率 (d) WOMAN 誤検出率
図 9 に, 各手法による復元した結果を示す. 図 9(c),(e)
より, 提案手法が PSM フィルタに比べエッジや細部を保
より, 提案手法を用いると, 画像の種類, 雑音の発生確率
存していることがわかる. これは, 提案手法が絶対偏差
によらず従来手法より提案手法が PSNR が高いことが
画像に対してエッジ成分を抽出し, 絶対偏差画像とエッ
わかる. したがって, 提案手法を用いることにより, 従来
ジ成分と差分画像に対して閾値処理することでエッジ部
法に比べ高精度な画像復元が可能となることが確認で
での誤検出を減らすことができたためと考えられる. 図
きた.
9(d), (e) より, PWMAD による検出器では特にエッジ部
で雑音が残留していることがわかる. これは, 提案手法
5
まとめ
が PWMAD より正しいエッジ成分の抽出ができたため
本研究では, モルフォロジー処理を用いたインパルス
と考えられる. 図 10 に復元結果の PSNR を示す. 図 10
性雑音検出法を提案した. 提案手法は, 絶対偏差画像に
(b)
(a)
(e)
(d)
(c)
図 9: 復元評価:(a) 原画像 (b) 劣化画像 (p = 20[%]) (c)PSM (d) PWMAD (e) Proposed
32
朝倉邦造, 東京, 1990.
PSNR[dB]
30
[2] Z. Wang and D. Zhang,“ Progressive switching median fil-
28
26
ter for the removal of impulse noise from high corrupted
PSM[2]
PWMAD[5]
Proposed
24
22
images ”, IEEE Trans, Circuits Syst. II, vol.46, no1, pp.78-
20
5
10
15
20
25
30
Impulse Noise Ratio [%]
[3] 松本哲夫, 横井武史, 田口 亮, “マルチウィンドウ法を導入
(a)
した新しいインパルス性雑音検出器を内在する復元手法
の提案”, 信学論 (A), vol.J-84-A, no.9, pp.1-12, Jan. 2001.
28
PSNR[dB]
80, Jan. 1999.
[4] 近藤啓子, 長谷川美紀, 北島秀夫, “インパルス性雑音のた
PSM[2]
PWMAD[5]
Proposed
26
めの高精度な雑音検出法”, 信学論 (D). vol. J86-D-II, no.
24
5, pp.654-667May. 2003
22
ˇ
ˇ Trpovski.“ Advanced impulse
[5] V. Crnojevi´c, V. Senk
and Z.
20
5
10
15
20
25
30
Impulse Noise Ratio [%]
(b)
図 10: PSNR の比較:(a) LENNA (b) BRIDGE
detection based on pixel-wise MAD ”, IEEE Signal Processing Lett., vol. 11, no. 7, pp. 589-592. Jul. 2004.
[6] 所 秀和, 小田 弘, 阪田省二郎 “エッジシフトを考慮したス
イッチングメジアンフィルタによるインパルス性ノイズ除
去手法”, 信学論 (D), vol. J84-D-II, no. 12. pp.2696-2699.
対しモルフォロジー処理のオープニングを適用すること
でエッジ成分を抽出する. 抽出したエッジ成分と絶対偏
差画像との差をとり, 閾値処理を施すことにより雑音フ
ラグ画像を作成する. オープニングにおいてエッジシフ
トは生じないため, エッジ抽出性能が向上し, 差分画像
における誤差が小さくなるため, 雑音検出精度が向上す
る. シミュレーションにより提案する検出器の有効性を
確認した.
参考文献
[1] 雛元孝夫, 棟安実治, 田口 亮, 非線形ディジタル信号処理,
Dec. 2001.
[7] 小畑秀文, モルフォロジー, コロナ社, 1996.
[8] 苗村昌秀, 福田 淳, 水谷肇伸, 和泉吉則, 山口孝一, 二宮佑
一, “Morphology 処理による画像テクスチャ方向性検出
と折り返し雑音除去を目的とした非線形フィルタ処理”,
信学論 (D), vol.J80-D-II, no. 10, pp.2733-2743. Oct. 1997.