技 術 内 容 説 明 書 技 術 の 名 称 赤外線を効率良く反射する次世代型メタリック塗料「ハイパー遮熱シリーズ」 申 請 者 水谷ペイント株式会社 連 絡 先 技術部長 和久 (大阪市淀川区西三国4-3-90) 高己 (TEL)06-6394-3922 (FAX)06-6391-1515 (E-mail)[email protected] ■ 開発の背景 の ・工場屋根塗装に使用される瀝青質塗料やシルバーペイントは太陽光の紫外線や酸性 開発の状況 雨の影響により使用樹脂が劣化し、それに伴い使用しているアルミが酸化され黒変 技 術 を起こし、結果として赤外線を反射させる機能が失われ、遮熱機能の持続性に難が あった。 ■ 開発の内容 ・赤外線をより効率よく反射させる為に、遮熱顔料反射とメタリック反射のW効果を 期待した。 ・耐候性に劣ると遮熱機能の持続性が損なわれる事より、耐候性に優れたシリコン変 性樹脂を採用した。 ■ 開発の体制 ・特になし。 ■ 技術の原理・機構・機能 技 術 の 原理・特徴 ・顔料は、赤外線を吸収しにくい反射するものを選定。 ・ルーフィングタイプのアルミペーストを併用する事で、メタリック反射による、よ り効果的な反射が得られる。(W効果) ・結合エネルギーが大きいシロキサン結合を樹脂に導入させる事により、優れた耐候 性を付与するが、従来技術では反応性の違うアクリル成分とシリコン成分を均一に 合成させる事が難しかった。しかし、弊社は独自の合成方法により、均一なアクリ ルシリコン樹脂を合成する事に成功、この技術により樹脂の優れた耐候性が付与し、 アルミや顔料の変退色を抑制して遮熱効果も長期にわたり持続する。 ・樹脂や一般顔料より熱伝導率が高いアルミペーストを使用する事で、環境温度(気 温や基材温度)の低下と共に低下する室内温度が、アルミの放熱効果により、早く 低下する。 (放熱効果はハイパー遮熱Si ※ プラチナ色の窯業系素材仕様のみ確認出来る) 添付資料参照 図1:遮熱効果比較 図2:アクリルシリコン合成法 図5:ハイパー遮熱Siによる遮熱・放熱効果 ※ 弊社試験方法による技術の原理・機構・機能 ■ 環境保全効果 ・赤外線を効率的に反射することにより、ヒートアイランド現象の緩和が期待出来る。 ■ その他技術的な特徴 ・ローラー塗装した場合でも色ムラが生じにくい。 ■ 特許取得状況 ・なし。 ■ 適用対象(適用可能な規模・負荷・使用条件を含む) 技 術 の 適 用 範 囲 ・ハイパー遮熱Siは特に窯業系及び金属系工場屋根のメンテナンスに最適。 ・水系ハイパー遮熱Siは特に窯業系工場屋根のメンテナンスに最適。 ■ 関係法規等 ハイパー遮熱Si ・化学物質管理促進法 ・労働安全衛生法 ・消防法 水系ハイパー遮熱Si ・労働安全衛生法 第1種指定化学物質(キシレン・エチルベンゼン) 危険物:引火性のもの 有機溶剤中毒予防規則:第2種有機溶剤 通知物質(キシレン・エチルベンゼン・石油ナフサ・銅及びその化合 物) 主剤:第4類第2石油類(非水溶性液体) 硬化剤:第4類第2石油類(非水溶性液体) 通知物質(プロピレングリコールモノメチルエーテル) ■ 標準仕様 ※ 添付資料参照 技 術 の 表1:塗装仕様 仕様・性能 ■ 標準性能 ・特になし。 ■ 性能試験結果・従来技術との比較 ・サンシャインウエザーメーターの結果において、色差(△E)が比較のシルバーペ イントが500時間で約15となるのに比べ、水系ハイパー遮熱Siプラチナが3 000時間で1.3、ハイパー遮熱Siプラチナは若干変色するが4.0で、シル バーペイントに比べ数段優れている。 尚、参考として当社最高レベルのシリコン樹脂瓦用塗料(遮熱機能なし一般塗料) パワーシリコンマイルドⅡメタリック瓦用は1.3である。 ・同様に光沢保持率においてもシルバーペイントが1000時間で10%を切るのに 比べ、開発品は3000時間で水系ハイパー遮熱Siプラチナが74%、ハイパー 遮熱Siプラチナが58%である。 ※ 添付資料参照 図3:促進耐候性試験結果 写真1:促進耐候性試験結果 ・気温が一番高い14時において、一般塗料のグレー色が基材スレート板裏面温度5 9℃に対し、従来技術品の一般遮熱塗料グレー色57℃、ハイパー遮熱Siのプラ チナ色が50℃であり、一般遮熱塗料に比べて7℃の遮熱効果が得られた。 ※ 添付資料参照 図4:屋外曝露による遮熱性能試験結果 ・空冷2分後(送風2分後)までの温度低下の勾配が、一般塗料(黒) ・一般塗料(グ レー) ・一般遮熱塗料(グレー)は同じであるが、ハイパー遮熱Siのプラチナ色は 傾きが大きく、放熱効果が認められる。 ※ 添付資料参照 図5:ハイパー遮熱Siの遮熱・放熱効果 ■ 環境影響 副 次 的 な 環 境 影 響 ・水系ハイパー遮熱Siは水系の塗料なので、溶剤系塗料に比べてVOCによる大気 汚染が少ない。 ・ハイパー遮熱Siは弱溶剤系の塗料なので、強溶剤系塗料の様にキシレン・トルエ ン等の含有量が少ないので環境にやさしいと云える。 ・漏洩時、廃棄などの際は、環境に影響を与える恐れがあるので取扱いに注意する。 ・ 特に製品や洗浄水が地面、川や排水溝に直接流れないように対処する。 ・ 本製品の分解性、蓄積性、魚毒性については情報を有していない。 技 術 経 済 ■ 初期投資 ハイパー遮熱Si の ・設計価格 4,800円/㎡ 耐用年数 10~12年 性 水系ハイパー遮熱Si ・設計価格 5,100円/㎡ 耐用年数 8~10年 ■ 運転経費 ・特になし。(設計価格に含まれる) ■ 従来技術との比較 ・従来技術のシルバーペイント(一般設計価格約2,800円/㎡)は、耐用年数約 3~4年に対して、ハイパー遮熱Siが約10~12年、水系ハイパー遮熱Siが 8~10年。 設計価格で1.7~1.8倍であるが、耐用年数で2~4倍である。 よって、約10年間のメンテナンスコストでは従来品の約0.6倍の費用となり、 経済的と云える。(価格差は約6年で回収できる。) 環 境 保 全 ■ 従来技術に比べ優れている点 以外の特徴 ・水系ハイパー遮熱Siは溶剤系に比べて、溶剤中毒及び火災の危険性が低減。 ■ 今後取り組む課題 今 後 の 技術的課題 ・断熱機能の付与。 ・断熱機能を持たせた中塗り材を工法に組み込み、トータル塗膜により断熱機能を 付与させる。 ・ハイパー遮熱の塗料自体に断熱機能(各種中空バルーンを混入等)を付与させる。 ■ 申請技術が所定の性能に達しないときの技術的対応 事故発生等 ・営業マン又は、技術部スタッフによる塗装指導。 の 処 置 方 法 ■ クレーム・技術的対応 ・クレーム発生源(顧客・塗装業者)からの情報を入手後、各出先営業マンによる調 査、技術部スタッフへの伝達にて原因及び対策を検討実施。 ・塗料相談室への電話相談にて対応。 ■ 事前告知事項 ・カタログ記載、注意事項及びMSDS事項。 ■ 申請技術の納入実績 納 入 実 績 ・ハイパー遮熱Si 千葉県 H社 愛媛県 四国K社 出荷量 大喜多工場 A化工社 2,000㎡ 1,600㎡ ・水系ハイパー遮熱Si 大分県 約2,500kg 出荷量 300㎡ 等 約300kg 等 ・08年5月より上市したが、景気が極端に悪くなり、工場屋根塗り替え市場の低迷に より、需要が伸びない。今後の景気回復に期待。
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