平成22年度 今治市立図書館 指定管理者モニタリング結果

平成22年度 今治市立図書館 指定管理者モニタリング結果
施設名
今治市立中央図書館、今治市立波方図書館、今治市立大三島図書館
所在地
今治市常盤町5丁目203番地2、今治市波方町樋口甲72番地1、今治市大三島町宮浦5713番地
指定管理者
名 称
今治図書館管理センター
代表者
株式会社IJC 代表取締役社長 河北 興次 ㈱日立ビルシステム 取締役社長 佐々木 英一
住 所
今治市天保山町二丁目5番地1 東京都千代田区神田美土代町7番地
本施設の管理運営業務の確認にあたっては、管理運営状況を事業報告書、実地調査、利用者アンケート、指定管理者へのヒアリング等
モニタリングの実施
により把握しました。
方針・方法等
その後、指定管理業務の課題ごとに、指定管理者による自己評価及び市による評価結果を取りまとめました。
教育委員会 社会教育課 図書情報サービス室
担当部課
(問合せ先)
TEL:0898-36-1602
E-mail:[email protected]
評価内容
課題
総括
事業収支
指定管理者自己評価
B
A
基
本
事
項
管理・運営体制
個人情報保護
B
A
図書館を適切に管理運営していく上で、職員に対し
ては、基本となる市条例、規則、仕様書等を十分理
解し、業務に取り組むよう指導徹底している。
また、特定の利用者にサービスが偏らないように、
適切な管理運営を行い、利用者への公平なサービス
の提供に向けて尽力している。
経理については、会計責任者並びに庶務担当を定
め、伝票や証憑書類について適切に作成、管理を
行っている。
また、監査当局からの指摘に対し、本社と随時改善
を協議し、実現させていった。
現金については本社管理とし、チェック体制の強化
を図っている。
光熱水費等の経費節減により、剰余金も発生してお
り安定経営基盤のための準備金積立金を増加させ
た。
図書館業務を利用者満足度を低下させることなく円
滑に実施できる体制を構築し、職員の作業環境の向
上、積極的な職員研修の実施及び職員のモチベー
ション向上対策に注力した。
また、個人情報保護教育及び外部講師を招いての職
員研修を実施し、ビジネススキル向上並びに意識改
革の実現に寄与出来た。
個人情報を適切に扱う事業所に交付されるプライバ
シーマーク(以下、Pマーク)を取得しているた
め、職員全員に対して誓約書を徴収のうえ、Pマー
クの教育を実施すると共に、個人情報を含む書類に
ついては、保管方法並びに保管場所を施錠可能な
キャビネットまたは施錠出来る部屋に保管するよう
な適正化を徹底した。
市による評価
B
B
B
A
指定管理者として、公共図書館の設置目的や意義については理
解しており、それに基づいて図書館の管理運営ができている。
職員の研修についても館内での研修開催、館外での研修会への
派遣などを積極的に行っており、また毎日のミーティングや班長会
などを実施して職員間の意識・情報共有に努力していることを評
価する。
今後も図書館職員一人ひとりが意識を高め、利用者への公平な
サービス提供に努められたい。
事業収支計画は適正で、経理事務においても伝票・帳簿処理や
現金管理等も適正に執行されている。
また、積極的な経費節減により発生した剰余金を準備金として積
み立てており、自主的な安定した運営資金の確保を評価する。
今後は、剰余金についてその一部を積極的に社会還元されんこと
を期待する。
図書館運営に必要な職員数については、専門職である司書資格
者数を含め「仕様書」で定める水準を確保しており安定的な図書
館運営が可能となっている。また、平成22年度より積極的に障害
者雇用を実施していることを評価する。
今後は、職員間の情報や業務スキルの共有化を一層向上させる
とともに、管理職員の勤務シフトや緊急時の対応等についてより
迅速に対処できるように改善を検討し、機能的な組織体制の構築
を望む。
指定管理者自身が個人情報を適切に取り扱っている事業所に交
付されるプライバシーマークを取得しており、指定管理者移行以
後、毎年全職員に対し個人情報保護を徹底させるため、社内研修
など職員教育を積極的に実施していることを評価する。
また、個人情報が含まれる書類の管理についても、施錠キャビ
ネットで保管し廃棄する際も厳格に管理されていることを評価す
る。
課題
一般管理業務
修繕管理業務
指定管理者自己評価
A
一般管理業務については業務基準表に定められた回
数を適切に実施した。なお、業務基準表に定められ
た基準以外にも植栽の剪定や水やりを随時実施する
と共に、図書館敷地内はもとより周辺の公園、道路
の清掃を毎日実施した。
また、省エネ・節電対策も実施した。
A
来館者の安全にかかわるものや法令に定められてい
る修繕は迅速に実施し、月報にて報告を実施してい
る。これにかかわらない一定額を超える修繕につい
ては、協議書で申し入れると共に、修繕計画に反映
させている。
B
個人情報保護の遂行のため、裁断機及び個人用キャ
ビネットを購入した。キャビネットについてはロッ
クできない4台を優先して買い替えを行った。
波方の本棚については、本の収納処理に以前より継
続的に困惑していたため、収支決算に余裕もあった
ので購入することとした。
B
館内に意見箱を設置し、いただいたご意見は職員全
員に回覧し、返答先が記されているものは、協議の
上、迅速に返答している。なお、事故については、
館内の整備や警備の充実により、発生そのものを抑
止している。また、開館中は、責任者もしくは準ず
る監督職が常に就業しており、タイムリーな対応体
制を維持している。
管
理
業
務
備品管理業務
その他の
管理業務
(事故・苦情対応)
総括
B
利
用
業
務
一般利用業務
電算システム
運営業務
運
営
業
務
図書館資料
運営業務
その他の
運営業務
(利用者アン
ケートを含む)
来館者数は目標には達しなかったが微増していますが
一層の努力が必要と思われる。
利用者登録総数、貸出人数、貸出点数についてはおお
よそ3%程度の減尐となっている。来館者数の微増との
関連からでは
図書館の利用形態が尐し変化してきているかもしれな
い。この要因については深く協議を行い、今後も利用者
満足度の向上やPRについての取り組みを強化し、利
用率・稼働率の向上を図って行きたい。
本年度も中央館、波方館、大三島館、BM利用者に対
してのアンケート調査を実施しアンケートの集計結果を
作成し、今治市および図書館利用者倶楽部に提出する
と共に、館内での公表を実施した。
開館日数については、中央館が第4月曜日を新たに開
館し、波方館・大三島館については祝日並びに第4月
曜日の開館を実施したが、今年度も継続し、3館の開館
日の統一が図られた。
昨年度に引き続き、館内の全面禁煙、水分補給コーナ
の設置、状況に応じた閲覧用机の増設、自主講座の開
催及び館内警備の充実等により、利用者が従来より来
館しやすい環境づくりに注力した。
A
利用者からの問い合わせ等に対して適切な対応並び
に案内が出来るよう、周知文書の作成、配架場所を解
りやすく表示した文書を作成の上、適宜配布を行うと共
に積極的かつ適切なレファレンスが実施できるような研
修を行い、利用者サービスの向上に寄与した。また、館
内掲示物の見直しを行い、来館者に分かりやすい掲示
方法並びに掲示物の工夫・改善を実施すると共に図書
館内の定期的な巡回を実施し、秩序を乱す行為を未然
に防止すると共に、適切な対応を実施した。
A
電算システムに伴う障害、改善事項等については情
報の一元化を図るため、システム取りまとめ責任者
を設置し、円滑な運用に努めている。また、システ
ムに障害が発生した場合には、速やかに今治市主管
課に報告すると共に、システム取りまとめ責任者と
システム保守担当者との迅速な連携により、早期の
復旧に努めている。
A
仕様書に定められた選定基準にもとづき、原則とし
て、毎週木曜日に選書会を実施し、選定結果を速や
かに今治市主管課に承認申請を行い、承認後、発
注、受入れ、装備、配架作業を実施している。な
お、中央館においては郷土資料の充実、波方及び大
三島館においては、それぞれの地域性を考慮した選
定に注力すると共に、高齢者等に配慮した大活字本
の収集を行った。また、図書館資料購入予算につい
ては指定管理料の他の会計とは別管理し、予算管理
の適正化に努めた。
A
教育的事業のブックスタートについては、昨年度と
同様に継続的に実施した。夏休み自由研究/読書感
想文 しらべかた/かきかた教室については、当方
の館長が元中学校長のため、経験並びに人脈を活用
し、迅速かつ的確な計画にもとづいた説明会・相談
会を実施し、多数の相談者が利用され、おおむね高
い評価を受けた。
市による評価
B
各種保守・管理業務について、「仕様書」で定めている業務内容
や実施回数等の水準を維持できている。
省エネ・環境(エコ)対策についてもその意識は高く、こまめなON・
OFFにより積極的な節電対策を行い実績を上げている。
また、指定管理者移行後から図書館職員による周辺の公園及び
歩道の自主清掃も継続しており、地域に対する貢献を評価する。
B
日常点検を小まめに行うことによって、故障箇所の早期発見・早
期修繕を心がけている点を評価する。
今後は長期的・総合的な観点より、効果的な修繕計画を策定し、
市と連携して適切な施設管理に勤められたい。
B
B
市より引き継いだ備品については、概ね適正に管理されている。
開館より相応の年数が経過しているため、耐用年数を超えて使用
しているものも多いので日常点検などを小まめに行い安全性・利
便性に考慮した備品管理に努められたい。
「接客マナー」や「クレーム対応」の研修を積極的に実施し、職員
全体としてクレーム対応のスキルアップが見受けられる。
寄せられた苦情や要望を今後の管理・運営に適切に反映させると
ともに、その対応について他の利用者へ周知し、より利用しやす
い図書館となるよう努められたい。
指定管理者移行後に開館日数の拡大、開館時間の延長を継続し
ており、これが利用者に定着している。
図書館利用の評価項目は貸出資料数・貸出人数以外の数値化し
にくい要素も多くあるが、客観的に判断しやすいこの指標が伸び
悩んでる。
その要因は単に「図書館の利用者が減尐した」という単純なもの
ではなく、色々な複合的な要素が考えられるが、収集している各
種のデータをもとに、今治市立図書館の利用現状を的確に分析
し、妥当な目標数値の設定及び効果的な対策を策定するように努
められたい。
B
B
各利用業務について、「仕様書」で定められている水準を維持され
ている。
平成22年度において図書館ホームページの改訂を実施し、図書
館に関する情報提供を大幅に拡大させたことを評価する。
日常的な貸出・返却サービスやレファレンスサービスへの利用者
からの要望に的確に応えるとともに、利用者から親しみをもたれ
信頼される図書館を目指して、様々な事業を展開し、利用促進に
向けて努力されたい。
B
電算システム運用・管理について、日常的な点検・稼動確認や障
害発生時の緊急対応等が適切に実施されており、安定したシステ
ム運用が確保されていることを評価する。
平成23年度に予定しているシステム更新に向け、市及びシステム
管理者と連携を密にして機能的なシステム構築のため積極的な
協力を期待する。
B
図書館資料の運営業務については「仕様書」で定める水準を遵守
し、年間を通し適正に資料の計画的収集が行われている。
平成22年度に全館での「資料選定・発注・登録」の手続きが統一
され、「選書会」にも中央図書館以外の司書も参加し、各館の情報
共有が進んだ点を評価する。
今後とも、館ごとに地域特性を活かした資料収集に努めるとともに
市立図書館全体での蔵書構成に留意しつつ、適正な資料運営に
努められたい。
B
市が実施する「ブックスタート事業」や「読み聞かせ」について積極
的に協力していることを評価する。
PTAやボランティア団体等新たな協力団体の掘りおこしを検討さ
れたい。
また、毎年利用者に対してアンケート調査を実施しており、そこで
得られたデータや要望などを日々の業務にフィードバックさせてい
ることを評価する。
今後は、アンケート結果をリニューアルされた図書館ホームペー
ジで公表し、他の利用者にも積極的な情報提供を検討されたい。
課題
一般奉仕業務
指定管理者自己評価
A
奉
仕
業
務
その他の
奉仕業務
A
資料の閲覧が自由に行えるよう、配架場所が解りや
すくなるような地図を作成し、必要に応じて配布を
行い、利用者の利便性の向上を図った。貸出につい
ては、大人向け、ヤングアダルト向け及び小学生向
けに、それぞれ「読んでみよう100冊の本」を紹
介したパンフレットの作成を行うと共に、企画テー
マごとに閉架図書の紹介を実施し、新しい読書機会
の提供に努めた。返却業務については、今治市立図
書館のどこで借りた資料であっても、すべての図書
館への返却を可能とする「相互返却」サービスにつ
いて、平成22年度から本番業務を開始している。末
返却資料の督促については、長期延滞者に対するペ
ナルティ強化をして、一定の効果を得ることが出来
たが、毎月、中旪から下旪にかけて延滞者に対する
電話連絡並びに現地訪問を実施し、長期延滞資料の
返却に向けての督促処理を行い、一定の効果が得ら
れた。また、予約督促についても1週間に1回の電
話連絡により一定の効果が得られた。
また、レファレンスサービスそのものの認知度が低
いため、「調べ物のお手伝いをします。」旨のポス
ターを作成し、館内掲示で周知すると共に、ベテラ
ン司書のコーチングによる職員研修を実施し、利用
者に対するレファレンスサービス向上に努めた。
自主事業として、「歴史講座」、「今治俳句講
座」、「製本教室」、「平和学習会」、「読み聞か
せ講座」、「おり紙教室」、及び「今治・波方読書
講演会」を開催し、多数の利用者が講座を利用され
ると共に、アンケート結果もおおむね高い評価を受
けた。なお、自主講座を実施するに当たり、事前に
計画立案を実施のうえ、今治市主管課との協議を実
施した。内容は地域に根差した今治地方の歴史、愛
媛県の代表的な文化である俳句等をテーマとし、受
講者のアンケートにおいても地域性並びに独創性に
ついての高い評価を得ることが出来た。
市による評価
平成22年度より開始した「今治市立図書館のどこで借りた資料で
も、どこの市立図書館でも返却できる」返却サービスは利用者の
利便性を大いに向上させたと評価する。
今後は「予約方法の見直し」、「移動図書館車の巡回エリア拡
大」、「資料の貸出方法の見直し」等更なる利便性の向上を目指し
て、新規事業を検討されたい。
B
指定管理者移行後、自主事業のうち「自主講座」について充実を
図っており、図書館で実施される生涯学習講座として認知度が上
がってきていることを評価する。
平成23年度は大三島図書館での開催を増やしているが、今後は
その他の図書館でも同様に自主講座を充実させ、市民の図書館
利用機会の向上を図られたい。
B
提出があった財務諸表など関係書類を分析した結果、特に問題となる点もな
く、経営状態は健全で安定していると判断する。
指定管理者
の経営状態
総 合 コ メ ン ト 今治市立図書館指定管理者においては、「業務仕様書」や「事業計画書」に従い、施設の設置目的に応じた施設管理と利用者サービスを提供し、概ね良好な管理・運営
が行われていると評価するが、指定管理者制度導入後3年を経過し、資料貸出件数等の利用実績が伸び悩んでいる傾向が見受けられる。
平成23年度に予定している「図書館システム更新」と呼応して、「予約方法の見直し」、「貸出方法の見直し」など利用者の利便性向上にむけての努力を期待する。
また、自主講座の拡充や読み聞かせ会など教育的事業を継続的に実施し、市民に対して「資料を借りるだけの図書館」から「生涯学習の場としての図書館」としての認知
が徐々に進んできていると思われるので、今後もこのような事業を充実させ市民の一層の図書館利用につながるよう努められたい。