19.資源高(不足)・食料高(不足)傾向の 中で今後の日本経済 - 明和地所

19 . 資 源 高 ( 不 足 )・ 食 料 高 ( 不 足 ) 傾 向 の
中で今後の日本経済と不動産はどう動くか?
(1)日本経済はどうなる?
①
・
・
・
②
③
④
⑧
( 本 流 )
( 支 流 )
新興国の需要増
サブプライムローン問題
↓↓
↓↓
資源不足で争奪戦
リーマンブラザーズ破綻 ギリシャの財政破綻
↓↓
↓↓
グローバルマネーの流入で一層の資源高
←
金融緩和・金利下げ
↓↓
↓↓
食料品高
エネルギー高・工業源料高
←
東日本大震災
↓↓
↓↓
↓↓
食料不足で争奪戦 →
世界的インフレの恐れ ← 資源不足で争奪戦
↓↓
↓↓
新興国ではインフレと社会不安を恐れて、
⑤
資源ナショナリズム
輸出規制・輸出税の導入
・コバルト(5年前の5倍)
インドでは米・小麦・豆の輸出禁止
コンゴ共和国は海外からの投
ベトナムでは米の輸出禁止
資 を 選 別 ( 中 国 は 3,000億 円
ロシア、ウクライナ、中国では輸出税の導入
のインフラ整備を請負契約)
EU、 韓 国 、 オ ー ス ト ラ リ ア 、 モ ン ゴ ル 、 ト ル コ
・原油
メキシコ等々は輸入振興策
ロシアは自国の為だけに使う
ミャンマーの大洪水で水田に大被害
国 家 管 理( ヨ ー ロ ッ パ に 影 響 )
米不足で米の価格が2倍以上に上がる。
・天然ガス
エタノールに「悪玉論」
インドネシアは収入の取り分
トウモロコシ等の食料からバイオエタノールを作
拡大を主張
ることは食糧危機を招く?
⑥レアメタル等の不足・高騰・
非食用植物を使ったバイオディーゼルの試験生産
亜鉛、マンガン、バナジュウ
の方向が出てきた。
ームの生産減少で価格高騰
↓↓
↑↑
⑦ 企業再編で市場支配力強化
新興国では食糧難の為の社会不安
・資源供給側と需要側との対抗
で、世界的再編の波
2011年 3月 11日 東 日 本 大 震 災 で 福 島 原 子 力 発 電 所 の 原 子 力 事 故 発 生 → 電 力 不 足
→電気料の高騰 →日本のエネルギー不足は自然エネルギー発電で補えるか?
※ さて、日本経済はどうなるか?
・ サ ブ プ ラ イ ム 問 題 → 世 界 金 融 恐 慌 ← EU諸 国 の 財 政 破 綻 懸 念 で の 金 融 緩 和
・ 資源と食料が高騰し、世界的インフレ懸念が高まっているのに日本はデフレ傾向
なのは何故?
・ 工業資源高(原油、ガス、石炭、ナフサ、鉄鉱石、レアメタル等々)
↓↓
企業は製品価格に転嫁したい!
←
消費者の抵抗
↓↓
←
円高傾向
何故?
・ 短期的には、転嫁できない企業は利益縮小
長期デフレ傾向であり、企業は苦しい状況
↓↓
日本の企業は減収減益が多くなる予測
製品を高く輸出
・ 中長期的には、価格転嫁して、物価は高くなって行く
資源を低く輸入
「テニスボード理論」
-1-
(2)日本の不動産はどうなる? 浦安の不動産はどうなる?
( 1 ) 前 述 の よ う に 日 本 経 済 は 、 07年 8 月 の サ ブ プ ラ イ ム 問 題 発 生 以 降 、 ド ル 安 ・ 円 高 と
食料高・工業資源高の大波にもまれて減速傾向ですが、不動産市場も同じく大波を
かぶっています。
サブプライムで損失の出た米欧の金融機関とファンドが利益の出ていた日本の株
と リ ー ト ( 不 動 産 証 券 ) を 一 挙 に 大 量 に 売 却 し た 為 、 外 資 が 60% を 超 え て い た 株 と
Jリ ー ト の 価 格 が 一 挙 に 40%下 落 し て し ま い ま し た 。
そ の 後 も 、 ギ リ シ ャ の 財 政 危 機 を 契 機 に EU諸 国 の 金 融 不 安 が 発 生 し 、 世 界 経 済 は
混 迷 し ま し た が 、 12年 の 夏 以 降 よ う や く EUの 混 乱 も 収 ま り 、 日 本 の 政 界 も 混 迷 を 極
め た 民 主 党 政 権 か ら 安 倍 政 権 に 交 代 し て 日 本 の 株 は 15,000円 を 回 復 し ま し 、 J・ Rei
tに も 世 界 の グ ロ ー バ ル 資 金 が が 戻 っ て き ま し た 。
そ こ で 、 日 本 の J・ Reitの 動 向 を 初 め と し て 、 以 下 に 今 後 日 本 の 不 動 産 が ど う な
るかについて、検証したいと思います。
( 2 ) 90年 9 月 の バ ブ ル 崩 壊 以 降 、日 本 の 不 動 産 は 下 が り 続 け て い ま し た 。 そ の 中 で 、
01年 以 降 日 本 の 不 動 産 価 格 が 急 激 に 回 復 で き た の は 、 証 券 化 分 野 が 誕 生 し 、 J・ Rei
tや フ ァ ン ド が 大 量 の 外 資 を 呼 び 込 ん だ 為 に 、 投 資 マ ー ケ ッ ト と 実 需 マ ー ケ ッ ト と
の不動産取引の大きな流れができました。 つまり、投資マーケットの動向が日本
の不動産マーケット全体を決めてきたと言っても過言ではないでしょう。
そ こ で 、こ の 証 券 化 分 野 へ の 外 資 の 流 入 に 変 化 が 起 き て い る こ と が 今 後 ど う 動 き 、
どう変化するか、を見定めなければなりません。
(3)
日本の不動産の資産規模とマーケット
日本の不動産総額 約¥2,300兆円(36万k㎡)
( 実需マーケット )
( 投資マーケット
企業不動産マーケット
¥ 400兆 円
一般事業法人(不動産会社以外)が所有す
る 本社ビル・工場・営業所・研究所・社宅
等福利厚生施設・賃貸不動産
個人所有不動産の総額
①個人住宅マーケット
約 ¥ 1,000兆 円
¥ 400兆 円
② 個 人 所 有 収 益 物 件 マ ー ケ ッ ト ¥ 100兆 円
③農地・山林
¥ 500兆 円
公的セクター
(土 地 の み の 集 計 )
約 ¥ 450兆 円
国・地方公共団体所有
約 ¥ 360兆 円
-2-
投資マーケット
)
¥ 90兆 円
① オ ン バ ラ ン ス 分 野 ¥ 62兆 円
(不動産会社の建設不動産事業)
②証券化分野
¥ 28兆 円
内訳
・ SPC
¥ 22兆 円
(プライベートファンド他)
・ J-REIT
¥ 6兆 円
(4)
企業不動産と証券化分野について
企業不動産マーケットでは、バブル崩壊後、リストラの一環として不要な遊休地
を売却しました。
次に、自社使用の不動産を証券化の手法を使い投資マーケットに売却しました。
ま た 、減 損 会 計 が 導 入 さ れ て 、不 動 産 の 含 み 損 の 顕 在 化 か ら 逃 れ ら れ な く な っ て 、
不動産の売却をしました。 これらの不動産の処理に対して、投資マーケットが引
き受けました。 一般企業が持つオフィスビルの取得から始まって、店舗、流通施
設、福利厚生施設も投資対象に取り込んでいきました。
こうして、日本企業のリストラや儲かる体質への変化ができ、日本企業はよみが
えり、現在では工場用地等々を購入する企業も増えてきています。 例えば、豊田
は福岡県に、シャープは堺市に新工場用地を取得しました。
今後は、企業のリストラや減損会計対応の為の売却は必要なくなりましたが、よ
り積極的な投資の為に、自社ビルを証券化して売却し、そのままその設備を借り受
けて使用することが起きてくる、と考えられます。
例 え ば 、 松 下 ロ ジ ス テ ク ス は 全 国 17カ 所 の 物 流 施 設 を 外 資 系 フ ァ ン ド に 売 却 し 、
内 15施 設 を セ ー ル ・ アンド・ リ ー ス バ ッ ク し て 、 継 続 使 用 し て い ま す 。
例 え ば 、 89年 頃 、 ア メ リ カ の 国 務 省 の ビ ル は 民 間 所 有 の ビ ル で あ り 、 9 億 5,000
万 ・ 利 回 り 9.2% で 売 り に 出 て い ま し た の で 、私 が 購 入 を 検 討 し た こ と が あ り ま す 。
なんとアメリカでは、国務省が賃料を払って借り受けていたのでした。 この事実
を知って本当に驚いたことを思い出します。 今後は、日本の企業も本社ビルを売
り払って、そのまま借り受けて利用し、その売却金でもっと儲かる事業分野に集中
投資して、さらなる発展を狙うと言うことが増えてくることが予測されます。
そ う な る と 、 400兆 円 の 企 業 資 産 が 不 動 産 証 券 化 商 品 と し て 市 場 に 出 る 可 能 性 が
あり、日本の不動産市場には外資がドーンと入ってくることになり、日本経済は大
いに活性化するでしょう。
今はサブプライム問題で証券化不動産に嫌気がさした人が多い為、不動産ファン
ド や J-REITか ら お 金 が 撤 退 し て し ま い 価 格 が 下 が っ て い ま す が 、 早 晩 こ の こ と に 気
が 付 い た 世 界 中 の お 金 が そ こ に 投 資 さ れ て 、 そ れ に つ ら れ て 日 本 国 民 が 持 つ \1,500
兆円のお金も動いたら、日本の不動産市場の流れは大きく活発になる日が近いでし
ょう。 そうなれば、もっともっと日本の企業は栄え、日本国民も豊かになれるの
ですが、そんな日が近いことを期待し楽しみにしています。
(5)
①
②
③
日本の不動産マーケットに投資する海外資金
海外投資家が日本の不動産に投資してきた理由は、以下によります。
良好なファンダメンタルズ
経 済 の 規 模 ( 世 界 第 2 の 経 済 大 国 )、 社 会 ・ 政 治 の 安 定 性 、 法 制 度 ・ 市 場 の 整 備 な
どの投資インフラが良好なこと
不動産市場の成長性
景気拡大に伴う不動産市場の拡大と今後の賃料上昇期待や旺盛な開発の見通しで今
後 も 、 400兆 円 の 企 業 不 動 産 が 、 セ ー ル ・ アンド・ リ ー ス バ ッ ク 等 々 で 市 場 に 出 て く
ることが期待できる。
また、公的セクターの保有不動産の売却が本格化しており、民間企業が再開発し
て市場に出てくることが予測できる。
投資リターンの優位性
他国に比べてイールド・スプレットが大きく(低金利の為に賃料収入と金利差が
大 き い こ と )、 低 金 利 ・ 円 安 が 海 外 投 資 家 に 有 利 に 働 い て い る こ と 、 日 本 の 国 債 が
1,000兆 円 も あ る 為 、国 は 金 利 を 上 げ る こ と が で き な い 状 況 に あ る 。 何 故 な ら ば 、
金利が上がると、国債の金利も上がり、返済が難しくなるからです。 日本の政府
は、低金利を維持して、景気を良くして税収を増やし、インフレにして国債の価値
を下げることを(本音では)やりたいからです。
低金利で景気が良くなれば、インフレになり、株と不動産が値上がりします。
この形では、不動産バブルが発生することもあるので、行き過ぎたインフレになら
-3-
ないように調整することも大事ですが、そこが投資家としては狙い目です。
投資分散効果があること
新興国は政治不安・社会不安が大きいので、日本のような安定した国の投資で危険
を分散したいのです。
④
(6)
不動産投資マーケットの将来性
以上見てきたように、日本の不動産証券化部門は、有望です。
現に、サブプライム問題以降、外資のオポチュニティック投資(短期で高利回り狙
いの性質の資金)は引いていきましたが、コア投資(中長期で安定利回りを狙う資
金)に入れ替わってきています。
世界における不動産投資拡大の背景には、急速な資本のグローバル化の進展があり
ます。
グローバルマネーの実態
新興国外貨準備金
4.7兆 ド ル ( 499兆 円 )
政府系ファンド
2.5兆 ド ル ( 265兆 円 )
オイルマネー
2.0兆 ド ル
(212兆 円 )
ヘッジファンド
1.9兆 ド ル ( 202兆 円 )
投資信託
24.3兆 ド ル ( 2,576兆 円 )
合計
35.4兆 ド ル (3,576兆 円 )
( ち な み に 、 日 本 の 外 貨 準 備 金 は ¥ 103兆 円 で す )
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
①
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭
⑮
主な政府系ファンド
( 国名 )
( 政府系ファンド) (
アラブ首長国連邦
アブダビ投資庁
ノルウエー
政府年金基金
シンガポール
政 府 投 資 公 社 ( GIC)
クエート
クエート投資庁
中国
中国投資有限公司
シンガポール テマセク・ホールディングス
オーストラリア
フューチャーファン
カタール
カタール投資庁
ロシア
国民福祉金
ブルネイ
ブルネイ投資庁
韓国
韓国投資公社
マレーシア
カザナ・ナショナル
カザフスタン
国家基金
台湾
国家安定基金
イラン
石油安定化基金
運用資産 億ドル ( 資金源 )
8,750( 92兆 円 )
石油
3,560 (37兆 円 )
石油
2,150 (23兆 円 )
外貨準備
2,130( 23兆 円 )
石油
2,000( 21兆 円 )
外貨準備
1,080( 11,3兆 円 )
余剰資金
400 ( 4.2兆 円 )
余剰資金
400 (4,2兆 円 )
石油
320 ( 3,3兆 円 )
石油
300 ( 3,1兆 円 )
石油
200 ( 3兆 円 )
外貨準備
183 ( 1,9兆 円 )
余剰資金
170 ( 1,8兆 円 )
石油・ガス
150 ( 1,6兆 円 )
その他
120 ( 1,3兆 円 )
石油
日本の経済が拡大基調を続ける限り、日本の不動産市場は有望ですので、世界の
グローバルマネーは、日本市場に戻ってくる、と予測できます。
そ し て 、 不 動 産 フ ァ ン ド や J-REITに も グ ロ ー バ ル 資 金 が 流 れ 込 ん で く る と 予 測 で き
ます。 アメリカのサブプライム問題で傷ついたアメリカの金融機関の信用も回復
基調だし、アメリカの実体経済も時間はかかるが、徐々に回復するでしょうから、
そ の 間 日 本 経 済 が EUや 新 興 国 と の 貿 易 で 頑 張 れ ば 、 グ ロ ー バ ル マ ネ ー も 日 本 へ の 投
資を戻すでしょう。
日 本 は 、 あ の 巨 大 な バ ブ ル 崩 壊 ( 不 良 資 産 処 理 額 ¥ 100兆 円 ) を 自 力 で 乗 り 越 え
て、且つ、サブプライム問題で傷ついていない国なのですから、経済の実力は相当
の物であることは世界中が知っているからです。
そして、バブル崩壊以来日本の不動産市場を牽引した投資マーケットが元気にな
れば、日本の不動産の流れも良くなることが確実です。
-4-
(7)
個人住宅マーケットについて
①
個人住宅需要について
個人住宅市場の動向を探るのには、まず住宅需要を考えます。 その有力な指標
になるのは人口や世帯数の増減です。
・ 10年 10月 1 日 現 在 で の 日 本 の 人 口 は 1 億 28,057,352人 で す が 、 30年 に は 1 億 1,552
万人に減少すると推測されています。
し か し 、 そ の 一 方 で 総 所 帯 数 は 15年 頃 ま で は 増 加 傾 向 が 続 く と 推 測 さ れ て い ま す 。
それは、核家族化や少子化などにより一所帯当たりの人数が減少し、世帯数の増加
が続くと推定されているからです。
・ ま た 、 世 帯 数 の 増 加 に は 地 域 差 が あ り ま す 。 東 京 首 都 圏 と 名 古 屋 圏 は 、30年 ま で
人 口 が 増 加 し 、 域 内 総 生 産 も 10,7% 上 昇 す る 、 と 推 測 さ れ て い ま す 。 そ れ 以 外 の
地 域 は 、徐 々 に 人 口 は 減 少 す る と 推 測 さ れ て ま す( 内 閣 府「 地 方 経 済 委 員 会 報 告 」)。
日本が全体的には人口減少下で縮小傾向にある中で、東京首都圏については、一
定期間ファンダメンタルズが堅調に推移する、と言うことです。
今 後 は 、東 京 を 中 心 に 、投 資 対 象 と し て の 魅 力 を 高 め て い く 努 力 が 必 要 で し ょ う 。
こ こ に 、 大 手 不 動 産 業 者 や 不 動 産 フ ァ ン ド や J-REITが 再 開 発 等 々 で 活 躍 す る 場 が 大
いにある、将来的に有望な市場があると言うことです。
② 山手線沿線以内の地域には、シンガポールのように、一戸建て禁止にして、その代
わ り 国 民 に は 150㎡ ( 45坪 ) 以 上 の マ ン シ ョ ン を 保 証 す る く ら い の 都 市 計 画 の 変 更
をしてはどうでしょうか。
更 に 、 フ ラ ン ス の よ う に 、 2F以 上 は 住 宅 に す る 規 制 を す れ ば 、 都 心 に 人 が 住 め る
住環境が整い、幸せが近づきます。 どうですか? 真剣に検討してみてはいかが
でしょうか? このくらいの思い切ったことをしなければ、日本国民は幸せになれ
ませんね。
③ 新築か? 中古か? 又は賃貸か? 選択する人が増える。
・ 新築マンションは、バブル崩壊後、企業のリストラや減損会計の為に企業が所有不
動 産 を 安 く 放 出 し た の で 、東 京 首 都 圏 に は 安 い マ ン シ ョ ン が 大 量 に 供 給 さ れ ま し た 。
97年 ~ 06年 ま で の 間 年 間 6 万 ~ 8 万 戸 を 供 給 し て き ま し た が 、 そ の 間 価 格 が 上 が
り 続 け 、つ い に 07年 7 月 以 降 は 価 格 が 上 が り す ぎ て 、消 費 者 が 付 い て い け な く な り 、
売れ残りが出始めました。
都内中心部の条件の良い地域では未だ販売は好調ですが、郊外で、バス便の場所で
は 成 約 率 が 70% を 切 っ て 、 建 築 費 が 高 騰 し た こ と と 相 ま っ て 、 マ ン シ ョ ン 価 格 の 調
整局面に入って来たと言えましょう。
・ 中 古 マ ン シ ョ ン は 、 91年 ~ 05年 夏 ま で は 、 売 れ る 度 に 少 し づ つ 価 格 が 下 が り 続 け ま
し た が 、 05年 10月 以 降 は 、 新 築 マ ン シ ョ ン の 価 格 上 昇 に つ ら れ て 価 格 が 上 が っ て い
き ま し た 。 特 に 、 築 10年 以 内 の マ ン シ ョ ン は 売 れ 行 き も 良 く 、 価 格 は 新 築 同 様 の
上昇を続けました。
し か し 、 ア メ リ カ の サ ブ プ ラ イ ム 問 題 が 起 き た 07年 8 月 以 降 、 流 れ が 変 わ り 、 買
主が慎重に選別し、価格交渉に応じた物件だけが売れる、と言う状態に変化しまし
たし、人口減少傾向を考えると今後は新築マンションの供給はかなり少なくなると
推測できます。
・ そ こ で 、今 後 当 分 は 中 古 マ ン シ ョ ン の 10年 以 内 の 築 浅 の 物 件 か 、
「 耐 震 診 断 」し て 、
「耐震補強工事」をした、リノベーションした安心で美しいマンションが売れる時
期がしばらく続くのではないか、と思われます。
何 故 な ら ば 、「 団 塊 の ジ ュ ニ ア 」 と 言 わ れ る 30歳 代 の 購 入 層 が 1,890万 人 も 居 る か
ら で す 。 29歳 で 結 婚 し 、 32歳 で 初 め て の 住 宅 を 購 入 し 、 38歳 で 大 き な 住 宅 に 買 い
換えると言うのが平均的な日本人像だからです。
・ ま た 、「 団 塊 の シ ニ ア 世 代 」 1,280万 人 が 、 今 64歳 ~ 60歳 で あ り 、 60歳 定 年 を 迎 え
て い ま す の で 、 20兆 円 ~ 30兆 円 の お 金 が 退 職 金 と し て 支 払 わ れ 、 こ の 世 代 の 人 達 の
買換需要がこの5年間に起きます。
-5-
・
た だ 、 今 後 は 、 フ ァ ン ド や J-REITが 良 質 の 賃 貸 マ ン シ ョ ン を 提 供 す る こ と が 考 え ら
れ る の で 、都 内 に 住 む 人 の 場 合 は 賃 貸 マ ン シ ョ ン を 選 ぶ 人 が 増 え る か も し れ ま せ ん 。
何 故 な ら ば 、 少 子 高 齢 化 で 若 い 人 は 一 夫 婦 か ら 1,3人 以 下 の 子 供 し か 産 ま な い 為 、 二
夫 婦 ( 親 4 人 ) か ら 一 夫 婦 の 子 供 ( 2,6人 ) 世 帯 が で き る わ け で 、 子 供 夫 婦 は ほ ぼ 両
方の親の財産と家を引き継ぐことができるわけです。 そうなれば、無理して家を
買う必要はなく、楽しく賃貸で過ごすことを考える人が増えるだろうからです。
④
ところで、
中長期的には、東京首都圏では、人口が増え続け、需要が増え続けるとの予測で
す か ら 、20年 頃 ま で は 新 築 と 築 浅 の 物 件 の 売 れ 行 き は 好 調 を 続 け る と 推 測 で き ま す 。
た だ し 、 築 20年 を 過 ぎ た マ ン シ ョ ン に つ い て は 、「 耐 震 診 断 」 を し て 、「 耐 震 基 準
適合証明書」で「震度7の地震にも倒壊しない」との証明を取り、綺麗にリフォー
ムした物件しか売れない時代になる、と思います。
マ ン シ ョ ン 管 理 組 合 が し っ か り と 管 理 し 、「 耐 震 補 強 工 事 」 を し 、 安 心 し て 住 め
るマンションにすれば、高く売れるマンションになるのです。
ち な み に 、 イ ギ リ ス の 住 宅 の 寿 命 は 141年 、 ア メ リ カ は 101年 、 フ ラ ン ス は 86年 、
ド イ ツ は 79年 で す が 、 日 本 の 住 宅 の 寿 命 は な ん と 30年 し か な い の で す 。 こ れ は 明
らかにおかしいでしょう? これは日本の政府が、戦後の経済復興政策として、新
築住宅促進政策をとってきた為です。
今後は、前述のように、耐震診断と耐震補強工事をして、安心して住める長持ち
す る 家 に 変 え て い か ね ば な り ま せ ん 。 こ の こ と は 、 80% 以 上 が 家 を 持 っ て い る 高 齢
者にとっては、自宅の価値を上げて、最後には売却して、老人ケアセンターや病院
に 入 る 時 の お 金 に 充 て る こ と が で き て 、年 金 と 合 わ せ た 老 後 対 策 に も な る わ け で す 。
一戸建て住宅について、
浦安市内で見る限り、一戸建ての売れ行きが落ちてきています。
幾つかの原因が考えられますが、一つには、高齢者の一戸建て離れが顕著です。
親子二所帯同居が少なくなってきたことが大きいと言えます。 その原因は、親所帯
の 母 親 の 80% が 子 供 世 帯 と の 同 居 に 反 対 ( 父 親 は 賛 成 79% ) な の で す 。
庭いじりや階段登りがきつくなった高齢者は、マンション生活を選んでいます。
結果として、親子で近くのマンションに住むことが多くなっています。
もう一つの原因は、東京首都圏では、土地が高くなって、若い人には買える価格帯
で は な く な っ た 、と 言 う こ と が あ り ま す 。 現 在 浦 安 の 一 戸 建 て を 買 え る 30代 の 人 は 、
親からの援助がある人に限られた、と言えます。
一戸建ての良さは、他人に煩わされない自由度があり、子供がのびのび育つ良さが
あります。
11年 3月 11日 の 東 日 本 大 震 災 で 、 埋 立 地 で は 液 状 化 被 害 が 出 て 、多 く の 一 戸 建 て 住 宅
が傾ましたので、しばらくは一戸建てを買う人が少なくなり、価格も下がり傾向に
な り ま す 。 阪 神 淡 路 大 震 災 で も そ う だ っ た よ う に 、 震 災 後 3年 位 経 て ば 、売 れ 行 き
も価格もほぼ元に戻りますが、今後は、液状化対策や耐震適合住宅への改良・補強
工 事 を し た 家 で な い と 、売 れ な く な る で し ょ う 。
そこへ来て、最近マンションでも、セキュリティを充実したり、共用部分にゲスト
ルームを作ったり、お風呂や運動施設を作ったりして、住民間のコミュニティ-の
場を作り出して住みやすい数々の工夫が凝らされてきました。 これなら、都会生
活の寂しさが少なくなるし、セキュリティーは良いし、一戸建てよりこちらが良い
かな、と思うマンション派が増えてくるのでしょう。 都会生活をするのだから、
一戸建ては無理で、マンションで我慢する、というのは時代の流れになるのではな
いでしょうか。
と こ ろ で 、「 一 戸 建 て 派 」 に 取 っ て は 、 浦 安 ほ ど 素 晴 ら し い と こ ろ は あ り ま せ ん 。
浦 安 の 場 合 、 東 京 都 心 か ら 12キ ロ し か な く 、 湾 岸 道 路 で 羽 田 と 成 田 空 港 の 中 間 に あ
り 、 東 西 線 と 京 葉 線 の 駅 が 3 つ も あ り 、 東 京 駅 ま で 17分 で 行 け る と 言 う 交 通 の 便 が
良く、三方を海と川に囲まれた素晴らしい住環境にあるので、都心の一戸建てに住
めない人にとっては最高の一戸建て環境です。 ディズニーまで、海まで、自転車で
10分 で 行 け 、 運 動 公 園 や 散 歩 コ ー ス が そ こ ら 中 に あ り 、 教 育 環 境 が 整 っ て い る 浦 安
⑤
・
・
・
・
・
マンションの価格はどうなるでしょうか?
-6-
は最高の住み場です。 予算が許せば、浦安の一戸建てに住みたい人はやはりいっ
ぱい居ます。 そこで、今は売れ行きが低迷していますが、日本経済の先行きに明
る さ が 出 る 13年 の 春 以 降 、 ま た 価 格 の 多 少 の 調 整 の 上 で 、 売 れ 始 め る も の と 考 え ま
す 。 震 災 以 降 2年 経 過 し て 、 売 れ な か っ た 一 戸 建 て も よ う や く ポ ツ ポ ツ と 売 れ 始 め
ましたので、今一戸建ての購入を検討する人には、金利が上がる前に、多くの中か
ら良い物を選んで安く買うチャンスの時である、と言えるでしょう。
・ いったん値上がりが始まると、一戸建ては急速に上がりますので、資産形成を考え
る場合はマンションより一戸建ての方が遙かに有利な不動産資産であることを覚え
ておいて下さい。 株でも不動産でも、お金持ちになる人は、不況の時に買える人
です。
・ た だ 、 中 古 マ ン シ ョ ン の 所 で も 述 べ ま し た よ う に 、 築 20年 を 過 ぎ た 一 戸 建 て に つ い
て は 、 今 後 は 、「 耐 震 診 断 」( ¥ 15万 ) と 「 耐 震 補 強 工 事 」( ¥ 100万 ) を し て 、 リ
フォームして販売しないと売れない時代になる、と思います。
8. 東 日 本 大 震 災 後 の 不 動 産 つ い て 、
'11年 の ギ リ シ ャ の 財 政 破 綻 に 端 を 発 し て ユ ー ロ 圏 の 景 気 が 落 ち 、 世 界 的 国 家 財
政 破 綻 の 危 機 が 世 界 経 済 を 暗 く し て い ま す 。 そ の 上 日 本 で は '11年 3月 11日 の 「 東
日 本 大 震 災 」 に 襲 わ れ た 為 、 日 本 の 国 債 発 行 額 も 1,000兆 円 を 超 え て し ま い 、 日 本 経
済の先行きと日本の不動産が危ぶまれています。 こんな中、日本の経済と不動産
はどうなるのでしょうか?
世 界 経 済 の 復 活 に は 3年 ~ 5年 の 年 月 が 掛 か る で し ょ
う か ら 、 そ の 間 は 企 業 は BRICSや ア ジ ア 等 の 新 興 国 の 成 長 を 支 え に し て 、 海 外 進 出 し
て稼ぐことになるでしょう。 国内消費は震災特需と自然エネルギー化や省エネ化
や環境対応産業等を中心に新産業の育成に待つしかないでしょう。 不動産ファン
ド や 不 動 産 リ ー ト は 安 定 し た 優 良 資 産 運 用 物 件 に 限 り 、 5%台 の 利 回 り で 復 活 す る で
しょう。 不動産全般については、日本人の真面目さ、礼儀正しさ、お客様対応の
良さ、手先の器用さは世界に知られる所であり、自然エネルギー化、省エネ化や環
境対応型の街造りを実行して外国人に来てもらえる環境開発・歴史遺産開発・都市
の再開発・観光開発等を行うことで国内に仕事を作り出し、外国の人とお金引き込
「仕事のある所に、人は集まり、街は栄
える」のですから、「我々が住みやすい街造り」を進めることで、日本の国内経済
も、日本の不動産も栄えることができる 、 と 考 え て い ま す 。 未 来 は 自 分 達 で 作 る
み、生き残る道がある、と思われます。
ものですから。
2008年 5月16日 記
2013年 5月21日
-7-
追記