平成 27 年度 一般財団法人 一般財団法人 有機合成化学研究所講演会(第 30 回) 要 約 集 平成 27 年 11 月 24 日(火) 京都大学桂キャンパス化学系大講義室 1.直接的アリール化重合:π 直接的アリール化重合:π共役系高分子の新合成法 京都大学化学研究所 小澤文幸 京都大学化学研究所 パラジウム触媒による脱ハロゲン化水素型クロスカップリング重合(直接的アリール化重合)について紹介す る。C-H 結合の活性化を鍵とする本重合法は、有機金属モノマーを必要とせず、頭-尾規則性ポリ(3-ヘキシル チオフェン)や、ドナー・アクセプター型ポリマーを、簡便かつ高精度に合成することができる。 2.バイオマーカーに応答する超分子ヒドロゲル 2.バイオマーカーに応答する超分子ヒドロゲル 京都大学大学院工学研究科合成・生物化学専攻 浜地 格 超分子ヒドロゲルは、小分子が自己集合しナノからマイクロメーターサイズの繊維状会合体となりこれが3次 元的に絡まることによって形成される。本講演では、有機化学的に反応部位を組み込み、さらに各種酵素と複 合化することによってブドウ糖や尿酸などバイオマーカーに応答してゾル化する超分子ヒドロゲルの化学合成 と設計に関して解説する。 3.希土類金属触媒を用いる含窒素複素環化合 3.希土類金属触媒を用いる含窒素複素環化合物の高効率合成 希土類金属触媒を用いる含窒素複素環化合物の高効率合成 京都大学先端医工学研究ユニット 吉村務 吉村務、内藤駿 、内藤駿一、狄元駿、孫安生、木村祐、○近藤輝幸 一、狄元駿、孫安生、木村祐、○近藤輝幸 希土類金属化合物の中で、Yb(OTf)3 が 2-アミノベンズアミドとカルボン酸アミドとの複素環化反応に高い 触媒活性を示し、4(3H)-キナゾリノン誘導体が高収率で得られることを見出した。一方、カルボン酸アミド の代わりに、β-ジケトンを用いた場合には、その炭素-炭素結合切断反応を経る 2-アミノベンズアミドと の複素環化反応が、反応温度 60 ℃という穏和な条件下で良好に進行し、対応する 4(3H)-キナゾリノン誘導 体が高収率で得られた。 4.銅触媒を用いるアレン類のホウ素化を伴う変換反応 4.銅触媒を用いるアレン類のホウ素化を伴う変換反応 京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻 辻 康之 京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻 α位にアルコキシ基を有するアレン類とジボランを銅触媒存在下で反応することにより,従来法では得るのが 困難であった 2 位ホウ素化 1,3-ブタジエン類を選択的に合成することに成功した。また,脱離基を有しないア レン類,ジボラン,リン酸アリル化合物を銅触媒を用いて反応することにより,ホウ素化を伴う選択的なアリ ル-アリルカップリング反応も開発した。 5.アーキアのおける新規代謝経路の同定 京都大学大学院工学研究科合成・生物化学専攻 跡見晴幸 アーキアは真核生物・バクテリアとは異なる第 3 の生物ドメインを構成し、固有の代謝様式を示す。特にアー キアはペントースリン酸経路をもたないことから中央代謝経路の C6, C3 の糖と核酸に含まれる C5 糖の間の変 換機構が不明であった。ここではこれらをつなぐペントースビスリン酸経路という新しい代謝経路について報 告する。 6.シクロパラフェニレン類の実践的合成法の開発 京都大学化学研究所 山子 茂 京都大学化学研究所 アームチェアカーボンナノチューブの環状最小構造を持つシクロパラフェニレン(CPP)は、新しい有機電子 材料の母骨格として興味深い。CPP を材料に応用するには、その大量合成法の確立は必須である。我々は、実 践的な CPP の合成法の開発を検討し、g 量の CPP の合成に成功した。さらに、CPP の誘導化についても検討 したので、併せて報告する。 〒606-8305 京都市左京区吉田河原町 14 近畿地方発明センター内 一般財団法人 一般財団法人 有機合成化学研究所 TEL 075-761-2890 FAX 075-761-2892 URL http://www16.plala.or.jp/yukiken/ E-mail [email protected]
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