2015年1月31日[土]̶5月17日[日]

www.bridgestone-museum.gr.jp
パブロ・ピカソ《腕を組んですわるサルタンバンク》1923 年
©2014-Succession Pablo Picasso-SPDA(JAPAN)
Press Release
2014/11/ 17
未 来の 美 術 館 に 向 けて 、
Closed: Mondays (except for May 4)
ま もな く 休 館 。
休館日 月曜日(祝日の場合は開館)
生 ま れ 変 わる 前 に 、
January 31[Sat.]— May 17[Sun.]2015
ぜ ひ も う一 度 。
[土]̶ 5月17日
[日]
2015年1月31日
展覧会概要
展覧会の見どころ
開館63年を迎えるブリヂストン美術館
(1952年1月開館)は、
コレクションのベスト・オブ・ザ・ベストが一堂に!
ブリヂストン美術館の63年間の足跡をご紹介
なさまとお会いできなくなります。本展が、休館前の最後の展示です。
休館前の最後の展示にふさわしいラインナップをご覧いただき
本展では、ブリヂストン美術館の63年間の歴史をご紹介する
創設者・石橋正二郎
(1889-1976年)
の美術品収集に端を発する
ます。当館コレクションにながらく親しんできた方々にもご満足い
コーナーを設けます。株式会社ブリヂストンの創業者・石橋正二
石橋財団コレクションは、現在2,585点を数えます。そのうち1,625
ただける「ベスト・オブ・ザ・ベスト」の展示に仕上がることでしょう。
郎が、個人で集めたコレクションを秘蔵・死蔵することなく、広く社
点が東京のブリヂストン美術館に、960点が福岡県久留米市にある
当館の西洋美術コレクションの見どころは、西洋美術史をかた
会と共有しようと考えたことから当館は生まれました。当館のアー
石橋美術館
(1956年4月開館)
で管理されています。このたびのブ
ちづくる画家たちの代表作品が含まれていることです。エドゥアー
カイヴには、これまでの歴史を物語る写真資料が保管されていま
リヂストン美術館コレクション展「ベスト・オブ・ザ・ベスト」では、
これ
ル・マネは生涯に自画像を2点しか制作しませんでした。そのうち
す。開館10年後の1962年にパリの国立近代美術館で開催され
らのうちから、選び抜かれた約160点をご紹介いたします。
の1点が当館の《自画像》
(1878-79年)
です。ピエール=オーギュ
た「東京石橋コレクション所蔵─コローからブラックに至るフラン
スト・ルノワールの《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》は、
ス絵画展」は、通称「パリ里帰り展」と呼ばれ、当館にとっては名
制作された翌1877年の第3回印象派展に出品されたものです。
誉ある出来事でした。また、当時の文化相アンドレ・マルローなど、
れていることでしょう。1870年代におけるクロード・モネやピエール
筆触分割など、印象派時代のルノワールの特徴を教えてくれる典
さまざまな方が当館コレクションを楽しんでいます。一方で、当館
=オーギュスト・ルノワールらによる印象派の誕生、その後のポール
型的な作品です。
はコレクションに関わる美術作家をテーマにした特別展、テーマ
・ゴーガンやポール ・セザンヌらポスト印象派の活動、20世紀初頭
また3月31日からは、石橋美術館から3点の重要文化財
(藤島
展示を数多く開催してきました。第二次大戦後のまだ混乱が残っ
のアンリ・マティスたちによるフォーヴィスムの登場、さらにパブロ・
武二《天平の面影》、青木繁《海の幸》、青木繁《わだつみのいろこ
ていた時代から、都心で人々の心を潤す活動を続けてきた足跡
ピカソのキュビスムの実験、パウル ・クレーらの抽象絵画への展開
の宮》)
を出展します。ひさびさの東京での公開となります。
をたどります。
2015年5月18日より長期休館し、新築工事に入ります。しばらくみ
ブリヂストン美術館のコレクションを特徴づけるのは、19世紀以
降のフランスを中心とした西洋近現代美術が、系統だってそろえら
クロード・モネ《黄昏、ヴェネツィア》1908 年頃
広報画像❶
と続きます。おもにパリを中心に展開された西洋近代美術の流れを
たどることができるものです。それらの影響を受けて出発、発展した
日本の、明治、大正、昭和期の洋画の優品もあわせてご覧いただけ
ます。藤島武二や青木繁は、石橋財団コレクションの出発点をいま
も私たちに教えてくれます。さらに、近代美術に続く第二次世界大
戦後の、フランス、アメリカ、そして日本の抽象絵画もご紹介いたし
ます。1950年代の抽象表現主義を中心に、現代美術の古典ともい
える美術作家たちです。
美術館の骨組みをつくるものはコレクションです。コレクションこ
藤島武二《黒扇》1908-09 年
広報画像❷
そが研究や展示、教育普及など美術館活動に欠かせません。石橋
正二郎の個人収集に始まったブリヂストン美術館のコレクションは、
1962 年、パリ里帰り展開会式にて 石橋正二郎(前列左から二人目)とパリ国
立近代美術館館長のベルナール・ドリヴァル(前列右から三人目)
1956年4月の石橋財団設立後も、幸いなことに着実な成長を遂げ
てきました。このたびのコレクション展は、その成果をひろく楽しん
でいただけるものと信じています。
エドゥアール・マネ《自画像》1878-79 年
工事を終えたのちのリオープンでは、ブリヂストン美術館の新た
な姿をお見せすることになります。21世紀にふさわしい美術館像を
分かりやすいかたちで提示したいと考えています。今後もひき続き
ブリヂストン美術館にご愛顧をいただきますようお願いいたします。
パウル・クレー《島》1932 年
青木繁《わだつみのいろこの宮》1907 年
石橋財団石橋美術館蔵 ■ 展示期間 : 2015 年 3 月31 日 -5 月17 日
1958 年、来館したザオ・ウーキー、ピエール・
スーラージュ(左から)
1960 年、フ ラ ン ス 文 化 事 業 担 当 国 務 大 臣
アンドレ・マルロー来館
広報画像❸
01
02
展覧会の構成
ChapterⅠ
Chapter Ⅱ
Chapter Ⅲ
西洋近代美術
日本近代洋画
戦後美術
ブリヂストン美術館は、国立西洋美術館、大原美術館、ポーラ美
東京美術学校の指導者であった黒田清輝は、明治期にあって、
フランスのパリがながらく美術の中心と見なされてきましたが、
術館とならび、西洋近代美術のコレクションでは国内屈指の質の
作品制作と美術教育の両面で重要な役割を果たしました。その同
第二次世界大戦後、ニューヨークやその他の都市でも重要な運動
高さを誇ります。その主要作品はいつも展示室にあって、都心に
僚、藤島武二は、西洋世紀末美術の影響から出発し、ヨーロッパ
が次々に湧き起こります。フランスでは、
ジャン・フォートリエ、
ピエー
ある心のオアシスとして、60年以上にわたって美術ファンに愛さ
留学を経て、力強い筆さばきと簡潔な構成の画面を生み出します。
ル・スーラージュ、ザオ・ウーキー、堂本尚郎らの、
「不定型なもの」
れてきました。
「あそこに行けばいつでも、モネ、ルノワール、セザ
この二人に学んだ青木繁は、ラファエル前派やフランス世紀末美
を意味する「アンフォルメル」の抽象絵画がよく知られています。
ンヌが見られる」という安心感を多くのみなさまに持っていただ
術の影響を受け、ロマン主義的な主題に才能を開花させました。
決して幾何学的ではない抒情的な筆づかい、色づかいが、静かに
いてきたと思います。
大正期に入ると、わずか20歳で亡くなった関根正二のきらめく色
あるいは激しく画面を彩っています。一方、戦後に政治、経済の覇
今回の展示では、西洋近代美術は、エドゥアール・マネから始ま
彩、小出楢重の粘り気のある筆致など、個性的な画家たちが登場
権を握ったアメリカは、美術の分野でも新たな動きを生み出しま
ります。彼を慕ってグループを形成した印象派
(カミーユ・ピサロ、
します。昭和期では、セザンヌの影響から脱して日本人によるリア
した。その抽象表現主義と呼ばれる画家たちの代表が、
ジャクソン・
クロード・モネ、
ピエール=オーギュスト・ルノワールら)
。ついでポー
リズムを追求した安井曾太郎、また日仏を往還して白い下地に線
ポロックです。床にカンヴァスを置いて、上から絵具をしたたらせ
ル・セザンヌとその絵画の実験をより鮮明に推し進めたパブロ・ピ
描を駆使した藤田嗣治らが活躍しました。
た作品は彼の内なるエネルギーを雄弁に語ります。
カソを組み合わせます。20世紀に入ってからは、フォーヴィスムの
運動で足跡を残したアンリ・マティスとジョルジュ・ルオーの展開、
そしてエコール・ド・パリなどの1920年代を中心に花開いたさま
ざまな個性を楽しんでいただきます。
ポール・セザンヌ《帽子をかぶった自画像》1890-94 年頃
広報画像❹
ザオ・ウーキー《07.06.85》1985 年
©ZAO Wou-Ki
藤田嗣治《猫のいる静物》1939-40 年
©Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2014
D0863
ジャン・フォートリエ《旋回する線》1963 年
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2014 D0863
パブロ・ピカソ《女の顔》1923 年
©2014-Succession Pablo Picasso-SPDA(JAPAN)
広報画像❺
03
ジョルジュ・ルオー《郊外のキリスト》1920-24 年
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2014 D0863
安井曾太郎《薔薇》1932 年
広報画像❻
関根正二《子供》1919 年
田中敦子《無題》1965 年
©Ryoji Ito
04
ブリヂストン美 術館の歩み
石橋正二郎とコレクションの形成
創設者・石橋正二郎と
戦後の西洋美術コレクションと都心型美術館の設立
日本近代美術コレクションの成り立ち
のような名品は個人で秘蔵すべきでなく、美術館を設け、文化の
向上に寄与することがかねての念願であった」と言う正二郎は、
石橋正二郎は、
「 青木や藤島などの洋画家たちの作品と、彼ら
美術館を私物化することなく、4年後には財団法人石橋財団を設
石橋正二郎は、1889
(明治22)年に福岡県久留米市に生まれ
がお手本としたフランスの画家たちの作品を一緒に並べたら光
立。コレクションの大半をこれに寄付し、館の管理運営を委ねまし
ました。17歳で家業の仕立屋を継いだ後、ゴムを用いた地下足
彩を放つだろう」と語り、第二次大戦後の社会の変動期に売りに
た。同年、故郷に石橋美術館も創設しています。企業の経営者と
袋の商品化に成功、やがて自動車タイヤに着目します。1931
(昭
出された、戦前来の西洋美術から精力的に購入を行います。
「明
して卓越した力を持つ傍ら、美術館館長としても、公共性に対し
和6)
年、姓をもじった社名のブリッヂストンタイヤ株式会社
(現・株
るい絵が好き」で、とりわけ印象派を好み、自身の審美眼を活かし
非常に優れた意識をもつ指導者だったと言えるでしょう。
式会社ブリヂストン)
を創立、後に東京に移転しました。
て、質の高い作品を収集していきました。復興期に優れた美術品
本格的に絵画収集を始めるきっかけとなったのは、正二郎の高
の海外流出をくい止める役を果たすことにもなりました。
等小学校時代の図画教師だった洋画家・坂本繁二郎との再会でし
当館を代表するセザンヌの《サント=ヴィクトワール山とシャトー・
た。若くして夭折した同郷の画家・青木繁の作品の散逸を惜しん
ノワール》
は、原三渓の子息・善一郎が、白樺派が建設を夢見た「白
だ坂本は、正二郎に青木の作品を集めて美術館をつくってほしい
樺美術館」のために戦前のパリで購入した作品。正二郎は10年
と語ったといいます。その言葉に感じ入った正二郎は、青木を中
程度で約50点の西洋画を収集し、印象派はじめ19世紀から20世
心として日本近代洋画の収集を始め、およそ10年間で
《海の幸》
紀初頭のフランス絵画中心に、各画家の代表作を含む良質のコレ
など青木の代表作を購入、コレクションを形成していきました。
クションをつくりあげたのでした。
青木、坂本に加え、正二郎のコレクションの中で重要な位置を
1950
(昭和25)
年、初渡米した際、都心のビルにあったニュー
しめる画家が藤島武二です。個展で作品を気に入り購入した正二
ヨーク近代美術館に強い感銘を受けた正二郎。そこで東京・京橋
郎は、藤島と親しく交友し、画家が保管していたイタリア時代の作
品15点を一括して譲り受けています。当初から美術館の創設を考
に建設中の本社ビル2階を急遽ギャラリーとして、自らのコレクショ
石橋 正二郎 1889-1976年(撮影:石橋 幹一郎)
えていた正二郎に、老画家から愛蔵品が託されたのでした。
ンを一般公開することを決意。1952
(昭和27)
年1月、ブリヂスト
ン美術館は開館しました。
開館年の1952
(昭和27)
年は、サンフランシスコ条約が締結さ
「好きな絵を選んで買うのが何よりも楽しみであるが、もとよりこ
ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06 年頃
広報画像❼
れ、戦後復興期にあった日本がようやく主権を取り戻した年でした。
以後60年以上にわたって活動を続けてきた国内有数の歴史を誇
る美術館ですが、創設者の石橋正二郎は、すでに戦前から絵画収
集をスタートさせていたのです。
左から一人おいて、藤島武二、石橋正二郎、石橋幹一郎(1942 年頃)
青木繁《海の幸》1904 年 石橋財団石橋美術館蔵 ■ 展示期間 : 2015 年 3 月31 日 -5 月17 日
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05
06
ブリヂストン美 術館の歩み
石橋正二郎の美術館建設への情熱
開館後の収集作品
1950年 ( 昭和25年 )、石橋正二郎は初めて渡米した際、多くの
当館では、石橋正二郎が収集したコレクションを軸として、開館後も60年以上にわたり継続して作品収集を行っています。
都市を巡り、10数館の美術館を見学しました。その中で、最も感
銘をうけたのが、ニューヨーク近代美術館でした。大都市のビジ
〈 ピカソの新古典主義時代の代表作 〉
ネス街に世界有数の近代美術コレクションがあって、さまざまな人々
〈 いちばん人気の少女 〉
1980年にニューヨーク、サザビーズのオークションで入手した
1987年に購入したピエール=オーギュスト・ルノワールの
《すわるジョ
が訪れ楽しむ光景は、正二郎の心に深く刻み付けられました。彼は、
パブロ・ピカソの《腕を組んですわるサルタンバンク》
(1923年)
は、
ルジェット・シャルパンティエ嬢》
(1876年)
は、愛くるしい笑顔とポーズ
帰国後すぐに、東京・京橋に建築中だったブリヂストン本社ビルの
彼の「新古典主義の時代」を代表する作品です。第一次世界大戦
によって、当館でもっとも人気の高い作品です。絵ハガキの売り上げは
2階に、自分のコレクションを公開する美術館の開設を決意します。
の惨禍を経験した人々が 秩
断トツのトップ。1階にあるティー
1952年1月8日、ビルの竣工とともに、ブリヂストン美術館が開館
序を希求した時代に、ピカソ
ルームの店名も彼女の人気に
は古典古代の彫刻や建築か
あやかったものです。この作品
しました。欧米への渡航が困難な時代に、若い画学生の勉強のた
め、また一般の人々が気軽に飛び込んでみられる美術館があれば、
ブリヂストン美術館開館当時の様子(1952 年)
らインスピレーションを得て、
は、35歳のルノワールが、少女
それは大きな社会への貢献になるだろう、と正二郎は美術館創設
どっしりとした人体をくっきり
の父親である出版業者ジョル
に至った想いを開会式で述べています。
とした輪郭線であらわす作品
ジュ・シャルパンティエから注文
開館記念展は、西洋絵画55点、日本近代洋画55点、彫刻9点
を生み出していきました。
を受けて描かれました。
の計119点で構成されました。それは「左右の部屋を、日本の画
家と西欧の画家と、それぞれ対照的に同じ点数くらいの絵を掲げ、
パブロ・ピカソ
《腕を組んですわるサルタンバンク》1923 年
西欧の才能と同時に日本人の芸術的才能も常に見守って貰いたい」
©2014-Succession Pablo PicassoSPDA(JAPAN)
(「コレクションの理想」
『 芸術新潮』1952年2月号)
という正二郎
広報画像❾
ピエール=オーギュスト・ルノワール
《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》
1876 年
10
広報画像◉
の理想を形にしたものでした。
〈 石橋財団50周年記念購入 〉
ブリヂストン美術館 開館の日(1952年 1月 8 日)
日本美術家連盟から贈られた感謝状
(1952 年1 月 30 日)
ジャクソン・ポロックの《Number 2, 1951》は、2005年、石橋
ブリヂストン美術館は、2011年にギュスターヴ・カイユボットの《ピ
財団創設50周年を記念して購入した作品です。21世紀に入り、
アノを弾く若い男》
(1876年)
を購入しました。裕福な繊維業者の子
石橋財団はその作品収集範囲を戦後美術まで広げました。この
息だったカイユボットは、画家であると同時に、友人の印象派の画家
ポロックは、その転換を示す象徴的な作品です。ポロックが、絵具
たち
(モネ、ルノワール、
ドガなど)
の作品を買って生活を支えたパト
をドリッピングさせながらつくる
ロンとしても知られています。彼がフランス政府に遺贈したコレクショ
均一な抽象画面から、やや具象
ンは、現在、オルセー美術館の核になっています。この作品に描か
的なモティーフに立ち戻った時
れているのは、仲のよかった弟マルシャルです。
美術館に寄せられた言葉
期のものです。黒の合間に、天
開館にあたり様々な言葉が寄せられました。開館直後には、
「日本では希有の自覚による石橋正二郎10年
体や骸骨を思わせるようなかた
の宿志の実現である」
( 洋画家・伊原宇三郎)
、
「コレクションのすべてを開放し、常設的に展示されるに至っ
〈 もう一人の印象派 〉
ちがちりばめられています。
た情熱を私はずいぶん大切に思う一人である」
( 美術評論家・土方定一)
といった新聞寄稿が相次いで寄せ
られました。戦前に白樺美術館の建設を夢見て果たせなかった白樺派の武者小路実篤は、
「 若い時から夢
見た小美術館が現実として立派に出来上がっている」と、驚きとともに喜びの言葉を述べています。
一方、開館記念展に訪れた川端康成は、
『 婦人公論』に連載中の『日も月も』の中で、早速当館を登場させ
ました。また、安井曾太郎を会長とする日本美術家連盟からは、正二郎に対する敬意と感謝の気持ちを綴っ
た感謝状が送られました。
武者小路実篤「正月の眼福 ブリヂストン・ガレ
リーを見て」
『産経新聞』
(1952 年 1月 23 日)
ジ ャ ク ソ ン・ポ ロ ッ ク《Number 2, 1951》
1951 年
11
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ギュスターヴ・
カイユボット
《ピアノを弾く若い男》
1876 年
12
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08
ブリヂストン美術館年表
開館記念展の熱狂
同時代の美術の動きも紹介
コレクションの出発点・青木 繁
1952(昭和27)年1月8日、都心の一等地にブリヂストン美術館がオープン。
石橋正二郎の本格的な絵画収集の出発点が、青木
印象派のコレクションで知られる当館ですが、
と
まだ国立西洋美術館も存在しない時代、フランス美術を常設で見られる都内唯
繁作品の散逸を案じた坂本繁二郎の願いであったこと
りわけ開館当初の10数年間は、同時代の美術の
一の美術館の誕生でした。西洋と日本の絵画を一緒に並べたら「光彩を放つだ
はよく知られています。1939-40年の青樹社主催の「青
紹介にも積極的でした。1957年の「世界現代芸
ろう」と考えていた石橋正二郎の夢が実現した瞬間です。開館記念式典後の祝
木繁遺作展覧会」でまとまった作品に接した正二郎は、
術展」では、
「熱い抽象」と呼ばれるアンフォルメ
賀会には、三笠宮殿下をはじめ各界から著名人860余名が集まりました。一般
《海の幸》など代表作を購入し、その後も収集を継続。
公開は、1月11日から。入場料は一般が50円、学生が25円。初年は開館303
石橋財団は現在35点を所蔵しています。1972年には
の現代美術展も開催し、日本の現代作家たちに刺激を与えてきました。この時期の活動は、ザオ・
過去最大規模の回顧展を開催し、また2011年の青木
ウーキーなどの抽象画コレクションの形成や、近年の「アンフォルメルとは何か?」展 (2011年 )、
日間で11万2千人余りの人々が来館しました。
「世界現代芸術展」
(1957 年)展示風景
ル運動を紹介。1955年の「現代イタリア美術館」や1964年の「現代イギリス彫刻展」など、各国
繁展では、その後の研究にも新たな光を投じました。
「ウィレム・デ・クーニング展」(2014年 )といった戦後美術の検証展開催にも結びついています。
開館記念式典列席者一同が万歳を唱えた。
「世界現代芸術展」開催。
「石橋コレクション展」をパリ
国立近代美術館で開催。
開館30周年記念「ウフィツィ美術館秘蔵イタリア名作デッサ
ン展、
「エルミタージュ美術館秘蔵 レンブラント展」開催。
「具象絵画の革命-セザンヌから今日まで」展開催。
「生誕 90 年記念
青木繁展」開催。
石橋財団50周年記念
「雪舟からポ
ロックまで」
展、
石橋美術館開館50周
年記念
「坂本繁二郎展」開催。
「小出楢重の自画像」展開催。
「没後100年 青木繁展」 「アンフォルメルとは何か?」
「カイユボット展」開催。
開催。
展開催。
開館記念展覧会 第1室/ Room1 「ブリヂストン美術館展」
をナッシュビルのテネシー
州立博物館で開催。
「ベスト・オブ・ザ・ベスト」
展開催。
ブリヂストン美術開館
開館 10 周年
(1月8日)
1952
1956
1957
1956年4月2日、財団法
人石橋財団が設立される。
同年4月26日、福岡県久
留米市に石橋美術館が
開館。
「ブリヂストン美術館開館記念展」開催。石橋正二郎
コレクションに借用作品を加え、
119点が出品された。
1959
1962
開館 20 周年
1967
1972
「生誕百年記念
藤島武二展」開催。
開館 30 周年
1976
1978
1982
1989
1990
1992
1994
1998
1999
2001
開館 50 周年
2002
開館 60 周年
2006
9 月、ブリヂストン
美術館創設者 石橋
正二郎が死去。
全面改修により延床面積が8割増加。
2009
2011
「PASSION-石橋
正二郎生誕120年
を記念して」展を石
橋美術館(福岡県・
久留米市)
で開催。
「生誕 90 年記念
安井曾太郎展」開催。
「ギュスターヴ・クールベ展」
開催。
パリ里帰り展
「モネ展」開催。
「ルノワール 異端児から巨匠
開館50 周年記念「コレクター石橋正二郎」展、
への道 1870-1892 展」開催。 「藤島武二展」開催。
フランス美術の大規模な展覧会
2012
2013
開館60周年記念「あなたに見
せたい絵があります。
」展開催。
収蔵作家の回顧展の開催は、当館が力を入れている活動の一
近代洋画の充実したコレクションを誇
る当財団 の 展覧会活動 の 一つ の 柱が、
した。開会式にあわせて渡仏した正二郎夫妻は、当時のフランス文化相アンドレ・
協力を得て大規模な展覧会を開催してきました。1989年の「クー
洋画家の画業を検証する展覧会です。青
マルローから「印象派のコレクションとしては世界十指の一つ」と高評を得たとい
ルベ展」は画家の全貌を日本で初めて紹介、1994年の「モネ展」
木繁 や 藤島武二、坂本繁二郎、古賀春
います。この通称「里帰り展」は大きな反響を呼び、同時に、このコレクションの基
では《睡蓮》などの連作の展示が話題を呼びました。2001年の
江、安井曾太郎、岡鹿之助、小出楢重な
礎を築いたコレクター、石橋正二郎の存在は驚きとともに、フランスメディアの注
「ルノワール展」では、画家の画業の前半20年に焦点を当てた
ど、研究の積み重ねを土台に、その画業
記事が載ったフランスの新聞各紙
「ウィレム・デ・クーニング展」
開催。
近代洋画家の画業を継続して検証
つです。フランスの画家についても、世界の美術館や所蔵家の
「パリ里帰り展」展示風景
新美術館
建設へ
2015
ビル の 建て替えに
伴う新築工事のた
め、2015年5月18
日より長期休館。
1962年、パリ国立近代美術館で「東京石橋コレクション所蔵—コローからブラッ
目を集めました。また会期中に作品の一部がフランスの修復家の手で洗浄・修復
2014
開館60周年記念
「パリへ渡った『石
橋 コ レ クション 』
1962年、
春」展、
「ド
ビュッシー ̶ 音楽と
美術」展開催。
クに至るフランス絵画展」が開催され、石橋コレクション50点が初めて海を渡りま
されたことも話題となりました。
09
大規模な
内装リニューアル
を実施
開館 40 周年
特徴のある展覧会を開催。過去最高の33万人余の入場者を集
を検証する展覧会を、時期をおいて継続
めました。近年では、2013年に「カイユボット展」を開催。知ら
して行っているのも特徴です。
2002 年「藤島武二展」
2008 年「岡鹿之助展」
れざる印象派画家の初期から晩年を日本で初めて紹介しました。
10
(全10回)
■ 土曜講座「ブリヂストン美術館の画家たち」
Tearoom Georgette × BESTof THE BEST
本展にあわせて開講する、10回連続のシリーズです。ブリヂストン美術
展覧会コラボメニュー
館を代表する画家と作品について、10人の講師がご紹介します。内外の
テ・ア・ラ・クレーム 美術ファンからながく愛されてきた著名な作品から、最近収集された興
600円
味深い作品まで、それぞれの画家たちの生涯における位置付けや意味
などを、さまざまな視点から探ります。
会
期
2015年 2月14日、21日、28日
3月 7日、14日、28日
4月 4日、11日、18日、25日
時
間
14:00 ─16:00
会
場
ブリヂストン美術館 1F ホール
聴講料
定
員
ティールーム「ジョルジェット」の
Thé à la crème
店名になっている、ルノワール「す
わるジョルジェット・シャルパンティ
エ嬢」をイメージしたオリジナル
ティーです。
アールグレイにオレンジフレー
バーの生クリームを浮かべ、オレ
ンジピールとペパーミントでアク
400円
セントをつけました。ホットでも
アイスでもお好みでどうぞ。
130名
(先着順)
※ 各講座の講師、演題やチケットの販売開始日は、決定次第 HP 等でお知らせします。
※ 都合により変更、中止することがあります。
■ ギャラリートーク
当館学芸員が展示作品を解説します。
日
会
時
場
聴講料
■ 作品掲載に関するお願い
1. 作品掲載をご希望の方は別紙の「画像利用申込書」にて申請ください。
2. 作品の文字のせ、
トリミングはできません。
3. 当館が指定するキャプションを必ず作品と一緒に掲載してください。
毎週水曜日・金曜日 15:00 ─16:00
展示室
無料(ただし入館料が必要です)
キャプションは別紙の「画像利用申込書」をご参照ください。
4. 広報用作品は本プレスリリースに画像を掲載した12作品と参考写真です。
広報用作品以外の作品画像の使用についてはお問い合わせください。
5. 広報用作品のうち作品❺と❾のピカソは著作権存続作家です。
※ 混雑状況により、ホールでのスライドトークになる場合があります。
※ 都合により変更、中止することがあります。
以下の使用条件を満たす媒体のみ、掲載が可能です。
a. 美術著作権協会指定のクレジットを明記すること。
基本情報
b. 媒体は新聞協会会員の発行した新聞と、雑誌コードを有する雑誌に限
■ 会期:2015年1月31日(土)〜5月17日(日)
◎3月31日(火)
より一部作品を入れ替えて展示します。
■ 会場:ブリヂストン美術館
■ 休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
■ 開館時間:10:00 —18:00(毎週金曜日は20:00まで)
※ 入館は閉館の30分前まで
■ 入館料:
一般800円(600円)、シニア600円(500円)、大高生500円(400円)
*中学生以下無料 *シニアは65歳以上 *( )内は15名以上の団体料金
リピータ—割引
「ベスト・オブ・ザ・ベスト」展では、リピーター割引を実施します。2回
目以降の来館の際は、チケットの呈示で半額になります。
休館前の最後の展覧会となりますので、リピーター割引を利用して、何
度でもブリヂストン美術館の作品に会いに来てください。
※割引の併用はできません。
■ 交通案内:
JR「東京駅」
(八重洲中央口)
、東京メトロ銀座線「京橋駅」
(6番出口)
、東
京メトロ銀座線・東西線/都営浅草線「日本橋駅」
(B1出口)
から徒歩5分
ります。★ WEB サイトへの掲載はできません。
c. 雑誌の場合は、表紙、裏表紙ではなく、本文中への掲載に限ります。
d. 掲載サイズが最大9×5.5cm( 名刺大 )、または面積49.5㎠以下であること。
e. 展覧会情報(会場、会期等)
を除き、解説文が400字以内であること。
f. 掲載見本を1部、ブリヂストン美術館宛てに送付すること。
■プレス内覧会のご案内
「ベスト・オブ・ザ・ベスト」展の一般公開に先駆け、
プレス内覧会を開催します。 ※ 詳細は後日ご案内いたします。
開催日:2015年1月30日(金)
■ 本展に関するお問い合わせ
公益財団法人石橋財団ブリヂストン美術館
広報担当:久野、秋本 学芸担当:貝塚
TEL: 03-3563-0241 FAX: 03-3561-2130
E-mail: [email protected]
■ 休館のお知らせ
ブリヂストン美術館は新築工事のため、2015 年 5 月18日(月)
より
長期間にわたり休館いたします。
■ 住所:
〒104-0031 東京都中央区京橋1-10-1
お問い合わせ: 03-5777- 8600(ハローダイヤル)
www.bridgestone-museum.gr.jp
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