【大豆をめぐる事情】H27年1月版(PDF:1664KB)

大 豆 を め ぐ る 事 情
平 成 27 年 1 月
農 林 水 産 省
1
大豆の価値
○
大豆は、豆腐、納豆、味噌、醤油、煮豆等、日本の食卓に欠かせない食材や調味料に加工されるなど、古くから利
用されてきた。
○ 大豆は、タンパク質に富むほか、人間にとって必要なアミノ酸20種類全てが含まれており、また、体の中で作り出
すことができない必須アミノ酸9種類も豊富に含まれている。特に、米に不足しているリジンが多く含まれており、
米と一緒に食べることにより、栄養価の向上が期待される。
○ 平成25年12月には、「日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、大豆加工品を含め
た和食文化が、世界的にも注目を浴びている。
○ 可食部100g当たりの主要成分割合
○ 大豆の様々な加工用途
○
豚肉
和食のユネスコ無形
文化遺産への登録
タンパク質
小麦粉
(中力2等粉)
炭水化物
脂質
精白米
大豆
灰分
水分
大豆(国産、乾)
資料:五訂増補日本食品
標準成分表
0% 20% 40% 60% 80% 100%
○ タンパク質1g当たりの必須アミノ酸(mg)
イソロイシン
90
豆腐
納豆
味噌
醤油
ヒスチジン
60
30
バリン
ロイシン
リジン
0
豆乳
煮豆
きな粉 トリプトファン
トレオニン
大豆
精白米
メチオニン
フェニルアラニン
資料:日本食品標準成分表準拠
アミノ酸成分表2010
1
2
大豆の需要動向
○
大豆の需要量は、油糧用が国際価格の高騰の影響によりなたね油に移行し、近年は約300万トン程度まで減少してい
る。このうち、食品用についても減少傾向にあり、近年は100万トンを下回る状況。
○ 国産大豆は20万トン程度で、実需者から味の良さ等の品質面が評価されていることから、ほぼ全量が豆腐、煮豆、
納豆等の食品用向けとなっている。
○ 用途別に国産大豆の使用割合をみると、煮豆・惣菜用では7割程度と高くなっている。
○
我が国における大豆の需要状況
飼料、
種子等
(単位:千トン)
需要量
うち食品用
自給率
うち国産
20年度
4,034
1,037
255
6%
21年度
3,668
993
223
6%
22年度
3,642
976
216
6%
23年度
3,187
949
212
7%
24年度
3,037
932
229
8%
資料:食料需給表
注:国産は穀物課推定
○
食用
932千トン
(31%)
油糧用
1,936千トン
(63%)
その他
169千トン
(6%)
○ 食用大豆の国産、輸入割合(平成24年)
国産
229千トン
(25%)
輸入
703千トン
(75%)
○ 国産大豆の用途別供給割合(平成24年)
国産大豆に対する実需者の評価
優れている点
○ 我が国の大豆の需要量(平成24年)
味、加工適性
豆腐
58%
(29%)
煮豆
総菜
9%
(70%)
納豆
14%
(25%)
味噌
醤油 その他
9%
10%
(14%)
きな粉、
お菓子等
劣っている点
供給が不安定、ロット規模
注:( )内は各用途における国産シェアである。
2
3
実需者のニーズ
○
豆腐、納豆、煮豆、味噌等の食品はそれぞれの特性を踏まえ、原料の大豆に求められる品質が違うため、これを踏
まえた品種の選択が必要。
○ また、実需者からは、均質化、大ロット化といった製造業者の目線に立った、食品加工原料としての品質向上が
強く求められている状況。
○ 用途別に求められる品質
とよみづき
豆
腐
大
豆
の
主
な
用
途
豆腐の製品歩留り
を重視
煮
豆
煮豆の粒の大きさ、
味、色・見栄えを重視
納
豆
納豆の粒の大きさ、
色、硬さを重視
味
噌
味噌の色調を重視
用
途
別
に
求
め
ら
れ
る
大
豆
の
品
質
フクユタカ
たんぱく質含量が高い
大粒で糖分含量が高く、
外観品質が良い
小粒で粒揃いが良く、
外観品質が良い
大中粒で糖分含量が高く、
汚損・着色粒を含まない
エンレイ
用
途
別
の
代
表
的
な
品
種
ユキホマレ
いわいくろ
スズマル
納豆小粒
あきまろ
3
4
国産大豆の作付動向
○
大豆の作付面積は、米の生産調整が開始された昭和44年以降、転作作物として位置付けられたことから、田作によ
る作付面積が増加し、近年では全作付面積の8割以上を占めている。
○ 畑作大豆は、都府県の畑のかい廃や大豆から野菜等の高収益作物への転換により徐々に減少も、近年は横ばい。
大豆の作付面積の推移(田・畑別)
(千ha)
田畑計
昭和29年
作付面積ピーク
43.0万ha
450
田作
畑作
400
350
昭和36年
大豆輸入自由化
28.7万ha
300
昭和62年
転作開始後のピーク
16.3万ha
250
平成26年
13.2万ha
生産調整の緩和
H3:83万ha
H4:70万ha
H5:68万ha
H6:60万ha
昭和47年
大豆関税撤廃
8.9万ha
200
平成15年
田作面積ピーク
12.9万ha(田)
150
100
50
0
S20
25
30
35
40
資料:統計部「作物統計」(畑作は田畑計から田作を除いた値)
45
50
生産調整の拡大
S52:22万ha
→S53:39万ha
55
60
2
7
生産調整の拡大
S61:60万ha
→S62:77万ha
12
17
22
生産調整の拡大
H6:60万ha
→H15:106万ha
4
4-2
都道府県別作付面積
○ 平成26年産の作付面積は全国で131,500ha、そのうち84%が水田で作付け(110,700ha)。
○ 北海道、東北各県、北陸や近畿の一部、九州北部における作付けが多い。
○ 平成25年産と比べると、他作物からの転換等により、作付面積は2,700ha(2%)増加。
各都道府県における田畑別の大豆作付面積(H26)
(ha)
30,000
25,000
畑
田
20,000
15,000
10,000
5,000
0
北 青 岩 宮 秋 山 福 茨 栃 群 埼 千 東 神 山 長 静 新 富 石 福 岐 愛 三 滋 京 大 兵 奈 和 鳥 島 岡 広 山 徳 香 愛 高 福 佐 長 熊 大 宮 鹿
海 森 手 城 田 形 島 城 木 馬 玉 葉 京 奈 梨 野 岡 潟 山 川 井 阜 知 重 賀 都 阪 庫 良 歌 取 根 山 島 口 島 川 媛 知 岡 賀 崎 本 分 崎 児
道
川
山
島
5
5
国産大豆の生産と価格の動向
○
大豆の生産は、気象災害の影響等により減少する場合があり、これに伴い、価格も大きく変動。また、近年は作付面
積が減少傾向にある。25年産の生産量は、台風被害、天候不順による登熟期の生育抑制等のため、前年産から3万
6,000t(15%)減少し、19万9,900t。26年産は、作付面積は前年産から2,700ha増加し、13万1,500haとなっている。
○ 価格の安定は、国産大豆の継続的な使用のための重要な条件の一つであり、実需者から安定生産を求める声が強い。
○
○ 入札取引における落札価格の動向
国産大豆の生産量と価格の推移
(円/60kg)
16,000
国産生産量
非GMO分別価格
GMO不分別価格
国産価格
23
23
23
23
23
22
9,536
22
16
6,931
6,835
7,364
7,079
6,654
4,670
3,745
4,520 4,815
20
8,145
15
3,145
6,340
2,945
2,973
2,715
3,015
3,298
16,000
14,000
H26年12月(26年産)
12,035円/60kg
12,000
10,000
H24年7月(23年産)
10,035円/60kg
9,000
H25年7月(24年産)
9,165円/60kg
10
3,745
2,905
H26年7月(25年産)
16,863円/60kg
11,000
5,093
3,985
23年産
26年産
18,000
13,000
3,505
3,935
22年産
25年産
15,000
6,829
5,315
4,525
4,000
25
23
6,125
21年産
24年産
17,000
20
8,299
8,000
30
14,168
26
12,000
円/60kg
(万トン)
15,836
3,883
3,848
0
5
8,000
0
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
(15年産) (16年産) (17年産) (18年産) (19年産) (20年産) (21年産) (22年産) (23年産) (24年産) (25年産)
注1.非GMO分別及びGMO分別は、日経市中相場で暦年による平均価格(税抜)。
2.国産価格は、(公財)日本特産農産物協会における入札結果で各年産の平均価格(税抜)。
7,000
6,000
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
資料:(公財)日本特産農産物協会入札結果より
注:入札販売価格は各月の全銘柄平均価格(税抜)
6
5-2
主要銘柄の入札取引価格の推移
○ 15年産、16年産は、作柄が悪く生産量が減少し、入札取引価格が高騰。19年産では、特に納豆用の銘柄で、中国産食
品の安全性に対する不安から国産原材料への切りかえが進み、入札取引価格が高騰。
○ 23年産は台風等による収穫量の減少、24年産は国産大豆の需要の高まりにより入札取引価格は高い水準を継続。
25年産は、台風被害、天候不順による登熟期の生育抑制等による収穫量の減少のため、取引価格は大幅に高騰。
○ 主要銘柄大豆の入札取引価格の推移
(単位:円/60kg)
産 地
落 札 平 均 価 格
品種銘柄
12年産
全品種加重平均
北海道 大粒 音更大袖振
大粒 とよまさり
小粒 スズマル
中粒 秋田
小粒 ユキシズカ
青 森 大粒 おおすず
宮 城 大粒 ミヤギシロメ
大粒 タンレイ
大粒 タチナガハ
秋 田 大粒 リュウホウ
山 形 大粒 エンレイ
大粒 里のほほえみ
茨 城 大粒 タチナガハ
小粒 納豆小粒
栃 木 大粒 タチナガハ
新 潟 大粒 エンレイ
富 山 大粒 エンレイ
石 川 大粒 エンレイ
福 井 大粒 エンレイ
大粒 里のほほえみ
長 野 大粒 ナカセンナリ
岐 阜 大粒 フクユタカ
愛 知 大粒 フクユタカ
三 重 大粒 フクユタカ
滋 賀 中粒 オオツル
大粒 フクユタカ
鳥 取 大粒 サチユタカ
福 岡 大粒 フクユタカ
佐 賀 大粒 むらゆたか
大粒 フクユタカ
熊 本 大粒 フクユタカ
5,653
6,972
6,218
5,488
5,191
5,856
6,654
5,992
6,683
4,258
4,338
5,540
5,797
5,749
5,748
6,495
5,683
6,120
6,485
5,479
5,828
5,498
5,088
5,758
5,958
5,923
5,345
13年産
4,501
4,848
5,212
3,800
4,561
4,434
5,066
4,785
4,832
4,274
4,389
4,322
5,130
4,590
4,152
4,620
4,776
4,552
4,941
4,289
4,599
4,477
4,376
4,199
4,205
4,218
4,177
4,286
14年産
4,585
5,641
5,259
6,871
5,576
4,540
5,454
4,376
4,685
4,372
4,582
4,587
5,779
4,382
4,243
5,003
4,536
4,543
5,635
4,384
4,639
4,496
4,215
4,174
4,132
4,398
4,252
4,417
4,429
15年産
9,536
22,860
11,276
17,264
17,832
7,677
10,718
7,236
10,346
8,088
9,717
8,529
15,963
8,511
8,622
8,810
8,178
8,536
12,499
10,016
10,671
10,430
9,233
10,577
7,826
10,493
11,322
10,508
10,620
16年産
15,836
20,286
17,883
13,695
16,560
8,977
13,743
16,856
13,846
16,527
14,042
17,883
15,601
15,282
14,998
15,698
16,852
15,110
14,091
16,336
20,129
18,837
17,034
15,973
18,599
16,940
19,917
16,991
20,079
21,164
17年産
6,931
8,597
8,187
7,159
7,523
6,785
7,014
7,551
6,652
6,672
6,867
6,315
6,622
7,400
6,738
6,954
7,387
7,022
6,781
7,381
6,502
7,079
6,599
6,648
6,478
6,138
6,619
8,992
7,231
6,485
18年産
6,835
5,789
7,611
6,189
6,553
6,209
6,915
8,156
6,772
7,299
6,903
6,599
6,783
10,835
7,001
7,163
6,629
6,617
7,095
7,220
6,708
6,695
6,777
6,887
6,615
6,665
7,113
9,380
7,202
7,001
19年産
7,364
7,334
8,162
17,777
7,319
9,672
6,660
7,365
6,780
7,060
6,830
6,764
6,734
19,686
6,850
6,838
6,734
6,599
6,761
8,864
7,001
7,020
6,988
6,904
6,897
6,489
6,837
7,033
6,875
6,829
20年産
7,079
7,720
7,445
11,611
6,916
11,128
6,783
7,011
6,770
6,788
6,727
6,673
6,811
10,979
6,767
6,598
6,803
6,621
6,636
8,303
6,965
7,063
6,897
6,709
6,851
6,691
6,978
7,046
7,023
6,976
21年産
6,654
9,084
6,324
8,594
6,158
7,338
6,360
6,593
6,195
6,452
6,166
6,215
6,263
8,219
6,168
6,314
6,550
6,430
6,453
6,800
7,904
8,525
7,206
6,733
6,832
6,588
6,869
6,774
6,869
6,742
22年産
6,829
8,468
6,548
8,210
6,283
7,275
6,853
7,034
6,650
7,115
6,532
6,750
6,683
8,480
6,786
6,815
6,882
6,367
6,459
7,812
7,024
7,113
6,961
6,654
6,829
6,617
7,226
7,055
7,198
7,163
23年産
8,299
8,691
7,779
7,860
6,202
7,300
7,388
6,955
6,817
6,705
7,304
7,671
8,181
7,083
6,702
8,238
8,806
7,920
8,027
8,533
9,389
9,857
9,440
9,028
9,057
9,610
9,137
7,819
9,493
8,932
24年産
8,145
7,838
7,770
7,943
6,928
7,402
8,438
7,452
7,038
7,514
8,377
7,870
7,646
7,070
8,500
7,133
8,066
8,228
7,888
7,821
8,151
8,393
8,639
9,141
8,851
8,154
9,057
8,233
9,360
8,561
9,399
8,988
25年産
14,168
13,344
13,469
10,913
12,586
10,246
9,115
17,302
14,786
14,765
14,927
12,168
13,378
14,229
8,500
13,406
12,361
15,418
11,911
10,494
13,913
15,436
14,643
17,346
17,172
14,894
17,149
10,090
17,189
14,970
17,056
16,760
7
6
生産性
○
一戸当たり平均作付規模は拡大傾向にあり、規模拡大に伴い、10a当たりの生産性は向上。10a当たり生産費は、
平成元年は8万円程度だったが、平成25年産では6万3千円まで減少している。
○ 一方、単収の伸び悩みにより、60kg当たりの生産費は横ばいとなっている。
○ 大豆生産農家の作付規模の推移
○ 大豆の生産費の推移
(千円)
(単位:a)
90
400
353
80
全国
82
70
75
北海道
都府県
310
300
60
65
64
288
298
293
71
63
194
268
209
200
50
10a当たり
60kg当たり
139
126
120
40
94
100
30
20
338
22
19
20
122
63
41
28
22
21
10
107
83
99
56
0
36
元 2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
(年産)
0
元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
資料:「農業経営統計調査 工芸農作物等の生産費」
(年産)
資料:「農業経営統計調査 工芸農作物等の生産費」
注:水田・畑作経営所得安定対策の導入に伴い、小規模農家を中心に経営単位が個別農家単位から集落営
農組織単位へ移行したため、H19から作付面積が大きく変動している。
8
7
○
○
単収
単収は徐々に向上してきていたが、平成元年以降は伸び悩んでおり、年次変動が大きくなっている状況。また、地
域ごとの単収もばらつきが大きい。
○ 地域別の単収(H25年収量)
単収の推移(全国:田畑平均)
(kg/10a)
(kg/10a)
250
250
229
200
200
173
150
150
155
148 142
128
120
111
119
100
100
10a当たり収量
50
50
平均収量(7中5)
0
S20
25
30
35
40
45
50
55
60
2
7
12
17
0
22
(年)
9
7-2
○
都道府県別単収
都道府県別では北海道でもっとも単収が高い。都府県では主産地である九州北部の佐賀県、福岡県の他、栃木県で
単収が高い。
(kg/10a)
250
都道府県別単収(H25平均収量)
237
229
都府県平均:154kg/10a
全国平均:171kg/10a
198
200
176
161
154
150
143
162
130
136
129
156
155 151
148
137 132
119
173
166
135 133
122
122
110
152
142
131
128
104
157
150
147
131 129 134
118
117
150
121
118
104
107
135 140
114
100
50
0
北 青 岩 宮 秋 山 福 茨 栃 群 埼 千 東 神 山 長 静 新 富 石 福 岐 愛 三 滋 京 大 兵 奈 和 鳥 島 岡 広 山 徳 香 愛 高 福 佐 長 熊 大 宮 鹿
海 森 手 城 田 形 島 城 木 馬 玉 葉 京 奈 梨 野 岡 潟 山 川 井 阜 知 重 賀 都 阪 庫 良 歌 取 根 山 島 口 島 川 媛 知 岡 賀 崎 本 分 崎 児
道
川
山
島
※平均収量:過去7カ年の単収のうち、最高及び最低を除いた5カ年の平均値
10
8
○
農産物検査における3等格付け理由は、粒の充実度等の形質不良、しわ粒、汚損粒が多くなっており、天候不順の
影響のほか、不十分な肥培管理、収穫時期の遅れ等、生産技術に起因していると考えられる。
○
千㌧
検査等級
大豆の農産物検査成績の推移
(参考)等級別の品位
250
(最高限度(%))
項目
水分 被害粒等
217千㌧
203千㌧
60
200
191千㌧
183千㌧
172千㌧
153千㌧
153千㌧
150
100
102千㌧
46
54
64
43
59
29
49
50
27
31
18年産
19年産
59
61
62
3
27
30
48
49
34
28
34
23
19
0
15年産
16年産
17年産
20年産
等級
普 1
等
通
2
等
大
等
豆 3
特定加工用大豆
15.0
15
15.0
20
15.0
30
15.0
35
特定加工
50
44
33
2等
3等
35
50
1等
45
45
46
172千㌧
47
58
11
53
51
42
65
67
43
186千㌧
28
32
25
58
43
186千㌧
21年産
22年産
23年産
24年産
注: 特定加工用大豆は、豆腐
等の品質に影響を及ぼさな
い程度の被害粒(皮切れ粒、
しわ粒等)はカウントしな
い。
25年産
資料:農産物検査成績(翌年3月末日現在の検査数量)
11
9
国産大豆の流通
○ 大豆の流通は、国産品・輸入品とも民間ベースの自由な流通を前提。
○ 国産大豆の流通は、①JA等に販売委託されるもの、②集荷業者(地域の雑穀商)等が、生産者から直接買い付け、
加工メーカー等へ販売されるもの(庭先買い)、③生産者から地場の加工メーカー等へ直接販売されるもの、④生産
者の自家消費等の形態に分かれる。
○ 国産大豆のうち、JA等に販売委託されるものが8割程度(24年産)であり、問屋を経由した流通が中心。
○
大豆の流通
○ 国産大豆の形態別販売数量
輸入大豆
(千トン)
250
<国産大豆>
種 子 用
穀物輸出業者
・
海外生産者
生
産
契約栽培
者
相対販売
入札販売
自 家 消 費
200
農産物検査
3等以上
特定加工用
24
規格外
黒大豆等
地場流通等
20
21
150
JA等集荷団体
輸入商社
34
その他集荷業者
済
連
等
21
取
引
次 問
屋
二
次 問
屋
地場メーカー
農 協 工 場
豆
加
工
品
59
68
65
82
91
66
56
70
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24
地場加工工場
加工メーカー(豆腐・油揚、納豆、煮豆、味噌、醤油等)
大
50
85
42
一
64
4
50
((財)日本特産農産物協会)
製油業者
61
94
35
46
札
46
93
100
全 農・全 集 連
入
95
38
61
経
59
48
36
(年産)
・
国産大豆の販売は大きく分けて入札販売、相対販売、契約
栽培3つがあり、近年は契約栽培の割合が増えてきている。
・ 基本的には豊作の時は相対販売の割合が高くなり、不作の
時は入札販売の割合が増える。
12
(参考)
10
○
国際需給の動向
最近の大豆の国際相場は、中国やインド等の人口超大国の経済発展による食料需要の増大、世界的なバイオ燃料の
原料としての穀物等の需要増大、地球規模の気候変動の影響といった要因による穀物需給のひっ迫から、ここ5~6
年は価格が上昇し、高水準が続いている。
○ シカゴ相場の推移
○ 国際需給の動向
300
100%
生産量
250
80%
消費量
200
百万㌧
期末在庫
60%
150
40%
100
20%
50
適正在庫水準15~20%
0
12/13
09/10
06/07
03/04
00/01
97/98
94/95
91/92
88/89
85/86
82/83
79/80
76/77
73/74
70/71
0%
資料:米国農務省(USDA)調べ
適正在庫水準は、FAOによる。
2011/12は見込み、2012/13は予測。
資料:シカゴ商品取引所
13
11
食料・農業・農村基本計画
○
世界の穀物等の需給は中長期的にひっ迫基調が見込まれる中で、今後の農政にとって、食料自給率を最大限向上さ
せていくことは必要不可欠。
○ 平成32年度の食料自給率目標は、国際情勢、農業・農村の状況、課題克服のための関係者の最大限の努力を前提と
して、供給熱量ベースで50%まで引き上げることとしたところ。
○ 食料自給率目標を達成するため、生産及び消費の両面において重点的な取組を展開することとし、大豆においては
平成22年度に下記のような目標を設定しているが、平成27年度にこれを見直すこととしており、現在、平成37年度の
目標策定に向けて検討を進めている。
○国産大豆の生産数量目標
H20
生産量
作付面積
H32
26万トン
15万ha
品目別自給率 6%
克服すべき課題
60万トン
30万ha
「食料・農業・農村
基本計画」の見直し
とH37の大豆生産数
量目標等の策定に向
け、現在検討中
17%
• 作業効率や排水性の向上のための水田の団地的な利用と汎用化や
機械化適性を有する多収品種の育成・普及
• 単収向上・安定化に資する栽培技術の普及、契約栽培による安定的
な取引関係の構築を通じた、安定供給体制の確立
• 国産大豆の特徴を引き出した製品開発等による需要開拓
14
12
安定多収生産技術「播種技術」
○
大豆は過度の湿害に弱いため、水田ではほ場を団地化し排水対策を徹底することが必要。麦の収穫後に大豆を播種
する関東以西においては、播種期が梅雨と重なり、しばしば発芽不良や播き遅れが生じ、単収が低下。
○ (独)農業・食品産業技術総合研究機構において湿害を回避する耕うん播種技術(いわゆる「大豆300A技術」)が開発
されたところ。本技術により単収300kg/10aを目指すことが可能となり、収益性も大きく向上。
○大豆300A技術による単収向上の事例
○大豆の播種期
350
(kg/10a)
慣行栽培
300A技術
300
250
小
麦
200
収穫期
150
慣行と比較し、
単収が
1.2~1.3倍
に増加
100
50
梅雨入り
大
豆
0
梅雨明け
6月
大豆は梅雨の影響で、
播種後に湿害を受け
やすい。
7月
B地区
(不耕起播種)
(耕うん同時畝立て播種)
※(独)農業・食品産業技術総合
研究機構の大豆300A技術実証
事例より。
普及推進を図る大豆300A技術等
播種期
5月
A地区
8月
播種が遅れ
ると単収が
低下
9月
北海道
密植遅播き田植え後は種
東 北
有芯部分耕は種、耕うん同時畝立ては種、
関 東
不耕起は種、耕うん同時畝立ては種、狭畦無培土栽培
北 陸
耕うん同時畝立ては種
東 海
小明渠作溝同時浅耕は種、耕うん同時畝立ては種、狭畦無中耕無培土栽培
近 畿
耕うん同時畝立ては種、狭畦無中耕無培土栽培、不耕起・狭条密植栽培
中四国
耕起又は不耕起狭畦密植栽培、耕うん同時畝立ては種
九 州
耕うん同時畝立ては種
注:この他にも、各地域で大豆300A技術と同等の効果が期待される技術が開発されている。
15
12-2
湿害を回避する耕うん播種技術の例
小畦立て播種技術
○ 高さ8~10cmの小さな畦を立て、
株付近の排水性を高め、湿害を軽減。
○ 代かきハローの爪配列を改変し
て畦立てができ、低コストで容易に
導入可能
耕うん同時畦立て播種技術
不耕起播種技術
○ 高さ15~20cm程度の畝を立てる
ことで湿害を軽減。
○ 粘土質の土壌でも土を細かく砕
けるため、出芽が安定。
○ 耕うんと同時に、畝立て・播種
を行い、適期播種が可能。
○ 耕起せずに播種するため、降雨
後、早期に播種作業が可能。
○ 耕起・整地作業を省き、労働時間
を削減。
○ 弾丸暗渠等の排水対策と組み合
わせ、湿害を軽減
不耕起播種による播種溝の状況
全国の
普及面積
普及率
(岩手県)
全国の
普及面積
普及率
(新潟県)
全国の
普及面積
普及率
(佐賀県)
2,718ha
27.5%
17,715ha
35.5%
3,424ha
3.9%
16
12-3
大豆の低収要因の解明
○
近年、生産現場からは、「大豆の単収が低下傾向にある」との指摘があがっており、実際、ほとんどの地域におい
て、過去に比べて単収が低下しているが、現場の状況は必ずしも網羅的かつ科学的に把握できていない。
○ このため、平成25年度に、任意の県において、低収要因の解明に向けた調査を実施。
○ 調査実施県(10県)
青森県、秋田県、宮城県、山形県、栃木県、新潟県、長野県、富山県、佐賀県、福岡県
○ 調査方法
同一の生産者が耕作している圃場のうち、
収量が維持できている圃場(多収圃) と 近年収量が低下している圃場(低収圃)について、
栽培条件等に関するアンケート調査及び土壌分析等を行い、両圃場の違いを比較。
<調査のイメージ>
① 同一生産者の耕作する
収量性の異なる2つの圃場を選定
② あらゆる項目について、両圃場の違いや項目間の因果関係等を比較分析
アンケート調査で比較した項目
○栽培条件(品目別の作付面積、大豆の各種農作業時期等)
○圃場条件(排水性、肥沃度、過去5年の作付状況等)
○生育状況(収量、湿害、虫害、雑草害、収穫ロス等)
○栽培管理(排水対策、耕起方法、除草、防除内容及び実施有無等)
多収圃
土壌・子実分析で比較した項目
○土壌の化学性(pH、全窒素・炭素、可給態窒素等、微量要素等)
○土壌の物理性(作土深、貫入抵抗性等)
低収圃
○土壌病害(黒根腐病菌、茎疫病)
○子実分析(整粒比率、病虫害粒)
17
12-4
大豆の低収要因の解明
○
調査結果からは、高い大豆作付頻度と有機物補給の不足や排水不良など、特定の栽培条件が、湿害、黒根腐病、土
壌の全窒素量の減少等様々な障害の発現に結びつき、大豆の単収低下に影響していることが示唆された。
○ これまで湿害対策を中心とした対策が実施されてきたが、こうした調査結果も踏まえ、輪作体系等を含む低収要因
を再検証し、大豆の単収向上に向けた栽培技術の確立を図っていく必要がある。
大豆の低収要因調査結果(平成25年度)
大豆の低収に影響を与えていた要因
湿害
黒根腐病
土壌の全窒素量
整粒比率
今後必要な取組
低収要因と関連が深かった栽培条件
排水不良
○ 輪作体系等も含
めた大豆の低収要
因の再検証
高い大豆作付頻度
堆肥等の有機物補給の不足
虫害の発生
○ 大豆の単収向上
に向けた栽培技術
の確立
収穫ロス
18
13
日本の大豆の主要な品種
○ 全国に流通する大豆は、主な5品種で、全体の7割以上を占めているが、これらの品種には生産性・品質の不安定
さや、生産効率の点から課題もあるため、生産者、実需者からより優れた品種の開発・普及を求める声が寄せられて
いる。
○
北海道
【ユキホマレ】
総作付面積 10,764ha
全面積に占める割合 8.2%
33,029トン
シェア18.3%
※とよまさり銘柄で集計
東北~北陸地域
【エンレイ】
総作付面積 14,756ha
全面積に占める割合 11.3%
【タチナガハ】
総作付面積
8,724ha
全面積に占める割合
6.7%
【リュウホウ】
総作付面積 10,135ha
全面積に占める割合
7.7%
東海~九州地域
【フクユタカ】
総作付面積 33,488ha
全面積に占める割合 25.5%
※数量はH24年産全農集荷実績
22,186トン
シェア12.3%
12,732トン
シェア7.0%
9,432トン
シェア5.2%
52,368トン
シェア29.0%
各品種の主な課題
【品種の課題】
・タンパク質含量が低く、豆腐の製品歩
留まりが低い
【品種の課題】
・しわ粒の発生による品質低下
・小粒化による品質・収量低下
・機械収穫適性が低い
【品種の課題】
・青立ちによる汚粒やしわ粒の発生によ
る品質低下
【品種の課題】
・しわ粒・紫斑粒の発生による品質低下
【品種の課題】
・大規模化に伴い、1品種の作付では作
期が集中し、労働配分に限界
19
13-2
品種開発
○
新品種の育成に当たっては、各地の栽培状況を踏まえ、豆腐用、煮豆用等の用途ごとに実需者ニ-ズを反映して加
工適性が高い品種等に重点化して実施。
○ 開発された新品種については、産地段階での栽培実証圃場における技術の確立・普及等を実施することにより、作
付面積も徐々に拡大。
○
○
近年育成された大豆の主な新品種
(北海道)
北海道
豆腐用
トヨハルカ(北海道)
とよみづき
煮豆用
ユキホマレ(北海道)
タマフクラ(北海道)
ユキホマレR(北海道)
新用途
ゆきぴりか(北海道)
東北
豆腐用
里のほほえみ(山形)
納豆用
すずろまん
新用途
きぬさやか(宮城)
北信越
豆腐用
タチホマレ(長野)
シュウレイ(富山)
煮豆用
つぶほまれ
華大黒
納豆用
すずろまん(新潟・長野)
その他
あやみどり
九州
煮豆用
クロダマル
納豆用
すずおとめ(熊本)
すずかれん(熊本)
近年における新品種導入の事例
トヨコマチ
(昭和63年育成)
裂莢し易く機械化適性が低い
平成13年
4,778ha
平成23年
978ha
ユキホマレ
(平成13年育成)
低温に強く、機械化適性が高い
平成13年
150ha
平成23年
10,267ha
関東・東海
豆腐用
ハタユタカ(茨城、群馬)
つやほまれ
サチユタカ(千葉)
里のほほえみ(栃木)
新用途
なごみまる
近畿・中国・四国
豆腐用
サチユタカ(岡山、山口、島根、兵庫、奈良、鳥取、広島、高知)
ことゆたか(滋賀)
はつさやか
煮豆用
あきまろ
くろさやか
注1:新用途は緑大豆、リポキシゲナーゼ欠失など
による青臭みのない大豆等
注2:品種名の後の( )内は奨励県
(近畿・中国地方)
タマホマレ
(昭和55年育成)
豆腐加工適性が低い
平成13年
6,266ha
平成23年
1,100ha
サチユタカ
(平成13年育成)
豆腐加工適性が高い
平成13年
116ha
平成23年
3,348ha
20
13-3
普及が期待される新品種
【とよみづき】
【シュウリュウ】
【里のほほえみ】
豆腐加工適性に優れ、
低温抵抗性が高い大豆
大粒で豆腐加工適性
が高く、多収の大豆
倒れにくく大粒良質で
高タンパクの大豆
【関東120号】
豆腐用主力品種の
なんれっきょうせい
難裂莢性※を強化した大豆
※収穫ロスが低減される性質
導入予定地域:北海道
導入予定地域:東北
導入予定地域:東北・関東・北陸
導入予定地域:関東~九州
豆腐破断応力※の比較
シュウリュウ
(左:難裂莢性導入品種、右:既存品種)
裂莢性の様子
※豆腐破断応力
:豆腐の硬さを
示し、値が大き
いほど硬い。
低温による裂開粒
耐倒伏性の比較
(手前:エンレイ、奥側:里のほほえみ)
(左:難裂莢性導入品種、右:既存品種)
21