6 空間図形 中学数学 1 年 3−1① 錐に関する Q&A 立体の頂点と錐体の頂点 Q: 「頂点」という用語は小学校の立体の学習でも学んでいます。空間図形の章であらためて定義されている「頂 点」は,何が違うのでしょうか。 A:小学校では辺が集まったところにある「かどの点」として頂点が定義されています。これはいわゆる多面体の頂 点で,多面体のかどの点すべてを指し示すことばです。 これに対して, 「空間図形」では,それとは異なる頂点を定義しています。この頂点は,錐体の底面に対して一意 に決まる1つのとがった点を指し示しており,錐面の次のような定義に基づくものです。 錐面:平面上の曲線 C とこの平面上にない 1点 V に対し,V と C 上の 各点とを通る直線全体によってえがかれる曲面を錐面といい,V をその頂 頂点 V 点,C を導線,曲面をえがくおのおのの直線を母線とよぶ。 (中略)導線 母線 が円・多角形ならば,それぞれ円錐・角錐とよぶ。 (数学小辞典・共立出 版 より) 導線 C 円錐の展開図をかく際の誤り Q:円錐の展開図をかくとき,側面を三角形にする誤りが多くあります。これを防ぐには,どのような指導が効果的 でしょうか。 A:展開図をかくには,対象となる立体をさまざまな角度から見る体験が大切になります。授業では,実際の模型 を切りひらくなどして,立体の底面や側面の形を観察させる機会を設けるのもよいでしょう。 また,生徒にかかせた展開図をもとに,立体をつくらせる活動を取り入れることも効果的です。例えば,円錐の展 開図の誤りに対しては,その展開図をもとに円錐をつくる活動を取り入れると,側面が三角形であれば円錐がつくれ ないことに直面し,側面がどのような形でなければならないのかを考え,展開図を修正する契機になります。中学 校でも,小学校でやっているような操作活動を積極的に取り入れることが大切です。 さらにくわしくお知りになりたい場合 啓林館教師用指導書 1年 指導研究編 p126 教授用資料 6 空間図形 中学数学 1 年 3−1② 小学校での学習の概要と指導の留意点 立体図形と空間図形 小学校では,立体について,4 ∼ 6 年で上記の学習をしています。 中学校でも,見取図や展開図などの表現方法を扱いますが,それらの表現は,空間図形の必要な部分の一部を 表しているものととらえることが大切です。また, 空間図形の平面上への新たな表現方法である投影図について学び, 見取図,展開図,投影図を相互に関連付け,複数の表現方法を用いながら,多面的に考察できるように学習します。 この点は,小学校と大きく異なる点です。 中学校では,小学校で立体図形として扱っていた対象を,空間図形として扱うことになります。そのため,立体を, 平面図形の運動によって構成されているものと,とらえられるようにします。この点も小学校と大きく異なる点です。 例えば,円柱を次のようにみることを学びます。 円が,その面に垂直な方向に, 長方形を,1つの辺を軸として, 円に垂直に立てた線分を,円 平行に移動してできたもの そのまわりに 1回転させてでき の周にそって 1 まわりさせてで たもの きたもの 柱体の体積について,小学校では単位立方体が何個あるかという考え方から, 「底面積 × 高さ」で求められるこ とを結論づけています。中学校では,多角形や円をその面に垂直な方向に,一定の距離だけ平行に動かしてできる 立体とみる見方から「底面積 × 高さ」で柱体の体積が一般に求められることを定着させたいところです。 さらにくわしくお知りになりたい場合 啓林館教師用指導書 1年 指導研究編 p73∼75 教授用資料
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