社会資本形成の世代間負担比率 歳入額対資産比率

社会資本形成の世代間負担比率
社会資本形成の結果を表す公共資産のうち、純資産による形成割合を見ることにより、これまでの
世代によって既に負担された割合を見ることができます。また、地方債残高の割合により将来世代が
負担する割合を見ることができます。
計算式
過去及び現世代負担比率(%)=純資産合計÷公共資産合計×100
本市の比率 57.8%(平均的数値50%~90%)
計算式
将来世代負担比率(%)=地方債残高÷公共資産合計×100
本市の比率 45.9%(平均的数値15%~40%)
※ 貸借対照表の数値を用いて算出します。
※ 地方債残高には、固定負債の地方債、流動負債の翌年度償還予定地方債、社会資本形成の財
源としての長期未払金、未払金が含まれます。
公共資産は、それを使用することにより市民サービスを生み出すものであり、過去及び現世代負担
比率が高ければ、これまでの世代が負担した税金等で形成された資産から将来に渡ってサービスが
受けられるため、将来世代の負担は少ないことになります。逆に、将来負担世代比率が高ければ、
現在使用する資産を将来納付される税金等により形成していることになるため、将来世代の負担は
大きいことになります。
本市では、将来世代負担比率が平均より高く、公共資産を整備するために将来世代の負担となる
負債(地方債)に頼ってきたことがわかります。
歳入額対資産比率
貸借対照表の資産合計が、1年間の歳入の何年分に相当するかを見ることができます。
計算式
歳入額対資産比率=資産合計÷歳入総額
本市の比率 2.1(平均的数値3.0~7.0)
※ 貸借対照表、資金収支計算書の数値を用いて算出します。
歳入額対資産比率は、社会資本整備の度合いを示していて、この比率が高いほど社会資本整備
が進んでいると考えられます。ただし、歳入規模に対して過度の社会資本整備を行っている場合は、
今後の維持負担が大きくなり将来の財政を逼迫させる可能性もありますので必ずしも比率が高いか
ら
良いとは言えません。
本市の場合、平均的な数値より少し下回っていて、2.1年分の歳入に相当する資産しか蓄えら
れていないことがわかります。
1
有形固定資産の行政目的別割合
貸借対照表に計上された有形固定資産の行政目的別割合をみることにより、どの行政分野に社会
資本整備の重点を置いてきたかを把握することができます。
行政目的区分
①生活インフラ・国土保全
②教育
③環境衛生
④総務
⑤産業振興
⑥消防
⑦福祉
有形固定資産合計
(単位:%)
構成比
51.6
27.9
7.7
5.1
5.0
2.3
0.4
100.0
生活インフラ・国土保全、教育は他の団体においても大きな割合を占めています。
本市では、12年度から14年度にかけて東部環境センターやリサイクルプラザを整備したことから
環境衛生の割合が比較的高くなっています。
資産老朽化比率
有形固定資産のうち土地以外の償却資産(建物など)の取得価額に対する減価償却累計額の割合
を計算することにより、耐用年数に対して償却資産の取得からどの程度の年数が経過しているかを
把握することができます。
計算式
資産老朽化比率(%)=減価償却累計額÷(有形固定資産合計-土地+減価償却累計額)×100
本市の比率 53.2%(平均的数値35%~50%)
※ 貸借対照表、貸借対照表の注記の数値を用いて算出します。
資産老朽化比率が高い場合は、償却資産が全体として老朽化しつつあり、近い将来に維持更新の
ための投資が必要となる可能性が高くなります。
本市の場合は、平均的数値より高くなっており、この比率は今後も上昇することが見込まれますので、
平成26年度に策定した公共施設維持管理計画等に基づき施設の長寿命化のための維持管理を行っ
ていく必要があります。
2
受益者負担比率
行政コスト計算書の経常行政コストに対して直接の住民負担である経常収益がどの程度の割合で
あるかを把握することができます。
計算式
受益者負担比率(%)=経常収益÷経常行政コスト×100
本市の比率 4.8%(平均的数値2%~8%)
受益者負担比率は、行政サービスに要したコストに対する受益者が負担する使用料・手数料や分
担金・負担金などの割合であり、受益者が負担しない部分については市税等により賄うことになりま
す。したがって、受益者負担比率も他の団体に比べて著しく低い場合は、コストの削減や使用料・手
数料等の見直しの必要性も出てきます。
本市の場合は、平均的数値の範囲内となっていますが、限られた財源の中で最低限必要な行政
サービスを維持していくためにも、受益と負担の関係を明確にし、使用料・手数料等の水準を適正に
していきます。
行政コスト対公共資産比率
行政コストの公共資産に対する比率を見ることで、資産を活用するためにどれだけのコストがかけ
られているか、あるいはどれだけの資産でどれだけの行政サービスを提供しているかを把握するこ
とができます。
計算式
行政コスト対公共資産比率(%)=経常行政コスト÷公共資産×100
本市の比率 18.1(%)(平均的数値10%~30%)
※ 貸借対照表、行政コスト計算書の数値を用いて算出します。
※ 経常行政コストについては、公共資産とは直接関係の無い移転支出的なコストを除いています。
※ 公共資産については、行政サービスを提供していない売却可能資産を除いています。
本市の場合は、平均的数値の範囲内となっています。この比率が低い場合は社会資本整備が進
んでいると言えますが、行政サービスの水準に対して社会資本が過剰である可能性もあります。逆
に、この比率が高い場合は少ない社会資本で効率的に行政サービスを行っているとも言えますが、
社会資本整備が不足している可能性もあります。
3
行政コスト対税収等比率
純経常行政コストに対する一般財源等の比率を見ることによって、当該年度に行われた行政サービ
スのコストから受益者負担分を除いた純経常行政コストに対してどれだけが当該年度の負担で賄わ
れたかを把握することができます。
計算式
行政コスト対税収等比率(%)=純経常行政コスト÷(一般財源+補助金等受入)×100
本市の比率 99.7%(平均的数値90%~110%)
※ 行政コスト計算書、純資産変動計算書の数値を用いて算出します。
※ 補助金等受入は、純資産変動計算書のその他一般財源等の列の数値を用いて算出します。
この比率が100%を下回っている場合は、翌年度以降へ引き継ぐ資産が蓄積されたか、あるいは翌
年度以降へ引き継ぐ負担が軽減されたこと(又はその両方)を表しています。逆に、この比率が100%
を上回っている場合は、過去から蓄積した資産が取崩されたか、あるいは翌年度以降へ引き継ぐ負担
が増加したこと(又はその両方)を表しています。
本市の場合は、この比率は100%を下回っており、翌年度以降へ引き継ぐ資産が蓄積されたことが
わかります。
地方債の償還可能年数
地方公共団体の抱えている地方債を経常的に確保できる資金で返済した場合に何年で返済できる
かを把握することができます。
計算式
地方債の償還可能年数(年)=地方債残高÷経常的収支額(地方債発行額及び基金取崩額を除く)
本市の比率 7.3年(平均的数値3年~9年)
※ 地方債残高は社会資本形成の世代間負担比率で使用した数値、経常的収支額は資金収支計算
書の数値を用いて算出します。
この指標が小さければ小さいほど借金の経常的収支に対する負担は軽く、債務償還能力が高いこと
になります。本市の場合は、平均的数値の範囲内となっていますが、原則として新規の市債発行額
(過疎債・臨時財政対策債を除く)を当該年度の市債の元金償還額の3分の2以内としていくことで、
市債残高の抑制を図ります。
4