マクロ経済学 2 3 マンデル=フレミング・モデル 1.マンデル=フレミング・モデル分析(IS-LM-BP 分析) 固定為替相場制度と変動為替相場制度における金融・財政政策の効果を分析する理論的な 考え方です。 ここでは、資本移動が完全なケースを想定(小国の仮定)して分析を進めます。この場合、 自国の金利 r は他国の金利 rfと同じになるので、BP 曲線は水平になると考えられます。も ちろん現実の世界では、BP 曲線は右上がりと考えられるので、あくまでも理解を容易にす るための仮定と考えてください。。 2.固定相場制度・資本移動が完全なケースの下での財政政策の有効性 r IS0 IS1 LM0 r* LM1 BP(資本移動自由) Y0 Y1 Y 政府支出の拡大⇒IS 曲線の右へシフト⇒金利に上昇圧力⇒資本流入(=資本収支の黒字)⇒ 自国通貨高へ圧力⇒為替介入(自国通貨売り)⇒貨幣供給量が増加⇒LM 曲線の右方シフト ⇒GDP 増加 財政政策は有効 3.固定相場制度・資本移動が完全なケースの下での金融政策の有効性 r IS LM0 r* LM1 BP(資本移動自由) Y0 Y Y1 貨幣供給が増加⇒LM 曲線は右へシフト⇒金利に下落圧力⇒資本流出(=資本収支の赤 字)⇒自国通貨安圧力⇒為替介入(自国通貨買い)⇒貨幣供給量が減少⇒LM 曲線が左へシ フト・バック⇒GDP は変わらず。 金融政策は無効 4.変動相場制度・資本移動が完全なケースの下での財政政策の有効性 r IS0 IS1 LM0 r* BP(資本移動自由) Y0 Y1 Y 政府支出の拡大⇒IS 曲線が右へシフト⇒金利に昇⇒資本流入(=資本収支の黒字) ⇒自国通 貨高⇒経常収支赤字=外需が減少⇒IS 曲線が左へシフト・バック⇒GDP は変わらず。 財政政策は無効 5.変動相場制度・資本移動が完全なケースの下での財政政策の有効性 r IS0 IS1 LM0 r* LM1 BP(資本移動自由) Y0 Y1 Y 貨幣供給量の増加⇒LM 曲線が右へシフト⇒金利下落⇒資本流出(=資本収支赤字)⇒自国 通貨安⇒経常収支黒字=外需増加⇒IS 曲線が右へシフト⇒GDP が増加 金融政策は有効 6.国際金融のトリレンマ 国際金融のトリレンマ: マンデルーフレミング・モデルを用いた財政政策と金融政策の分析から、資本移動が完全な ケースという仮定の下でわかったこと。 固定相場制度: 中央銀行は金融政策(貨幣供給量の管理)を放棄せざるを得ない」 。 変動相場制度:中央銀行は金融政策(貨幣供給量の管理)が行える。 以上から、以下の 3 つを同時に達成することはできないことがわかる。 ① 自由な資本移動 ② 固定相場制度 ③ 金融政策の独立性 7.まとめ 固定相場 変動相場 金融政策 財政政策 金融政策 財政政策 資本移動が完全に弾力的 BP曲線水平 資本移動が弾力的 BPの傾き<LMの傾き 資本移動が非弾力的 BPの傾き>LMの傾き 資本移動が完全に禁止 BP曲線は垂直 ✖ 〇 〇 ✖ ✖ 〇 〇 △ ✖ △ 〇 〇 ✖ ✖ 〇 〇
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