2017年2月23日 欧州REIT市場の動向と今後の見通し (2016年11月~2017年1月) 足もとの欧州REIT市場 ~主要国の金利上昇と景況感の改善が綱引き~ 米国では、2016年11月の大統領選でトランプ氏が勝利して以降、新政権への期待から株式市場が上昇し、12月にFRB (米連邦準備理事会)が1年ぶりに政策金利の引き上げに踏み切りました。欧州でもECB(欧州中央銀行)の量的金融緩 和縮小観測が浮上するなど、主要中央銀行の政策転換に注目が集まる中、期待インフレ率の上昇などを背景に金利が 上昇し、欧州REIT市場の重石となりました。一方、景況感の改善と価格調整による割安感の台頭が欧州REIT市場の買い 材料となり、過去3ヵ月の欧州REIT全体のパフォーマンスは小幅の下落に留まっています。 各国・地域のREIT指数の推移 (2016年1月29日~2017年1月31日、日次) 140 欧州 オランダ 130 フランス 日本 騰落率 英国 米国 120 110 100 90 80 16/1 16/3 16/5 16/7 16/9 16/11 17/1 (年/月) ※2016年1月29日を100として指数化 欧州REIT・不動産市場の上昇期待 各国中銀の⾦融政策は概ね緩和姿勢維持 ECBは、2016年12月の理事会で政策金利を据え置い たものの、2017年4月以降のECBによる資産購入額を 800億ユーロから600億ユーロへ減額し、資産購入を 2017年末まで継続すると発表しました。 BOE(英中央銀行)は、2017年2月上旬の四半期インフ レ報告で、英国景気は底堅いとして、2017年の経済成 長率予想を上方修正し、同時に2016年8月に再開した 量的金融緩和策による新規の国債購入を打ち切り、現 状の資産規模を維持すると発表しました。今後は、イン フレ率の動向を注視しながら、引き続き慎重な金融政策 をとるものと見られています。 3ヵ月 6ヵ月 1年 欧州 -1.1% -8.1% -4.2% フランス -3.6% -13.1% -2.7% 英国 1.0% -5.3% -6.8% オランダ -1.7% -5.4% -9.1% 日本(ご参考) 4.2% 0.5% 7.4% 米国(ご参考) 2.7% -8.6% 12.0% ※S&PグローバルREIT指数(現地通貨ベース、配当込み) の各国・ 地域のデータ (出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのデータを 基に 三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ~ECBは2017年も緩和継続~ ECBの資産規模の推移 (2008年1月末~2017年1月末、月次) 予測値 (兆ユーロ) 5,000 2015年3月 量的金融緩和開始 4,000 3,000 2,000 1,000 0 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (年) ※ECBの資産残高の2017年1月末までは実績値、2017年2月末~2017年3月末までは毎 月800億ユーロ、2017年4月末~2017年12月末までは毎月600億ユーロの国債等を購 入することを前提に計算 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 1/4 ご参考資料 底堅いオフィス需要と賃料上昇期待 欧州の主要都市のオフィス面積の供給量が限られる中、オフィス需要は概ね底堅く、空室率はロンドンを除き低下傾向で あり、賃料は高水準を維持しています。今後も、オフィス賃料上昇による欧州REITの収益増加が期待されます。 主要都市のオフィス空室率の推移 (%) 主要都市のオフィス賃料の推移 (2007年1-3月期~2016年7-9月期、四半期) 20 パリ フランクフルト (2007年1-3月期~2016年7-9月期、四半期) 120 パリ ロンドン フランクフルト ロンドン 110 15 100 10 90 5 80 ※2007年を100として指数化 0 70 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) 07 08 09 10 11 12 ※【パリ】20区、ラ・デファンス地区、【フランクフルト】フランクフルト全体、【ロンドン】シティ、ウェストエンド、ドックランズ地区 ※パリの賃料および空室率は、2016年4-6月期までのデータ ※パリおよびロンドンの賃料は各エリアのストック面積で加重平均して算出の上、2007年1-3月期を100として指数化 (出所)Cushman & Wakefieldのデータを基に三井住友トラスト基礎研究所作成 魅力的な配当利回りとNAV 13 14 15 16 (年) ~バリュエーションは引き続き魅力的~ 配当利回りと国債の利回り差は⾼⽔準、NAVに対するREITの価格は概ね良好な⽔準 引き続き、欧州REITの配当利回り、国債との利回り差は概ね高水準となっています。また、REIT市場の価格調整を受け て、足もとの欧州各国のNAVに対するREITの価格は概ね良好な水準となっており、英国については特に割安な水準と なっています。 主要国のREITと国債の利回り差 6 4.9% 5.0% REIT配当利回り 4.1% 4 3.9% 10年国債利回り 20% 0 0% 1.4% 0.6% -20% 0.1% 0.4% 利回り差 3.9% 利回り差 4.5% 利回り差 3.7% 利回り差 2.5% フランス オランダ ドイツ 英国 割安 (ディスカウント) 2.5% 1.0% 80% ドイツ 英国 日本(ご参考) 40% 3.2% 2 フランス オランダ 米国(ご参考) 100% 60% 4.0% 3 1 (2008年1月~2017年1月、月次) (2017年1月末現在) (%) 利回り差 1.6% 利回り差 3.1% ⽶国 ⽇本 ※REIT配当利回りは、FTSE EPRA/NAREIT先進国REITインデックスのデータ ※利回り差は小数点第2位を四捨五入 (出所)FTSE、Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 割高 ( プレミアム) 5 主要国のNAVに対するREITの価格推移 -40% -60% -80% 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (年) ※上記はREITが投資対象とする不動産のNAV(現在の資産価値から負債を差し引いた 正味資産価値)に対し、REITの価格がどの程度の水準にあるか判断する指標です。 (出所)BNPパリバ インベストメント・パートナーズ ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 2/4 ご参考資料 英国のEU離脱 英国のメイ首相は、1月17日の演説で、EU(欧州連合)単一市場からの撤退を表明し、移民制限や司法権の回復、EUと の防衛協力継続など、離脱交渉に向けて優先する項目や英国の金融業の重要性について説明を行いました。英国議会 では、EU離脱を通知する権限を首相に与える法案が2月上旬に下院で可決されました。当法案は、この後上院で審議され、 3月上旬にも成立すると見られており、メイ首相は3月9日から始まるEU首脳会議で離脱を通知することを目指していると報 道されています。 メイ首相のEU単一市場からの撤退表明を受けて、離脱プロセスの開始が意識され、英国REITが一時下落するなど、 REIT市場や不動産市場への影響については依然として不透明な状況が続いています。一方、グローバル企業は、危機管 理計画の観点から拠点の移転について議論しているようですが、現時点では、ロンドンから移転する明確な動きは見られ ません。 欧州各国の政治イベント 今年は大陸欧州の複数の国で、以下の選挙が予定されており、政治リスクが懸念されています。 ・オランダの議会選挙(3月) ・フランスの大統領選挙(4月~5月) ・ドイツの連邦議会選挙(秋頃) ・イタリアの総選挙(2017年中に実施される可能性) 各選挙でポピュリスト政党(大衆の支持を基盤とする政党)が台頭していることなどから、結果によっては欧州の政治的 混乱を招き、市場のボラティリティ(価格の変動性)が上昇する可能性があります。 ただし、市場の懸念が台頭する一方で、概ね堅調な欧州の実物不動産市場やECBの緩和的な金融政策などが欧州 REIT市場を下支えするものと思われます。 <オフィス> <オフィス> ロンドン中心部で事業を展開 1954年創立のオフィスREIT 保有物件は、100%ロンドン中心部に位置し、特にウェスト エンドのオフィスに特化しています。 負債比率は低めで財務状況は健全です。 プロジェクト案件は豊富で、長期的な成長見通しを支えて います。 銘柄概要 パリ首都圏に、主にオフィスやビジネス・パークを保有しま す。 顧客がカスタム化できる賃貸・設計サービスをはじめ、通 信・ケータリング・管理などのサービスを手掛けています。 フランス経済の緩やかな成長加速、およびパリのオフィス 市場の回復から恩恵を受けると期待されます。 銘柄概要 (出所)BNPパリバ インベストメント・パートナーズ ※上記は特定の有価証券への投資を推奨しているものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 3/4 ご参考資料 【 ご留意事項 】 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したもので あり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。 ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判 断ください。 投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価 額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益 は全て投資者の皆様に帰属します。 投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではあり ません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。 当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するもので はありません。また、今後予告なく変更される場合があります。 当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を 示唆あるいは保証するものではありません。 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開 発元もしくは公表元に帰属します。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 4/4
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