スローテレビにおけるバイノーラル音声の利用方法

卒業論文 2016 年度(平成 28 年度)
スローテレビにおけるバイノーラル音声の利用方法
論文要旨
本研究は、自然環境映像のスローテレビを媒体として、2chスピーカー出力におけるバイ
ノーラル音声を掛け合わせたストレス・マネジメント・コンテンツの実用化を図り、その主
観的なリラクセーション効果を実証したものである。
映像には日本庭園の風景を選択し、対する音声には1/fゆらぎを持つという川のせせらぎ
を用いた。
実験は同じ映像を無指向性音声とバイノーラル音声の異なる2つの音声によって視聴し、
それぞれを評価してもらう対照実験を採用した。その音声出力には2chスピーカーを用い、
SD法による7項目7段階の評価と自由記述のアンケートを実施することで主観的なリラクセ
ーション効果を計測した。
結果、バイノーラル音声は参加者の約23%にあたる『安静群』に対して「暖かな」を始め
とする、「好きな」「静かな」「弱い」「緩んだ」「曖昧な」といった印象を与え、主観的
なリラクセーション効果をもたらした。しかし、参加者の約62%を占める『活性群』には「冷
たい」「緊張した」「明瞭な」という印象を与え、参加者全体における「騒がしい」「緊張
した」「広がりが無い」という評価とともに『安静群』とは対照的な傾向を示した。
したがって、バイノーラル音声には主観的なリラクセーション効果を認め難いと言える。
以上より、スローテレビにおいて、2chスピーカー出力におけるバイノーラル音声を利用
することは適切でないと結論付けられた。
デジタルコミュニケーション学部
デジタルハリウッド大学
デジタルコンテンツ学科
氏
名:近藤 裕太
指導教員:匠 英一