2016・17・18年度 内外経済見通し

2016・17・18年度 内外経済見通し
∼世界経済は拡大基調へ、米国政策や欧州政治が波乱要因 ∼
2017.2.14
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見通しのポイント
○ 2017・2018年の世界経済は米国の回復や資源国の持ち直しから拡大基調へ
○ 足元のグローバル経済持ち直しの要因は、①ITサイクルの改善、②中国の内需回復に伴う
輸入の持ち直し、③資源価格の上昇など
○ 拡大持続のポイントは米新政権の政策動向で、相応の財政拡張や規制緩和実施が前提
○ 逆に過度な保護主義政策を推し進めれば、世界経済の下振れ要因。米国の「国境調整」は輸
出減を通じて、世界経済に悪影響を与える可能性
○ 米ポリシーミックス(積極財政、利上げ)はドル高要因だが、過度なドル高は資金流出や金利
上昇を通じて新興国リスクを高める要因
○ 独仏選挙、英国のEU離脱通告などイベントが多い欧州政治動向も懸念材料
○ 2017年度の日本経済は回復。海外経済の持ち直しや在庫循環の改善、経済対策に伴う公共
投資の執行などが押し上げ要因に。2018年度も外需から内需へのバトンタッチで成長維持
○ 日本のコアインフレ率は1%台に上昇。ただし、エネルギーの影響を除く基調的なインフレ率
が緩やかな改善にとどまり、日銀は金融政策を当面据え置く一方、国債買入れは徐々に減額
1
《構 成》
Ⅰ.全体概要
P 3
Ⅱ.海外経済
P 25
(1)米国経済
P 26
(2)ユーロ圏経済
P 29
(3)アジア経済
P 35
Ⅲ.日本経済
P 42
Ⅳ.金融市場
P 52
2
Ⅰ.全体概要
∼世界経済は拡大基調∼
3
(1)見通し概要 ∼ 2017・18年の世界経済は拡大
⃝ 予測対象地域計の成長率は、2018年に向けて拡大基調を見込むが、米国の政策や欧州の政治が波乱要素
‧ 2017年は足元景気の強さを考慮して、米国やユーロ圏を中心に世界全体の成長率も上方修正
‧ 2018年は先進国・アジアの回復モメンタム維持や資源国の回復から、世界経済も2年連続で拡大ペースが加速
【 世界経済見通し総括表 】
(前年比、%)
暦年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
(実績)
(実績)
(実績)
(予測)
(予測)
(%ポイント)
2016年
2017年
(12月予測)
2016年
2017年
(12月予測からの修正幅)
3.6
3.4
3.3
3.8
3.9
3.3
3.7
-
0.1
日米ユーロ圏
1.6
2.2
1.6
1.9
1.9
1.5
1.7
0.1
0.2
米国
2.4
2.6
1.6
2.3
2.3
1.6
2.2
-
0.1
ユーロ圏
1.2
2.0
1.7
1.5
1.6
1.6
1.3
0.1
0.2
日本
0.3
1.2
1.0
1.3
1.4
1.0
1.1
-
0.2
6.4
6.1
6.0
6.0
6.1
6.0
6.0
-
-
中国
7.3
6.9
6.7
6.5
6.4
6.7
6.5
-
-
NIEs
3.5
2.0
2.1
2.2
2.5
2.0
2.2
0.1
-
ASEAN5
4.6
4.8
4.9
4.9
5.0
4.8
4.7
0.1
0.2
インド
7.0
7.2
7.0
7.5
7.5
7.0
7.6
-
▲ 0.1
オーストラリア
2.8
2.4
2.4
2.2
2.7
2.4
2.5
-
▲ 0.3
ブラジル
0.1
▲ 3.8
▲ 3.4
1.0
2.0
▲ 3.4
1.0
-
-
ロシア
0.7
▲ 2.8
▲ 0.2
1.0
1.5
▲ 0.7
1.0
0.5
-
日本(年度)
▲ 0.4
1.3
1.2
1.4
1.3
1.2
1.2
-
0.2
93
49
43
57
65
43
55
-
2
予測対象地域計
アジア
原油価格(WTI,$/bbl)
(注)予測対象地域計はIMFによる2014年GDPシェア(PPP)により計算。
(資料)IMF、各国統計より、みずほ総合研究所作成
4
日本:2017年度の成長率は+1.4%へ上方修正、2018年度は+1.3%
⃝ 2017年度の成長率は+1.4%に上昇(12月予測から0.2%Ptの上方修正)
‧ 海外経済の回復や国内在庫循環の改善、五輪・生産性向上などに関連する投資の増加、経済対策の進捗本格化などが
押し上げ要因。ただし、海外の政治・経済情勢を巡る不透明感は高く、下振れリスクは依然大
⃝ 2018年度の成長率は+1.3%。賃上げ率の改善などから、外需から内需へのバトンタッチを実現
【 日本経済見通し総括表 】
2015
2016
2017
2016
2018
年度
4∼6
7∼9
2017
10∼12
1∼3
4∼6
2018
7∼9
10∼12
1∼3
4∼6
2019
7∼9
10∼12
1∼3
前期比、%
1.3
1.2
1.4
1.3
0.4
0.3
0.2
0.3
0.4
0.3
0.4
0.4
0.3
0.3
0.3
0.3
前期比年率、%
--
--
--
--
1.8
1.4
1.0
1.1
1.7
1.3
1.5
1.5
1.3
1.1
1.2
1.1
前期比、%
1.1
0.6
1.0
1.2
0.5
▲ 0.1
▲ 0.0
0.2
0.5
0.3
0.3
0.2
0.3
0.3
0.4
0.5
前期比、%
1.1
0.7
0.8
1.2
0.9
▲ 0.1
0.0
0.1
0.4
0.2
0.2
0.2
0.3
0.3
0.4
0.5
個人消費
前期比、%
0.5
0.6
0.7
0.8
0.2
0.3
▲ 0.0
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
住宅投資
前期比、%
2.7
5.9
▲ 4.7
▲ 1.3
3.3
2.4
0.2
▲ 1.5
▲ 2.7
▲ 2.0
▲ 0.2
▲ 0.1
▲ 0.6
▲ 0.8
0.6
1.0
設備投資
前期比、%
0.6
1.8
2.5
2.1
1.3
▲ 0.3
0.9
0.5
0.8
0.6
0.6
0.5
0.5
0.5
0.6
0.5
在庫投資
前期比寄与度、%Pt
0.3
▲ 0.3
▲ 0.0
0.1
0.2
▲ 0.3
▲ 0.1
▲ 0.1
0.2
0.0
▲ 0.0
▲ 0.1
0.1
0.1
0.1
0.2
前期比、%
1.2
0.3
1.8
1.5
▲ 0.7
0.0
▲ 0.0
0.6
0.6
0.5
0.4
0.4
0.4
0.3
0.3
0.3
政府消費
前期比、%
2.0
0.8
1.4
1.7
▲ 1.1
0.3
0.4
0.3
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
公共投資
前期比、%
▲ 2.0
▲ 1.5
3.4
0.7
1.1
▲ 0.7
▲ 1.8
2.0
1.7
0.8
0.6
0.5
0.2
0.0
▲ 0.3
▲ 0.4
前期比寄与度、%Pt
0.2
0.6
0.3
0.1
▲ 0.0
0.4
0.2
0.0
▲ 0.0
0.1
0.1
0.1
▲ 0.0
▲ 0.0
▲ 0.1
▲ 0.2
実質GDP
内需
民需
公需
外需
輸出
前期比、%
0.8
2.8
4.2
2.0
▲ 1.2
2.1
2.6
1.1
0.3
0.7
1.0
0.9
0.4
0.2
0.2
▲ 0.0
輸入
前期比、%
▲ 0.2
▲ 0.9
2.3
1.7
▲ 1.0
▲ 0.2
1.3
0.9
0.5
0.4
0.3
0.1
0.4
0.5
0.7
1.0
名目GDP
前期比、%
2.8
1.2
1.7
1.8
0.3
0.2
0.3
0.0
0.7
0.8
0.3
0.0
0.8
0.8
0.2
▲ 0.2
GDPデフレーター
前年比、%
1.4
▲ 0.1
0.3
0.5
0.4
▲ 0.1
▲ 0.1
▲ 0.4
▲ 0.1
0.6
0.4
0.3
0.4
0.5
0.5
0.4
前年比、%
0.0
▲ 0.4
0.9
0.9
▲ 0.7
▲ 0.8
▲ 0.3
0.3
0.7
1.0
0.8
1.2
1.1
1.0
0.9
0.8
内需デフレーター
(注)網掛けは予測値。
(資料)内閣府「四半期別GDP速報」より、みずほ総合研究所作成
5
日本:コアインフレ率は2017年度に1%台まで上昇も、物価の基調は1%以下にとどまる
【 日本経済見通し総括表(主要経済指標) 】
2015
2016
2017
2016
2018
年度
4∼6
鉱工業生産
前期比、%
▲ 1.0
1.4
3.6
経常利益
(下段:特殊要因除く)
前年比、%
3.5
▲ 0.0
(▲2.8)
1.1
(4.1)
名目雇用者報酬
前年比、%
1.5
1.9
1.8
2.3
%
3.3
3.1
3.0
新設住宅着工戸数
年率換算、万戸
92.1
96.4
経常収支
年率換算、兆円
18.0
国内企業物価
前年比、%
消費者物価(除く生鮮食品)
10∼12
1∼3
4∼6
2018
7∼9
10∼12
1∼3
4∼6
2019
7∼9
10∼12
1∼3
0.2
1.3
2.0
0.7
0.5
0.8
0.8
0.6
0.4
0.3
0.2
0.2
3.4 ▲ 10.0
11.5
(▲5.8)
0.3
1.3
3.2
▲ 7.8
(4.7)
4.3
4.4
4.5
3.7
3.5
1.8
2.2
2.3
2.0
1.2
1.7
1.8
1.9
1.8
2.3
2.2
2.4
2.0
2.9
3.2
3.0
3.1
3.0
3.0
3.0
3.0
3.0
2.9
2.9
2.9
2.8
91.1
90.6
99.1
98.0
95.3
93.0
91.9
91.2
90.9
90.7
89.4
89.5
91.1
92.5
21.5
22.4
20.8
18.5
19.9
21.6
22.8
22.1
20.4
20.6
22.1
20.5
19.2
19.1
19.0
▲ 3.3
▲ 2.4
2.2
2.0
▲ 4.5
▲ 3.8
▲ 2.1
0.8
1.5
2.4
2.7
2.2
2.2
2.2
1.9
1.5
前年比、%
▲ 0.0
▲ 0.2
1.1
1.0
▲ 0.4
▲ 0.5
▲ 0.3
0.4
0.8
1.2
1.3
1.3
1.2
1.1
1.1
0.8
消費者物価(同上、除く消費税) 前年比、%
▲ 0.0
▲ 0.2
1.1
1.0
▲ 0.4
▲ 0.5
▲ 0.3
0.4
0.8
1.2
1.3
1.3
1.2
1.1
1.1
0.8
消費者物価(除く食料(酒類除く)
前年比、%
及びエネルギー、除く消費税)
0.5
0.2
0.3
0.6
0.5
0.2
0.1
0.1
0.1
0.3
0.4
0.5
0.5
0.6
0.7
0.7
完全失業率
無担保コール翌日物金利
%
新発10年国債利回り
%
日経平均株価
円
対ドル為替相場
WTI原油先物最期近物
1.8
7∼9
2017
▲ 0.00 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.06 ▲ 0.06 ▲ 0.06 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05
0.29 ▲ 0.05
0.05
0.05 ▲ 0.12 ▲ 0.13 ▲ 0.01
18,841 17,600 20,000 21,100
16,408 16,497 17,933
0.05
0.05
0.05
0.05
19,400 19,400 19,800 20,200
0.05
0.05
0.05
0.05
0.05
20,600 20,900 21,100 21,300
21,000
円/ドル
120
109
116
119
108
102
110
114
114
115
116
117
118
119
120
118
ドル/バレル
45
48
59
65
46
45
49
53
55
58
61
63
65
66
66
65
(注)1.網掛けは予測値。実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
2.経常利益は法人企業統計の全規模・全産業ベース(金融・保険を除く)。下段の()内の数値は、2016年7∼9月期に発生した純粋持ち株会社の個社要因による押し上げを除くベース。
3.完全失業率、新設住宅着工戸数、経常収支の四半期は季節調整値。
4.金融関連の指標について、無担保コール翌日物金利は期末値、新発10年国債利回りは月末値の期中平均値、その他は期中平均値。
(資料)内閣府「四半期別GDP速報」、経済産業省「鉱工業指数」、財務省「法人企業統計季報」、総務省「労働力調査」、「消費者物価指数」、国土交通省「建築着工統計調査報告」、
日本銀行「国際収支」、「企業物価指数」、「金融経済統計月報」、「外国為替相場」、日本相互証券㈱「主要レート推移」、日本経済新聞、Bloombergより、みずほ総合研究所作成
6
(2) 世界経済の全体観 ∼ 回復モメンタム強まるグローバル経済
⃝ 10∼12月期の実質GDP成長率は、総じて世界経済の底堅さを示唆
‧ 企業の景況感(製造業)はグローバルに改善基調を維持しており、世界指数は2014年前半の水準を回復
‧ 主要国の先行指数も総じて先行きの改善を示しており、トランプ政権の不透明感等のリスク要因が顕在化しなければ、
当面は改善基調が続きやすい。グローバル経済は、李克強指数に示される、中国の回復に大きな影響を受ける状況
【 グローバル製造業PMIと李克強指数 】
(Pt)
58
56
【 OECD景気先行指数 】
(前年比、%)
16
製造業PMI(世界)
製造業PMI(先進国)
製造業PMI(新興国)
李克強指数(右目盛)
(長期平均=100)
102
14
12
54
改善を示唆
101
拡張
10
8
100
← 景気
52
6
50
99
4
→縮小
2
48
11
2011
12
13
(資料) Markitより、みずほ総合研究所作成
14
15
米国
日本
0
先進国・新興国が
同時に改善
46
98
▲2
16
17
(年)
ユーロ圏
中国
97
2011
12
13
14
15
16
(年)
(資料) OECDより、みずほ総合研究所作成
7
3L(低成長・低インフレ・低金利)の状況は続くも、成長率や長期金利には変化の兆し
⃝
‧
‧
‧
2017・18年の世界経済は改善を見込むも、低成長・低インフレ・低金利の状況は継続
世界全体の成長率やインフレ率はリーマン・ショック以前の水準に比べて下振れした状態が続く
ただし、成長率は徐々にではあるが上昇ペースの加速を見込んでおり、米景気の上振れなどで低成長を脱する可能性も
長期金利は2016年を底に低下に歯止め。利上げ局面の米国は徐々に上昇基調へ
【 世界の成長率とインフレ率 】
(%)
7
実質成長率
【 主要先進国の長期金利 】
(%)
7
インフレ率
米国
ドイツ
6
予想
6
5
5
4
4
3
3
2
2
1
1
0
0
▲1
▲1
2003 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18
(年)
(注) インフレ率はCPI。成長率の予想はみずほ総合研究所、インフレ率の予想はIMF。
(資料) IMFより、みずほ総合研究所作成
日本
予想
1996
98
2000 02
04
06
08
10
12
14
16 18
(年)
(注) 長期金利は各国10年国債利回り。予想はみずほ総合研究所。
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
8
政策動向:金融政策の限界が意識される中、財政政策が世界経済の下支えに
⃝ 金融政策の景気押し上げ効果が限定的となる中、米国を中心に財政政策が景気の押し上げに寄与
【 各国金融・財政政策の2017・2018年経済への影響 】
国・地域
金融政策
米国
2017年の利上げは6月、12月。ただし
予想以上にインフレ圧力が高まれば
3月(又は4月)利上げ開始、年間利上
げ回数が3回となる可能性も
欧州
2017年内は量的緩和策を継続。2018
年以降に債券購入額を毎月600億ユー
ロから更に減額。政策金利は据え置き
日本
当面政策維持を予想。国債買入れは
徐々に減額。CPIが1%超となる局面
で金利目標変更が議論される可能性
中国
債券・住宅市場の過熱感や資本流出
の抑制のため市場金利を高め誘導す
る一方、景気配慮で利上げは見送り
その他
新興国
米国の利上げ観測が続く中、資金流
出圧力の強い国では追加緩和に慎重
影響度
財政政策
影響度
×
トランプ氏は大型減税を掲げており、
歳出面でも国防費やインフラ投資が
拡大
○
△
各国間で政策の方向性に差はあるが、
ユーロ圏全体では2018年にかけて中
立財政が続く見込み
ー
━
2016年秋に決定した経済対策(事業規
模28兆円)の執行が進捗。衆院解散を
見据えて追加対策の可能性も
△
━
金融緩和が困難ななか、2017年は「積
極的財政政策をより積極的かつ効率
的に」して景気を下支え
△
━
拡大余地の限られる国が多く、輸入を
刺激して資金流出に繋がる懸念もあり、
総じて慎重
━
(注)影響度については、○:押し上げ効果が大きい、△:押し上げ効果はあるが限定的、━:殆ど影響なし、×:景気を押し下げ。
(資料) みずほ総合研究所作成
9
米国:企業のアニマル・スピリットが復活する兆し
⃝ トランプ政権の経済政策への期待等から、企業の投資マインドは前向きに転化
‧ 企業マインドの改善は幅広い企業に波及。全米独立事業者協会(NFIB)の中小企業楽観指数は大きく上昇
――― 先行きの経済や自社の売上高に対する期待から、事業を拡大する好機と考えている中小企業経営者が多い様子
――― 中小企業経営者は、とりわけ経営上の負担が大きい規制や税制に関する問題解消を期待している様子
‧ 企業の6カ月先の設備投資見通しは、上向き基調が鮮明に
【 中小企業楽観指数 】
【 企業の6カ月先の設備投資見通し 】
(1986年=100)
120
(%)
30
115
25
110
20
105
15
100
10
95
5
90
0
85
(注) 6カ月先の設備投資見通しは、ニューヨーク・フィラデルフィア・リッチモンド・
カンザスシティ・ダラスの地区連銀サーベイ調査の結果を、主成分分析により
ウェイト付けし、1つの指標に合成したもの。直近は2017年1月時点。
(資料)FRBより、みずほ総合研究所作成
3カ月移動平均
2012
2000
05
(資料)NFIBより、みずほ総合研究所作成
10
15
(年)
13
14
15
16
17 (年)
10
日本:米国企業のマインド改善が日本経済にもプラスの波及効果
⃝ トランプ政権による規制緩和や大型減税への期待から、米国の企業マインドは改善。日本の輸出・生産にもプラスの波及
効果が期待される
‧ 2017年初の米国・ISM製造業指数は55を上回る水準。過去の傾向からは、日本の生産も高めの伸びとなる可能
――― 米国の企業マインド改善が、米国の投資増をもたらし、それが日本の資本財輸出を促進する効果などが期待
――― また、足元の米国の企業マインド改善は、トランプ効果の他に、中国・鉱工業セクターの持ち直しや資源国の底
入れを反映。これらの要因も、日本経済の回復を後押しする見込み
【 米国・ISM製造業指数と日本・生産指数 】
【 米国・資本財輸入と日本・資本財輸出 】
(%)
15
米ISM製
(右目盛)
10
5
0
▲5
▲10
▲15
(DI) (前年比、%)
50
65
日本・資本財輸出
(輸送機械除く)
40
米国・資本財輸入
60
30
(自動車除く、右目盛)
20
55
10
50
踊り場
増税
震災
踊り場
⇒回復
45
国内生産
(半年前比)
40
35
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (年)
(注)2017年以降の国内生産はみずほ総合研究所の予測値。2017年1∼3月期のISM製造業指数は1月の値。
(資料) 米国サプライマネジメント協会、経済産業省「鉱工業指数」より、みずほ総合研究所作成
30
20
10
0
0
▲10
踊り場
(前年比、%)
40
▲20
▲10
▲30
▲20
▲40
▲50
▲30
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
(資料)財務省「貿易統計」などより、みずほ総合研究所作成
11
ユーロ圏:足元にかけて景気回復が継続
⃝ 10∼12月期のユーロ圏GDP成長率は前期比+0.5%に小幅加速。堅調な景気回復を示す結果
‧ 景気回復を牽引したのは消費・輸出増とみられる。一方、固定投資は伸び悩んだとみられる
――― 主要国では、独・仏の成長率が高まり、西は高成長が継続。伊は減速した可能性
‧ 2017年入り後もユーロ圏の景気回復は途切れず。ユーロ圏合成PMIは1月も高めの水準を維持
――― 特に製造業のモメンタムが強く、輸出持ち直しやそれに関連した受注増が業況改善に繋がっている模様
【 ユーロ圏GDPとPMI 】
GDP成長率
【 ユーロ圏の内外需関連指標 】
(前期比、%)
5.0
合成PMI
(前期比、%)
1.0
0.8
0.6
0.4
↑
(Pt)
60
59
58
57
拡 56
張 55
54
53
景 52
気 51
50
縮 49
小 2015/1
0.2
0.0
▲0.2
↓
▲0.4
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4
2015
ユーロ圏
フランス
スペイン
16
ドイツ (年/四半期)
イタリア
ユーロ圏
フランス
スペイン
4.0
0.8
3.0
0.6
2.0
0.4
1.0
0.2
0.0
0.0
▲1.0
▲0.2
▲2.0
▲0.4
▲3.0
16/1
ドイツ
イタリア
(注) PMIは、50が景気判断の目安。ドイツの2016年10∼12月期GDP成長率は
発表済みの暦年成長率から逆算したもの。
(資料) Eurosatat、Markitより、みずほ総合研究所作成
17/1
(年/月)
(前期比、%)
1.0
▲0.6
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 (四半期)
(年)
2014
15
16
新車登録台数
輸出金額
小売数量(右目盛)
(注) 輸出金額は、国際収支統計ベースの財・サービス輸出金額で、
2016年10∼12月期は10・11月平均。
(資料)Eurostat、ECBより、みずほ総合研究所作成
12
(3)世界的な回復 ∼ ITサイクル改善や中国輸入の持ち直しが寄与
⃝ 昨年終盤から先進国、新興国ともに輸出や生産が回復傾向
‧ 輸出や生産の回復要因としては、①ITサイクルの改善や②中国の内需回復に伴う輸入の持ち直し、③資源価格の上昇
などが考えられるが、回復モメンタムの持続性がポイントに
【 グローバル輸出数量の動向 】
【 グローバル生産の動向 】
(2014年1月=100)
112
世界
(前年比、%)
5
先進国
先進国
110
世界
4
新興国
新興国
108
3
106
2
104
1
102
0
100
▲1
98
14
15
16
(資料) CPB Netherlands Bureau for Economic Policy and Analysisより、
みずほ総合研究所作成
(年)
14
15
16
(年)
(資料) CPB Netherlands Bureau for Economic Policy and Analysisより、
みずほ総合研究所作成
13
ITサイクル: 2017年中はITサイクルの改善局面が続く見込み
⃝
⃝
‧
⃝
‧
‧
世界半導体売上高は2016年後半に急増。グローバルなIT市況に改善の兆し
日本の電子部品・デバイス工業の出荷指数も、2016年後半から改善へ
足元では在庫指数も大幅に低下、出荷在庫バランスが大きく改善。今後の増産・出荷増の余地あり
今次の出荷拡大局面については、2017年中は続く見込み
在庫循環図(次頁)をみると、過去の循環サイクルは3∼4年。出荷拡大期(第4象限∼第1象限)は2∼3年程度
2016年10∼12月期は出荷が4四半期ぶりに前年比プラスとなり、調整局面を脱出。2017年中は拡大局面が続く見込み
【 世界半導体売上高 】
(10億米ドル)
90
80
【 電子部品・デバイス工業の動向 】
(2010=100)
160
出荷
在庫
前回拡大期
は2年前後
140
70
120
60
100
50
80
40
30
60
20
40
2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
(注)みずほ総合研究所による季節調整値。
(資料)Datastreamより、みずほ総合研究所作成
(資料)経済産業省「鉱工業指数」より、みずほ総合研究所作成
14
IT:過去の在庫循環図をみると、サイクルは3∼4年、出荷拡大期は2∼3年程度
【 電子部品・デバイス業の在庫循環図 】
<1999年Q1∼2002年Q2>
(出荷前年比、%)
100
80
<2002年Q3∼2005年Q3>
出荷
9四半期連続プラス
(出荷前年比、%)
▲40
0
0
▲20
▲20
40
60
▲60
▲40
0
0
▲20
▲20
20
40
60
▲60
▲40
0
0
▲20
▲20
▲40
▲60
▲60
▲60
100
出荷
6四半期連続プラス
40
(在庫前年比、%)
20
40
<2013年Q3∼2016Q4>
<2017年Q1∼>
100
新たな
サイクルへ
(出荷前年比、%)
出荷
11四半期連続プラス
80
60
40
(在庫前年比、%)
20
0
0
▲20
▲20
出荷
12四半期連続プラス
20
▲40
60
▲40
40
(在庫前年比、%)
▲40
80
▲60
80
20
20
100
60
40
(在庫前年比、%)
<2010年Q1∼2013年Q2>
(出荷前年比、%)
(出荷前年比、%)
60
20
▲60
出荷
11四半期連続プラス
80
60
40
100
<2005年Q4∼2009年Q4>
60
(在庫前年比、%)
20
20
40
60
▲60
▲40
0
0
▲20
▲20
▲40
▲40
▲60
▲60
(注)出荷の前年比がプラスからマイナスとなり、再びプラスになるまでを1つのサイクルとした。
20
40
60
・過去の循環から考えれば、
2年前後は出荷の拡大が続く期待
・ただし、過去ほど伸び率は高くない
可能性
(資料)経済産業省「鉱工業指数」より、みずほ総合研究所作成
15
中国:生産・在庫調整の進展に伴い、輸入回復が鮮明に
⃝ 中国の輸入数量は10∼12月期まで5四半期連続で前年比プラス
‧ 一次産品の増加が続くほか、2016年後半以降は機械・輸送機器が輸入拡大に寄与
――― 生産・在庫調整の進展や、住宅投資、携帯電話向けIT関連需要の拡大、省力化投資などが輸入回復に寄与
⃝ 中国経済の下振れ懸念は後退。在庫復元の動きが続き当面の輸入は底堅く推移
‧ 主要指標を合成した景気指数は2016年後半以降低下に歯止めがかかり、小幅ながら上向きの動きが持続
‧ 過去の周期から判断して、2017年は生産在庫バランスの改善を背景に在庫復元の動きが続き、輸入は増加傾向
【 中国の生産・在庫バランスと輸入数量 】
(%、%PT)
50
生産在庫バランス
輸入数量前年比
40
全体
30
化学
20
鉄鋼
10
(2010年=100)
115
110
105
100
95
非鉄金属
90
一般機械
85
電気機械
80
通信・電子機器
75
自動車
70
0
▲10
▲20
<生産在庫バランスと
輸入の相関係数>
0.0
0.5
1.0
【 中国主要指標の合成景気指数(試算) 】
▲30
07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
(注) 1.生産在庫バランス=生産前年比-在庫前年比。在庫はPPIで実質化。
2.通信・電子機器の相関係数は、データの制約から輸入数量として集積回路を用いた。
(資料) 中国国家統計局、中国海関総署より、みずほ総合研究所作成
2010
11
12
13
14
15
16
(年)
(注) 2001年以降の実質小売、名目輸入、実質固定資産投資、生産、求人倍率、
名目企業収益を日本の景気動向指数(一致CI)作成手法に従い合成。
(資料) 中国国家統計局、中国海関総署等より、みずほ総合研究所作成
16
中国: 李克強指数は、石炭生産規制の緩和や住宅ローンの加速により急上昇
⃝ 中国政府発表の2016年の実質GDP成長率は前年比+6.7%。それに対し、李克強指数は上振れ気味で推移
‧ 李克強指数は鉄道貨物輸送量、中長期貸出、電力消費量の合成指数であり、生産規制による石炭価格の高騰を受けて
同規制を緩和したことの反動、バブル的な環境下での住宅販売(ローン)の加速による影響が大
――― GDP統計では、2015年株バブルの反動によって金融業の成長率が大きく鈍化したことが押し下げ要因に
【 李克強指数と実質GDP成長率 】
(前年比、%)
16
14
12
10
8
6
4
2
0
▲2
11/1
(前年比、%)
20
15
【 李克強指数の構成データ 】
(前年比、%)
12
李克強指数(左目盛)
実質GDP成長率(右目盛)
10
8
6
12/1
13/1
14/1
4
16/1 (年/月)
15/1
鉱工業(実質付加価値生産額、以下同)
運輸・倉庫・郵便
金融
不動産
(前年比、%)
15
10
5
0
▲5
▲10
▲15
▲20
5
5
0
15
(資料)中国国家統計局より、みずほ総合研究所作成
15
16
(年)
デベロッパー向け
中長期貸出全体
15
10
14
9月下旬から
石炭生産規制を
緩和
石炭
その他
鉄道貨物輸送量
2014
(前年比、%)
住宅ローン
20
その他
10
2013
3月下旬に規定生産
日数を330日から
276日に削減
16
(年)
0
2013
14
15
16
(年)
(資料)中国人民銀行、国家鉄路局、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成
17
中国:金融緩和の制約が強まる中、景気下支えは財政政策主導
⃝ 金融緩和は、デレバレッジの推進、資本流出の抑制の必要性などから、実施が困難な状態。経済の回復力が弱いため、
基準貸出金利の引き上げは回避しているが、インターバンク金利を高めに誘導
⃝ それゆえ、景気の下支えは財政政策主導の展開に
‧ 2017年は「積極的財政政策をより積極的かつ効果的に」することを中央経済工作会議で決議。財政赤字の対GDP比率を
2016年の3%(予算ベース)から引き上げる可能性
‧ なお、米国の利上げ加速により資本流出が勢いを増し、金利の大幅な引き上げを迫られることが今後のリスクに
【 金利推移 】
(%)
4.5
4.0
3.5
【 財政赤字の対GDP比 】
基準貸出金利
SHIBOR(3カ月)
MLF金利(6カ月)
(%)
2017年3月開催
の全人代で決定
3.5
3.0
2.5
3.0
2.5
2.0
2.0
1.5
1.5
1.0
1.0
0.5
0.5
0.0
6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 (月)
2015年
2016年
2017年
(資料)CEIC Data、人民銀行より、みずほ総合研究所作成
0.0
2008
09
10
11
12
13
14
15
16
17 (年)
(注)2016年は予算ベース。
(資料)中国財政部、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成
18
資源価格:主要な資源価格は緩やかに上昇し、金融市場のマインドも改善
⃝
⃝
‧
‧
新興国の景況感が徐々に持ち直し始めた2016年後半から資源価格は緩やかに上昇
資源安がもたらしていた金融市場のマインド悪化も緩和
2015年後半から2016年前半にかけては、原油安が新興国株の押し下げ要因に
原油相場が持ち直した2016年後半は、原油安による金融市場のマインド悪化も観測されなくなっている
【 資源価格の推移 】
【 原油相場と株価の推移 】
(2013/1/1=100)
160
(2012/1/2=100)
140
ダウ平均
140
120
120
100
アルミ
100
80
銅
80
60
鉄鉱石
原油
60
40
新興国株
(MSCI)
40
10%有意の相関係数
20
20
原油相場
(WTI)
原油相場と新興国株の相関(右目盛)
0
0
2012
12
13
14
15
16
17 (年)
(注) 銅、アルミはLME3カ月物。鉄鉱石は豪州産・中国輸入価格。原油はWTI。
(資料)Thomson Reutersより、みずほ総合研究所作成
2013
13
14
15
16
(相関係数)
1.0
0.5
0.0
▲0.5
▲1.0
17 (年)
(注) 相関係数の観測期間は20日。上図では、相関係数の60日移動平均値を図示。
(資料)Thomson Reutersより、みずほ総合研究所作成
19
資源価格:原油相場はOPECの減産を背景に今後も上昇
⃝ 原油相場はOPECの減産を背景に50ドル台を回復
‧ OPECならびにロシアなどの非OPEC諸国は日量180万バレル近い減産を表明
――― 実際の減産幅も日量160万バレル程度の大規模な減産になると見込まれ、原油の需給バランスは均衡へ
⃝ 2017年の原油相場は50ドル台で底堅く推移し、2018年に60ドル台半ばまでの緩やかな上昇を予測
⃝ ただし、米国において大幅な増産が実施されれば原油相場が下振れするリスクがあり、金融市場への影響も懸念される
【 原油相場の予測 】
【 米国の原油生産 】
(需要比、%) (リグ稼働数)
6
1,800
在庫変動(右目盛)
予測(右目盛)
1,600
5
WTI
1,400
予測
4
1,200
(ドル/バレル)
120
100
80
3
1,000
40
2
800
20
1
60
(100万バレル/日)
10.0
米国の原油生産(右目盛)
米国の原油掘削
9.5
9.0
8.5
8.0
600
400
0
0
-20
2012
13
14
15
16
17
(注) 在庫変動は、4四半期移動平均。
(資料)Thomson Reuters、EIAより、みずほ総合研究所作成
18
▲1
19 (年)
7.5
200
0
14
2014
15
16
7.0
17 (年)
(資料)EIA、Baker Hughes Inc.より、みずほ総合研究所作成
20
(4)米新政権の政策と影響 ∼大統領権限を活用、就任直後から迅速に公約を実現
⃝ 就任早々からトランプ政権は、大統領令などを通じ、公約の実現に着手
‧ 大統領権限で実施できる措置が中心となるため、保護主義・厳格な移民政策等が先行
――― TPP撤退、NAFTA再交渉の方針等を、早々に表明
【 大統領就任初日(1月20日)に実行するとしてきた19の措置 】
Ⅰ.政治腐敗の根絶
Ⅱ.雇用不安の解消
Ⅲ.安全・法秩序の回復
①連邦議会議員の任期制限に向けた憲法修
正提案
①北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉、もしくは協定第
2205条に基づき脱退するという意思の表明
①オバマ大統領が発した、憲法違反の大統領令及びメ
モランダムの撤回
②自然減による職員数削減のため、軍隊、公
共の安全、及び公衆衛生を除くすべての連
邦職員の雇用凍結
②環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの撤退発表
【替わりに、二国間交渉を開始】
②20名の候補者リストに基づき、合衆国憲法を支持し、
守る、スカリア判事の後任選出手続きの開始
③規制削減(新連邦規制を1つ導入するごとに
既存規制を2つ削減)
③財務長官に対し、中国を為替操作国として認定するよう
指示
③(移民に優しい政策を取る)「聖域都市」に対する連
邦資金の停止
④政府及び議会関係者が公職を離れてから5
年間のロビー活動禁止
④商務長官及び通商代表部(USTR)に対し、米国の労働
者に不公平な影響を与えている外国の通商濫用行為を
特定し、米国法及び国際法に基づくあらゆる手段を用い
て即座にそうした行為を止めさせることを指示
④200万人以上の犯罪歴を持つ不法移民の国外退去
の開始、及び彼らを引き受けない外国政府へのビザ
停止
⑤政府関係者による外国政府のためのロビー
活動を生涯禁止
⑤50兆ドルの価値を有し、雇用を生み出す米国のエネル
ギー資源(シェール、原油、天然ガス、精炭を含む)の産
出規制を撤廃
⑤審査が安全に行われないテロ地域からの移民受け
入れの留保
⑥外国のロビイストによる米国の選挙資金集
めの完全禁止
⑥オバマ=クリントンによる邪魔を取り除き、キーストーン・
パイプラインのような、死活的なエネルギー・インフラ・プ
ロジェクトを前進
【⑥国防省とアメリカ統合参謀本部に対し、死活的なイ
ンフラ施設をサイバー攻撃及びその他のあらゆる攻
撃から守るための包括的計画を策定するよう指示】
⑦国連気候変動プログラムに対する資金拠出を撤回し、
その資金を米国の水道及び環境インフラの修復に充当
(注)2016年10月22日発表。ただし、【 】(Ⅱ.②の一部とⅢ.⑥)は、11月21日のビデオ・メッセージで言及したもの。赤は着手済み(1月31日時点)
(資料)ホワイトハウス資料等より、みずほ総合研究所作成
21
米国:3月までに政策の全容を発表、議会審議は7月末がヤマ場
⃝ 税制改革、債務上限引き上げ等を、7月末までに終える目標
‧ 両院議会演説によって、3月までには、トランプノミクスをはじめ、政策の全容が明らかになる見込み
【 今後の政治日程 】
12月
1月
2月
3月
4月
6月
7月
4/30就任100日目
1/20 大統領就任式
政権の動向
5月
8月
9月
10月
11月
12月
8/8 就任200日目
政策の全容が明らかに
2/28 両院議会演説
2月末∼3月 予算教書(暫定版) 5月 予算教書(詳細版)
1/3 新議会開会
3/16 債務上限適用再開
7月末 引き上げ(目標)
秋 引き上げ期限
3月末 オバマケア廃止修正目標
議会関連
4/28 2017年度暫定予算失効
補正予算(壁建設)
10/1 新会計年度開始
7月末 税制改革(目標)
7月末 インフラ立法(目標)
金融市場関連
米国以外の
重要イベント
イエレンFRB議長議会証言(金融政策報告)
2月14日(上院)・15日(下院)
4/15半期為替報告書
議会審議がヤマ場に
7月
10/15 半期為替報告書
7/7・8 G20ハンブルク・サミット(独)
3月 G20財務大臣・中央銀行総裁会議(独)
5月 G7シチリア・サミット(伊)
3月 蘭総選挙
4/23,5/7 仏大統領選
9月 独連邦議会選挙
(注)見込みを含む。
(資料) 各種資料より、みずほ総合研究所作成
22
世界経済への影響:米国の保護主義は世界経済の下振れリスク
⃝
‧
‧
⃝
‧
米国の保護主義政策によって、米国の輸入が10%減少すると仮定した場合、世界経済を1%強下押し
国別では、NAFTAに加盟するメキシコ、カナダへの影響が甚大
また試算からは、米国依存度の高いアジアでも、GDPの下押し圧力が2%を上回る国があるとの示唆
米国では国内生産への代替によってGDPの押し上げ効果が期待できることから、国際的な批判が高まると予想される
ただし、国内生産への代替が進まなければ、米国経済にとっても保護主義はマイナス
【 米国の輸入総額が10%減少した場合の各国GDPへの影響 】
(%)
2
1
0
▲1
▲2
▲3
▲4
▲5
▲6
GDPへの影響
米国で国内生産への代替が進まない場合
世界平均
ー
ー
ー
先進国
アジア
中東欧
中東・アフリカ
ー
米州
ー
ー
ー
ー
イ ク カサ南アサナ エ イ
ラ ウ タ ウ アル ブ イ ジ ラ
ク ェ ジ フ ジサ ジ プ ン
ルア リ ェ ハ ェ ト
ト ラカリラリ
ビ ア ア
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ー
ハチ ロ ウ ルポ ト
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ー
マ台ベ フ タ 韓中 イ シ イ カ パ香
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ー
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ル ス ツ ス ギ リ バ ン ン マン ェ ト ウ イ シ
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ド
ド
ー
米 メ カ コ チブア
国キナ ロ リ ラ ル
シ ダ ン ジゼ
コ ビ ルン
ア
チ
ン
(注)米国の輸入が10%減少し、同量が米国内の生産に置き換えられた場合の試算。対米以外の世界貿易、各国の消費と投資、米国の輸出、消費、投資への影響を含む。
世界平均は、図表で示した以外の国も含む。なお、サブサハラは、南アフリカ、ナイジェリアを除くベース。
(資料)IMF、世界銀行より、みずほ総合研究所作成
23
Ⅱ.海外経済
∼米国、ユーロ圏、アジアとも拡大傾向∼
24
(1)米国経済 ∼トランプ政権への期待の高まりと、大型の財政政策を背景に拡大続く
○ 2016年10∼12月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.9%と前期から鈍化。前期に大きく
伸びた輸出の反動減が減速の主因。国内最終需要は同+2.5%と前期から加速
○ 本見通しでは、足元の堅調さを踏まえて2017年の成長率見通しを小幅上方修正。トランプ政
権の経済政策の効果については、財政政策に関する昨年12月見通しの想定に部分的な修
正を加えた。具体的には、法人税改革について、最高税率の引き下げを35%→15%ではな
く、35%→20%とし、国境調整相当の増税分を新たに加味(全体では減税維持)
○ 法人税改革が最終的にトランプ案と共和党案のいずれに近いものになるのか、その導入時
期を含めて、今後の議会動向を見守る必要。とはいえ、いわゆる「国境税」に対するトランプ
大統領の発言等が続いており、共和党案に沿った改革を想定
○ 本見通しについては、上振れリスクと下振れリスクの両方がある。上振れリスクとしては、規
制緩和に対する企業経営者の期待の高まりから、想定以上に民間設備投資が出てくること
が挙げられる。下振れリスクとしては、インフラ投資の規模が想定以下だったり、ドル高の影
響で輸出が悪化したりすることなど
○ 金融政策には利上げ加速のリスクがあり、バランスシート政策見直しにも注意が必要
25
米国:足元の堅調さを踏まえ、2017年を0.1%Pt上方修正、2018年の成長率は+2.3%
⃝ 2017年の成長率を前年比+2.3%(12月予測+2.2%)と0.1%Pt上方修正、2018年は+2.3%
‧ 2017年の上方修正は足元の良好な経済を踏まえたもの
‧ 「完全雇用に近い状況ながら、減税とインフラ投資がさらに経済活動を押し上げる」というシナリオは変わらず
【 短期見通し総括表 】
2016 2017 2018
暦年
実質GDP
2016
1∼3
4∼6
2017
7∼9 10∼12 1∼3
4∼6
2018
7∼9 10∼12 1∼3
4∼6
7∼9 10∼12
前期比年率、%
1.6
2.3
2.3
0.8
1.4
3.5
1.9
2.4
2.2
2.4
2.4
2.1
2.3
2.5
2.0
個人消費
前期比年率、%
2.7
2.5
2.1
1.6
4.3
3.0
2.5
2.7
2.0
2.0
2.0
2.2
2.1
2.2
2.0
住宅投資
前期比年率、%
4.9
2.9
4.2
7.8 ▲ 7.7 ▲ 4.1
10.2
2.3
3.5
4.9
4.2
3.8
4.0
5.1
4.6
設備投資
前期比年率、% ▲ 0.4
2.8
3.8 ▲ 3.4
在庫投資
前期比年率寄与度、%Pt ▲ 0.0 ▲ 0.0
政府支出
純輸出
前期比年率、%
0.9
前期比年率寄与度、%Pt ▲ 0.2
0.5
1.0
1.4
2.4
4.3
2.9
2.8
2.8
3.8
4.5
4.9
5.4
0.0 ▲ 0.4 ▲ 1.2
0.5
1.0 ▲ 0.2
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
1.1
1.6 ▲ 1.7
0.8
1.2
0.4
0.4
0.4
0.4
1.7
1.5
1.5
1.5
0.0
0.2
0.9
▲ 1.7 ▲ 0.2
0.2
0.2
0.2 ▲ 0.3 ▲ 0.3 ▲ 0.3 ▲ 0.5
0.1 ▲ 0.3
輸出
前期比年率、%
0.4
2.1
2.4 ▲ 0.7
1.8
10.0
▲ 4.3
2.5
2.7
2.6
2.7
2.2
2.3
2.7
2.0
輸入
前期比年率、%
1.1
2.7
2.7 ▲ 0.6
0.2
2.2
8.3
2.2
1.1
0.6
0.6
3.8
3.8
3.9
4.5
%
4.9
4.6
4.7
4.9
4.9
4.9
4.7
4.8
4.7
4.6
4.5
4.6
4.7
4.7
4.7
非農業部門雇用者数 1か月当たり、千人
180
220
220
196
146
212
165
190
220
230
240
220
220
220
220
前年比、%
1.1
2.1
2.2
0.9
1.0
1.0
1.5
2.0
2.0
2.2
2.2
2.2
2.2
2.2
2.3
前年比、%
1.7
1.8
1.9
1.6
1.6
1.7
1.7
1.8
1.8
1.8
1.9
1.9
1.9
1.9
1.9
失業率
個人消費支出デフレーター
食品・エネルギーを除くコア
(注)網掛けは予測値。
(資料)米国商務省、米国労働省より、みずほ総合研究所作成
26
米国:議会共和党案に沿う形での法人税改革を想定
⃝ 財政政策では、法人税率の引き下げ(35%→20%へ)、インフラ投資(10年間で5,500億ドル)などを想定
‧ 財源として国境調整相当を加味
‧ 2015年GDP統計を用いた場合、国境調整によって法人税課税ベースは1.5倍に拡大
――― キャッシュフロー課税に基づく議会共和党案では販管費や支払利子も課税ベースに。実際の税負担はさらに拡大
‧ しかし、最高税率の35%から20%への引き下げ効果が大きく、企業全体でみれば「法人税制改革=減税」
‧ 本見通しでは国境調整相当の増税を加味したが、実際に国境調整が導入されれば、経済活動を大きく押し下げるおそれ
【 財政政策の想定(赤字が修正箇所) 】
個人所得税減税
国防費増額
(資料)みずほ総合研究所作成
1.5倍
限界法人税率は10%Pt低下
(12月見通しの前提は▲20%Pt)。
実施時期は2017年7月。
インフラ投資
税引前
企業利益
従来の
課税ベース
10年で5,500億ドル(政権移行ウェブサイ
トの記述)。各四半期に均等割。
開始時期は2017年10∼12月期。
歳出自動削減(セクエスター)の撤回を
通じた国防省要求水準への増額。
開始時期は2017年10∼12月期。
貿易赤字
法人税減税
一般的世帯の所得税率が2%Pt低下。
実施時期は2017年7月。
【 法人税改革(税率引き下げと国境調整相当)の影響 】
国境調整時の
課税ベース
議会共和党案では
販管費や支払利子も
課税ベースに
議会共和党案
35%→20%
国境調整時の
税額
従来の課税ベース対比26%
0.0
1.0
2.0
3.0 (兆ドル)
(注)国内法人企業の2015年実績をもとに計算。
(資料)みずほ総合研究所作成
27
米国:米金融政策はバランスシート政策の変更が視野に。政治的介入は不安材料
2017年の利上げは6月、12月を予想。景気が予想以上に過熱すれば利上げは速まるが、政治的介入という逆風も
フィリップス曲線のフラット化やドル高等により、コア・インフレ率は緩やかな上昇に留まり、利上げペースはゆっくり
しかし、FOMCは失業率の低下、賃金上昇率の加速、インフレ期待の上昇に対して敏感、利上げ観測を強める要因に
金利政策に加えて、バランスシート政策の変更に関する議論が進む可能性も(堅調な米国経済、金融市場の安定が鍵)
――― なお、イエレン議長の主張に従えば、バランスシート縮小を積極化するほど、利上げペースは緩やかに
‧ 貿易赤字を問題視する政権の利上げけん制、議会による金融政策への監査導入等は、市場を不安定化する要因に
⃝
‧
‧
‧
【 FRBに関する政治問題 】
【 FRBのバランスシート 】
(兆ドル)
エージェンシーMBS(1.7)
年内は縮小せず
エージェンシー債(0.0)
4.5
金融規制
・ドッド=フランク法の見直し・撤廃
金融政策
・監視委員会の設置
・金融政策へのルール導入
・貿易赤字を問題視するトランプ大統領による
利上げけん制の可能性
・中国等に対する為替操作国認定の動きと金
融政策への波及
米国債:10年以上(0.6)
4.0
:5-10年未満(0.6)
3.5
:1-5年未満(1.1)
3.0
:1年未満(0.2)
2.5
2.0
1.5
1.0
人事
0.5
・FRB理事(3名)の指名
・イエレン議長の再任問題(2018年2月)
0.0
2007
08
09
10
11
12
(注)凡例の括弧付き数字は2017年1月末の実績。
(資料)FRBより、みずほ総合研究所作成
13
14
15
16
17
(年)
(注)監視委員会設置法案として、Centennial Monetary Commission Act of
2015, S.1786がある。
(資料)みずほ総合研究所作成
28
(2)ユーロ圏経済 ∼2018年末にかけて1%台半ばの成長が続く
○ 2017年、18年のユーロ圏実質GDP成長率は、各+1.5%、+1.6%に。徐々に不確実性が和
らいで投資を中心に内需が加速する結果、18年の成長率は小幅上昇
○ 2017年の成長率は16年(+1.7%)から低下。物価上昇による実質所得の下振れ、不確実性の
残存による投資マインドの委縮などから、景気のモメンタムは鈍化
○ 一方、18年の成長率は上昇。主要国の選挙を終えて徐々に不確実性は和らぎ、投資を中心
に内需の増勢が強まる。もっとも、内需増が輸入増に繋がる結果、外需寄与度が縮小するた
め、成長率の上昇は小幅に
○ 2017年、18年のユーロ圏インフレ率は、各+1.6%、+1.4%。油価上昇を受けて17年春先に
かけてインフレ率は高水準を維持し、その後も1%台半ばで推移。コア・インフレ率は緩慢な
上昇にとどまる
○ ECBは、2017年内は現在の緩和政策の枠組みを維持するが、物価上昇が続く中、18年
入り後は資産購入額の減額を進める
29
ユーロ圏:2017年見通し上方修正、18年の成長率は上昇に
⃝ ユーロ圏成長率は2017年が+1.5%(前回見通し対比+0.2%Pt上方修正)、2018年が+1.6%
‧ 2017年の上方修正は、2016年の上振れを反映したもの。物価上昇や不確実性などから景気減速との全体観は変わらず
――― 2016年7∼9月期の上方改定、同年10∼12月期の上振れにより、2017年の成長率は+0.2%Pt上振れ
‧ 2018年の成長率は、前年からやや加速
――― 不確実性が低下して投資が加速、内需のモメンタムは強まるだろう。もっとも、内需増に伴う輸入増から
外需寄与度のプラス幅は縮小すると考えられ、成長率は前年から小幅な加速にとどまる
【 短期見通し総括表 】
2015
2016
2017
2016
2018
暦年
1∼3
4∼6
2017
7∼9 10∼12
1∼3
4∼6
2018
7∼9 10∼12
1∼3
4∼6
7∼9 10∼12
前期比、%
2.0
1.7
1.5
1.6
0.5
0.3
0.4
0.5
0.4
0.3
0.3
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
前期比、%
1.8
1.9
1.3
1.6
0.4
0.3
0.2
0.5
0.3
0.3
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
前期比、%
1.8
1.8
1.6
1.3
0.7
0.3
0.3
0.6
0.5
0.3
0.3
0.3
0.4
0.4
0.4
0.4
総固定資本形成 前期比、%
3.0
2.4
1.6
2.5
0.4
1.1 ▲ 0.5
0.3
0.5
0.5
0.6
0.6
0.6
0.6
0.7
0.7
政府消費
1.4
1.9
1.0
0.7
0.6
0.4
0.4
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
▲ 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.1
0.2
▲ 0.2 ▲ 0.2
0.0
0.0
▲ 0.1 ▲ 0.1
0.0
0.0
0.0
0.1
0.0
0.0
実質GDP
内需
個人消費
前期比、%
在庫投資 前期比寄与度、%Pt
外需
前期比寄与度、%Pt
0.2 ▲ 0.1
0.3
0.0
0.1
0.1
0.2
0.0
0.1
0.1 ▲ 0.0
0.0
0.0 ▲ 0.0
0.0
0.0
1.1
0.1
1.1
1.4
1.3
1.2
1.2
1.3
1.3
1.4
1.4
1.1 ▲ 0.4
1.1
1.3
1.3
1.4
1.4
1.4
1.4
1.5
1.5
輸出
前期比、%
6.3
2.4
4.5
5.2
0.1
輸入
前期比、%
6.2
2.9
4.3
5.7
▲ 0.1
消費者物価指数
前年比、%
0.0
0.2
1.6
1.4
0.1 ▲ 0.1
0.3
0.7
1.8
1.3
1.6
1.6
1.5
1.5
1.5
1.4
食品・エネルギーを除くコア前年比、%
0.8
0.9
1.0
1.3
1.0
0.8
0.8
0.9
0.9
1.1
1.2
1.2
1.3
1.3
1.5
0.8
(注) 網掛けは予測値。
(資料) Eurostatより、みずほ総合研究所作成
30
ユーロ圏:景気回復は続くが2017年央にかけて減速へ
⃝ 輸出・雇用見通しの改善が続いており景気回復は途切れないとみられる
‧ 消費が景気回復を主導。もっともインフレ率上昇が実質所得を下押しし、徐々に消費は減速する見込み
‧ 不確実性の残存を背景に固定投資は力強さを欠く見込み。投資加速は2017年後半以降に
――― 製造業では2017年の投資が低調な計画。ただし、投資の先行指標の一部では明るさもみられる
‧ 海外経済の持ち直しを背景に輸出は増勢を維持する見通し
――― 今後は為替面からの押し上げ圧力が和らぐとみられ、輸出回復ペースの急加速は見込まず
【 ユーロ圏景気の先行指標 】
輸出・雇用見通し
(「増加」-「減少」、DI%pt)
20
15
輸出見通し
雇用見通し
【 為替変動がユーロ圏輸出に及ぼす影響 】
製造業設備投資計画
(前年比、%)
8
10
5
0
▲5
▲10
2014
2016
13
14
15
16 17
(年/四半期)
(資料) 欧州委員会より、みずほ総合研究所作成
(ユーロ圏実質輸出(前期比)に対する寄与度、%pt)
1.2
1.0
7
0.8
6
0.6
5
0.4
4
0.2
3
0.0
2
▲0.2
1
▲0.4
0
▲0.6
前年秋 当年春 当年秋
2012
2015
2017
実績
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4
2015
16
17
計画
18
(年/四半期)
(資料) Eurostat、ECBより、みずほ総合研究所作成
31
ユーロ圏:エネルギー物価を中心にインフレ率は上振れ
⃝ 春先にかけてインフレ率は高水準にとどまる公算大
‧ 1月のユーロ圏インフレ率は、エネルギー物価を中心に前年比+1.8%に急上昇。食品物価も寒波の影響から上振れ
――― 油価変動の押し上げ圧力は2017年1∼3月期がピークとみられる。目先のインフレ率は高止まる公算大
‧ 1月のコア・インフレ率は前年比+0.9%となり、一時的要因で上振れた12月と同水準
――― 財物価上昇率が高まる。もっとも単月にしては上昇率が高く、持続性を見極める必要あり
――― 企業の値上げ見通しDIは緩やかな改善にとどまっており、当面のコア・インフレ率も緩慢な上昇に
【 ユーロ圏物価関連指標 】
【 油価変動がユーロ圏インフレ率に及ぼす影響 】
ユーロ圏インフレ率
ユーロ圏企業の値上げ見通し
(前年比、%)
(前年比、%) (DI、%pt)
4.0
2.0
20
1.6
1.2
0.8
値
上
▲1.0 げ
0.0
▲2.0
↓
0.0
1.0
0.4
10
0.2
0.0
5
▲0.2
0
▲0.4
▲3.0
値 ▲5
2016/1
16/7
17/1
下 2011/1
(年/月)
ユーロ圏インフレ率
げ
コアインフレ率
エネルギー・食品等(右目盛)
(注) コアインフレ率は、エネルギー・食品等を除く総合。
(資料) Eurostatより、みずほ総合研究所作成
0.6
15
2.0
↑
0.4
3.0
(前年比上昇率への寄与度、%pt)
0.8
コア・インフレ率への影響
▲0.4
エネルギー物価への影響
▲0.6
13/1
15/1
17/1
(年/月)
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4
2016
17
18
(年/四半期)
(注) 油価と為替変動がユーロ圏インフレ率に及ぼす影響を、
エネルギーとコアに分けて試算したもの。
(資料) Eurostat、ECBより、みずほ総合研究所作成
32
ユーロ圏:ECBは2017年末までは金融政策の枠組みを維持する公算大
⃝ ECBは、12月の政策理事会で2017年12月まで9カ月間の緩和期間延長を発表。4月以降の資産購入額については、現状
の毎月800億ユーロから600億ユーロに減額
⃝ 2017年内は緩和的な政策の枠組みを維持する公算大。緩慢な物価上昇やユーロ圏での政治的な不透明性が背景に
‧ インフレ率は低位推移が継続。2020年までを展望して、コアインフレ率はようやく2%に近づく見込み
‧ 2017年内は、欧州主要国で選挙が予定されており、不確実性残存により大幅な政策変更はやりにくい
⃝ 他方、毎月600億ユーロの資産購入は維持困難(量の制約を抱えたまま)で、量的な限界が近づきつつある状況
‧ ドイツにおける公債購入は、2018年10月ごろ限界に達するとの試算結果に
【 ユーロ圏物価見通し(ECB、みずほ総研) 】
【 ドイツの購入可能公債の試算 】
(10億ユーロ)
ドイツの公債購入残高
600
2017年1月時点の購入可能公債金額
(%)
1.8
1.6
2018年10月には
公債残高上限に
500
1.4
1.2
400
1.0
300
0.8
200
消費者物価指数(2016年12月予測)
0.6
コア消費者物価指数(同)
0.4
現在のペースで公債購入を
続けた場合の残高推移
100
みずほ総研のコア消費者物価指数見通し
0.2
0
2015
0.0
2016
17
(資料) ECBより、みずほ総合研究所作成
18
19
20
(年)
16
17
18
(年)
(注)対象公債は、ドイツ国債、州債、政府機関債のうち、残存期間が1∼30年の債券。
2017年1月4日時点での価格を基に購入可能金額を算出。
(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成
33
ユーロ圏:2017年は選挙の年、注目はフランス大統領選
⃝ 2017年は、欧州主要国(蘭、仏、独)で総選挙、大統領選挙が実施される予定
‧ いずれの国でもEU懐疑的な政党の勢いが増しており、欧州政治不安への懸念が燻る
――― 議会任期は2018年となるイタリアでも、2017年内に総選挙が実施される公算大
⃝ 最も波乱含みの選挙は、フランスの大統領選挙に。国民戦線ルペン党首、共和党フィヨン元首相、無所属マクロン前経済
相の三つ巴の状況で、今後も情勢は流動的
‧ イタリアでは下院選挙の決選投票制が違憲判断。反政府政党「五つ星運動」が下院で過半議席獲得の可能性が後退
【 欧州の選挙スケジュール 】
年
月
内 容
ポイント
英国はEUに離脱通告を
実施(3月まで、予定)
現在議会で「EU離脱通告法案」を審議中。最速では3月9日に通告実施との報道も。通告を行えばEUとの離
脱協議が開始されるが、協議は難航が予想される
オランダ下院選挙
(15日)
EU懐疑政党、急進右派のオランダ自由党が第一党となる公算大。単独過半数の獲得は困難で、連立協議
は難航が予想される。他党は自由党との連立を否定しているが、方針転換の可能性を排除できず
4月
フランス大統領選挙:
初回投票(23日)
EU懐疑政党、フランス国民戦線のルペン党首が決選投票に進む公算大。無所属で立候補しているマクロン
前経済相の支持率が上昇中。共和党フィヨン元首相の妻の給与不正受領疑惑の行方も注目
5月
フランス大統領選挙:
決選投票(7日)
国民戦線は決選投票では勝てない公算大
6月
フランス国民議会選挙
(11日、18日)
大統領と議会の「ねじれ」が生じるかが焦点の一つに
9月
ドイツ議会選挙(24日)
与党CDU・CSUが議席数を落とす可能性あり。社会民主党のシュルツ候補がどこまで善戦するかが注目
2018年
5月まで
イタリア総選挙
2017年内に解散総選挙の可能性が高まる。反政府・EU懐疑政党の五つ星運動が得票を伸ばす可能性があ
るが、単独では過半議席は獲得できない見込み
2019年
5月頃
欧州議会選挙
この時までに英国のEU離脱が確定していなければ、議席配分が難しい
2020年
5月
英国下院選挙
英政府はこれまでの交渉結果の信を国民に問うことに
2017年
3月
(資料) 各種報道等より、みずほ総合研究所作成
34
(3)アジア経済 ∼中国の生産在庫バランス改善、中国の輸入回復でアジアも回復
○ 2016年10∼12月期の中国の実質GDP成長率は、前年比+6.8%と前期(同+6.7%)から小幅
上昇。生産在庫調整の進展に伴う生産在庫バランス改善や住宅投資・国内携帯電話向けIT
需要の拡大などを背景に輸入回復が鮮明となった
○ 今後について、住宅購入抑制策の影響から住宅投資が減速するほか、生産能力過剰業種
の調整継続もマイナス要因。一方で、インフラ投資など財政による下支えや生産在庫バラン
スの改善がプラス要因となり、中国経済は安定的に推移する見通し
○ 2016年10∼12月期の中国を除くアジア経済は、一時的要因による下振れを除けば、IT関連
や資源輸出の回復により概ね持ち直しの動き
○ 先行きは、米国向けを中心に輸出回復が続くほか、投資促進策などが奏功しフィリピンやベト
ナムなどASEAN各国では内需も底堅く推移し、2018年の中国を含むアジア全体の成長率は
小幅に加速。ただし、米国の保護主義的な動きが強まれば回復に水を差す恐れ
35
アジア:2018年にかけて輸出が持ち直し、アジア経済はやや加速
⃝ アジア経済は2018年にかけて米国向けを中心に輸出が持ち直し、小幅に加速
‧ 中国は、過剰生産能力の調整持続に加えて、住宅購入抑制策の影響が2017年以降の投資押し下げにつながり、成長率
は緩やかな減速を続ける見込み
‧ NIEsは、2018年にかけて米国向け輸出を中心に持ち直しの動きが強まり、緩やかに加速
‧ ASEAN5も輸出回復に加えて、原油価格の持ち直しによる歳入増をてこに財政支出が拡大し、2018年には+5.0%に回復
‧ インドは、2016年の高額紙幣廃止の反動により2017年に加速した後、2018年は横ばい推移と予測
【 アジア経済見通し総括表 】
2013年
( 実績)
アジ ア
2014年
( 実績)
2015年
( 実績)
2016年
( 予測)
2017年
( 予測)
(単位:%)
2018年
( 予測)
(単位:%)
2016年
2017年
( 前回: 1 2 月予測)
6.5
6.4
6.1
6.0
6.0
6.1
6.0
6.0
中国
7.8
7.3
6.9
6.7
6.5
6.4
6.7
6.5
NIEs
2.9
3.5
2.0
2.1
2.2
2.5
2.0
2.2
韓 国
2.9
3.3
2.6
2.7
2.4
2.8
2.6
2.4
台 湾
2.2
4.0
0.7
1.4
2.3
2.6
1.3
2.1
香 港
3.1
2.7
2.4
1.5
1.6
1.6
1.5
1.5
シンガポール
4.7
3.3
2.0
1.8
1.6
2.3
1.3
1.7
ASEAN5
5.0
4.6
4.8
4.9
4.9
5.0
4.8
4.7
インドネシア
5.6
5.0
4.9
5.0
5.1
5.2
5.0
4.9
タ イ
2.7
0.9
2.9
3.1
3.0
3.0
3.1
2.9
マレーシア
4.7
6.0
5.0
4.1
4.1
4.6
4.1
4.1
フィリピン
7.1
6.2
5.9
6.8
6.4
6.3
6.6
5.7
ベトナム
5.4
6.0
6.7
6.2
6.3
6.4
6.1
6.2
6.3
7.0
7.2
7.0
7.5
7.5
7.0
7.6
オーストラリ ア
2.1
2.8
2.4
2.4
2.2
2.7
2.4
2.5
( 参考) 中国・ インドを除く ア ジア
4.2
4.1
3.7
3.8
3.8
4.1
3.7
3.7
( 参考) 中国を除く ア ジア
5.1
5.4
5.2
5.2
5.5
5.7
5.2
5.5
インド
(注) 実質GDP成長率(前年比)。平均値はIMFによる2014年GDPシェア(購買力平価ベース)により計算。
(資料)各国統計より、みずほ総合研究所作成
36
アジア:足元の景気は持ち直し。当面輸出回復が続く見通し
⃝ 2016年10∼12月期の成長率は特殊要因による減速を除けば、概ね持ち直し
‧ 減速した国をみると、台湾は内外需堅調に伴う輸入増が下押し要因となっており、景気の実態は良好。インドネシアは政
府消費が下押しとなったが民需は堅調。一方、韓国は消費が鈍化したほか、住宅ローン規制等により建設投資が減少
⃝ アジアの輸出受注は上昇傾向が持続。台湾はやや鈍化するも高水準を維持しており、先行きも輸出回復が続く見通し
‧ 中国以外の国では、減速が見込まれる中国向け輸出は鈍化が見込まれるものの、米国経済の回復やIT関連需要の底堅
さを背景に輸出は拡大
【 実質GDP成長率 】
(前期比年率、%)
2016
2015
7∼9
【 アジア各国の輸出受注 】
10∼12
1∼3
4∼6
7∼9
(2013/1=100)
130
台湾
シンガポール
中国
10∼12
韓国
5.0
2.7
2.1
3.2
2.5
1.6
台湾
▲ 0.0
0.1
4.9
0.2
3.9
1.9
香港
1.9
0.8
▲ 2.1
6.3
2.5
N.A.
シンガポール
2.3
6.2
0.2
0.4
▲ 1.9
9.1
タイ
3.7
3.4
3.9
3.0
2.2
N.A.
マレーシア
3.5
5.0
4.2
2.7
6.1
N.A.
フィリピン
5.8
8.1
5.2
8.3
6.1
7.1
120
タイ
韓国
110
100
90
(前年比、%)
中国
6.9
6.8
6.7
6.7
6.7
6.8
インドネシア
4.8
5.2
4.9
5.2
5.0
4.9
ベトナム
6.9
7.0
5.5
5.8
6.6
6.7
インド
7.6
7.2
7.9
7.1
7.3
N.A.
(資料)各国統計、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成
80
70
2013
14
15
16
17 (年)
(注)台湾は受注額指数、他はPMIなどアンケート調査によるマインド指数。
(資料)各国統計、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成
37
新興国:米ドル高で新興国通貨が下落すると、対外債務返済にストレス
⃝
‧
‧
⃝
‧
米大統領選以降、米金利上昇を受けて、新興国では資金が流出して通貨が下落
足元で新興国通貨安は一服しているものの、大統領選以降の累積ではトルコ、メキシコ、マレーシアの通貨安が顕著
今後、米国の積極財政が具体化する中で、米金利上昇と新興国通貨安が再燃する恐れ
通貨安が進行すると、対外債務の返済にストレス
経常収支が赤字で、外貨準備も手薄な国の外貨繰りには要警戒
――― リラが急落しているトルコは、経常赤字かつ外貨準備が手薄なため、特に外貨繰りをモニタリングする必要
【 対米ドルレート騰落率(米大統領選以降) 】
5
↑
(%)
10
【 経常収支、外貨準備/短期対外債務 】
(経常収支/GDP、%)
20
上
昇
▲5
10
下
落
タイ
↓
▲ 10
台湾
15
0
ハンガリー 韓国
5
▲ 15
▲ 20
ー
ー
ー
ト メ マハ フ 韓南 イ チ イ ポシ中ベ タ チ香台ブ コ ペ ロ
ン 国 ト イ リ 港湾 ラ ロルシ
ルキレ ン ィ 国ア ン ェ ン
ガ リ
ア
ジン
ナ
フ ド コ ド ラガ
コ シ
ンポ
ルビ
ム
リ ネ
コ シ リ ピ
ド
ア
ア
カ シ
ン
ル
ア
ー
ー
(注) 対米ドルレートの2016年11月8日(米大統領選投票日)から2017年1月31日の変化率。
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
経
常
赤
字
0
マレーシア チェコ
ポーランド
トルコ
▲5
中国
チリ インド
南アフリカ
メキシコ
インドネシア
0
1
2
外貨準備が手薄
3
フィリピン
ロシア
ブラジル
4
5
6
7
8
(外貨準備/短期対外債務、倍)
(注)経常収支(対GDP比)は2016年の見込み値。短期対外債務は主に2016Q2∼Q3の実
績、外貨準備は入手可能な直近値を使用。
(資料) IMF、世界銀行、Bloombergより、みずほ総合研究所作成
38
新興国:資本流出で金利が上昇すると、国内債務負担が増大
米大統領選以降の米金利上昇、資本流出を受け、新興国の市場金利も上昇
メキシコ(米保護主義懸念)、香港(米ドルペッグで米金利と連動)、ポーランドとトルコ(政治不安)など、個別事情も背景
新興国では、これまでの高成長の背景で国内債務が積み上がっており、金利上昇に脆弱な状況
既に、香港、ブラジル、トルコ、中国のデット・サービス・レシオ(元本と利払い負担の名目GDP比、DSR)が高く、注意が
必要な状況
‧ さらに金利が上昇すると、特に債務の大きい香港、中国、マレーシア、タイ、韓国などでDSRが高まりやすい構造
⃝
‧
⃝
‧
【 市場金利の変化(米大統領選以降) 】
(bp)
140
120
100
80
60
40
20
0
▲ 20
▲ 40
▲ 60
【 デット・サービス・レシオの現状と金利上昇の影響試算 】
(%)
16
14
12
10
8
6
4
2
0
▲2
金利が250bp上昇の場合
DSR(2016年6月)
6%(金融危機の可能性)
4%(警戒ライン)
ー
ト
ル
コ
中
国
ロ
シ
ア
イ
ン
ド
マ
レ
メ
キ
シ
コ
タ
イ
ー
ー
イ
ン
ド
ネ
シ
ア
南
ア
フ
リ
カ
韓
国
イ ペ南ベチチ ロ イ ブ コ
シ
ンルア ト リ ェ シ ン ラ ロ
ア
コ ア ド ジ ン
フ ナ
ド
ルビ
リ ム
ネ
ア (注)1. DSRは、BISの公表する長期平均からの乖離幅で、家計と非金融企業に関するもの。
カ
シ
2. 試算は、他の条件は一定として、金利が250bp上昇した場合を想定。試算結果については
ア
ー
ー
メ 香ポ ト 中 タ マ台韓シハ フ
ル国イ レ湾国ン ン ィ
キ港
ラ コ
ガガ リ
シ
シ
ン
ポ リ ピ
コ
ア
ド
ン
ル
ブ
ラ
ジ
ル
ー
香
港
(注) 10年国債利回りの2016年11月8日(米大統領選投票日)から2017年1月31日の変化幅。
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
幅をもってみるべきである。
3. 金利の上昇幅の想定、および4%(警戒ライン)と6%(金融危機の可能性)については、
BISの基準に従った。
(資料) BISより、みずほ総合研究所作成
39
中国:金利上昇に対する脆弱性が高まる中、新たな金融リスクがくすぶる
⃝ 企業債務残高が対GDP比約170%と拡大を続ける中、投資収益率が低下し、金利上昇に対する脆弱性が高まっている
⃝ こうした環境下、債券バブル懸念・住宅市況過熱・資本流出拡大・インフレ加速などへの対応のため、中国当局は足元で
金利を高めに誘導。理財商品などのシャドーバンキングを通じた資金調達拡大を抑制するため金融規制も強化
⃝ 米国利上げペース加速やインフレ加速による金利急騰、金融規制の強化に対する市場の過剰反応などが起きた場合、
債券市場、理財商品、ひいては金融機関や実体経済に大きな影響が及ぶのではないかと懸念されるように
‧ 中国政府も2016年末の中央経済工作会議で、「2017年は金融リスクの防止をより重要視する」という方針を示す
【 金融リスクの概観図 】
【 上海銀行間取引金利(SHIBOR) 】
(%)
5.5
債券バブル懸念
5.0
住宅市況過熱
4.5
3カ月物
4.0
資本流出拡大
3.5
銀行間
金利
高め
誘導
債券
価格
下落
地方政府
3.0
1週間物
2.5
インフレ加速
翌日物
2.0
1.5
1.0
15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 16/4 16/7 16/10 17/1 (年/月)
(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成
シャドー
バンキングを
通じた資金調達
拡大
金融
規制
強化
企業
理財
商品
組成
減少
家計
金融機関
(資料)みずほ総合研究所作成
40
中国:債券価格急落などすでに変調の兆しも。理財商品への影響にも注視が必要
すでに債券市場には変調の兆しも。インフレ加速などを受けて金融引き締め観測が高まり、2016年末に債券価格が急落
加えて、拡大していた高レバレッジの債券レポ取引を解消する動きが広がり、債券価格の下落幅が拡大
米国利上げに対する過剰反応などをきっかけに債券価格が大きく下落すれば、金融機関がさらなる損失を被る恐れ
理財商品の約4割は債券で運用されているため、債券価格下落は理財商品にも影響
他方で、理財商品に対する規制強化が債券価格を押し下げる可能性があることにも注視が必要
⃝
‧
‧
⃝
⃝
【 債券金利 】
[ 国債利回り]
[ 銀行間債券レポレート ]
(%)
6
翌日物
1週間物
5
【 理財商品の運用資産内訳(2016年6月末時点) 】
(%)
6
5
4
4
3
3
2
2
1
1
その他
1年物
3年物
10年物
9.7%
金融市場商品
債券
15.6%
40.4%
うち
約7% :国債、地方債、
政策金融債
などの
低リスク債券
約29%:社債や短期CP
など
非標準化債権資産
16.5%
現金・銀行預金
17.7%
0
0
15/1
15/7
16/1
16/7
17/1
(年/月)
(資料)Windより、みずほ総合研究所作成
15/1
15/7
16/1
16/7
17/1 (注)1. 非標準化債権資産とは、証券取引所や銀行間市場で取引されないもので、各種受益権、
貸出資産、信託貸付など。
(年/月)
2. 金融市場商品とは、譲渡性預金、銀行引受手形など。
(資料)銀行業理財登記托管中心「中国銀行業理財市場報告(2016年上半年)」より、みずほ総合
研究所作成
41
Ⅲ.日本経済
∼2017年度の景気は回復∼
42
日本経済 ∼ 海外経済の持ち直しなどを受け、景気は回復
○ 2016年10∼12月期(1次速報)は、4四半期連続のプラス成長。個人消費の回復の鈍さは続くも
のの、海外経済の持ち直しを受けて、輸出・設備投資を中心に景気は回復
○ 2017年度の景気は回復。海外経済の回復や国内の在庫循環の改善、五輪関連や生産性向上
に関わる設備投資の増加、経済対策に伴う公共投資の執行が押し上げ要因に。個人消費は、
依然力強さに欠けるものの、耐久財の調整圧力が緩和し、持ち直しを維持。2017年度成長率
は+1.4%と、昨年度(+1.2%)から上昇
○ 2018年度は、循環的に減速も、外需から内需へのバトンタッチにより、潜在成長率を上回る成
長を維持。個人消費に ついても、実質賃金の改善が回復を後押し。2018年度成長率は
+1.3%
○ 海外政治・経済情勢の不透明感から、下振れリスクは依然大。米国の保護主義的な動きや欧
州の主要選挙の行方、中国の経済運営などに注目
○ エネルギー価格の前年比がプラスに転じ、2017年度後半にはコアインフレ率は1%台に。一方、
エネルギー価格の影響を除く基調的なインフレ率は、緩やかな改善にとどまる
43
現状:2017年度の日本経済は、海外経済持ち直しや在庫循環改善から、回復
⃝ 10∼12月期の実質GDPは、前期比年率+1.0%と4四半期連続のプラス成長
⃝ 2017年度の日本経済は+1.4%と予測。海外経済が持ち直すとともに、国内の在庫循環も好転し、景気回復
‧ ただし、海外政治・経済情勢の不透明感から、下振れリスクは依然大。米国の保護主義的な動きや欧州の主要選挙の
行方、中国の経済運営などに注目
⃝ 2018年度は+1.3%と予測。循環的には減速の可能性が高いものの、内需へのバトンタッチにより、潜在成長率を上回る
成長を維持
【 実質GDP成長率の寄与度分解 】
【 出荷在庫バランスと生産】
(前年比、%)
4
(前年比、%)
3
実質GDP
成長率
1.3
2
1
予測
2.6
25
企業
外需 (設備+在庫)
1.4
1.3
1.2
生産財寄与
投資財寄与
生産指数(右目盛)
消費財寄与
出荷在庫バランス (2010年=100)
103
101
99
97
95
93
91
89
87
85
20
15
10
5
0.9
0
0
▲5
公的需要
家計
(消費+住宅)
-0.4
▲1
▲10
▲15
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4
2012
▲2
2012
2013
2014
2015
2016
2017
(資料)内閣府「四半期別GDP速報」より、みずほ総合研究所作成
2018
(年度)
13
14
15
16
(年/四半期)
(注)出荷在庫バランス=出荷前年比−在庫前年比。
(資料)経済産業省「鉱工業指数」より、みずほ総合研究所作成
44
設備投資:五輪・インバウンド関連、物流拡充、生産性向上などの投資が押し上げに
⃝ 2013年以降、不動産業や卸売・小売業、運輸・郵便業などの構築物投資が増加
‧ 不動産市況の改善に加え、東京五輪に向けた首都圏再開発やインバウンド客増加に応じた店舗、物流拡充に向けた
高機能倉庫などが増加していると推察
⃝ 機械投資は力強さに欠けるも、人手不足対策としての合理化・省力化投資などから、底堅く推移する見込み
‧ 産業用ロボットの出荷、受注額は拡大傾向で推移
【 資本ストック循環図 】
建物・構築物
機械設備
(投資、前年比%)
20
15
(投資、前年比%)
その他の建物・構築物
15
アベノミクス以降
10
機械・設備
アベノミクス以降
5
10
【 産業用ロボットの国内出荷額と民間受注額 】
(億円)
600
出荷
受注
500
400
0
5
300
▲5
0
▲10
▲5
200
▲15
▲10
100
▲20
▲15
▲25
3
4
5
6
(前年の投資/
ストック比率)
15
(資料)内閣府「国民経済計算」より、みずほ総合研究所作成
17
19
21
(前年の投資/
ストック比率)
0
200102 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
(注)みずほ総合研究所による季節調整値。
(資料)内閣府「機械受注統計」、ロボット工業会統計より、みずほ総合研究所作成
45
個人消費:緩やかな回復が続く
⃝ 耐久消費財のストック調整圧力解消や株高等による消費者マインドの改善を背景に、個人消費は持ち直し
‧ 10∼12月期の消費活動指数は、天候要因が下押しも、耐久財の持ち直しを背景に前期比+0.1%とプラスを維持
⃝ 2017・18年度の個人消費は持ち直しが続く。もっとも、17年度は、老後不安の根強さのほか、実質賃金の下振れから、
個人消費の回復は力強さに欠ける。他方、18年度に入ると、実質賃金が持ち直し、消費回復の後押しに
⃝ 長期的に、女性の雇用増が消費の増加につながりにくい傾向は継続
‧ 近年、40歳代の配偶者所得が増加傾向。もっとも、老後不安から、貯蓄に回っている模様
【 消費活動指数 】
(2013Q1=100)
120
【 配偶者所得、老後不安 】
非耐久財
耐久財
サービス
実質消費活動指数
115
110
世帯主収入・配偶者収入と
消費支出の推移(40代)
(%)
55
(2012年=100)
140
130
50
120
110
105
45
100
100
「老後の生活が非常に心配である」
と回答した割合(年代別)
90
40
80
95
70
90
60
85
50
13/3
13/9
14/3
14/9
15/3
15/9
(資料)日本銀行「消費活動指数」より、みずほ総合研究所作成
16/3
16/9
(年/月)
消費支出
世帯主収入
配偶者収入
35
30
05/3 07/3 09/3 11/3 13/3 15/3
20代 30代 40代 50代 60代
(年/月)
70
以上
(注)みずほ総合研究所による実質、季節調整値。
(資料) 総務省「家計調査」、「消費者物価指数」、日銀「家計の金融行動に関する
世論調査」より、みずほ総合研究所作成
46
賃金・物価:2017年は海外の不透明感がベースアップを抑制。ベア改善は2018年に
⃝ 2017年の賃上げは、海外政治情勢の不透明感などから、ベースアップに対する慎重姿勢が続く見込み。ベースアップが
上向くのは2018年と予測
‧ 2017年は、円安による収益改善が見込まれるものの、ベースアップではなく、賞与として従業員に還元される見通し
‧ 2018年については、海外政治情勢の不透明感の緩和が期待されるほか、2017年の業績改善や物価上昇もあって、
賃上げ率は改善
⃝ 2017年の物価は、エネルギー価格を中心に上昇。実質賃金の目減りが2017年の個人消費の抑制要因に
【 コアCPIの寄与度分解 】
【 春季賃上げ率の見通し 】
(%)
3.5
(前年比、%)
1.5
3.0
予測
春季賃上げ率
(主要企業)
2.5
2.10 2.24
2.0
2.00
1.5
見通し
1.0
0.5
0.0
▲ 0.5
事前アンケートの値
1.0
1995 97
99
01
03
05
07
09
11
13
15
17 (年)
(注)1.2017年の値はみずほ総合研究所による予測値。
2.事前アンケートは、労務行政研究所実施のもの。
(資料)厚生労働省「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況について」、労務行政研究所
「2017年賃上げの見通し―労使および専門家504人アンケート 」より、みずほ総合研
究所作成
▲ 1.0
▲ 1.5
13
米国基準コア
エネルギー
食料(生鮮食品・酒類を除く)
生鮮食品を除く総合
14
15
16
17
18
19 (年)
(資料)総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成
47
GDP基準改定の影響:潜在成長率・均衡イールドカーブが上方修正
⃝ GDP基準改定により、足元の潜在成長率は+0.9%(従来は+0.5%と推計)に上方修正
⃝ 潜在成長率の上振れに伴い、実質均衡金利(自然利子率)も上方修正(10年物は、0.2∼0.5%Ptの上方修正)
‧ 金融緩和の度合いは、従来想定されていたよりも強かったことに。金融政策への示唆は2通り(①の方がロジックが一貫)
――― ①金融緩和による物価上昇効果は、従来の想定上に小さい。緩和のメリットが減少し、デメリットは変わらないの
だから、メリット・デメリットの比較衡量からは、緩和を縮小すべき
――― ②金融緩和度が強かったにもかかわらず、物価が上がっていないのだから、より緩和すべき
【 実質均衡金利(基準改定前後の比較、10年物) 】
【 潜在成長率(基準改定前後の比較) 】
(%)
1.8
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
▲ 0.2
▲ 0.4
改定幅
均衡金利(旧基準①)
均衡金利(旧基準②)
均衡金利(新基準)
実際の金利
(%)
1.5
改定後
改定前
1.0
0.5
0.0
▲ 0.5
▲ 1.0
95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(年度)
(注)「生産関数アプローチ」による推計値。
(資料)内閣府「国民経済計算」などより、みずほ総合研究所作成
▲ 1.5
2000
05
10
15
(年/四半期)
基
準
金
改
融
定
緩
前
和
の
度
推
が
計
上
値
昇
か
ら
(注)今久保他(2015)「均衡イールドカーブの概念と計測」の方法に基づき推計。旧基準①は
日本銀行が推計している潜在成長率を使用、旧基準②と新基準はみずほ総合研究所が
推計している潜在成長率(左図)を使用。実質均衡金利は景気に中立的な実質金利。
(資料)内閣府「国民経済計算」、日本銀行などより、みずほ総合研究所作成
48
リスク:保護主義が顕在化した場合には、自動車を中心にマイナスの効果
⃝ トランプ大統領の就任式後に、保護主義的な動き・発言が目立ったことから、日本でもトランプ政権への警戒感が上昇
⃝ 仮に、米国の保護主義が顕在化し、米国輸入が減少すれば、日本経済も自動車を中心に打撃
‧ 米国の輸入(対全世界)が10%減少した場合、日本の自動車業界の生産は0.9兆円減少
――― 共和党提案の「国境調整」導入やドル高是正(=円高)への政治的圧力が顕在化するかどうかが当面の懸念
材料。また、日米FTA交渉や分野別協議となれば、輸出自主規制、輸入目標設定などの可能性も捨てきれず
【 「米国」・「大統領」に言及したコメントの
先行き判断割合(景気ウォッチャー調査) 】
(コメント割合、%)
60
【 米国輸入(対全世界)が10%減少した場合の
日本の業種別生産額への影響 】
(兆円)
12月
50
1月
1月にトランプ政権への
警戒感が上昇
40
30
その他輸送機械
自動車
(注)「米国」または「大統領」に言及したコメントにおける景気の先行き判断別割合。
「米国」または「大統領」に言及したコメント総数は12月が175、1月は392。
(資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」より、みずほ総合研究所作成
一般機械
景気の先行き
電気機械
悪くなる
電子・光学機械
やや良くなる 変わらない やや悪くなる
金属製品
良くなる
卑金属
0
ゴム・プラスチック製品
10
化学製品
20
1.0
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
(注)2014年時点。同年の為替レートを用いて、円換算した。
(資料) World Input-Output Database などより、みずほ総合研究所作成
49
リスク:共和党提案の「国境調整」は、自動車メーカーを中心に税引き後利益を下押し
⃝ 米共和党は、法人税改革の一環として、「国境調整」(輸出を課税ベースから控除し、輸入を課税ベースに含む)の導入を
提案。実現すれば、税引き後利益(連結ベース)が大きく下押しされる業種も
‧ 日系企業全体でみれば、「国境調整」の影響は大きくない。しかし、情報通信機械や電気機械などの部品を輸入している
業種では負の影響が大。また、自動車メーカーも、販売子会社まで含めると、マイナスの影響が大(1兆円程度と試算)
――― 輸送機械(製造のみ)は「国境調整」がプラスだが、輸入・販売子会社(主に卸売業)も含めると約1兆円の負担増
【 米国・法人税改革による在米日系企業の
法人税額・率への影響(試算) 】
(%Pt)
800
(兆円)
1.8
600
1.6
400
1.4
0.1兆円
200
▲38%▲41%
▲16%
1.2
725%
0.4兆円
426%
0.1兆円
304%
0
▲0.1兆円
▲0.1兆円
▲ 200
▲ 400
▲0.3兆円
サービス業
小売業
卸売業
輸送機械
情報通信機械
電気機械
サービス業
小売業
卸売業
輸送機械
情報通信機械
電気機械
(兆円)
法人税額の変化
0.6
法人税率の変化(右目盛)
0.5
0.4
397%
0.3
0.2兆円
169%
0.2
228%
▲38%
0.1
▲16%
▲41%
0.0
0.1兆円
▲ 0.1 0.1兆円
▲0.1兆円
▲0.1兆円
▲ 0.2
▲ 0.3
▲0.3兆円
▲ 0.4
【 在米日系自動車メーカー(輸入・販売子会社含む)
全体の法人税額への影響(試算) 】
▲ 600
対その他輸入分
対加輸入分
対中南米輸入分
対日輸入分
現地製造分
法人税負担の変化
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
▲ 0.2
国境調整+税率引き下げ
国境調整のみ
(注)税率引き下げは、法人税率の35%から20%への引き下げを想定。2014年のデータを基に試算。
(資料)経済産業省「海外事業活動基本調査」より、みずほ総合研究所作成
国境調整+税率引き下げ
国境調整のみ
(注)各国からの輸入分は、日系メーカー以外が購入者の場合も含むため、
全体としてやや高めの推計値となっている。
(資料)経済産業省「海外事業活動基本調査」などより、みずほ総合研究所作成
50
日銀金融政策:当面政策を据え置く一方、国債買入れは徐々に減額
⃝ 金融政策は当面据え置きを予想。日銀は政府の財政出動や成長戦略の効果を見守る構え
‧ 展望レポートでは成長率見通しを引き上げるも、物価見通しは据え置き。物価目標に向けた「モメンタム」が維持されて
いるとの判断を続け、物価目標達成時期を今後更に先送りしていくと予想
⃝ 2016年の国債保有増加額は78兆円と80兆円を下回る結果。2017年度以降、徐々に減額を進めていくと予想。その際、
買入れ増加額を明示せず減額を進める可能性も
‧ 国債市場は日銀のイールドカーブ・コントロールで低位推移を予想。ただし国債買入れ減額に神経質な展開が続く見込み
【 展望レポート(2017年1月) 】
【 国債利回りの推移 】
(対前年度比、%)
2016年度
10月時点の見通し
2017年度
10月時点の見通し
2018年度
10月時点の見通し
実質GDP
消費者物価指数
(除く生鮮食品)
+1.2∼+1.5
(+1.4)
−0.2∼−0.1
(−0.2)
+0.8∼+1.0
(+1.0)
−0.3∼−0.1
(−0.1)
+1.3∼+1.6
(+1.5)
+0.8∼+1.6
(+1.5)
+1.0∼+1.5
(+1.3)
+0.6∼+1.6
(+1.5)
1.5
40年
20年
1.0
0.5
10年
5年
+1.0∼+1.2
(+1.1)
+0.9∼+1.9
(+1.7)
0.0
+0.8∼+1.0
(+0.9)
+0.9∼+1.9
(+1.7)
▲ 0.5
(注)政策委員の大勢見通し。( )内は政策委員見通しの中央値
(資料)日銀より、みずほ総合研究所作成
日銀会合 指値オペ 指値オペ
(9/21) (11/17) (2/3)
(%)
2.0
2年
9 10 11 12 1 2 3
2015年
2016年
4
5
6
7
8
9 10 11 12 1 2 (月)
2017年
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
51
Ⅳ.金融市場
∼緩やかな株高・金利上昇を予想も、上下に振れ易い∼
52
金融市場 ∼ 米新政権の政策や欧州政治情勢への警戒感が株高や金利上昇を抑制
○ 金融市場は、トランプ政権の保護主義的政策への警戒感が高まる状況。世界経済の回復が
下支えに
○ FRBは2017年は6月、12月に利上げを行う。日銀は当面政策を据え置く。ECBは2018年入り
後、資産購入額の減額を進める
○ 日本株は未だ割高感は台頭せず2017年にかけ上昇余地。米国株は2017年前半を中心に
停滞し易いが、減税等の政策が本格始動すれば再び上昇基調に復する見通し。ドル円相場
は、拡張的財政政策はドル高圧力も、米大統領の通貨政策からドルの上値が重い展開
○ 米長期金利は緩やかな上昇を見込むも、景気回復基調の強まりから金利上昇圧力も高まる
可能性。国内長期金利は日銀のイールドカーブ・コントロールにより低位での推移を予想。
日銀の国債買入れ動向に神経質に反応する展開
53
金融市場:米長期金利は緩やかな上昇。株価は底堅い推移を予想
【 金融市場の予測(2017年2月) 】
2016
2017
2018
2016
2017
年度
年度
年度
10∼12
1∼3
4∼6
2018
7∼9
10∼12
1∼3
4∼6
2019
7∼9
10∼12
1∼3
日本
無担保コールO/N
ユーロ円TIBOR
金利スワップ
新発国債
日経平均株価
(末値、%)
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.06
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
(3か月、%)
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
(5年、%)
▲ 0.01
0.15
0.15
0.02
0.13
0.15
0.15
0.15
0.15
0.15
0.15
0.15
0.15
(10年、%)
▲ 0.05
0.05
0.05
▲ 0.01
0.05
0.05
0.05
0.05
0.05
0.05
0.05
0.05
0.05
(円)
17,600
20,000
21,100
17,933
19,400
19,400
19,800
20,200
20,600
20,900
21,100
21,300
21,000
0.50∼0.75 1.25∼1.50 2.00∼2.25
0.50∼0.75
0.50∼0.75
0.75∼1.00
0.75∼1.00
1.00∼1.25
1.25∼1.50
1.50∼1.75
1.75∼2.00
2.00∼2.25
2.00∼2.25
米国
FFレート
(末値、%)
新発国債
(10年、%)
1.95
2.45
2.70
2.13
2.40
2.40
2.45
2.50
2.55
2.60
2.65
2.75
2.80
(ドル)
18,700
20,100
21,200
18,865
19,800
19,600
20,000
20,300
20,600
20,900
21,100
21,300
21,300
ECB主要政策金利
(末値、%)
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
ドイツ国債
(10年、%)
0.10
0.35
0.35
0.19
0.25
0.25
0.35
0.35
0.35
0.35
0.35
0.35
0.40
ダウ平均株価
ユーロ圏
為替
ドル・円
ユーロ・ドル
WTI原油先物価格
(円/ドル)
108
116
119
110
114
114
115
116
117
118
119
120
118
(ドル/ユーロ)
1.10
1.04
1.04
1.08
1.07
1.05
1.04
1.03
1.03
1.03
1.03
1.03
1.05
(ドル/バレル)
48
59
65
49.3
53
55
58
61
63
65
66
66
65
(注) 網掛けは予測値。予測値は期中平均。但し、無担保コールO/N、FFレート、ECB主要政策金利は期末値。
ユーロ円TIBORは360日ベース。スワップ5年は6カ月LIBORに対する固定金利払。為替相場はニューヨーク終値ベース。
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
54
内外金利:低金利が継続。ただし世界経済の回復基調強まれば金利上昇圧力高まる
⃝ 日米独10年国債利回りは、世界経済の回復やトランプ政権への期待から上昇基調での推移。米BEIは2%近傍に上昇も、
インフレ期待に加速感なく金利上昇は緩やか。金融緩和を進める独、日本の国債利回りは金利上昇が抑制
⃝ 米長期金利は今後緩やかに上昇。トランプ政権の財政出動や欧州政治情勢への不安が後退すれば、インフレ期待の高
まりとともに、長期金利の上昇圧力が高まる可能性。円金利は日銀のイールドカーブ・コントロールで低位推移
‧ 仏・伊国債の対独スプレッドは政局不安から拡大し易い。2012年の欧州債務危機時と異なり財政懸念は高まっていない。
金融不安を抱える伊国債は高止まり、仏国債のスプレッド拡大は政治状況により変動しやすい
【 日米独10年国債利回りとインフレ期待 】
【 欧州主要国の対独スプレッドとCDSプレミアム 】
(%)
(%)
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
▲0.5
(%)
2.5
7.0
米10年国債
1.0
3.0
2.0
日本10年国債
1.0
0.0
700
米国インフレ期待
10
(bp)
500
欧州インフレ期待
11
12
13
14
( CDSプレミアム
)
15
16
17
(年)
イタリア
スペイン
フランス
ドイツ
600
400
300
日本インフレ期待
200
0.5
100
0.0
2014
イタリア
4.0
2.0
1.5
フランス
5.0
独10年国債
( 対独スプレッド:10年債 )
スペイン
6.0
0
2015
2016
2017
10
11
12
13
14
15
(注)インフレ期待は、日本・米国:10年BEI(利付国債利回り−物価連動国債利回り)、
欧州:インフレスワップ5年先5年。
(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成
16
17
(年)
(年)
(資料)Bloomberg、Thomson Reutersより、みずほ総合研究所作成
55
日米株式:業績・需給・政治にて相対的に優位な日本株
⃝ 2016年後半から各国とも業績モメンタムが回復しており、先進国を中心に株価は大幅に上昇
‧ 米大統領選挙後のドル高進行もあり、特に日本をはじめ通貨安が進んだ地域の株価上昇が顕著
⃝ 日本株は未だ割高感は台頭しておらず2017年にかけて上昇余地。一方、米株は2017年前半を中心に株価は停滞し易い
が、減税等の政策が本格始動すれば再び上昇基調に復する見通し
‧ トランプ政権の通商政策や移民政策を巡る動向で米株のボラティリティが高まる可能性に留意
【 各国主要株価指数の予想EPS(12カ月先) 】
【 各国主要株価指数の騰落率と予想PER(12カ月先) 】
(倍)
20
米大統領選後の騰落率(17/1末時点、右目盛)
予想PER(17/1末時点)
18
16
(%)
16
14
160
12
140
10
14
(2012年1月=100)
180
ドイツ
120
中国
8
米国
フランス
100
12
日本
6
10
4
8
2
6
0
米国
日本
ドイツ フランス 英国
中国
(資料) Bloomberg、Datastreamより、みずほ総合研究所作成
インド ブラジル ロシア
80
英国
60
40
12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1
(年/月)
(注)予想EPSは1月末時点。
(資料) Datastreamより、みずほ総合研究所作成
56
為替:米財政政策はドル高圧力も、米通貨・通商政策が下押し、ドルの上値は重い
⃝
‧
⃝
⃝
‧
2016年末までの米国の政策期待先行のドル高が一服し、調整局面入り
当面米政策の方向感を伺う展開となり、政策内容が固まるまではドル円相場はもみ合いが続くと予想
議会での審議などを経て、米国の拡張的財政政策への確度が高まればドル高圧力に
一方で米大統領はドル高是正のスタンス。ドルの上値を抑える材料になるほか、為替のボラティリティも高まる見通し
86-87年、94-95年には日米金利差拡大も、米国の貿易不均衡是正、ドル高是正圧力を背景に円高が進む展開
――― 米国の最大貿易相手国が日本であった点、主要国がドル高是正で一致していた点(プラザ合意)が現在との違い
【 日米長期金利差とドル円相場 】
【 トランプ政策の方向感とドル円相場への影響 】
トランプ大統領
の政策方向性
財政政策
通貨政策
通商政策
拡張的
財政政策
ドル高是正
保護主義
(円/ドル)
300
ドル円相場
日米10年国債金利差(米-日)(右目盛)
250
(%)
8
6
200
公約実現時の
為替への影響
ドル高
公約実現の
判断材料となる
主なイベント
予算教書
(2∼3月予定)
議会審議
(春∼夏頃)
ドル安
為替報告書
(4月予定)
リスクオフ時
は円安
通商交渉
(随時)
4
150
50
80
1980
(資料) みずほ総合研究所作成
2
100
85
90
95
00
2000
05
10
15
0
(年)
(資料) Bloomberg、財務省より、みずほ総合研究所作成
57
為替:ユーロドル相場はユーロ安地合いも、ECB量的緩和規模縮小後はもみ合いに
⃝
‧
‧
⃝
‧
ユーロドル相場はユーロ安地合い、ECBの量的緩和規模縮小はユーロ高圧力に
米財政政策が具体化すればドル高圧力として働くほか、今後予定される欧州選挙への不透明感がユーロ売り圧力に
2018年以降に予想されるECBの資産購入額減額はユーロ高圧力となり、米金利上昇に伴うドル高圧力でもみ合う展開に
G7、G20に注目が集まるも、通貨政策・金融政策面での調整については難航が予想
ECB総裁は欧州議会でユーロ安誘導を明確に否定しており、米大統領の主張するドル高是正に向けた国際協調は困難
――― 各国の金融政策の方向感も異なるなか、国際協調姿勢が示されなければ、市場のボラティリティを高める恐れも
【 欧米マネタリーベースとユーロドル相場 】
(ドル/ユーロ)
ユーロドル相場
1.6
【 2017年のG7・G20日程(予定) 】
(倍)
2.4
欧米マネタリーベース比率(米÷欧)(2010年1月基準)(右目盛)
1.5
日程
イベント
議長国
3/17∼18
G20 財務大臣・中央銀行総裁会議
ドイツ
4/20∼21
G20 財務大臣・中央銀行総裁会議
ドイツ
5/26∼27
G7 サミット
イタリア
7/7∼8
G20 サミット
ドイツ
10/12∼13
G20 財務大臣・中央銀行総裁会議
ドイツ
2.2
2.0
1.4
1.8
1.3
1.6
1.4
1.2
1.2
1.0
1.1
0.8
1.0
0.9
09/1
0.6
10/1
11/1
12/1
13/1
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
14/1
15/1
0.4
16/1 (年/月)
(資料) G20、財務省、外務省HPなどより、みずほ総合研究所作成
58
(参考資料)主要国の政治日程
20 17 年
2 01 8年
2月 イエレンFRB議長任期満了
米国
11月 中間選挙
3月 オランダ議会選挙
欧州
上期 イタリア総選挙
4月∼5月 フランス大統領選挙
6月 フランス議会選挙
9月 ドイツ議会選挙
4月 黒田日銀総裁任期満了
日本
9月 自民党総裁選
12月頃 衆議院議員任期満了
3月 香港行政長官選挙
アジア
秋 第19期中国共産党大会
年内 韓国大統領選挙
5月頃 マレーシア議会選挙
秋 中国3中全会
年内 インド上院選挙
年内 タイ総選挙
その他
5月 G7首脳会議(伊、シチリア)
3月 ロシア大統領選挙
7月 G20首脳会議(独、ハンブルグ)
7月 メキシコ大統領選挙
10月 ブラジル大統領選挙
(資料) みずほ総合研究所作成
59
【経済予測チーム】
武内浩二
小林公司
・米国/欧州経済
小野 亮
風間春香
吉田健一郎
松本 惇
・アジア経済
大和香織
玉井芳野
・日本経済
徳田秀信
有田賢太郎
大野晴香
市川雄介
宮嶋貴之
佐藤 高
上里 啓
高瀬美帆
・金融市場
野口雄裕
井上 淳
大塚理恵子
坂中弥生
(全体総括)
(新興国)
03-3591-1244
03-3591-1379
[email protected]
[email protected]
(総括)
(米国)
(欧州)
(欧州)
03-3591-1219
03-3591-1418
03-3591-1265
03-3591-1199
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
(総括)
(中国)
03-3591-1368
03-3591-1367
[email protected]
[email protected]
(総括)
(企業)
(個人消費・物価)
(計量・構造分析)
(計量・構造分析)
(住宅)
(雇用・政府)
(外需)
03-3591-1298
03-3591-1419
03-3591-1243
03-3591-1289
03-3591-1434
03-3591-1294
03-3591-1284
03-3591-1416
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
(総括)
(新興国・原油)
(内外株式)
(海外金利)
03-3591-1249
03-3591-1197
03-3591-1420
03-3591-1242
[email protected]
[email protected]
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