参考2 国際司法裁判所(ICJ)の「南極における捕鯨」事件判決と 我が国の鯨類科学調査計画について 1 ICJ「南極における捕鯨」事件判決 2014 年3月、ICJ は、第 II 期南極海鯨類捕獲調査(JARPA II)と いう当時我が国が実施していた調査の中止を命じる判決を出しまし た 1。しかし、ICJ 判決は、捕獲(致死的)調査自体は禁止していま せん 2。その上で、判決は「日本は(国際捕鯨取締)条約第8条の下 でのいかなる 将来的な許可書を与える可能性を検討する際に も, この判決に含まれる理由付け及び結論を考慮することが期待され る 。」(パラグラフ 246)と述べました。 (注)判決全文の仮訳については、外務省ホームページを御参照下さい。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/shihai/ 2 ICJ 判決と新南極海鯨類科学調査(NEWREP-A) 判 決 後 に 日 本 が 提 出 し た 新 た な 調 査 計 画 ( NEWREP-A; New Scientific Whale Research Program in the Antarctic Ocean)は、 上記の ICJ 判決を十分考慮して策定されました。 NEWREP-A においては 、以下参考のとおり、ICJ 判決の主な指摘事 項に対して具体的な対応を実施しており 、ICJ 判決の上記パラグラ フで示された期待にも応え、判決に整合したもの になっています。 判決パラグラフ 247(7) 。その理由として、ICJ は、JARPAⅡが概ね科学調査であるこ とは認めつつ、その目的を達成することとの関係で、調査の計画及び実施が合理的である ことが証明されていないことなどを挙げています(判決パラグラフ 227) 。 2 判決パラグラフ 135。 1 参考2 (参考)ICJ 判決の主な指摘事項とNEWREP-Aにおける日本の対応 ○ 致死的手法の規模を縮減する方法として、非致死的調査の実行可能 性に関する分析を含むべきであった。 →非致死的調査の可能性の検証(皮膚標本から抽出した DNA の分析 による年齢推定方法の検証等)を実施。 ○ 各鯨種の目標サンプル数を算出する上でのプロセスが不透明であり、 根拠が不明確であるため、目的達成のために合理的かに懸念あり。 →目標捕獲頭数の算出根拠の明確化。 ○ 目標よりも少ないサンプル数によっても有益な科学的知見が得られ るとの日本の主張は、目標サンプル数が目的達成のために合理的であ る以上に多いことを示唆している。 →調査目的達成のために必要十分な目標サンプル数を設定。また、 悪天候等により 調査活動の中断等を余儀なくされた場合に備えて、 調査計画の変更・調整、取得データの分析手法等の対応策を予め 策定。 ○ 終期のないプログラムは科学的目的と特徴付けられ得るか疑問であ る。 →調査期間(12 年間)を設定するとともに具体的な中間目標も設定。 6年後に中間レビューを実施。 ○ 2005 年以来の JARPA Ⅱによって約 3,600 頭のミンククジラの殺害に関与し ているものの,これまでの科学的成果は限定的。 →科学的成果を IWC 科学委員会に提出するとともに、査読付学術誌にて発 表する努力を強化。調査で得られたデータのデータベース化により幅広 い活用の促進。
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