冬ならではの体験プログラム

“ 愛 すべき小
さな田 舎 ”
からの 小さな
たより
っくり。
こんな 雪でび
今年は11月に
てあげ
せ
ぶ
か
を
さ
か
金 次 郎さんに
・・・。
るべきでした
冬ならではの
体 験プ
ログラム
第3回
くまの木」
まの木 里の
暮らし)
加納 麻紀子
星ふる学校「
活動法人 く
(特定非営利
塩
谷 の 冬 は 寒 い。 雪 が ど っ さ り 降 る と い う 地 域
で は な い が、 た だ た だ 冷 え る。 日 本 全 国 見 渡
せばもちろんもっと寒い地域はたくさんあるから、こ
のくらいのことで、と怒られそうだが、東京から引っ
越してきて迎えた初めての冬は、家の中で零℃の表示
に茫然、凍りついて開かない窓を前に茫然、いい大人
なのにしもやけになって茫然、なんじゃこりゃあ!と
叫びたいくらいだった。マンション住まいから、隙間
が多く断熱性の低い一軒家暮らしという居住環境の変
化によるところも大きいと思う。職場も十階建てのビ
ルの二階から、築六〇年を超える平屋の木造校舎に変
わり、冬場の出勤には、防寒インナーと分厚い靴下が
必須。事務室に入ってストーブを点けてもしばらくの
間アウターが脱げない。
外 に 出 る と、 途 端 に 鼻 先 が つ め た ー く な る 空 気 感
ん? こ の 感 じ、 ど こ か で 経 験 し た こ と あ る か
︱
も⋮⋮あ! スキー場の空気! と気が付いたら、な
んだか笑い出しそうになった。ちなみに、星ふる学
時 間 弱。 首 都 圏 か ら 訪 ね る よ り は も ち ろ ん 近 い が、
が、のんびりできる時間があるかというと意外とそう
泊されるお客様は夏場に比べるとガクンと少なくなる
校﹁くまの木﹂から最寄りのスキー場までは車で一
スキーで誘客できるような立地とはいえない。
でもない。事業年度のとりまとめ、来るべきハイシー
ズンの準備や施設の手入れ、各種整備等に追われる。
星ふる学校﹁くまの木﹂の冬はオフシーズンで、宿
寒さの底は一月の終わりから二月にかけて。これで
もかというように寒さが厳しくなっていく時期に、日
ます。
冬季の宿泊のお客様は、天文関係の部活やサークル、
でできあがり量約11kgの樽6つ分となり
一日と日が長くなってくることに救われる気分になる。
ゆでます。大鍋ふたつで大豆12升。これ
そして冬場がシーズンとなるオリエンテーリングの合
スタッフが早朝から氷点下の部屋で大豆を
ぐんぐん冷え込みが厳しくなっていくのにあわせて日
熟成した味噌を持ち帰ります。
宿などが中心となる。
なった子どもたちが集まり、
も短くなっていくとしたら結構つらいだろうなと思う。
づくり」
。1年後、小学生に
体験プログラムでは、一月から三月上旬まで季節限
年長さんが卒園旅行で「みそ
くまの木常連の保育園では、
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土地改良 296号 2017.1 ●
﹂
大きな大きな鍋でふっくらとゆであがったたっぷりの
コツが必要な作業もとくにないと言えばないのだが、
書いてしまえばただそれだけのことで、実際、特別な
帰りいただき、時が過ぎれば手前味噌のできあがり。
豆に混ぜて樽に詰めるところまでとなる。樽をお持ち
をよく混ぜ合わせて塩切麹をつくり、それを潰した大
ゆでておいた大豆を潰すところからスタート、麹と塩
状況だ。﹁みそづくり﹂のプログラムは、あらかじめ
の土日はほとんど毎年常連のお客様で埋まってしまう
定で開催している﹁みそづくり﹂が人気で、開催期間
にするお米ももちろん塩谷町産だ。塩谷町は水がよい
ラブ﹂で仕込んでいただいている。原料の大豆も、麹
ムで使う麹も町内の女性グループ、その名も﹁味噌ク
料理に使っているお味噌も、
﹁みそづくり﹂プログラ
町内では、女性グループなどによる味噌作りも盛ん
に行われている。星ふる学校﹁くまの木﹂で提供する
と思う。
込む、というのが年中行事のようになっているのかな、
くまの木に来てわいわいにぎやかに一年分の味噌を仕
だが、常連の方々にとっては、家族やお友達と一緒に
楽しく盛り上がる。一回経験すれば自宅でもできそう
状に丸めて勢いよく樽に投げ込むという工程も単純に
楽しみは多い。潰した大豆と塩切麹を混ぜた後、団子
けではわからない、実際に作ってみればこその発見や
もっと豊かに広げていけると思う。
感 じ る。 農 村 を 舞 台 と す る 体 験 プ ロ グ ラ ム は も っ と
自然志向の人の広がりと相まって高まっているように
昔ながらの知恵やワザにふれる体験への関心も、特に
が、農家の手仕事やものづくり、保存食づくりなど、
農業や農村に親しむ体験プログラムというと、春の
田植え、秋の稲刈り、そして芋ほりというのが定番だ
こでいただく。﹁あったかーい!﹂
﹁おいしーい!﹂
。
もらう。
﹁餅になった!﹂。お雑煮で、きなこで、あん
もたち。スタッフがあらかたこねてから順番について
で米が餅になっていく様子を固唾をのんで見守る子ど
ると、勢いよく手が上がる。臼の周りをぐるりと囲ん
に香りも舞い上がる。
﹁味見したい人!﹂と声をかけ
入れて、ふかしたての餅米を臼にあける。湯気ととも
お餅にならないよ。集中していくからね!﹂と気合を
というできあがりへの期待など、工程を字面で追うだ
大 豆、 麹 の 手 触 り、﹁ こ れ が あ の お 味 噌 に な る の
こともあり、出来上がった味噌は本当においしく評判
見ている大人の心もほっこりと温まります。
がよい。町内の小学校・中学校の給食でもこの﹁味噌
クラブ﹂さんのお味噌が使われている。
個人的には﹁もちつき﹂も冬にお勧めしたいプログ
ラムだ。イベントで登場することは多いけれど、つぶ
つぶの米がなめらかな餅になる様子を本当につぶさに
見る機会は案外少ないのではないかと思う。子どもた
ちを対象としたプログラムの場合には、﹁水に浸す﹂﹁つ
く﹂﹁こねる﹂
﹁ふかす﹂などのカードを用意して、お
米が餅になるまでどんな作業をどういう順番でするか、
みんなで考えてカードを並べてもらったりもする。﹁た
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たく﹂﹁ふむ﹂
﹁ゆでる﹂なんていうカードも混ぜてお
くとおもしろい。
﹁熱々のうちに一気に仕上げないと
寒いときには焼き芋もいいですね。この笑顔、
!?
落花生が入った豆餅も欠かせません。紫蘇やミカンの皮が入るものもあります。
年末は職員全員で餅つき、鏡餅を飾り新年を迎えます。栃木県では青のりと