中国地方 個人消費活性化に対する企業の意識調査

2017/1/25
広島支店 情報部
広島市中区中町 7-41 広島三栄ビル 5F
TEL: 082-247-5930
URL:http://www.tdb.co.jp/
特別企画: 中国地方 個人消費活性化に対する企業の意識調査
早期の消費回復見込む企業、1 割下回る
~長期的に見込めないが 3 割近くに、慎重な見方が強く~
~消費活性化に必要な条件、
「賃金の増加」がトップに~
はじめに
2012 年 12 月 26 日に発足した第 2 次安倍内閣による「アベ
■個人消費の回復時期
ノミクス」がスタートして 5 年目に入った。円安誘導や消費税
すでに回復
している
0 .9 %
率 8%導入前の駆け込み需要を創出して景気回復が進んできた
1 年後
7 .9 %
が、その後の個人消費の回復が予想以上に鈍く、10%への引き
上げ時期がさらに 2019 年 10 月まで再延期された。
2 年後
1 3 .2 %
この間、政府による民間企業への賃上げ要請や所得税減税、
分からない
3 8 .4 %
3 年後以降
1 1 .4 %
エコカー減税、住宅ローン減税などの各種政策が打ち出された
長期的に
回復する
見込みは
ない
2 8 .2 %
り、外国人観光客の増加によるインバウンド消費が盛り上がっ
たりしてきたが、十分な効果を生むに至らず、2014 年 4 月以
降の国内消費は足踏み状態が続いている。今後、国内の景気を
注2:母数は有効回答企業568社
上昇軌道に乗せるには、国内総生産(GDP)の約 6 割を占める
個人消費の拡大が欠かせない要素といえる。
そこで、帝国データバンク広島支店では、中国 5 県に本店を置く企業を対象に、個人消費活性
化に対する企業の意識について調査した。調査期間は 2016 年 12 月 15 日~2017 年 1 月 5 日。調査
対象は 1242 社で、有効回答企業数は 568 社(回答率 45.7%)。
調査結果(要旨)
1.現在の個人消費、企業の半数超が「悪い」と判断
「悪い」が 52.5%、
「良い」は 8.5%にとどまり、
「どちらともいえない」は 35.7%
2.これまで効果のあった消費活性化策、減税関連が上位に
「エコカー減税・補助金」が 43.3%、「所得税減税」「住宅ローン減税」が続く
3.個人消費活性化に必要な要件、
「賃金の増加」が 7 割超える
「将来不安の払拭(年金など)
」
「個人所得税の減税」など政府の政策にも注目
4.個人消費の回復時期、
「長期的に回復する見込みはない」が 3 割近くに
「回復している」
「1 年後」など、短期間での回復を見込む企業は 1 割に届かず
©TEIKOKU DATABANK,LTD
1
2017/1/25
特別企画:
中国地方 個人消費活性化に対する企業の意識調査
1.現在の個人消費、企業の半数超が「悪い」と判断
現在の個人消費動向についてどのように感じているか尋ねたところ、■現在の個人消費の動向
分からない
3.3%
『悪い』(「非常に悪い」「悪い」「やや悪い」の合計)と回答した
『良い』
8.5%
企業が 568 社中 298 社、構成比 52.5%となり、半数を超えた。一方、
『良い』(「非常に良い」「良い」「やや良い」の合計)は同 8.5%
(48 社)で 1 割を下回った。『どちらともいえない』は同 35.7%(203
どちらとも
いえない
35.7%
『悪い』
52.5%
社)だった。『良い』の内訳をみると、「非常に良い」「良い」と回
答した企業はなく、「やや良い」が『良い』の全部を占めた。一方、
『悪い』の内訳をみると、「やや悪い」が 36.6%(208 社)で 4 割近
くを占め、「悪い」が同 13.9%(79 社)で続いた。なお、「非常に
注1:『良い』は「非常に良い」「良い」「やや良い」の合計、
『悪い』は「非常に悪い」「悪い」「やや悪い」の合計
注2:母数は有効回答企業568社
悪い」は同 1.9%(11 社)だった。
(13.3%・4 社)、
「サービス」
(11.8%・
業種別(母数 10 社以上)でみると、『良い』では「小売」
8 社)の 2 業界で 10%を上回った。一方、『悪い』では「小売」(76.7%・23 社)が最も高く、
「運輸・倉庫」(65.4%・17 社)、「卸売」(53.9%・82 社)、「建設」(51.1%・47 社)が続
いた。『どちらともいえない』では、「製造」(42.5%・77 社)が最も高く、「建設」(38.0%・
35 社)が続いた。
県別でみると、『良い』では「岡山」(10.6%・17 社)が最も高く、「広島」(9.1%・20 社)、
「山口」(8.4%・8 社)が続いた。一方、『悪い』では「島根」(58.7%・27 社)が最も高く、
「岡山」(58.4%・94 社)、「山口」(56.8%・54 社)が続いた。なお、「広島」(44.7%・98
社)のみ 50%を下回り 5 県で最も低かった。
■現在の個人消費の動向
(構成比%、カッコ内社数)
『良い』
非常に良い
良い
やや良い
どちらとも
いえない
『悪い』
やや悪い
悪い
非常に悪い
分からない
合計
全国
8.7
(877)
0.0
(0)
0.5
(51)
8.2
(826)
35.9 (3,601)
51.9 (5,212)
34.9 (3,501)
14.9 (1,492)
2.2
(219)
3.4
中国
8.5
(48)
0.0
(0)
0.0
(0)
8.5
(48)
35.7
(203)
52.5
(298)
36.6
(208)
13.9
(79)
1.9
(11)
3.3
(19) 100.0
大企業
8.2
(8)
0.0
(0)
0.0
(0)
8.2
(8)
30.6
(30)
59.2
(58)
38.8
(38)
18.4
(18)
2.0
(2)
2.0
(2) 100.0
(98)
中小企業
8.5
(40)
0.0
(0)
0.0
(0)
8.5
(40)
36.8
(173)
51.1
(240)
36.2
(170)
13.0
(61)
1.9
(9)
3.6
(17) 100.0
(470)
(51)
12.1
(16)
0.0
(0)
0.0
(0)
12.1
(16)
38.6
農・林・水産
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
金融
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
建設
8.7
(8)
0.0
(0)
0.0
(0)
8.7
(8)
不動産
33.3
(3)
0.0
(0)
0.0
(0)
33.3
(3)
44.4
(4)
11.1
(1)
0.0
(0)
製造
5.5
(10)
0.0
(0)
0.0
(0)
5.5
(10)
42.5
(77)
49.2
(89)
35.9
(65)
卸売
8.6
(13)
0.0
(0)
0.0
(0)
8.6
(13)
33.6
(51)
53.9
(82)
40.8
(62)
11.2
(17)
2.0
(3)
小売
13.3
(4)
0.0
(0)
0.0
(0)
13.3
(4)
10.0
(3)
76.7
(23)
46.7
(14)
30.0
(9)
0.0
(0)
運輸・倉庫
7.7
(2)
0.0
(0)
0.0
(0)
7.7
(2)
23.1
(6)
65.4
(17)
50.0
(13)
11.5
(3)
3.8
(1)
サービス
11.8
(8)
0.0
(0)
0.0
(0)
11.8
(8)
35.3
(24)
48.5
(33)
30.9
(21)
14.7
(10)
2.9
その他
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(1) 100.0
(1)
0.0
(0)
鳥取
4.3
(2)
0.0
(0)
0.0
(0)
4.3
(2)
38.3
(18)
53.2
(25)
44.7
(21)
6.4
うち小規模
(343) 100.0 (10,033)
(568)
46.2
(61)
23.5
(31)
18.9
(25)
3.8
(5)
3.0
(4) 100.0
(132)
(0) 100.0
(2)
50.0
(1)
50.0
(1)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(2)
42.9
(3)
42.9
(3)
14.3
(1)
28.6
(2)
0.0
(0)
14.3
(1) 100.0
(7)
38.0
(35)
51.1
(47)
32.6
(30)
16.3
(15)
2.2
(2)
2.2
(2) 100.0
(92)
0.0
(0)
11.1
(1)
11.1
(1) 100.0
(9)
12.2
(22)
1.1
(2)
2.8
(5) 100.0
(181)
3.9
(6) 100.0
(152)
0.0
(0) 100.0
(30)
3.8
(1) 100.0
(26)
(2)
4.4
(3) 100.0
(68)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(1)
(3)
2.1
(1)
4.3
(2) 100.0
(47)
(0) 100.0
島根
2.2
(1)
0.0
(0)
0.0
(0)
2.2
(1)
34.8
(16)
58.7
(27)
41.3
(19)
15.2
(7)
2.2
(1)
4.3
(2) 100.0
(46)
岡山
10.6
(17)
0.0
(0)
0.0
(0)
10.6
(17)
28.0
(45)
58.4
(94)
39.1
(63)
18.0
(29)
1.2
(2)
3.1
(5) 100.0
(161)
広島
9.1
(20)
0.0
(0)
0.0
(0)
9.1
(20)
42.5
(93)
44.7
(98)
30.6
(67)
11.9
(26)
2.3
(5)
3.7
(8) 100.0
(219)
山口
8.4
(8)
0.0
(0)
0.0
(0)
8.4
(8)
32.6
(31)
56.8
(54)
40.0
(38)
14.7
(14)
2.1
(2)
2.1
(2) 100.0
(95)
注1:網掛けは、ブロック全体以上を表す
注2:全国の母数は有効回答企業1万33社。中国は568社
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2
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中国地方 個人消費活性化に対する企業の意識調査
2.これまで効果のあった消費活性化策、減税関連が上位に
これまで実施された消費活性化策のうち、どのような政策で
効果があったと思うか尋ねたところ、「エコカー減税・補助金」
■過去の消費活性化策で効果があったと思う政策(複数回答)
(%)
1 エコカー減税・補助金
43.3
が 568 社中 246 社、構成比 43.3%で最も高かった(複数回答、
2 所得税減税
43.0
3 住宅ローン減税
38.7
以下同)。次いで、「所得税減税」が 43.0%(244 社)、「住
4
宅ローン減税」が 38.7%(220 社)で続き、各種減税政策が上
位を占めた。
さらに、「エコポイント制度(住宅エコポイントや家電エコ
ポイント)」が 24.1%(137 社)、「プレミアム付商品券」が
22.9%(130 社)、「地域振興券」が 20.2%(115 社)など、
消費することで付加サービスが得られる政策が続いた。
エコポイント制度
(住宅エコポイントや家電エコポイント)
24.1
5 プレミアム付商品券
22.9
6 地域振興券
20.2
7
世代間の所得移転制度
(住宅や教育資金への贈与税非課税制度な
14.4
8 子育て世帯臨時特例給付金
9.9
9 配当・譲渡所得課税の税率軽減
9.5
10 環境関連の優遇策(補助金など)
7.4
11 定額給付金
6.7
12 臨時福祉給付金
2.6
その他
効果のあった政策はない
2.5
12.1
注:母数は有効回答企業568社
他方、「子育て世帯臨時特例給付金」(9.9%・56 社)、「定額給付金」(6.7%・38 社)、「臨
時福祉給付金」(2.6%・15 社)などの給付金関連の政策は相対的に下位にとどまり、消費活性化
への効果は低かったと考える企業が多かった。なお、「効果のあった政策はない」と回答した企
業は 69 社(12.1%)あった。
3.個人消費活性化に必要な要件、「賃金の増加」が 7 割超える
個人消費が活性化するために必要な条件はどのようなこと
だと思うか尋ねたところ、「賃金の増加」が 568 社中 447 社、
■個人消費が活性化するために必要な条件(複数回答)
(%)
1 賃金の増加
78.7
構成比 78.7%で、突出して最も高かった(複数回答、以下同)。
2 将来不安の払拭(年金など)
45.1
3 個人所得税の減税
40.0
次いで、「将来不安の払拭(年金など)」が 45.1%(256 社)、
4 企業業績の改善
38.4
5 消費税率の引き下げ
24.3
6 株価の上昇
20.1
7 若者・子育て世帯への支援拡充
17.6
8 デフレ脱却
17.1
9 人手不足の緩和
15.1
10 就業者数の増加
13.7
「個人所得税の減税」が 40.0%(227 社)、「企業業績の改善」
が 38.4%(218 社)が続いた。また、2019 年 10 月に予定され
ている消費税率 10%への引き上げに反する形で、「消費税率
の引き下げ」が 24.3%(138 社)で 5 番目となった。
注:母数は有効回答企業568社
上位 10 項目を、『企業・経済活動』と『政策・社会活動』に分類すると、5 項目ずつに分けら
れる。『企業・経済活動』でキーとなるのは「企業業績の改善」といえる。業績が改善すること
で賃金の増加や株価の上昇に繋がり、さらに就業者数が増加して人手不足の緩和が見込まれるこ
ととなり、好循環が生まれそうである。一方、『政策・社会活動』では、「将来不安の払拭(年
金など)」「個人所得税の減税」「消費税率の引き下げ」「若者・子育て世帯への支援拡充」「デ
フレ脱却」の 5 項目に具体的な循環性は見いだせないが、短期で結果が見込めるものと、長期的
な視野で継続すべき政策とを分けつつ同時進行で進める必要があるだろう。
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中国地方 個人消費活性化に対する企業の意識調査
4.消費の回復時期、「長期的に回復する見込みはない」が 3 割近くに
今後、個人消費が本格的に回復する時期について尋ねたとこ
■個人消費の回復時期
ろ、「長期的に回復する見込みはない」と回答した企業が 568
すでに回復
している
0 .9 %
社中 160 社、構成比 28.2%となり、個人消費の回復に対して 3
1 年後
7 .9 %
割近くが悲観的だということがわかった。
2年後
1 3 .2 %
消費税率が 10%へ引き上げられる予定の 2019 年 10 月、東京
分からない
38 .4 %
オリンピックが開催される予定の 2020 年 7 月までには一層の景
3 年後以降
1 1 .4 %
気回復が期待されているが、「2 年後」(13.2%・75 社)と「3
長期的に
回復する
見込みは
ない
2 8 .2 %
年後以降」(11.4%・65 社)をあわせても 25%に届かなかった。
また、「すでに回復している」(0.9%・5 社)、「1 年後」(7.9%・
45 社)など、短期間での回復を見込む企業
■個人消費の回復時期
は 1 割に満たなかった。一方で、「分からな
い」と回答した企業が 38.4%(218 社)と最
も多く、企業業績のみならず、年金、少子高
齢化の問題などが複雑に絡み合い、個人消費
の動向や先行き見通しを想定することが難
しい実態が浮かび上がった。
注2:母数は有効回答企業568社
(構成比%、カッコ内社数)
すでに
回復している
1年後
2年後
全国
2.0
(203)
7.6
(763)
中国
0.9
(5)
7.9
大企業
3.1
(3)
9.2
中小企業
うち小規模
3年後以降
長期的に
回復する
見込みはない
分からない
合計
13.3 (1,332)
12.8 (1,286)
28.8 (2,894)
35.4 (3,555) 100.0 (10,033)
(45)
13.2
(75)
11.4
(65)
28.2
(160)
38.4
(218) 100.0
(9)
17.3
(17)
10.2
(10)
21.4
(21)
38.8
(38) 100.0
(98)
(568)
0.4
(2)
7.7
(36)
12.3
(58)
11.7
(55)
29.6
(139)
38.3
(180) 100.0
(470)
0.8
(1)
8.3
(11)
9.1
(12)
12.1
(16)
31.1
(41)
38.6
(51) 100.0
(132)
農・林・水産
0.0
(0)
0.0
(0)
50.0
(1)
50.0
(1)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(2)
金融
0.0
(0)
14.3
(1)
0.0
(0)
14.3
(1)
42.9
(3)
28.6
(2) 100.0
(7)
(92)
建設
1.1
(1)
7.6
(7)
7.6
(7)
12.0
(11)
30.4
(28)
41.3
(38) 100.0
不動産
0.0
(0)
33.3
(3)
0.0
(0)
0.0
(0)
22.2
(2)
44.4
(4) 100.0
(9)
製造
0.6
(1)
9.4
(17)
15.5
(28)
9.4
(17)
24.9
(45)
40.3
(73) 100.0
(181)
卸売
1.3
(2)
8.6
(13)
15.8
(24)
11.8
(18)
28.9
(44)
33.6
(51) 100.0
(152)
小売
3.3
(1)
0.0
(0)
10.0
(3)
13.3
(4)
33.3
(10)
40.0
(12) 100.0
(30)
運輸・倉庫
0.0
(0)
3.8
(1)
7.7
(2)
11.5
(3)
38.5
(10)
38.5
(10) 100.0
(26)
サービス
0.0
(0)
4.4
(3)
14.7
(10)
14.7
(10)
26.5
(18)
39.7
(27) 100.0
(68)
その他
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(1) 100.0
(1)
鳥取
2.1
(1)
8.5
(4)
17.0
(8)
17.0
(8)
12.8
(6)
42.6
(20) 100.0
(47)
(3)
28.3
(13)
47.8
(22) 100.0
島根
0.0
(0)
6.5
(3)
10.9
(5)
6.5
岡山
1.9
(3)
6.8
(11)
11.8
(19)
11.8
(19)
33.5
(54)
34.2
(55) 100.0
(161)
広島
0.5
(1)
8.7
(19)
16.0
(35)
8.7
(19)
26.5
(58)
39.7
(87) 100.0
(219)
山口
0.0
(0)
8.4
(8)
8.4
(8)
16.8
(16)
30.5
(29)
35.8
(34) 100.0
(95)
(46)
注1:網掛けは、ブロック全体以上を表す
注2:全国の母数は有効回答企業1万33社。中国は568社
まとめ>>
直近の個人消費拡大のピークは、消費税率が 8%に引き上げられる直前の駆け込み需要が高まっ
た時期である。それ以降の反動減が長引き、政府が目指す 2%の経済成長には届かず、消費税率
10%への引き上げを 2019 年 10 月まで先送りするなど、景気は足踏み状態が続いている。今回の
調査で、現在の個人消費について、過半数が『悪い』と回答したが、その内訳で「やや悪い」が 4
割近くを占め、『どちらともいえない』の 35.7%とあわせると全体の 72.3%を占めた。また、先
行きに関しても「長期的に回復する見込みはない」が 3 割近くを占め、「1 年後」までの早期回復
を期待する声は 10%を下回った。確かに、2014 年 3 月に比べれば景気回復の実感は乏しいといえ
るが、2008 年~2009 年のリーマン・ショックに続く世界同時不況の時期に比べると、確実に景気
は良くなっていると感じているのではないだろうか。これから個人消費を活性化するための要件
として、「賃金の増加」が突出して高かったが、それを実現するためには企業の業績向上に加え、
政府による経済環境の整備もより重要となってくるだろう。
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2017/1/25
特別企画:
中国地方 個人消費活性化に対する企業の意識調査
~企業からの声~
◆現在の消費動向について
・可処分所得が増えず、将来に不安を持つ人が多く、消費マインドは改善しない (島根・建設)
・業績が横ばいのためボーナスを含めた年収に大きな伸びはなく、消費には慎重(岡山・建材卸)
・消費税 8%導入以降、マインドが落ち込んだままで節約ムードが漂っている(広島・サービス)
・高齢化が進んでいるので、お金を持っている人は使わないし、持っていない人は貯蓄に傾いて
いるのではないだろうか
(岡山・金融)
・物価や社会保険料の上昇に対して賃金が上がっていない
(山口・建材製造)
・低価格商品の客離れをいわれるが、相変わらず購買意欲の増加はみえない(岡山・化学品製造)
・金遣いのよい建設業関連が好況になれば地方の消費は拡大する
(鳥取・運輸倉庫)
・金持ちはより金持ちに、貧乏はより貧乏に、格差が拡がっているように思う(岡山・建材製造)
・購入頻度は少ないが、納得したものは多少高価でも買う
(鳥取・鉄鋼製造)
・地場企業の業績、給与水準も今一歩の状況
(広島・紙製造)
・野菜高騰の中でも売り上げが安定して伸びてきているので消費は良いと思うが、ちょっとした
マイナス情報にすごく敏感である
(岡山・各種商品小売)
・カープ優勝の特殊要因はあるが、飲食、物品販売は伸びていると思われる (広島・建材製造)
◆個人消費の現状や見通し、活性化策などについて
・人口が減るのだから前年と比較したら現状を上回ることはないのでは
(岡山・金融)
・人口が増加に転じない限り根本的な景気の回復は見込めない
(岡山・繊維製造)
・オリンピックまでは緩やかに上昇、以降は下降線を一気にたどるのでは
(島根・サービス)
・消費税を下げれば、また状況は変わる
(山口・飲食料品製造)
・減税と官公庁の支出見直しがセットだと思う
(鳥取・鉄鋼卸)
・消費はマインド。金を使わないのは将来がみえないから。将来がみえている高齢者や高所得者
が少ない選択肢の中で消費しているだけ
・将来に希望がもてれば消費が増えると思う
(広島・鉄鋼卸)
(広島・繊維小売)
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