資料(PDF 250KB)

2016/5/30
鹿児島支店
鹿児島市西千石町 11-25
鹿児島フコク生命ビル 3F
TEL:099-223-8208
FAX:099-222-3106
特別企画:鹿児島県の社長分析
2015 年の社長交代率は 3.86%
~3 年連続して上昇~
はじめに
内閣府の発表した『2015 年版高齢社会白書』によると、65 歳以上の高齢者の数は過去最高の 3300
万人に達し、総人口の 26.0%を占めており、日本社会の高齢化の進展がいかに急激に進んでいるのか
分かる結果となった。企業の経営者も例外ではなく、平均年齢が年々上昇を続ける中で、60 代の経営
者の半数以上が後継者不在になっている状況も判明しており〈帝国データバンク『後継者問題に関す
る企業の実態調査』
(2014 年 7 月)
〉
、トップの高齢化にどう向き合うのか、企業はその対応を求めら
れている。
帝国データバンク鹿児島支店では、鹿児島県の社長交代率を調査するとともに、社長の平均年齢、
年代別構成、出身大学、出身地別などのデータを集計・分析した。本調査は 2015 年末時点の企業概要
ファイル「COSMOS2」
(約 146 万社収録)から鹿児島県に本社を置く「株式会社」
「有限会社」
1 万 2012 社を対象に行った。
なお、この調査は前年 9 月に続き今回が 5 回目。
調査結果(要旨)
1. 2015 年の社長交代率は 3.86%で、2013 年から 3 年連続して前年比上昇。
2. 社長平均年齢は 59.6 歳で、1990 年以降で最高だった前年(59.4 歳)を上回った。
3. 社長の年代別構成では『60 歳以上』の合計構成比が 55.7%と、前年比 0.9 ポイント増加し、
1990 年以降の最高に。
4. 女性社長率は 7.5%で、1990 年以降の最高を更新。
5. 社長の出身地は「鹿児島県」
(構成比 94.7%)
、出身大学は「鹿児島国際大学」
(同 9.3%)
がそれぞれ最多。
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2016/5/30
特別企画:鹿児島県の社長分析
1.社長交代率の推移
~昨年に続き前年を上回る
鹿児島県内の 2015 年社長交代率は前年(3.72%)に比べて 0.14 ポイント上昇。昨年に続き前年
を上回った。社長交代率は、景気回復に合わせて上昇する傾向が見られ、伸び率では前年(0.47 ポイ
ント上昇)ほどではなかったが上昇した。
12
13
3 .8 6 %
11
3.72%
10
3.25%
09
3.18%
08
3.89%
07
4.31%
06
3.88%
04
3.98%
05
4.43%
4.58%
03
4.48%
02
3.22%
01
3.58%
3.88%
2000
4.20%
95
4.10%
2.00%
1.50%
1.00%
0.50%
0.00%
社長交代率の推移(1995~2015年)
3.33%
5.00%
4.50%
4.00%
3.50%
3.00%
2.50%
14
15年
注) COSMOS2収録企業のうち、前年との社長が比較可能な企業を母数として計算。
2.社長平均年齢
~1990 年から上昇止まらず
社長の平均年齢は、データが確認できる 1990 年以降、毎年最高
を更新し続けている。2015 年は 59.6 歳と、1990 年以降最高だっ
た前年(59.4 歳)に比べて 0.2 歳上昇した。
売上高規模別に見ると、大半のケースで僅かながら若返りとな
ったが、
「500 億円以上1000 億円未満」
で1.0 歳、
「1000 億円以上」
では 1.7 歳と高齢化しており、
売上規模の大きい企業においては、
豊富な経験が経営者としての重要なファクターとなっている様子
がうかがえる。
社長平均年齢の推移
(年)
1995
(1995~2015年)
55.2
55.8
2000
57.3
05
57.5
06
57.7
07
57.9
08
58.1
09
58.4
10
58.6
11
59.0
12
59.2
13
59.4
14
59.6
15
52.0
54.0
56.0
58.0
(歳)
60.0
注)COSMOS2収録企業のうち、社長の生年が判明した
企業を母数として計算。
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特別企画:鹿児島県の社長分析
売上高規模別の社長平均年齢推移
歳
70.0
68.0
66.0
64.0
62.0
60.0
58.0
56.0
54.0
52.0
50.0
95
2000
01
02
03
04
05
1億円未満
50億円以上100億円未満
1000億円以上
06
07
08
09
10
1億円以上10億円未満
100億円以上500億円未満
11
12
13
14
15年
10億円以上50億円未満
500億円以上1000億円未満
注)COSMOS2収録企業のうち、社長の生年および当該企業の主業が判明した企業を母数として計算。
3.社長の年代別構成
~『60 歳以上』が半数超、1990 年以降の最高を更新
「60 歳代」の構成比は 40.0%で前年より 0.7 ポイント上昇、
「70 歳以上」を含めた『60 歳以上』の
合計構成比は 55.7%と 1990 年以降の最高を更新した。
本調査でも社長平均年齢が上昇していることが明らかになったように、
近年、
起業数の減少に加え、
後継者難がクローズアップされている。次世代を担う「40 歳代」の構成比は全国(18.3%)と比べる
と 15.1%と 3.2 ポイント下回っており、20 代、30 代も同様の結果で経営者の若返りといった点では
全国水準を下回っていることが見て取れる。
社長の年代別構成比(1995~2015年)
(年)
5.0%
4.2%
05 4.0%
06 4.2%
07 4.2%
08 4.4%
09 4.6%
10 4.7%
11 4.6%
12 4.5%
13 4.5%
14 4.3%
1995
2000
15
4.4%
0.0%
29.2%
23.2%
16.2%
15.3%
15.1%
14.3%
14.0%
13.3%
13.9%
13.8%
14.2%
14.7%
30.8%
38.4%
41.7%
42.1%
40.5%
38.1%
35.5%
33.1%
31.3%
29.1%
27.5%
25.9%
24.8%
23.4%
25.7%
26.2%
27.9%
30.9%
33.1%
35.5%
36.5%
37.9%
38.4%
39.3%
10.0%
10.6%
12.2%
12.0%
12.2%
12.2%
12.6%
13.0%
13.4%
14.5%
15.1%
15.6%
15.1%
24.7%
40.0%
15.7%
10.0%
20.0%
30.0%
30歳未満
40.0%
30歳代
50.0%
40歳代
60.0%
50歳代
70.0%
60歳代
80.0%
90.0%
100.0%
70歳以上
注)COSMOS2収録企業のうち、社長の生年が判明した企業を母数として計算
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特別企画:鹿児島県の社長分析
4.女性社長比率
~1990 年以降で最高の 7.5%に
女性社長比率は 7.5%で、1990 年以降で最高だった 2014 年
(7.3%)を上回り、6 年連続で最高を更新している。
(年)
女性社長比率の推移
(1995~2015年)
5.0%
5.2%
5.9%
6.1%
6.0%
6.1%
6.0%
6.6%
6.9%
7.0%
7.2%
7.3%
7.5%
1995
2000
05
ただし、政府が後押しする「女性の活躍促進」とは異なり、
06
後継者難などを背景として事業承継時などに一時的に社長に就
07
任するケースなども該当しており、実態としては一族以外の内
08
09
部昇格や外部招聘等での女性社長就任の絶対数はまだまだ少な
10
11
い。
12
真の意味で、女性が事業承継の受け皿になるためには、地方
13
14
自治体などによるバックアップ体制の整備・強化が不可欠とな
15
ろう。
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
注)COSMOS2収録企業のうち、社長の性別が判明した
企業を母数として計算。
5.出身地別社長数
~「鹿児島県」が最多
■ 社長の出身都道府県別ランキング
順位 出身地 社長数
構成比
1 鹿児島県 10,951
94.7%
2 宮崎県
122
1.1%
3 福岡県
96
0.8%
4 熊本県
66
0.6%
5 東京都
36
0.3%
6 大分県
31
0.3%
7 長崎県
30
0.3%
8 大阪府
29
0.2%
9 兵庫県
19
0.2%
10 神奈川県
16
0.1%
社長の出身地は、1位が「鹿児島県」(構成比
94.7%)
、であり前年(同 94.7%)同様に県内出身者
が圧倒的であることに変わりはない。
注)COSMOS2収録企業のうち、社長の出身地が判明した企業を母数として計算
6.出身大学別社長数
~「鹿児島国際大学」が最多
社長の出身大学は、1位が「鹿児島国際大学」
(構成比 9.3%)
、2位が「日本大学」
(同 7.5%)
、3
位が「鹿児島大学」
(同 6.2%)となった。1 位の鹿児島国際大学からから 14 位の専修大学まで顔ぶれ
は前年同様の結果となっている。
■ 社長の出身大学別ランキング
順位
出身大学
社長数 構成比 順位
出身大学
191
9.3%
11 第一工業大学
1 鹿児島国際大学
2 日本大学
154
7.5%
12 近畿大学
3 鹿児島大学
127
6.2%
13 東海大学
4 福岡大学
96
4.7%
14 専修大学
5 中央大学
75
3.7%
15 駒澤大学
6 慶應義塾大学
52
2.5%
16 一橋大学
7 明治大学
52
2.5%
17 青山学院大学
8 九州産業大学
50
2.4%
18 九州大学
9 法政大学
45
2.2%
19 拓殖大学
10 早稲田大学
42
2.0%
20 東京農業大学
人数 構成比
40
2.0%
35
1.7%
32
1.6%
31
1.5%
29
1.4%
28
1.4%
28
1.4%
24
1.2%
24
1.2%
23
1.1%
注)COSMOS2収録企業のうち、社長の出身大学が判明した企業を母数として計算
©TEIKOKU DATABANK, LTD.
4
2016/5/30
特別企画:鹿児島県の社長分析
まとめ
鹿児島県の 2015 年の社長交代率は 3.86%と、1990 年以降で最低だった 2012 年から、3 年連続して
上昇した。景気回復や 2015 年1月の相続税制改正を契機として、全国的には大企業を中心に社長交代
が進んでおり、鹿児島県内においても同様の動きが見て取れる。ただし中小・零細企業では社長平均
年齢が上昇し続けていることが示すとおり、後継者難などを背景に中小・零細企業が事業承継に踏み
切れない状況が続く。また、一方では社長の年齢が 60 代後半に差しかかったタイミングで休廃業や解
散などを選択する企業も少なくない。
社長交代率自体は伸びつつあるものの、
年齢構成としては 60 歳代以上のウエイトが高い状況にある。
その背景としては製造業など独自のノウハウや技術力などを 30 代、40 代の若手に継承させることが
困難であることや思い切った若返りを躊躇するケースなどがあげられる。
社長高齢化が進む中、企業の継続的な発展には若者世代の起業活発化なども求められている。
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