2016/5/20 東京都新宿区本塩町 22-8 TEL: 03-5919-9341 URL:http://www.tdb.co.jp/ 特別企画: 2015 年 ゴルフ場経営業者の経営実態調査 総売上高、減少傾向に歯止め ~ 112 年ぶりの五輪競技復活でブーム再来に期待 ~ はじめに 今年 8 月より開催されるリオデジャネイロオリンピックにおいて、ゴルフが 112 年ぶりに競技 種目として復活する。日本でのゴルフの歴史は、1903 年に日本初のゴルフ場「神戸ゴルフ倶楽部」 がオープン、1927 年には「第 1 回全日本オープンゴルフ選手権大会」が開催されるなど、永く国 民に愛されているスポーツだ。また、バブル期の会員権の価格高騰、その後の暴落など経済動向 との繋がりも深く、景気の変化にも大きく影響を受けてきた。近年は、競技者人口の減少や業界 再編などの問題も浮上している。 帝国データバンクでは、2016 年 4 月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(146 万 社収録)の中から、ゴルフ場経営業者 1136 社を抽出。業績比較可能な 681 社における売上高の推 移などについて分析した。 調査結果(要旨) 1. 今回の調査対象であるゴルフ場経営業者は 1136 社。「東京都」(118 社)、「兵庫県」 (63 社)、 「北海道」(63 社)を本店所在地とする企業が多かった 2. 業績推移が比較可能な 681 社における、2015 年(1 月~12 月期決算)の総売上高は約 3563 億 5600 万円。2009 年の約 4130 億 9100 万円から年々減少してい たが、2015 年に微増に転じた (百万円) ゴルフ場経営業者の総売上高推移 500,000 456,964 450,000 3. 2015 年に増収を果たした企業 413,091 399,172 400,000 378,804 371,568 は 231 社(構成比 33.9%)。な お、3 期連続で「増収」となっ た企業は 42 社で、 「減収」とな った企業は 60 社 4. 倒産件数は、2015 年が 22 件と なった ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 361,644 355,808 356,356 350,000 300,000 250,000 200,000 2005年 2009年 (推定値) 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 1 2016/5/20 特別企画: 2015 年 ゴルフ場経営業者の経営実態調査 1. 都道府県別 ~東京がトップ、兵庫、北海道が続く 今回の調査対象であるゴルフ場経営業者は 1136 社判明。都道府県別にみると、 「東京都」が 118 社でトップだった。次いで、「兵庫県」(63 社)、 「北海道」(63 社)、「千葉県」(62 社)、「愛知県」 (55 社)が続いた。個別で見ると、本社所在地を「東京都」としながらも、地方のゴルフ場を経 営する企業が多い傾向にあった。 順位 1 2 2 4 5 6 7 8 9 9 都道府県 東京都 兵庫県 北海道 千葉県 愛知県 静岡県 大阪府 栃木県 岐阜県 埼玉県 社数 118 63 63 62 55 43 42 39 36 36 順位 11 12 13 13 15 15 17 18 18 20 2.総売上高の推移 都道府県 茨城県 群馬県 長野県 福岡県 広島県 三重県 神奈川県 岡山県 京都府 熊本県 社数 33 31 29 29 28 28 26 24 24 19 順位 都道府県 社数 20 新潟県 19 22 愛媛県 17 22 沖縄県 17 22 奈良県 17 22 福島県 17 26 山梨県 16 27 鹿児島県 15 28 宮城県 14 28 山口県 14 30 宮崎県 12 順位 都道府県 社数 30 滋賀県 12 30 秋田県 12 30 石川県 12 34 大分県 11 34 富山県 11 36 岩手県 9 36 香川県 9 36 佐賀県 9 36 徳島県 9 40 高知県 8 順位 都道府県 40 長崎県 40 和歌山県 43 山形県 43 青森県 43 島根県 46 鳥取県 47 福井県 合計 社数 8 8 7 7 7 6 5 1,136 ~2015 年は微増に転ずる 業績推移が比較可能な 681 社の売上高を合計した総売上高を見ると、2015 年(1 月~12 月期中 決算)は約 3563 億 5600 万円だった。5 年前の 2010 年は約 3991 億 7200 万円だったが、徐々に減 少し 2014 年は約 3558 億 800 万 円までダウンするなかでの反 (百万円) ゴルフ場経営業者の総売上高推移 500,000 456,964 転となった。 450,000 ただし、増加率は前年比 413,091 399,172 400,000 378,804 371,568 0.2%にとどまっており、増加 というより底打ちとの見方が 300,000 できる。 なお、推定値になるが、10 年 250,000 前と比較すると、2 割程度落ち 200,000 2005年 2009年 (推定値) 込んでいる。 3.増減収 361,644 355,808 356,356 350,000 ~ 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 増収企業が約 3 割 業績推移が比較可能な 681 社のうち、2015 年に「増収」となった企業は、231 社(構成比 33.9%) となった。うち、3 期連続で「増収」となった企業は 42 社、前年は「減収」だったが「増収」に 転じた企業は 120 社だった。一方、2015 年に「減収」となった企業は 243 社(同 35.7%)となり、 「増収」の数を上回った。なお、3 期連 続で「減収」となった企業は 60 社だっ た。 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 増収 横ばい 減収 2013年 2014年 2015年 企業数 構成比 企業数 構成比 企業数 構成比 241 35.4% 217 31.9% 231 33.9% 151 22.2% 173 25.4% 207 30.4% 289 42.4% 291 42.7% 243 35.7% 2 2016/5/20 特別企画: 2015 年 ゴルフ場経営業者の経営実態調査 4.倒産件数 ~ 2000 年代前半をピークに減少傾向で推移 倒産件数を見ると、2015 年は 22 件となり、前年比 57.1%増となった。これまでの推移を見る と、2002 年(108 件)に倒産件数のピークを迎え、その後は一進一退しながらも減少傾向にあっ たが、2015 年においては、競技人口の減少、預託金問題の再発、業界再編を要因として増加に転 じた。 倒産件数および負債額の推移 (件) 120 (百万円) 2,500,000 108 件数(左軸) 100 86 2,000,000 87 負債額(右軸) 80 1,500,000 65 60 54 49 48 1,000,000 40 28 25 27 27 30 22 20 13 14 2013 2014 0 500,000 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2015 (年) 5.まとめ ゴルフ業界は、90 年代前半にピークを迎えたもののバブル崩壊に伴い経営環境が急激に悪化。 競技人口の減少だけでなく、預託金償還の問題も抱え、2000 年代前半には 1 年間で約 100 件のゴ ルフ場経営業者が倒産する事態となっていた。近年の倒産件数は落ち着いているが、総売上高の 推移を見ると、減少傾向が続いており、厳しい経営環境がうかがえる状況だ。 こうしたなか、高齢者の男性に偏っている競技者層の拡充を図るため、ゴルフ業界では女性や 若者の獲得に着手。シミュレーションゴルフ導入によるゴルフバーやゴルフ教室の展開、アパレ ルの充実、若者向けの新料金プラン提示などの動きをとっている。また、アコーディアや PGM な ど大型資本への傘下入りで、経営再建を果たす業者も見られるようになった。こうした結果、毎 年減少していた総売上高は、シーズン中の休日を中心に天候に恵まれたことも寄与し 2015 年に増 加に転じた。増加率は前年比 0.2%と微増ではあるが、これまでの減少一途の状況にストップがか かり、底打ちとの見方もできる。 今後の展望を占ううえでは、112 年ぶりのオリンピック競技復活に期待する声も少なくない。日 本人がリオデジャネイロオリンピックで活躍し、再びゴルフブームに火が付くこととなれば、ゴ ルフ業界全体にとって好材料となるだろう。また、中国や韓国からの旅行者によるインバウンド への期待もある。経営面では、業界特有の預託金の在り方を改革する動きや、新たなライフプラ ンとして、ゴルフ場の利用権とセットで周辺への居住を進める不動産業者が現れるなど新たな風 が吹いており、業界の変化が注目される。 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 3 2016/5/20 特別企画: 2015 年 ゴルフ場経営業者の経営実態調査 <参考資料> ゴルフ練習場運営業者の総売上高 (百万円) 80,000 79,000 78,926 78,313 78,000 77,000 75,589 76,000 75,255 75,000 73,736 73,613 74,000 73,394 73,000 72,000 71,000 70,000 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 【 内容に関する問い合わせ先 】 (株)帝国データバンク 東京支社 情報部 綴木 猛(つづるき TEL 03-5919-9341 たける) FAX 03-5919-9348 E-mail [email protected] 当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。 当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法 の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 4
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