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2017/01/24
静岡支店
静岡市葵区追手町 9-22
TEL: 054-254-8301
http://www.tdb.co.jp/
特別企画 : 個人消費活性化に対する静岡県内企業の意識調査
現状の個人消費、企業の半数超が「悪い」と認識
~ 回復時期は 4 社に 1 社が「長期的に回復する見込みはない」と回答 ~
はじめに
2016 年 11 月実施の TDB 景気動向調査の特別企画「2017 年の景気見通しに対する企業の意識調
査」において、景気回復に必要な政策として「個人消費拡大策」が 5 年連続でトップとなった。
国内総生産(GDP)の約 6 割を占める個人消費の拡大は、本格的な景気回復に欠かせない要素とな
っている。
そこで、帝国データバンクは、個人消費活性化に対する企業の見解について調査を実施した。
本調査は、TDB 景気動向調査 2016 年 12 月調査とともに行い、全国調査分から静岡県内企業を抽出
して分析した。
※調査期間は 2016 年 12 月 15 日~2017 年 1 月 5 日、調査対象は 565 社で、有効回答企業数は 278
社(回答率 49.2%)
。
※本調査における詳細データは景気動向調査専用 HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。
調査結果(要旨)
1.現在の個人消費動向、
『悪い』と回答した企業は 55.8%となり半数を超えた(
『悪い』は「非常
に悪い」
「悪い」
「やや悪い」の合計)
。他方、
『良い』は 10.1%にとどまり、とりわけ「非常に
良い」
「良い」と回答した企業は 0 社で、個人消費動向について非常に厳しい見方。
2.過去に実施された消費活性化策で効果のあった政策は、
「エコカー減税・補助金」
(51.1%)が
最高。2 位は「所得税減税」
(44.2%)
、3 位は「住宅ローン減税」
(35.3%)となり、減税にと
もなう消費者の負担軽減策が上位に。さらに、4 位「エコポイント制度」
(26.6%)
、5 位「地域
振興券」
(15.1%)
、6 位「プレミアム付商品券」
(14.4%)などが続いた。
3.個人消費活性化には「賃金の増加」
(71.9%)が突出。以下、
「将来不安の払拭(年金など)
」
「企
業業績の改善」
「個人所得税の減税」が 4 割台で続く。
4.個人消費活性化に向けてクリアするべき条件は、1)消費機会の創出、2)自由な時間の増加、3)
若者支援、4)高齢者支援、5)マクロ環境の改善、6)将来不安の払拭、7)家計負担の軽減、8)
企業活動の伸長の 8 つ。
5.個人消費の回復時期、
「長期的に回復する見込みはない」が 26.3%で 4 社に 1 社の割合。また、
「2 年後」
(14.0%)と「3 年後以降」
(11.9%)を合わせると回復時期を 2 年以上先とする企業
は半数を超えた。
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1
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特別企画: 個人消費活性化に対する静岡県内企業の意識調査
1. 個人消費、企業の半数超が厳しい見方
現在の個人消費動向についてどのように感じているか尋ねたところ、
『悪い』と回答した企業が
55.8%となり半数を超えた(『悪い』は、「非常に悪い」「悪い」「やや悪い」の合計)。他方、『良
い』
(
「非常に良い」
「良い」
「やや良い」の合計)は 10.1%にとどまったほか、
「どちらともいえな
い」は 30.6%となった。特に、
「非常に良い」
「良い」と回答した企業は 0.0%(0 社)であり、個
人消費動向について企業は非常に厳しくみている様子がうかがえる。
業界別に『悪い』の割合をみると、
『金融』が 100.0%、
『小売』が 80.0%で高水準であった。
消費動向が『良い』とみている企業からは、「買い控えが一段落したと思う」(製造)といった
意見がある一方で、
『悪い』とみている企業からは、
「格差
の拡大が存在し、大方の中流階級は消極的」
(建設)
、
「賃金
現在の個人消費の動向
分からない
3.6%
があまり増えていないことと将来への不安が払拭されず、
『良い』
10.1%
守りの生活になっている」
(製造)
、
「電化製品、自動車など
の耐久消費財の品質が上がり、壊れないため買い替えスパ
ンが伸びている」
(製造)
、
「価格の上昇による、購買意欲の
どちらとも
いえない
30.6%
『悪い』
55.8%
減退」
(卸売)
、
「年金等の政策があまりにも杜撰過ぎて将来
不安が依然残っているため、
消費意欲が沸くとは思えない」
(卸売)
、
「先が見えない状況で、必需品以外の支出を抑え
るのは普通の感覚」
(サービス)といった、将来不安ととも
に可処分所得の伸び悩みなどで購買意欲を落としていると
いう声も多くみられた。
注1:『良い』は「非常に良い」「良い」「やや良い」の合計、
『悪い』は「非常に悪い」「悪い」「やや悪い」の合計
注2:母数は有効回答企業278社
また、
「消費が落ち込んでいるというよりネット購入が増
え、必ずしも地域に還元されなくなってきている」
(サービス)や「加工食材の売れ行きは良いが、
自宅での調理食材は若年主婦等の購買力は鈍い」
(農・林・水産)など、購入場所の多様化や購買
行動の変化で消費の動きを捉えることが難しくなっていることを指摘する意見もあった。
(%)
80.0
67.2
66.7
66.7
58.6
58.3
50.4
41.2
建設
製造
運輸 ・倉庫
サービ ス
不動産
農 ・林 ・水産
卸売
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小売
金融
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
現在の個人消費の動向『悪い』割合 ~業界別
100.0
2
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特別企画: 個人消費活性化に対する静岡県内企業の意識調査
2. 消費者の負担軽減が消費活性化に有効と認識
過去の消費活性化策で
効果があったと思う政策(複数回答)
これまでに実施された消費活性化策のうち、
どのような政策で効果があったと思うか尋ね
たところ、
「エコカー減税・補助金」が 51.1%
(%)
1
エコカー減税・補助金
51.1
2
所得税減税
44.2
3
住宅ローン減税
35.3
4
エコポイント制度
(住宅エコポイントや家電エコポイント)
26.6
5
地域振興券
15.1
「プレミアム付商品券」など、消費を行うこと
6
プレミアム付商品券
14.4
で付加サービスが得られる政策などが続いた。
7
子育て世帯臨時特例給付金
14.0
これまで実施された消費活性化策について、
8
世代間の所得移転制度
(住宅や教育資金への贈与税非課税制度など)
12.9
9
環境関連の優遇策(補助金など)
12.2
を押し上げる政策を評価している様子がうか
10 配当・譲渡所得課税の税率軽減
10.4
がえる。
11 定額給付金
6.5
12 臨時福祉給付金
2.2
で最高となった(複数回答、以下同)
。次いで、
「所得税減税」が 44.2%、
「住宅ローン減税」
が 35.3%となり、減税に伴う消費者の負担軽減
策が上位を占めた。さらに、「エコポイント制
度(住宅エコポイントや家電エコポイント)」、
厳しい経済環境が続いたなかで直接的に消費
その他
効果のあった政策はない
4.7
14.7
注:母数は有効回答企業278社
3. 個人消費活性化には「賃金の増加」が突出、クリアすべき 8 つの条件
個人消費が活性化するために必要な条件は
どのようなことだと思うか尋ねたところ、「賃
金の増加」が 71.9%で突出して高かった。以
個人消費が活性化するために必要な条件
(上位10項目、複数回答、5つまで)
(%)
1
賃金の増加
71.9
2
将来不安の払拭(年金など)
44.6
3
企業業績の改善
44.2
なり、4 社に 1 社が個人消費活性化には消費税
4
個人所得税の減税
42.4
率引き下げも必要だと考えていることが分か
5
消費税率の引き下げ
26.3
った。
6
株価の上昇
23.4
7
若者・子育て世帯への支援拡充
21.2
8
デフレ脱却
19.8
9
就業者数の増加
14.0
下、「将来不安の払拭(年金など)」
「企業業績
の改善」
「個人所得税の減税」が 4 割台で続い
た。また、
「消費税率の引き下げ」も 26.3%と
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10 ヒット商品・サービスの増加
注:母数は有効回答企業278社
12.9
3
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特別企画: 個人消費活性化に対する静岡県内企業の意識調査
個人消費活性化に必要な条件について因子分析を行ったところ、8 つのポイントが浮かび上がっ
てきた。1)消費機会の創出、2)自由な時間の増加、3)若者支援、4)高齢者支援、5)マクロ環
境の改善、6)将来不安の払拭、7)家計負担の軽減、8)企業活動の伸長、である1。消費の活性
化に向けて、日本社会はこれらの条件を 1 つ 1 つクリアしていくことが重要となろう。
個人消費活性化に向けた8条件
1.消費機会の創出
2.自由な時間の増加
3.若者支援
4.高齢者支援
5.マクロ環境の改善
6.将来不安の払拭
7.家計負担の軽減
8.企業活動の伸長
<参考表>
消費活性化に向けた8条件
【消費機会の創出】
【自由な時間の増加】
【若者支援】
【高齢者支援】
【マクロ環境の改善】
【将来不安の払拭】
【家計負担の軽減】
【企業活動の伸長】
消費活性化の具体的項目
ヒット商品・サービスの増加
消費イベントの拡大
国民の気分高揚
インターネットの活用 など
有給休暇の取得拡大
祝日の増加
長時間労働の是正
若者・子育て世帯への支援拡充
結婚支援の充実
世代間の所得移転
高齢者雇用の促進
介護支援の充実
多様な働き方の導入
株価の上昇
金利の上昇
デフレ脱却 など
人手不足の緩和
将来不安の払拭
賃金の増加
消費税率の引き下げ
個人所得税の減税
金利の低下 など
企業業績の改善
企業の生産性向上
4. 消費の回復時期、長期的に回復する見込みはないが 26.3%、慎重な見方が根強い
消費の回復時期
今後、個人消費が本格的に回復する時期につ
いて尋ねたところ、「長期的に回復する見込み
はない」が 26.3%と、個人消費の動向に悲観的
1年後
5.8%
な企業が 4 社に 1 社の割合となった。また、
「3
年後以降」
(11.9%)と「2 年後」
(14.0%)を
合わせると 25.9%となり、回復時期を 2 年以上
先とする企業は半数を超えた。さらに、「すで
に回復している」
(3.2%)や「1 年後」
(5.8%)
など、短期での回復を見込む企業は 1 割に満た
ない。しかし、
「分からない」も 38.8%と多く、
企業にとっても個人消費の先行きを想定する
すでに
回復して
いる
3.2 %
2年後
14.0 %
分からな
い
38.8 %
長期的 に
回復 する
見込みは
ない
26.3 %
3年後以
降
11.9 %
ことが難しいという実態も見えてきた。
注:母数は有効回答企業278社
1 因子分析は、主成分解により因子を抽出し、直交バリマックス回転を行った。各因子に含まれ
る選択肢(消費活性化の具体的項目)は参考表参照
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まとめ
今後の国内景気は個人消費の動向がカギを握る。家計は先行き不安により支出を抑えようとす
る誘因が働く一方、消費が弱いままとなれば、年金や保険制度など他の政策にも影響を及ぼす可
能性が高い。
こうしたなか、現在の個人消費について、企業の半数超が『悪い』と捉えている一方、
『良い』
は 1 割に満たず、非常に厳しい見方をしていることが浮き彫りとなった。他方、過去の消費活性
化策では、「所得税減税」や「エコカー減税・補助金」「住宅ローン減税」で効果が高かったと捉
えており、直接的に消費を刺激する政策の評価が高かった。
個人消費が活性化するために必要な条件では、
「賃金の増加」が突出しており、現実問題として
消費者の所得増加が最大の活性化策となろう。ただし、若年層を中心に財布のヒモが緩くなるた
めには、年金など将来不安が払拭されなければならない。早期に消費が回復すると見込む企業は
少なく、依然として慎重な見方が根強く残っている。個人消費が活性化するためには、消費機会
の創出や自由な時間の増加など、本調査で浮かび上がった 8 つの条件を 1 つ 1 つクリアしていく
必要があり、個々の企業や消費者だけでなく、政府による役割も大きく、消費活性化に向けた取
り組みは日本社会全体で進めることが肝要であろう。
【 内容に関する問い合わせ先 】
株式会社帝国データバンク
静岡支店
TEL 054-254-8301
担当:竹岸 隆浩
FAX 054-254-6602
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