簿価額の減額として反映する会計処理であるが、それぞれ 固定資産の減損会計は、資産の収益性の低下を資産の帳 A形式により経理実務に即したポイントを解説する。 共用資産、後発事象との関係といったテーマについて、Q& シュ・フローの見積期間、 資産のグルーピング・主要な資産・ をあらかじめお断りしておく。 なお、文中意見にわたる部分は、筆者らの私見であること の会社の経済実態や事業内容を踏まえた処理をする必要が 本特集では、減損会計の論点のうち、割引率、将来キャッ ある。 マイナス金利はそのまま利用して算定? もの(減損会計基準二5)であり、次 に示した4つの方法、またはこれら 項)。 を 総 合 的 に 勘 案 し た も の と な る( 減 損適用指針 ① 当該資産または資産グループに 固有のリスクを反映した収益率 たとえば、類似した設備投資の意思 決定を継続的にハードルレートを用い て行っている場合や、事業部別資本コ ストを活用している場合には、これら を基礎として、経営環境などの企業の 外部要因に関する情報や企業が用いて いる内部の情報に照らし修正を加え、 当 該 収 益 率を計 算することが考えら キャッシュ・フローの現在価値を算 ② 企業に要求される資本コスト 資本コストを用いる場合には、借入 れる。 損 失 と し て 計 上 す る( 減 損 会 計 基 準 定する際に用いる割引率は減損損失 資本コストと自己資本コストを加重平 鈴木 真策 二3) 。 の認識時点の割引率を用いることに 回収可能価額とは、資産または資 均した資本コストを用いることが適当 新日本有限責任監査法人 公認会計士 使用価値の算定に用いる 割引率 概 要 。 なる(減損適用指針 項) は、減損損失の測定における使用価 テップに従って検討される。本章で の判定、減損損失の測定の4つのス 減損の兆候の把握、減損損失の認識 て生ずると見込まれる将来キャッ 継続的使用と使用後の処分によっ 価値は、資産または資産グループの (減損会計基準注解(注1)1)、使用 値のいずれか高いほうの金額となり 務上は割引率に反映させる場合が多 ずれかに反映させる必要がある。実 シュ・フローの見積りと割引率のい 離するリスクについて、将来キャッ キャッシュ・フローが見積値から乖 使用価値の算定においては、将来 で加重平均したものである。 について株主資本と有利子負債の比率 C) とは、株主資本コストと負債コスト : WA C Average Cost of Capital 加 重 平 均 資 本 コスト ( Weighted 産グループの正味売却価額と使用価 値の算定に際して用いられる割引率 シュ・フローの割引現在価値として また、減損会計における使用価値 キャッシュ・フローがその見積値か 割 引 率 は、 貨 幣 の 時 間 価 値 と 将 来 使用価値の算定に際して用いられる 資産グループに類似した資産または資 利回りなどのように、当該資産または 類 似の賃 貸 用 不 動 産における還 元 ③ 市場平均と考えられる合理的な 収益率 39 であるとされている。 についての概要と関連する論点を解 く( 減 損 適 用 指 針 定された資産または資産グループに は、現在から将来にわたる回収可能 ら乖離するリスクの両方を反映した 1) 4) 。 つ い て は、 帳 簿 価 額 を 回 収 可 能 価 性を反映することとなるため、将来 減損損失を認識すべきであると判 額 ま で 減 額 し、 当 該 減 少 額 を 減 損 項 )、 こ の 場 合、 算 定 さ れ る( 減 損 会 計 基 準 注 解( 注 減損会計は、資産のグルーピング、 45 説する。 124 Ⅰ 12 経理情報●2017.2.1(No.1469)
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