持ち直している。 - 中国経済産業局

平成29年1月24日
担当 参事官(調査担当) 藤 崎
TEL(082)224-5633
誠
地域経済産業調査結果(平成28年10-12月期)
中国地域の経済は、持ち直している。
※当局ホームページ(http://www.chugoku.meti.go.jp/)にも同様の資料を掲載しております。
1.全体の動向
生産は、化学や自動車、電子部品・デバイスで増産、鉄鋼やはん用・生産用・業務用機械は堅調に推移し、全体とし
ては緩やかな持ち直しの動き。設備投資は、製造業では受注増加等による前向きな動き、非製造業では新規出店や
既存店の増床・改装のための投資がみられ、持ち直している。雇用は、着実に改善が進んでいる。個人消費は、持ち
直している。全体としては、中国地域の経済は、持ち直している。
先行きは、設備投資の持ち直しや雇用情勢の着実な改善が進み、生産も上向きで推移すると思われる。
2.個別の動向
(1) 生
産
緩やかな持ち直しの動き
化学は、前期のような定修や大きな設備トラブルがなく、計画どおりの生産が実施できたことから、増産。自動車は、
マイナーチェンジの実施や輸出が好調で、軽乗用車の生産も軌道に乗ったことから、増産。電子部品・デバイスは、ス
マホ向け受注増により増産。鉄鋼は、粗鋼生産量は対前期比で微増し、薄板の在庫調整も進展したことから、横ばい。
はん用・生産用・業務用機械は、海外顧客からの受注が好調ではあるものの、これまでの受注量と比べボリュームが
低下傾向にあることから、横ばい。
(2) 設備投資
持ち直している
製造業では、受注増加や新製品対応に向けた前向きな動きに加え、老朽化や生産性向上への対応として行う既存
設備の維持更新が進められている。一方、採算悪化や先行き不透明感から設備更新を先送りした動きもあった。非製
造業では、引き続き、新規出店や既存店の増床・改装、設備の維持更新が進められている。
(3) 雇用情勢
着実に改善が進んでいる
正社員・パートを問わず、製造業では技術職、非製造業では様々な職種で人員不足の声が聞かれる。また、人員不
足を補うため残業時間を増やした、契約社員の正社員化や派遣社員の社員登用を図っているとの声も聞かれた。
(4) 個人消費
持ち直している
百貨店では、飲食料品は堅調だが、衣料品が低迷、高額品の動きも鈍く、一層節約志向が高まっている。スーパー
では、相場高により野菜が伸長、機能性肌着が売れた。ホームセンターでは、暖房器具や健康器具、家電大型専門
店では、白物家電、テレビ、エアコンが好調だった。ドラッグストアでは、ポイント販促の実施により消費者の購買意欲
が高まったとの声が聞かれた。10、11月はカープ関連のセール効果がみられた。乗用車販売は、7月以降前年を上
回っている。
(5) 資金需要
増加している
資金需要が増加する企業がみられる。資金調達環境は安定しており貸出残高も伸びている。
(6) 建
設
横ばい
公共工事は減少している。住宅建設は持ち直している。
(調査概要)
(1)目的:地域の主要企業へ各経済産業局が一斉にヒアリング等を実施することにより、企業の業況、生産、設備投資、資金需要等の動
向及び地域経済全体の動向を定性的に把握するとともに、経済産業省内の政策展開への参考資料とする。
(2)調査時期:平成28年12月(本調査は年4回実施)
(3)調査内容:業況、生産、設備投資、雇用情勢、個人消費、資金需要等
(4)回答企業数:91社(中国地域)《製造業41社 非製造業50社》
(調査結果詳細)
(1)生産
~ 緩やかな持ち直しの動き ~
化学は、前期のような定修や大きな設備トラブルがなく、計画どおりの生産が実施できたことから、増産。自動車は、マイ
ナーチェンジの実施や輸出が好調で、軽乗用車の生産も軌道に乗ったことから、増産。電子部品・デバイスは、スマホ向け
受注増により増産。鉄鋼は、粗鋼生産量は対前期比で微増し、薄板の在庫調整も進展したことから、横ばい。 はん用・生産
用・業務用機械は、海外顧客からの受注が好調ではあるものの、これまでの受注量と比べボリュームが低下傾向にあるこ
とから、横ばい。
業種別にみると、
鉄鋼は、粗鋼生産量は対前期比で微増し、薄板の在庫調整も進展したことから、横ばい。 化学は、前期のような定修や大きな設備トラブルがなく、計画どおりの生産が実施できたことから、増産。
自動車は、マイナーチェンジの実施や輸出が好調で、軽乗用車の生産も軌道に乗ったことから、増産。
船舶は、一部事業所では高水準の生産を維持しているものの、海運市況が低迷していることから、横ばい。
はん用・生産用・業務用機械は、海外顧客からの受注が好調ではあるものの、これまでの受注量と比べボリュー
ムが低下傾向にあることから、横ばい。
電子部品・デバイスは、スマホ向け受注増により、増産。
情報通信機械は、冬モデルの新製品の出荷により、増産。
窯業・土石製品は、故障増や台風接近時の出荷遅延等により減産した前期からの反動増。
金属製品は、アパート関係の住宅部材が好調
だったことから、増産。
木材・木製品は、OEM 生産、大手ハウスメーカ
ーからの受注が堅調であることから、横ばい。
石油・石炭は、設備定修により減産した前期か
らの反動増。
(2)設備投資
出所:中国経済産業局
~ 持ち直している ~
製造業では、受注増加や新製品対応に向けた前向きな動きに加え、老朽化や生産性向上への対応として行う既存設備
の維持更新が進められている。一方、採算悪化や先行き不透明感から設備更新を先送りした動きもあった。
非製造業では、引き続き、新規出店や既存店の増床・改装、設備の維持更新が進められている。
製造業では、受注増加や新製品への対応に向けた設備新設等の能力増強など前向きな動きがみられる。ま
た、引き続き老朽化や生産性向上への対応として行う既存設備の維持更新が合理化、省エネ対応を意識しな
がら進められている。一方で、前年度までの大型投資の反動減に加え、受注減少や円高による採算の悪化
や先行き不透明感から投資計画を見直し設備更新を先送りした動きもみられた。
非製造業では、引き続き、新規出店や既存店の増床・改装
のほか、経年劣化した既存設備の更新、新規事業や業務効
率化に向けた投資が進められている。一方で、前年度まで
の大型投資の反動減や収益悪化から投資を先送りする声も
一部に見られた。
2
(3)雇用情勢 ~ 着実に改善が進んでいる ~
正社員・パートを問わず、製造業では技術職、非製造業では様々な職種で人員不足の声が聞かれる。また、人員不足を
補うため残業時間を増やしているとの声や契約社員の正社員化や派遣社員の社員登用を図っているとの声も聞かれた。
有効求人倍率は、中国地域全体では1.62(28年11月)となり、業種別にみると一部に厳しさはあるもの
の、改善している。また、正社員の有効求人倍率も改善の動きが進んでいる。
当期の雇用者数については、正社員・パートを問わず、製造業では技術職、非製造業では様々な職種で人
員不足の声が聞かれる。また、人員不足を補うため残業時間を増やしているとの声や外国人労働者を増や
しているとの声も聞かれた。
今後の雇用者数については、定年退職者の補充のみ
にとどめるという声がみられる一方で、新卒採用を前年
より拡大するという積極的な声も聞かれた。また、労働
力確保のため、契約社員の正社員化や派遣社員の社
員登用を図っているとの声も聞かれた。
賃金については、今期(10-12月期)が多くの企業に
とって賞与の支給時期にあたり、従業員のモチベーショ
ン向上等のために賞与の増額を実施した企業が多くみ
られた。また、最低賃金の引き上げに伴い、パートの時
間給引き上げを行ったとの声も聞かれた。
出所:厚生労働省
(4)個人消費 ~ 持ち直している ~
百貨店では、飲食料品は堅調だが、節約志向で衣料品が低迷、高額品の動きも鈍かった。スーパーでは、相場高で野菜
が伸長、機能性肌着が売れた。ホームセンターでは、暖房器具や健康器具、家電大型専門店では、白物家電、テレビ、エア
コンが好調だった。ドラッグストアでは、ポイント販促が奏功したとの声が聞かれた。10、11月はカープ関連のセール効果
がみられた。乗用車販売は、7月以降、前年を上回っている。
業種別にみると、
百貨店は、飲食料品は堅調だが、衣料品は低迷が続き、時計、宝飾品など高額品も動きが鈍い。消費意欲は一層節約志向
が高まり、衣料品に関しては消費者の価値観の変化により停滞しているとの声も聞かれた。カープ関連セールは好調。
スーパーは、野菜は相場高により伸長、カット野菜や総菜がよく売れた。衣料品は、機能性肌着が好調。カープ関連セール
は好調で、カープグッズの売れ行きも良く、カープおせちやカープ時計などが完売した。
ショッピングセンターは、増床リニューアル効果により新規出店した雑貨、ファストファッションを中心に客数が増え、売上げ
が増加した。インバウンドは香港、台湾、欧米からの個人客が増加したとの声も聞かれた。
コンビニエンスストアは、高付加価値商品のアイスクリーム、ビール、日本酒などがよく売れていることが客単価を押し上げ
ている。その他、お弁当、フライヤー商材などが好調。
ホームセンターは、10月は気温が高く、秋冬物の動きが鈍かったが、11月は上旬に気温が下がり暖房器具がよく売れた。
園芸関係、健康器具、ネコ関係のペット用品が好調。カープ関連のセールが好調だった。
家電大型専門店は、カープ関連セールで、10月は白物家電やテ
レビが、11月はテレビ、エアコンが好調。引き続き、消費者は高
機能・高付加価値商品を選択しているとの声もあった。
ドラッグストアは、10月はカープ関連のセールにより好調。衣料
用洗剤などの「香りつけ」の商品が人気。冬に向け、風邪薬、鼻
炎療薬、ヨーグルトドリンク、ハンドクリームなどが好調。ポイント
販促の積極的実施が消費者の購買意欲を高めたとの声も聞か
れた。
乗用車販売は、11月は軽乗用車が前年を下回ったものの、普通
車、小型車が前年を上回り、7月以降プラスが続いている。
3
出所:中国経済産業局
(5)資金需要 ~ 増加している ~
資金需要が増加する企業がみられる。資金調達環境は安定しており貸出残高も伸びている。
資金需要は、運転資金、設備投資などで資金需要が増加する企業が見られる。
借入需要は、低金利の状況が続くなか、貸出残高は伸びている。
キャッシュフローは、一部に悪化の声も聞かれるが、安定しているとの声が圧倒的に多く聞かれる。
(6)建設
~ 横ばい ~
公共工事は減少している。住宅建設は持ち直している。
公共工事は、減少している。今後は増加が見込まれる。
住宅建設は、着工戸数は増加傾向にあり、持ち直している。
出所:西日本建設業保証㈱
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出所:国土交通省
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